「法令」×「デジタル」ハッカソンを開催しました

デジタル庁「法令」×「デジタル」 ハッカソン 2025年12月9日(火)から2026年3月10日(火)。画像の右側には2人の人物が座っており、1人がPCを操作し、もう1人がペンをもって机に向かうイラストが描かれている。

2025年12月9日(火)から2026年3月10日(火)までの間、「法令」×「デジタル」ハッカソン(以下、「本ハッカソン」といいます。)を開催しました。イベントのプログラム等、参加者の募集時点で公開されていた情報は「法令」×「デジタル」ハッカソンを開催しますをご覧ください。

目次

1. 概要

法制事務の効率化、より分かりやすい国民への法令データの提供、法令データを利活用した新たなビジネスの創出を目的として「法令」×「デジタル」ハッカソンを開催しました。
12月9日(火)のハッカソン初日は、「法令」×「デジタル」の取組についてデジタル庁から紹介を行い、デジタル庁の職員(行政官、弁護士やエンジニアの職員を含む。)と参加者がともに開発内容のアイディア出し・ブラッシュアップを行うワークショップが実施されました。
本ハッカソンでは、総勢112名の参加者が、約1カ月半の間に短期集中で開発を行い、20チームから作品が提出されました。そこから上位10チームがファイナリストとして選出され、3月10日(火)に発表をしました。

審査員4名とハッカソン参加者の集合写真。最前列に審査員4名が着席し、中央の審査員2名が「法令」×「デジタル」ハッカソンと記載されたボードを手に持っている。

審査員

  • 久野皓平 氏:厚生労働省年金局総務課企画係長
  • 児島幸良 氏:児島綜合法律事務所 代表弁護士(早稲田大学法科大学院客員教授)
  • 八木田樹 氏:(株)Legalscape 代表取締役社長・最高経営責任者
  • 米田憲市 氏:鹿児島大学司法政策教育研究センター長

受賞結果

受賞結果作品名チーム名詳細
最優秀賞Lawsy AlertsLawsy作品紹介
優秀賞審査要件モデル協創プラットフォームbSJ作品紹介
部門賞:法制事務効率化賞法令解釈支援エージェント(LawAgent)デジタルOhana作品紹介
部門賞:法令等データ提供賞条文くん実務家100パーセントチーム作品紹介
部門賞:法令等データ利活用賞復興コンパスDango作品紹介

ファイナリスト(受賞チームを除く)

作品名チーム名
Drone legislationヴィジョンラージモデル
PastNaviRe:Code
Hourei Explorerpyてょん3.0
ニュースでまなぶ!日本のルール27年入庁組
LawveUどん

2. イベントの詳細

【1日目】

  • 開催日:2025年12月9日(火)
  • 開催方法:対面会場・オンライン会場のハイブリッド形式

まず、デジタル庁から、「法令」×「デジタル」の取組が説明されました。
「法令」と「プログラム」は、ともにルールや手順を厳密に記述するという点で親和性があり、諸外国では、“Rules as Code”(RaC)と呼ばれる取組(法令を機械実行可能な形式(プログラム)で記述することで政策効果のシミュレーションや法制度のシステム実装等を容易にするもの)が研究されています。こうした背景も踏まえつつ、デジタル庁が取り組む、デジタル技術を活用した法制事務の効率化や、よりわかりやすい法令等データの提供等の内容について説明が行われました。
このほか、令和7年度の法制事務における生成AIの活用に関する技術検証事業をデジタル庁から受託するPolimill株式会社から、検証中の法制事務補助ツールに関する共有があったほか、デジタル庁が本ハッカソンの参加者向けに試行提供する、法令API・MCPの新機能についての説明が行われました。

前方に大きなモニターがあり、その隣にデジタル庁職員が立ち、参加者に向かって法令APIの説明をする様子。

その後、開発する作品のアイディア出しやブラッシュアップを行うワークショップが実施されました。
行政官、弁護士、システムエンジニア等、個々に様々なバックグラウンドを有するデジタル庁の職員が、各チームのテーブルを回りながら、参加者の開発アイディアについてディスカッションを行いました。

