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第7回デジタル社会構想会議

概要

  • 日時:令和5年4月25日(火)16時30分から18時00分まで

  • 場所:オンライン開催

  • 議事次第:

  1. 開会
  2. 議事
    (1)令和5年度重点計画における改定ポイントと目次(案)について
  3. 閉会

会議動画

会議の様子はYouTube(デジタル庁公式チャンネル)にて公開しています。

資料

議事録

事務局: 定刻となりましたので、ただいまから「デジタル社会構想会議」を開催いたします。

事務局を務めさせていただいております、デジタル庁の吉田でございます。よろしくお願いします。

本日、オンラインで開催いたしております。この会議自体は、座長に確認の上ですけれども、運営要領に基づいて、報道関係者ほか皆様に公開する形でオンラインで開催してございます。報道関係者の方々がオンラインで傍聴しているということでございますので、その旨、ご報告させていただきます。

それから、参考資料で川邊構成員の役職に変更がございましたので、これもこの報告をもって代えさせていただきます。

本日、8名の構成員がオンラインで出席予定と承知してございます。川邊構成員、國領構成員、夏野構成員、村岡構成員はご欠席、三木谷構成員が本日途中退席と聞いておりますけれども、まだ参加されていないような状況です。越塚構成員が途中参加と聞いております。

また、デジタル庁から河野大臣、大串副大臣にご出席いただいております。

それでは、ここからは村井先生、よろしくお願いいたします。

村井座長: 皆さん、こんにちは。本日はお忙しいところ、ご参加いただきましてありがとうございます。

それでは、早速始めたいと思います。最初に、河野デジタル大臣から一言ご挨拶をお願いいたします。

河野デジタル大臣: 皆さん、こんにちは。大変ご多忙の折、デジタル社会構想会議にご出席いただきましてありがとうございます。村井座長をはじめ、構成員の皆様に深くお礼を申し上げたいと思います。

デジタル社会の実現に向けた重点計画の今年度の改定に向けて、前回の構想会議では、デジタルによる変革の実現、提供者目線のみならず利用者目線、すなわち国民目線も重要であること、さらには国際目線の重要性など、貴重なご意見をいただいたところでございます。

今回も引き続き、重点計画の改定に当たってのポイントとその改定の目次案を事務局よりお示しいたします。これについてご意見をいただいて、前回の会議以降も例えばAIなどは待ったなしで議論、あるいは利用が進展をしておりますので、今日の議論を楽しみにしているところでございます。

私から一つ、重点計画について注文をつけさせていただきたいと思っております。重点計画の内容は構想会議における議論を踏まえて検討していくものでございますが、その表現ぶりについては、国民にとって分かりやすく、また、ポイントを絞って本当の意味で骨太の計画としていきたいと考えております。改定に当たって本文や工程表の作業の中で事務局にこういった趣旨の指示を出しているところでございますので、そこのところをご理解いただいて、よろしくお願いしたいと思います。

今日の会合では、今年の夏の重点計画の改定に向けて、引き続き構成員の皆様より大所高所より忌憚のないご意見をいただければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

村井座長: 河野大臣、ありがとうございました。

それでは、早速議事に入りたいと思います。今日の議事は、「令和5年度重点計画における改定ポイントと目次(案)について」という内容でございます。あらかじめここで改定ポイントと目次案を議論していただいて、そのことをまた取り入れて、先ほど大臣からお話があったように、次の会議でこの場での提案ということで確定する方向で議論していただきたいというのが本日の内容でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、重点計画の改定ポイントと目次案についてということで、事務局から資料1の説明をお願いいたします。

事務局: 統括官の冨安でございます。どうぞよろしくお願いいたします。資料に基づきましてご説明いたします。

1ページをお開きください。令和5年度重点計画改定に向けて構成員の皆様からいただいた視点、DXにおける「X」、要するにトランスフォーメーション、改革が非常に必要だということ、それから「供給サイド目線に加え需要サイド目線も」ということで、特にこれは一番下にあります「民間事業者との協働・APIによるシステム間連携を踏まえたアーキテクチャの検討」と、事前にいただいた意見なども踏まえてここを書いております。また、「国際目線」ということで、この三つの視点を、次から申し上げます今回の重点計画のポイントを貫く視点ということで考えたいと思っております。

次のページをおめくりください。事前にご相談したときと比べると、1から8のポイントが、例えばDXの「X」と需要サイド目線、国民目線の全部に重なってきておりまして、どれを考えるときにもやはりDXの「X」は必要だし、国民目線も必要だということで、結局全てにまたがるような感じになってしまいましたけれども、整理していくと、こういうことを考えるときには改革も必要だし、国民目線も必要だということであまりメリハリのない資料となってしまいましたけれども、こういうことで考えたいと思っております。

次のページがポイントになります。2枚に分けて紹介いたします。

まず、国民視点の指標設定ということで、マイナンバーカードからになるかもしれませんけれども、利用者等のデータを収集・共有、そして指標としていくということで、データに基づく政策判断をする分野のベースとなる指標、あるいはデータの収集をしていくということでございます。マイナンバーカードから始めますけれども、ほかの政策につきましても、検討の上、順次拡大していきたいと思っております。

二つ目は、これも前回、委員からお話がありました、マイナンバー制度、それからマイナンバーカード。マイナンバーカードはいわゆる公的個人認証等となるかと思いますけれども、それぞれの利活用の拡大ということで、マイナンバーカードにつきましては、国民の75%以上が申請いただいているということで、大分インフラとして整ってきておりますので、これをベースにして、ここに書いてありますようなこと、特に民間事業者にぜひともデジタルにおける最高の本人確認手段ということで利用していただきたいと思っておりまして、そういったことを拡大していきたいと思っております。

また、個人を一意に特定するIDであるマイナンバーにつきましては、現在、国会に法律を出しておりまして、ちょうど太田構成員には公聴会でもいろいろご協力いただきまして、ありがとうございました。本日、委員会で採決が行われております。今回の法改正案で3分野から拡大し、利用範囲を法律により規定いたしますけれども、拡大していくということでございます。今後も引き続きマイナンバー制度の推進を図ってまいりたいと思っております。

