教育分野の認証基盤の在り方に関する検討会(令和7年度第1回)
概要
日時
令和7年(2025年)12月2日(火)10:00から12:00まで
場所
オンライン開催
議事次第
- 1.開会
- 2.議事
- 1.座長、検討会メンバーのご紹介
- 2.調査研究における論点のご説明
- 3.ご意見交換
- 4.事務連絡
- 3.閉会
議事概要
1.座長、検討会メンバーのご紹介
- 本検討会の座長として鳴門教育大学特命教授・教員養成DX推進機構長 藤村裕一氏を座長として選出することを事務局から提案し、異議なしのためそのように決定された。
- 検討会に参加される各メンバーに自己紹介いただいた。
2.検討会での論点案についてのご説明
検討会での論点案について、事務局より、資料に基づき以下のとおり説明。
- 本検討会では「本人を経由しない組織間の教育データ連携」、「本人を経由するデータ連携」の2点を取り上げる。第1回会議では「本人を経由しない組織間の教育データ連携」を取り扱う。
- 「本人を経由しない組織間の教育データ連携」のユースケースとして、中学から高校の進学における指導要録、健康診断票の送付業務を取り扱う。
- 「本人を経由するデータ連携」のユースケースとして、大学の卒業・成績証明書の発行業務を取り扱う。
- 認証基盤のシステム構成図やシステム導入後の業務フロー、法令や諸制度との整合性、トラストフレームワーク、今後の課題や展望等を検討観点として取り上げた。
3.ご意見交換
組織間のデータ連携に係る論点に当たり、検討会メンバー間にて自由討議が行われた。主な内容は以下の通り。
- 資料に記載のあるデータの内容や形式(ファイル形式)は、実際の運用やシステムを構築する上で重要である。電子署名付きPDFと、XML・JSON・CSV等のテキスト形式のファイルの双方を連携する旨が記載されている。その際に、PDFが主なのか、テキスト形式のファイルのデータ(構造化データ・半構造化データ)が主なのか、その主従関係の整理については、「原本」(帳票)と「データ」(記載事項)の関係にも関わる論点だと考える。PDFが主になる形式は、本調査研究でのユースケース(現状の指導要録・健康診断票の活用方法を前提とした場合)では問題なく成立する可能性があるが、指導要録・健康診断票の内容が高校にて積極的に活用される場合や他文書も活用されるようになる場合等、ユースケースの広がりという観点ではデータが主となり得るため、今後のユースケース展開も踏まえた検討が必要である。
- 今回の議論では、データ連携の際に生徒情報を紐づけるため、本人に確認を求める(個人認証を行う)ような運用が話題に上がったものの、採用する手法によっては事務負担がこれまでと変化しないという問題があると考える。しかしながら、これまでも紙で作業していた場合に実際に誤りが発生していたように、電子化を進めると名寄せや紐づけの問題として顕在化する。そのため、国民が納得できる仕組みにするためにも、何らかの識別子が必要になると考えている。
- マイナンバーカードのシリアル番号を用いた識別について、本人を介した連携の先には、将来的に民間事業者も含まれる可能性がある旨を伺っている。そのため、証明書のシリアル番号を識別子として使う場合、その識別子が民間事業者まで含めた連携先で利用できるのかどうか、慎重に検討が必要だと考えている。ID自体は学籍番号等と同様に各組織が発行するかどうかを含めて、「誰がシリアル番号を用いたIDを発行・管理し、メンテナンスを行うのか」という主体の問題は十分に検討する必要がある。「IDを発行する主体」と「管理する主体」が分断されたり断絶したりしないよう、継続的な運用が可能な体制をどのように作るかが極めて重要だと考える。
- 本調査研究においてユースケースを検討した背景に、正常系だけでなく異常系を含めて洗い出し、将来的な汎用化に向けて課題を整理するという目的があったと理解している。今回の案では、GビズIDやマイナンバーカード等のIDを用いて組織間でデータ連携を行う流れが示されているが、重要なのは、デジタル化の恩恵が組織や個人に届き、業務がどれだけ効率化され、煩雑さが減るのかという点だと考えている。同一人物であるかどうかの確認における煩雑さが解消されるのかどうかが重要な論点だと考えている。
- マイナンバーカードについては、保有していない人に対して従来の紙に戻すような運用の対応は望ましくないと考えている。DXの観点から、可能な限り電子的な手段で代替措置を講じる方針が望ましいと考える。
- 送受信するデータに電子署名を付けてPDF化するなどの手段を検討されているが、そうした手続きによって逆に煩雑さが生じないかどうか、改めて確認が必要である。データの原本性や真正性の議論とは別に、業務プロセスの観点からデータのポータビリティも含めて再確認するのが良いと考える。
- 各自治体では校務支援システム更新のタイミングが訪れており、乗り換えの際にデータ移行に膨大な労力がかかっている。その場合、データの整合が取れず引き継げないケースもあり、再入力が必要な事態も発生している。そのような現状の中で、他県からの転校生のデータ連携等を行うと、読み替え作業が多く発生する。そのため、「デジタルでやり取りするよりも紙の情報を参照して手で再入力したほうが早い」という事態も生まれ得る。このように、現場に存在するデータが揃っておらず、バラバラである現状を踏まえた上で検討を進めないと、移行の段階で連携が上手くいかない可能性があると考える。
