モビリティワーキンググループ(第9回)
- 最終更新日:
概要
- 日時:令和7年(2025年)3月27日(木)13時30分から15時30分まで
- 場所:オンライン
- 議事
- 開会
- 議事
- モビリティ・ロードマップ 2025 の取りまとめの方向性について(案)
- 各施策の取組状況、及び、今後の取組
- モビリティ・ロードマップ 2025 骨子(案)
- 意見交換
- その他
- 今後のスケジュールについて
- モビリティ・ロードマップ 2025 の取りまとめの方向性について(案)
- 閉会
資料
- 議事次第(PDF/140KB)
- 資料1:構成員名簿(PDF/143KB)
- 資料2:自動運転の社会実装に向けた施策の取組状況、及び、今後の取組内容(PDF/12,162KB)
- 資料3:モビリティ・ロードマップ2025 骨子(案)、及び今後のスケジュール(PDF/855KB)
- 資料4:モビリティ・ロードマップ2025 構成イメージ(PDF/246KB)
- 第9回モビリティワーキンググループ出席者一覧(PDF/242KB)
- 議事録(PDF/550KB)
議事録
麻山参事官: 定刻を過ぎましたので只今から「第9回モビリティワーキンググループ」の第9回会合を開催いたします。本日はお忙しいところ、ワーキンググループにご出席ありがとうございます。本日司会を務めます事務局の麻山でございます。よろしくお願いいたします。ワーキンググループの開催にあたり森主査よりご挨拶をいただきます。森主査、よろしくお願いいたします。
森主査: お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。第9回モビリティワーキンググループを開催させていただきます。これまでの議論の中では、2027年度あたりから始まるであろう都市部での自動運転、いわゆるロボットタクシーと、それに対して交通空白地帯といわれる地方部で自動運転を試み、組織を越えて一体化して取組を行うことで、ある一定レベルで交通空白地帯における交通確保を進める取組について議論を進めてきました。本日もその内容をさらに深め、構成員の皆様に来年度以降どのような対応をしていただけるかもご紹介いただきます。事務方からは「モビリティ・ロードマップ2025」の骨子案を提案させていただきます。2027年のロボットタクシー実現までの時間があまり残されていない中で、皆様にはそれぞれの得意分野で、枠組みを超えてどのように連携・協力していただけるかを中心に議論を進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願い致します。それでは、事務局の方から議事を進めていただきます。
麻山参事官: ありがとうございました。本日の会議はオンライン開催となります。構成員の皆様におかれましては、会議中は常時カメラオンで、発言者はマイクミュートを解除してご発言ください。他の方がご発言されている際には、マイクをミュートにしていただけますようお願いします。また、傍聴者の方はカメラ、マイクともオフにしていただきますようお願いします。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。事前にお送りさせていただいた議事次第に記載の通り、議事次第、資料1から4、出席者一覧となります。不足がございましたら、Teamsのチャット機能、もしくは事務局までメール等でお問い合わせいただければと思います。本日の出席者のご紹介につきましては、時間の制約もありますので、失礼ながら手元の出席者一覧の配布にて代えさせていただきます。それでは早速ですが、議事に移らせていただきます。
まず、関係府省庁の施策の進捗状況についてですが、関係府省庁から現在までの進捗状況と来年度以降の方針についてご説明をいただきます。その後、私からモビリティ・ロードマップの骨子案を説明いたします。それでは、関係府省庁ごとに4分以内でご説明お願いいたします。関係府省庁の今後の施策については、刈り取り時期が早かったため、施策の集中的投入についてはまだ反映できていない部分もあるかと思います。関係府省庁からご説明の際には、施策が前倒しできないのかという観点も含めてご説明いただければと思います。それでは、デジタル庁村上統括官からご説明をお願いいたします。
村上統括官: 資料2をご確認ください。デジタル庁では5つの項目について宿題をいただいております。それぞれご説明します。
スライドの4ページ目、需要を推定する方法の検討です。このワーキンググループでも昨年来、潜在需要をどうするか、交通商社を考える上で、既存の需要だけではなく、見えない需要をどう顕在化させるかという議論を重ねてまいりました。これを今回、試行錯誤を重ねながら需要を推定する方法の議論を進め、マニュアルにまとめました。今後、地方創生の交付金等による支援策等を通じ、このマニュアルの手順を使った需要調査の普及を図っていければと思います。
本調査では、移動手段を持っていない子どもや高齢者が主たるターゲットになるのではないか考えております。初めに地域にどういう思いがあるのかアンケートを取り、アンケートだけでは見えない部分もありますのでディープインタビューを繰り返すことで、深掘りをしてほしい需要の候補が見つけだします。実際、地方創生の交付金の中の5つ程度の自治体でロジックツリーを作ってもらう実証を行いました。右側に記載のとおりモビリティ供給側の政策だけでなく、高齢者向けのメニューや放課後教育のメニューをカバーするロジックツリーを作成した結果、市役所内で縦割りでバラバラに議論していたものが共有されるようになりました。
ステップ2として、ディープインタビューとアンケートで得た情報をもとに、社会福祉部や教育委員会、交通政策担当部署等が一枚のロジックツリーを作成し、お互いの施策の相互関係を確認する形で交通商社が結ぶべき需給の絵をシェアしました。ステップ1と2の作業は行ったり来たりする面があり、双方向の矢印で表現しておりますが、これは実現できそうだと判明してきました。その上で、ステップ3として、その町が力を入れて作りたい需要が見えてきたら、客観的に需要調査を行い、ワークショップ等を行うことでつくりたい需給の循環の中身が見えてきました。詳細な説明は後日行いますが、こういったノウハウを交通商社共通のノウハウとしてマニュアル化してデリバリーしたいと考えております。
次に資金調達の支援方法の検討です。自治体向けには予約配車管理システムなど高価なMaaSではなく、安価な基本的なMaaS機能を有するデジタル公共財を離島に至るまで普及できるようにするため、共同利用や共同調達などの調達改革の検討が必要です。また、総務省のデジタル特例債や企業版ふるさと納税の活用柔軟化など自治体の歳入強化方策があります。結果としてこれらの活用が進んでいる境町などでは余裕を持った実証実験ができております。
6ページをご覧ください。運行事業者については、関係府省庁と十分な議論ができていないため議論用の仮説ということでお許しください。現状、自動走行技術を使ったモビリティサービスの需給管理や予約配車管理の部分、運行管理の部分、車両保有の部分を一体的に一社で行っている場合が多い印象があります。事業リスクの性格ごとに分ける必要があると考えています。具体的には、予約配車や決済を行う需給管理は地域社会リスクが非常に大きく、想定した需要通りにお客様が動いてくれるか、有人運転の場合は協力してくれるドライバーがいるかといった地方創生系支援が馴染むような領域です。潜在需要を顕在化させるのに協力してくれるのか、需給を効率的に一致させるための仕組みを協力的に使ってくれるのかが重要です。これに対して、車両保有・メンテナンスの領域では、車両が高価であることや、小型バスでは故障率が高いことに現場は悩んでおります。また、メンテナンス人材の不足も問題など、技術周りのリスクが問題です。そして最後に、運行管理の領域では、車両が意図した走行をしてくれるか、事故を起こさずに走行することができるのかが課題です。今後AIの活用やデータの取得にも関連しますが、運行管理のシステムについてはデータ以外では地域ごとに個別に作りこむ必要がないのではないでしょうか。言い換えれば、ここに一番のスケールメリットがあり、儲かる産業になりえるのではないでしょうか。その時に地域社会リスクや車両の技術的リスクを議論しますと民間ファイナンスがつかないため、これら3つのレイヤーに対して1社で担う経営判断があるのは構いませんが、これら3つのレイヤーのリスクを分けて分析し、ガバメントの支援策を考える必要があるのではないかと考えます。構成員の皆様にもこの点についてお考えをお聞かせいただければと思います。
