地域幸福度(Well-Being)指標の活用促進に関する検討会(第11回)

概要

日時:
2026年7月22日(水)9時30分から10時30分
場所:
オンライン

議事次第

  • 1. 開会
  • 2. 議事
    • 1. 地域幸福度(Well-Being)指標の活用状況と客観指標の見直しについて
    • 2. 主観アンケート結果の全体傾向について
  • 3. 意見交換

資料

参考資料

議事録

デジタル庁事務局: 本日はお忙しい中をお集まりいただきありがとうございます。
定刻になりましたのでただいまから第11回地域幸福度(Well-Being)指標の活用促進に関する検討会を開催させていただきます。
デジタル庁国民向けサービスグループ・デジタル公共財担当の多田と申します。
前回の検討会から約9ヶ月ぶりの開催となりまして期間が空いてしまいましたが、どうぞよろしくお願いいたします。
では早速ですが、ここからの議事進行につきましては、座長であります前野先生にお願いしたいと思います。前野先生どうぞよろしくお願いします。

前野座長: はい。皆さんこんにちは。座長の前野隆司です。
9ヶ月ぶりということですが、今日はコンパクトに1時間ということで、デジタル庁と南雲さんからの説明の後、意見交換の時間がありますので、ぜひ皆さんご自由に意見交換していただければと思います。
それではまず、デジタル庁さんから、議事(1)資料2に基づいて説明をよろしくお願いします。

デジタル庁事務局: 資料2に基づきまして、地域幸福度(Well-Being)指標の活用状況と客観指標の見直しについてご報告をさせていただきます。
委員の皆さまに事前配付したものと資料の説明順が変更となっておりますのでご留意いただきますようお願いします。会議終了後に改めて資料を送付させていただきます。

(1ページ)こちらは現時点の自治体における地域幸福度(Well-Being)指標の活用状況となります。
現在272の自治体でご活用いただいているところです。地図にありますとおり、北海道から沖縄まで、規模を問わず全国に広がっている状況となっております。総合計画等のKPIとして定着している自治体もありまして、自治体の皆さまからは、データの安定的かつ継続的な提供を求める声をいただいているところです。

(2ページ)次に、前回の会議から9ヶ月経ってしまいましたので前回の振り返りをさせていただきます。委員の皆さまからは、しばらく検討会が開かれておらず、今後の方向性が見えにくいというご指摘もいただいておりますので、前回検討会以降の動きとあわせて、今後の進め方についてご説明させていただきます。
昨年7月にデータ誤りによる公開の一時停止がありました。その後の9ヶ月間は、データの更新サイクルの整理や再発防止策の徹底に注力しておりました。具体的には、マニュアルの再整備や検収体制の明確化、要員の確保という対策を講じているところです。
また、当時指標を活用されていた204自治体に対しましては、個別に連絡させていただいて、状況の説明と信頼回復に努めてきたところです。
その上で、本指標の提供開始から約3年が経過していることも踏まえ、現在自治体における「地域幸福度(Well-Being)指標サイトの改善に向けた現状評価及び調査業務」を実施しているところです。この調査結果を受けまして、次回(今年度の2回目)の検討会におきまして、今後の進め方について皆さまとしっかりと議論をしたいと考えているところです。

(4ページ)次に客観指標の見直しについて説明します。
総合計画や総合戦略に位置付けて活用されている自治体もいらっしゃることから、大幅な変更は自治体の計画・運用に直接的な影響を及ぼす可能性があります。このため、今回は公開が終了した統計や、更新予定が未定となっているデータの整理・削除など、指標の継続性を確保する観点からの軽微な見直しにとどめています。
客観指標を構成するKPIは、官公庁・自治体・企業・団体などが公表する多様なデータを活用して算出していますが、今回は、「データ公開終了」、「調査事業終了」、「一定期間更新なし、かつ次回更新未定」に該当するデータのみを削除対象とさせていただきました。
市区町村版は217データのうち6データ、都道府県版は210データのうち5データの削除を予定しております。
全体として、スコア算出への影響は極めて軽微なものであると聞いておりますので、この形で進めさせていただいております。
次のページからは、参考資料として各データの一覧を掲載しております。今回の削除対象となるデータを赤文字で、指数を構成する一部が削除となるデータを緑文字で表示しております。
本日は時間の都合上、各ページの説明は割愛させていただきますが、見直しの影響が局所的であるということの確認として参考添付させていただいておりますので、のちほどご参照いただければと思います。