3ポツの「デジタル技術を活用した社会の実現に向けた仕組みづくり」ということで、デジタル臨時行政調査会でアナログ規制の1万条項に係る見直し工程表を作りましたので、これを実際に追いかけて2年の間に実施していくということで、これを追いかけることは非常に大きな進歩となっております。

4ポツの国民に早期に利便を届けるシステムアーキテクチャ、それを支えるシステム基盤、あるいはそれを前提としたシステム基盤ということになります。「公共サービスメッシュ」という言い方をしておりますけれども、民間サービスとも連携して速やかな公共サービスの提供を目指して、システムアーキテクチャを見直していきたいと思っております。

また、4行目以降にありますように、全体のシステムアーキテクチャを念頭に置きつつ、ガバメントクラウド、あるいはガバメントソリューションサービス(GSS)、地方公共団体のシステムの標準化等につきまして、しっかりと基盤を確立していきたいと思っております。

次のページをお願いします。「産業・地域・個別分野におけるDX等の推進」ということで、医療や防災等の準公共分野、それからデジタルインボイスをはじめとする取引のデジタル化、また、その先を見据えましたデータスペース構築等の総合連携分野、デジタルマーケットプレイス等の政府の調達の改革といったことを進めまして、さらなるデジタルトランスフォーメーション、DXの「X」の部分を進めていきたいと思っておりますし、こうしたことにつきまして、次に申し上げますAI利活用も重なりますけれども、各産業におけるデジタル競争力を高めていきたいと思っております。

また、デジタル田園都市国家構想でデータを使っていろいろと必要なサービスを提供していくということで、それを横展開していくということも大事な取組だと考えております。

6ポツは、大臣からもお話のありましたAI利活用、それからデータ戦略の推進ということで、政府全体でAIの利活用方針の検討を進めることが必要ということ、それからベース・レジストリの見直し等、データ戦略の見直しも併せて行うということ。

7番目は、ちょうど今週末、G7のデジタル・技術大臣会合がございますけれども、「国際的な官民連携枠組みの構築」ということで、G7デジタル・技術大臣会合でもそういったことが話題になって、これを今後進めていくということになろうかと思います。

8ポツは「司令塔機能・体制強化」ということで、施策を実際にしっかりとやるためには、デジタル庁の開発力、あるいはプロジェクト推進体制の人員の強化、また、それを支えてくれるであろう関係機関との連携強化、また、デジタル庁だけが人や体制を強化しても進みませんので、実際に各省のデジタル推進体制を強化して、各省がしっかり取り組んでいただくことが必要でありますし、日本国全体のデジタル人材の確保・育成も必要だと思っております。

以上が改定に向けたポイントになります。

続きまして、重点計画の目次ということで、6ページでございます。今、申し上げましたポイントは、第1の今回の重点計画において特に重要と思って目指すことということで特出しして整理していくのかなと思っています。また、重点計画は、デジタル庁のみならず、各府省が今後デジタルの関係で重要と思う施策を閣議決定していくということになりますので、そういった形で第3、第4、第5といろいろ施策が並ぶパーツがございます。

また、前回の事前の構成員の皆様のご意見を踏まえまして一部直しているところがございますけれども、特に赤字が昨年と変わっていくところになりますけれども、ただ、目次は変わらなくても、当然中身はブラッシュアップして必要なことをアップデートして書いてまいりますので、全体として新しいものを作っていくということになります。

以上でございます。

村井座長: ありがとうございます。

それでは、皆様からのご意見をいただきたいと思いますけれども、まず、途中退席をされる三木谷構成員から始めていただいてよろしいでしょうか。

三木谷構成員: 次の予定がありまして、途中退席ということで申し訳ございません。

デジタル化というのは本当に重要なことだと思っているのですけれども、何のためにやるかというと、これは手段であって目的ではないのだと思います。目的というのは、例えば経済が成長するとか、便利になるということだと思いますが、コストが下がっていくということも重要。ありがちなのは二重コストになって、結局経済が上がっていかないということ。中途半端なものをつくってしまうことで、実際にはより不便になってしまって二重コストになりリダンダンシーになってしまうということがあると思っています。

世の中的にはAIの進化が本当に幾何級数的に進んでいくのだろうと思います。国家のデジタル化を中心にした視点で言うと、どれだけデジタル力を上げるかということだと思うのです。この前、河野大臣とお話ししたときも、なかなかデジタル人材の確保が厳しいというお話でした。ではどうやって人材を集めるかということですが、例えば、高額の給料をもらうと、税金(個人の所得税と住民税)で半分近く持っていかれるという感覚になります。最高税率が55%になってしまうような人は日本には来ないということになるのではないかと思います。スポーツで例えると、選手がいないけれども野球をやっているみたいな世界になってしまうので、どうやってデジタル人材を日本に入れてくるかということが一つの大きなポイントだと思っております。人材の質も足りないのですが、数も足りない。

その一番大きな問題は、今日のテーマとは直接関係ないかも知れませんが、税金が高すぎる国は発展しないということだと思います。この30年間でアメリカのGDPは約4倍になっていて、日本は停滞している最大の原因はそういうところにもあると思っております。

それから、デジタル原則の徹底については、国でよくありがちな総論オーケー各論ノーという問題があります。例えば、要指導医薬品のネット販売について今まで戦ってきました。デジタル化の例外を認めてしまっている要指導医薬品のネット販売規制は象徴的なので扱ったら良いと思っています。デジタルで完全完結することによってオンライン診療なり、医療のユニバーサルサービスも実現し、国家の大きな財務負担になっている医療費も削減できる。これは今回のデジタル化の中で大きいポイントの一つだと思っています。

それから、今日の説明の中にありましたマイナンバーカードによるKYCは非常に良いことだと思いますが、カードありきという点については、正直に言ってカードは不要だと思っております。そこは立ち入ってはいけない議論なのかもしれませんが、カードという物理的な媒体は本当に必要なのでしょうか。時代も変わったので考えたほうが良いと思っております。

それから、マイナンバーカードによる本人確認というのは良いのですが、これはあくまでも利便性の中で選択肢の一つとして位置づけていただいて、必ずしもこれがないとできないということは、そうは言ってもいろいろな事情で取得できない方もいらっしゃると思いますので、これはあくまでも選択肢の一つとして使用すべきであり、結果的に便利だから使ってもいいということに留めるべきであると思っております。