- 「データの受渡し」というよりも、「同じ枠組みの内側に入る」というイメージに近いと考える。別々のデータを送り合うのではなく、同じ仕組みの中で本人を介さずに連携するという発想は、今回の組織間のデータ連携の検討にも通ずる部分があると考える。こどもたちのデータを大きな枠の中でどう扱うかという観点で、IDやシステム構成を検討すれば、方向性としては前に進んでいくのではないかと考えた。
- 本議論は、組織ごとにシステム化するタイミングが異なっている状況を、いかに効率よく同じ方向に揃えていくか、という観点が背景にあると理解している。今後データ中心の運用が進むほど、データは「送受信」よりも「共有」の形式に近づいていくと考える。しかし、法人(組織)が異なる場合には、その共有を実現する上でアクセス制御が必要になる理解である。組織・個人の双方に対して適切にアクセス権を付与し、データが適切に共有される仕組みといった観点から、認証基盤を検討することが良いと思われる。
- 現状の紙の運用と新しいデータ連携を併用せざるを得ない状況は、対応による手間が増え、DXによる利便性向上が見えにくくなる可能性がある。新しいデータ連携によるメリットを提示しながら、現場が無理なく導入できる整理方法が必要だと考える。
- 本人同意の取扱いについて、同意をどのような手段で得るのかは十分に検討する必要がある。マイナンバーカードを前提とする場合、署名用電子証明書を使った電子署名が考えられるが、15歳未満では署名用電子証明書を使用できない。仮に保護者が同意する場合でも、本人同等の強度を持つ署名を用いて同意を取得する形が本当に適切なのか、慎重な検討が必要だと考える。
- 行政文書や学籍情報には5年・20年といった保存期間が定められているものの、同意の履歴についても取扱いを検討する必要がある。
- 保存期間について、項目ごとに異なると理解している。保存期間が定まっていないものについてはルール化、場合によっては法令上の手当が必要になる可能性があると考える。また、児童生徒が成長していく中で、特定のデータが長く残ることでレッテル貼りやスティグマにつながる可能性がある項目については、保存期間を短くするなどの配慮もあり得ると考える。さらに、データの提供元と提供先がある際に、「どこを起点として保存期間を数えるのか」という点も整理が必要であると考える。
- 原本の扱いについても、紙を原本とするのか、電子を原本とするのかが自治体判断とされている記載があるが、そもそも「原本が何を担保するのか」、「何をもって原本性を判定するのか」について明確にする必要があると考える。転校や進学でデータが移る場合、特に電子データの場合、原本の扱いがどうなるのか検討が必要である。
- IAL・AALの記載について補足する。レベル1~3は「3が最も高い」「1が最も低い」といった序列ではない。あくまで求められるリスクの大きさに応じて、適切なレベルを選定することが重要である、という考え方で定義されている。したがって、「高いレベルであればあるほど望ましい」という印象を与えるような記載になると、意図と異なる可能性がある。
- この事業全体は、デジタル公共インフラを整備し、それを学校教育にどう活用していくかという、重要な基盤を作る取組みであり、将来的にはユースケースを広く展開する可能性がある。そのため、まずは目の前のユースケースを取扱うことも重要であるが、原理原則に関する広い概念(データのアクセス権管理、データのポータビリティ等)について、報告書の中で触れておくことが重要であると考える。
- 実装の段階になった場合、校務支援システム事業者の協力が必要となる。しかし、事業者は次世代校務DX対応等で多忙である。本調査研究の内容が実装されるまでは一定時間があるとは考えるものの、「この方向性で進める」旨を早めに関係者に周知・共有することが重要である。本取組をどのように前に進めるのか、また現在何が起きているのかを、事業者側にも適切に理解していただき、「対応が必要である」という認識を持っていただくことが必要である。
- 校務支援システム事業者が国の方針に沿って開発を進めようと開発費を投じていても、調達側である教育委員会がその方針を理解していないために、調達仕様が旧来のままになってしまう可能性があると考えた。調達主体である都道府県や市町村教育委員会に対して、必要な情報を明確に示し、「この仕様で調達すべきである」「認証を受けた仕組みを選定すべきである」といった方針を周知徹底していくことが重要だと考える。
- データを取り扱う際に、「文字」に関する問題も非常に重要だと考える。各学校・自治体の校務支援システムでは、外字を独自に作って登録しているケースが多く存在する。そのため、校務支援システムや関連システムでどの文字を使用するのか、そしてその文字を共通化できるのかという点は、非常に大きな論点になると考える。
4.事務連絡
事務局より事務連絡について説明。