(13ページ)次に今後の方向性について説明させていただきます。
1点目は客観指標の見直しに係る方向性についてです。
今回のようなメンテナンスは今後も定期的に実施させていただきたいと考えております。
その際は「継続性」「網羅性」「再現性」「信憑性」の4つの観点から総合的に判断しますが、活用自治体の影響も考慮しながら検討していきたいと考えています。
2点目ですが、冒頭に申し上げましたが地域幸福度(Well-Being)指標の活用実態に係る調査業務についてです。冒頭で触れた通り、本年4月より実態調査を実施しております。次回の検討会では、その結果を共有するとともに、その結果を踏まえて今後の進め方であるとか、方向性について整理した内容について共有させていただければと考えております。

(15ページ)最後に令和8年度の全国アンケート調査の実施状況についてご報告させていただきます。
今年度は目標の10万件を上回る106,519件の有効回答を得て、先週7月16日にダッシュボードを公開させていただきました。100サンプル以上の回答を確保できた自治体も572団体に上りまして、対象となる自治体を昨年度より増やすことができました。

(16ページ)こちらは過去のアンケート調査との比較ということで、令和5年度以降、毎回、8万から10万人規模の回答を得ております。全国規模で安定した主観指標のデータ基盤を維持することができているのではないかと考えております。
デジタル庁からの報告は以上となります。

前野座長: ありがとうございました。では続いて議案(2)資料3の説明を南雲さんよろしくお願いします。

南雲委員: 毎年、全国調査が終わりますとサマリーを発表させていただいておりますが、今年は従来のものに「アドオン」という形で、個票ベースの分析や、いわゆる「マルチレベル分析」を充実させています。個人単位のものと市区町村単位の間をつなぐ分析を強化したのは、自治体の活動レベルが上がってきていることに応じたものです。

(3ページ)まず例年通りの表ですが、左側が「幸福度」、右側が「生活満足度」です。データは安定していますが、若干どちらも下がり気味という印象です。去年までは、幸福度が下がっても生活満足度はなんとか上がるような雰囲気がありましたが、今年は全体的に微減という感じかと思います。

(4ページ)それから「5年後の幸福度」と、いわゆる協調的幸福である「町内幸福度」に関しても、大きな変化はありません。ただ、5年後の幸福度が全体的に下がっており、日本の将来に対する明るさ不足のようなものが、ここに少し出ている可能性を感じています。ちなみにグラフの赤色は直近3年の移動平均、緑色は昨年までの3年間の移動平均です。移動平均を取っているのは「World Happiness Report(世界幸福度報告)」と同じやり方を採用しているためです。

(5ページ)次に24因子の状況ですが、全サンプル対象でみると変化なしという形です。「医療・福祉」「買物・飲食」「住宅環境」「初等・中等教育」「公共空間」「自然の恵み」「健康状態」が平均よりも高く出ます。一方で「遊び・娯楽」「多様性と寛容性」「雇用・所得」「事業創造」が平均以下という形で不満が多く、この状況も全く変わっていません。

(6ページ)こちらは、昨年は棒グラフで出していたものを、形を変えて示していますが、3つのWell-Being指標を年代別のカーブで見ると、いわゆる「U字カーブ」を描いており、40代が最低となっています。3つの指標ともすべて同じ形です。

(7ページ)また、世帯年収と主観的幸福度の関係、いわゆる「イースタリンのパラドックス」についてですが、昨年と同じく年収2,000万円が一つの頂点となり、そこから若干の平行移動を経て、1億円ぐらいで減少しています。ただし、赤字で注記している通り、サンプル数が少ない点には注意が必要です。3,000万円以上のデータは参考値ですが、フットノートにある通り、3,000万から5,000万円が628件、5,000万円から1億円が171件、1億円以上が91件というサンプル数であることを前提にご覧いただければと思います。

(8ページ)今年から新しく始めた試みとして、24因子の平均スコアに対して「k-means法」によるクラスター分析を行いました。その結果、6つまでは有効に分離が可能であることがわかりました。
グラフを見ていただくと、一番上のブルーから一番下の赤まで、波形は少しずつ違いますが、ほぼ並行して動いています。一見すると「Well-Being格差」のようなものが見て取れます。

