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地方公共団体情報システムにおける文字要件の運用に関する検討会(第6回)

概要

  • 日時:令和5年12月26日(火)10時から12時
  • 議事次第
    1. 第5回検討会振り返り
    2. 改製不適合戸籍に使用されている文字の取扱いについて
    3. 基本フォントファイルの提供について
    4. その他

資料

議事概要

日時

令和5年(2023年)12月26日(火)10時00分から12時00分まで

場所

デジタル庁会議室/オンライン

出席者

※敬称略

座長
庄司昌彦(武蔵大学社会学部教授)

構成員

  • 荻野敦(地方公共団体情報システム機構有識者)
  • 小林龍生(一般社団法人文字情報技術促進協議会会長)
  • 後藤省二(株式会社地域情報化研究所代表取締役社長)
  • 笹原宏之(早稲田大学社会科学部教授)
  • 林伸明(臼杵市保健健康課主幹)
  • 原田智(公益財団法人京都産業21DX推進監兼CISO(欠席))

準構成員

  • 鎌仲正大(株式会社アイネス)
  • 藤野正則(日本電気株式会社)
  • 青木弘明(株式会社日立システムズ)
  • 四方英輔(富士通Japan株式会社(代理出席))
  • 高岩亮太(富士フイルムシステムサービス株式会社(代理出席))
  • 早瀬悠樹(株式会社両備システムズ)
  • 吉田匡一(株式会社両毛システムズ)

オブザーバ

  • 丸尾豊(総務省 自治行政局住民制度課デジタル基盤推進室 課長補佐)
  • 小山内崇矩(総務省 自治行政局住民制度課デジタル基盤推進室 課長補佐)
  • 青野洋(総務省 自治税務局企画課電子化推進室 係長)
  • 長谷川翔平(総務省 自治税務局企画課電子化推進室 事務官)
  • 硲卓也(法務省 民事局民事第一課 係長)
  • 大谷朋宏(文部科学省 初等中等教育局修学支援・教材課 就学支援係 係長)
  • 島添悟亨(厚生労働省 大臣官房情報化担当参事官室 室長補佐)
  • 巣瀬博臣(厚生労働省 大臣官房情報化担当参事官室 室長補佐)

議題

  1. 第5回検討会振り返り
  2. 改製不適合戸籍に使用されている文字の取扱いについて
  3. 基本フォントファイルの提供について
  4. その他

議事

  • 第6回目となる本会では、報告事項として第5回検討会を振り返り、国際標準化が完了するまでの暫定措置としては国際標準化が完了するまでは暫定措置による文字コード(PUP)を用いることを想定していることが挙げられ、周知・広報の方法についても、国民・自治体が分かりやすい方法で行っていく方法が検討されている旨の報告が事務局よりなされた。
  • 事務局より「改製不適合戸籍に使用されている文字の取扱いについて」、「基本フォントファイルの提供について」、に関する説明が資料1をもとになされた。

配布資料

  • 資料 地方公共団体情報システムにおける文字要件の運用に関する検討会資料

質疑

構成員: 「行政事務標準文字の周知・広報に関していただいた主なご意見」の「2.周知・広報」の内容に関連し、「「字体」概念と「字形」概念の相違に付いての認識を共有してもらうことが重要だと思います。この点については、文化審議会国語分科会報告「常用漢字表の字体・字形に関する指針」(文化庁編)が、最も信頼できると考えています」という意見が出ている。例えば戸籍や住民票においては、「吉」もツチヨシ(𠮷)とサムライヨシ(吉)の2通りが広く使われているが、「指針」の41ページや91ページに記載されている常用漢字表の考え方によれば、これらは「デザインの違い」に過ぎない。一方、戸籍行政においては、漢和辞典等に従って、これらは「俗字と正字との関係」という処理がなされている。個々の問題として、実際にこのような漢字を氏や名前に使っている場合、窓口等で困惑される事態が今後起こりかねないので、細かな点についてもQ&Aを作るなど基本的な対応をしておくことが必要かと思う。

