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データ戦略推進ワーキンググループ(第5回)

概要

  • 日時:令和4年12月21日(水)16時00分から18時00分まで

  • 場所:オンライン

  • 議事次第:

  1. 開会

  2. 議事

    1. データスペースの現状
    2. 国内の取組
    3. 今後に向けて
  3. 意見交換

  4. 閉会

開催案内

資料

参考資料

関連政策

議事概要

日時

令和4年12月21日(水)16時00分から18時00分まで

場所

オンライン会議

出席者

  • 砂金信一郎(LINE株式会社執行役員AIカンパニーカンパニーCEO)

  • 遠藤信博(一般社団法人日本経済団体連合会副会長・サイバーセキュリティ委員長/日本電気株式会社特別顧問)

  • 太田直樹(株式会社NewStories代表取締役)

  • 越塚登(東京大学大学院教授)

  • 後藤厚宏(情報セキュリティ大学院大学学長)

  • 齊藤裕(独立行政法人情報処理推進機構デジタルアーキテクチャ・デザインセンターセンター長)

  • 下山紗代子(一般社団法人リンクデータ代表理事/インフォ・ラウンジ株式会社取締役)

  • 庄司昌彦(武蔵大学教授)

  • 手塚悟(慶應義塾大学教授)

  • 富岡秀夫(一般社団法人新経済連盟政策企画部長)

  • 村井純(慶應義塾大学教授)

  • 渡部俊也(東京大学未来ビジョン研究センター教授)

  • 浅沼尚(デジタル庁デジタル監)

  • 赤石浩一(デジタル庁デジタル審議官)

  • 本丸達也(デジタル庁CA)

  • 藤本真樹(デジタル庁CTO)

  • 平本健二(デジタル庁シニアエキスパート(データ戦略))

  • 楠正憲(デジタル庁統括官/デジタル社会共通機能担当)

  • 村上敬亮(デジタル庁統括官/国民向けサービス担当)

  • 成田達治(内閣官房デジタル市場競争本部事務局次長)※欠席

  • 松尾泰樹(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局長)※欠席

  • 坂本修一(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)

  • 田中茂明(内閣府知的財産戦略推進事務局長)

  • 山澄克(個人情報保護委員会事務局審議官)

  • 鈴木信也(総務省大臣官房総括審議官/情報通信担当)

  • 森田正信(文部科学省大臣官房サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官)

  • 野原諭(経済産業省商務情報政策局長)※欠席

議事概要

三島参事官: では、定刻になりましたので、ただいまから「データ戦略推進ワーキンググループ」第5回を開催いたします。
本日は、お忙しいところ、お集まりいただきありがとうございます。

本日司会を務めますデジタル庁参事官の三島でございます。よろしくお願いいたします。

開催に当たり、本ワーキンググループの主査、森昌文内閣総理大臣補佐官より一言いただく予定でしたが、公務により少しお時間がかかる見込みです。到着されましたら一言頂戴する形とし、進めさせていただきます。

まず本ワーキンググループの構成員のご紹介ですが、時間の制約もございますので、失礼ながら名簿の配付をもちましてご紹介に代えさせていただきたく存じます。

本日は、オンラインでの会議開催となります。構成員の皆様及びご説明を予定されている皆様におかれましては、カメラオン、マイクはミュートにしていただき、ご発言されるときのみマイクのミュートを解除いただくようお願いいたします。

なお、本ワーキンググループは、前回に引き続きTeamsライブイベントを用いて公開しておりますことを申し添えます。

それでは、早速、議事のほうに移らせていただきます。

議事(1)でございますが「データスペースの現状」について、資料1「データ連携に向けた取組の現状」に基づいて、事務局からシニアエキスパート(データ戦略)の平本がご説明いたします。

それでは、よろしくお願いします。

平本シニアエキスパート(データ戦略): では、資料1に基づいて説明をさせていただきます。

では、説明をさせていただきます。

2ページ目です。今後の主な検討事項ということでページを作らせていただいておりますけれども、前回の9月の頭に第4回のワーキンググループをやらせていただきましたが、その中で今後4点、重点的に検討してまいりたいということで挙げさせていただきました。
今回、第5回のテーマといたしましては「準公共分野のデータ連携に向けた検討」と「データ・スペース、データ連携基盤の在り方と国際連携」についてお話をさせていただければと思います。

3ページ目です。概況と検討の方向性ということでございますけれども、こちらに3点書かせていただきましたが、まず国内に関しましては、データ戦略、非常に技術的な基盤をつくることが重要だということで、技術的側面にこれまで非常にフォーカスしてまいっておりまして、標準の整備、それと基盤の整備ということでやってきたとともに、「準公共分野」のサービス事例とかデータ連携の基盤の検討を実施してまいりました。

一方で、欧州のほうでございますけれども、欧州のほうは基盤整備がかなり進んでおりまして、それが一通り終わったということで、データ連携基盤の整備が実装可能なレベルということで、ルールも含めて技術だけでなく総合的なデータスペースをどういうように使ったらいいのか、その上でユースケースをどうしたらいいのかという検討を行うとともに、域内実装という形でやるとともに、国際展開という形で世界とどうつないでいくか、そういうところも検討しているという形で、データ戦略に最高のプライオリティーを置いて今、推進しているところでございます。
今回の進め方でございますけれども、第4回会議でのご指摘のように、アーキテクチャをベースに課題を明確化して、実サービスの検討をすべきではないか、こういう方向で進めたいと思っております。

4ページ目です。これは前回にもお示しさせていただいたものですけれども、諸外国の情勢ということで、データの価値が飛躍的に増大し、競争戦略と産業政策の柱として取り組まれているところでございます。

5ページ目です。もう少し詳細に見ていくと、諸外国との取組整理と比較ということでございますけれども、EUと日本と米国という形でやっておりますが、左側、アーキテクチャに沿って説明させていただきますと、EUのほうではルール整備からデジタル・ビルディング・ブロック、ツール、プラットフォーム、データモデルの整備、それと一番下にあります地理空間をやはりセットで考えています。最近、スマートシティなどの話題も非常に注目されておりますので、そこのINSPIREとかLIFOと書いておりますが、ロケーションデータの標準、そこも含めた形で、今まではテキストデータだと行政のデータが結構中心になったのですが、地理空間データとセットでやろうということでやっており、それでアメリカでは、一番下にgeoNIEMとかgeoINTと書いてありますが、やはり地理空間と一般のデータというのを融合的に考えようというところが世界の流れになっています。

それと今日のテーマであるデータ空間というところでございますけれども、それぞれ各国で言い方は違っており、欧州ではデータスペースということで、国を超えた形で、越境でどういうスペースをつくるかということでテーマをここに小さいのですが幾つかのテーマを絞ってデータスペースを推進しているところでございまして、日本ではご案内のように準公共分野を国内のプラットフォームとしてどのように整備するかというところが進められています。

それと米国はまた呼び方が違ってドメインという呼び方をしておりまして、ここが米国内向けにまた幾つかの、どちらかというとサイバーとか安全保障に近いところが多いですが、こういう分野を絞って中心的にやっているというところでございます。

黄色塗りつぶしはまだまだ発展途上というところでございまして、青はそこそこ整備が進んだというところでございます。またこのツールというかプラットフォームのレイヤーに関しましても各国で言い方がちょっとずつ違っていて、EUのほうではデジタル・ビルディング・ブロックということで、ヨーロピアンコミッションとか国が基本的なツールを提供するとともに、民間からもいろいろなツールを提供してもらったものについてはみんなで使おうよという形で、オープンソースなんかと絡めて推進しています。それとLinkedDataと書いてありますけれども、データベースの構造自体も大きく捉えてきています。

それで日本は今、データ連携基盤ということで、どちらかというとカタログとかコネクタが注目されるという形で行われています。それと米国のツールカタログという名前なのですけれども、ここはプラットフォームというよりもデータ変換ツールとかデータ交換ツールというものを国がそろえるもの、それと民間のツールを使おうというもの、それが様々なものでございますが、そういう形で各国大体アーキテクチャで揃えるとこういう形で皆さんが進めてきているのかなと思っております。

日本もオープンデータ等は頑張っているところでございまして、これだけ見るとちょっと日本は遅れているのかなと見えるのかもしれませんけれども、9月の末に発表されました国連の電子政府サーベイでもオープンデータを含むeParticipationというところで国連1位に日本はランキングされておりますし、そういう意味では得意なところ、不得意なところがありますが、このデータスペースに関しましてはEUのところが結構体系的に進んできているのかなと思っております。

6ページ目です。データスペース検討におけるポイントということで、欧米と日本で圧倒的なスピードとリソースの差があるのかなと思いまして、まず欧州に関しましては、連携基盤の整備が終わったということで、ツール群とかそういうものとデータモデル、そういう設計がほとんど終わっておりまして、それを実装するというフェーズに入っておりますので、展開のスピードが非常に速くなってきています。あとはテストベッドとか支援ツールというものが出てきていますのでユースケースを非常につくりやすくなってきているという形でかなり幅広くやっています。そして、この前もデータ品質について議論したときに、日本チームが2人ぐらいでやっているのに対してイギリスのチームが50人でやっていますという形でかなりリソースを突っ込んできています。

2番目のポツですけれども、米国のほうはCDOということでデータの責任者が中心となってデータ環境整備に取り組んでいるという形とツール群を提供しているという形で、そこそこのスピードでやっているという形です。日本は結構少人数でやっていますねと各国からも言われているのですけれども、基礎づくりというところはそこそこできてきたのかなと思っておりますが、まだまだサービスとして本格展開に至っていません。
2番目のポイントでございますけれども、データモデルを全ての基礎としましょうということで、品質を管理するにしても、データスペースをつくるにしても、まずデータをきちんとつくらなければいけないのではないかということで、欧州の欧州委員会では、データモデルをまず整備して、それでその上にアプリケーションを積んでいきましょうという形で、それをやることによって品質も向上できますし、生産性も上がるしという形で推進しています。

それとよく話題になるGAIA-Xとともに話題になるのがfiwareという基盤のソフトのところがございますけれども、この基盤ソフトをやっていてもデータを交換するだけではなくてやはりそこに流れるデータのモデルが必要ではないかということで、スマートデータモデルというのを、今、一生懸命推進しておりまして、データの標準化というのを進めています。

