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【インタビュー】利用者視点で、現場に深く踏み込む

目次

担当者

左から高橋係員、山村参事官補佐、さかい係員のウェストショットが写っている写真。3人共紺色に近いくらい青色の服を着ている。

参事官補佐 山村 真紀子 (写真中央)
民間のシステムエンジニアとして勤務後、内閣府・総務省を経て、2021年9月にデジタル庁へ。EASYの運用保守、ガイドライン改正等に伴うシステム改修計画、構築等を担当。

係員 高橋 一世 (写真左)
2018年4月、総務省へ入省。2024年7月にデジタル庁へ。システムの運用保守、利用機関からの問合せ対応などを担当。

係員 榮井 琴乃 (写真右)
2023年4月、デジタル庁へ入庁。UI/UX改善のためのユーザー調査、満足度調査の調整や、研修の準備等業務支援を担当。

※所属・職名などは取材時のものです。

公文書管理を「適切」かつ「効率的」に運営するサービス

―EASYの概要や、利用者視点をどのように捉えていたかを教えてください

山村 EASYは、行政文書を、法律に基づきデジタル化を通じて「適切」かつ「効率的」に運営していくためのサービスです。「適切」とは、行政文書を取り扱う上でのルール面とシステム面、両方を理解した上で、文書の改ざんを防ぐことや、履歴をきちんと残せる仕組みづくり、またそれぞれの文書のライフサイクルに沿った管理をすること。また、「効率的」とは、利用者が便利にストレスなくサービスを使えるような画面設計や利用体験を意味し、EASYの開発、運用、構築が担う一要素だと捉えています。

稼働率「99.9%」を目指しながら、利用者との接点を作る

―それぞれの役割や担当業務を教えてください

山村 私はEASYのあるべき運用の姿をイメージしながら、サービス全体の動きを見るようにしています。運用、開発、ガイドライン改正等への対応、予算の確保など、関わる要素は多岐にわたりますが、重要視しているのは365日、24時間、安定した稼働を維持すること。多くの職員の方が使うサービスなので止めてはいけません。サービスのKPIである 「稼働率99.9%」 を達成し、EASYを更に良い方向へ進めていくために、機能の拡充や運用の効率化など、プラスアルファの部分にも取り組んでいます。

榮井 私は、利用者の体験や、画面の操作性の改善を目的としたユーザー調査に当たって、各府省庁の利用者の方やデジタル庁内のサービスデザイン担当者、外部の開発事業者の方々との調整などを担当しています。併せてEASYの習熟に向けた研修の準備なども進めています。

高橋 自分の担当はシステムの運用保守です。例えば、連携している各システムからの質問や問合せに対応、調整すること。また、EASYの利用者から寄せられる様々な質問、要望に対して、主管課としてどのように回答するかを、公文書管理の諸制度を勘案しつつ、運用事業者とも連携しながら対応していくことなどが主な業務です。利用者である府省庁職員の方と接する機会が多い仕事だと思います。

各府省庁の間にある業務の流れの違いを理解し、吸収していく

―運用に当たって、配慮していることはありますか

山村 EASYは「公文書等の管理に関する法律」に則ったサービスなので、大きな意味では厳密なルールがあります。一方で、そのルールの範囲内であっても、各府省庁や部署によっては細かな仕事のやり方や流れが微妙に異なってくる部分もあります。だから、そこにある違いを理解・吸収していくことも大切です。各府省庁での意見収集やユーザーインタビューは、定期的に実施するようにしています。また、どんなに便利で使いやすい機能を作ったとしても、誰もが迷うことなく使えるということはなかなかないので、研修を行ったり、問合せに対する分かりやすい回答を用意したりすることも重要になってきます。

利用者との接点は、改善に向けた材料が得られる貴重な機会

―利用者との接点をどのように捉えていますか

榮井 私の場合は、満足度調査の結果を基に府省庁で公文書管理に従事している方にインタビューをお願いしています。普段、どのようにEASYを使っているのか、どこに不便さを感じているのか……自分では想像できていなかったお話を聴くことができる、貴重な機会になっています。

高橋 私は主にメールや電話による問合せに対応しています。「この操作はどうしたらいいのか?」といったご質問、「こうなってくれると嬉しい」といったご要望、中には、「ここはこうするべきではないのか」といったご意見を頂くこともあります。ときには厳しい内容もありますが、全ての利用者の声が、EASYを改善していくための大切な材料だと捉えて対応に当たっています。

重要なのは現場でのコミュニケーションを重ねていくこと

―サービスづくりで特に重要だと感じているポイントは何ですか

榮井 ユーザーインタビューとしていくつかの府省庁を訪問したことがあるのですが、直接お話を聴くと、普段言いたくても言えなかったご要望をもらえることもあるんです。

高橋 研修などの際、お問い合わせくださった職員の方と顔を合わせる機会があるときは、雑談レベルであってもこちらから積極的にコミュニケーションしていくようにしていますね。

山村 府省庁職員の方は、何かやりたいことがあって、それができない場合に問合せをします。「なぜできないのか?」、「できるようにしてほしい」といったご意見に対して、予算やスケジュールを鑑みると、全ての意見を実現することはできません。そのため、優先度を付けてご納得いただけるプロセスを作ることが重要になってきます。また、論理的な優先順位を整理する力だけでなく、自分が現場で感じたことをしっかり捉えて生かせる感覚も大切です。2人のように利用者と直接コミュニケーションを重ねていくことで、「利用者視点」に深く踏み込める現場感覚が養われていくのではないかと思っています。