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地域幸福度(Well-Being)指標の活用促進に関する検討会(第10回)

概要

  • 日時:2025年10月9日(木)9時00分から10時00分
  • 場所:オンライン
  • 議事次第
    1. 開会
    2. 議事
      • 地域幸福度(Well-Being)指標 客観指標のデータ誤りについて
    3. 意見交換

資料

参考資料

議事録

デジタル庁事務局: 皆様、定刻となりましたので、ただいまより「第10回地域幸福度(Well-Being)指標の活用促進に関する検討会」を開催いたします。デジタル庁 国民向けサービスグループWell-Being担当の多田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。まず冒頭に、日頃より指標の活用促進に多大なるご支援を賜っております皆様にご迷惑とご心配をおかけしましたことを、改めて深くお詫び申し上げます。それでは、デジタル庁 国民向けサービスグループ統括官の三浦より、一言ご挨拶申し上げます。

デジタル庁三浦統括官: 本日はお忙しい中、急遽お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。ただいま事務局から申し上げました通り、客観指標の一部に誤りが見つかり、7月末から約2ヶ月半にわたり、ダッシュボードの公開を停止しているという状況になっております。これまで全国の自治体の皆さまにご活用をお願いし、普及を図ってきたという観点から、非常に大きな問題であると受け止めております。今回の不備の発生原因や再発防止策について皆様方にしっかりとご説明申し上げるため、本日急遽会議を招集させていただきました。今後の対応につきましては、改めて皆様ともしっかり議論していきたいと思っておりますが、まず本日は一旦の総括としてご報告申し上げます。どうぞ忌憚のないご意見を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

デジタル庁事務局: それでは、ここからの議事進行は座長であります前野先生にお願いしたいと思います。前野先生、どうぞよろしくお願いいたします。

前野座長: はい、皆様おはようございます。本日は、データ不備の件で急遽お集まりいただいております。私たち検討会としては、起こったことは起こったこととして、今後、いかに対策していくか、あるいはどのように国民に伝えていくのか、ということをきちんと見守りつつ、言うべきことは言っていきたいと思っています。自治体の方もオブザーバー参加されておりますので、今後の課題をどう解決していくのかということについて、みんなで知恵を出していければと思っております。「デジタル庁がデジタルの問題で問題を起こした」ということで大きなニュースになる可能性もありますが、非は非として認めていただいたうえで、迅速かつしっかりとした再発防止策を講じていくことが重要だと思っております。それではまず、デジタル庁より本件についての報告をお願いします。

デジタル庁事務局: では事務局より、今回の客観指標のデータ誤りについてご説明させていただきます。まず今からご説明する資料につきましては、個別の自治体の状況にも触れる形になりますので、事前配付させていただいた資料には掲載していない内容があります。その点、ご了承いただきますようお願いいたします。

(2P)こちらが地域幸福度(Well-Being)指標の概要となっております。皆さんご存じの通り、客観指標と主観指標から構成されております。今回、客観指標に誤りが見つかったのですが、主に統計データ等を活用して作っているものになります。委員の皆様にはメールにてお知らせさせていただきました通り、客観データの一部に誤りがあることが判明したため、7月25日金曜日より、地域幸福度(Well-Being)指標ダッシュボードの公開を一時停止いたしました。指標の活用自治体様(9月現在で204自治体)にはダッシュボードの一時停止につきまして、まずはメールでご連絡をさせていただきました。またその後、ダッシュボードの再開時期等について問い合わせがあった自治体様(10団体)にも、個別に状況を説明してきたところです。

(3P)データの誤りの主な原因としましては、主に3点ございます。1点目は、自治体の再編に伴う対応漏れになります。この結果、2025年度の客観指標において、所在する県から西側で、尚且つ人口10万人未満の全自治体で「行ズレ」が発生しておりました。2点目は、一部データの扱い方に関する認識の誤りです。2023年度から2025年度の客観指標のデータにおいて、一部データの扱い方に関する認識誤り(「ゼロ」であるデータを「データなし」として処理)がございました。3点目は、エクセルの関数誤りや集計ツールの一部バグ、自治体名を照合する際のデータ引用不備等がございました。サイトを停止した後、委託事業者及びデジタル庁において、指標の確認・修正作業、再発防止策について整理を行いまして、これらの作業が完了したことから、本検討会にご報告のうえ、明日の15時頃にダッシュボードを公開できればと思っております。

