地方公共団体情報システムにおける標準化にかかる共通基準に関する検討会(第二回)
概要
- 日時:令和7年(2025年)6月12日(木)10時00分から12時00分まで
- 場所:オンライン会議
- 議事次第:
- 開会
- 議題
- 地方公共団体情報システム非機能要件の標準の改定案について
- 閉会
資料
関連政策
議事要旨
本検討会の議事については、関係者による闊達な議論につなげる観点から議事要旨として公開する。
日時
- 令和7年6月12日(木)10時00分から12時00分まで
場所
- オンライン
出席者(敬称略)
構成員
- 【座長】 庄司 昌彦(武蔵大学社会学部教授)
- 柿崎 淑郎(東海大学情報通信学部情報通信学科情報通信学科准教授)
- 藤村 明子(NTT社会情報研究所主任研究員)
- 吉岡 幹仁(神戸市企画調整局デジタル戦略部長)
- 滝上 潔(富岡市企画財務部デジタル戦略課課長補佐)
- 齋藤 理栄(深谷市企画財政部ICT推進室係長)【代理人出席】
- 吉田 明央(京都府町村会企画振興課⾧)
- 石塚 清香(一般社団法人コード・フォー・ジャパン)
- 吉本 明平(一般財団法人全国地域情報化推進協会企画部担当部長)
準構成員
- 前田 宏(株式会社RKKCS)
- 板矢 仁(Gcomホールディングス株式会社)
- 横山 大輔(株式会社TKC)
- 谷沢 沙耶香(日本電気株式会社)
- 穴山 泉(株式会社日立システムズ)
- 大村 周久(富士通 Japan株式会社)
オブザーバー
- 滝澤 智史(こども家庭庁長官官房総務課課長補佐)
- 小町 佑馬(こども家庭庁長官官房総務課係長)
- 佐賀 咲野(こども家庭庁長官官房総務課係員)
- 山本 大作(こども家庭庁成育局成育環境課児童手当管理室室長補佐)
- 西村 幸恵(こども家庭庁成育局成育環境課児童手当管理室係長)
- 伊藤 輝(こども家庭庁支援局家庭福祉課係長)
- 植田 彰彦(こども家庭庁成育局母子保健課課長補佐)
- 瀧 翔哉(こども家庭庁成育局母子保健課課長補佐)
- 安藤 公浩(総務省自治行政局選挙部管理課課長補佐)
- 深津 亮介(総務省自治行政局選挙部管理課係長)
- 西谷 和徳(総務省自治税務局企画課電子化推進室総務事務官)
- 古川 士記(法務省民事局民事第一課戸籍指導係)
- 矢内 丈博(文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室専門職)
- 下地 邦寿(文部科学省大臣官房政策課サイバーセキュリティ・情報化推進室情報企画係長)
- 大塚 聖也(文部科学省大臣官房政策課サイバーセキュリティ・情報化推進室情報企画係)
- 島添 悟亨(厚生労働省大臣官房情報化担当参事官室 室長補佐)
- 飯野 一浩(厚生労働省大臣官房情報化担当参事官室 室長補佐)
議事
- 事務局より、第一回検討会及び自治体・ベンダーへの深掘ヒアリング結果を踏まえた地方公共団体情報システム非機能要件の標準の改定案について説明した。
質疑
構成員
第一回検討会でグルーピングとして松竹梅メニューの設定を提案したが、自治体規模による分類は一例であり、必ずしも設定したメニューによって強制的に自治体が割り付けられるものではなく、設定したメニューをベースに自治体がそれぞれの状況に応じて検討を進めることによる事務的負担の軽減を意図したもの。深掘ヒアリングの結果、その他のグルーピング方法についても意見が挙げられているため、引き続き検討を進めていただきたい。
事務局
自治体規模以外のグルーピング方法についてはベンダーからも積極的に提案をいただいていることから、引き続き検討を進めて参りたい。基幹業務システムの標準化スケジュールに鑑み、2025年度は本日ご提示した案をベースにしながら改定し、標準準拠システムの次回更改時期に合わせてより実態に即した非機能要件の標準を提示できるよう、議論を継続していきたいと考えている。