事務局: ご意見を参考のもと、混乱が起きないようにしたい。

準構成員: 資料では「主なご意見」として整理をしていただいたが、そのほかの意見や回答については今後共有されるのか。

事務局: いただいたご意見全てに対して回答は示していきたい。回答方法については、いただいた委員に対して送付する方法などを含めて考えていきたい。

構成員: 「2.周知・広報」の内容において、「自治体への周知においては、住民から異議を唱えられた時の対応方法も含めて広報が必要と考えます」と書かれている。私も行政事務標準文字の候補を拝見していると、多くのものがMJ文字に含まれてないにしても、UCSに対応している符号位置があるというケースもある。もう1つは、明らかに手書きを電子化した際の誤記と思われるものも多々ある。住民の方々が先祖代々からアイデンティティを表現するものとして大切にされてきたものは尊重する必要があり、時には住民から異議が来る、という理解をしている。ただ、そうでない場合、例えば法務省では「戸籍の俗字は正字に直しても構わない」ということを示している。よって、住民から異議を唱えられた際、とあるが、唱えられなければ従来のとおり適切な処理をする、という対応が必要なのではないかと思った。

事務局: 住民の方々もより分かりやすい、例えば画数の少ない文字の利用を望まれているケースもあるかと思われる。そういったことも個別に確認をしていくのか、色々なやり方はあるかと思うが、法務省や総務省と話合いをしながら方針の整理をしたい。

構成員: 「2.周知・広報」の件について、今マイナンバーカードの券面に印刷している氏名や住所は住基ネットの共通文字を使っている。これについても住民の方から、各市区町村のほうに「自分の字の形はこれではない」という、異議ではないにしても問い合わせもあったりする。中には「なぜこの字形になっているのか」という根拠まで問い合わせが来ることもある。「住基ネットではこういう文字を使っている」という説明はしているが、市区町村からみれば、その字形になっている説明に使える後ろ盾のようなものは必要と言うことはよく聞かれるので、周知・広報の際には併せてご検討いただければと思う。

事務局: 同様の要望は構成員の皆様からのご意見のなかでもあった。今回の行政事務標準文字については法務省の検討会でしっかりと「この文字はこれに包摂されます」という議論があり、その考え方や包摂基準に従いながらこの文字になったので、その点について、しっかりとお示ししたいと思う。

構成員: 1点目、「行政事務標準文字の周知・広報に関していただいた主なご意見」に関して、法務省・デジタル庁がきちんと前面に出ていただくことを前提としながらも、広報の内容については内容を固める前に、自治体と対話を重ねていただきたい。おそらく自治体からも「こういった説明を積極的に行えばより理解が進むという実例もあります」ということも出て来るかと思うので、そういった期待も込めて進めてもらいたい。
2点目、以前から感じていることにはなるが、住基ネット統一文字、それから住民基本台帳で利用される文字、そのほか戸籍にもある。これらについては、すべて行政事務標準文字のセットに包含されていくという理解で差し支えないか。包含されるといいながら、住基ネットの文字セットが残っている、という状態が長く続くことについても議論がおそらく必要になってくるかと思う。私の誤解もあればご指摘いただき、どういう状況かについてご共有いただければと思う。

事務局: 1点目、自治体の今までのご経験や現在ご苦労のしている点も受けて「こういうものがあればいい」という意見は活かしながら今回の広報は進めていきたい。
2点目、基本的に行政事務標準文字は、今までの戸籍統一文字や住基ネット統一文字を全て包含している位置づけである。補足をすると、現在のMJは、一部の戸籍統一文字を包含していなかったが、行政事務標準文字は、包含していなかった文字も取り込んでいるので、そこについてもご安心してもらいたい。

構成員: 本検討会でも、当初から「自治体の現場に説明を押し付けないで欲しい」という説明はさせていただいていたと思われるが、国と住民の皆さんの接点になっている自治体と一緒になって進めていくことが効果的なのかと思う。自治体もそういった観点で参加していただければと思う。
2点目についても、住基ネットの中の文字が今までのものからどう変わっていくのかという点については改めて整理をしていただき、自治体及び住民にしっかりとPRしていくことが大事かと思う。最終的には、すべての自治体の中でも持っているシステムのなかの漢字、文字のコードが同じコード体系で運用されていくように、従来のコード体系を持ったままで進むのは時間がかかっても辞めていくべきだと思っている。そのためにやることはたくさんあるが、まさにマイルストーンなども明示しながら進めてほしい。