(4P)続いて、客観データの誤りの状況についてご説明します。こちらの表では、24の因子ごとに偏差値の誤差が、5から9、または10以上あった自治体の割合を表示しております。2023、2024年度は、赤枠の自然景観、健康状態、事業創造の3因子を除きましてほとんどの因子で0%台となっておりますが、赤枠の部分については、偏差値の誤差が大きく出ております。緑枠で囲っています2025年度においては、総じて大きな誤差が発生しておりますが、こちらは先ほど申し上げました自治体の再編への対応漏れによるものであります。ただ、2025年度のデータにつきましては、6月14日に公開し、約1か月後の7月25日には停止しておりますので、影響は限定的であると考えております。

(5P)続きまして、客観指標の構成についてご説明します。客観指標は24の因子に分かれておりますが、それぞれの因子は、100を超えるKPIで構成されております。先ほどご説明させていただきました自然景観、健康状態、事業創造の3つの因子で偏差値5以上の誤差が多く発生した原因ですが、まず自然景観においては、指数を算入するエクセルシートの参照元に誤りがありました。健康状態につきましては、算出のベースとなる人口、国勢調査から引用しているのですが、こちらが過去のデータを引用していたことが原因となっております。事業創造につきましては、KPIの一つである新規設立法人の割合について、分子が1年間の設立法人数、分母が既存の法人数という計算式になっている関係で、特に法人数が少ない自治体においては、わずかな差異で偏差値が大きく変動するKPIとなっております。このKPIにおいて、新規設立法人数を登記日ではなく、誤ってデータベースへの登録日で集計してしまったために大きな差異が発生し、結果として事業創造の偏差値に大きな影響をおよぼした形になっております。

(6P)続きまして指標活用自治体におけるデータ誤りの状況についてご報告します。こちら自治体名をアルファベット表記させていただいておりますが、総合計画(14自治体)や、まち・ひと・しごと創生総合戦略(8自治体)において客観指標を掲載している自治体があったほか、約200団体において指標を活用したワークショップ等を実施しております。こちらの表で、白抜き部分は計画に掲載された年度を表しています。①と書いているところが、偏差値5以上の誤差があった因子の数、②はSWOT分析において強み(偏差値50以上)と弱み(偏差値50未満)が逆転した因子の数を表しています。例えば、F自治体では2023年度が白抜きになっておりますので、総合計画において2023年度の客観指標の掲載があり、かつ、偏差値5以上の誤差があった因子が1つあったということになります。但し、強みと弱みが逆転する事象は生じておりません。F自治体の2024年度はグレー表示となっておりますので、誤差5以上の因子が3つあるが、総合計画においては、2024年度の客観指標は掲載されていないということになります。同様に、O自治体では、まち・ひと・しごと創生総合戦略において、2023年度の客観指標が掲載されておりますが、偏差値5以上の誤差があった因子も、強みと弱みが逆転する因子もなかったということを表しています。2024年度については、偏差値5以上の誤差のある因子が2つ、強みと弱みが逆転する因子が3つありますが、グレー表示となっておりますので、同自治体のまち・ひと・しごと創生総合戦略には掲載されておりません。

(7P)続いて、データ誤りの原因と再発防止策についてご報告します。今回のデータ誤りの根本的な原因は、膨大なデータ、1年度分でExcel約37万行程度あるにもかかわらず、委託事業者において十分な要員を確保できなかったことにあると思っております。少ない要員でこの作業を実施した結果、作業工程やマニュアルが不十分な状態で作業が実施されておりました。この原因を踏まえて、以下の通り再発防止策を整理しております。①工程管理とモニタリングということで、スケジュールの明確化や定期監査導入など。②作業マニュアル再整備ということで、データの取得・保存・更新の仕方、また偏差値を算出する手順などを文書化・精緻化していくこと。以上は委託事業者側の再発防止策となりますが、さらに③でデジタル庁としましては、委託のあり方や契約仕様の見直しを検討していきたいと考えております。委託者としての指示や、検収体制の明確化を検討してまいりたいと思っております。また、データ作成のAI活用やデータベース化についても検討を進めてまいりたいと考えております。

(8P)最後に指標サイト再開時の対応についてですが、指標サイト再開時には、利用者の皆様に対して以下の対応を実施したいと考えております。まず、正誤表のエクセルファイルを提供させていただきます。こちらのエクセルファイルを開き、都道府県名・自治体名を入力していただきますと、当該自治体の正誤表が自動的に表示されます。誤りがあった因子・KPIについては黄色でハイライトされますので、こちらをご確認いただくということになります。このファイルはダウンロードすることも可能となっております。次に、204の指標活用自治体様に対しては、個別に連絡を行います。特に総合計画等で活用されている自治体に対しましては、個別説明会や技術的支援の提案など、より丁寧に対応させていただきたいと思っております。説明は以上となります。