以上です。

村井座長: ありがとうございました。

三木谷さんは途中退席されるので、ほかの件もそうなのですけれども、事務局のほうで今の三木谷さんの議論の中で何か反応や、受け止めなどコメントがありまたら伺っておこうかと思いますけれども、デジタル庁側からいかがですか。

事務局: 冨安です。どうもありがとうございます。

カードのところは、カードをなくすというところまではいかないのですけれども、今度、公的個人認証の機能につきましてはスマホに搭載していくということで、いちいちカードを当てなくても、スマホでぽちっと押せばマイナポータルの機能を使えるとか、本人確認ができるというふうに、スマホの中にカードの機能を入れていくということは、連休明けにAndroidからまず始まります。

ただ、どうしてもカードで本人確認するというのがトラストアンカーになっているものですから、1回だけはそこで本人確認をさせていただくので、カードを発行するというところが今は出発点となってしまっておりますけれども、なるべくスマホでもいろいろできるようにしていきたいなと思っております。

あと、税制のところは、申し訳ございません、この場ではなかなかしんどいのかなと思います。

あと、デジタル人材につきまして、実は今、デジタル田園都市国家構想会議のほうでもデジタル人材の話が出ておりますので、政府全体として、今は中にいる人材を育てるという話になりますけれども、ここは目標を掲げてしっかり取り組んでいきたいと思います。

三木谷構成員: 実際にわが社では何が起こっているかというと、開発拠点はシンガポールやインドなどに置いて、もうあまり日本には置かないというのがあります。こんなに税金が高い国に誰が来るのかという話ですので、この問題が解決されなければ、結局デジタル人材が来ないからデジタル化も進まないという元のところが一番大きいと正直思っています。

村井座長: ありがとうございます。

本日は目次の議論ですので、目次にはマイナンバーとのつながり、カードの有無、あるいはカードがこれだけ普及した後でマイナンバーの活用ということも前回の有識者の議論の中で出てきたので、それを目次に反映していただいているということだと思います。

そのほかに事務局側、あるいはデジ庁側で何かご発言がありましたら、三木谷さんが退室される前に伺おうと思いますが、よろしいでしょうか。

三木谷構成員: デジタル技術を活用した社会の実現に向けてということだと思うのですけれども、結局対面原則みたいなものがゾンビみたいに戻ってくるのです。何年か経ってほとぼりが冷めた頃に、やはりこれは対面でないと駄目だみたいな。

せっかくデジタル庁を作ったのですから、それを突破していただきたい。デジタル原則は例外なしだということを徹底していただかないと、先ほども言いましたが、デジタルとアナログが両方残ってしまうとダブルコストになり、結局コストアップになって、何をやっているか分からなくなる。基本的にはコストダウンするためにやっているのだと思いますので、ぜひ例外なくよろしくお願いします。

村井座長: 分かりました。最初に挙げていただいたコストの問題だと思いますので、しっかりと受け止めていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

三木谷構成員: どうもすみません。失礼いたします。

(三木谷構成員退室)

村井座長: それでは、本日欠席の村岡構成員から資料2にてご意見をいただいているので、これは事務局からご紹介していただけますでしょうか。

事務局: 資料2で、山口県の村岡知事から3点のご意見をいただいてございます。

一つ目が、地方自治体におけるガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへの移行についてということで、令和7年度までに全ての自治体が確実に移行できるように取り組む必要がある。そのための環境整備をお願いしたい。特に財政上の負担が生じないよう、所要額についてデジタル基盤改革支援補助金で確実に支援されるよう、重点計画の改定においては配慮をお願いしたい。

それから、マイナンバーカードの関係で、申請率が76.8%となり、利活用の段階に入っている。山口県でも80%を超えていて、様々な活用も予定されているということで、重点計画の改定に当たっては、司令塔であるデジタル庁が主導となり、関係府省庁と連携を図りながら国民がさらなる利便性向上を実感できる取組を進める。自治体におけるマイナンバーカードを活用した取組の拡大、このためのデジタル田園都市国家構想交付金等による自治体への支援を強化する旨を記載いただきたい。

最後はAIについてでございますけれども、生成系AIの先端技術で新たなサービスや価値創造へ期待。行政分野においてもしっかり活用していく必要があるため、AIの利活用について重点計画に位置づけて、現状では様々な課題があるということですので、活用に当たってもガイドライン策定も含めて今後の取組の方向性について明記していただきたいという3点でございます。

以上です。

村井座長: ありがとうございます。

引き続きまして、そのほかの構成員の方からのご意見を伺おうと思いますので、どなたからでも結構ですけれども、いつものように手を挙げていただいた方からいきたいと思います。

伊藤さん、お願いします。

伊藤構成員: 目次ではなくて各論に入ってしまうのですけれども、さっきの三木谷さんに少し反応したかったのが、これはわざとではないかもしれないのですけれども、つくった人はわざとだと思うですけれども、マイナンバーカードというのは実は本当に優れたデジタルウォレットでもあって、先週のEthereumのハッカソンで、日本人のデベロッパーたちがマイナンバーカードを使ってWeb3.0のウォレットの認証とサインをするのを見せたのですね。今度、EthereumもAccount Abstractionという新しい認証の仕組みを提案していることによって、マイナンバーカードでアカウントをつくっていなくてもNFTをもらえて、マイナンバーカードそのものがデジタルウォレットにできるというのを見せたのです。これは携帯でタップしてすぐできてしまうので、実は認証のシステムとしては中身が結構よくできているのですよ。

だから、マイナンバーカードのいいところは、マイナンバーカードをなくしてもう一個国から発行したら、ちゃんとそれが接続できているということを認証機関でチェックできるのですね。だから今はMeta Maskか何かでパスフレーズをなくすとお金が全部なくなってしまうけれども、日本の国を信じるというウォレットの設計さえすれば、リカバリーを国ができるということになるので、実はWeb3.0とマイナンバーカードというのはすごく相性がいいよねと。そうすると、マイナンバーカードを持っている人たちは既にWeb3.0のウォレットを持っているという設計ができてしまうのですね。