また、MIMs(ミニマム・インタオペラビリティ・メカニズム)とここに書いてありますけれども、できるだけシンプルにこれをつくっていって拡張可能にしていこうということがやはり基本理念として強調されてきているかなと思っています。

米国に関しましては、政府内のデータモデルということでNIEMopenというのがあったのですけれども、それをオープン標準にすることによってアプリ開発を促進するという形で、今までやはり政府標準だけではなかなか進まなかったのを、民間に開放することによってアプリ開発というところで普及も促進してきています。

日本もほぼ同じ方針でデータモデルをきちっとつくってということで、昨年度、政府相互運用性フレームワーク(GIF)という形でデータモデルをつくらせていただいて、今、各省でGIFの採用が進み始めておりますので、そういう点では非常にいい感じでこれをキャッチアップしているのかなと思っておりまして、共通ツール群というのも今年提供開始という形で準備しているところでございます。

それとあと実装ベースのトラストを重視ということで、スマートシティとかデータスペースとかというこういうデータを交換する場で実際問題としてそのプレーヤーが信頼できるのかとか、このツールは信頼できるのかということで、実装ベースでトラストというのをどうやって実現するかというところが具体的な議論になってきているのかなと思います。

次のページでございますけれども、我々、データスペースというか準公共の分野の検討というのがそれぞれの分野ごとに今、検討を進められているところでございますが、結局のところ、これは1人の人で見た場合には、その人はその都市にも住んでいますし、広域のデータスペースにも入るし、スマートシティのデータスペースにも入るし、教育のデータスペースにも入るしということで、いろいろなデータスペースがやはりつながらなければいけないのではないか。我々、もともと各分野のデータスペースがあって、それを分野間データ連携基盤でつなぐというコンセプトで進めてまいりましたけれども、まさしくそういう関係する全てのデータスペースを活用する仕組みはどうやってつくったらいいのかということで今、検討が進んでいるところでございます。

次のページ以降が欧州の動向ということで簡単に整理させていただいていますけれども、1枚めくっていただいて、一番下が1と書いてありますが、1つの共通的なコンポーネントをつくることによって、各分野でもそのコンポーネントを再利用する形でなるべく効率的にデータ空間をつくろうということをやっているという。

それと2ページめくっていただいて、インターオペラビリティーの強化ということで、法律、データアクトとかGDPRとかそういうところが注目されているのですけれども、今度、新しくプロポーザルされているのがインターオペラブル・ヨーロッパ法というものでして、データ標準とかこういうものをもっと効率的に入れていったほうがいいのではないかということで、そこを促進するための法律を新たに今、プロポーズしてきていて、我々が任意利用で政府相互運用性のフレームワークを入れていますが、そこが今までずっと10年ぐらい任意でやってきたのが法制化されてきたというところがちょっと注目のポイントかなと思っております。

7ページ目です。先ほどスピードが上がっているというところを説明させていただきましたけれども、要するに今までヨーロッパも日本もアメリカもいろいろなプロジェクトをたくさんやっていたわけですが、それらの成果を整理、集合させることによって、それを一体として使うにはどうしたらいいのかということで標準化とかそういうものをやって、今、加速するフィールドというか展開のフェーズに入ってきているというところがヨーロッパの動きなのかなと思っています。

8ページ目以降は参考となりますけれども、16ページ目でございますが、先ほど簡単にテストベッドという話をさせていただきましたが、ただデータモデルをつくってガイドをつくるだけではなくて、実際にやりたい人が簡単に試してみて自分のところで使えるのかどうかというのを検証するためにテストベッドとか基本サービス、あとはこういうデータ戦略をやるにしても、徹底した自動化を図っていこうということが進められている。こんな感じで今、ヨーロッパが進められているのかなというところが概況でございます。

私から最近の動向についてのご説明はこれで終わらせていただきます。

三島参事官: ありがとうございました。

次の議事に移ります前に、ここで森補佐官がご到着されましたので、開催に当たって一言いただきたいと思います。

森補佐官、よろしくお願いします。

森内閣総理大臣補佐官: どうもすみません、遅参して申し訳ございません。

今日は年末、忙しい中でデータ戦略推進ワーキンググループの第5回目にご参加いただきましてありがとうございます。

前回のワーキンググループで、今日も先ほどご紹介がありましたように主要な検討項目、4項目という事項が挙げられました。今回、データスペース、そして、データ連携基盤の在り方についてご議論いただくということになっているようでございますので、先ほど欧州との比較を見ていただきましたように、まだまだ日本、かなり遅れている状況だろうと思います。ただ、一歩遅れているがゆえにキャッチアップのスピードも高めていけば追いついていけるのかなということもございます。

ぜひ皆様におかれましては、いろいろ知見を生かしたご意見をいただきますようお願いしたいと思います。私たちの政府側のほうも一層の取組を進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。

以上でございます。よろしくお願いいたします。

三島参事官: ありがとうございました。

なお、森補佐官におかれましては、公務により途中退席される予定でございます。
さて、続きまして、議事「(2)国内の取組」について進めさせていただきます。

資料2-1から2-4に基づいて進めさせていただきたいと思います。
まず資料2-1「データ連携により実現可能なサービス」について、デジタル庁国民向けサービスグループ長の村上よりご説明いたします。よろしくお願いいたします。

村上統括官: 村上でございます。よろしくお願いします。

先ほどからデータスペースという言葉が飛び交って、何だという感じもあろうかと思いますが、多分にヨーロッパの影響がございまして、データ連携基盤とデータスペースと一体何を議論しようとしているのか、簡単に整理をしたいと思います。

資料2-1の1ページ目です。
データ連携基盤と言ってきているもの、複数ございます。行政機関へのアクセス、例えばマイナンバーカードを使って医療現場で支払基金が持っている情報を呼び出すなんていうのもそうだと思いますし、例えば真ん中の特定グループ中のアクセスということでいえば、デジタル田園都市国家構想交付金で富山県の朝日町が子供たちと高齢者も共に学び合うプログラムをするというサービス業と、そこに人を送り込むサービス。やっているサービスの人たちとの間で子供たちの移動データをシェアするなんていうのもございますし、不特定多数のアクセスということで言うと、ここがこれからというところでございますけれども、誰が作ったのか分からない部品を使って車を造った場合でも、その方のCO2排出量データをきちっと呼び出さないとレギュレーションが守れないといったような形で、主に公的分野、市民生活の分野、それから、今後考えられる産業分野、様々な局面でデータ連携を使うケースが具体的に事業者間や組織間、機関間を超えて増えてきております。

大きくデジ庁が技術的にアプローチしているところで言うと、中でも行政機関が保有する公的機関へのアクセスであるとか、その利活用を進めているのが公共サービスメッシュではないかと思います。それに対しまして、デジタル田園都市国家構想交付金等で絶賛進めております、町の中での異なるサービス事業者間でのデータ連携、これは主に特定グループ中のアクセスの形を、今推奨させていただいてございます。技術的に言うと、相手方が先に特定できる場合のデータ交換ということを実現するデータ連携ということで、例えばfiwareが進めてきたOrionなどの活用を推奨しているところです。

今日、後ほどメインになりますのは不特定多数のアクセスでございます。これまでは例えば企業間の系列取引等で、取引をする相手方が決まっている中でのデータ交換でありましたけれども、これからは例えばいつどこで蓄電池を二次利用される方が出てくるか分からない。いつどこで新しい取引先が出てくるか分からない。でも、そうした中でもレギュレーションを守るために後から出てくる特定されない方とのデータ連携をあらかじめ可能にするようなデータ連携基盤が必要になる。そういったものに対応するための新しい技術的イニシアチブをヨーロッパが積極的にリードしようとしていると同時に、実は日本政府もSIPで取り組んできた技術がそれを先んじてやっていた面がある。もしくは、これをめぐるルールづくりについてこれから国際競争が始まりかけているといったような状況を簡単に解説しつつ、データ連携基盤の今を振り返るということで、続きまして、以降、データスペースエコノミー背景ということでございます。

3ページ目です。人口減少のトレンドにあるということはもう皆様もご承知のとおりでございます。

4ページ目です。ローカルのサービス業では、もう極めて深刻に分かりやすく出てきているのですけれども、地方のサービス業の生産性を確保しようと思うとデータ連携基盤が必須になっております。乗客がバス停で時刻表どおりに来るバスを待つのは需要が供給の事情に合わせております。迎えの車が乗客の都合に合わせるのは供給側が需要の事情に合わせております。雇用先の就業ルールに従業員が合わせるのは供給先の事情に従業員、需要のほうが合わせており、従業員の暮らしに就業ルールのほうが合わせるのは需要の事情に供給が合わせております。

大ざっぱにまとめて言いますと、生まれた瞬間、決められた学区域の決められた担任の先生に何でも教わらなければいけないという運命が決まっていたのが昭和の教育で、それに対して教員の数も増やせないし、何もできない中で英語も教える、情報も教える、そんなことを1人の先生でできるわけがないだろうと言いながら、需要側の事情に合わせておそらく教員のリソースを生徒の側が選んでいく時代になるだろう。実はそういうように考えますと、需給のイニシアチブが全部逆転しています。

これはなぜかというと、単純に考えると人口が減っているからであります。すなわち、供給のリソースは増やせない、バスのドライバーもバスの台数も増やせない、その中で多様化する移動需要をどうやって満たすかということを考えると、需要側の動向をリアルタイムで押さえ、その押さえた需要動向に対して限られた供給リソースをいかに的確に充てていくかということ、イコールサービス業の生産性に直結しているからであります。
したがいまして、供給サイド優位の人口増加の時代にはバスの本数を増やせばいい、時刻表を増やせばいい、教師の数を増やせばいい、それで済んだ全てのサービス業に対して需要側のデータを先に捕捉し、供給リソースを的確に充てていく。この裏側でデータ連携基盤が必ず必要になりますという状態を迎えつつあるということでございます。

もう一つの流れをご説明いたします。5ページ目です。例えば物量業界で言うと、ベンダー・マネージド・インベントリー(VMI)と言います。従来の物の生産、供給の時代を考えますと、生産者側が来年の自動車の生産台数の計画を決めます。それに対して、物流在庫を積み上げ、販売の現場に持っていき、消費者が実際に買っていただくとどれくらい在庫が出たかとか、どれくらい物流ロスが出たかとかというデータが後からたまってまいります。それを見て、もう一度また供給サイドが今年は造り過ぎたから来年は何台にしよう、こういう形で産業のPDCAサイクルが回っていたのが昭和の時代でございます。