デジタル庁の職員が、ハッカソン参加者のテーブルに参加し、開発する作品のアイディアについて議論している様子。

法制執務の現場でのニーズや、参加者のアイディアの実現に向けた課題等、デジタル庁職員と参加者で活発に議論が行われ、多くのアイディアが生まれました。

ハッカソン会場の室内全体の様子。ハッカソンの参加者のテーブルでは、開発する作品のアイディア等について、各チームごとに話し合いが行われている。

【2日目】

  • 開催日: 2025年12月17日(水)
  • 開催方法:オンライン形式

デジタル庁職員等が、希望するチームとオンライン面談を実施し、参加者の開発中のアイディアに対する法制執務や弁護士業務の経験からのフィードバックや、技術的側面からのアドバイスを行いました。

【3日目】

  • 開催日:2026年3月10日(火)
  • 開催方法:対面会場・オンライン会場のハイブリッド形式

各チームが約1カ月半の開発期間を経て開発した作品について、審査員による予選審査を実施し、上位10チームが作品のプレゼンテーションを行いました。
プレゼンテーションには川崎デジタル大臣政務官も出席し、開始に先立ちファイナリストを激励するとともに、参加者が法令に向き合い、デジタル社会の形成に向けたアイディアを出し合ってくれたことを嬉しく思うこと等を述べました。

川崎デジタル大臣政務官がハッカソン参加者へ挨拶を行う様子

各チームが開発した作品についてプレゼンテーションを行い、発表後には、審査員である久野氏、児島氏、八木田氏、米田氏が、コメントや発表者との質疑応答を行いました。

ステージ上でハッカソン参加者がプレゼンテーションを行っている様子。ステージの後方には巨大なスクリーンがあり、作品の紹介スライドが映写されている。

表彰式には、松本デジタル大臣も出席しました。松本デジタル大臣は、冒頭の挨拶として、様々なバックボーンを持つ参加者が集ったことへ感謝するとともに、法令データの利便性向上に向けたデジタル庁の取組に、本ハッカソンで寄せられた優れたアイディアを活用したい旨、また、引き続きデジタル庁への支援をお願いしたいこと等を述べました。

松本デジタル大臣政務官がハッカソン参加者へ挨拶を行う様子

その後、最優秀賞、優秀賞、部門賞(法制事務効率化賞、法令等データ提供賞、法令等データ利活用賞)各1点ずつについて受賞結果が発表され、受賞理由について審査員からコメントが述べられました。

3. 作品紹介

作品についての留意事項

  • 参加者が開発した開発物、提出物等については、デジタル庁、審査員のいずれも、性能、品質等の保証を行うものではありません。
  • 本事業を通じて完成したサービスについて、デジタル庁が公式サービスとして公認、公開、頒布などを実施するものではありません。
  • 作品紹介文及び作品画像は参加チームから提出のあった作品説明資料から抜粋したものです。

受賞作品

最優秀賞

  • 作品名:Lawsy Alerts
  • チーム名:Lawsy

最優秀賞に選ばれた作品「Lawsy Alerts」の作品画面イメージ。日々改正される法令の情報が時系列順に並んでおり、その一つの「消費生活用製品安全法」を選択すると、改正内容の概要を、イラストを用いて図解したものが表示されている。
(作品の開発画面イメージ(チーム提出の作品説明資料より抜粋))

  • 作品の概要
    • 企業・行政で法令改正対応に関わる実務者のため、 法令改正を判断と行動に直結する情報に変換して日次で提供する法令改正インテリジェンス・エンジン。
  • 社会に対して生み出す価値
    • 法令改正情報が膨大かつ分散しており、全文確認に時間がかかるため、現場での理解・対応が遅れ、政策や制度が十分に機能しない。
    • 本作品により、改正の要点・背景・実務影響が整理され、関係者が短時間で理解し、適切な対応が可能となる。さらに、一次情報に必ず遡れる構造を採用することで、企業の法令対応コスト削減と、制度理解の向上が社会全体に波及する。
  • 新規性等
    • 本作品は、e-Gov法令等データを起点に、新旧条文の差分解析から、立法背景・審議資料・ガイドライン等を横断的に統合し、判断と行動ができる情報単位まで自動生成する点で革新的な作品。さらに、OSSとして公開することで、透明性と検証可能性を担保。
    • 法令改正の専門知識に基づき設計した法情報取得・構造化ロジックと生成AI技術を利用し、法令API等を法令改正の検知、新旧条文の差分解析、改正タイプ判定や、レポート及び視覚的な画像の生成の機能に活用。
  • 審査員コメント
    • リーガルテックの本命に正面から取り組むもので、高い完成度。汎用LLMとの差別化、行政機関が公式に提供する資料との整合性の確保を図っていくことで、さらなる完成度の向上に期待。
    • 国民誰もが関係するにも関わらず、理解が難しい法令改正の情報を、デジタル技術により要約し、UI・UXでわかりやすく見せることで、真にユーザーが使いやすいサービスになっている。

