ガバメントAI「源内」

ベージュの背景に青い文字で『生成AIを活用して行政実務をより効率的に』と大きく表示されたバナー。下部には『デジタル庁が構築する生成AI利用環境「源内」』と記載されている。右側には実際の『源内』のインターフェース画面が表示されており、左側のメニューには『AIアプリ一覧』『おすすめ』『国会関係文書』『法令関係』などの項目が並び、中央には質問入力欄とAIモデル選択のドロップダウンメニューが配置されている。右上には『ガバメントAI検証環境 Powered by デジタル庁 プロジェクト源内』と記載されている。

概要

ガバメントAIとは、政府職員が安全・安心にAIを活用できる基盤です。ガバメントAI構築の第一歩として、デジタル庁は生成AI利用環境「源内(げんない)」を各府省庁に展開しています。

2025年5月に成立した「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(AI法)(内閣府) に基づき、同年12月に「人工知能(AI)基本計画」(内閣府) が閣議決定されました。この計画では、「隗(かい)より始めよ」の観点から、政府自らが先導的にAIを利活用する方針が示されました。政府職員によるAIの普段使いが浸透・定着することで、業務の質の向上と効率化を目指しています。

デジタル庁は現在、政府自らが先導的にAIを利活用するため、生成AI利用環境「源内」の実装を進めています。2026年度中には、全府省庁約18万人の政府職員が生成AIを利用可能とする予定です。

これとあわせて、デジタル庁ではAI活用をさらに加速するべく、「高度なAIアプリケーションの開発」「国内大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)開発支援」「政府共通データセットの整備」「他府省庁の技術支援」を推進しています。将来的には、地方支分部局を含む全ての政府職員が業務の質の向上を実感できるよう、生成AI利用環境の高度化を目指します。

目次

最近の取組

プレスリリース・公表資料

デジタル庁からの公式発表や取組状況をお知らせします。

解説記事

「源内」の仕組みや活用事例を解説しています。

動画で見る

「源内」とは何か、その仕組みや目指す姿を映像で紹介しています。

ガバメントAI「源内」について

我が国では、急激な人口減少・少子高齢化に伴う労働力不足により、公共サービスの維持が困難になることが懸念されています。こうした課題に対応し、中長期的な公共サービスの維持・強化を実現するためには、生成AIをはじめとするAIを最大限に利活用することが不可欠です。
このような中、我が国においては、「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(内閣府) 」に基づき、AIの社会での活用に向けた政府の体制整備を円滑に実施するとともに、政府が率先して安全・安心なAI活用を進める方針を明確化しました。

また、デジタル社会の実現に向けた重点計画(令和7年(2025年)6月13日閣議決定)においては、社会全体へのAI実装促進と生産性向上・サービス強化の必要性を踏まえ、デジタル庁の内部開発により政府等におけるAI基盤(ガバメントAI)を構築するとともに、AI利活用に資する政府保有データの整備・普及を行う方針が決定されました。

デジタル庁戦略・組織グループAI実装総括班では、デジタル庁設置法に基づき、政府等における生成AIの実装・利活用推進に取り組んでいます。令和7年(2025年)5月には、デジタル庁全職員が利用できる生成AI利用環境「源内」を内製開発で構築し、国会答弁検索AIや法制度調査支援AIなど複数のアプリケーションを提供することで、行政現場での検証を進めてきました。その結果、生成AIは行政業務の質の向上・効率化・省力化に有効であることが確認されました。

本検証の結果を踏まえ、引き続き「源内」の運用を継続しつつ、その実績と知見を政府等と共有しながら生成AI利用環境の拡大を推進します。また、産学官の関係者が連携・協力しながらガバメントAIを持続的に発展させるためのエコシステムの形成も進めていく方針です。