だから、僕はマイナンバーカードを、Web3.0をやりたい人たちに普及させるのはすごくチャンスだと思うので、いろいろ設計だとか、マイナンバーのパブリックキーとEthereumウォレットの一対一の書き換えのアルゴリズムのファンクションを国が決めるのか、民間が決めるかという細かいところはいろいろあると思うのですけれども、すごくこれはよかったのと、たぶん数年前のWeb3.0のコミュニティーだったら国のIDを認証に使うとは何ぞやと言う人がいっぱいいたかと思うのですけれども、今は結構みんなプラクティカルになってきて、思ったよりEthereumのコミュニティーもすごくポジティブに受け止めたということはすごくチャンスかなというのがあって、そういう方向で考えていくと、マイナンバーカード自身にいろいろな個人情報が印刷してあるというのが逆に問題で、今のマイナンバーカードはかざせばちゃんと写真や中身が見られるAPIもあるのですよ。だから、中長期的に考えると、マイナンバーカード自身は何も書いていないデジタルウォレット、普通の今のLedgerみたいなウォレットに使って、そうすると、カードを持って歩くいろいろなリスクはなくなると思うのですね。

QRコードも、あれはマイナンバー番号のQRコードなので、それの写真を撮られたらマイナンバー番号を持っていかれてしまうので、実際に何が印刷されているかということは一回考え直して、マイナンバーカードをウォレットにするというのは僕はありだと思うので、三木谷さんが言っていることも分かるのだけれども、ちょっと用途を横にずらすと実はすごく価値があるハードの設計だと思うので、そこもぜひどこかで検討することがあればいいかなと思います。

ちょっと細かい話ですみません。

村井座長: ありがとうございます。とても重要な視点だと思います。

それでは、池田さん、お願いしていいでしょうか。

池田構成員: お疲れさまです。池田です。よろしくお願いします。

私からは、いろいろと今議論もありましたけれども、大きく4点申し上げたいと思います。

1点目は、この重点計画は策定から1年がたっているわけですけれども、まだ一年しかたっていない中でデジタルの社会への浸透を実感してきているということでありまして、デジタル庁の皆様方のご尽力には感謝を申し上げたいなと思っております。デジタルが我が国の重要な方向性であることは我々国民が認識を始めているわけですけれども、一方で、国民が利便性を感じるといった部分の創出についてはなかなかまだ進んでない部分もありまして、そういう意味では、省庁間の調整や産学官の連携といったことも当然必要でありますけれども、ぜひ司令塔としてのデジタル庁の役割はますます重要になってきますので、ぜひともお願いしたいなと思っております。

特にデジタル庁の体制強化というところも当然重要だと思いますので、そういう部分からも、我々自治体からもそういった積極的な体制強化も図っていただければありがたいと思っているところであります。

なお、今、自治体からデジタル庁への人材派遣をして、本市からも1名、デジタル庁に職員を派遣させていただいておりますけれども、これはやはりデジタル人材の育成と地方における数少ないデジタル人材の中で非常にデジタル人材の育成につながると思っておりますし、国と市の共有できる一つの有力なチャネルになると考えておりますので、引き続きデジタル庁で門戸を開いていただけると大変ありがたいと思っております。

2点目は、前回の事前レクに、ちょっと私は出席できなかったのですが、うちの事務局が出席させていただいたときに、若宮先生から役所の郵送と判子の文化が変わっていないというご指摘があったという報告がございました。いろいろと自治体によって対応は違うと思いますが、本市では、原則全ての行政手続をオンライン化するという方針を掲げて、今、300以上の手続がオンライン化に対応しておりますので、しっかりとこれは進めていきたいと思っております。

あと、先日、デジタル庁にご尽力をいただきまして、マイナポータルのオンライン申請にオンライン納付機能を実装いただきまして、本市がファーストユーザーということでサービスインをさせていただいたところであります。特に市外住民からの請求が多い事務であるために、オンライン申請・納付でサービス向上につながっていると考えております。地方自治体としては、こうした生活者視点に立った小さな取組を積み重ねて、市民の皆様方の利便性向上を図っていきたいと思っております。

3点目ですけれども、オンライン納付が可能になったことを受けまして、戸籍等の請求管理システムのベンダーにオンライン納付に対応できるように文言変更等を依頼したのですけれども、標準化対応でリソースがなく、対応が不可だという回答がありまして、結果、ゴム印を押す等のアナログな対応を強いられているという状況もあります。急速にデジタル化が進展をしているからこその一部のゆがみみたいな部分はありますけれども、こうした支障が生じないように、丁寧に事象を把握していただく必要があるかなとは思っているところであります。

最後に、今回の改定ポイントともなっておりますけれども、大規模な言語モデルを活用した生成系のAI等につきましては、行政利用の可能性も大いにあると我々としては大変期待をしているところでありますけれども、特に行政利用の機微なデータを扱う場合についてはルール整備が必要であると思っております。昨日、報道で関係省庁が初会合を開いたというニュースもお聞きしたわけでありますけれども、我々自治体からは所管省庁等もなかなか分からないという声も上がったりしておりますので、ぜひともデジタル庁が主導していただいて、検討の枠組みやスケジュール等をお示ししていただけると大変ありがたいと思っているところであります。

私からは以上であります。よろしくお願いいたします。

村井座長: ありがとうございます。

池田さん、一つだけ伺いたいのですけれども、今のデジタル庁、あるいは中央省庁と地方自治体のようなGtoGのような関係において、この仕組みというのは例えば今のゴム印の話もどこかで地方自治体が気付くわけです。そのときに、それがスムーズに伝達することができ、デジ庁側から言えば、それを取り入れて改善に向かってのアクションを起こすということにつながってくるのが言わばGtoGのプロセスだと思うのですけれども、さきほどの三木谷さんのダブルコストのような話とも関係があるかと思うけれども、そういうところの課題というのは何かお感じになることがありますか。

池田構成員: 本市については、例えばそういうことがあったときに、職員もデジタル庁にいますので、直接職員同士、または本市の職員とデジタル庁の方々との連携がほかの自治体に比べるとあると思いますので、そういった事象を伝えて改善につなげていただくというところは、本市の部分ではほかの自治体よりはるかに早いかなと思いますけれども、一方で、今の枠組みの中で、例えば市でいくと、こういう課題があると全国市長会で取り上げていくというところのプロセスでは、なかなか手続的なところもございますので、スピード感を持って伝わるかというところはちょっと遅い部分もあるので、そういったところを改善しつつですけれども、うちの場合はその両方を活用しながら、市全体としての課題ということを政府に対して上げていくというプロセスと、個別具体的なところを直接お伝えして、改善していただくところはしていただくという二つのツールでやっています。