では、今、何が起きているかということでございますが、例えば一つの具体例で言いますと、ニューヨークの百貨店で赤いセーターが欠品をします。そうしますと、中国の工場に増産指示が自動的に送られています。増産をした赤いセーターは人の指示を待たずに、積載効率が一番効率的になるような形でどんどん在庫を次の倉庫、次の倉庫へと動かしてしまっております。そうしますと、倉庫の中には売手と買手の在庫が混ざることになりますが、別にタグが1つあればそんなのは管理に何の問題もございません。

そうやって差が出ますと圧倒的な価格競争力の差も出てまいります。つまり、人が判断をする間もなくデータが物を動かしてしまい、最終的にデータが動かした物のフィードバックループを人が検証し、もう一回ロジックをつくり直すといったような形で検証していく。何を申し上げているかというと、人、物、データの順番がデータ、物、人の順に転換しております。これは数年前から日本政府がデータ駆動型社会と言っていたことと論理的には全く同じことであり、この多くはSociety5.0といったような言葉でもCSTIを中心に議論されてきたところと大きく異なることを申し上げようとしているわけではございません。

現に町のお菓子屋さんがコンビニエンスストアに出品をした結果、コンビニエンスストアもAmazonも社内でVMIをやっております。店頭のデータで生産量の指示から在庫納入指示から一度に来ます。そうしますと、同じお菓子屋さんの同じお菓子が同じコンビニの店頭に出るのにプライベートブランドは108円で、自社ブランドだと138円で結局108円のしか売れない。

したがって、町のお菓子屋さんはもうコンビニ流通が出てきた瞬間に、もういいと、流通やめると、あとは自分のお店に買いに来てくれる人にだけ自社ブランドは売ってあげよう、こういう流れも現に出てくるくらい、実はデータが実物を動かし、それに伴う競争力の差が商品の選択を進めるという現実はもう既に動き始めております。

それを評してデータスペースエコノミー。何を言っているかというと、要するに人の判断に対して介添えをする材料がデータだった時代から、データが動かす物流を人が後から検証するという時代に大きく物事のロジックが変わろうとしている。そのリアルスペースの経済をデータスペースの経済が駆動しているといったようなニュアンスから、ヨーロッパではこれをデータスペースエコノミーというように呼び出したというように自分は解釈をしております。

先ほどの需給逆転のイニシアチブも同じでございます。ノッカルのいろいろなライドシェアサービスが子供たちを迎えに行ったり、高齢者を送り届けたりするときに人の判断は入りません。簡単に言いますと配車係の指示はほぼAutonomicallyにデジタルで処理をされていきます。また、それがなければ、この人手不足の人材の時代にモビリティサービスを提供することはできない。その現実はAmazonのような大きなところから地方の公共交通をどう立て直すかまで、全て同じ論理で動き始めているというのが物事をデータスペースエコノミーという観点から捉えるべきではないかと欧州の人々が考える理由にもつながっていると考えてございます。

それを企業間取引構造に考えたのが6ページ目です。従来であれば系列B、C、Dということで、もう取引する相手が決まっておりました。したがって、入れるものも共通のEDIがそもそも入ってないというケースもございますが、それぞれの系列取引ごとのデジタルをすればよく、最後のところはわざと矢印を届かせなかったつもりでございますが、いつも同じ取引相手と暮らしていれば別にわざわざ商品番号を探してデジタルのホームページの画面にキープしなくても電話一本、「カトウさん、先月の赤いものをあと3つ」と言えばそれで通じたので何もデジタル化する必要はなかったというようなところでございますが、今後はそうはなりません。もういきなり航空機メーカーが年間2機しか造らない。もう航空機メーカー命で造ってきた中小企業ではどうするのだと。いきなり医療機器メーカーに行こうといったときに「カトウさん、先月の赤いものをあと3つ」はもう通用しないのです。

どんどん人口が減少してきて系列取引の先の出口のマーケットが少なくとも国内だけを見れば少なくなっていく。海外なら海外でつくるという経済が待っている中で、中小企業といえどもどんどん新しい取引先を開拓しなくてはいけない、そういうときにデータスペースエコノミーで発注が飛んでくるとすると、デジタルで受注の口を開けていない中小企業には仕事が来ないという未来が論理的に見えているということでございます。

したがって、中小企業のデジタル化が待ったなしというのも当たり前の話でございまして、海外と新しい取引をするのにファクスで注文書を送るつもりか、見積書をファクスで送るつもりか、いちいち電話するつもりかと。ヨーロッパのレギュレーションを守るためのCO2排出量のレギュレーションに対応するのに、ファクスで、英語でインボイスを送るつもりかと。そういう時代はもう5年以内にやってくるということでございます。

後ほどご紹介する欧州の電池規則や場合によってはカーボンフットプリントの規制に対応するためにも、日本の部品がヨーロッパの自動車メーカーに採用されようと思ったら、もう欧州の電池規則やカーボンフットプリントのレギュレーションに適合するような技術を採用しない限り、ヨーロッパの自動車メーカーには部品は納入できないという未来がやってくる可能性がもう見えているのです。

7ページ目です。これはイメージ図でございますが、そういったようにデータスペースの中でいろいろな物事が完結をし、リアルワールドに指示を出しているという時代のアーキに少しずつ変わろうとしている中で、このデータスペースエコノミーの上に乗れなかった中小企業は取引から放置されます。このデータスペースの仕組みについてきちっと日本は日本の思想で物を作らないと、ヨーロッパがつくったデータスペースエコノミーの論理と部品を全部使ってくださいということになりかねないおそれがございます。

これは何も来年できるとか再来年できるとかということではございませんが、ヨーロッパですら走り始めて恐らく5年はかかるであろうと言われている取組、ヨーロッパが試行錯誤を始めた今、日本も試行錯誤を始めないと、始めない5年後はやってまいりませんので、今はよくても5年後に泣く、そういう可能性が出てきているということをこのデータワーキングの中でもぜひ議論していただきたい。

そのときにもう一点ございますのは、社会的課題がデータスペースを加速する流れが見えてきているという話でございます。8ページ目です。一つは、やはり世界のデータスペースの議論を圧倒的に後ろから加速をしているのはカーボンニュートラルでございます。ヨーロッパの自動車メーカーがCatena-Xという形で先ほど平本さんからご紹介のあった流れに乗るというように、少なくともドイツの自動車メーカーもほとんど乗ってきてございますが、それはなぜかというと、カーボンニュートラルの規制が入ってくるということをもう想定しているからでございます。

極論をすれば、例えば日本でヨーロッパ製の自動車の部品の修理を修理工場でやったとしたときに、レギュレーション、日本がどういう制度をつくるか、逆もまた真なりでございますけれども、ヨーロッパがどういうレギュレーションをつくるかによっては、ヨーロッパ、日本、それぞれの自動車修理工場が修理したときに使った部品のCO2排出量のデータを取得しておく必要があるかもしれません。そのときにいちいち電話をして、これはいつですか、この部品番号の排出量幾らですか、そんなことをいちいちアナログでやりますかということになりますと、カーボンフットプリントの規制を執行するためにも、それに対応したデータ連携基盤とデータを共有する仕組みをつくることが必要になってまいります。

それは鉄鋼業界におけるミルシートのように、品質安全管理のためのトレーサビリティーや原産地証明も今後増えてまいりますし、蓄電池の二次利用といったことを進めようというシェアードエコノミーの流れの中でも、その物品の確からしさであるとか電圧保持、状態、誰がいつ使ったものであるとか、それをPL法的に追求しようと思えばその先に元使っていたもの、作っていたものがちゃんと全部追求できないといけないとか、そうではないものは使われないといったようなことが起きてきたりでありますとか、我がデジタルインボイスの制度の開始に伴い、取引についてもトレーサビリティーを求められると同時に、手形の廃止や契約の電子化の流れの中で、誰がいつどういうように落とした信用なのかといったようなことについても金融のほうでも新しい、データを交換先が、Orionが予定をしているような形で特定できてない不特定多数にいつでも追加可能な形でデータ連携をしなければいけない基盤というのが求められています。

これに対して、9ページ目、GAIA-XやIDSイニシアチブ、技術的提案はフラウンホーファからですが、IDSイニシアチブが言い出したのが10ページ目にあるコネクタ型のデータスペースでございます。

課題はまだまだ多くございますが、コネクタ型のデータスペースを端的に申し上げますと、様々な異なるシステムの上にコネクタというものを1本載せたらコネクタ同士が勝手にデータの交換をする。すごくシンプルに言えばそういう世界観でございます。

まだまだ発展途上の未成熟な議論ではございますが、誰でも後から追加的にやってきた修理工場や事業者さんが、神様が認定したコネクタを自分のシステムの上に乗せれば、コネクタ同士がどこにこの部品のCO2排出量データがあるのかを勝手に探しに行って勝手に交換してくる、その間に人の判断は介在する必要がない、こういう形のデータ連携に移行しようという提案をしてございます。

ただ、これは11ページ目でございますけれども、ヨーロッパでは例えば国、業界、事業者というのはこの間、IDSの方と話して3Dレイヤーストラクチャーと言ったら、それは面白いと言われましたが、そのコネクタが機能するためには、とりあえず国と書きました。彼らは、それはICANNのように国でなくてもいいのではないかと言っている人もいますが、いずれにせよ、コネクタを認証する人というのはどこかに存在する必要がございます。これも世界中に1個にするのか、国ごとに1個にするのか、どうするのかという問題がございます。これは幾ら何でもコネクタを乗せるだけでは駄目で、そのコネクタが認証されたコネクタでなければ後から自由に追加できると言ってもデータのやり取りをすることはできません。

次に、業界と書きました。これも業界であるかどうかは分かりませんが、コネクタがあって認証する神様がいればそれで終わりかというと、例えば経済安全保障のルール上、してはいけないデータ交換が勝手にされないように誰がそこにブロックをかけるのだ。それから、様々な異なるデータモデルやデータ形式の変換に必要なデータライブラリーは一体誰が整理をするのだと。