構成員
大幅なコスト削減を目指すのであれば、推奨水準項目によってどの程度コスト削減効果があるかは整理が必要であると考える。また、現状のシステム標準化によるコスト増加の状況を踏まえると、より大胆な見直し項目を設定としてもよいのではないか。
また、本改定案の公開時期である9月以降の検討継続事項となるが、なぜオンプレミスは対象外でガバメントクラウドに非機能要件の標準を定めるのかを整理し、その趣旨を改めて発信すべきと考える。システム標準化の目的の一つは、自治体の持続可能性を優先することであると認識している。ガバメントクラウウドを利用すれば非機能要件を充足すると言えない現状では、自治体に向けて持続可能性を高めるために、非機能要件については積極的に下位の選択レベルを採択することを発信していくことも必要なのではないか。
事務局
推奨水準項目については、費用対効果の発現の可能性についてヒアリングをした上で一定の効果があると回答を得られたものを中心に、必須水準項目についてはコスト削減効果に対し明確な回答を得られなかったものを中心に分類を行った。今回の改定案でお示しした推奨水準項目によって、どの程度費用対効果が生まれるのかを今後もモニタリングし、その効果を見極める必要があると認識。今後、全国意見照会の結果を踏まえて、最終的な項目案の選定を進めてまいりたい。
ガバメントクラウドやパブリッククラウドにおいては、非機能要件の各項目に定められている内容を高い水準で満たしうる基盤であり、オンプレミスにおける非機能要件に比べて高い水準を求め得ると考えられるため、非機能要件の標準として定めているところ。推奨水準項目の設定により自治体における選択の幅が広がることで、財源・ベンダーリソース等の制約の解消に好影響を及ぼし、持続可能性を高められるように進めてまいりたい。
構成員
まずは本改定案で示された内容で進め、徐々に改善していく方向性に賛成する。趣旨の発信等については9月までの検討課題としては捉えておらず、引き続き議論して参りたい。
構成員
全体の方針については賛成である。非機能要件の標準はガメントクラウド又はパブリッククラウドに構築される標準準拠システムが適用範囲であると示されているが、標準準拠システムはコストメリット等の合理的な理由がある場合に庁内クラウド等で構築することが許容されているところ。その場合に非機能要件の標準の適用対象外となると、ガバメントクラウドでの構築時と同一基準での比較ができず、コストメリット等の合理的な理由を明確にすることが困難になる可能性があるため、適用範囲の考え方は丁寧に説明していくべきではないか。
また、必須水準項目はガバメントクラウド全体のセキュリティを担保するための設定であると考えると、データ連携の共通基盤や統合収滞納システムといった標準準拠システムと一体的に構築される非標準準拠システムがガバメントクラウド上に構築される場合、非機能要件の標準の適用対象外でよいのか考え方を整理する必要があると考える。
事務局
非機能要件の標準については、標準化法に基づく要件に加え、ガバメントクラウドを含むパブリッククラウド内の適用を前提に議論が重ねられて来ているため、現在定められている項目はガバメントクラウド又はパブリッククラウド外へ適用させることは難しい。標準準拠システムがすべてガバメントクラウド又はパブリッククラウド以外に構築される場合等、適用対象外となるシステムについては、J-LISが示している「非機能要求グレード(地方公共団体版)」を技術的助言として参照の上、構築をしていただきたいと考えている。
標準準拠システム以外のシステムに対し非機能要件の標準を適用させることは前述のとおり困難であるものの、自治体の意向によっては標準化対象業務と密接に連携している非標準化対象システムについても、標準準拠システムと同等の非機能要件を設ける場合もあり得ると考えられる。コストとセキュリティとのバランス等を考慮し、ご判断いただきたい。