これをコストと考えると、ちょっとコストになるのかなという気はしますけれども、今のところ、都城においては先ほど言った直接的なツールもありますので、私個人的にはそこまで感じてはいないところではあります。

村井座長: なるほど、ありがとうございます。

国民目線というのが今回の大きなテーマですから、地方自治体の方が気付くことが多いと思うのです。そのことがかなりスムーズに、スピーディにDXの対策に結びつく体制や窓口やパスが大事かと思いますので、ぜひそれはうまく進んでいくような方向で考えていただきたいと思いました。ありがとうございました。

それでは、太田さん、お願いいたします。

太田構成員: 太田です。発言させていただきます。

今回の重点のところで、八つの項目がある中の1番の国民目線の指標というのは前から提案していたところで、これが入ったのはすごくいいなと思っています。これは前から申し上げているようなDXの「X」の結果として行政サービスや準公共分野の医療や介護、教育のサービスがよくなるということなので、満足度はちゃんと取ったほうがいいのではないかなと思います。満足度を分野別に取っていけば、例えば納税などはe-Taxであれだけスマホでマイナンバーカードを使って簡単にできたりしているわけなので、結構その満足度も変化して上がっているでしょうし、残念ながら変わっていないという状況も見えてくるので、ぜひこの機会にやっていただいて、ご紹介申し上げたように、東京都はもう定点観測をやっていて、シン・トセイという形でまさに構造改革で「X」ということを掲げてやって、シン・トセイというサイトを見ていただくと、ダッシュボードというのでアウトカムに近い、本当に「X」が起こっているのかどうか、目標に近づいているのかというのが分かるようになっているので、ぜひデジタル庁のものも、ダッシュボードはマイナンバーのカードの数や公金受取口座の数などしか書いていないので、アウトカムに近いところをダッシュボードで書いていただくというのをやっていただくのと、そのアウトカムにつながるような鍵となるものもちゃんと出していただく。

例えば今回のマイナンバー法の改正で別表2が変わると、3年かかっていた情報連携というのが1年以内にできるわけではないですか。だから、そういうポジティブな、行政サービスがよくなるアウトカムにつながるようなものはちゃんと前面に出していただくようなことで、何が起こっているのかというのを国民が分かりやすく進捗を見られたりするように、ぜひこの方向でいいと思うので、やっていただければなと思いますというのが一点。

2点目も、ちょっと申し上げたのですが、前にちらっと申し上げたイギリスのガバメントデジタルサービスと比較して、大学でケーススタディーみたいなものをやっていてインタビューを受けているのですが、まず、デジ庁は外から注目されているのですね。これはいいことだと思うのですけれども、明らかにGDSとかアメリカのATFとかUGDS比べると、人数の割にやっている仕事が多過ぎると外からは見られているので、こういう計画の議論をすると、あれやれこれやれと足し算ばかりになってしまうので、本当にやり切るリソースを考えたときに、どこまでやり切れるのかという観点のチェックは常にやっていただく。単純に言うと走っているプロジェクトの数を見たらいいと思うのですけれども、私が聞いているところで言うと200は走っていると思うのですね。そのプロジェクトの大きさによると思うのですけれども、それは多分無理だと思うのですよ。

なので、ちゃんとやり切るスコープの計画になっているかどうかというのをどこかの第三者機関などにチェックしてもらわないと、せっかくいいことをやって、もう成果も出てきているのに、あれやれこれやれという圧というか、足し算ばかりになってしまっているので、そこは非常に懸念をしています。ちゃんとスコープを絞って、すばらしい結果を、マイナポータルなども出ているわけなので、出していただきたいというのが2点目です。

3点目は個別なのですが、今映していただいている資料1の6番です。AI利活用方針は、4年前につくっていますね。内閣府の人間中心のなんたらかんたらというものと、総務省でもつくっていたと思うのですが、全く使われていないし、アップデートも全然されていないというのが私の理解なのですけれども、なぜそうだったのかというのを振り返って、これは大事な話なので、ぜひ進めていただく。

私の理解は、メンバーがドメスティック過ぎるということと、原因は総花過ぎるのだと思うのですね。日本の考え方はちゃんと整理する必要があると思うのですが、日本であるようなユースケースを中心に、海外の人も入れて、その海外というのも分かりやすい米国などよりは、日本ならではの仲間づくり、例えばG20をインドでやっていますけれども、明らかにインドというのは求心力があるわけではないですか。日本とも非常にいい関係なので、今度やるときはそういう戦略的な視点でやっていただいたほうが、4年前にものすごい時間をかけてつくったと思うのですけれども、かなり空振っていると思うので、ぜひ今回はそこを踏まえてやっていただくのがいいかなと思います。

以上です。

村井座長: ありがとうございます。これも大変重要な要素が含まれていると思うのです。不満は集まりやすいのですけれども、行政がほめられるということは結構この国では珍しいというポイントもあると思います。私も二つの点で全く太田さんと同じ体験をしていて、一つは外からのDXに対するアプローチがあって非常に高く評価されているということは何度か経験しています。もう一つは、今のAI戦略を早い段階から国際舞台で提案しているのは日本なのです。日本は最初からかなりいいものをやっているのではないか、そして、あれは今どうなったのかという話になっています。あれから順調に発展しているのかと言われるとそこは痛いところかもしれないけれども、海外からの目線では取組が評価されている割に、国内からの目線では評価されないような部分もある。

逆に言うと、私が海外から評価されているという話をすると、日本のプレスの方からはそんな話はちっとも聞こえてきませんと言われるのです。ここのところに何か工夫することはないのかなという気もします。いずれにせよ客観的な評価ということであり、ある意味ほめるのが苦手な国民と、自慢するのが苦手な役所があるのかもしれません。もちろんうそをついたり背伸びする必要はないけれども、正しい理解に向けた発信をきちんと戦略的に考えたほうがいいのではないかと思います。そのことが我々の自信や勇気や産業の活性化という前向きな姿勢につながるので、重要なことだと思います。ありがとうございました。