実は突き詰めていくと、この真ん中の部分が一番重要になってきまして、極端な話、コネクタというのは話ができれば何でもいいということで、どんどん時代に応じて互換性を持って世代が上がっていくのだろうというように思いますから、別に日本がSIPでつくり上げてきたCADDEであろうが、IDSコネクタであろうが、EclipseDataspaceConnectorであろうが、そこは研さんを重ねていくということだとは思いますけれども、ここで我々が考えておかなくてはいけないのは、それぞれの産業やビジネスのアーキテクチャの実態に即した真ん中のレイヤーのルールやレギュレーション、そのために必要なツールをしっかりと用意しておくということと、やはり国ととりあえず書きましたが、コネクタを認証する神様ということをどういう国際的な相互運用性の体系の中で、場合によっては日本もヨーロッパもそれぞれがコネクタの認証機関を使って相互認証するといったような形を取るのか、どういう形に行くのかというのは、今、日本も議論しておかないとヨーロッパの好きなように議論されてしまうかもしれません。

こういう状況の中で、今すぐコネクタがないとできないデータ連携実需がそんなにあるとは正直思えませんけれども、蓄電池規則が来る、カーボンニュートラルが来る、いろいろな社会的規制が来る、企業の取引の現場もどんどん系列取引からオープンなメッシュ型の取引構造に変わっていくということを考えると、今からこういうアーキを用意しておく必要があるのではないかということで、12ページ目は非常にラフなものですので、これを精緻化していくという作業をすることが必要ですが、日本でもSIPでつくってきたコネクタ型のデータ連携基盤というものを今後どういうように育てていくか。

先ほど真ん中でご覧をいただいたレイヤーのルールやアーキやテクノロジー等をつくっていく必要がございますけれども、やはり自動車業界を先頭に、GAIA-Xというのが産業横断的な思想を語っている団体だとすると、自動車業界はCatena-Xという分身をつくりまして、半歩先んじてどんどん実証、実装を始めておりますので、日本もこれに合わせて動いていく必要はあるだろうということで中小企業庁の実証事業があったり、経済産業省とも一緒になって進めているところでございます。

これらをコントロールするため、またはこれについての検討を深めるための検討会ということで13ページ目でございますが、ご覧いただいたようなメンバーの皆さん、この会議の中でいえば齊藤IPADADCセンター長にも加わっていただきましてどんどん検討を深めているところでございます。改めてデータスペースはなぜ必要なのか、相手が特定されないパターンのデータ連携がなぜ今、必要なのか、その上でどういう技術を採用していくべきなのか、次の6月に向けて本検討会がさらに議論を深めていく予定というようにしております。

今日のご説明の一部は、開催されましたこの検討会での議論の一部をご報告するものでありますが、この検討会の成果をまたこのワーキンググループにも報告させていただきつつ、必要な国家的決定事項と思われるものにつきましては、デジタル重点計画にも盛り込む。データ連携基盤についてはDSAがしっかりやっていくというように書かれている部分もございますので、IPAとDSAにどういうことをお願いしていきながら、日本は日本のデータ連携の体系をつくっていくのかということについて本ワーキングの有識者の先生方のご意見もいただきながら決めていきたいというように思っているところ、最近、データ連携基盤と言っても公共サービスメッシュもある、Orionもある、コネクタとか言っている、何かいろいろあるけれども、どうなっているのというお声もあるものですから、3種類の国が、公共が使うもの、先に相手方が特定されている中でもう既にいろいろ使えるパーツがあるもの、それから、相手方が特定されない中でオープン型のデータ連携として今、世界が整備しようとしているもの、3つ並べて整理をしてみました。

ぜひ今日も様々な角度からこういったところに気をつけろ、またはその3つの間のデータエクスチェンジもあるぞというところはどうなのだといったようなところも含めてご意見、コメント等を賜れればと思います。

私からは以上です。ありがとうございました。

三島参事官: ありがとうございました。

続きまして、資料2-2「個別分野の取組状況」について、スマートシティ、防災、教育、医療の順でご説明をいただきます。

まずはスマートシティの取組について、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局、日置参事官よりご説明いただきます。

それでは、よろしくお願いします。

日置参事官: スマートシティ施策の現状ということで、これから説明をさせていただきます。

3ページ目です。前回、9月6日ですけれども、スマートシティの取組の経緯、今後の取組の概略をご説明いただいたところでございますが、今回、もう少し詳しい取組ということでご説明をさせていただきます。

スマートシティが目指す姿と直近の課題ということでございます。このスマートシティでございますけれども、下の枠囲みの中「次世代に引き継ぐ基盤となる都市と地域づくり」ということで、これは科学技術・イノベーション基本計画に書かれているスマートシティの展開ということでございますが、目指す姿といいますのは、誰も取り残さない一人ひとりが最適なサービスを享受できる都市、地域の実現を目指す、地方公共団体や大学・民間企業と連携するといったところでございまして、まちづくりということでございますので、様々な関係者の参画というのが必須でございます。こういった方々の知恵を生かしながらスマートシティ施策を推進していくということが大事ではないかと考えているところでございます。

主な課題ということで、直近の課題ということになりますけれども、まず1つ目が政府のデジタル化方針、こういったことと連動して、各地域でスマートシティの計画を策定いただくといったことが一番大切と考えております。

また、そのスマートシティ推進の拠点づくり、人材育成、さらに好事例を創出して、それを横展開する、さらに海外にも目を向けるといったことが直近の課題ということで、こういった課題に対応しつつ施策を推進していくということが求められていると考えています。

4ページ目です。
デジタル化方針との連動ということでございまして、各地域でスマートシティの計画策定を進めるということでございますが、そのためには共通アーキテクチャによるスマートシティの横展開が必要ではないかということでございます。スマートシティを実装する際に決めるべき、考慮すべき事項について、アーキテクチャホワイトペーパー、アーキテクチャ活用ガイドブックとして、内閣府がとりまとめて公表しているところでございます。

その全体像が左の下の枠の中に入っているところでございますけれども、都市マネジメントと都市オペレーティングシステム、この両方が重要ということでございまして、スマートシティの戦略、こういったものを自治体の組織体制、計画の内部に取り込んでしっかりしたものとしてマネジメントいただく。さらに、もう片方の都市オペレーティングシステム、こういったものもしっかり共通のルールの下に運用して、双方活用してスマートシティサービスというものを利用者に対して提供している、こういった形が大事だというように考えております。

また、スマートシティリファレンスアーキテクチャによる共通化で、持続的なまちづくり、コスト削減につながるとともに、知見、サービスの共有もできるようになると考えているところでございます。

5ページ目です。
スマートシティ共通アーキテクチャ(設計思想)、参考ということでございますが、こちらはデータ利活用のイメージを具体的に示したものでございまして、都市間のデータ利活用促進に向けて、スマートシティにおけるデータの構成要素を層別に整理をしているということでございます。このアーキテクチャの中で標準のAPI、オープンなAPIを整備し、APIを公開しながら各都市のOSの構築を推進していくということでございます。こういうことでデータの連携、各都市のOSとの相互連携ということが可能になるというように考えているところでございます。
6ページ目です。

政府のスマートシティ関連事業ということで、令和4年度の合同審査の対象事業ということでございます。スマートシティ関係4府省5事業について合同審査を行って対象地域を選定しているということでございます。それぞれの事業を整理したスライドになるわけですけれども、内閣府地方創生推進事務局では未来技術社会実装事業を行っているところでございます。概要につきましては、自治体の未来技術の実装事業について、社会実装に向けた現地支援体制、地域実装協議会、こういったものの構築を支援しているというものでございます。

総務省の地域課題解決のためのスマートシティ推進事業、これにつきましては地域が抱える様々な課題の解決を目指すということでございまして、デジタル技術を活用したサービス・アセットの導入、都市OSの導入などを補助するものでございます。

さらに国土交通省都市局のスマートシティ実装化支援事業に関しましては、先進的技術を活用してスマートシティの実装に関する取組を支援するということでございまして、実証事業の支援を行っているところでございます。

経済産業省の地域新MaaS創出推進事業、こちらにつきましては、地域における新しいモビリティサービスの社会実装や、事業モデルの創出・横展開に関する先進的なMaaS事業を推進しているというものでございます。

最後、国土交通省総合政策局でもMaaS関係で、日本版MaaS推進・支援事業を行っており、こちらは公共交通等の移動サービスの高度化ということで利便性・効率性の向上に焦点を当てた事業を行っているところでございます。

7ページ目です。
スマートシティ関連事業、令和4年度の実績でございますけれども、合同審査を経て51地域の事業を選定しており、関係府省が連携してスマートシティの推進を図っているというところでございます。

8ページ目です。
スマートシティに関しましては、これまで実証という段階だったのですけれども、これからは実装という形で1つステップを上げ、将来に向けた中長期のロードマップも必要だろうというように考えているところでございます。そういった中で、持続的な活動のための課題検討、推進拠点づくり、人材育成、こういったものをどうするかということを考えていく必要があるというように考えているところでございます。

また、スマートシティアーキテクチャにつきましても、状況に応じて進化・深化を進めていく必要があるというように考えております。分野間・都市間での連携を実現する共通要件、こういったものをもっとさらに具体化する、スマートシティの取組について継続的な実装水準の評価をしていく、こういった取組が必要であると考えているところでございます。

このような形で今後、スマートシティの全国展開に向けて、関係者と取組の連携をさらに拡大していきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

内閣府科学技術・イノベーション推進事務局からは以上でございます。

三島参事官: ありがとうございます。

続いて、防災分野の取組について、デジタル庁国民向けサービスグループ参事官の矢崎よりご説明いたします。
それでは、よろしくお願いします。

矢崎参事官: それでは、防災分野の取組についてご説明いたします。
まず、防災分野ではデータ連携のためのプラットフォームとして大きく2つ、取り組んでございます。

10ページ目です。まず1つ目、図の下側になります。災害対応機関間での情報共有ということでございます。発災した後、どこで何が起きているかというのが全く分からない状況で、被害の状況だとか行政機関の対応情報というものを共有していこうというのが一つ大きな取組でございます。
あともう一つ、住民向けの支援という上側になります。フェーズごとに住民が必要な支援を受けながら命を守るようにしていこう、そのためのデータ連携基盤を構築していこうという取組をしてございます。

