【ガバメントAI 源内アプリ解説】行政実務用RAG

目次

はじめに:「行政実務用RAG」アプリ解説

デジタル庁 源内班の職員が、モニターに行政実務用RAGの画面を表示しながら、アプリについて説明している場面。

システムの使い方を調べたいのに、マニュアルが膨大で該当箇所を探すのに時間がかかる。業務上の細かいルールや知識が一部の担当者に偏り、組織の中でうまく共有できていない。そんな経験はありませんか。こうした業務課題は、ガバメントAI 源内で「行政実務用RAG」アプリを作れば解決できます。

この記事では、デジタル庁 源内班の高橋初菜が、「行政実務用RAG」について画面に沿って解説します。
以下、高橋による解説です。

膨大な業務文書と知識の属人化

行政では担当業務ごとに、マニュアルやガイドライン、報告書など、さまざまな業務文書を抱えています。

一方で、ファイルの数が多かったり、一つ一つの分量が膨大だったりすると、業務の手順や根拠を確認するのは大変です。結局分かる人に頼ってしまうなど、知識も属人化しがちです。

RAGで業務文書をAIが参照

利用者がAIに自然な質問・指示を入力し、AIが整理・分析・比較・要約して回答することで、膨大な資料の読み解きや情報の検索などの手間を省けることを示したイラスト説明図。

こうした課題を解決するのが、ガバメントAI 源内のアプリの一種、「行政実務用RAG」です。

「RAG」とは「検索拡張生成」と呼ばれるもので、あらかじめAIに外部データを与えることで、AIがその情報を参照できるようにする技術です。この外部データとして、マニュアルやガイドライン、報告書などの業務文書を登録したのが「行政実務用RAG」です。

利用者が自然な質問や指示をするだけで、膨大な情報からAIが関連情報を探し、情報の整理・分析・比較・要約を行います。膨大な資料を読み解いたり、専門的な情報を探したりする手間を大きく省けます。

事例1 EASY質問応答-RAG:決裁文書の起案方法を確認

EASY質問応答-RAGのトップ画面。

源内では、これまでにさまざまな「行政実務用RAG」アプリが開発されています。その一つが「EASY質問応答-RAG」です。

このアプリには、行政文書の電子的管理システム「EASY」のマニュアルやよくある質問集などが登録されており、EASYの操作方法や手続に関する質問に答えます。(※注:府省庁によっては提供されていない場合があります)

操作の流れ

①質問欄に、

決裁文書を起案する方法を教えてほしい。

と入力します。

EASY質問応答-RAGの質問欄に、決裁文書を起案する方法を尋ねる質問を入力した画面。

②AIが、登録された資料を参照して回答します。決裁方法や件名などの基本情報の入力から、決裁ルートを設定して起案を完了させるまでの流れが示されます。

EASY質問応答-RAGが、決裁文書の起案から完了までの流れを回答した画面。

③回答には、AIが参照したファイル名とページ番号も表示されます。元の資料と照らし合わせて、回答に誤りがないかを確認できます。

注意点

AIの回答には、誤りや抜けが含まれる場合があります。最終的な確認は必ずご自身で行ってください。特に日付・文書番号・数値は、引用元の資料で確認してください。

問い合わせ窓口の負担軽減にも

このようなアプリがあれば、利用者は自然な言葉で疑問を簡単に調べ、必要な情報にたどり着きやすくなります。

また、利用者が自分で疑問を解決できるようになることから、問い合わせ窓口の負担軽減も期待できます。

事例2 文書管理質問応答-RAG:組織のルールに則った回答

文書管理質問応答-RAGのトップ画面。

組織に特化した活用の参考事例として、デジタル庁では、庁内の規程やガイドラインを読み込ませたアプリも開発されています。その一つが「文書管理質問応答-RAG」です。

このアプリには、デジタル庁の文書管理に関する規程類が登録されており、文書管理の方法や解釈などの疑問に答えます。(※注:本アプリはデジタル庁内向けのものです)

操作の流れ

①質問欄に、

ウェブサイトやSNSに掲載した情報は行政文書に該当しますか。

と入力します。

文書管理質問応答-RAGの質問欄に、ウェブサイトやSNSに掲載した情報が行政文書に該当するかを尋ねる質問を入力した画面。

②AIが規程をもとに回答を出力します。
ウェブサイトやSNSに掲載した情報は行政文書に該当します。
と回答したうえで、その理由や、
行政文書ファイル管理簿への記載では、保存期間を「無期限」等とし、保存場所を「○○省ウェブサイト」等と記録することが適切とされています。
といった、適切な管理方法を示します。

文書管理質問応答-RAGが、ウェブサイトやSNSに掲載した情報は行政文書に該当すると回答し、その理由と管理方法を表示した回答画面。

このように規程やガイドラインを登録しておけば、組織のルールに則った回答を自動で生成できます。また、知識を特定の担当者に頼らず、誰もが活用できるようになり、業務の属人化を防ぐことにもつながります。

注意点

判断に用いる際は、回答の根拠となった規程の原文を確認してください。
質問に入力する内容は、源内で取り扱える情報の範囲に注意してください。
(※注:源内で取り扱える情報の範囲はそれぞれの府省庁のルールを確認してください)

行政実務用RAGアプリの開発

府省庁等がデジタル庁へ開発依頼と業務文書の提供を行い、デジタル庁がアプリを開発し、開発後は原則としてガバメントAI 源内上に公開する、行政実務用RAGアプリの受託開発の流れを示したイラスト説明図。

デジタル庁では、行政実務用RAGアプリを府省庁などの希望に応じて開発する事業を進めています。
希望する場合は、デジタル庁へ開発をご依頼いただくとともに、AIに参照させたい業務文書を提供していただきます。対象となるのは、複数の府省庁などでの利用が見込まれるアプリです。開発後は、原則としてガバメントAI 源内上に公開されます。詳しくはデジタル庁にお問い合わせください。

まとめ

この記事では、業務文書を登録してAIに参照させる「行政実務用RAG」を紹介しました。
これまで膨大な資料をめくり、誰かの記憶に頼っていた確認作業も、業務文書をAIで集約すれば、誰もが必要な知識を引き出しやすくなります。

SEABISの操作方法の確認は「【ガバメントAI 源内アプリ解説】SEABIS旅費・謝金システム質問応答-RAG」、法制度の調査は「【ガバメントAI 源内アプリ解説】法制度に関する調査(Lawsy)」の動画・記事をご覧ください。

行政実務用RAGを開発・活用して、いまの業務を一歩でも変えてみませんか。