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国際データガバナンス検討会(第2回)

OECDの下で立ち上がったInstitutional Arrangement for Partnership(IAP)やその他の国際枠組みにおけるDFFT具体化に向けた日本政府の取組や提案形成において、データの越境移転に係る我が国・企業等のステークホルダーからの情報や要望を反映しつつ、その実施を支援するため、有識者による議論・検討・提言を行うことを目的とした検討会を開催します。

概要

  • 日時:2024年2月9日(金)15時から17時まで
  • 場所:デジタル庁 庁議室およびオンライン会議(Teams)
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. 第1回検討会の振り返り及び今期の狙い
      2. 構成員からの事例紹介
        • 川村構成員((国研)農業・食品産業技術総合研究機構)
      3. 自由討議
    3. 諸連絡等
    4. 閉会

資料

関連情報

議事要旨

日時

2024年2月9日(金)15時から17時まで

場所

デジタル庁 庁議室およびオンライン会議(Teams)

出席者

構成員(座長以下50音順)

山本座長、渥美構成員、稲谷構成員、川村構成員、北村構成員、鬼頭構成員、黒﨑構成員、佐藤構成員、沢田構成員、鈴木構成員、藤井構成員、宮本構成員、若目田構成員

オブザーバー

  • 個人情報保護委員会事務局
  • 総務省

事務局

  • デジタル庁 国民向けサービスグループ国際戦略
  • 経済産業省 商務情報政策局 国際室
  • みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社