7ページでは、車両故障率やメンテナンス人材のリスクを運行管理の世界からアンバンドルするために、車両のリースやレンタルの仕組みを作ることを提案しています。デジタル庁では主にサービスロボットの分野で、複数のロボットを狭い空間で自立的に走らせる際のユースケースを積み重ね、トラブルケースを顕在化させています。来年度に向けて、これらをどういうルールにしていくか、どのような技術標準にするかを関係府省庁と一緒に考えていきたいと思います。以上です。
麻山参事官: ありがとうございました。続きまして内閣府からご説明をお願いいたします。
梅原参事官(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局): 9ページからご説明いたします。関連する施策が4件ございます。内閣府は研究開発としてSIPという制度を持っており、民間企業や大学関係者と共に基礎研究から社会実装までを引き上げる研究開発を行っています。その中で、スマートモビリティプラットフォームの構築というプロジェクトを進めており、現在、石田構成員をPDとして、越塚構成員にも参加いただきながら開発を進めています。具体的に4つの政策についてご説明いたします。
まず11ページ目です。自動運転サービス等の導入に向けた指針の策定です。このプロジェクトでは、地域交通のリ・デザインに関する指針の策定を目指しており、地域のモビリティの課題への取組みを進めるため、自治体との連携を図りながら指針を作成していきたいと考えています。今年度は事例収集を行い、構成案を作成しております。特に公共交通機関のアクセス性を評価できる指標やツールを開発し、限定的に公開しています。このガイドラインは来年度末までに素案を策定する予定です。2026年度以降順次関係府省庁・団体に連携させていただき、現地実証や議論を踏まえてガイドラインの品質向上およびユーザー層の拡大に努めて参ります。
次に12ページ目です。主要技術の低コスト化についてです。このプロジェクトでは、自動運転に使える障害物の検知に関するライダーシステムの開発を行っています。レーザーを照射し跳ね返ってくる時間から距離や方向を測定する技術です。レーザーを構成する部品数が多く小型化が難しいといった技術的な課題に対して大きく3つ技術開発を行っております。ピンポイントのレーダー照射・受光できる技術、多角的にレーザーを照射する技術、物体認識の照射技術です。本年度では仕様を決定しているため、来年度以降はこれらの仕様に基づき試作や設計を進めていく予定です。2026年度以降に関しては関係府省庁と連携しながら施策を進めていきます。製品化を目指す中での目標スペックの特定や需要調査を併せて進めていく予定です。
次に13ページ目です。データの統合および相互利活用基盤の検討です。データを活用したモビリティサービス創出やリ・デザインに役立つジャパンモビリティデータスペース(JMDS)を構築しており、今年度はデータの検索ができる統合データカタログサービスやサイバー空間でシミュレーションを行えるデジタルサンドボックスを開発しています。一部機能に関しては提供を試行しております。来年度以降は自治体との連携を進め、ユーザーの意見を反映しながら検証評価を行っていきたいと考えています。2026年度以降、JMDSを継続的に運営できる体制構築、ユーザーの取り込み、利用者の意見の反映を行いながら質の向上、ニーズの把握を行ってまいります。
最後に14ページ目です。人材育成についてです。モビリティサービスの中で地域交通のリ・デザインや持続的な運営が重要なテーマとなっており、専門的な人材やコミュニティの育成プログラムを作っています。今年度は関係者間でデータに基づいた議論を行い、信頼関係醸成の実践や組織内のノウハウ共有を進めています。来年度以降は人材育成プログラムの素案を作成し、全国会議の実施や実証を通じて研究開発への反映、ユーザー獲得を行い、育成プログラムを作り上げていきたいと考えています。内閣府からのご説明は以上です。今後とも関係府省庁と連携しながら研究開発を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
麻山参事官: ありがとうございました。続きまして、警察庁からお願いいたします。
永井参事官(警察庁長官官房参事官): 16ページよりご説明いたします。信号情報提供技術の検討・確立につきましては、SIP第3期の枠組みのもとに令和8年度から令和9年度にかけて、多様なモビリティによる信号情報活用の総合実証実験を予定しています。これは自動運転システム以外の様々な交通参加者に対し、クラウドと携帯電話通信網を活用するV2N方式で信号情報提供を行う実証実験です。今年度はその実施に向けて、実証環境に関する各種要件を策定しました。令和8年度から令和9年度における総合実証実験に向けて、引き続き取組を進めてまいります。
麻山参事官: ありがとうございました。総務省からお願いします。
荻原部長(総務省総合通信基盤局電波部): 総務省におきましては、自動運転に必要となる環境整備の観点から17ページにございます2点、V2Xの通信規格、V2Nの通信環境について取り組みを進めております。
まず18ページをご覧いただきたいと思います。V2X通信に関しましては、5.9GHz帯の周波数帯を活用し、電波の干渉検討や電波伝搬試験など、技術的な試験・検証を2024年度に実施しております。また、2025年度につきましては、自動運転サービス支援道の先行地域である新東名高速道路の一部区間において、国土交通省や警察庁と連携し、5.9GHz帯V2X通信を使った合流支援情報の提供や先読み情報の提供などの走行実証、有効性の検証を実施していきたいと考えております。2026年度以降の取り組みに関しましては、18ページの右下にありますが、自動運転サービス支援道の先行地域である東北自動車道やその他の地域での実証・検証をさらに進めていくことと、その検証結果を踏まえて、V2X通信への5.9GHz帯の周波数割り当てや技術基準の策定といった制度面の取り組みを順次進めてまいります。
次に、19ページ目、V2N通信環境の検討についてです。新東名高速道路において、携帯電話のネットワークによるV2N通信の実力値の測定・評価を2024年度に行うとともに、V2N通信で有望なユースケースの検討や技術的な整理を行ってきました。2025年度につきましては、新東名高速道路の一部区間において、経済産業省と連携し、有望なユースケース、具体的には遠隔監視や先読み情報提供に応じたV2N通信環境やデータ連携基盤等を用いた走行実証、有効性の検証を実施していきたいと考えております。
また、17ページ右下に記載しました2026年度以降の取り組みとして、特に東北自動車道など急勾配や急傾斜のある環境での無線通信の安定性確保に関する課題検討・実証を行いたいと考えております。必要に応じて、遠隔監視等のアプリケーションに応じた携帯電話のネットワーク整備を支援・推進していく形で取り組んでまいります。
麻山参事官: ありがとうございました。経済産業省製造産業局からご説明お願いします。
田中審議官(経済産業省製造産業局): 資料2の20ページをご覧ください。③に記載のとおり2024年度はL2タクシーによる自動運転サービス実証とL2トラックによる高速道路実証を行いました。しかしコスト高の問題が克服できていないため、タクシー型のサービスについて自動運転の標準的なモデル及びオープンデータセットを、例えば遠隔監視やかけつけサービスなども含めて構築できればと思っています。詳細は後で22ページをご覧いただければと思います。
⑦主要技術の低コスト化については、高精度の三次元地図の更新をどのように行うかということで、プローブカーデータを用いて変化点検知技術の開発を行っています。例えば、事前情報で道路工事が行われているという情報があれば、実際に走行してそれがどうだったのかをチェックしています。この結果、一定程度の精度を達成しましたが、2025年度においてはさらに精度を上げていきたいと考えています。
次に⑰では、シミュレーションを活用した安全性評価の手法について、シナリオ要件整備とシナリオ拡充を進めながらテスト検証を行ってきました。2025年度についてはシナリオの更なる整備・拡充と、シミュレーションツールの精度向上を図っていきたいと考えています。
次に21ページ⑱ですが、混在空間における協調型システムやインフラ協調型の自動運転システムについて、柏の葉で混在空間による課題検証を行ってきました。さらに25年度においては、課題の検証を進めていきます。
最後に㉑では国土交通省と警察庁と連携し、社会実装に至るまでの手引きを策定し公表しました。具体的には、自動運転の導入検討から、審査に必要な手続きまでの一覧を記載しています。本手引きについては、蓄積された知見を反映し、更新することを予定しています。