(9ページ)概念的な言葉で説明しますと、一番上のブルーが「充実謳歌型」で、サンプルの11.7%を占めます。主観的幸福度が7.92、24因子の平均が3.98(5点満点中)とかなり高い数値です。
その次が「安定成熟型(幸福度7.18)」、「自然充足型(6.61)」、「都市標準型(5.95)」と続き、最後の「複合困難型」は4.14という形で、トップとボトムでは幸福度にかなりの差があることが見て取れます。属性データについても、年代構成、世帯年収、最終学歴という形で一定のブレイクダウンが判明しています。世帯年収で「回答しない」という層が含まれているため、少し割合が見にくい部分はあります。

(11ページ)続いて、昨年同様の相関係数です。幸福度、生活満足度、町内幸福度に対して、相関係数の高い順にトップ10を並べています。
ここは去年と比べると差があります。去年は「地域の人間関係」にあたる紫色の項目が一つも入らないという問題がありました。「自分らしい生き方(ブルー)」と「都市環境(オレンジ)」、つまり利便性と自分らしさの二つが全指標の相関を占めており、少し世知辛い状況だったのですが、今年は「紫色」が戻ってきました。一昨年は紫色があったため、昨年だけが少し異常だったのかなと考えています。

(12ページ)また、24因子の総当たりの相関係数を「コードダイアグラム」で表しました。外側の弧が厚い部分は、様々な因子と関係が深いものです。ハイライトしている箇所では、都市環境における「子育て」「地域行政」「公共空間」「事故・犯罪」、そして「地域のつながり」が含まれます。また、自分らしい生き方では「文化・芸術」「教育機会の豊かさ」「雇用・所得」「事業創造」などが共通して強く出ています。

(13ページ)重回帰分析については、左側が昨年度、右側が今年の結果です。若干の入れ替わりが生じています。昨年は幸福度に対して「地域とのつながり」「自己効力感」「健康状態」の3つが入り、前野先生からも「身体・精神・社会の3要素が揃ったね」とおっしゃっていただいたのですが、今年は「地域」が落ちて「住宅環境」が入っています。

(14ページ)生活満足度では「買物・飲食」が増えるなど多少のブレはありますが、大きな変化というよりは範囲内の変動と考えています。

(16ページ)今年はさらに進化させ、「構造方程式モデリング(SEM)」を行いました。
図の右側の紺色の字が目的変数で、「主観的幸福度」と「人生評価」を置いています。それに対する媒介変数として「生活満足度」と「町内幸福度」を見ています。そこに影響を及ぼす主観のオレンジの箱は、データの整理上、「都市体験」「コミュニティ体験」「成長体験」という切り方に変えました。さらに一番左側には、客観データとしての「都市機能」「コミュニティ基盤」「成長基盤」を組み込んでいます。
ここで分かった一つのポイントは、媒介変数の「生活満足度(紫)」と「町内幸福度(緑)」のどちらが先に来て最終的な目的変数にたどり着くのか、という順序です。まず周りの人の幸せ(町内の幸福度)を感じてから、自分の生活満足度を経て、個人の幸せに至るというルートが結構あることが見えてきました。

(17ページ)21のモデルを作ってデータを当てはめてみたところ、人口規模別(大都市圏、23区、政令市、中核市、一般市)、地方別、24因子のスコア別のセグメントごとに、媒介変数の順序が示されました。
昨年の分と合わせて傾向をざっくり言うと、北から関東までは「町内幸福度が先に来てから生活満足度へ」という順序になり、西から沖縄の方へ行くと、まず「自分の生活満足度があってから町内幸福度へ」という順番になるのが大まかな傾向として見えています。

(18ページ)また、オレンジや水色の箱(潜在変数)の中に入ってくる個別の因子が何なのかを見たのが「セカンドレベル」の分析です。これを見ると、24因子すべてが入るとは限らず、ものによってはマイナスの働きをするものも出てきます。この個別の因子の入り方は、人口規模別や地方別でかなり特色が分かれます。