優秀賞

  • 作品名:審査要件モデル協創プラットフォーム
  • チーム名: bSJ

優秀賞に選ばれた作品「審査要件モデル協創プラットフォーム」の作品画面イメージ。左側に建築基準法の条項が1条ずつリストになり、その1つが選択されている。右上部に条文が、右下部に、条文に対応した審査のフローチャートが表示されている。

(作品の開発画面イメージ(チーム提出の作品説明資料より抜粋))

  • 作品の概要
    • 審査機関・関係団体・コンサル/ベンダ・審査システムを開発する事業者のため、法制DXで整備された法令データ(Rules as Code)を、申請審査で実装可能な仕様(JSON)へ変換する。審査要件モデル(適合審査機能構造、適合判定フロー)を自動生成し、関係者の協創を可能にするプラットフォームを提供する作品。
  • 社会に対して生み出す価値
    • 現在、申請審査DXでは審査プログラム開発に必要な要件定義・仕様策定が属人化し、分野横断的な再利用や民間実装が進みにくいという課題が存在。
    • 本作品により、法令データを基盤とした審査要件の整理・共有が可能となり、仕様策定を加速する。あわせて、民間による審査支援サービスや設計AIエージェント等の創出が可能となる。
  • 新規性等
    • 本作品は、Rules as Codeを「実装できる仕様(JSON)」として自動生成し、協創プラットフォーム上で合意形成・レビュー・版管理までを一体的に扱える点や、生成された仕様を民間サービスに直接活用できるようにする点で革新的な作品。
  • 審査員コメント
    • 建設分野で、特に行政側での必要性が高い内容。未完成の部分を、役所・民間のエネルギーも取り込みながらプラットフォームとして成長させていく、道筋が組み込まれている点が好印象。
    • 審査を伴うあらゆる分野で活用可能な、横展開の可能性が非常に広い作品。

部門賞

法制事務効率化賞
  • 作品名:法令解釈支援エージェント(LawAgent)
  • チーム名: デジタルOhana

法制事務効率化賞に選ばれた作品「法令解釈支援エージェント(LawAgent)」の作品画面イメージ。上部に「使い慣れたSlackで法令解釈回答業務を完結」とメッセージがあり、「①LawAgentにメンションで問合せ」「②法令・Web・法令解釈メモ・過去回答から回答を行政文脈(三段論法)で生成」、「③推敲・修正・レビューもSlack上で完結」という3つの手順が、Slackでのやりとりのイメージ画像とともに紹介されている。
(作品の開発画面イメージ(チーム提出の作品説明資料より抜粋) )

  • 作品の概要
    • 法令解釈の問合せ対応する中央省庁の若手職員を支援する作品。Slackから、法令・Web・法令解釈メモ・過去回答を横断的にリサーチし、三段論法に基づいた高精度な回答案を自動生成する。
  • 社会に対して生み出す価値
    • 現在、法令解釈に関する照会対応業務においては、正しく一貫性のある回答責任に対して、作業はアナログで高負荷という課題が存在する。
    • 本作品により、本来のミッションである「政策立案」に情熱を注げる環境を創出。
    • 加えて、属人化した「組織の知恵」を自動ナレッジ化。持続可能な行政体制を構築し、作業の生産性を大きく向上させる。
  • 新規性等
    • Slack からの入力内容をLangGraphを使って解釈・会話し、柔軟に回答対応できるAIエージェントを構築。
    • 法令リサーチツール「Lawsy」にMashupする形で「法令解釈メモ」と「過去回答ナレッジ」を融合。
    • Slack上でLawAgentと会話するだけなので、習熟コストが不要。
  • 審査員コメント
    • ナレッジが蓄積されることは、多忙な若手職員の負担軽減の意味で効果が大きい。
    • 時代に合わせた制度の変更を検討する上でも、過去の知識は前提となるので、一歩先の検討をするためにも必要な知識がすぐに入手できることには意味がある。
法令等データ提供賞
  • 作品名:条文くん
  • チーム名:実務家100パーセントチーム