麻山参事官: ありがとうございました。続いて、商務情報政策局からご説明お願いします。
守谷課長(経済産業省 商務情報政策局 情報経済課): 商務情報政策局からは2点ございます。まず、⑥の乗換・積替等のための集約拠点の整備についてですが、今年度、モビリティハブと呼んでおります集約拠点のうち、特に物流の拠点に関する整備方法や機能等に関する調査を実施してきました。来年2025年度以降につきましても、この調査結果に基づき整備方法や機能等に関する検討を進めてまいりたいと考えております。
また、⑮の自動運転サービス支援道の整備について、26ページをご覧ください。本年度、デジタルライフライン全国総合整備計画のアーリーハーベストプロジェクトとして、国土交通省や総務省、警察庁のご協力を得ながら、先行地域の自動運転サービス支援道の整備を進めてきました。その結果、今年度中にインフラからの情報提供については日立市大甕駅周辺の一般道で、自動運転車優先レーンについては新東名高速道路の沼津・浜松間の約100kmで自動運転サービス支援道の先行実施を実現できました。2025年度以降におきましては、こうした実証事業をもとに、今後のガイドラインやロードマップにつなげ、拡大に向けた取り組みを推進していきます。2026年度以降につきましても、中長期的には物流ニーズや車両の開発状況等を踏まえ、東北から九州への延伸を検討してまいりたいと考えております。
麻山参事官: ありがとうございました。国土交通省各局からご説明いただきたいと思います。最初に、総合政策局からお願いします。
土田課長(国土交通省総合政策局モビリティサービス推進課): 27ページをご覧ください。⑤に記載の地域交通の関係者が共に創る共創の推進、またそれに関連する公的支援制度についてお話しします。2024年の5月に12関係府省庁からなるリ・デザイン実現会議を取りまとめ、これに基づく基本的な事項を政府の指針としてまとめました。分野別に、教育、介護、福祉などの個別の分野における指針を作成し、それぞれ都道府県を含めた自治体の皆様に発出しております。また、具体的なプロジェクトに対しては、私どもの「共創・MaaSプロジェクト」という予算制度において全国各地の事業を支援しています。この支援制度につきましては、移動手段の不足といった課題意識に基づいて交通空白と認識している自治体等に対し、解消を行うための取組に対する新しい制度を設けました。今後も引き続き柔軟に支援を行うこととしております。
麻山参事官: ありがとうございました。続いて物流・自動車局からご説明お願いします。
久保田次長(国土交通省 物流・自動車局 次長): 31ページをご覧ください。②に関しましては、モビリティ・ロードマップにおいて、一般道における自動運転通年運行事業を2024年度に20カ所以上に倍増するとしていますが、2024年度末時点で20カ所以上において実施に至る見込みとなっております。また、事業採算性につきましては、経済産業省と国土交通省が共同で事務局を務める検討会の枠組みの中で議論しています。
⑪につきましては、補助事業に参画する自治体に自動運転の導入効果に関して報告いただくことや、ヒアリングを実施することにより、評価手法の検討に資する事例の把握を行いました。引き続き、さらなる事例の把握を務め、2027年度をめどに自動運転が地域にもたらすソーシャルインパクトへの貢献度合いを評価する方法を取りまとめたいと考えております。
㉓につきましては33ページをご覧いただければと思います。経済産業省と警察庁と連携し、昨年6月に自動運転の審査に必要な手続きの透明性、公平性を確保するための取組を社会実装・事業化の手引きとしてまとめました。具体的な取組としましては、国によるサポート体制の構築のため、地方自治体や事業者、地方の行政機関で構成される地域コミュニティを設置し、自動運転サービスの展開に向けて地域の取組を支援しています。また、審査内容、手続き及び様式等の明確化として、昨年6月に自動運転車に関する安全水準を示すガイドラインを策定し、公表しました。引き続き、こうした文書に基づく取組を行ってまいりたいと考えております。
麻山参事官: ありがとうございました。道路局からご説明お願いします。
小林課長(国土交通省 道路局 企画課): 自動運転に対しまして、道路インフラからの支援の取組を進めていますのでご説明いたします。36ページをご覧ください。先ほど総務省からもありましたが、自動運転トラック実現のために今月3日から実証実験を開始しております。平日深夜の時間帯に、自動運転車優先レーンを設定し、合流支援などの路車協調システムの実験を開始しました。
37ページをご覧ください。実験に先立ち、実験の周知や社会受容性の向上のために、駿河湾沼津サービスエリアにおいて報道機関向けの現場公開を行っております。
38ページをご覧ください。次年度以降は東北自動車道への拡大を予定しております。こうした実験検証を踏まえ、自動運転サービス支援道に必要なインフラの各種基準等を作成していくこととしております。
39ページをご覧ください。こちらは一般道に関する内容です。一般道でも自動運転車をより安全・円滑に走行させる観点から、路車協調システムや道路空間に関わる技術基準やガイドラインを策定する目的で、車両側の事業と連携し実証実験を行っているところです。来年度も実証実験を行う予定であり、先月26日に令和7年度の実施箇所を発表しました。路車協調システムに関しては13自治体、走行空間の実証実験については2つの自治体を採択したところです。これらの検証結果を踏まえ、令和8年度までに路車協調システムの技術基準等の策定を行う予定です。
40ページ、41ページには路車協調システムや走行空間の実証実験の概要を記載しております。最後に42ページをご覧ください。インフラ支援について、国土交通省、警察庁、総務省で設置されている自動運転インフラ検討会において、有識者の意見を聞きながら検討を進めているところです。今後もロボタクシーなど最新の動向を踏まえ、自動運転に資する道路構造や路車協調システム、工事規制などの道路交通情報を含め、インフラ側の支援のあり方について検討を進めていきたいと思います。
麻山参事官: ありがとうございました。次に、モビリティ・ロードマップ骨子案について私からご説明させていただきます。資料3と4に分かれておりますが、資料3を中心にご説明いたします。資料3の「モビリティサービスをめぐる現状と課題」、「モビリティ・ロードマップ2025の考え方」が、それぞれ資料4の1、2に当たりますが、今後どのような方向性で施策を進めていくべきかということを資料4の2に記載し、特に重点的に進めるべき施策を資料4の3の方向で記載していく予定です。このうち、主だったものを資料3の1ページ右側にまとめております。
まず、資料4の「現状と課題」ですが、ここでは、モビリティ・ロードマップ2025の策定の背景を書く予定です。具体的には、資料3の2ページの通り、2027年度には自動運転が相当程度進むと考えており、特に、Waymoは2027年度から日本ではロボタクサービス事業への参入を考えています。こうした状況を踏まえると、2024年、2025年に自動運転に関する環境を整え、関係府省庁の施策を進めることが重要です。自動運転の技術について実証を行うことはもちろんですが、実際の事業化に向けた施策を進めることが重要です。
資料3の1ページをご覧ください。公共交通を維持するためには、潜在需要をしっかり捉えモビリティサービスを効率化することが必要で、自動運転のサービスを定着させるにも、これを進めていく必要があります。また、移動の自由を確保するためには、都市と地方の差を認識しつつ、米中の自動運転技術との格差を解消することが重要な課題です。これまで、関係府省庁の協力により全国各地で実証が進んでいますが、通年運行となったものは、まだ少なく、今後の課題として捉えています。
ロードマップ2025の考え方としては、需給一体となってモビリティサービスを効率化し、積極的な移動需要を創出することが求められます。その際、デジタル基盤を共同利用・開発し、合理的な投資環境を整えるために、各府省庁の施策を進めていければと考えております。また、自動運転は、都市部でのサービスが成立しても地方でのローカル・モビリティサービスの成立は難しいことも想定されるため、サービス全体がどうしたら成立するのかを再設計することが必要と考えています。こうしたサービスを定着させるためには共同利用すべきデジタル基盤もしっかりと考えていく必要があり、どの部分が協調領域にあたるか意識して各府省庁の施策を進めていく必要があると考えています。また、自動運転の技術を実証から事業化に移行させるための施策をしっかりと進めていくことが重要だと考えています。