11ページ目です。
1つ目の先ほどの絵の上側の住民向けの支援ということでございます。
この三角があるのが個別のアプリだとかシステムをイメージしてございます。平時から切迫、応急、復旧・復興段階において、この三角のシステムやアプリが個別の住民にサービス、情報を提供することで、命を守る行動を取っていただき、災害後には必要な支援が場合によってはプッシュ型で提供できるような世界観をつくっていこうと思ってございます。
この個別の三角が個別に動くのではなくて、下側の四角にあるとおり、データ連携基盤を構築することでデータをつないでいこう。これにより、個人の個別の方がワンスオンリーを実現しつつ、連携されたデータの下に様々な三角のアプリの開発を促進していこう。これにより、災害時に住民の個々の生命を守っていこう、このように考えてございます。

一昨日、協議会の発足イベントをやってございます。その協議会では、約250の方が集まっていただいております。そういった方々と特に民間の方を中心に三角の部分のアプリ、システムの開発促進というものを促していきたいというように思ってございます。

12ページ目です。
2つ目は、先ほど1枚目の下側の災害対応機関間の情報共有でございます。
右側の図がございますが、緑色、オレンジ、黄色、青、緑とございますが、これはそれぞれ南海トラフの地震のときにどういった防災対応を取らなければいけないのかというものがメニューごとに整理された計画を図示したものでございます。これがそれぞれ個別に動くのではなくて、災害の対応状況もしくは被害の状況に応じて全体が連動しながら統一的な認識の下に判断しつつ、最も効率的な防災対応を取っていく必要があるというように認識してございます。このためのシステム、情報共有のためのシステムを構築してございます。

13ページ目です。
防災デジタルプラットフォームと書いてございますが、左側の絵にあるとおり、各省庁、自治体、指定公共機関、民間、それぞれ情報を収集してデータを解析、変換し、一つの地図の上にレイヤーで重ねてみる。それによって、全体を俯瞰して見られて全体最適解としての防災対応を図れるようにしていこうというものでございます。

これにつきましては、平成23年に内閣府が総合防災情報システムという形で1回運用して、並行して研究機関向けのSIP4Dというのがございますので、こういったものを統合した上で令和6年から運用開始を目指していこう。運用開始に当たっては情報の充実を図るとともに、システムとしての冗長性を確保していこうということで取り組んでございます。

14ページ目です。
このシステムの構築に当たって、政府相互運用性フレームワーク(GIF)に基づいたデータモデルの構築を内閣府とデジタル庁が連携して現在進めてございます。こういった取組の中でデータの正確性だとか安全性を確保しつつ、こういうシステムの構築をしっかり進めていけるよう、内閣府とデジタル庁が連携して進めていきたいというように思ってございます。

以上でございます。

三島参事官: ありがとうございます。
続いて、教育分野の取組について、文部科学省総合教育政策局主任教育企画調整官・教育DX推進室、桐生室長よりご説明いただきます。

それでは、よろしくお願いいたします。

桐生室長: 文部科学省の桐生でございます。

それでは、私のほうから、教育データ利活用ロードマップでお示ししたものと、その後の取組状況ということでご説明させていただきます。
16ページ目です。今、お示しさせていただいていますのは今年の1月に4省庁、すなわちデジタル庁、総務省、文部科学省、経済産業省と4省庁でお示ししました教育データ利活用ロードマップの概要図になっております。DXの3段階のうちの2段階目のデジタライゼーションをメインに据えまして、データのスコープ、品質、組み合わせの3つの軸の拡充を目的としてつくっております。

17ページ目です。
こちらのロードマップをつくるに当たって、学校内外を通じた教育のデータのそれぞれ利活用はどういうようにやっていくべきなのかということで、デジタル庁のアイデアボックスを活用し、1か月かけて一般の方からかなり多く、このような姿にしたらどうかといったようなご意見を伺い、また、有識者の方にもかなり多くのヒアリングをしまして、論点と今後の検討の方向性といったことをそれぞれの論点ごとにまとめております。

18ページ目です。
各論、幾つかあるのですけれども、全体構成をここでちょっとお見せしておきたいと思うのですが、全体は短期・中期・長期と示しておりまして、中期は2025年ぐらいまでに学校や設置者間のデータそれぞれがつながって使える状況にしようというのが一つの目標でして、より長期の目標、2030年ぐらいには、個人ごと、パーソナルデータストアを活用して生涯を通じた学習の蓄積とか活用ができるようにしていこう、こういった大きな絵を描きつつ、それぞれ各省で取り組むべきことをやっていきましょうといったのが全体の大きな図になっております。

19ページ目です。
こちらから主に文部科学省の取組となっておりますけれども、教育DXの取組の中で、今のデータロードマップを踏まえまして、今日、このうちの6点、ご説明させていただきたいと思います。まず第1段階、第2段階、第3段階と提示してありますけれども、もちろんいきなりデータ利活用ができるわけではなくて、第1段階であるデジタイゼーションの部分、足元から固めていかないといけないわけでして、その点でGIGAスクール構想によるICT環境、端末とネットワークをきちんとしていく、足元を固めていくというのがまず1点。

それから、それを安全に使うための教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの策定、校務のデジタル化というのを進めていくというのが次の段階になっています。

その上で、第2段階以降で必要になってくる大きな3つのツールというのを考えていますけれども、データの標準化などのルールと共通のツール、それから、それを利活用する仕組み、この3つを主にお話しさせていただきたいと思います。

20ページ目です。
まず足元の第1段階のGIGAスクール構想の実現の部分、約5000億かけまして、令和元年度の補正予算から始めまして、1人1台端末とネットワークの増強といったものを進めております。また、もちろんこれは単に物だけではなくて人が配置されて実際に動かすといったことが大事ですので、GIGAスクールサポーターの配置促進というものも併せて進めてまいりました。

21ページ目です。
その上で、昨年度から配置が終わりまして昨年度から端末の本格活用というのが進められてきています。もちろん課題も浮かび上がってきておりまして、児童生徒用の端末はあるけれども、指導者の端末が古いのではないか、あるいはないのではないかといったようなところもありましたので、こちらの予算措置というものも進めておりますし、あるいはネットワークが多くの人が使うようになったのでなかなかつながらないとか遅いといったような声もありましたので、ちゃんとつながるようなアセスメント、応急対応といったものも進めております。

22ページ目です。
その上で、実際に使わない状況というのは一番もったいないことですので、日常使いしていただくための運営支援、人的支援というものを進めておりまして、ICTの支援員の配置促進や、チェックリストなど、積極的な利活用の促進策といったものをやっております。
また、加えまして、授業での使い方をどうするのだというのはかなり多くの自治体からもお問合せがありますので、文部科学省にGIGAStuDX推進チームという、学校の先生を集めて実際の1人1台端末の各教科における活用事例といったものも集約して、それをホームページにアップして随時更新していくといったような形での広め方を進めているといった段階になります。

23ページ目です。
もちろん、1人1台端末を使う上では教育委員会のセキュリティポリシーというのがどうしても必要になってきますので、その作成や見直しを行う際の参考とするため、教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインを作っております。こちらも技術進展は早いので適時見直しを行いながら進めているといった段階になります。

24ページ目です。
加えまして、校務支援システムというのが学校におけるデータを蓄積する上でのこれまでのメインのシステムであったわけですけれども、1人1台活用が進んできて学習系システムと言われている1人1台PCであったり、それから、アプリケーションソフトの側にもデータはかなりたまってきておりまして、それらの相互の流通、相互接続性というものの確保が必要になってきておりますので、将来的な仕組みの在り方といったものを今、イメージを示しながら、予算措置も行いながらそこの議論を進めているといった段階になります。

これをしていく上では、下のだいだい色のところにありますようにダッシュボード機能、まず可視化して示していける機能といったものが共通で必要になってくるかと思い議論を進めている段階でございます。

25ページ目です。
こちら、データのそのものの扱いになってくるのですけれども、データの標準化をこれまで2年間かけて進めてきています。これまで学校のデータというのはアナログ時代からあったわけですけれども、ともすると自治体ごと、それから、事業者さんごとにかなりばらばらになってしまう、定義がばらばらになってしまうところを共通定義ができる部分を定義しようということで進めております。教育内容については学習指導要領のコードを振っておりまして、全ての学習指導の最小単位を振ったり、学校の呼び名というものも調査によってばらばらだったものを学校コードで統一するといったことですとか、様々なデータの定義というものを進めてきています。これはもちろんデジタル庁のデータ班の皆さんと協力しながらさせていただいています。

GIFの先般の定義を踏まえての更新なども今やっておりまして、さらにこれから学習録と言われているもの、学習の記録というものをどのように提示していくかといった点での議論を始めているところです。この辺りになるとかなり世界でも先端的な部分の定義になってきておりまして、世界的な国際標準規格の流れはもちろん横目に見つつも、どのような定義が日本の初中教育あるいは高等教育において必要なのかといった定義、議論を今、スタートしているという段階です。

26ページ目です。
共通のツールという点では、文科省においてここ数年で2つの共通ツールというものをつくっております。一つはCBTシステムになります。小・中・高等学校等から直接、文科省が作ったCBTシステム、ComputerBasedTesting、ペーパーではなくコンピューターでやるテスティングシステムを作りまして、国や地方公共団体が作った問題を今、3万問ほどあるのですけれども、こちらを搭載していつでも自由に使えるといった形になっております。

その問題の中にはもちろん紙の問題をそのままデジタル化しただけではなくて、動画または映像を使ったような問題、あるいは試行錯誤できるような問題、こういった問題も載っていまして、小・中学校からアクセスできるようになっています。今現在、約80%の学校が登録しておりまして、760万人近くの子どもが今、登録してできるような状況になっているという状況でございます。

27ページ目です。
こちらはかなりいろいろな使い方ができまして、全国学力・学習状況調査を、今まで紙でやっていたものをCBT化しますという方向を出していますが、来年度、中学校の英語の「話すこと」調査でMEXCBTを活用して使うことになっております。また、地方自治体が独自に取り組んでいる地方学調というものがありますが、地方の自治体の学力調査もMEXCBTを活用してやっていきましょうというお話ですとか、あるいは左下のように立方体の展開図、小学生は理解しづらいという話が結構あるのですが、この問題を熊本県のある小学校の先生がMEXCBTで作ったのですが、これを教材のように共有してみんなで作っていくといったこともできます。

また、普段使いとして宿題で出したり、学校の中で5分間でテストをやったりする、いろいろな自治体からの問題をほかの自治体の人も使えるようになっていますので、こういった取組が今、進んできておりますという状況です。