構成員: 最後の話については私も同感である。国際標準化の話もそうであるし、文字や名前に関して、今後どういうことが予定されているのか、何をしなければならないのかということは大体でも良いので、時間軸を置きながら、見通しが立てられるように整理していくことが大事だろうかと思う。当面や数年だけでなく、文字がどうなっていくのかを整理していただくことをお願いしたい。
そういう意味では、本会議とは直接の関係性はないが、「氏名の振り仮名」の話も同時に動いている。来年・再来年には、そちらはそちらで色々なご意見・ご不満が出てくる可能性もある。それらも含めて、名前や漢字等に対する広報戦略として進めた方がいいと思う。

構成員: 私は自治体の立場から、この状態がどういうものであるのか、自身の自治体の実情も踏まえてお話をしたいと思う。我々の自治体は人口約20万人に対し、戸籍数では約65,000となっている。我々は平成17年に電算化して、戸籍65,000のうち、「漢字を変えたくないです」とご意見をいただいた戸籍数では5つもなかった。実際の現場ではその方をどのように対応しているのかといえば、紙で管理している状況である。「電算化しないため、コンビニで戸籍証明書を取得する、などのサービスの恩恵を受けられないです」という事情説明もするが「自分の漢字をこのまま使いたい」ということで、紙での対応をしている状況である。ただ一方で振り返ってみると、拒否をされた方々は、戸籍のほうでは抵抗されていたが、住基や選挙の通知書等は、外字に変化して住基側で登録したものを使用させていただいているなか、通知書等では外字のような形で出力しており、若干漢字も変えてご案内はしているが、住民の方々からすれば支障はないようである。
この度の、こういった契機を踏まえて、自治体も改めて漢字を変えることを一度拒否された方々に対してもアプローチをしていって「住民票や選挙通知等を正字に近づけていきませんか」ということを進めると共に、「新しい字に戸籍も置き変えていきませんか」というアプローチをするべきことも、自治体にも認識してもらったほうがよいと思う。今回は法に基づいて字を作っていきますし、置き換えていきます、というバックヤードもあるので、自治体も進めやすいのではないかと感じている。

事務局: 戸籍からお願いをしていくアプローチが有効かと思っていたが、今のご意見としていただいたように「住民票や選挙通知等からアプローチをする」のも良い案かと感じた。法務省とも相談しながら、両面から解消していくこともぜひ考えさせていただきたい。

構成員: 今の自治体での取組・実情について質問として「戸籍は電算化に適さないという判断にて紙でやっている」ということだが、「そのほか住民記録などは外字を作って対応している」というお話もあった。その外字はMJ+に含まれていない独自の外字という理解でよろしいのか。

構成員: 理解はおそらくその通りである。私の考え方としては、MJ+のプラス部分で増やしていくにしても、この取扱いの改製外の部分は作らないということので、1対1でマッチングが入るものではないと思っている。紙の戸籍から電算化するときに、伝承や言い伝えなどもあるかと思うが、漢字のハネルとトメルはデザインの差なので「国が用意している文字のデザインはこちらです。この中から選んでください」というバックヤードがしっかりできれば、住民にも説明はできるし、今回の件はその契機にしていかなければならないと思っている。