デジタル庁三浦統括官: 統括官の三浦です。データ誤りの概要は、今申し上げた通りでありまして、まず2025年度の数値につきましてはご覧いただいた通り、ある自治体から「前年と比べて少し大きい変化があるのですが」という問い合わせがあり確認したところ、先に申し上げたような自治体再編への対応漏れが明らかになりました。これを端緒といたしまして、まず2025年度について指標の再確認を行いました。さらに、2024年度、2023年度についても誤りがないかの確認が必要ということで、過去にさかのぼって確認いたしました。その結果、大きく3つの要因について誤りが見つかりました。これにつきましては、私どもの確認が甘かったというほかはございません。改めまして深くお詫び申し上げたいと思います。またこれを受けまして、なぜこういうことが起きたのか、或いはこれをどうすれば再発を防止できるのかを検討した結果が、先ほどのご説明になります。本件は庁内でも非常に深刻に受けとめているところでございます。前野先生からも冒頭ございましたが、デジタル庁においてデータの誤りがあったということで、非常に大きな問題だと言った、厳しいご指摘をいただいております。さらにこの指標について、将来ちゃんと考え直したほうがいいといった様な、根本に至るような厳しい指摘をいただいたということは、ご報告申し上げたいと思います。私どもとしては、それらのご指摘をしっかりと受けとめて、より良い指標を作っていくために先生方へのご助言を賜りたく、この場を設けさせていただきました。是非、しっかりご議論、ご指導をいただき、今後についてのご示唆を賜ればと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

前野座長: はい、ありがとうございました。では、皆さんから何かご質問、ご意見はありますか。

内田委員: 内田です。データに誤りがあったということは大変残念なことですが、これからこのデータに関して信頼性を持って、多くの自治体や研究者のみなさんにも使っていただくためにも丁寧な対応が必要であると思います。今回の不備に対して真摯に対応すると同時に、今後は信頼できるデータとして提供していきます、という明確なメッセージを発信していく必要があると思います。特に不備発生の経緯や今後の対応策を明確にすることが必要と考えます。また、今後もヒューマンエラーの発生をゼロにすることは不可能なので、例えば誰かが間違いをみつけたときにそれを報告し、修正対応する窓口を設置するといった対応策を取っておいた方が良いかと思います。ちなみに、今回はどのような経緯で不備を発見できたのでしょうか。

デジタル庁: 自然景観について前年度と比較しましたら、変化が大きいがなぜかという問合せがありまして調査したところ、ずれが発生していることが判明しました。

内田委員: ありがとうございます。分析するなかで見つかってくることがあるということですね。実際にデータをさわってみると不備に気づくというとはよくあることなので、チェック体制を強化しながら何かが見つかったときにそれにきちんと対応できる体制をとっておくことが必要だと思います。もう1点質問ですが、欠損値をゼロに修正したという話が出ておりましたが、データによってはそのまま欠損値として扱ったほうがいい場合もあると思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか。

デジタル庁事務局: はい。こちらに関しましては、元データの統計の注記等で、欠損値が何を意味するのかを確認し、ゼロを意味するということが定義されているケースについて対応したという趣旨であります。

内田委員: 了解しました。つまり、本当の意味での欠損値の場合には、そのまま欠損値にしているという理解でよいですね。この部分の記載がちょっとわかりづらくて、欠損値はすべてゼロとして処理したようにも読めるので、資料を公表されるときには注意した方がよいと思います。

前野座長: 私も同感です。資料を公開するまえにしっかりとチェックしてください。

デジタル庁三浦統括官: ありがとうございます。確認します。

鈴木委員: 再発防止策のところで、十分な要員の確保とありますが、これだけ膨大なデータなので、例えば10人、20人に増やしたとしても、やはりミスをゼロにすることは難しいと思います。それはそれでやっていただくとして、例えば提案ですが、研究者とか自治体職員の方が参加するコミュニティを作って、公開前の一定期間に、まずはそこで使ってもらい、いろいろなバグの潰し込みを行ってから正式に公開する、そういう仕組みが必要ではないでしょうか。ぜひご検討ください。