(20ページ)各パス図を見ていただくと、自治体の人口や地方という区切りによって、幸福に紐付いている因子が異なることが分かってきました。ですので、今後の総合計画等を作る際には、何が幸福に紐付いているのかを明らかにした上で政策をデザインしていくプロセスが奨励されるのではないかと思います。

(21ページ)ちなみに、どの切り方をしても共通して出てくる「普遍レバー」と名付けた因子もあり、それは「健康状態」「住宅環境」「地域とのつながり」の3つでした。

(22ページ)最後に、鈴木先生が進めておられる「GDW」の今年のバージョンです。都道府県別では、濃い色が今年、薄い色が去年ですが、若干の上昇が見て取れます。

(23ページ)23区や政令市も同様の傾向です。

(25ページ)もう一つの「マルチレベル分析」では、「あなたの幸福は、あなた自身のおかげなのか、それとも都市のおかげなのか」という個人効果と文脈効果(都市効果)を数値で分けてみました。

(26ページ)Well-Beingの4大指標を並べると、「主観的幸福度」と「人生評価」については個人の影響が大きいのに対し、「町内幸福度」や「生活満足度」は「まちの影響」の方が大きいことが分かります。
したがって、例えば都市基盤をこれから作る新興のまちでは「生活満足度」をゴールにした政策デザインが望ましいでしょうし、都市基盤が整備済みで精神的な充足が重要なまちでは「主観的幸福度」を主軸に置いた方が優位である、といった切り分けができるようになっています。
以上でございます。ありがとうございました。

前野座長: ありがとうございました。
それでは、これから質疑応答・意見交換の時間に入りたいと思います。
最初に私から質問します。南雲さんの分析結果について、2025年度と2026年度でかなり構造が異なっている場合がありますが、これはなぜでしょうか。
人の幸福感というものは移ろいやすいものだということなのか、それとも(こういうことはないと思いますが)データに確実性がないということなのでしょうか。

南雲委員: そうですね。マクロで見るとあまり差はないのですが、重回帰分析をしてみると効いている因子が多少異なってくるという結果が出ています。分析対象の自治体数が昨年より増えているため、多少の誤差が出た可能性はありますが、基本的には前者(人の幸福感の移ろい)の影響があると感じています。幸福度に比べると、生活満足度に関わる要素の方が変動しやすい傾向があり、「買物・飲食」のような因子はやはり動きやすいのかなと思っています。

前野座長: なるほど、「生活満足度」の方が動きやすいということですね。500サンプル(自治体単位)という数字も、確かにやや少ないかもしれませんので、今後も継続して見ていくことが必要ですね。
次にデジタル庁さんへの質問です。今回、9ヶ月ぶりの検討会ということですが、今後はどのように進めていく予定か、もう一度皆さんにご説明いただけますか。

デジタル庁事務局: 先ほどご説明しましたが、現在行っている地域幸福度(Well-Being)指標の活用実態に係る調査業務が9月末で一旦終了する予定です。その結果をデジタル庁内で整理した上で、年内に一度検討会を開催し、ご報告できればと考えております。

前野座長: ありがとうございました。委員の皆さん、いかがでしょうか。

井上委員: 慶應大学の井上です。南雲先生、ありがとうございました。
お示しいただいたデータは、私がこれまで行ってきた移住や他拠点生活、地域関係の分析結果と非常に整合的で、さらに細かく分析されており、非常に納得感のある結果だと感じました。
1点確認したいのですが、16ページのスライドでSEMを実施されていますが、「586」という数字の抽出方法はどのようになっているのでしょうか。

南雲委員: 586は、今回の全国調査の対象自治体の総数です。サンプル数は10.6万人ですが、自治体単位で見ると586となります。ちなみに、自治体単位で分析する場合は、個票で分析するのでサンプル数は1,000や2,000となります。

井上委員: 自治体単位でこのような複雑なSEMを行った場合、モデルとしてどうなのかという点で疑問もありますが、一つの参考としてという理解でよろしいでしょうか。

南雲委員: 今回は、潜在変数の数を絞っているので、ある程度うまく分析できています。個別の分析になるとギリギリという感じですね。まずは傾向値としてこうなるということを踏まえていただき、サンプル数によっては怪しい部分もあるということでご理解ください。
分析はPythonで行いましたが、モデルフィット感の数値はそこで確保しています。ただ、多重共線性の問題はやはり出てくることがあり、裏でベイジアンネットワークも実施しました。両方で支持されたものだけを因子に入れるという形をとっているので、通常よりは堅めにやっています。