昨年から検討していることですが、自動運転技術を事業化するためには、社会的ルールの整備も重要であり、今後、様々な環境整備を進めていく必要があります。重点的な施策としては、まず地域住民の移動の自由を確保するための交通商社機能の確立が重要です。具体的には、潜在需要の調査・縦割りを超えた政策立案体制の整備、需給一体となったサービス設計機能の確立支援、共同利用するデジタル基盤の整備・導入などがあります。また、自動運転技術の実装に向けた支援策の整備も重要であり、初期費用の導入低減に加え、合理的な分業体制の確立と協調領域の設定が求められます。あわせて、車両だけではなく、路車協調技術など必要な技術の開発と普及を進めていきたいと考えています。また、事故等に対する体制の整備や社会的受容性の向上に関しては、継続的に検討する事項としてしっかりと進めてまいります。
最後に、関係府省庁の施策を集中投下することが重要であり、各府省庁においては、そのための来年度の取組についても考えていただきたいと思います。以上が概要となりますが、資料4の内容をつぶさに説明できているわけではありませんので、質疑応答の中でご意見を頂ければ思います。
それでは意見交換に移らせていただきます。本日ご欠席の甲田構成員と須田構成員からのご意見を紹介いたします。
甲田構成員からは、自動運転の事業採算性について、物流やオンデマンドの移動は見通しが立ちやすい一方で、公共交通の代替としてはバスや電車路線をあきらめ、オンデマンド交通を考えることで移動の不便を解消できるのではないかとの意見がありました。また、自動運転バスと一般乗用車が一般道で混在する状況では、安全性に課題があり、自動運転走行が一般道を走る際には、自動運転の安全性を上げるだけではなく、リスクや事故回避のルール化が必要というご意見をいただいております。
須田構成員からは、自動運転を取り巻く世界情勢が変動している中で、我が国も一歩先の目標を示すことが重要であるとの意見がありました。東京オリンピックが好機ではありましたが、十分に活かされなかったことを踏まえて、関西万博では、2桁台の自動運転EVバスをレベル4及びレベル4相当で事業化していくことも必要ではないかというお話もいただいております。また、台数については少なくとも10台以上で行うような目標設定をすべきとのご意見をいただいております。さらに、資料2において関係府省庁の取組が網羅的に紹介されているが、デジタル庁や日本政府として一本筋を明確に示したほうが良いというご意見をいただいております。
欠席者のご意見は以上となりますので、意見交換を行わせていただきます。ご発言の際は、Teamsの挙手ボタン、もしくはチャット機能でお知らせいただき、発言時にはマイクのミュートを解除してください。皆様のご意見をお待ちしております。
石田構成員: 私なりに感じたことを三点ほど申し上げたいと思います。まず、資料4の目次構成と構成イメージについて、自動運転の早急な実現の重要性は本当にその通りだと思います。しかし、時間的にも空間的にも相当急を要する交通空白地帯が急速に増加しています。そこへの対策として自動運転だけでは間に合わないような状況になってきています。そのため、モビリティサービスをどう考えるかについて、もう少し明確に記載しておく必要があると思いますので、ご検討をお願いしたいです。
次に、需要推計について、村上統括官から3ステップのアプローチを説明いただきました。良い考えだと思います。しかし、その際に新しいサービスが潜在的な需要を顕在化させたというデータをどう把握するのかという問題があると思います。その観点では、国土交通省の物流・自動車局で行われている自動運転社会実装推進事業において、自動運転バスが全国百か所近くで既に運行されております。その事業で需要がどのようになっているか共有することが重要だと思います。さらに、経済産業省と国土交通省のモビリティサービス推進課でも様々な取組が行われていますので、実際に何が起こるか、あるいは起こりそうかというファクトをきちんと整理する必要があると思います。SIPにおいても、そのようなことをしっかり進めていこうとしていますので、協力できる部分についてはぜひお手伝いさせていただきたいと思います。
最後に、物流トラックの問題について、自動運転サービス支援道の普及が着々と進んでおり、実証実験も始まっていますので、これを着実に進めていただきたいと思います。一方で、これからの物流にとって、運転手の交代や車両の交換にあたってハブが非常に重要視されております。私の考えでは、高速道路のインターチェンジ周辺に多数存在する民間の物流施設との連携をぜひ考えるべきだと思います。これらの施設を有効に活用するためには、インターチェンジを出た時からそこへ至る下道がODDの役割を果たすのか、どのような地上側の設備が必要なのか、また、それを誰がどう負担して整備するのか、法制度上の障害が何かあるのかといった点も検討されるべきだと思いました。
麻山参事官: ありがとうございます。川端構成員、よろしくお願いします。
川端構成員: 今回、資料全体をまとめていただいたのが非常に良かったと思います。特に資料2の4から6ページでは、重要なことをしっかりとまとめていただいており、わかりやすかったです。説明の中で、ヒアリングによって地域のモビリティ課題が共有化できたという知見が得られたことは非常に良かったと思います。これを各地域、基礎自治体でも共有化していくことが今後非常に重要になってくると思います。
全体的に、ソフトウェアやデジタルに関しては、お金を投資さえすれば比較的短期間で対応できると思います。しかし、例えば人材育成や募集などの人的要因、またハードウェアの開発やインフラの変更には時間がかかります。そのため、フィジカルなプラットフォームとデジタルなプラットフォームを時系列的に分けて考える必要があると思いました。
現状、それぞれの関係府省庁の発表でも課題がすべて並べられているような状況です。デジタルプラットフォーム、フィジカルなプラットフォームともに、プラットフォームは共通の領域、協調領域になると思います。そのような部分に関して、時間がかかるところと投資すれば動くところを分けて整理しておくと良いと思います。特に協調領域については、既存サービスとの連携が速度に影響すると思います。国産で新開発することは重視されるかもしれませんが、速度感を持って進めるためには既存サービスを使える箇所を洗い出して活用することが必要だと思います。
また、ロボットもモビリティに関わってくると思います。屋外で動くものは、従来の人流や物流、小型モビリティに関連していると思いますが、屋内のモビリティも重要です。ロボットレディな街づくりがロボットの文脈で出てくると思います。その際に屋内外の地図データを持っているなどデジタルツインがあると実現が容易になると思います。屋内での人流や物流に関してロボットが動くことができ、それがシームレスに屋外に染み出し、従来のモビリティに連携していくことが重要です。その点も全体像に入れていただけると良いと思います。技術的には共通する部分が多いので、ソリューションが増えることでプラットフォームの減価償却が進み、投資がしやすくなると考えました。
麻山参事官: ありがとうございます。秋本様、よろしくお願いします。
鈴木構成員(代理:秋本氏): 3点コメントいたします。まず1点目ですが、各省でさまざまな施策が行われていることは理解しましたが、それぞれの相関関係や連携について、時間軸を考慮してまとめていただけると非常にわかりやすくなるのではないかと思いました。
次に2点目ですが、村上統括官から説明いただいた資料2の6ページ目について、運行管理に関しては今後、課題が出てくると思います。ドローンの運行管理の場合、日本では民間のサービスプロバイダーが運行管理を行うという動きになっていますが、海外では国が運行管理を行っているところもあります。この地域交通はいわゆる公共交通なので、運行管理をどこが整備し、運営するのかについてお考えを伺えればと思います。
3点目は資料2の13ページ目にある内閣府のスマートモビリティプラットフォームの構築についてです。村上統括官からの説明の中で、ヒアリングを通じてロジックツリーを作成し、需給の状況を把握するという点がありました。そういったデータがデジタルサンドボックスに入り、自動的に最適な運行計画が生成されると、現地での調査やさまざまな業務が非常に楽になるのではないかと感じました。ただし、運行管理のデータがこのプラットフォームに入ってこないのでしょうか、その点についてもご説明いただけるとありがたいと思いました。
麻山参事官: ありがとうございます。いくつか質問がまとまってきましたので、関係府省庁からお答えいただきたいと思います。まず、石田先生から、交通空白地においては自動運転だけでは間に合わないため他の交通手段も考えるべきではないかというご意見を頂きましたので、国土交通省総合政策局からコメントをお願いします。
