データの定義:水道事業等の経営状況に関するダッシュボード
目次
全般
このダッシュボードで表示する数値は「地方公営企業決算状況調査(総務省)」および「上下水道施設の耐震化状況に関する緊急点検結果(国土交通省)」より算出したものです。
なお、本ダッシュボードで取り扱う簡易水道事業者は法適用事業者としておりますが、「上下水道施設の耐震化状況に関する緊急点検結果(国土交通省)」は簡易水道事業者全体を対象とした数値となっており、取り扱う事業者の範囲が異なっておりますのでご留意ください。
また、一部用語については日本水道協会発行「水道用語辞典(第2版)」を参考に用語の定義を記載しています。
用語の定義
導水管
- 取水施設を経た水を浄水場まで導く施設
送水管
- 浄水場から配水池までに浄水を送る施設
浄水施設
- 水源から送られた原水を飲用に適するように処理する施設
取水施設
- 原水を取り入れるための施設
1. 基本情報
1.1 水道事業等の情報
1.1.1 水道事業等の数
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の事業者を集計したもの。
1.1.2 給水人口
- 給水区域内に居住し、水道により給水を受けている人口。
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「01 施設及び業務概況に関する調」の現在給水人口(人)から参照したもの。
1.1.3 給水面積
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「30 施設及び業務概況に関する調(付表)」の給水区域面積から参照したもの。
1.1.4 有収水量
- 料金徴収の対象となった水量及び他会計等から収入のあった水量。
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「30 施設及び業務概況に関する調(付表)」の有収水量から参照したもの。
1.1.5 管路延長
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「01 施設及び業務概況に関する調」の導水管延長、送水管延長、配水管延長を合計したもの
1.1.6 浄水場の施設数
- 浄水処理(水道水としての水質を得るため水を浄化すること)に必要な設備がある施設。
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「01 施設及び業務概況に関する調」の浄水施設数から参照したもの。
1.1.7 配水池の施設数
- 給水区域の需要量に応じて適切な配水を行うために、浄水を一時貯える池。
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「01 施設及び業務概況に関する調」の配水池設置数から参照したもの。
1.1.8 職員数
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「01 施設及び業務概況に関する調」の職員数から参照したもの。
2. 財務の状況
2.1 収益・費用
2.1.1 経常収支比率
法適用企業に用いる経常収支比率は、当該年度において、給水収益や一般会計からの繰入金等の 収益で、維持管理費や支払利息等の費用をどの程度賄えているかを表す指標である。当該指標は、単年度の収支が黒字であることを示す100%以上となっていることが必要である。数値が100%未満の場合、単年度の収支が赤字であることを示しているため、経営改善に向けた取組が必要である。
- 経営収支比率=((営業収益+営業外収益)/(営業費用+営業外費用))×100
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「20 損益計算書」の数値から計算したもの。
2.1.2 料金回収率
給水に係る費用が、どの程度給水収益で賄えているかを表した指標であり、料金水準等を評価することが可能である。当該指標は、供給単価と給水原価との関係を見るものであり、料金回収率が100%を下回っている場合、給水に係る費用が給水収益以外の収入で賄われていることを意味する。数値が低く、繰出基準に定める事由以外の繰出金によって収入不足を補塡しているような事業体にあっては、適切な料金収入の確保が求められる。
- 料金回収率=(供給単価/給水原価)×100
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「20 損益計算書」および「30 施設及び業務概況に関する調(付表)」の数値から計算したもの。
2.1.3 供給単価
有収水量1㎥当たりについて、どれだけの収益を得ているかを表す指標である。(水道用語辞典参照)
- 供給単価=給水収益/年間総有収水量
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「20 損益計算書」および「30 施設及び業務概況に関する調(付表)」から計算した数値。
2.1.4 給水原価
有収水量1㎥当たりについて、どれだけの費用がかかっているかを表す指標である。
- 給水原価=(経常費用-(受託工事費+材料及び不用品売却原価+附帯事業費-長期前受金戻入))/有収水量
