【メッセージ】 統括官が語る、デジタル庁で推進する利用者視点
官民の知見を結集し、行政DXを前進させる
冨安 泰一郎 デジタル庁 戦略・組織グループ長(所属・職名などは2025年4月1日現在のものです。以下同じ。)
デジタル庁は、コロナ禍において我が国のDXの遅れが叫ばれる中で、各省の協力の下に誕生しました。組織としてミッション・ビジョン・バリューを掲げ、官民の出身を問わず、職員一丸となって尽力していただいています。新しい組織なので、他省庁とは異なり拠って立つ前例が少ない中、各自が主体性を持って能力を発揮し、現在のデジタル庁が成り立っています。各省庁や自治体の役に立つデジタル庁を目指していくために、戦略・組織グループは庁内の各グループの役に立つよう、庁内職員の活動を支援し、組織運営や文化形成を推進しています。デジタル庁のビジョンである、「Government as a Service」の精神に則って、これからも一緒に取り組んでいきましょう。
重要なのは、本当に必要な仕組みを考え抜くこと
楠 正憲 デジタル庁 デジタル社会共通機能グループ長
行政サービスの基盤システムを考える上では、企画検討段階からあらゆる利用者のことを考慮に入れ、全体の最適化を図る必要があります。最終利用者である住民の便益向上を考えるのはもちろんですが、行政職員など、その他ステークホルダーの負担を増やさないことを意識した仕組みづくりが必要です。各自治体の事情を深く把握せずに、良かれと思って基盤システムを一方的に押し付けてしまうと、かえって費用や職員の手間を増やすことにもなりかねません。真に価値あるサービスを提供するためには、利用者の視点に立って考えることが重要です。システムやサービスが利用者の要求を捉えているかを振り返り、必要性を問い直しましょう。
全ての人に届く行政。鍵は「分かりやすさ」
村上 敬亮 デジタル庁 国民向けサービスグループ長
マイナンバーカードを活用したサービスは様々な分野に広がりつつあります。確定申告、子育て、介護、引越し手続などのオンライン申請。各種証明書の交付や保険証、免許証としての活用。最近では、銀行や携帯電話のオンライン契約、マッチングアプリでの本人確認などにも使われるようになりました。こうしたサービスを、デジタルの得意・不得意に関係なく、かつ、それぞれの制度や仕組みを分かりやすく解きほぐしながら、お一人おひとりにお届けしなくてはなりません。その際、行政がその正確さにこだわれば分かりにくくなるし、簡単にしすぎればお伝えし損ねることが出てしまう。利用者視点のサービスづくりは本当に難しいですが、頑張っていきましょう。
サービス改善のヒントは、現場にある
布施田 英生 デジタル庁 省庁業務サービスグループ長
各省庁の職員向けサービスにおいて、最も重要な課題はシステムを止めずに動かし続けることです。そして、その次に重要なのが、利用者である職員の業務負担に影響のある「使いやすさ」です。そのために、省庁業務サービスグループでは、現場主義でのサービスづくりを意識しながら進めています。具体的には、利用者の状況をよく把握するために、各省庁の現場を見て回り、プロトタイプを触っていただきながら、利用者と常に意見交換を行っています。また、サービスの運用開始後は、利用状況をモニタリングし、素早い改善につなげています。今後も現場から粘り強く利用者のニーズを拾い続けることで、スピード感を伴った継続的なサービス改善につなげていきましょう。