井上委員: そういうステップを踏んでいるということですね。ありがとうございました。
個別の市町村のスライドモデルの資料(19から20ページ)の解像度が低くてよく見えないのですが、この資料でも何か特徴が出ているのであれば興味深いと思います。

南雲委員: 資料は別途お送りします。こちらは単独の基礎自治体ではなく、おおまかにクラスターで分けてクラスター単位で分析したものです。
例えば東京23区、サンプル数は少ないですが、これをベースラインにして、品川区はこれに対してどうかという形で見ていただく。やはり比較対象が必要だろうということでこの資料を作成しています。

井上委員: そうですね。ちょうど今、地域の中小企業の人手不足に関する調査で分析を始めたところですが、過疎地と非過疎地でどうなのかという点にも関心があります。

南雲委員: なるほど。また別の分析方法もたくさんありますので、改めて議論しましょう。

前野座長: いま内田先生が入られました。他の先生方、ご意見、ご質問はございますか。

南雲委員: 内田先生のご意見をお待ちしている間に、一言だけよろしいでしょうか。
内田先生に一番見ていただきたかったのが、16ページのSEMの分析結果です。
一番右が目的変数で「主観的幸福度」と「人生評価」、その間に「生活満足度」と内田先生の協調的幸福に該当する「町内幸福度」という媒介変数を入れるモデルが一番安定しました。この2つの媒介変数の間の紫の矢印が、「町内幸福度」から「生活満足度」を経て目的変数に行くというパスで、全国データでやった場合に出てきました。17ページでいろんなセグメントに分けて同じことをやると、媒介順序のパターンが分かれます。ざっくり言うと、北海道・東北や東日本は「町内幸福度」から「生活満足度」を経て「主観的幸福度(個人の幸せ)」、関西や九州・沖縄はその逆で「生活満足度」から「町内幸福度」を経て「主観的幸福度(個人の幸せ)」という傾向が出ています。このあたり、内田先生のご調査内容とどこか繋がるところがあるかと思いますが、いかがでしょうか。

内田委員: ありがとうございます。遅れての参加となり申し訳ありません。
このSEMの適合度はある程度十分ということですね。この地域差について、都市度ではなく東西や南北で分類しているとのことですが、そちらの方がフィットしたということでしょうか。

南雲委員: 少し難しいところもありますが、例えば東京圏では「町内満足度」から「生活満足度」というパスになっています。ないものねだりの傾向かもしれませんが、そういったケースもあります。地域によってまだらですが、ざっくり言うと東と西の違い、また都会と田舎の違いという2系統があることは分かっています。昨年と今年でも微妙に異なりますし、いずれも断定するほど強い傾向は出ていません。

内田委員: 多分、この2つについて矢印の起点・終点が明確(因果関係がある)というよりも、相関しているというレベルなのではと感じます。一時点のSEMなので因果関係まで特定するのは難しいと思います。今後できることとしては、時系列分析を用いて、ある時点の「生活満足度」が1年後の「町内幸福度」に関わるのか、といった解析をやってみても良いのではないかと思います。
また、2つの要素がそれぞれ独立して右の「主観的幸福度」や「人生評価」に関わっている、2本柱になっているという点が非常に興味深いと感じました。また、18ページにおいて「町内満足度」と「生活満足度」にそれぞれ何が効いているのかという点ですが、「主観体験」や「コミュニティ体験」は「生活満足度」だけでなく「町内幸福度」にも効いているとか、「成長体験」は「町内幸福度」に効いているとか、この2つを支える要因が何なのかというところも非常に興味深いです。
多分パスをそれぞれで分割して23区や中核市などで分析されていると思いますが、ここで明確な違いは見えましたか。

南雲委員: これはやはり個別の要因で入ってくるものがかなり異なっていて、都会では都市基盤を高めてもあまり意味がないという結果が出たりします。

内田委員: 先ほど東京ではとおっしゃったように、都会だからこそまちの繋がりが必要といった感じで、ないものに対する反応があるという考え方でしょうか。

南雲委員: はい、それは明確に出ました。都会の人たちは、これ以上都市基盤を整備することよりも、人との繋がりを求めているという結果が出ています。逆に地域の人たちは都会の基盤を欲しがる、という逆の傾向が見られたのが今回の体感です。