28ページ目です。
もう一つのツールとしましては、EduSurveyというシステムがございまして、これまで紙で国から都道府県、都道府県から市町村、市町村から学校と小・中・高で3万5000校にExcelを入力してもらいそれを集約するといったことをやっていたのですけれども、クラウド上で回答することで調査集計の負担軽減に資するオンライン調査システムになっております。文科省から学校への調査というのは年間200ぐらいあるのですけれども、今年度、このうちの約30をこちらのシステムでやっております。来年度はもう少し広げて100ぐらいにしていきたいと思っております。

29ページ目です。
これまでやってきたところ、自治体からの声としましては、こちら、初めて取り扱ったにしても非常に簡単にできたということで非常に好評ですし、また、単に簡単になるだけではなくて、これまで担当課ごとのデータ蓄積だったものが横串で見て分析してそれを政策に活用していくといった使い方もできるようになっていくというように考えております。

30ページ目です。
加えてデータは定義してシステムを作るだけではもちろんいけなくて、利活用していく上で結局のところ、アウトプットとして先生の指導や子供の学びの改善等のアクションにつながるようなデータ利活用をしなければ意味がないというように考えていまして、これまで国で保有しているデータの分析をして、それを政策に活用するといったことをやってきていますけれども、それを個別の学習にもある程度フォーマット化して、このデータとこのデータからこういうアクションが導き出せるといったようなことのノウハウを集約してそれを使えるような状態にしていくといった研究を今、進めているところです。

31ページ目です。
そうしたことをやっていく上で、最近の議論として出てきているのは、やはりデータをどう使われるのか不安だと、自分が望まない形で使われるのは困るのではないか、といった声とか不安感というのはかなり強いものがありまして、データ利活用を進めていく上でここを前提条件として不安感というのをかなり抑えないとなかなか使ってくれない状況だというように認識しております。

このため、今年度中に出そうと考えていますけれども、典型的な論点を各自治体向けにQ&Aの形にしてまとめようと考えております。不明確で使いづらい、分からない、何をやっていいか分からないというところを、これは大丈夫ですとか、これは難しいです、あるいはここは確かになかなかグレーなゾーンであって、要議論ですというように分けて分類して提示することで利活用の安心感につなげられるような留意事項といったことを今、取りまとめているといったところであります。

教育関係の分野の取組の状況、以上になります。ありがとうございました。

三島参事官: ありがとうございます。
続いて、医療分野の取組について、デジタル庁国民向けサービスグループ参事官の上田よりご説明いたします。

それでは、よろしくお願いします。

上田参事官: 上田でございます。
医療分野の取組についてご説明いたします。

まず、これからやりたいと思っていることをご説明させていただいて、その後にこれまで取り組んできたことを説明したいというように思っております。

33ページ目です。
これからやれることということで医療DXの取組で、6月の骨太の方針で掲げられた3本の柱を記載しております。

1つ目が全国医療情報プラットフォームの創設ということで、オンライン資格確認、マイナ保険証のシステムでございますけれども、このネットワークを拡充してレセプト・特定健診情報、予防接種、電子処方箋、自治体の検診、電子カルテの情報、こういった医療に関する全般の情報を共有できる、こういったプラットフォームを創設する。これが1つ目でございます。

2つ目は、電子カルテの標準化。電子カルテは、実際はその情報のコード、こういったものの形式がそれぞればらばらだという現状がありまして、これを交換する、情報交換をしていくためにはその形式を統一化していく、こういったことを考えております。

3つ目でございます。診療報酬改定DX。診療報酬については2年に一度、改定をするということでございますけれども、こちらの2年に一度の際、2月に実際中身が決まって、もう4月からは実運用としてシステムを回していかなければいけないということで2か月間に一気にルールに応じてシステムを変えるという作業をしております。

この作業に医療機関のシステムに携わられる方、非常に負担がかかっているということで、これは振り返ると、請求のルールは基本同じものですので、この同じものをシステムベンダーが要はこのルールに合わせたシステム改定を短期間にやっているということで、そこのモジュールを提供して効率的に作業ができないのか、こういったことを考えているところでございます。こちらは今、10月に総理を本部長とする政府医療DX推進本部を立ち上げて議論しているところでございます。

34ページ目です。
全国医療情報プラットフォームのイメージ図ということでございますが、現状、医療保険者、医療保険者は健保組合とかでございますけれども、医療機関・薬局、自治体、介護事業者、それぞれが持っている情報を全国医療情報プラットフォーム、こちらに入れる、もしくは交換するということで、先ほど申し上げましたように健診や処方・調剤の情報、電子カルテの情報、また、予防接種の情報なり、介護の情報、これをプラットフォームの中で交換する、共有するという中で医療機関、自治体、介護事業者に流していく。また、マイナポータルを通じて、左でございますけれども、PHR事業者に流していく、こういった構想でございます。

35ページ目です。
これは冒頭申し上げたものの2つ目でございますけれども、現状が一番上の段でございまして、左、右、見ていただくと同じ検査値、例えば同じ血液検査の一つの項目だと見ていただければと思うのですが、同じ検査値であるにもかかわらずデータのコードなり検査値のコード、これが医療機関独自のコードというのが付番されているという状況でございます。この例ですとAのデータとか、B、右側でいうと「B-YMD」「B99045」という、ここでございますけれども、こういった形になっていますし、検査の結果や日付、このデータ形式も違うということでございます。

このため、これの部分について真ん中でございますが、標準コード、これは例でございますけれども、「J-Date」と書いてあるところについて付番をして、一番下でございますが、この標準コードを付番したもので情報を交換していく。日付や値、結果の形式、こういうところも整えて交換していこうという取組でございます。

36ページ目です。
こういった取組の行った先に何があるのか。これをもう少し利用者目線で書いたものがこちらでございます。3つ書いております。
1つ目は、マイナンバーカード1枚でいろいろな医療機関に行こうということでございます。現状は、保険証はもちろんですけれども、例えば子供であれば地方単独の受給者証、こういったものもありますし、あとは診察券、予防接種や母子健康手帳、お薬手帳、こういったいろいろなものを医療機関に行くときに持っていくというところでございますが、これをマイナンバーカードで一元化して1枚で済むようにしましょう、こういったことが一つでございます。

2番目でございます。現状、システム、先ほど申しましたいろいろな医療の情報のシステム、これは自治体、保険者、医療機関、それぞれに保有され、また、実際入力していくということでございますが、ばらばらになっているということでございます。こういったものを接続していくことによって、一度入力された情報、これは再度入力を要しないようにしていく。これは自治体で入れたものは例えば医療機関では入力しない、こういったことでございますけれども、こういったことによって入力のワンストップ化を進めていって、職員の方の作成の負担、こういったことにもつなげていくということでございます。

3つ目でございます。3つ目はマイナンバーカードで患者の同意を得つつ、医療情報全般にわたって全国の医療機関で共有をして、それで医療の質の向上につなげていきましょうということでございます。

例えば重複の検査・投薬、こういったことも情報があれば回避していくということでございますし、国民もマイナポータル、こういったところで閲覧していくことによって健康増進につなげていく、こういったことも想定されております。
また、医療の情報について蓄積していくことによって、ビッグデータとして分析・研究開発へも活用していくということが想定されているところでございます。

37ページ目です。
今、申し上げたものは大きい枠組みとして医療DX、取組として進めているところでございますけれども、デジタル庁としてもさらにこういったものをクイックに実証的にやっていこうということの事業を補正予算の中で確保しているところでございます。これからということでございますが、予防接種の接種券情報や予診票の情報、接種記録、また、地方単独事業でございますけれども、お子さんの乳幼児の医療の受給者証、こういったものについて自治体から入力したものを患者、医療機関、それぞれの場面でマイナンバーカードを使って引き出す、こういったことによって、より情報共有を実現したいということでございます。

38ページ目です。
今まではこれからということでございましたけれども、これまで実現してきたことを説明させていただきたいと思います。オンライン資格確認でございます。オンライン資格確認、医療DXの基盤になるものということでございまして、マイナ保険証としても進めているということでございます。

オンライン資格確認の仕組みでございますけれども、右下の保険者、これは健保組合ということでございますが、保険者から被保険者番号、これは今回、個人単位化しておるのですが、個人単位化して被保険者番号、または資格の情報。これは氏名なども含むということでございますが、それとマイナンバー、これを上に、支払基金・国保中央会のシステムのほうに入れていただく。そうすることによってマイナンバーがあることによって、同じ人が転職をしても情報がつながっていくということでございます。

また、左から医療機関にかかるということでございますけれども、マイナンバーカードの電子証明書のシリアル番号がシステムに行くことによって、あらかじめマイナンバーとシリアル番号を紐づけていくことによって資格の情報が返っていくということでございます。そうすることによって、これは従来、この右下の保険者から医療機関に対して紙の保険証でこの情報の伝達をしていたということでございます。ただ、紙の保険証ですと幾つかの制約があります。

1つ目、リアルタイムで情報を伝えることができない。これは実際の現場では実際の保険の資格が切れても昔の保険証で医療機関に受診をされるという方も多々いらっしゃいます。そういったことについてリアルタイムで資格の情報ありなし、また、現在の資格が何であるか、こういったことをちゃんとリアルタイムで伝えることができます。

また、紙の保険証ですので手入力で現状、医療機関はこの資格の情報を入力している。そういったことについてデータで行くことによって手入力の手間もなくなる、医療機関の手間もなくなる。また、紙の保険証はスペースが限られているということで、例えば高額療養費の限度額の情報、こういったことを入れることができないのでありますけれども、現状、別途、またそのための書を取るということをやっておるのですが、マイナンバーカードの中でデータを引き出すことによってその情報も簡単に取れる、こういったことをしているところでございます。

39ページ目です。
もう一つ、この仕組みの中で特定健診の情報や薬剤の情報、こういったものについても情報を提供しているところでございまして、こちらの情報も被保険者番号や資格の情報、こういったことで紐づけること。最終的にはマイナンバーと紐づいているということによって転職しても一になるような形で医療機関、また、ご自身がマイナポータルで閲覧できるようになっているということでございます。

40ページ目です。
このような形で簡単に医療情報は要配慮情報ということで本人の同意を取るということでございますけれども、こちらの④にあるようなことで簡単にご本人さんがマイナンバーカードを医療機関に持っていくことによって同意を取るということでございます。

41ページ目はマイナポータルでございます。マイナポータルでもこちらの画面にありますように情報が取れるということで進めているところでございます。

42ページ目です。
こちら、今、最終的には医療機関になるように進めているところでございます。
以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、資料2-3「企業間取引に関するアーキテクチャ設計について」、齊藤構成員よりご説明をいただきます。よろしくお願いします。

