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RegTechコンソーシアム キックオフイベント「RegTechDay」

デジタル庁では規制が求める目視や巡回等のアナログな手段を代替するテクノロジーの総称を「RegTech」ととらえ、規制の見直しに取り組む関係者の意見交換や情報共有を目的とした活動をRegTechコンソーシアムとして実施しています。

今回、RegTechコンソーシアムのキックオフイベントとして、「RegTech」の動向を踏まえた規制のあり方等についての理解を深めるため、2023年10月27日(金)13時よりオンラインイベント「RegTech Day」を生配信しました。当日の視聴者数は447名、同時視聴最大224名、のべ視聴回数958回と多くの方にご視聴いただきました。

本イベントは、河野大臣による開会の挨拶に始まり、アナログ規制の見直しに関する基調講演の後、パネルディスカッション形式で有識者等による規制見直し関する様々な意見交換が実施されました。

イベント概要

開催日時:2023年10月27日(金)13時00分から15時00分

開会の挨拶

河野大臣は開会の挨拶で「アナログ規制の見直しを通じて、社会のデジタル化が加速する未来を、少しでも多くの皆様と共有したい。」とRegTech Dayへの期待を語りました。

出演者:

  • 河野太郎デジタル大臣

基調講演:アナログ規制の見直しについて

中央大学大学院法務研究科の安念氏より、アナログ規制改革による効果、ドローン・画像解析技術を活用した河川巡視等の技術を活用したアナログ規制の見直し事例、テクノロジーマップや技術カタログについてご説明いただきました。

アナログ規制の見直しは、単に手書きで実施している業務を技術で置き換えるということではなく、デジタル化によって生産性向上等の新たな価値を創出することが重要であることを強調するとともに、「もっとこうすると良くなるといったご意見をいただくことで、希望が持てるような社会にしていきたい。」と今後の展望を語りました。

資料:

講演者:

  • 安念潤司 中央大学大学院法務研究科 教授・弁護士

パネルディスカッション第1部

アナログ規制撤廃の先に

パネルディスカッション1部では、石川副大臣と世の中のデジタル化を牽引する有識者が「アナログ規制が見直された先に待っている日本社会の姿の展望」にまつわる熱い議論を繰り広げました。

初めに、石川副大臣より、デジタル庁におけるアナログ規制の見直しに関する取組を紹介しました。

アナログ規制が見直され、デジタル技術を使う世の中とするために、備えていかなければいけないことはどのようなことでしょうか。

島田氏は「(アナログ)規制ができた背景を踏まえた上で、技術を活用した規制のあり方を再設計することで、世界で最も進んだデジタルインフラを作ることができるのではないか。」、登氏は「パブリッククラウドは少人数で運用しているため、クラウド等の基盤技術を強化しつつ、規制のデジタル化を進めていかなければ、クラウドに何かあった場合、重要な業務が止まる可能性がある。」と意見を述べました。

次に、石川副大臣より、テクノロジーマップ、RegTechコンソーシアムやデジタル法制審査に関する取組を紹介しました。

技術の進展にルールがキャッチアップしていくことが必要だが、どのような仕組みがあるとよいでしょうか。

島田氏は「イノベーションを活性化することが大切でその上で重要としているのは、どのような要件項目を満たせば技術を使ってもらえるのかを提示する等、チャレンジしたい人が入れるようにすることが大切ではないか。」、登氏は「技術者と行政関係者が信頼関係を確立することで、デジタル敗戦を乗り越え、日本は復活できるのではないか。」と意見を展開しました。

議論を振り返り、石川副大臣が「規制は国の法律が規律するものだけではなく地方自治体の現場レベルでも多数存在する。地方自治体の皆様にもテクノロジーマップ、技術カタログを参照し、規制の見直しに取り組んでいただきたい。そういったお手伝いもデジタル庁としてはしていきたい。」とさらなる規制のデジタル化に向けて改めて意気込みを語りました。

最後、モデレーターの増島氏が「政府、政治、民間の皆様が立場を超えて、一緒になって切磋琢磨していい日本にしていくという想いが重なって初めて、デジタル社会で日本がいい状態になれるのではないか。」と今後の展望も含め、総括しました。

パネルディスカッションの様子。左から増島氏、石川副大臣、島田氏、登氏が並んでいる。

出演者:

  • 島田太郎 株式会社東芝 代表執行役社長CEO
  • 登大遊  独立行政法人情報処理推進機構 サイバー技術研究室 室長
  • 増島雅和 森・濱田松本法律事務所 弁護士(モデレーター)
  • 石川昭政 デジタル副大臣

パネルディスカッション第2部

パネル1:生成AI時代と規制のあり方

パネルディスカッション2部では、最先端の技術の代表でもある生成AIをテーマに議論を交わしました。

AIがスムーズに人間の役に立つようにするためには、規制をどのようにしていかないといけないのでしょうか。

落合氏は「性能規定化をしていくことが大事。事業者の創意工夫をしていける部分は、目標を定めた上で、手法自体を自由化していく。」、上野山氏は「状態を把握してからどう規制しようか考えるが、状態の把握自体も難しくなっている。規制のやり方も今までのやり方と変えていくという流れの中にいる。」とコメントしました。

AIが浸透した世の中において規制はどうなっていくのでしょうか。

落合氏は「法令自体を書き直していくのは難しくなってくる。技術や社会の状況の変化を踏まえて、規制自体をどのように運用していくのか、素早く変化させていくことができるようにしていくことが重要。」、上野山氏は「テクノロジーと規制の境界がとけて、1つのものに溶け始めているところの入り口に立っているのではないか。」と意見を述べました。

