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データセキュリティワーキンググループ アイデアソン(2025年9月1日開催)

2025年9月1日(月)、デジタル庁にて、データの防護措置のマッピングを目的とした「アイデアソン」を開催しました。データセキュリティワーキンググループの委員を中心に、学識経験者、法律実務家、事業者、技術者等から13名が参加し、生成AIを活用したユースケースを題材に、どのような場面でどのような措置を講じることができるのかを検討しました。参加者間で活発な議論が交わされ、実務的な視点と技術的知見が融合した有意義なイベントとなりました。

目次

  1. イベントの概要
  2. イベントの特徴
  3. イベントの成果
  4. 今後の展開
  5. 関連情報

1. イベントの概要

アイデアソンの目的

AIをはじめとした先端技術の登場により、企業、産業、国境の壁を越えてデータを連携・共有して利活用する機会が増加する中、我が国が提唱したDFFT(Data Free Flow with Trust)の重要性は一層高まっています。デジタル庁が2024年11月に立ち上げたデータセキュリティワーキンググループでは、DFFTの理念を具体化するため、我が国におけるデータセキュリティの在り方について検討を進めてきました。
その検討の一環として開催された今回のアイデアソンでは、ワーキンググループで議論されているプライバシー強化技術(PETs: Privacy Enhancing Technologies)等のデータ自体を防護する措置について、データのライフサイクルに応じたマッピングを目的として実施しました。

アイデアソンの体制

学識経験者、法律実務家、事業者、技術者など多様な専門性を持つ参加者を2チームに分け、以下の流れで検討を行いました。

アイデアソンの流れ

  1. 生成AIのモデル生成時におけるデータの防護措置の検討
    • 技術的リスクの抽出
    • 技術的措置の検討
    • チームごとの発表
  2. 生成AIを活用した推論時におけるデータの防護措置の検討
    • 技術的リスクの抽出
    • 技術的措置の検討
    • チームごとの発表
  3. 講評
    デジタル庁からは、統括官、CCO(Chief Cloud Officer)、審議官、参事官等が参加し、検討内容に対しての所感を述べました。

参加者

  • (WG座長)稲谷 龍彦 京都大学大学院法学研究科 教授
  • (WG委員)大野 健太 株式会社Preferred Networks エンジニアリングマネージャー
  • (WG委員)神田 雅透 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)セキュリティセンター 技術評価部 部長
  • (WG委員)北山 昇 森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士
  • (WG委員)酒井 啓亘 早稲田大学法学学術院 教授
  • (WG委員)坂下 哲也 一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC) 常務理事
  • (WG委員)佐藤 恵一 株式会社日立製作所 公共システム事業部パブリックセーフティ推進本部 パブリックセーフティ第二部 部長
  • (WG委員)菊池 亮 NTT株式会社 社会情報研究所 主任研究員
  • (WG委員)高橋 克巳 NTT株式会社 社会情報研究所 主席研究員
  • (WG委員)竹之内 隆夫 株式会社Acompany 執行役員VP of Public Affairs/ プライバシーテック協会 事務局長
  • (WG委員)細川 光太 住友電気工業株式会社 情報システム部 セキュリティ技術グループ グループ長
  • (有識者)春 友彦 SBテクノロジー株式会社 法人システムインテグレーション本部シニアコンサルタント
  • (有識者)東 久貴 サイバートラスト株式会社 グローバル事業推進室プリンシパルコンサルタント
  • (事務局)蓮井 智哉 デジタル庁 統括官
  • (事務局)山本 教仁 デジタル庁 Chief Cloud Officer

2. イベントの特徴

本アイデアソンには、以下の特徴があります。

  1. 学識経験者、法律実務家、事業者、技術者といった幅広い知見を持つ参加者によるチーム構成により、実務的な視点や技術的知見が融合した議論を実現しました。
  2. 2チームに分かれて検討・発表を行うことで、異なる視点やアプローチに気づく機会が生まれました。
  3. 生成AIを活用したユースケースを題材にすることで、具体的な検討が行われました。また、限られた時間の中で密度の高い議論を行うために、事前にデータの越境移転に伴うリスクを整理・明確化しておいたことが、場面ごとの技術的観点からのリスクとその対応策として講じ得る措置にフォーカスした検討を可能にしました。
(有識者が2チームに分かれ検討を深めている様子)
有識者が2つのチームに分かれて座り、付箋等を使いながら真剣な面持ちで議論をしている写真
(北山弁護士がチームの成果を発表している様子)
写真右側に北山弁護士が写っており、立ちながらマイクを持って壁に貼られた紙を見ながら話している。写真中央から左にかけて参加者が写っており、立ちながら話を聞いている。
(参加者の集合写真)
参加者が前後2列に並んだ集合写真。前列中央の3名は手にマイナちゃんのぬいぐるみを持っている

3. イベントの成果

アイデアソンの最大の成果は、特定のシナリオを基礎として、データが越境移転する際に直面するリスクを起点に、技術的措置を体系的に洗い出し、データライフサイクルに応じた防護措置のマッピングを行うというアプローチを実行、マッピングの素案を作成できたことです。
4時間という短い検討時間の中で、各参加者が専門的な知見を持ち寄り、データのライフサイクルにおける各フェーズのリスクと技術的措置を整理することができました。

4. 今後の展開

今後は、以下の事項を目指して取り組みを進めていきます。

  1. 今回のアイデアソンの成果を含むデータセキュリティワーキンググループのとりまとめを作成し、データセキュリティに関する我が国の考え方を整理します。
  2. 国内の検討成果を国際的な議論の場においても積極的に発信していくことで、DFFTの理念の具体化に貢献していきます。