内田委員: 政令市はサンプル数が少ないとは思いますが、一般市や大都市圏はそこそこのサンプル数があり、こうした結果になっているので、非常に興味深い基盤データになると感じました。ありがとうございました。

前野座長: 他の方はいかがでしょうか。

石川委員: 石川です。これはどなたにお聞きすればよいかわかりませんが、約270自治体で指標の活用が進んでいるとのことですが、活用のされ方にはばらつきがあると思います。
地域幸福度(Well-Being)指標の活用のされ方について、類型化されていますか。

デジタル庁事務局: 現在、調査業務を行っており、そこで自治体の活用実態を調査しています。約270の自治体の中には、総合計画等に盛り込んでいる自治体、ワークショップを実施した段階の自治体、SCI-Japanが実施しているOASIS研修を受講している自治体などが含まれています。次回の検討会で、自治体における活用状況についてもご紹介できればと思います。

石川委員: ありがとうございました。
質問の意図ですが、政策全体の評価を行う際に、活用のされ方によって政策評価の違いがあるかといったことが見えてくるのではないかと考えました。この検討会のテーマではないかもしれませんが、重要なテーマだと思い質問させていただきました。

前野座長: はい、ありがとうございます。その点もこの検討会の主たるテーマだと思います。

石川委員: こちらは指標の活用に関する検討会で、評価に関する検討会はまた別にあるのかと思っていました。

前野座長: なるほど。今日は話題に出ていませんが、白坂さんや井上さんがデジタル庁さんと一緒にロジックモデルを作っていましたよね。あれは要するに、政策がどのように幸せに繋がっているかのロジックを作ることで縦割り行政に横串を刺し、自治体が多様になりすぎた政策を、この縮小社会において見直すきっかけにしたいというのが、もともとの村上さんのころからの考え方だったと思います。その辺の話が今回はたまたま出なかっただけで、次回に向けてその続きを進めていくということでよろしいでしょうか。

デジタル庁事務局: ありがとうございます。こちらについても調査業務の中でそういった視点も調査していますので、また併せてご報告できればと思います。よろしくお願いします。

前野座長: もう少し率直に言うと、南雲さんや私も実感していますが、ウェルビーイングと政策は意外ときれいに繋がらない、政策がウェルビーイングに効かないものも出てきたりして、もっと媒介変数を加えるとか、指標そのものを見直すなど大きな見直しも必要かもしれないという議論が裏では起き始めています。
今回はマイナーチェンジの話でしたが、もっと長期的にメジャーなチェンジをすることも含めて、見えてきた課題とその解決策は非常に困難ですが、初志貫徹、もともとの始まりはそういうことだったので、そこはうやむやにしないことが大事だと思います。

三浦統括官(デジタル庁): デジタル庁の三浦です。非常に重要なご指摘をありがとうございます。私ども、指標やロジックツリーも含めていろいろ取り組んでみて、現状を一旦確認する必要があるだろうということで、今、多田の方から申し上げているような調査を行っています。
特にデジタル庁の観点で申し上げると、ウェルビーイングそのものも非常に重要な視点ですが、最終的にデジタル行政やデジタル調達とどう繋がっていくのかが問われており、その文脈でいろいろと確認しているところです。またロジックツリーについては、様々な政策分野を横断的に見る、縦割りをどう突破するかという観点でのツールとして進めてきていますが、そこに至るまでのプロセスが大変だという意見もあり、実際の状況を調べているところです。
データについても各市町村レベルでのデータがなかなか取れないため、これまで南雲さんがご苦労されて今の仕様に至ったと承知しています。一方で、Japan Dashboard(ジャパン・ダッシュボード)のような新しいものも出てきており、そういったものも含めて活用をどう考えるかも含めて、改めてご報告したいと思います。