討議要約

(1)第1回検討会の振返りおよび今期の狙い

事務局説明
  • データの越境移転に関する規制や関連制度の国際的な相互運用性を図るため、OECDの下に Institutional Arrangement for Partnership(IAP)の設立を進めている。
  • 国際データガバナンスは信頼性のあるデータ流通に向けた基本的な仕組みを多数国間で整備する「第1レイヤー」と、二国間・少数国間による「第2レイヤー」を組み合わせることが必要。IAP はこの多数国間のレイヤーであり、二国間・少数国間の個別具体的な議論、国際データガバナンスの取組を進める。
  • 我が国の産業界が持つニーズを国際ガバナンスに反映させていくためにも、IAP の初期プロジェクトを我が国から提案し、議論を主導することを目指している。本検討会では、国内のステークホルダーのニーズを踏まえ、具体的な提案内容を議論したい。
  • 国際データガバナンスを推進する上で、データ戦略に基づいて、国内で個人・非個人データを含めた包括的な国際データガバナンス推進に向けた国内メカニズム・エコシステムを形成することが重要である。本検討会においては、そうしたエコシステムの戦略的な構築に向けた提言についても、取りまとめていきたい。
昨年度の DFFT 研究会を踏まえた取組状況について
  • 昨年度までの DFFT 研究会では、G7 を中心とする国際的な枠組みについての議論が行われた。今後、OECDに事務局を置いて IAPを展開していくに当たり、中国の位置づけをどのように想定しているのか。
    • IAP では、個々のプロジェクトは OECD と他の地域機関や国際機関との連携も出来るため、案件ごとに柔軟に参加国や主体を変えながら議論を行うことができる。(事務局)
  • 過去の DFFT 研究会で提示された「データの越境移転に係る各国制度について整理された情報をマッピングするためのシステムの構築及び当該システムが機能するための仕組みの構築」等の解決策について、現在の取組状況を伺いたい。
    • DFFT 研究会で提言された内容については、優先的に議論すべき事項として、G7等の国際的な場で発信している。(事務局)
    • 国内では、各国の法制度をマッピングするような取組は行われているのか。
    • 個別に各国の法制度を整理している主体は見られるが、統一された整理方法が存在していないことに加え、一度整理しても情報が陳腐化してしまうという課題がある。そのため、各国との連携のもとで、情報をアップデートされる仕組みを備えたマッピングの仕組みが必要であるという点について、DFFT 研究会で提言したところである。(事務局)
国際データガバナンス推進に向けた国内メカニズム・エコシステムの構築について
  • 国際データガバナンス推進に向けた国内メカニズム・エコシステムの構築を進める中で、国内からニーズを拾い上げるだけでは、国際的な議論と国内の議論が噛み合わなくなってしまう恐れもある。グローバルなアジェンダを国内の主体に意識的に共有していくことも必要ではないか。
    • 勉強会形式での国内企業へのヒアリング等の場を活用しながら、精力的に議論を進めていくとともに、グローバルなアジェンダの国内企業への周知にも取り組んでいきたい。(事務局)
    • 本検討会において、国内のニーズを収集するスタンスを示すことは重要であるが、本検討会のリソースを考えると、ボトムアップの個別ニーズや意見の収集・分析をこの検討会で行うのはあまり効率的ではない可能性がある。また、多くの分野で日本の市場はガラパゴス化しており、世界的なニーズとの乖離が生じることも多いため、国内に対して、DFFT や IAP に関する議論の前提や世界の課題認識を伝えるなどの取組は積極的に行った方がよい。
  • 国際データガバナンス推進に向けた国内メカニズム・エコシステムの形成にあたっては、長期的な投資が求められる。将来的な拡大も見据えて、公的資金以外の原資を確保する方法についても検討が必要ではないか。
    • データが生み出す価値をどのように示し、マネタイズしていくかという点については、本検討会の中で、産業界から参画している構成員の知見も借りながら、継続的に議論していきたい。(事務局)
    • 資金調達においては、リーダーシップが不可欠であり、リーダーは、様々なステークホルダーにリスクマネーや経営資源を投資してもらうために、ビジョンやストーリーを伝え続ける必要がある。そうした面で、国際イベントの開催は一定の成果を挙げているが、それ以外の手段についても活用が期待される。
国際的な議論における論点について
  • 非個人データの越境移転制度については、さらなる検討が重要である。それに加え、国際データガバナンス推進に向けた国内メカニズム・エコシステムの形成に当たっては、官と民がそれぞれ持つデータを接続して共同で活用することも必要になると想定されるため、「個人と非個人」と「官と民」の2つの軸でデータを捉えて、データ流通を考えていくとよいのではないか。
    • 各国で産業データに関する規制等が導入されつつある中、非個人データの流通は企業実務において重要なポイントであると認識している。ご指摘いただいたデータの分類や性質による違いも踏まえながら、データガバナンスのあり方を検討していきたい。(事務局)
    • データの分類は各国の法制度によっても異なるため、まずは各国の法制度の透明性を高めていくことが重要である。また、そうした制度におけるデータ定義の違いを踏まえると、IAP 等の場で議論するテーマは、データそのものよりも、達成したい目的に基づいて設定する方が進めやすいのではないか。
  • ドローンで撮影した写真や衛星写真等に個人が映り込んだ場合、個人データとして越境移転が制限されてしまうことが懸念される。そうしたデータの流通可否について、国際的に共通の判断基準があるとよい。
  • 今後、国境を越えるデータスペースが登場する可能性も考えられるが、その場合はデータの越境移転がより重要な論点になるのではないか。
    • データスペースの連携においては、制度、テクノロジー、コネクタの三つのレイヤーで、政策面から議論が行われ始めている。現在は国内のデータ連携の仕組みの構築に特に重点を置いているが、将来的には国外のデータスペースとの連携も想定しているため、データ越境が行われるパターンの整理と、各パターンにおける対策の検討を進めたい。(事務局)
  • データの越境移転に関する規制の透明性を確保する上では、具体的な内容や運用実態以上に、そもそもの規制の趣旨や目的を明らかにするよう求めることも重要ではないか。それにより、幅広いステークホルダーが、規制の妥当性や代替手段の有無などを検討しやすくなると考えられる。
    • ご指摘のとおり、透明性の確保により、非合理な規制が明るみに出れば、規制の調和に向けた一定の圧力になりうると考えている。そのような観点からも、透明性確保の取組は推し進めていきたい。(事務局)
  • 規制のサンドボックスの取組は国内外で行われているが、サンドボックス間の国際連携は効果的に行われているとは言い難い。今後、データ流通の国際的な議論を、サンドボックスの取組も巻き込みながら進めていくとよいのではないか。また、サンドボックス自体にも課題が多いため、サンドボックスの課題解決と、データ流通に関する技術活用の環境整備の両面において、サンドボックス関連のイニシアチブを巻き込んでいけるとよい。日本のサンドボックスは金融分野以外にも活用できるという長所を持っているため、日本が主導権を握る上で戦略的な活用が可能である。

(2)構成員からの事例紹介 川村構成員((国研)農業・食品産業技術総合研究機構)

  • WAGRI を用いたビジネスの展開先として、中国はどの程度のビジネスチャンスがあると想定しているか。
    • 中国への進出ニーズは高くないが、輸出ニーズは大きいため、認証制度の一元化や互換性の確保はニーズがあると考えられる。また、土地に関するデータの共有は困難だが、気象や病虫害に関するデータ共有のニーズはあるだろう。
  • WAGRI におけるデータやメタデータの知的財産権は、どのように取扱われているか。
    • データについては、農林水産省のガイドライン等をベースに規約を整備し、契約を行っている。
  • WAGRI の活用促進に向けた課題はどのように考えているか。
    • データ活用によるメリットについての定量的なエビデンスが十分でないため、農業者にとって、利益の増加等の具体的なメリットがイメージしにくいことが課題の一つとして挙げられる。データの活用によって利益を増加させている団体もあるため、そうした成功事例を発信していくことが重要だと考えている。また、農業者には高齢者が多く、大規模な投資に踏み切ることが難しい面もある。そのため、これから就農する学生等に向けて、データ活用を浸透させる取組も進めている。

以上