構成員: 改製不適合戸籍に使用されている文字の取扱いについて、私も法務省の委員会で検討に加わっている者の一人であるが、ある漢字を、別の漢字に置き換えることに納得していただける人もいれば、いただけない人もいるかと思う。我々も文字情報を見たうえで推測を重ねて文字の同定に関わっているが、なかなか難問だというのが正直なところである。法務省は明治以来、戸籍行政において、「戸籍に誤字・略字を記載しない」ということを法令で定められていて、理解できるところである。その一方で、実際にはこういったよく分からない、文字なのかどうかも一見分からないものも含めて、1万件近く見つかったということで、これらの文字同定に努めているところである。そこでまず問題となるのが、文字に関する概念そのものであり、漢和辞典を用いて判断することが従来行われて来たわけだが、漢和辞典も何十・何百とあり、そこにはある漢和辞典特有の規範意識も見られ、誤字という概念にもかなりの差があるのも現実である。したがって「我が家では誤字ではない」という人が現れる可能性もあるし、漢和辞典以外の何かしらの根拠を持っているかもしれない。そういうことで、一人も取り残さない電子政府という目標と現実の「誤字」との間には、電子化の妨げになる大きな壁があると感じている。
MJのなかにも戸籍上にも、誤字とされるものが混入しているようであり、誤字とは何かを定めながら、不満がなるべく生じない形で問題を解消できないかと考えていく必要がある。なお、こうした問題が発生した原因としては、戸籍は従来手書きであったが、それをもとに先に住民基本台帳の電算化が行われ、その時に点やトメハネの有無なども忠実に明朝体に起こされた。そのあとに戸籍が遅れて電算化を行い、そこでは字体やデザインの統一なども進めたため、住基ネットと戸籍の間の字体や字形に差が生まれたと考えている。問題の解決に向けて、いくつか情報提供をするとともに、問題の認識も共有するためにお話させていただいた。

事務局: ご指摘のとおり、2つの概念を尊重しつつも、この場できっちり定めるべきところは定めていきたいと思う。特に今回は1つの大きな機会なので、これを先延ばしにしないで、ここで決めていきたいと思っている。先延ばしはせずに、改製不適合戸籍を解消していき、行政事務標準文字についても確定・国際化をしていきたいのでご協力をお願いしたい。

構成員: 法務省からもぜひ一言いただければと思うがいかがだろうか。

オブザーバ: ご意見に感謝申し上げる。お話にあったとおり、改製不適合戸籍そのものを解消していくことについては、市区町村からのご協力が大事になっているので、法務省からも情報提供や協力しながら、まずはコンピュータ化できるものを優先しつつ、解消を進めていきたい。

構成員: 2点申し上げたい。改製不適合戸籍が約1万戸籍あるということが、法務省に調べていただいて判明したというのは大きなエビデンスになったかと思う。戸籍の電算化の際、20年ほど前だろうか、その際は「概ね1~2%は改製不適合戸籍があるだろう」と言われていたが、今年の1月1日の法務省発表の戸籍数が約5,200万で、そのうち約1万戸籍が改製不適合戸籍にあたるということなので、非常に小さくなっている。これは関係者の理解が進んでいることもあるかと思うが、なおここでこれらの方々に対して、改製不適合戸籍を解消していくという意味で、今回はデジタル化を進めるなかで、従前から改製不適合となっている方について、特別な改製制度や事由を考えていただき、なおかつ改製前の戸籍も「こういう形・イメージで取ることができます」とPRをしていければいいかと思う。従前使っていた文字を置き換える、という点でいうと「自分たちが長く使っていた文字が間違っていた」と受け取られてしまったら大きな不満が残ってしまうので、そういったことではない、というPRも含めて、「国全体でデジタル化を進めていく行政制度作るために戸籍のところでしっかりとデジタル化対応することは非常に大事です」ということを丁寧に説明していく。ここは国と自治体が一緒に進めていただきたいので、特別な改製な説明についても検討をしてもらいたいと思う。
2点目について、改製不適合の方の住基は自治体で外字を作って電算化されているというお話だが、詰まるところ、これは自治体の中の処理では問題無く完結できるが、それがネットワークでつながる時代となり問題が生じているという理解である。そこもやはり戸籍だけでなく、住基の外字も解消されるべきだろうと思っている。このあたりの認識や整理についても念のため事務局に確認をさせていただきたく、住基の外字についても事務局では解消される方向で進むべきとお考えなのか。

事務局: 減ったとは言えまだ残っているので、特別な取扱いや説明もやはり必要なのかと改めて思った。ここについては法務省や総務省と一緒になって進めていこうと思っているが、自治体の皆さんからも色々なご意見を伺い、今までやってこなかったことについても、新たな知恵を活かした広報もあっていいのではないか、法務省とも相談とはなるが解消を図っていきたい。
それから2点目の住基の外字について、今回の行政事務標準文字は戸籍をベースに、文字セットを考えているが、当然ながら今回は同定や標準化を進めて外字を無くそうと動いているので、住基文字についてまさにこの行政事務標準文字に基本的には全て同定していただくことを考えている。ここも総務省と今後相談しながら外字を無くすことについて動いていければと思う。