土田課長(国土交通省 総合政策局 モビリティサービス推進課): 甲田構成員からも同様の指摘をいただきました。エリアの概念にとらわれず、移動不足を解消することを目的に交通空白解消本部を立ち上げ、省をあげて取組を進めております。交通空白の状況は地域によって様々であるため、地域の状況に応じて処方箋を考えやすくするために、カタログの作成や、人材育成、官民連携プラットフォームを通じて様々なつながりを作る取組を行うなど、支援制度や予算面も含めて、総合的に支援を行っているところです。また、石田構成員からは、MaaSに関して様々な取組が行われているとご指摘をいただきました。特にデジタル基盤として実際に使われている事例ができ始めていると感じています。例えば群馬県前橋市においては、もともと前橋市の取組だったものが群馬県全体に広がってきており、現在私たちが募集している予算の中でも県外の市においても拡大する動きがあります。必要であれば、このワーキングにおいて知見を共有させていただければと思います。
麻山参事官: ありがとうございます。国土交通省 物流・自動車局においては、自動運転バスの支援事業を行っている中で、データ連携等もできないかというご意見をいただいていますので、コメントをよろしくお願いします。
久保田次長(国土交通省 物流・自動車局 次長): 今年度は99カ所でバス事業等の支援を行っておりますが、これを実施するにあたっては、路車協調などの他部局や関係府省庁が行っている補助事業と連携しながら進めています。例えば、路車協調の支援を受けている自治体を優先的に採択するなど、単にこの事業だけで進めるのではなく、横の連携を図りながら進めています。
また、情報を横串で連携してほしいというご意見についてですが、実際に今申し上げたような取組も行っていますが、なかなかご理解いただけていないのではないかと感じています。説明が不足している部分もあるかと思いますので、次回以降どのような状況かを説明させていただきたいと思います。概略を説明させていただきますと、99カ所の中で実用化や事業性が見込まれるものについては、来年度以降、重点地域としてメリハリをつけて支援していく計画を考えています。いわゆる汎用性の高いものを優先的に支援するプランですので、またそういった話もさせていただければと思います。
麻山参事官: ありがとうございます。経済産業省 商務情報政策局については、モビリティハブの負担の在り方についてご質問がありましたので、コメントをよろしくお願いします。
守谷課長(経済産業省 商務情報政策局 情報経済課): 石田構成員にご指摘いただいたモビリティハブについてですが、既存の設備を活用しながら、どのように実現していくかということは非常に重要な観点です。いただきましたご意見を踏まえ、どのように実現できるかについて、関係府省庁と連携し、引き続き検討を進めてまいりたいと思います。
麻山参事官: 運行管理について、国が行うべきか民間が行うべきかという話がありましたが、村上統括官から何かコメントをお願いしたいと思います。
村上統括官: 全体的に3点ほどお話しします。一つ目は久保田次長から重点地域についての話がありました。また、関係府省庁間の横の連携関係がもう少し整理されると全体像がよく見えるのではないかというコメントもいただきました。現在、関係府省庁とは重点エリアを決め、その重点エリアに対して関係府省庁の施策を集中的に適用するスキームを検討している最中です。次回までに、どのような組み合わせで何を目指すべきかについて提案をできればと思っています。ただし、都市部で走る外資系のロボタクシーは都市部に限定されるため、同じものを追いかける必要はないと思います。また、伊予鉄道株式会社のバスのように定時運行で決まった路線で、走りやすい道であれば、事業化まであと一歩というところまで来ていますので、それと同じことを目指すのに、各府省の施策を集中投入する必要はないと思います。
そのため、関係府省庁とゴール設定に関して議論を進めたいと思います。定時運行や特定路線系を外すのか、あるいは路車協調といった特定の先進技術への挑戦がある地域を優先するのか、需要を含めて交通商社的な取組みを行う地域であることを重点地域の要件にするのか、先ほどハブの話がありましたが、これを機会にモビリティハブの整備を並行して行うところを重点的に支援すべきか等、ゴールとして求めるべき要件を決め、集中的に支援することが重要だと思います。その中の一つの要件として、運行管理を自治体ごとに作り込むのではなく、できるだけ最初から横展開をできるようなものを目指しているということ、運行管理システムの共同利用的なものを目指していることを前提にどうするのか、車両の類型を考えた際にどこにフォーカスを絞っていくのかなど、いくつかの要点があります。これらを関係府省庁と議論していく段階ですので、ぜひ皆さんからも意見をいただければと思います。特に重点支援地域を決めていくとすれば、重点地域において前倒しで実現したものが全国的に横に展開していかないと意味がないため、その地域だけで実現できる取組を重点支援してもしょうがないと思います。ぜひそのあたりのご指導をいただければと思います。
また、データに関する話がいくつか出ましたが、これは極めて重要だと思っております。実は、デジタル行財政改革会議で1年後の通常国会においてデータ利活用に関する法案を出すことを前提に議論を進めています。現状、個人情報保護法でデータを守るための手続きはしっかりできています。一方でヨーロッパでは、ヘルスケアといった一部の領域ではデータストックにデータを出すよう求める、このようなデータはオプトアウトで良いなど、データ利活用の仕組み化についても並行して議論されています。モビリティの運行管理に関連するデータの利活用についても、必要な人流データや運行管理に必要なデータは、ある程度強制的にシェアする仕組みを法制として提案することも視野に入れて良いのではないかとデジタル行財政改革事務局としては考えています。金銭的な支援というよりも、データを集めて使えるようにする仕組みを作ることについても運行管理の支援としては重要だと考えています。こうしたデータの取得や利活用に関して、政府がどのような仕組みを用意できるかという点についても、もしコメントがあればいただければと思います。
麻山参事官: ありがとうございます。山本昭雄様、よろしくお願いします。
山本圭司構成員(代理:山本昭雄氏): 2点お話しさせていただきます。一つ目は、「モビリティ・ロードマップ2025の構成イメージ」における「モビリティサービス全体の課題」について、これは今後の重要なテーマだと思います。運転手不足の問題の解決策としても自動運転が効果的であると考えています。
二つ目は、運転手不足を解消するためには、現在実証を行っている自動運転サービスがレベル4で始発から終点まで継続される必要があると思っています。しかし、レベル2になってしまう難しい交通環境も多く存在すると思います。例えば交差点の右折などの場面では、路車協調サービスが効果を発揮するのではないかと国土交通省でも検討されていると伺いました。この路車協調技術を普及させるためには、路側器設置の需要や路側器マーケットを増やしていかないと路側器のコストが下がらないという課題があります。そのため、路車協調サービスを自動運転以外の部分にも活用していくことを検討してはどうかと思っております。例えば、既存の車両の安全運転支援にも路側器を使って交通事故を減らすなど、自動運転以外の分野でも路車協調サービスを広げることで、自動運転の拡大にもつながり、運転手不足の解消にも寄与するシナリオが考えられると思いました。
麻山参事官: ありがとうございます。若菜構成員、よろしくお願いします。
若菜構成員: 資料3の1ページ目にあるモビリティ・ロードマップ2025の交通空白や地方での広がりについて、3点ほどコメントしたいと思います。
1点目は、地方での展開において、旅客だけではビジネスモデルとして成り立たないのではないかという点です。貨物やサービスの需要も含めた定量的な把握が必要だと思います。例えば、地方では移動図書やメガネ、検診、宅配、宅食など、さまざまなサービスが存在していますので、これらも取り入れていくことが重要だと思います。地方では母数が少ないため、自動運転を導入する際に人を乗せることへの抵抗が大きいです。まずは貨物を運ぶことから始め、社会的に認知してもらうことは意義があるのではないかと考えています。
2点目は、重点地区の選び方についてです。交通商社の機能の横展開を目的としたときに、供給側と需要側をつなぐ機能を定量化して整理するためにも、交通商社がある地域を優先的に選ぶ必要があると思います。その際に、供給側、交通商社、需要側が独立している必要はないと思います。例えば供給側や需要側が交通商社機能を担っても良いと思います。ただし、交通商社機能がきちんと分離して見える化できることが必要です。