齊藤構成員: 2ページ目です。
まずDADCでやっているところというのが今、企業間取引のところでやっていますけれども、先ほどデジ庁の村上さんから紹介があったように、いろいろなメンバーを加えて今、ビジョン検討をやっています。DADCが何をやろうとしているのかというと、ここにありますように、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させて、企業間取引といわゆる経済活動が連動していくようなことを考えて、DADCではその中で人間中心の社会的な課題解決とか産業発展を同時に実現するような将来ビジョンというのをいろいろな企業の方々、民間の方々を交えて想定しながら、そこにありますように、いわゆる作業の効率化というデジタル化だけではなくて、やはり富を創出していくような、そんなこと、To-Be図を描きながらアーキテクチャ設計をやっていこうということで進めているものでございます。

3ページ目です。
我々が考えているSociety5.0のアーキテクチャの実現に向けてですが、基本的には左下のように各社ばらばらの取組で進めてきた従来の省庁ごととか業種ごととか企業ごととか、そういう縦割りで進めてきた取組をこのまま継続していくだけでは複雑な構造になっていくということで、結果的には将来のイノベーションを起こすような発展は望めない。また、産業競争力をつくることも難しいということで、右側のような形でやはり実現したいビジョンの具体化を描きながら、社会システムのアーキテクチャを設計して、それに基づいていろいろなレイヤー構造、モジュール構造を想定してインセンティブとかユースケースの中でのソフト・ハード・ルール等の設定みたいな話をして、デジタルアーキテクチャというのを日本社会の中に実装していこうということで進めようとしているものでございます。

4ページ目です。
そもそもこれはデジタル庁からの依頼を受けて進めているもので、ここにある、いわゆるデジタル社会の実現に向けた重点計画ということで進めている内容です。詳細は割愛します。

5ページ目です。
そうした中で今現在、我々がこれまで検討した中で、やはり将来の産業アーキテクチャというものはどういうものがいいのかという中で少し考えているものがこのようなものですという紹介です。

ここにありますように、これまでの産業、日本企業の競争力の源泉というのは、いわゆる高品質とか低価格のものづくりの力にあって、左側の下のようにあります縦型の産業構造、いわゆるパイプライン型というようなビジネスモデルで言われていますけれども、そういうことで実現してきました。しかし、このままでは、デジタル社会ではやはり社会のニーズとかユーザーのニーズとかいろいろな環境変化に対応していくとか、あとはイノベーションを加速していくとか、そういうことで自らのビジネスを俊敏に変革することが競争力になる中では、従来の縦型構造ではすごく難しい。

縦型構造を例えば間に協調領域を入れて切っているのがプラットフォーム型のビジネスモデルで、いわゆる縦型の3つ並んでいるところのレイヤーごとにそれぞれプラットフォームを入れて、いわゆるここで言ったら3掛ける3の構造をつくるとか、3掛ける3掛ける3の構造をつくるようなイメージが今、プラットフォーム事業のビジネスモデルでは実現されていますよね。そういう構造にやはり社会を持っていかなければいけない、産業構造を持っていかなければいけないということで、先ほど村上さんの説明でもありましたけれども、やはりアーキテクチャとしてはメッシュ型の産業のアーキテクチャというのを目指そうということで右側のほうに持っていこうということで今、検討している内容です。

そこの中核になるのが、いわゆるデータを連携する仕掛け。いろいろな企業がつながるにもデータがその中核、中間にあって、それを相互に活用できるようにならないとまずい。ただ、その相互に活用というのはある契約に基づいてとか、あるトラストの世界に基づいてちゃんとそれが使えるようにしなければいけない。アクセス権なんかも含めて、データ主権なんかも含めてつくる必要があるので、いわゆるヨーロッパで進めているようなデータスペースというのがそこに合ってくるような形になってくるというように思います。

6ページ目です。
そうした中で、つくりたい世界を基本的には今、言ったところの世界をデータ連携基盤ということで呼んでいますけれども、このデータ連携基盤をいわゆる基に、下のほうにあります経済活動に関する様々なデータを取り込んで、企業間取引データの中にも取り込んで、それを上のようなサイバー空間でいわゆるデータ利活用の場をつくりながら、ある意味で全体最適を狙っていく、いろいろな効率アップを図っていく、さらにはイノベーションを起こして空間をつくっていきたい。これは明確には書いてないのですけれども、下側のデータ連携基盤の上にデータスペースというレイヤーが出来上がって、その上にイノベーションを加速するようなマーケットプレイスみたいな話を想定しながら我々は考えていこうというようにしております。

これは必ずしも全体で一つではなくて、各領域ごと。最初に平本さんから話がありましたようにデータスペースごとにこういういわゆるデータスペースとエコシステムのような形、イノベーションを起こす環境をつくっていくようなイメージでこれから考えていこうとしております。

7ページ目です。
そうした中で、今現在、具体的に取り組んでいるところをちょっと紹介しますと、具体的なアーキテクチャデザインの進め方としては、やはりユースケースを個別に実施するのではなくて、モデル分野を特定して、社会・産業全体の方向性を明確にしながらアーキテクチャデザインというのを広く民間とも共有しながら進めていくことが重要だということで、今回、右側にサプライチェーン、バリューチェーン的なものが書いていますけれども、縦に社会課題とか経済課題を解決するようなそういうものを置いて、1番のトレーサビリティーから開発、製造の効率化、3番目のサプライチェーン、4番目の経理・財務のデジタル完結ということも想定しながら描いている中で、トレーサビリティーの関係をとにかくやっていこうということで、特にGHGの排出量の可視化みたいな話というのはこれから重要になってくるので、自動車工業会と一緒にまずここに取り組もう。それをOEM、Tier1、さらにはTier2、Tier3のところに展開しながら、中小企業を含めたデジタル完結のところまで持っていければということで、そういうアーキテクチャ設計をやろうとしている内容です。

8ページ目です。
トレーサビリティーに関しては、ここにありますように基本的には製品品質の確保といった右下のほうにあります製品の真贋性の確保といったところとか、左側の下にあります不具合発生時の対応負荷の軽減等に加えて、GHGの排出量、再生・再利用率の可視化及び向上みたいな環境対策とか調達先リスクの可視化といった人権デューデリジェンスのような新たな社会的要請の高まりを取り込んで、これを特定分野の工業製品に限らず、生活全般に関与する全ての製品・サービスに展開されると想定しながら、バリューチェーン全体のトレーサビリティーを管理する仕組みというのを構築しようということで進めようとしております。

9ページ目です。
そうした中で、ざくっとデータ連携や利活用の場の構築に必要となる要素の例ということで、先ほど村上さんからありましたコネクタとは明確に書いてないのですが、例えば扱うデータ利活用のサービスにはどんなものがあるかという話とデータ連携に必要なデータはどういうものがあるか。それに対して共通ツールとかモジュールといったコネクタのような話とか、あとはトラストのような話、こういったものを含めた、いわゆる一番下にあります制度や技術仕様に関するルールを設定していこうということで、今現在はどちらかというと中身の話というよりも周りのいわゆる認定・認証とかデータのガバナンスルールとか識別子というのは直近でヨーロッパのいろいろな規制に対応するためにはまず固めなければいけないところを固めて、その中でトラスト、セキュリティを含めて、さらには共通ツールとかモジュールをつくりながら、日本社会全体に展開していこうということで進めているものでございます。

10ページ目です。
これは今の全体スキームで司令塔としてのデジ庁。それと関係省庁を含めて主催省庁が経済産業省。その両方のサポートを得ながら、今、検討会を開いて企業間取引のプログラムというのを進めている。そこには民間企業とか教育機関からの参加者、出向者、有識者のサポートを受けながら進めているということでございます。

以上で終わりです。

三島参事官: ありがとうございました。

資料2-4と議事の(3)につきましては、時間が押しておりますので、事務局のほうから一括でご説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

平本シニアエキスパート(データ戦略): では、資料2-4に基づきまして、今、個別分野の発表をいただいたのですけれども、それらをアーキテクチャという視点でこういうように整理したらどうかということで、事務局で作らせていただいた資料でございます。

こちらの資料になりますけれども、今、皆様方の説明を聞いていてお分かりだと思うのですが、どの分野においてもアーキテクチャをきちんとつくって、それとデータの標準化をしていこう、もうこれは共通的な取組になっております。それが各分野でそれぞれ行われていて、GIFというか政府の相互性のフレームワークを使っていただいているところも多々あるのですけれども、それ以外の共通機能のところをこうやって横軸で見て比較していくことも重要ではないか、そういうフェーズになってきたのではないかということで各分野を整理させていただきました。

4ページ目です。1つスマートシティの事例で説明させていただきますと、スマートシティというのは当然のことながら、よくあるネットワークがあってデータがあるというところはありますけれども、まず左側にありますように主要ビルディング・ブロックとして共通的な部品は何を使っているのだろうということで、CKANとかエリア別のブローカとか、そういうものがありますし、あとは主要なデータモデルというのはどういうデータモデルを参照してやっているのか、こういうような整理をすることによって横軸で比較しやすくなります。

もう少し具体的にしますと、5ページ目になりますけれども、各レイヤーごとに主要な要素というのはどういうことがあるかを書くことによって、アーキテクチャの中でブローカを使っているだけではなくてベースレジストリのどれを使っているのかとかどんな機能が必要なのかというのが明確になってきます。

6ページ目になりますけれども、それをさらに個別のパーツで見ていくとどの部品が本当に必要なのか。あと今、実際にはインプリするときに自分たちで独自で作っているのだけれども、共通部品があったらそれを使いたいというところもあると思いますので、そういうものをきちんと分野ごとに整理していくことによって、どこを共通化するのか、優先分野はどこなのかというのが分かるのかなと思っております。

実際にスマートシティで言うと、コネクタの活用が進み始めておりまして、あとはPDSとかIDについては共通化してくれないかというような要望が上がっているというところがあるのかと思っております。

同じように防災なども整理しているのですけれども、9ページ目でございますが、防災のところのポイントとしては、先ほどのスマートシティのビルディング・ブロックとほぼ同じものを使うということで日常使いと災害時の同じようなパーツを使っていくということになるのかなというところが見えてきます。