デジタル庁三浦統括官: ありがとうございます。検討します。

前野座長: 私は、前回お話聞いたのですけど、やはり原因究明と再発防止、それから丁寧さと迅速さ、ちょっと矛盾するのですが、丁寧かつ迅速な対応が重要だと思います。7月25日に起きたのに、私への報告は10月だったというのはいかがなものでしょうか。不備が発覚したとときに速やかにその対策と同時に報告もすべきだったのではないかないかなと思います。今更私が言うことじゃないかもしれませんけど、やはりそこの迅速さも必要だったと思います。

デジタル庁三浦統括官: 大変申し訳ございませんでした。

前野座長: 私からの質問で、デジタル庁がデータのミスをしたということですが、自治体の人に伝わってそれで終わるのか、それとも国民にも伝わって大騒ぎになるのか、いろんな可能性があると思いますが、そのあたりはどういう予測をされていますか。

デジタル庁三浦統括官: ありがとうございます。この指標自体がどれぐらい注目されているかということによって影響の度合いが変わると思います。今後、本日の議事も含めて資料を公開していくことになってなりますので、それがどのように受けとめられるか、いささか面白おかしく取り上げられる可能性もありますが、その場合もしっかりと対応していくしかないと思っております。一方で、これまで約2か月半の間、サイトの公開を停止しておりましたが、再開の時期以外にお尋ねはございませんでした。サイトの公開を停止していることはすでにホームページで公開しておりますが、今のところは大きな騒ぎにはなっていないというのが現在の状況となります。

前野座長: 私から前回もお伝えしたのですが、やはりデジタル庁がミスをしたということは、デジタル庁全体として他にもミスがあるのではないかという疑惑を国民が感じる可能性があると思っています。今回は、他のデータを扱うという特殊な事情があったためにミスが出たが、「デジタル庁で他のデータに誤りがあるということはないのでご安心ください」というような説明も、国民に対して必要だと思うのですが、そのあたりはいかがですか。

デジタル庁三浦統括官: ありがとうございます。庁内の幹部に対して、本件についてすでに報告しております。まずは発生の報告ということでしたが、本日の議論を踏まえて予定通り公開という運びになれば、改めて報告して、庁内全体引き締めて参りたいと思っております。

前野座長: ありがとうございます。先生方のご意見・ご質問は以上となります。事務局に進行をお返しします。

デジタル庁三浦統括官: 本日はどうもありがとうございました。非常に厳しくも貴重なご指摘、ご意見を賜りまして感謝を申し上げたいと思います。前野先生もおっしゃっていただきましたが、起きてしまったことを受けて、これからどうしていくかということが大事だと思っておりますので、今日頂戴いたしましたご意見を踏まえて、しっかり対応してまいりたいと思います。ここまで育て上げてきたこの地域幸福度指標が、しっかりと定着していくように頑張りたいと思いますので、こちらについてもお力をお借りできればと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。いずれにせよ、急な開催にあたりまして朝早くからお集まりいただき、また活発なご議論をいただきましたことに改めて感謝申し上げたいと思います。私からは以上です。

前野座長: ありがとうございます。今、統括官がおっしゃった通りで、人間ですからミスをゼロにすることは不可能だとは思いますが、その可能性をいかに下げていくか。それから、起きてしまったことに対しては、反省の言葉をきちんと国民に伝えていくこと。迅速かつ丁寧な対応を進めていただければと思います。私たちの検討会としては、それに対する厳しい意見と助言をしていくという立場だと思いますので、その役割を果たせたのではないかと思っております。こういうことがあるとシュンとなりがちですが、これは大きなチャレンジをしているということでもあります。日本中に幸せな自治体を作るためにチャレンジして、膨大なデータを扱っているから、しかも、それを日本で初めてやっているからこそ起きてしまったことかと。大きなチャレンジをみんなでやった結果として、膨大なデータの中から、ちょっとミスが見つかったということですから、ぜひ皆さん前を向いてください。ミスを怖れてチャレンジしないというのが今の日本の課題でもありますので、ぜひこれからもチャレンジを続けて、より良い自治体、より良い日本、より良い世界を作っていきましょう。デジタル庁の皆さんも、それを見守ったり、監視したりする私たちの検討会も、それから自治体の皆さんも、みんなで前を向いて、国民からもし厳しい声があったとしてもそこに対しては本当に謝るべきは謝る、でもチャレンジすべきことはチャレンジする、そういうスタンスでやって行きましょう。以上です。

デジタル庁三浦統括官: どうもありがとうございます。

デジタル庁事務局: 本日は貴重なご意見をいただきまして誠にありがとうございました。これをもちまして、第10回地域幸福度指標の活用促進に関する検討会を終了いたします。どうもありがとうございました。

以上