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「21 費用構成表」および「30 施設及び業務概況に関する調(付表)」の数値から計算したもの。
2.1.5 受水費
他の地方公共団体などから供給を受ける原水、水道用水などの受水に要する費用である。
- 受水費=(受水費/費用合計)×100
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「21 費用構成表」から計算したもの。
2.1.6 薬品費
原水(浄水処理する前の水)の浄水処理、浄水の滅菌などに要する薬品の費用である。
- 薬品費=(薬品費/費用合計)×100
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「21 費用構成表」から計算したもの。
2.1.7 減価償却費
固定資産の減価を費用として、その利用各年度に合理的かつ計画的に負担させる会計上の処理または手続きによって、特定の年度の費用とされた固定資産の減価額。
- 減価償却費=(減価償却費/費用合計)×100
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「21 費用構成表」から計算したもの。
2.1.8 修繕費
有形固定資産、たな卸資産などの維持修繕に要する費用である。
- 修繕費=(修繕費/費用合計)×100
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「21 費用構成表」から計算したもの。
2.1.9 人件費
職員等に対し、勤労の対価、報酬として支払われる一切の経費。(地方財政小辞典参照)
- 人件費=(人件費/費用合計)×100
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「21 費用構成表」から計算したもの。
2.1.10 支払利息
企業債、一時借入金、リース債務等の支払利息、償却原価法により計上される利息相当額。
- 支払利息費=(支払利息費/費用合計)×100
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「21 費用構成表」から計算したもの。
2.1.11 動力費
機械装置などの運転に必要な電力料及び燃料費など
- 動力費=(動力費/費用合計)×100
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「21 費用構成表」から計算したもの。
2.1.12 委託費
地方公共団体がその権限に属する事務、事業等を直接実施せず、他の機関又は特定の者に委託して行わせる場合にその反対給付として支払われる経費。(地方財政小辞典参照)
- 委託費=(委託費/費用合計)×100
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「21 費用構成表」から計算したもの。
2.2 資産・負債
2.2.1 流動比率
短期的な債務に対する支払能力を表す指標である。当該指標は、1年以内に支払うべき債務に対して支払うことができる現金等がある状況を示す100%以上であることが必要である。一般的に100%を下回るということは、1年以内に現金化できる資産で、1年以内に支払わなければならない負債を賄えておらず、支払能力を高めるための経営改善を図っていく必要がある。
- 流動比率=(流動資産/流動負債)×100
2.2.2 累積欠損金比率
営業収益に対する累積欠損金(営業活動により生じた損失で、前年度からの繰越利益剰余金等でも補塡することができず、複数年度にわたって累積した損失のこと)の状況を表す指標である。当該指標は、累積欠損金が発生していないことを示す0%であることが求められる。累積欠損金を有している場合は、経営の健全性に課題があるといえる。経年の状況も踏まえながら0%となるよう経営改善を図っていく必要がある。
- 累積欠損金比率=(当年度未処理欠損金/(営業収益−受託工事収益))×100
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「20 損益計算書」および「22 貸借対照表」から計算したもの。
2.2.3 企業債残高対給水収益比率
給水収益に対する企業債残高の割合であり、企業債残高の規模を表す指標である。
- 企業債残高対給水収益率=(企業債現在高合計/給水収益)×100
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「22 貸借対照表」から計算したもの。
2.2.4 自己資本構成比率
財務状態の長期的な安全性の見方として、その事業の資本構成がどのようになっているかが重要である。自己資本構成比率は総資本(負債及び資本)に占める資本金等の割合であり、水道事業は施設の建設費の大部分を企業債によって調達していることから、自己資本構成比率は低くなる傾向にあるが、事業経営の安定化を図るためには、資本金等の造成が必要である。また、資本金等は、負債と異なり原則として返済する必要のない資本であり、支払利息が発生しないことから、資本金等による建設投資を行う方が資本費を抑える結果となる。
- 自己資本構成比率=((資本金+剰余金+評価差額等+繰延収益)/負債・資本合計)×100
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「22 貸借対照表」から計算したもの。