構成員: 今回、行政事務標準文字に置き換わり、改製不適合の戸籍が残っている部分を住基としてどう扱うのかという問題は非常に大事な部分だと思うので、方向性について整理をしていただきたい。住基においても、個別の自治体の判断に置き換えるという整理にならないように方向性をデジタル庁や総務省でも考えていただき、そのうえで自治体が住民にお話をいただければと思っている。

構成員: 総務省からもご意見をいただいてもよろしいか。

オブザーバ: 改製不適合戸籍の文字についても、戸籍と住基と文字を一致させており、まずは改製不適合戸籍の解消という前提はありつつ、それが解消される間についてのご示唆やご質問であったと認識している。
そちらについては、裏で行政事務標準文字とどのように連携していくのか方法の在り方は考える必要があろうかと思っている。ただ、対住民の皆さんに出す時は、総務省としては、戸籍と一致させたものを住民票としてお出しするという考えになっているので、アイデンティティの部分で見せていくのか考えていくのと同時に、コミュニケーションとしてシステム間の連携、行政事務標準文字で進めていく連携のあり方について、文字を行政事務標準文字としてどう連携させていくかということについては、また考えていく必要があるかと思う。

構成員: 資料の8ページにて、「法務省は、デジタル庁と協力し、改製不適合戸籍を解消することを目標に、自治体等への周知・広報の強化等により、自治体における改製不適合戸籍の解消に向けた取組を強力に推進する。」とあるが、実際は周知広報以上に踏み込んだことが必要なのかもしれないと考えている。大変な労力だと想像しているが、「MJ+の違う字に変えられます」というポスターが貼ってあるとかお手紙が来る程度では人は動かないのではないか。それらに伴う、様々なお手伝いやサポートもやる価値はあるのではないかと感じた。
また、これはご質問となるが「改製不適合戸籍の解消」というのは、どれぐらいのスパンで取り組まれるのか。急いで数年で集中して進められるのか、それとも5~10年なのか、出来るだけ努力していくなど、もっと気の長いものだろうか。

事務局: 事務局としては、まず標準化は一つの区切りになるので、ここ2~3年の期間で解消すべく、まずは努力をしていきたい。とは言いながらも、あくまで先ほどからお話が挙がっているとおり、個別の対応も必要となるので、2~3年での解消の確約はできないと考えている。よって、まず2~3年は集中をした推進時期ということで、法務省・総務省・デジタル庁と一緒になってやっていく。それでどうしてもということがあれば、別途色々なことを踏まえて進めていきたい。

構成員: 総務省からの説明もあったが、標準システム間の連携を行政事務標準文字で行うということは守っていただきたい。そこで更に外字が流れるということは避けたいと思う。

構成員: 基本フォントファイルについて、提供の時期は、以前は年度末という話であったが半年ほど前倒しをしていただきありがたい。
また、IVSへの対応について、ベンダにとって1ファイル化はありがたいことだと思っているが、一方でベンダによっては「MJのIVSに対応できず、MJが普及しなかった」という話も聞いているが、ベンダはIVSに対応出来るのか。もしくは、IVSに対応出来ないならばそれに対する対応は考えていないのか。

事務局: 我々も少しでも早く提供をさせていただければという考えから、半年後にさせていただいた。
またIVSは聞きなれない方もいるかもしれないが、こちらは文字の指定方法の一つで、特殊な指定方法のため、なかなかそれに対応できないというベンダもいると聞き及んでいる。こちらもベンダにアンケートは取っており、「IVSに対応できない」と答えたベンダは3分の1程度いらっしゃり、その中には大手ベンダもいるため影響が大きいと見ていた。これについてはまさに、文字情報技術促進協議会と我々も検討を重ねており、文字情報技術促進協議会において対応を考えていただけると伺っている。

