【ガバメントAI 源内】エージェントチャット 初級編

目次

はじめに:エージェントチャット 初級編―日常業務での活用方法―

利用者がPCでエージェントチャットを利用している場面

「【ガバメントAI 源内】エージェントチャット 導入編」では基本的な操作をご紹介しました。初級編では、実際の業務でどのように使えるのかを、具体的な事例で見ていきます。

エージェントチャットの基本的な使い方は、どの業務でも同じです。マイドライブに資料やデータを置いてAIに指示するだけで、読み込み・整理・ファイル出力といった一連の作業をまとめて実行できます。さらに、作業手順を「スキル」として保存しておけば、同じ作業を繰り返し実行することもできます。

この記事では、案内チラシの文案作成からアンケート結果の集計・分析まで、行政の日常業務でよくある4つの事例を取り上げます。時間のかかる定型作業をAIエージェントに任せれば、職員は判断や調整など、人間にしかできない仕事に集中できます。ぜひ、ご自身の業務に置き換えながら読み進めてみてください。

事例① 住民向け案内チラシ・パンフレット文案作成

1つ目の事例は、住民向けの案内チラシの文案作成です。

行政のお知らせは、分かりやすく、かつ正確に書く必要があります。表現が硬すぎると読んでもらえません。一方で、砕けすぎると行政文書としての正確さが損なわれます。そのため、両者のバランスが重要です。

【操作の流れ】

エージェントチャットを開き、入力欄に「住民向けスマートフォン講座の案内チラシをWordファイルで作って。案内チラシは、マイドライブに保存した企画書を参照して作って。」と入力します。

エージェントチャットに、住民向けスマートフォン講座の案内チラシ作成を依頼する指示を入力している画面

日時・場所・対象者・持ち物など、すでに決まっている情報はプロンプトで指示するか、ファイルで渡せば十分です。マイドライブ内のファイルに参照させるときは、チェックを入れて選択します。

マイドライブ内の企画書ファイルを選択している画面。

依頼を送信すると、AIエージェントが処理を進めている様子が画面に表示されます。処理が完了すると、見出し・本文・持ち物案内などで構成されたチラシ文案が、Wordファイルとしてマイドライブに保存されます。

チラシ文案のWordファイルがマイドライブに保存されたことを示す画面。

ファイルを開くと、見出しは一目で内容が伝わる表現になっており、本文は短い段落に分けて読みやすく整理されています。内容を修正したい場合は、そのままチャットで指示を続けます。「もう少し分かりやすい言い回しにして」と伝えると、AIエージェントが修正版をマイドライブに保存します。

次の画面のように、修正版では情報が整理され、各項目に説明が補われるなど、より分かりやすい表現になっています。

AIエージェントが作成した案内チラシの文案。見出しや開催情報が書かれている画面。

【注意点】

文体の調整に集中していると、事実確認がおろそかになりがちです。行事の日時や会場、対象者といった事実情報は、生成後も文体の調整後も、必ず一字一句確認してください。特に修正を複数回繰り返した場合は、最初に入力した情報が変わっていないか、最終版を通して読み直すことを忘れないでください。

事例② 想定問答から幹部説明用1ページ要約の作成

2つ目の事例は、想定問答から幹部説明用の1ページ資料を作る例です。

想定問答は詳細に作り込まれている一方、幹部への説明時間は限られています。全文を読んでもらうのは難しいため、短時間で要点が伝わる資料に作り替える作業が別に発生します。

【操作の流れ】

まず、作成済みの想定問答集をマイドライブにアップロードします。今回使うのは、質問と回答が全6ページにわたって並ぶ文書です。

マイドライブにアップロードした想定問答集の文書ファイルを示した画面。

想定問答自体を書き直す必要はなく、手元の資料をそのまま使えます。あとはエージェントチャットに「この想定問答をA4・1ページに厳密に収まるように要約して。重要な質問を上に並べて、各項目の最後に元の問番号も添えて。」と依頼するだけです。

想定問答集をA4・1ページに要約するよう、エージェントチャットへ依頼している画面。

依頼を送信すると、AIエージェントが処理を進めている様子が画面に表示されます。

処理が完了すると、想定問答の要点を抜き出した1ページの要約文書がマイドライブに保存されます。幹部が短時間で読める構成に整理されており、重要度の高い質問が上に来るよう並べ替えられています。各項目に元の問番号が添えられている点にも注目してください。

AIエージェントが作成した1ページの要約資料。重要な質問と回答の要点が整理されている画面。

この資料を見た幹部から追加の質問が出た場合も、問番号から元の想定問答集の該当箇所をすぐにたどれます。詳細な資料をそのまま渡すのではなく、読み手に合わせた資料へ作り替えられる点も特長です。

【注意点】

重要度の高い質問が上に来るよう並べ替えられている点は便利ですが、重要度の判定はあくまで参考です。実際の説明順序や口頭で補足する内容は、担当者の判断で最終決定してください。

また、生成された1ページ資料と元の想定問答集の内容にずれがないか、決裁前に必ず両方を見比べてください。

事例③ 審議会・委員会の開催要綱の初稿作成

3つ目の事例は、審議会・委員会の開催要綱の作成です。

要綱には決まった構成要素があります。開催目的、委員構成、招集方法といった項目は、どの要綱でもほぼ共通しています。そのため、ゼロから書くより、過去の要綱を参考にするほうが効率的です。