若宮さん、お願いします。

若宮構成員: 若宮でございます。よろしくお願いいたします。

私からはまず、役所が相変わらず判子行政をやっているというお話をしたのですけれども、これは一つ当てがありまして、今、役所も外注してらっしゃるのですね。ところが、外注するようなところですから、しっかりしたところが引き受けていらっしゃるのでしょうけれども、ただ、そこがDX化しているとは限らないわけですね。そうすると、自分の外注先のルールでやられてしまうので、うちはマイナンバーカードは駄目です、住民票ならいいですと言われてしまう。

実は去年のデジタルの日にお邪魔したときの交通費を頂いたのですけれども、あのときもやはりマイナンバーカードでは駄目だったのですね。でも、若宮さんだから本人確認ができるからいいですよと言ってくださったのですけれども、それは個別のことであって、ですから、外注しているところが多いのでその辺からそういう話が出てきたというのをまず一つご理解いただきたいと思います。

一番肝心なところなのですけれども、国民を誰一人取り残さないのところなのですけれども、私自身も気がつかなかったことがいろいろありまして、まず、私自身は88歳ですけれども、80代になってから自分の機種変更をしようと思ったら、家族と同伴で来なければいけないと言われまして、そこが駄目ならほかのところにと思って行きましたが、4社ともそうなのですね。何か内輪の申合せがあるらしいのです。

それで、私の場合はしつこく粘って、デジタル庁のお仕事をさせてもらっていると言ってもそんなことは理由にならなくてあれだったのですが、店長の特別な計らいでやっていただいたのですけれども、後で聞いてみたら、オンラインで申し込むときには65歳以上だと駄目だとか、いろいろあるのですね。そのほかにも私などは気がつかないというか、皆さんが気がつかないようなことがいろいろあると思うのです。ですから、一回実態調査というのをやってみる必要があるのではないかと思うのです。

そういう人たちの意見というのは、要するにオンラインが使えないから、結局ウェブアンケートなどでやる場合も一つ工夫がありまして、私がエストニアなどの海外でやるときには、必ずご家族がオンラインで代わりに打ち込んであげてくださいというのをやっているのですけれども、そういうことも含めて、なぜ取り残されてしまうのかという理由というのをチェックする必要があるのではないか、調べてみる必要があるのではないかということを思っております。

それからもう一つ、非常にこれからの日本で重要になってくるのは、国民には80歳以上が1割いるわけですけれども、かなりの人が難聴なのですよ。耳が聞こえにくい、聞こえていないのです。それがすごく国民生活を不安定にする要因になる。緊急事態もそうなのですけれども、例えば駅などで急に事故が起きて、どういう状況なのかというのは音声でしかあれなので、本当に私たち聴覚障害者というのは困るのですね。ですから、聴覚障害者対策というのはこれからの全ての取り残されがちな人のために必要だと思います。

それからもう一つ、最後に、金融機関との提携と協力関係というのは非常に大事だと思います。私は何かのときに、エストニアの元大統領のヘンドリクさんが自分の国が電子政府になった一番の要因は何かと言ったら、金融機関と提携してやったと。金融機関は今、キャッシュレス時代でどんどんオンライン化が進んでいるので、それに乗っかったということをおっしゃっていまして、それから去年、デンマークに行ったときも、デンマークのデジタル庁でお聞きしたら、もちろん金融機関とは緊密に連携を取ってやっていて、実はおととしの秋にシステムの改修をしたときの費用は半分銀行協会に持ってもらったという話を聞きました。そういうことで、金融機関との提携というのはこれからすごく大事な要素になってくると思います。

以上でございます。ありがとうございました。

村井座長: どうもありがとうございました。これも貴重なご意見だったと思います。

1点目の外注関係の話というのは、領域的に必ずブレーキになっているのは外注のメカニズムに安住している仕組みが、なかなか「X」ができないということの原因になっているかと思います。その領域は、例えばこれもあまり名指しで言ってはいけないけれども、さきほどご指摘のあった医療関係のようなところは非常にカスタマイズされた外注をすることがとても快適で、だから「X」が進まないという領域の一つの例だと思うのです。

そこのところは少し領域を限定的にして、外注で非常に快適に生きている領域、例えば医療・健康というのはそういう領域に近く、場合によっては学校などもそういうところがあるかと思いますが、明らかに効果を望める領域に絞れば、外注関係でかなり止まっていることの原因は排除できるのではないかなと私も思っています。そういう意味では準公共領域というのをデジ庁では言っていますから、そういう領域がどうだろうということをチェックしたり進めることでできるのかなと思います。

それからもう1点の大変重要な点はアクセシビリティの問題で、これはデジ庁ができたときから誰一人取り残されないということを言っていて、そのこと自体はパソコンが使えない、スマホが使えないということだけではなくて、もっとデジタルをベースにしたサービスに対するアクセシビリティがその恩恵を受けられるかどうかという視点で見なくてはいけない。これもさきほどの太田さんの話にあったように、気がついたことが集まってこの国をよくしていくということで、ある意味1億人みんなが気がついたことを言えるようなチャネルを用意するとか、体制を用意するということから進めていく。そうでないと、サプライサイドで見ていくとスケールしないようなことがある気がするのです。いずれにせよアクセシビリティそのもののお話も指摘していただきましたが、大変重要だと思いますので、引き続き検討していただきたいと思います。ありがとうございました。

それでは、野田さん、お待たせしました。

野田構成員: 整理をしていただいてありがとうございます。2点申し上げたいと思います。

1点目は、先ほど太田さんからも話がありました指標に関するものです。今回、国民視点での指標をつくることは、大変いい方向であると思いますが、指標の設定の在り方については、私たちが目指す社会の六つの姿に沿ったものであることが望ましいと考えます。成長戦略、準公共分野のデジタル化、地域の活性化、誰一人取り残されない社会、デジタル人材の育成、国際戦略、という六つの姿を規定した以上は、それぞれ具体的に何を目標とするのかを明確にし、進捗を管理しながら、国民に対して、それぞれの分野がどこまで進んだのか、あまり進んでいないのか、について分かりやすく示せるとよいと思います。例えば、最初に三木谷さんから医薬品の話がありましたが、まだ医療分野の取組が進捗していないならば、それはどういう理由によるのか、今後どうしていけばいいのか、といったことが建設的に議論できて、さらなるアクションにつながるような指標の在り方というものをもう少し工夫できるとよいと思います。これによって、目指している社会に向けて進んでいくのが国民目線で分かりやすくなると思います。