デジタル庁が構築する生成AI利用環境『源内』のシステム構成を示す図。上部にデジタル庁全職員が利用可能なインターフェースがあり、ガバメントクラウド上で入力・出力を行う。中央に職員向けインターフェース『源内』があり、その下に『汎用的なAIアプリ』と『行政実務用のAIアプリ』の2つのボックスが配置されている。右側には、政府共通の大規模データセット(法令・官報等)と各省庁の知識ベース(法令の逐条解説・申請マニュアル等)を示すデータベースアイコンが接続されている。アプリケーションは内製開発で機密性の高い情報も扱える。下部には『2026年〜利用を希望する他府省庁にも「源内」を展開予定』と記載されている

「源内」が提供するアプリケーション

「源内」は、政府統一基準に準拠したセキュリティのもと、デジタル庁においては機密性2情報を含むプロンプト入力に対応しています。ガバメントソリューションサービス(GSS)を活用したポータルサイトからのシングルサインオン(SSO)に対応し、セキュリティと利便性を両立しています。

「源内」が提供するAIアプリは大きく分けて2種類です。

  • 汎用AI:対話型チャット、文章作成、要約、校正、翻訳など、日常業務を幅広く支援するツール群
  • 行政実務用AI:行政職員の業務遂行を支援する、行政実務に特化したアプリケーション群

デジタル庁内部で利用されているAIアプリの一覧は、源内で提供されるAIアプリ一覧(令和8年(2026年)2月20日時点)(PDF/145KB)をご覧ください。

推進施策・取組内容

2026年3月現在、デジタル庁はガバメントAI「源内」に関する次の5つの取り組みを推進しています。

(1)生成AI利用環境「源内」の開発・展開

AIにより創造的に業務を行い、国民に信頼できるAIの意義を示すことを目的として、全府省庁約18万人の政府職員が生成AIを活用する大規模実証事業を2026年度に実施します。実証事業では職員の成功体験づくりを先回りして業務における生成AIの効果と課題を検証することで、2027年度以降の本格的導入につなげます。また、府省庁における生成AIの利用状況を可視化するダッシュボードを構築し、政府全体のAI活用状況を俯瞰できるようにします。

デジタル庁では2023年度から中央省庁職員を対象とした生成AIワークショップを実施し、技術検証と現場ヒアリングを重ねてきました。その中で、行政現場では生成AIの試験的利用においても多くの調整・手続きを要すること、また機密情報を扱えない環境では業務での有効性検証が困難であることが明らかになりました。こうした知見をもとに、政府統一基準に基づくセキュリティ要件を内製開発で満たしつつ、現場の課題を開発に反映しながら段階的に構築したのが、生成AI利用環境「源内」です。

高性能なLLMは急速に進化していますが、行政特有の業務・課題に対して「どのデータを、どの順序で、どの観点から活用するか」というノウハウは、AIが活用しやすい形で体系的に整備されていません。実務データをAIが参照できる状態にすることは、行政へのAI実装の前提条件です。「源内」は、こうしたノウハウやフレームワークをオープンかつ秩序立った形で収集・共有・循環させる仕組みを目指しています。

行政領域に生成AIの恩恵を迅速に届けるには、成功事例の横連携が不可欠です。しかし、他組織の事例を自組織に取り入れるまでには、「事例を知らない」「効果が不明瞭」「導入方法がわからない」「コストが高い」という4つの壁があります。「源内」は、共通ルールの整備やドキュメントの公開・オープンソース化により、これらの壁を体系的に取り除くことを目指しています。

行政のAI実装に向けた考え方を示す図。左側に『ユーティリティ的なAIツールの利用にとどまる(対話型のチャットなど)』があり、下に『これだけでは抜本的な業務改善につながらない、十分な費用対効果が見込まれない(海外ではAI実装の失敗事例も)』と記載。右側には水色の円で『AIに対して業務・データのあり方を考える』があり、下に『より高度なAIアプリ実現への挑戦、AIを前提とした行政文書等』と記載。最下部には濃い青色の帯で『「業務+AI」ではなく「AI+業務」の考え方に』と白字で強調されている。