3点目は、資料2の中で自動運転を促進するために運行事業者と車両所有者を分離させるという点は非常に良い考えだと思いますが、現実的な課題として保険の問題があります。所有と運行事業者を分離した場合、現在のライドシェアでは両方に保険をかける必要があり、保険料が高くなるため、ライドシェアの継続が難しくなります。保険についても支援が必要だと感じています。
麻山参事官: ありがとうございます。村松構成員、よろしくお願いします。
村松構成員: 2つコメントさせていただきます。1つ目は、資料2の32ページにある事業採算性の検証についてです。上から目線のつもりはないのですが、とても良い取り組みだと認識しています。現時点で筋が良く事業採算性が出ていてビジネスモデルが確立している事例や、今年度の成果発表において全国ですぐに展開できる事例があれば、ぜひご共有いただきたいです。事業性の出ている事例を横展開することで、全国で普及すると思っています。小規模でも成功体験を少しずつ積み上げ、そこからの拡大を目指せると良いと考えます。
2つ目は、各自治体の皆様が自動運転等を導入する際に、コンサル会社等が手取り足取り支援してしまうと、イニシャル費用が膨れ普及が難しいと考えます。誰でも使える、簡単に導入できる虎の巻のようなものを最終的には整備することで、それを読めば、ステークホルダーやToDoなど、一から十までの全容が明らかになり、自動運転が自分たちでも簡易に導入できるという環境作りが重要だと考えます。
麻山参事官: ありがとうございます。日高構成員、よろしくお願いします。
日高構成員: 2つございます。1つ目が国土交通省総合政策局の発表についてのコメントです。地域公共交通計画の実質化に向けた検討会が行われ、中間取りまとめまで私も参加いたしました。その中で交通の考え方やデータ活用、モニタリングについても各自治体向けに今年度中に発表されると認識しております。デジタル庁からの話にも同様の内容があったので、連携とすみ分けは取りまとめの後に検討されても良いと思います。
2つ目は交通商社についてです。「モビリティ・ロードマップ2024」、「モビリティ・ロードマップ2025」とアップデートされており、具体性が上がった他、進捗に合わせて更新されていると思います。ここに関する提案的なコメントになります。SIPの2期でも事業評価に取り組まれていますが、2025年度に向けて、自動運転もしくはモビリティサービスの事業に関するモデルアーキテクチャを作れないかと考えております。例えば、幹の交通に関して平均速度ではなく表定速度を上げることで、速達性を高めることが考えられます。流量を上げるために、優先レーン・モビリティハブ・AI信号・様々な総務省の通信技術等を活用することがありえます。葉の交通であれば、エリアカバー率をどう上げていくのかが重要です。安全性も大事ですが、輸送効率がなければユーザーは乗りません。マッチング技術も含めて、様々な方策があると思います。これらによって、関係府省庁の取組み、民間の技術開発、スタートアップの新しい技術がうまくパーツとしてはまり、交通商社の運用方法、過疎地域での実践方法、都心部での実践方法、技術開発の目指すべきゴールが見えてくると思います。それができると自動車産業でなく、モビリティ産業として定義した際にも、海外での競争力も生まれつつ、日本の課題を解決できると思います。
麻山参事官: ありがとうございます。土田課長、よろしくお願いします。
土田課長(国土交通省 総合政策局 モビリティサービス推進課): 日高構成員から地域公共交通計画の実質化に向けた検討会との連携についてコメントいただきました。これは地域交通課が担当でございますので、連携させていただき、必要な連携を関係府省庁の皆様ともさせていただければと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
本日は公共交通政策審議官の池光の代理として出席しております。資料4の構成イメージについてコメントいたします。すでに事務局とはご相談を開始しておりますが、当部門として重要と考えている点を申し上げます。まず、当部門は地域交通を担当しておりますが、喫緊かつ最大の課題が担い手不足でございます。地域においては需要があってもドライバー不足で供給できないため、路線バスの減便や廃止が起きていることは皆様ご承知の通りかと思います。当部門はこの課題への処方箋として自動運転が位置づけられると考えております。担い手不足を背景とした交通空白が喫緊の課題であり、弊省としては交通空白解消本部を設置し、省を挙げて取組んでおります。全運輸局を総動員して対応を進めています。まさに公共交通の需要自体と現場で向き合っています。
なお、誤解されがちですが、交通空白という言葉について、我々はあえて「交通空白」と「」を付けて表現しており、交通空白地とはしていない状況です。この言葉遣いは、空白「地」というエリアの概念ではなく、それぞれの自治体のご判断で移動の足が不足している状況を指しております。このような状況について正面から捉えて取組んでおります。こうした背景を1から3の各項目に記していただけるとありがたいと思います。具体的には事務局の方にも別途伝えさせていただきますが、特にこれから申し上げる点について相談したいと思います。1.2.1の「公共交通サービスに対する潜在需要の存在と移動の足不足解消に向けた取組の進展」については、省を挙げて取組んでいることもあり、「『交通空白』の解消」という文言を追記したいと思っております。
また、潜在需要という言葉遣いについてコメントいたします。現場を踏まえますと、自家用車で移動している場合、公共交通が便利になっても需要がシフトしないという考えを持っております。一方で、自家用車を使えない方の需要、需要自体の掘り起こしは非常に重要です。そういった旨が伝わる表現になると良いと思います。「基本的な考え方」の冒頭に、自動運転は地域交通の担い手不足という課題の解決策として求められているという当部門の課題感を入れていただければと有難いと思います。
最後に、交通商社機能について、交通商社機能は非常に重要な概念だと考えております。一方で、交通商社機能は、公共交通の維持確保に必要な多種多様な政策の中の一つだと思っております。その旨が伝わるようにしていただければと思います。
麻山参事官: ありがとうございます。お答えになるかどうかわかりませんが、「交通空白」という文言を使っていない理由は、昨今の議論で「交通空白地」というイメージが世間一般で議論されていたためです。移動に困っている方は都会でもいらっしゃるということで、現在の表現にしております。この点について、有識者の皆様からどういう表現にすべきかご示唆があればいただければと思います。
また、自動運転はドライバー不足を解消するツールの一つであります。ただ、コスト面や社会的受容性の課題があり、なかなか普及に至っていないのが現状です。国土交通省の支援策等も活用しながら、実装に向けて取組んでいきたいと思っています。その上で記載の方法については別途ご相談させていただきたいと思います。
最後に交通商社についてです。我々は、交通商社があればすべて解決するとは思っておりません。交通商社は、あくまで必要条件の一つだと考えています。それ以外の施策も合わせて実証していくことが重要です。国土交通省におかれましても引き続きご支援いただければと思っております。
土田課長(国土交通省 総合政策局 モビリティサービス推進課): よろしくお願いいたします。
麻山参事官: ありがとうございます。花見様、よろしくお願いします。
齊藤構成員(代理:花見氏): 齊藤の代理として出席している私の感想やコメントになります。まず、資料3の1ページでロードマップを示していただき、これまでの議論が非常にまとまっていると感じました。特に左側の部分です。需給一体となった需要と供給のマッチングについて、交通商社機能は非常に重要だと思っています。ただ、ご説明の通り、地域差がございます。したがって、打ち手、組み合わせ、課題の深刻度、規模など、さまざまな要素が異なってくると思います。これらをマッチングさせるためのデータ基盤が必要です。地域ごとに異なる機能を上手に組み合わせる交通商社機能が求められると考えています。我々情報処理推進機構デジタルアーキテクチャ・デザインセンター(IPA DADC)はデータ基盤についてよく検討しております。共通項となる機能をモジュール単位で作り、それらを必要な分だけ組み合わせる形で地域に見合った必要十分な機能を構成することが費用最小化に寄与すると思います。そのような基本設計を今後しっかり検討していくべきだと考えています。今後、需給のマッチングのために、データ基盤と共通基盤がどうあるべきかについて今後も議論を深めさせていただければと思います。