2点目は、目次に追加いただいた第5の4ポツの「産業のデジタル化」の中の「デジタル産業の育成」の記載についてです。デジタル産業そのものを育成するということを超えて、「デジタル」は、新しい産業を興すイネーブラーにも位置づけられると思います。デジタルを目的化するのではなく、デジタルを使って日本に新しい成長産業が生まれる、企業が生まれる、スタートアップが生まれる、ということが肝心です。産業を生み出すためのデジタル化をどのように進めていくか、という視点が非常に重要であると思います。

特にこれからグリーン産業やサーキュラー産業の創造や、サーキュラーな経済・社会構造への転換に向けて、デジタルをどのように使っていくのか、という視点が必要であると思います。この目次を見る限りでは、デジタル産業をつくること、既存の事業者をトランスフォーメーションすること、中小企業のデジタル化を支援することなど、既存産業のデジタル化を支援するというところにフォーカスが当たっているように思えます。むしろデジタルをイネーブラーとして新しい産業を生み出すことのために、デジタル庁として司令塔機能が発揮できるような形で進めていただけるとよいと思います。

以上です。

村井座長: ありがとうございました。

産業のデジタル化について、野田さんには二つのことをおっしゃっていただいたと思うのですけれども、一つは既存の産業のトランスフォーメーションということ、もう一つは新しい産業を生み出すということかと思います。デジタル産業の育成というのはどちらなのかというのと、それからプライオリティをどこに持っていくかというのもあるかもしれないですね。これはどうお考えですかね。これはいろいろな捉え方がありますね。

野田構成員: 申し上げましたようにデジタルを使って新しい産業を生み出すことを推進する、という視点が重要だと考えています。もちろん既存の産業のデジタル化や、ガバメントのデジタル化も重要です。しかし、目指す社会の最初に成長戦略という目標があるように、今後、日本が成長していくためには、新しい産業やスタートアップを生み出していくことが欠かせません。例えば、グリーンテックやサーキュラーテックなど、デジタルを使って新産業を興していくというイネーブラー的な位置づけがここにはあまり描かれていないと思いました。デジタル産業の育成のみならず、新産業の創造といった視点も加えていただけたらよいと思います。

村井座長: 分かりました。

つまり、1番の新たなデジタル産業の育成というと、ほかの産業の方から見ると、今担っているデジタル産業をさらにエンパワーする意味と捉えられがちという見方もできるかなと思ったので、今のご意見が入れられるためには、少しイネーブラーというニュアンスが目次にも入ったほうがいいかもしれないですね。

事務局: 冨安ですけれども、実は昨年は戦略のところに「デジタル産業の育成」というのが入っていまして、ただ、施策に近いので第5章のほうに移したのですけれども、そこではクラウドサービスやITスタートアップというのもしっかりと使っていきましょうみたいな感じで新しくいろいろと付加価値を生む企業や産業をつくっていくみたいな話ではあるのですけれども、今、構成員のおっしゃった趣旨が分かるようにさせていただきたいと思います。

村井座長: 場所はいいような気がするのですけれども、既存のデジタル産業というか、いわゆるオーソドックスなIT産業に対して、野田さんがおっしゃったようなことというのはちょっとニュアンスが違うので、少しそういう意味もうまく含まれるといいなと思いました。ありがとうございます。

(越塚構成員入室)

村井座長: それでは、後半に入ると言われていた越塚先生、いきなりですけれども、事前に見ていただいたかと思うので、ご意見をいただいてよろしいでしょうか。

越塚構成員: ありがとうございます。

今、突然入ってきてちょっと議論の状況が分からないのですけれども、ただ、以前も見させていただいた戦略の改定のところで申し上げたいところというのはデータの戦略でございまして、デジタル庁できる以前から、データ戦略が極めて重要だということで、今回もG7の中でもDFFTのこともございます。そういう意味では、早くから我が国の中でもデータ戦略というのはつくって実施してきたわけですけれども、今のところ、データの戦略というところの総論からなかなかその先に進めていないところがあるかなというのは事前レクのときにも少し申し上げさせていただいたところですけれども、そういう意味では、戦略になっているところをさらに今後具体的な戦略に、国際的なこともそうですけれども、国内の中でも、分野によっては特にグリーンやCO2排出量の積算みたいなサプライチェーンの中でといったことに関しては、データのプラットフォームに関してはもう遠い話ではなく、すぐ近々にかなり激しい競争の状況に入っている分野もございますので、この辺りをしっかりとこの後進めていけるように戦略が重点になっていただければなと思うのが一つ。

もう一つが、産業の育成というのがここに入ってきていたというのも私は非常に重要だと思っておりまして、そこの中で、最近ですと、どうしてもベンチャーやスタートアップというところの支援ということになってきて、そこはとても重要だと思うのですけれども、特に私のようなデータのところをやっているところですと、産業の分野の中では、スタートアップではどうにもならないところというのはやはりあると思うのですね。それはインフラであるとか、グローバルなことに関してはそういう部分があって、そこの部分の産業の育成ということも、難しいところなのですけれども、同時に考えていく必要があるかなと思います。

以上です。

村井座長: ありがとうございます。

越塚さんがいらっしゃる前に、太田さんなどからもありましたように、今はChatGPTがあり、自然言語AIの回帰のような話だと思うのですけれども、いずれにせよAIというぐらいで、デジタルデータの扱いというのが一番ベースにあるわけです。今回もデータ戦略のところにAIという文字が入っているのですけれども、今、ある意味のAIセンシティブな状況に急激にシフトしているかと思うのですけれども、このこととデータ戦略との関係はどのように表現をしたらよいとお考えですか。

越塚構成員: まず一つは、ジェネレーティブAIの大元がデジタルデータからいっているというところですので、このデジタルデータ戦略の中で、データの今までの考え方やガバナンスということと、うまく今のChatGPT等の生成AIが今やっていることが、それこそ個人情報というところでも随分顕在化していますけれども、きちんと整合しているのかということに関しては重要だと思います。