(2)高度なAIアプリケーションの開発

業務を支援するプロトタイプを開発し、その成果の一部を政府内で共有・展開します。一例として、次のようなアプリケーションの開発を進めています。

  • 国会答弁作成支援AI
    • 国会質問の内容解析、過去答弁や根拠資料の検索、答弁の草案生成、更問予測、矛盾検証等の機能をAIにより統合的に提供。答弁作成の効率化を図ることにより、国会における政府答弁の正確性及び一貫性を強化します。
  • 厚生労働省雇用環境・均等局との連携
    • 「一般事業主行動計画策定届の受理業務」「えるぼし・くるみん等認定審査業務」「個別労働紛争解決制度に基づく総合労働相談対応業務」の3業務を対象に生成AIアプリケーションを開発し、雇用環境・均等行政の円滑かつ効果的な業務実施に貢献します。
  • 行政のバックオフィス業務支援AI
    • 委員会運営や出張調整など職員の大きな負担となっている業務に対し、生成AIを活用した業務支援システムのプロトタイプを開発し、効果を実証します。

(3)国内大規模言語モデル(LLM)開発支援

ガバメントAIにおいては、日本語の語彙‧表現に適合し、日本の文化‧価値観を尊重したLLMが不可欠です。国内で開発されたAIの調達・利用を通じ、安全・安心なAI活用推進、性能向上、安定需要の創出を実現し、日本のAI自律性確保を推進していきます。

(4)政府共通の大規模データセットの整備

ガバメントAIで活用するための政府共通の大規模データセットを整備します。

(5)他府省庁の技術支援

デジタル庁は、他府省庁のAI活用を積極的に支援しています。これまでAIを活用した大量のパブリックコメント・意見の分類処理(2025年6月〜)、府省庁が保有する行政文書を分析できるAIの受託開発(2026年2月〜)、犯罪実行者募集情報に該当する可能性のあるX投稿のフィルタリング処理(警察庁、2024年12月〜)などの取り組みを進めています。

高度なAIの有効活用例として、大規模なアンケート調査における仮説検証でAIを活用した事例を示す図。左側に行政職員が仮説立案に集中し、AIと膨大なデータの間で検証指示と検証結果をやり取りする流れが描かれている。右側には農林水産省が米の販売農家・農業法人・その他経営体に対して今後の米の生産意向に関するアンケート調査を実施し、20件以上の仮説を立案(2025年6月〜8月)したことが記載されている。デジタル庁がAIを活用して約8,000件の回答に対する仮説の妥当性を検証。下部には『職員1人が約2ヶ月間かかる分析作業が、AIを活用することで約3日間の作業に短縮』と青字で強調されている。

「源内」の展開スケジュール

「源内」の展開スケジュールを公開しています。

  • 2025年5月から:デジタル庁内において職員向けに運用開始
  • 2025年12月:ガバメントAIで試用する国内大規模言語モデル(LLM)の公募
  • 2026年1月から:一部省庁で試験的利用(リリース1.0) 規模:全体で数百人
  • 2026年2月:行政資料RAGアプリの展開、リリース1.0参加省庁向け「源内」利用者説明会
  • 2026年5月頃から年度末: 希望省庁に対する大規模導入実証(リリース2.0)
    • 政府職員を対象として「源内」を提供
    • 行政実務における生成AI利用環境の効果や課題を検証
  • 2026年春から夏:「源内」の本格利用(2027年度~)に向けて、利用する府省庁が概算要求
  • 2026年夏ごろ: 国内企業等が開発した国内LLMの試験導入(リリース2.1)
  • 2026年12月頃:開発した高度な生成AIアプリケーションの試験提供(リリース2.2)
    • 生成AI用の政府共通データの整備、提供(リリース2.2)
  • 2027年度から:生成AIの本格利用(利用省庁が予算措置)(リリース3.0)

参考資料

会議体