麻山参事官: ありがとうございます。岡本構成員、よろしくお願いします。
岡本構成員: 資料2、資料3についてコメントいたします。議論用に整理された資料2の6ページにあるように、業務要素ごとに異なる要件やリスクがあるため、横に分けて考えることについて私も賛同いたします。ただ、業務要素に分けて考える際、必ずしも事業者も分けて考える必要はないと思っています。地域によっては、複数の業務要素を同じ事業者が担うケースもあり得ると考えています。業務要素ごとに支援策を考えるとしても、必ずしも事業者が分かれている必要はないと思いました。
次に、資料3の1ページにあるモビリティ・ロードマップの骨子について、交通商社機能は非常に重要だと感じています。その中で、電動車両化が進むのではないかと思っております。移動需要のマッチングに加えて、車両を動かすためのエネルギーのマッチングも同時に必要になると考えています。これを地域の再生可能エネルギーと組み合わせることで、地域のCO2を減らし、レジリエンスを強化することにも貢献できるのではないかと思います。また、充電データやバッテリーの状況を推計することで、車両や移動する人の行動観察につながることがわかってきています。このエネルギーデータを重ね合わせることが交通商社機能の一助になるのではないかと考えています。例えば、我々電力事業者にはスマートメーターのデータがあります。今後はスマートメーターの細かな分析も可能で、在宅の方にフレイルの兆候があるかについてもわかるようになってくるので、データを重ね合わせて活用していくことが非常に重要だと思っています。
また、都市部や地方部に関係なく、さまざまな地域がある中で、地域の特性に合わせることが大事だと考えています。我々電力事業者は都市部や地方部に関係なく、事業を持続させる責任を負っており、どの地域にも人を配置しています。地域に根付いた会社であるため、交通商社機能の一翼を担うことができると考えています。
自動運転は、人が減っている日本にとって大事です。その際、路車協調が大事だと考えています。路側のインフラが重要で、我々のインフラを活用していただくことも大切だと考えています。また、事故時の責任分解についても整理していただきたいと思います。
麻山参事官: ありがとうございます。波多野構成員、よろしくお願いします。
波多野構成員: 非常に難しい課題の検討に取組んでいただき、また新たな局面を踏まえたモビリティ・ロードマップ2025をまとめ上げていただき、本当に感謝申し上げます。個別の施策や取組に関して特段大きな異論はありません。今回示していただいたモビリティ・ロードマップ2025の章立てについて、モビリティ・ロードマップ2024との関連性があまり確認できないと感じました。具体的には、モビリティ・ロードマップ2024に提起した問題や課題がどのように取組まれ、どこまで解決されたのか、または進展があったのか、現段階での位置づけや関係性が少し確認しづらい章立てになっているように思います。全体の流れを大きく変えるのは難しいかもしれませんが、持続性のある文章表現に配慮していただけると良いと感じました。そうすることで、皆様が取組んでいる施策の価値や制度の効果がより確認しやすくなると思います。ぜひご検討いただければと思います。
麻山参事官: ありがとうございます。これから文章化する際に検討いたします。現時点では、資料4の参考資料に関係府省庁の施策の進捗状況と今後の取り組みを記載し、進捗がどのように進んだかを踏まえて今後の方針をまとめていきたいと考えています。村上統括官、よろしくお願いします。
村上統括官: 頂いたいくつかのコメントに対してお答えします。一つ目に、保険の問題は非常に重要だと思います。特に事業化を考えると、保険のあり方はおっしゃる通りです。現状の発想では、運行管理システムに起因するリスクと車両自体の性能不足に関するリスクについて、保険は別々にあり、事業者が分離すると、それぞれが掛けることになります。ここにおいて、問題発生時の責任分解点が、両者の間で明確に引かれていることが重要です。昨年のサブワーキングでの議論とも関連してくると思います。岡本構成員からご指摘があった通り、レイヤーを業務要素で分けることと、異なるレイヤーを単一の事業者で運営することの是非は、それぞれ別の問題だと思います。逆に言うと、保険のあり方が合理的であるために、両者を一緒に運営するという議論も成り立つかもしれません。現状、車両保有の観点から見ると、補助金なしで事業化を進めるのは全く台数が足りないため非常に難しい状況です。事業化するためには100台どころか、最終的には数千台の規模で事業化を考えなければならないでしょう。そのためには、エリア横断的に切り離すべきか、運行管理システムを含めた巨大な運行管理事業が我が国で育つべきか、まだ明確な方向性が見えていない状態です。このような状況において、どちらの方向が望ましいかについて、皆様のご意見を伺いたいと思います。
土田課長からいただいたご意見はおっしゃる通りだと思います。事務局としては前向きに進めます。特に「交通空白地」ではなく「『交通空白』の解消」として大々的に表してほしいとのご要望は、我々としては大変歓迎です。また、潜在需要について、この用語は、本ワーキンググループで通じますが、より直感的にわかりやすい用語なのかと悩んでおります。交通商社が顕在化させるべき潜在需要について、より良い表現があればぜひ教えていただけると嬉しいです。
また、石田構成員のコメントとも関連しますが、地域の交通空白の解消に向けてモビリティサービス全体がどうあるべきか、それに対して自動運転車両がどのように関与していくのかを語る必要があります。これにより、重点的に支援すべき地域に求める要件も明確になると思います。関係府省庁と議論してまいりますが、構成員の皆様からも、有人運転を含めた全体像や、順次自動運転が置き換えていける部分についてのイメージがあれば、ぜひお聞かせいただければと思います。
エネルギーとのマッチングについてもご指摘の通りです。まだ議論があまり進んでいない分野だと思います。電力業界からも交通商社との関係で関与できる点についてご教示いただければと思います。例えば、分電盤のデータを5分ごとに分析することで、波形の特性から家庭内の機器の動きを把握でき、ひいては行動パターンもわかるという技術の進展も踏まえたご発言だったと思います。このような技術を交通商社に活かす方法についてさらに知恵をいただけると嬉しいです。
章立てについては波多野委員がおっしゃった通りです。あまり構成を大きく変えてしまうと、連続性や進捗の確認が難しくなるという点には私も同意します。そのため、構成を工夫するか、モビリティ・ロードマップ2024からの進捗部分を何らかの形で見えやすく取りまとめてどこかに入れるか、どちらが良いかをよく検討したいと思います。ロードマップと言う以上は、昨年からの進捗が見えやすいような配慮をしたいと考えています。
また、日高構成員が言われたモデルアーキテクチャについては、作りたいし、作るべきだと思います。ただ、それが実現可能かどうか引き続き検討したいと思います。
麻山参事官: ありがとうございます。日高構成員、よろしくお願いします。
日高構成員: 交通空白について土田課長に質問がございます。多くのバス事業者や鉄道事業者からの減便・廃線の申請が相次いでおります。学校に行きにくい、もしくは行けなくなったという方々の声が非常に多くなっています。この解消は必要です。しかし、合理的に事業を運営している民間事業者でさえ撤退しています。もし採算性の悪い自治体のサービスが提供されれば、その後の税負担が増大することが懸念されます。基本的には交通空白を埋めていくという方針なのか、要不要の判断を行うのか、この線引きについて、土田課長からお話しいただけることがあれば、非常にありがたいです。
麻山参事官: ありがとうございます。土田課長、よろしくお願いします。
土田課長(国土交通省 総合政策局 モビリティサービス推進課): 私どもとしては、交通空白をすべて埋めるという意気込みで取組んでおります。繰り返しになりますが、交通空白自体は地域の交通事業者の状況や住民の意向を含めて、本当に千差万別です。何をもって交通空白とするのかは、その地域の首長に一義的にご判断いただくべきだと考えています。現在、私どもとしては各自治体に対して「交通空白は存在していますか」というアンケートを実施したいと考えています。これは、まず自治体がどのように交通空白を捉えているのかを重要視しているからです。もし自治体が「交通空白の問題意識があります」との回答があれば、それに対して私どもが持っているさまざまなリソースを投入し、最大限の伴走支援を行いながら、解消に努めていきたいと考えています。