法令等データ提供賞に選ばれた作品「条文くん」の作品画面イメージ。チャットツール上で、利用者が剰余金の配当について質問し、システムが法令に基づいた回答を根拠となる法令の条文を示しながら行っている。
(作品の開発画面イメージ(チーム提出の作品説明資料より抜粋))

  • 作品の概要
    • 法律を取り扱う実務家(司法書士、弁護士、官公庁職員、企業法務等)のため、自然言語による高精度な法令検索とAI解説を提供する作品。
    • 日本の現行法令約9,000件・約50万条文を対象に、事案を自然文で入力するだけで関連条文を瞬時に特定。
  • 社会に対して生み出す価値
    • 膨大な法令情報から適切な条文を抽出・処理するための効率的な手段がなく、実務時間の約8割が調査に費やされるという課題が存在。
    • また、既存サービスやLLMでは条文検索精度が低くハルシネーションが課題。
    • 本作品により、「探す」から「導かれる」へ。複数法令を横断して最適な一次情報を高精度で抽出・提示し、実務家が判断と創造に集中できる環境を構築。
  • 新規性等
    • 条項単位のベクトル検索でTop20を抽出し、その結果を「Claude Sonnet 4.5」を用いて実務的観点から5件程度に再選定・検証する多段階処理により高精度化を実現。
    • 法令APIの参照情報を活用し、関連条文を自動表示する機能を実装。
  • 審査員コメント
    • 自然文検索で必要な情報が入手できる利便性がありながら、課題となるハルシネーションの回避に工夫がなされている点が素晴らしい。
    • 法令からさらに範囲を広げ、様々なタイプの情報を扱う場合に、受け手側にどうわかりやすく表示するという点が重要になる。
法令等データ利活用賞
  • 作品名:復興コンパス
  • チーム名:Dango

作品の開発画面イメージ
法令等データ利活用賞に選ばれた作品「復興コンパス」の作品画面イメージ。システムの管理者画面が表示され、市民の被災状況に関する選択肢を入力したとき、どのような支援制度をシステムが提案するか、シミュレーションしている様子。

(作品の開発画面イメージ(チーム提出の作品説明資料より抜粋))

  • 作品の概要
    • 被災者および自治体職員のため、分散した災害支援制度を横断的に整理し、個々の状況に応じた支援制度と取るべき行動を直感的に提示する作品。
  • 社会に対して生み出す価値
    • 災害時において支援制度が法令・通知・運用に分散し、被災者・職員ともに必要な情報へ迅速に辿り着けないという課題が存在。
    • 本作品により、最新の法令に基づいた正確な支援情報を、迷わず・漏れなく市民へ届けることが可能となる。
  • 新規性等
    • 本作品は、日本法令標準XMLを基盤とした条文の構造化解析と、人の確認を前提としたAI活用を組み合わせ、さらにゲーム理論によって情報を最適化する点で革新的な作品。
    • 法令APIおよび法令データを利用し、災害関連法令の抽出・整理・市民向けガイド生成において活用。
  • 審査員コメント
    • ユーザーストーリーがしっかりしており、被災者が抱える課題をベースに情報収集、アクションにつなげられる点は使いやすい。
    • 自然言語の中でもかなり構造的に書かれた法令を、決定論的に抽出するアプローチが素晴らしい。

その他の作品

作品一覧(PDF/6,116KB)からご覧ください。
※作品概要のホームページ掲載の許諾をいただいたチームのもののみ掲載しています