前野座長: はい、ありがとうございます。

南雲委員: 今回、SEMやマルチレベル分析を行ってみて感じたことですが、やはり「幸福度」からバックキャストする形で、市民の幸福がどのように「生活満足度」や「町内幸福度」に繋がり、それが「主観的体験」や「体験値」に繋がり、最終的にどの客観指標に結びつくのかという連鎖を、先に見つけてから取り組まないと、カタログ的にロジックモデルをたくさん作っても、結果的に幸福に繋がらないものが多く出てきてしまうと感じました。
ですので、まずフィルターとして「幸福に繋がるパスはこういうものです」というものを、ざっくりでも良いので作る方が、限られた自治体の皆さんにとっては取り組みやすいのではないかと感じています。
また、もともと先生方と一緒に24の因子を固めた際に、「自分らしい生き方」という項目の中に「文化・芸術」を入れました。実際、「文化・芸術」は生活の潤いとして必要だということでしたが、データで見てみると、むしろコミュニティの方に非常に関係性が深いことや、「子育て」も「都市基盤」というよりは「地域の人間関係」の方に引っ張られていることが分かってきました。
理念的に分けたものと、データで見た世界が若干異なるということも今回見えてきたと思います。大きくは違いませんが、そうした微調整が必要だと感じています。

内田委員: 最後のマルチレベル分析で、「町内幸福度」や「生活満足度」には都市のマクロの効果がかなりあったという点は、今後の活用課題として非常に重要だと感じています。「行政に何ができるのか」というのが、こうした指標活用において最も問われる視点だと思います。
幸福は個人が感じるものなので、行政ができることには限界がありますし、行政がいろいろやったとしても本当に個人の幸福に届いているのか、ということは必ず問われますし、皆さんも迷いがある部分だと思います。
そこでマクロの効果もあったということの意義があると思います。「生活満足度」や「町内幸福度」はマクロレベルでも整えられるものであり、しかもそれが先ほどのパスで示していただいたように、最終的に個人の幸福にも繋がるというストーリーラインが見えることで、行政として「生活満足度」や「町内幸福度」を促進するような取り組みを展開し、ウェルビーイングなまちづくりに資することができるのだというメッセージに繋がると思います。実際のエビデンスに基づいて議論していくことが、今後の指標展開や活用のあり方として求められていくのではないかと感じました。
以上です。

前野座長: ありがとうございます。
時間がなくなってきたところで議論が白熱してきましたが、他にご意見がなければ、そろそろ終息に向かいたいと思います。
今の論点は非常に重要で、見えてきた課題は難しい面もありますが、明るい兆しも見えてきています。ここは一度総括し、次にどうするかを考えるべき時期だと思います。
こうした会では深い議論が難しい面もありますので、個別に委員とデジタル庁が連携するなど、いろいろなやり方で次のステップに進めていきたいですね。
ウェルビーイングは意外と難しいテーマですが、「難しかった」で終わるとせっかくの勢いが止まってしまいますので、そうならないように、デジタル化の成果を明らかにすることも大事ですが、ウェルビーイングとの繋がりについても知恵を出し合って進めていく段階に入ったと思います。
そういう意味で、今日も良い議論をしていただき、ありがとうございました。
それでは、デジタル庁の三浦統括官にまとめをお願いしたいと思います。マイクをお返しします。

三浦統括官: 本日はどうもありがとうございました。
まず、今回のマイナーチェンジにつきましては、昨年の事案をしっかりと受け止めて次につなげていかなければならないと思っております。昨年のようなことがないように、しっかり運営していきたいと考えています。
後半にあったような議論についても、一度立ち止まって考える必要があると思います。
また、ウェルビーイングとデジタルをどのように掛け合わせていくかという点は非常に難しく、やりがいのある課題です。
実際、昨年の事案をきっかけに庁内でも注目が集まった部分もあり、厳しい状況も含めて、今年の後半はしっかりと議論しながら、先生方にご相談させていただければと思っております。引き続きご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
また、非常に暑くなってまいりますし、役所の世界では国会が今週で終わるということで、体制の変更もあるかもしれませんが、この事業はしっかりと進めていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

デジタル庁事務局: 皆様、本日はお忙しい中ご参加いただき、また貴重なご意見をいただきまして、誠にありがとうございました。
次回につきましては、調査研究事業の結果を受けて、年内に開催させていただければと考えております。引き続きよろしくお願いいたします。
これにて終了とさせていただきます。ありがとうございました。

以上