構成員: 「サロゲートペア」と呼ばれているが、16ビットの文字を2つ組み合わせて1つの文字を表現することが行われている。現在JIS X 0213のなかでも、サロゲートペアを使わなければ表現の出来ない文字がいくつかある。ということは、今の一般的な行政が調達を行う仕様書においては、文字としてはJIS X 0213の文字セットを使うが、符号化方式はUnicode・UCSが多い。実際に主要なOSにしてもそのようになっている。実は初期に16ビットのサロゲートペアに対応できないシステムがたくさんあったが、今ではそれも大丈夫になった。要は、16ビットの固定長でしか文字として認めない時代があり「それでは足りないので、コードを複数合わせてなんとか対応しよう」ということで、アーキテクチャとして出来てきた。IVSも場合によっては、16ビット+32ビット、あるいは32ビット+32ビットとして1つの組合せにする。また、規格適合性という観点でいうと、落としてしまっても問題はないが、ただしお困りになるとは思う。なので、基本的にはそれほど大きなシステムの変更をしなくても対応できるとは思う。そういった技術情報は詳しい人がたくさんいるので、技術ノートのようなものを提供させていただくことは可能だと思う。

事務局: 文字情報技術促進協議会にもご協力いただき、IVSに割り当てた字形を暫定的にPUPの領域に割り当てるなど、協議会と一緒になって解決していきたいと思う。

構成員: この基本フォントファイルについて、念押しをしたいのだが、戸籍の副本システムで確認したところ「文字情報基盤文字から標準準拠システムにおいて使用が見込まれない文字が推定2万文字」というお話だったが、そこは戸籍ではこの2万文字は使われてないという認識でよろしいのか。

事務局: 法務省より、副本管理システムで見てみたところ、この2万文字は戸籍の氏名や本籍でも使われていなかった、ということである。よって、これをまずは省いたうえで1つのフォントに出来るのではないかと考えた次第である。

構成員: つまり全国の自治体から出されている戸籍の文字を国が全部見てみたところで2万文字は使ってなかった、と理解した。よって住基も戸籍にならうのであれば、その2万文字で使わない整理になるかと思う。文字の数は1フォントファイルにて議論できないかというお話もあり、技術的に出来るということと、色々な状況も含めてこういう風に出来るという議論は私は違うと考えている。1フォントファイルでシステムとして、文字のフォントファイルが使われていくことをむしろ基本に考えていくべきだと思うので、IVS対応が出来るという努力も別に置かせていただくが、むしろ2万文字引いたものを議論していくことをご提案したい。

構成員: 強く申し上げてしまうが、PUPを使うのは絶対に避けるべきである。それだけで、どれだけ後の世代に負の資産を残すかわからない。PUPを使ったものが固定化されて、使われ続けると日本は孤立してしまう。もしこれが、基本フォントファイルがPUPを使ったまま、永続的に使われる決定になれば、そのタイミングで私は本検討会に協力できないし、文字情報技術促進協議会としても協力できなくなってしまう。よって、暫定的や経過的に「IVSをPUPに置き換える」というのは実態を踏まえれば仕方ない。ただ、それがまさにデファクトとして永続的に使われるようなことはぜひとも避けていただきたい。それは日本にとってものすごいマイナスになってしまうので、強調をさせていただく。

構成員: PUPを使う、ということが永続化することのマイナスの理由となにか。

構成員: 国際整合性が取れないことである。産業界としても行政としても国際標準を使わない選択肢は日本だけでなく世界中のどの言語にもないと考えている。

事務局: 本件については検討会が始まった当初からご意見をいただいていたかと思うが、我々もPUPを恒久的に使うことは考えていない。今回の判断も、将来的にベンダには例えば複数フォントに対応可能していただくなど、しっかりIVSに対応できるまでの暫定措置を、デジタル庁としては提供しないといけないのでご提案をしているものである。今回の1フォントファイルの一部にPUPも含んだものを提供しているのを使っていただくにあたっては「これは限定的なものです」ということは踏まえたうえで、自治体やベンダとも合意したうえで、限定的に進めていきたい。