構成員
自治体のコスト負担を合理的に減らすことを目的に進められているものと理解した。前回の検討会において、選択肢を増やすことで統一的な基準の意義が薄れてしまう、項目が必須と推奨に分かれることで混乱を招くという懸念があったが、今回は項目の水準を順守したうえで検討・見直しを進められたものと理解している。
マイナス条件を満たせば下位レベルが選択可能な項目については、マイナス条件の記載が重要と考える。現在はマイナス条件を満たすための要件が記載されているが、マイナス条件を満たせばなぜ下位レベルを選択しても問題ないのか、セキュリティ観点での妥当性を記載するべきではないか。原則は現行の記載を維持しつつも、自治体やベンダーが判断に迷わないよう、各条件について具体的な表記が必要と考える。自治体やベンダーの意見を参考に検討していただきたい。
事務局
これまでも自治体からマイナス条件を選択するにあたりPMOツール等で相談を受けており、随時回答を行ってきたほか、自治体向けのFAQを作成する等の対応を行ってきたところ。2025年後半に向けて非機能要件の設定を行う自治体が増えることが見込まれるため、今後も引き続き丁寧な対応を行っていく。非機能要件についてはベンダーが切り替わる際には設定をし直す必要があり、再設定を行う際には柔軟な選択ができる方が移行の柔軟性を確保しやすいと考えている。また、本改定案で推奨水準項目として示したものは見直しにかかるコストが低いものに限定して選んでおり、相対的には混乱を招く可能性は低いと考えているものの、しっかりと現場の意見を踏まえつつ対応してまいる。
構成員
非機能要件の標準の改定の議論において、丁寧な進め方が必要であると感じた。適応するのが困難な要件を緩和することが必ずしもコスト削減に直結しない場合もあり、下位レベルを選択することで必ずコスト削減が実現できると認識されてしまうと齟齬が生じるため、自治体との合意を細やかに得ながら進めていく必要があるのではないか。
事務局
コスト削減という課題に対しては、標準化・ガバクラ移行が抱えている構造的要因や一時的要因に対して様々な施策を講じることで対応していくこととしており、非機能要件の標準の改定はその一つである。いただいたご意見を踏まえ、資料を整えて誤解のないように説明をしていく。
構成員
必須水準項目はマイナス条件に合致すれば選択レベルをより下げることが可能だが、推奨水準項目はマイナス条件がない分、マイナス条件を自身で考えなければならないと捉えられると自治体としてかえってレベルを下げづらくなってしまうのではないか。持続可能性の観点で自治体に対し下位レベルの選択を推し進めるのであれば、自治体が下位レベルを選択しやすい表現や伝達方法が必要なのではないか。
事務局
原則的に非機能要件の標準55項目を満たすことという姿勢は変わらないため、推奨するレベルの提示をせずに全てのレベルを選択可能であると伝えた場合は、その趣旨に反してしまう恐れがある。自治体で判断して選択が可能であるという点については、丁寧な説明が必要と承知しており、全国意見照会の前に説明会を開催するなど、丁寧に説明していきたいと考えている。
資料中の表現としては様々な意見に配慮しつつ、いただいたご意見も踏まえ引き続き検討していきたい。
構成員
小規模自治体の立場からすると、推奨水準項目においても推奨レベルを選択してしまうと思われる。基準を緩和した項目であると捉えると、自治体が選択レベルを下げることに踏み込みやすい表現を引き続き検討していただきたい。
構成員
他構成員のご意見同様に、推奨水準項目においても、自治体としては推奨レベルに合わせてしまう気持ちが働くと考える。デジタル庁より、低い選択レベルを採用できるという意図を発信していただきたい。
事務局
表現ぶりはご意見をも踏まえつつ、工夫をする。次回検討会は6月末の開催を見込んでいる。日程については改めてご案内させていただきたい。
以上