日高構成員: 首長が判断するため、地域住民の方々の意向が反映されているはずで、議会でもその議論が行われていることから、必要な地域に必要な支援がされていくと理解しました。ありがとうございます。
麻山参事官: ありがとうございます。石田構成員、よろしくお願いします。
石田構成員: 村上統括官のおっしゃった交通空白解消と自動運転の立ち位置について、一般によく言われるのは、ドライバー不足を解消するために自動運転を導入すればよいということです。しかし、私はそれが交通事業者の視点に偏っていると最近強く感じています。市民が自ら交通サービスの供給者であり、利用者となるという試みが、小規模ながら日本の各地で見られています。こうした市民主体の取り組みをどう支援するかは、事業者目線ではなく、地域住民の視点から考える必要があります。このような観点を取り入れていただきたいという思いです。私の先ほど発言の補足でございました。
麻山参事官: ありがとうございます。若菜構成員、よろしくお願いします。
若菜構成員: 運転手の人材不足の実態についてです。需要が集中する時間帯があり、特に朝の9時台や昼前後にピークがあります。一方で、それ以外の時間帯はタクシーのドライバーも比較的暇であるという状況が見受けられます。タクシー事業者からは「交通空白地ではない。交通空白地とは言わないでほしい」との声も聞かれます。自動運転を導入する際には、ピーク時不足する時間帯に入れるのか、あるいはベースの運行を自動運転に任せてピーク時にはタクシーや住民が補完するのか、需要の時間的なばらつきが大きいことが、旅客輸送における一番の難しさだと感じています。この観点からも考慮が必要だと思います。
地域交通に関しては、幹線、支線、葉っぱという考え方があります。私の感覚では、幹線は事業者が運行する乗り合いの大型路線バスです。葉っぱへのドアtoドアの自動運転導入は道路状況を踏まえると現実的ではないと考えています。むしろ、支線に自動運転を導入するのが現実的だと思います。特に、バス事業者が撤退し、市町村が小型車両でコミュニティバスを運行しているところに自動運転を導入するのが一番リアルな選択肢だと感じています。
保険の質問についてご回答いただきありがとうございました。ライドシェアに関しても、現場での導入に際し、保険の開発が遅いです。保険会社や業界に働きかけて、適した保険を早めに開発する国の支援をいただきたいと思います。
麻山参事官: ありがとうございます。土田課長、よろしくお願いします。
土田課長(国土交通省 総合政策局 モビリティサービス推進課): 石田構成員のご意見に関してコメントいたします。住民主体のサービスについて、許可登録を要しない実費のみを徴収する共助版ライドシェアや、自家用有償運送の枠組みで、自治体だけでなく、NPO法人、まちづくり協議会、地域運営組織(RMO)が運営する公共ライドシェアのような取組などが交通空白を埋める手段として各地で広がりつつあります。自動運転がこれらの運送手段にどのタイミングで取り込まれるかについては、今後の議論が必要かもしれませんが、現場ではそういったサービスについても、地域の移動需要の実態を把握し、地域の実情に合わせた形で導入の支援を行っていきたいと考えています。
麻山参事官: ありがとうございます。村上統括官、よろしくお願いします。
村上統括官: 今日の議論を踏まえて、重点化すべきゴールや求めるべき要件について考えてまいります。難題でございますが、物流も含めて考えていきたいと思います。先ほど若菜構成員がおっしゃったルートからの考え方、車両の種類の議論、経済産業省が進めているハブの整備に関する要件、国土交通省道路局が行っている路車協調の取組などいくつか要件がございます。デジタル庁から整理してご提示しますが、ぜひ関係府省庁からも入れるべき要素をご指導いただきたいです。構成員におかれましても、もし政府が特定のエリアを絞って重点的に支援を行うのであれば、満たすべき要件についてのアイデアをぜひお聞かせください。本日はさまざまな観点から貴重なご意見をいただき、本当にありがとうございました。
麻山参事官: ありがとうございます。発言できなかったご意見は事務局にお送りいただければと思います。特に、重点的に進めるべき要件に関して知恵があれば、引き続きいただければと思います。よろしくお願いいたします。
さて、今後のスケジュールについてご説明させていただきます。資料3の3ページをご覧ください。次回のモビリティワーキンググループは5月19日を予定しております。ここでは、本日の議論の対象にはなっていませんでしたが、サブワーキンググループに関する施策の進捗状況をご説明させていただきます。さらに、モビリティ・ロードマップ2025の文章案を示し、ご議論いただきたいと思っております。最終的には、6月上旬頃にデジタル社会推進会議にて、モリティ・ロードマップ2025を決定する運びになるかと思われます。以上が今後のスケジュールに関するご案内です。本日の議題は以上ですが、ワーキンググループの閉会にあたり、全体を通じて森主査より総括をお願いしたいと思います。
森主査: お忙しいところ、皆さんにはたくさんの方に会議に参加いただき、ありがとうございます。また、積極的な討論をいただき感謝申し上げます。今日はデジタル庁が議論用の要素分析表を出していただいたことで、議論がかなり活発になったと感じています。三つに分けて考えるというアプローチは、わかりやすい議論を誘導するために有効だと思いました。
後半で話題になった交通空白の探し方や潜在需要の捉え方についてです。例えば、高齢者が通院や買い物を一緒に行く等で、工夫しているケースもあります。現状だけで需要を探し出すことや空白を見つけるのは難しい課題です。国土交通省 物流・自動車局がとっているアンケートや、実運用に近い地域での実態調査により、年代別の発生・集中交通量、トリップ数を把握し、年代別人口を掛け合わせることで、どのくらいの需要があるのかを見極めることができます。これにより推計された需要と、実際に運用されている供給を比較すると、興味深い分析ができるかもしれません。これにより交通空白を探すことや、潜在需要をどう捉えるかという数値的な解析に繋がりうると考えて、聞いておりました。
いずれにせよ、来年度に向けて重点的に取り組むべきエリアを絞って議論していくことが重要です。伊予、前橋、日立、みなとみらい等の自動運転の取組みを行っている地域や、100箇所を目指して取組んでいる地域を検討すると、モデルとして目指すべき地域が10程度見えてくると考えています。
あとは関係府省庁のご支援を合わせて取組んでいければと思います。私が聞いている話の中では、自動運転レベル4の実験をするにしても、自動運転の認可あるいは道路使用許可等に一貫性がないという話をお聞きしております。関係府省庁の方々は少し勉強しておいていただければと思う次第です。
最後に、今後更新するモビリティ・ロードマップ2025についてです。参考資料の中に記載されている取組は、関係府省庁別の分類でよいのかという問題もありうると思います。その点を含めて今後ご検討いただければと思います。
いずれにしましても、ある程度地域を限定して、施策を集中的にやっていこうという流れは出来上がってきていると思っております。このモビリティ・ロードマップ2025の取りまとめフェーズに入らせていただければと思います。ぜひ関係府省庁で連携をとっていただいて、ブラッシュアップを図っていただければと思います。まだまだ課題はありますけれども、100箇所近い実験の実践や、首長のアンケートを含めてニーズ把握の実施を踏まえれば、重点的な形で自動運転を実現させる日も近いと思います。以上を私としては期待して、ご挨拶と最後の締めくくりとさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
麻山参事官: 本日も様々なご助言をいただき、ありがとうございました。追加のご意見やアドバイスなどがございましたら、来週末までに事務局にお寄せいただければありがたく存じます。本会議資料は、デジタル庁ホームページにて公表させていただきます。議事録は、有識者の皆様に内容をご確認いただいた後、同様にデジタル庁ホームページで公表させていただきます。次回につきましては、先ほどご案内させていただいた通りです。これから文章として取りまとめていく中で、かなり時間が限られる中、関係府省庁の方にはご協力をいただくことになるかと思います。ゴールデンウィーク前にはなりますが、引き続きご協力をお願いいたします。第9回モビリティワーキンググループについては、これで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
以上