構成員: 資料の「第5回検討会振り返り」においても、「文字符号位置については、国際標準化が完了するまでの間、暫定的にPUPを使用するとのことですが、国際標準化が完了した後に、各標準準拠システムで国際標準化に対応するための費用等について、国の補助が必要になると思われます。」という記載がある。これは国なのか自治体なのかは分からないが、今回の暫定ファイルの提供にあたっては、それを国際標準化の対応が完了した時点で、いかにスムーズにPUPを排除した正規のシステムに持っていくかについても、ロードマップをはっきりさせたうえで、使用の許諾を取っていただきたいと思う。

構成員: 私も先ほど申し上げたが、ここ2~3年のロードマップについては必要だと思う。標準化は長い取組なので、国という組織がやると人の入れ替わりも起きてしまい、この検討会で意識共有をしたことが、数年後には人が変わっていることもあるので、そこは残してもらいたい。

準構成員: 基本フォントファイルの定義について確認したい。文字情報基盤文字のうち使用が見込まれない約2万文字については、9月6日にMJ+のβ版が示されていた時に同梱をされていたJIS X 0213への変換表のなかで変換文字が指定されていなかった文字、これは24,000字程度あったが、これが該当するのか。また、そういうことであれば、ここの文字数の確定については今年度末に行政事務標準文字の追加9,000字は確定するかと思うが、そのタイミングで基本フォントファイルに含まれない文字も確定するのか。

事務局: 基本フォントファイルに含まれない文字は年度末には確定したいと考えている。

準構成員: JIS X 0213に変換可能な文字および変換表には「戸籍には使用されているが、JIS X 0213には変換できない文字が残される」ということか。

事務局: そこは確認する。

準構成員: 変換できない文字はどうすればいいのだろうか、という問題はあるが、それの取扱いは決まっていたか。表現できない文字を外部に引き渡してもよいものなのか。今までの外部事業者とのやり取りのなかではそのようなことはしてこなかったので、それをフォローしようとすると、業務システム側にも跳ね返りが出るという心配がある。

構成員: JIS X 0213の変換のマッピングだが、文字情報基盤文字も含めて、可能なものは非常に限られている。可能なものについては、逆を言うとIVSを使って処理が出来てしまう。よって、JIS X 0213へのマッピングについては、マッピング出来ないものをどうするかということを中心に考えてもらいたい。
準構成員:資料の11ページ目「左下に予備文字ファイルから基本フォントファイルへの追加方法は今後示す」としているが、どういう方法や時期を想定されているのか。

事務局: これからの検討事項となる。基本フォントファイルを今後、デジタル庁で管理したいと思っているので、1文字追加したことは、それをデジタル庁で追加したら基本フォントファイルを作って、自治体に配布していくことを1つのやり方として考えている。
ただ、配布することになれば運用や仕掛けが必要となるので、その辺はまさに今後システムの仕掛けも含めて考えないといけないと思いここに記載させていただいた。場合によっては、非常にそれが厳しいとなれば、自治体独自で文字を追加する方法もあるかと思う。ただ、それだと今までの外字の世界とあまり変わらないので、可能ならば前者で考えたい。詳細については、これから検討をして、我々としては基本フォントファイルを令和6年度上期に完成させていきたいので、併せてお示しできればと思う。

構成員: 個別にしても配布にしても技術的には簡単かと思う。それに加えて資料には、予備文字ファイルのなかに基本フォントファイルから除外された約2万文字を添付しておいていただく旨を記載されている。IPAmj明朝として提供しているフォントのライセンスでも、常に復元できるように予備ファイルを添付することによってクリアしているので、良いアイデアかと思う。

準構成員: 直接関係ないかもしれないが、行政事務標準文字に対する同定の先行事業・実証事業をやっているが、そこの進捗状況や見通しの情報共有が可能であればお願いしたい。

事務局: 110程度の団体からデータの協力をいただいてけることとなった。今は、各自治体から提供のデータをもとにAIの同定精度を高めることを行っている最中である。その後、制度を向上させたツールを使用し3月時点でもう1回、文字を同定させていただき、協力自治体に同定結果を返信したいと考えている。

準構成員: 同定結果が返って来るのは3月となるのか。

事務局: その予定である。

構成員: 他に意見が無ければ、議事をここまでとさせていただきたい。

以上