【操作の流れ】

まず、参考にする審議会・委員会の開催要綱をマイドライブにアップロードします。今回は2種類用意しました。

要綱作成の参考資料として、複数の開催要綱ファイルを選択している画面。

エージェントチャットに「マイドライブにアップロードした2つの要綱の構成をもとに、地域データ連携基盤検討委員会の設置要綱を作って」と依頼し、続けて新しい委員会の名称、設置目的、主な検討事項、想定される委員構成を入力します。

新しい委員会の概要をあわせて伝えることで、より実態に沿った初稿になります。

既存の要綱を参考に、新たな委員会の設置要綱作成を依頼している画面。

依頼を送信すると、AIエージェントが処理を進めている様子が画面に表示されます。処理が完了すると、設置目的、委員構成、会議の招集方法など、要綱に必要な項目を整理した初稿がマイドライブに保存されます。

AIエージェントが作成した委員会設置要綱の初稿。設置目的や委員構成などがまとめられている画面。

初稿で委員の任期や解任に関する条項も、参考要綱の書き方を踏襲しているか、確認してください。

【追加の指示】

生成された初稿をさらに充実させたい場合は、チャットで追加の指示を出すこともできます。

今回は、より専門的な内容を検討する作業部会の設置規定を追加するよう指示しました。

作業部会の設置規定を追加するよう、エージェントチャットへ指示している画面。

その結果、作業部会の設置規定が独立した条項として追加され、指示通り条番号も振り直されました。要綱のように、一度定めると見直す機会が少ない文書は、初稿の段階でこうしたやりとりを重ねることで、完成度の高い要綱に仕上げることができます。

【注意点】

型のある文書ほど、エージェントチャットでの初稿作成が効果的です。ただし、文書の性質や案件によっては、法令や訓令との整合性の確認が必要になります。生成した文書はあくまで初稿として活用し、決裁前に必ずご自身で精査してください。手元に既存のひな形があれば、まずはそれをマイドライブに置いて試してみてください。

事例④ 利用者アンケートの設問別集計・傾向分析

4つ目の事例は、利用者アンケートの集計です。

イベント後やサービス提供後に実施する満足度調査は、回答が増えるほど集計に手間がかかります。設問ごとに件数を数え、自由記述の傾向をまとめ、結果を表にして報告するという一連の作業は、想像以上に時間がかかります。

【操作の流れ】

今回使うのは、アンケートシステムから出力した回答データのCSVファイルです。回答ID・各設問への回答・回答日時が、1件1行で記録されており、データは1,000件です。

アンケート回答データを記録したCSVファイル。設問への回答内容が一覧表示されている画面。

このCSVファイルをマイドライブにアップロードし、「設問別に件数を集計して傾向を分析し、Excelにまとめて」と依頼します。数十件でも1,000件以上でも、規模に関係なく同じ手順で処理できます。

依頼を送信すると、AIエージェントが処理を進めている様子が画面に表示されます。処理が完了すると、1,000件の回答を設問ごとに自動で集計し、満足度の分布や件数の多い改善要望、自由記述の傾向をまとめたExcelファイルがマイドライブに保存されます。集計表は、報告資料の素材として使いやすい形に整形されています。

AIエージェントが作成したアンケート集計結果。設問ごとの回答件数がまとめられている画面。

【注意点】

ただし、AIによる分類や集計には誤りが含まれる場合があります。活用前に元データと照らし合わせて、内容を確認してください。

アンケート結果の傾向分析画面。設問ごとの系統件数や割合がグラフと共に整理されている画面。

【スキルとして保存・再利用】

この手順は「スキル」として保存し、再利用できます。
エージェントチャットで一連の作業が終わった後、「今の作業手順をスキルとして保存しておいて」と伝えると、AIエージェントがその手順をまとめたマークダウン形式のファイルを作成し、マイドライブの 「skills」 フォルダに書き出します。

作業手順をスキルとして保存したファイル。処理手順や実行内容が記録されている。

このファイルには、どのファイルをどのように処理したか、どのような観点で確認・整理したかといった作業の段取りが記録されています。

次に同じ種類の作業をするときは、このスキルを使って依頼するだけで、前回と同じ手順で処理が進みます。手順を一から説明し直す必要はなく、担当者が変わったときの引き継ぎにも役立ちます。

アンケート集計は、データの件数が多いほどエージェントチャットの効果を実感しやすい作業です。これまで手作業の集計・分析に費やしていた時間を、集計結果から示唆を読み解いたり、今後の政策を検討したりといった、より付加価値の高い業務に充てられます。

まとめ

今回は4つの事例を紹介しました。チラシ文案のように新しく文章を作る作業から、データを集計・分析する作業まで、マイドライブに資料を置いて作業を指示するという基本の流れは変わりません。

普段の業務で「時間がかかる」と感じている作業こそ、エージェントチャットが力を発揮します。身近な作業から試してみてください。
より応用的な使い方や利用に当たっての注意点については、「エージェントチャット 中級編」で紹介します。あわせてご覧ください。

エージェントチャットの導入編、中級編は以下のリンクをご覧ください。