続いて、テクノロジーと規制の接合面をRegTechととらえ、RegTechをテクノロジーマップ※として可視化する取組を高橋氏から紹介がありました。
高橋氏は、「テクノロジーマップ作成のために、1万条項の分析を人間の手で夜な夜なやったが、生成AIが活用できるようになれば、スピードを持ったサイクルでできるし、将来の技術トレンドや技術の成熟度を予測してマップ上に掲載して先読みするようなものにできるのではないか。」と説明しました。

上野山氏は「技術に基づいたフレームワークが提示されることで、技術に基づいた議論がかなり加速すると楽しみに見ている。」、落合氏は「今後、どのように社会的に運用できるようにしていくのか、経験者を実務の中にどう配置していけるのかが重要。」と述べました。

※テクノロジーマップ
テクノロジーマップは、規制所管省庁等が技術動向を踏まえて自律的にデジタル実装や規制の見直しを推進していけるよう、規制と技術の対応関係を関係を下図のように整理・可視化したものです。詳細はテクノロジーマップ・技術カタログに関する取組をご確認ください。
テクノロジーマップ パターン1(規制の判断・対応内容に着目)のイメージ図
アナログ規制を類型化し、使える技術をテクノロジーマップで可視化するといった取組を人海戦術で進めてきたが、次のステップとして優先的に取り組むべきことは何でしょうか。

高橋氏は「現在の環境や技術を踏まえて、そもそも規制はどうあるべきかという規制の要求する機能自体を変えていく議論をしていくべき。」、落合氏は「テクノロジーマップを使えるようにしていくためには、データの利活用ができていくことも重要。」、上野山氏は「コミュニケーションを円滑にしていく部分にテクノロジーが活用できているが、まだ、いろいろなコミュニケーションが未来から見ると壊れている。デジタル庁の業務をもう一段デジタル化し体感したことを他省庁に展開すると面白いと思う。」と期待を示しました。

議論を振り返り、モデレーターの須賀参事官が、「お互い領空侵犯をしあう、おせっかいをしあうというコンセプトでRegTechに関わっていけたらと思う。そしてお互いに共進化する。そのためにRegTechコンソーシアムへのご参加よろしくお願いします。」と総括しました。

パネルディスカッションの様子。4人の出演者がオンラインで参加している様子が映されている。

出演者:

  • 上野山勝也 株式会社PKSHA Technology 代表取締役
  • 落合孝文 渥美坂井法律事所・外国法共同事業 プロトタイプ政策研究所 所長・弁護士
  • 高橋久実子 株式会社三菱総合研究所 研究員
  • 須賀千鶴 デジタル庁 参事官(モデレーター)

パネル2:インフラメンテナンスDX

モデレータの小川氏より、規制対応において期待されるテクノロジーを表現したRegTechについて紹介しました。

RegTechを促進していくために必要な仕組み、課題は何でしょうか。

岡田氏「技術普及のためには性能発注方式への移行、くわえて公的機関による技術認証が重要である。」、江崎シニアエキスパートは「 デジタル化で、今までつながっていなかったものがつながる。サイバーセキュリティを最低限保有したものでつなげることで、安心して新たな価値を創造できる。」、豊田氏は「建築土木業界だと、BIMを目的としたサイロの中での最適化という細かい話になりがち。ドメインに閉じている技術、規制的な常識が、他のドメインから見たらどう見えるのかを相対的に記述してあげることが大事。」と回答しました。

RegTechにより生成される新たな付加価値の利活用のために必要な仕組みは何でしょうか。

豊田氏は「個人情報保護法と都市空間の記述が組み合わさった時に、どういうリスクを生むのか、価値を生むのか等、未知の領域がどんどん出てくるので、このような領域の見える化と開発と規制の3本柱で進めていくべき。」、江崎シニアエキスパートは「これまでは他の人が入ってほしくないためにルールをつくっていた。協調できる形にルールを変えるとともに、今までつながっていなかった人が話せる共通の何かを作る必要がある。」、岡田氏は「レピュテーションをトリガーとした地域毎の新技術導入ネットワークの構築などのビジネス環境の整備が重要である。」と意見を述べました。

議論を振り返り、モデレーターの小川氏が「最先端テクノロジーの社会実装は単純にコストだけの話ではなく仕事の働き方も変わってくる。我が国におけるイノベーションの活性化に非常に期待を寄せている。」と総括しました。

パネルディスカッションの様子。4人の出演者がオンラインで参加している様子が映されている。

出演者:

  • 岡田有策 慶應義塾大学理工学部 管理工学科 教授
  • 小川恵子 EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 バンキングキャピタルマーケットリーダー、レグテックリーダー(モデレーター)
  • 豊田啓介 東京大学生産技術研究所 特任教授
  • 江崎浩 デジタル庁 シニアエキスパート

閉会の挨拶

「RegTechDay」オンラインイベントの締めくくりに、江崎デジタル庁シニアエキスパートは「RegTechコンソーシアムで、省庁の方々が会話をし、同じ技術をどのように利用するのかということを思いを馳せていき、産業界と一緒にやるということを、みんながやっていただければと思う。」と述べました。

また、須賀デジタル庁参事官が「テクノロジーマップのような形でデジタル庁があえて間に入らなくても、(規制分野における官民相互の)コミュニケーションがスムーズに成立する、というところまで早くいきたい。」とコメントしました。

出演者:

  • 江崎浩 デジタル庁 シニアエキスパート
  • 須賀千鶴 デジタル庁 参事官

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