3. 施設の状況
3.1 老朽化
3.1.1 管路経年化率
法定耐用年数を超えた管路延長の割合を表す指標で、管路の老朽化度合を示している。一般的に、数値が高い場合は、法定耐用年数を経過した管路を多く保有しており、管路の更新等の必要性を推測することができる。
- 管路経年化率=(管路延長のうち法定耐用年数を経過した管路延長(導水管+送水管+配水管)/管路延長(導水管+送水管+配水管))×100
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「01 施設及び業務概況に関する調」から計算したもの。
3.1.2 管路更新率
当該年度に更新した管路延長の割合を表す指標で、管路の更新ペースや状況を把握できる。
- 管路更新率=(当該年度に更新した管路延長(導水管+送水管+配水管)/管路延長(導水管+送水管+配水管))×100)
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「01 施設及び業務概況に関する調」から計算したもの。
3.1.3 有形固定資産減価償却率
有形固定資産のうち、償却対象資産の減価償却がどの程度進んでいるかを表す指標で、資産の老朽化度合を示している。一般的に、数値が高いほど、法定耐用年数に近い資産が多いことを示しており、将来の施設の更新等の必要性を推測することができる。
- 有形固定資産減価償却率=(有形固定資産減価償却累計額/有形固定資産のうち償却対象資産の帳簿原価)×100)
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「22 貸借対照表」から計算したもの。
3.2 耐震化
3.2.1 取水施設の耐震化率
- 対象全取水施設のうち、耐震対策の施された取水施設能力(㎥/日)÷対象全取水施設能力(㎥/日)
- 上下水道施設の耐震化状況に関する緊急点検結果(国土交通省)より参照したもの。
3.2.2 浄水施設の耐震化率
- 対象全浄水施設のうち、耐震対策の施された浄水施設能力(㎥/日)÷対象全浄水施設能力(㎥/日)
- 上下水道施設の耐震化状況に関する緊急点検結果(国土交通省)より参照したもの。
3.2.3 配水池の耐震化率
- 対象全配水池のうち、耐震対策の施された配水池有効容量(㎥)÷対象全配水池有効容量(㎥)
- 上下水道施設の耐震化状況に関する緊急点検結果(国土交通省)より参照したもの。
3.2.4 導・送水管の耐震適合率
- 対象全導・送水管のうち、耐震適合性のある延長(㎞)÷対象全導・送水管の延長(㎞)
※耐震適合率とは、基幹管路(導水管・送水管・配水本管)のうち、「耐震適合性のある管」の占める割合。
※「耐震適合性のある管」とは、耐震管(地震の際でも継ぎ目の接合部分が離脱しない構造となっている管)及び耐震管ではないが管路が布設された地盤の性状を勘案すれば耐震性があると評価できる管。 - 上下水道施設の耐震化状況に関する緊急点検結果(国土交通省)より参照したもの。
3.3 事業効率
3.3.1 有収率
施設の稼動が収益につながっているかを判断する指標である。当該指標は、100%に近ければ近いほど施設の稼働状況が収益に反映されていると言える。数値が低い場合は、水道施設や給水装置を通して給水される水量が収益に結びついていないため、漏水やメーター不感等といった原因を特定し、その対策を講じる必要がある。
- 有収率=(年間総有収水量/年間総配水量)×100
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「01 施設及び業務概況に関する調」から計算したもの。
3.3.2 施設利用率
一日配水能力に対する一日平均配水量の割合であり、施設の利用状況や適正規模を判断する指標である。
- 施設利用率=(一日平均配水量/一日配水能力)×100
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「01 施設及び業務概況に関する調」から計算したもの。
4. 家庭用水道料金の年次推移ページ
4.1 家庭用料金
本ダッシュボードで表示している料金は家庭用料金1か月20㎥あたり料金(口径13mmおよび20mm)の消費税分を割り戻しした数値としている。(税抜き表示)
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「01 施設及び業務概況に関する調」を基に計算したもの。
4.2 変動額
- ダッシュボード上で選択された終了年度の家庭用料金から開始年度の家庭用料金を引いたもの。
- 変動額=家庭用料金(設定終了年度)-家庭用料金(設定開始年度)
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「01 施設及び業務概況に関する調」を基に計算したもの。
4.3 変動率
- ダッシュボード上で選択された終了年度と開始年度の家庭用料金から計算したもの。
- 変動率=(家庭用料金(設定終了年度)-家庭用料金(設定開始年度))/家庭用料金(設定開始年度)
- 地方公営企業決算状況調査(総務省)の「01 施設及び業務概況に関する調」から計算したもの
5. 類似団体の比較ページ
5.1 類団区分
- 地方公営企業決算(総務省) の経営比較分析で設定される区分
- 事業区分と現在給水人口規模によって決定される