ただ、私個人もこういった先進的な技術というか、技術の発展をできるだけ阻害しないような形が望ましいと思います。

2番目に、データの観点から言うと、データを食っていろいろな知見を出しているわけですけれども、ジェネレーティブAIはジェネレーティブですから、今後、恐らくAI自体がデータを生成していく。これから膨大なデータやコンテンツを生成していくときに、恐らく著作という概念や著作権という概念というところが根本的に変更を余儀なくされるような状況になってくると思いますので、ここに関してのデータのガバナンスやルールメイキングのところでは、非常にこの根本に関わる大きな影響があると考えています。

村井座長: ありがとうございます。

私も賛成で、こういった動きの中でこそデータ戦略の本質的な重要性が理解されやすい土壌になったのではないかなと思いますので、そういう意味でデータ戦略とAIという項目が少し具体的に分かりやすく、受け入れやすくなればいいかなと思いますし、そこは越塚さんが来る前に、これは日本が相当前から議論していた話で、2年前ぐらいはかなり先行していたはずなのに、どうなってしまっているのみたいな話があちこちであるので、これが本来のペースを取り戻す機会になれればいいのかなと私も思います。ありがとうございます。

越塚構成員: そうですね。ですので、デジ庁さんのここの中でどうしてほしいというのもありますけれども、私ども民間のほうでもたくさんデータをやっていますので、ぜひ一緒になって、日本一体となってこういうことを進めていきたいと私どもも思いますので、ぜひ一緒にいろいろ進めさせていただければと思います。

以上です。

村井座長: ありがとうございます。

それでは、委員の方からのご意見を一通り伺ったのですけれども、一通り終わった後でこれだけはお話ししておこうということがあれば、どなたでも結構ですけれども、発言をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

そうしますと、この議事に対する議論というのは以上で、今日もまた大変重要なご指摘をいただきましたので、それをしっかりと受け止めていただいて、重点計画の検討を引き続き進めていただきたいと思います。

では、皆様との議論はここまでで、ここから先はデジタル監、副大臣、それから大臣の本日の議論へのコメントをいただきたいと思いますので、まずは浅沼さん、お願いしてよろしいでしょうか。

浅沼デジタル監: 皆さん、お忙しい中、今日もお時間をいただきましてありがとうございます。

今日いただいたご意見に基づきながら、また重点計画の見直し、ブラッシュアップをしていきたいなと思っています。従前からいただいている内容をさらに深めていただいていると思っていますので、今日いただいた内容をベースに進めつつ、また、伊藤穰一さんから新しい視点のアイデアだったり、ご意見もいただきましたので、これは重点計画と併せてプロジェクトのほうでも一つ検討できるポイントなのかなと個人的には思いました。

引き続き皆さんからご意見をいただきながら、デジタル庁は非常に皆さんに応援いただきながら進めておりますが、それは非常に力強く思っていますので、ぜひ職員の方々をほめていただきつつ、幹部には多少きつくてもいいので、100も200もプロジェクトがあると言われていますが、しっかり前に進めていきつつ、日本全体としてデジタル化が進むといったところをしっかり支えていきたいなと思っています。引き続きよろしくお願いします。

村井座長: ありがとうございます。

それでは、大串副大臣、コメントをいただいてよろしいでしょうか。

大串デジタル副大臣: 皆さん、今日は活発なご議論をありがとうございました。

本当にいろいろなるほどなという指摘をいただきまして、国民の視点というところで指標の満足度みたいなお話もありましたけれども、こういうものはもう少しインタラクティブでもいいのかなと思いつつ、そういった視点も生きればと思っておりますし、また、今、マイナンバーカードの民間利用も進めさせていただいておりますので、利便性を高めつつ、新しい分野への切り込みもできればなと思っております。

引き続き、いろいろな形で可能性を広げていきたいと思いますので、またご指導、ご意見をよろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。

村井座長: ありがとうございました。

それでは、河野大臣、いかがでしょうか。

河野デジタル大臣: ありがとうございます。

人口550万人のシンガポールのデジタル庁が3,500人いるのに比べて、1億2,000万人の我が国のデジタル庁が今800人。今年、それを1,000人まで増やそうとしておりますが、民間から来てくださる方は、給与の問題がありますので週に2から3日デジタル庁で働いてくださいというのが限界だったりもします。やはりデジタル庁のリソースをどうするのかということと、リソースに合わせてやることを絞り込んでいかないと、あれもこれもと言ってもできないものはできないというところがありますので、戦略はリソースに追随するというところをしっかり考えていかないといけないのかなと思っております。

ただ、そうは言っても、デジタル監のリーダーシップの下でいろいろなものの内製を始めているところです。やはり内製するとスケジュールもコントロールできますし、何かあったときのレスポンスも早いということで、全部というわけにはいきませんけれども、重要なものはデジタル庁で内製していくというところは考えていかなければいけないのかなと思っております。

ChatGPTなども、うまく聞くとコードを書いてくれてそれなりのものが出てくるということもありますので、AIをどれだけ駆使できるかというのは考えていかないといけないのかなと思っております。

いろいろな省庁と話をしていると、初年度に法改正をして、2年目に予算を取って、3年目に開発するので3年後ですというのがいっぱい出てくるので、さすがにこれは何とかしないといけないと思っておりますので、いかにスピード感を持ってやれるかというところを今後考えていきたいと思っております。
引き続き皆様のご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。今日は本当にありがとうございます。

村井座長: どうもありがとうございました。

昔、「一週間」という歌があり、月曜日にお風呂をたいて火曜日にお風呂に入るみたいなものを思い出してしまいましたけれども、そういうペースではいかんということが大臣からありました。

それでは、今の副大臣、大臣、監のお話を聞いて、何か言い残したことがあってこれだけは言っておきたいという方はいらっしゃいますか。大丈夫ですか。

ありがとうございます。

それでは、事務局からの連絡事項をお願いいたします。

事務局: ありがとうございました。

本日、公開で議論いただきましたけれども、会議資料も今後デジタル庁ウェブサイトで公開いたします。また、議事録に関しても、構成員の皆様にご確認いただいた後に、なるべく早く公開させていただきたいと思います。

連絡事項は以上でございます。

村井座長: ありがとうございました。

それでは、引き続きこの重点計画のデジ庁の中でのプロセスへのご協力を私からもお願いをして、本日の会議を終わりたいと思います。

それでは、これをもちまして、第7回の「デジタル社会構想会議」を閉会とさせていただきたいと思います。お忙しい中、非常に熱心な議論を本当にありがとうございました。