次のところとして、12ページ目、教育のビルディング・ブロックというところで言うと、やはり学習者のIDとかそういうところも共通的なビルディング・ブロックになればいいなとか、PDSなんかも共通的なものがあればいいなというようなお話も伺っておりますので、そういうような共通化できるものというのはこういうような横軸の視点で見ていくことが重要なのかなということで今回3分野についてまとめさせていただいて、最後の13ページ目でございますけれども、ビルディング・ブロック等まとめということで、まずガバナンスのビルディング・ブロックというところで、利用規約とかプライバシーポリシーとか、皆さんそれぞれつくっていると思いますので、そういうところは共通化したほうがいいのではないかとか、あとテクニカルな部分で言うと、そのビルディング・ブロックとしてコネクタの共通化というのは結構進んでいるのですが、IDとか認証の部分とか、こういうものが共通化できないかとか、データコンバータを共通的に出してほしいとか、こういうご要望もいただいておりますので、そういうところを重点的に考えるのか。データモデルについては比較的皆様方、ご活用いただいておりますので、これをますます広げていくのかなと考えております。これが全体を通じて国内の取組をこういうようにまとめていったらいいのではないかというところでございます。

続きまして、資料3でございますけれども、今後の分野間のデータ連携を促進するための方向性ということでございます。

2ページ目です。海外では結構工程表がしっかりしておりまして、Society5.0というか、いつまでに何をやるのか。例えばベースレジストリはいつまでにこれが提供されるのかとか、ツール類もいつまでにこれが提供されるのか、こういうような工程の整理をするとともに、事例もどんどん出してほしいという要望がありましたので、そういう事例を出していく。あとは共通的な要望というものを整理して、一番下にありますけれども、ルール類の整理というのもテクニカルなものと並べてやる必要があるのかなと思っております。

3ページ目です。デジタル社会構造改革の5原則から見るとどういうことが必要かというと、データモデルをそろえるというのもありますし、ワンスオンリーとかこれを実現するためにもデータ標準化というものが必要なのかなと思っておりまして、あとはベースレジストリの整理のためにこういうデータとか、データスペースをつくるためにはそういうデータの供給の部分も併せてやる必要があるのかなと思います。

4ページ目です。考えられる取組ということで、ヨーロッパのモデルを真ん中に示させていただきましたけれども、ルールから共通ブロックの確認とか、アーキテクチャの整備とかいろいろ書いてあるのですけれども、これは結構よくできたモデルですので、こういうものを考えて以下の取組が考えられるということで様々なところが書いてあるのですが、5ページ目で重点を我々のほうで絞らせていただきました。

まずは、データモデルはやはりヨーロッパでも非常に重要視されておりますし、各国でもほかの国でも重要視されておりますのでデータモデルの普及ということで、既に各省さんでお使いいただいているのもありますし、金融分野などでもデータ設計ができているので、それをGIFに組み込めないかというご相談も受けておりますので、そういう既にあるものも組み込むという形でうまくデータモデルを体系化していって普及していくことが重要なのかなと思っています。

共通機能の洗い出しということで、先ほどアーキテクチャの整備で示させていただきましたけれども、ビルディング・ブロック、何を優先的につくっていくのか。それと民間とどういうように役割分担していくのか、こういうことを整理していくことが重要ではないかと思っております。

あとはルールの収集というとこで、分野ごとに個別のルールがあります。とある分野におけるデータ活用ガイドとか、そういうものがございますので、そういうものを収集して、このうちのノウハウを共通化して、これもガバナンスのビルディング・ブロックという形で、皆さんでシェアできる形にすることが必要なのかなと思っております。

それと人材に関しても、これを実際にインプリするための人材が必要なのかなと思っておりまして、そこで一番下に3つ、ポイントを書かせていただきましたけれども、データモデルというのとビルディング・ブロック、それと人材基盤、こういうものを推進しようかなと思っているところでございます。

これ以外にも皆様方からここを重点化したほうがいいというようなご指摘もあると思いますので、今までの発表なども踏まえましてご示唆いただければと思っております。

三島参事官: ありがとうございました。

それでは、意見交換に移りたいと思います。
ご発言のある方は挙手機能またはチャットでお知らせください。私のほうから指名をさせていただきます。なお、一通りご意見、ご質問をいただいた上で、事務局からまとめて後ほど回答させていただく形としたいと思います。よろしくお願いします。

遠藤構成員、お願いします。

遠藤構成員: 遠藤です。ご説明ありがとうございました。かなりの進捗があるのだなということを改めて確認をさせていただきましてありがとうございました。

基本的には今やっている中で進めていただければいいと思いますけれども、まずデータ自体、データから価値を創出しようとすると、特に全体最適型の価値、スマートシティとかスマートモビリティとか、そういう領域で価値を出そうとすると、やはりデータのシェアリングというのがとても重要なのだと思います。そういう意味で、データコネクティビティー、またはデータのインターオペラビリティーという観点で既にコネクタというお話もいただきましたけれども、ぜひリアルタイムでコネクティビティーが取れるということをお考えいただいて、アーキテクチャ等を決めていただきたいなというのが1点目。

2つ目は、ユースケースを始めることによって、データの質であるとかデータの内容ということを再度定義する必要が出てくるかもしれませんし、それがクリアになってくるかもしれないということで、ぜひユースケースをなるべく早くいろいろな領域で進めていただきたいなというのが2番目のお願いです。

3番目は、ユースケースをやろうとすると、やはりスピードが重要なので、ぜひその中に民間を導入して、民間と官で一緒にユースケースをイメージしていくというのが重要ではないかと思うので、ぜひそのような方向で動いていただければなというように思います。
最後ですが、いろいろな標準化があると思いますけれども、データに関してはグローバルコネクティビティーといいますか、グローバルでのデータシェアリングというのがやはり重要になってくると思います。そういう意味で、ぜひ標準化をイメージしながら、例えばヨーロッパとの間でのコネクティビティーのありよう等について、パラレルにディスカッションをするというルートをしっかりとお作りいただきたいなというように思います。

以上です。

三島参事官: ありがとうございました。
それでは、村井構成員、お願いいたします。

村井構成員: 今日の話を聞くと、2つのことが交差している気がしました。

最初にご説明があったように、デジ庁にこの議論が移って分野ごとに決めるという話になっていて、準公共分野というのが出てくるのです。教育や防災、健康、医療など、この準公共分野の考え方は従来、縦割りで各省庁がやっていたこと、あるいは地方自治体もそうだけれども、そこをどのようにして市民目線で横連携させるモデルができるかということで、準公共分野は今まで議論されてきたと思うのです。ですから、準公共分野のデータのことを考えれば、縦を横でつなぐデータ基盤ができるので、そのためのいろいろな体制づくり等々を越塚さんたちはやられているのだと私は理解している。これが分野の分け方の一つなのですよね。

もう一つは、これは誰がデータの流通を維持していくのかということを考えると、デジ庁がやがて例えば取引の現場のオペレーション等をするのか、それとも齊藤さんのところがするのか、それとも民間がばらばらでするのか。一方では、例えば業界ごとに担当官庁があるわけで、その業界ごとにデータの流通を取り組んでいるという議論も今回の説明では聞こえています。業界ごとに担当官庁が予算をつけて、データの共有や流通に責任を持ち、それを連携させる。

つまり、省庁ごとのサイロを横につなぐというモデルなのか、それとも、準公共分野というそもそもがハイブリッドな力が要るところを一つ一つの見本としてつくっておいて、それをさらに共通機構部門をくくり出すのか、この2つのやり方のどちらなのかなというのが今日の説明を聞いて混乱した部分です。

このことが重要だと思うのは、もうどこかで動かさなければいけない状況ですよね。動いているところがあればいいけれども、データが流通していくとか、取引をしていくとか、ステークホルダーがきちんとデータを流通させて、それで新しい動き方をしていくということをやらなければいけないわけですが、この動くという話が見えないのです。誰が動かしてどうするのか。それの基になるのが、どの分野で分けて、そのセグメントの少し先行する実態をつくっていく、この分野が準公共分野なのですか、それとも各省庁の業界ごとなのですか。これはどちらか決まっているのですか。私の疑問はそこです。

村上統括官: 後でまとめて答えます。

三島参事官: では、後ほど答えさせていただくということで、続きまして、渡部構成員、発言をお願いします。

渡部構成員: アーキテクチャ全体を見渡して共通のブロックのところでという話は非常に論理的にはそのとおりだと思います。その中で規約というのが出てきて、規約とかその辺のニーズというのと現場で非常に困っているというのはそのとおりだと思いますが、これは実は1年前にプラットフォームのデータ実装のガイダンスというのをつくりましたので、それが一つ上位の概念になると思います。

規約をつくるときに先ほどもありましたけれども、いろいろガイドラインを整理して、と言ってらっしゃったと思うのですが、それを1回やった話がそのガイダンスだと思いますので、それの下につくるような感じで整理をしていただく必要があると思います。それが一つ。

それから、ちょっと個別のメディカルの話で、これはたしか共通プラットフォームのところに接種記録とかこういうのが入ってくるとか、非常にこのタイミングだと個別各論ですけれども、重要で、COVIDがエンデミックになったときに、こういうデータを職域、地域できちんと集合データとして見える化してデータヘルスのような事業につなげていくというのはかなり重要な試みだと思います。

これは早くやれたほうがいいと思うのですけれども、そのときに本当にこれをプラットフォームとしてここまで持ってくるという前提で考えたときに、例えばこの中に診療請求情報とレセプトとか入ってくるのですが、レセプトは今、支払基金がプラットフォーマーにならないといけないのですが、支払基金法からして本当にプラットフォームが民間介護事業者にも出るようになっているのですが、そういうそもそもできないみたいな話がありそうな気がするので、その辺は整理されているのだと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。

それから、需要が供給に合わせる経済から供給が需要に合わせる経済、非常にいい資料で、何を言っているかというと、この供給と需要の関係で説明しているのですけれども、基本、これは人なのですよね。だから、人中心ということを言っていて、この人中心というのがそもそもデータで地域の人とかそういう住民とかになったら全部スマートシティなのですね。今のスマートシティの概念というのがそういうようにも読めるのだけれども、何かちょっと違うデジタル、データが先に出てしまって、シティが先に出てしまうとなかなか重要性がなくなってしまうというのが現場、ここしばらく現場の民間でやっているスマートシティ調査みたいなことをやっていてすごく痛感します。

この辺は先ほどの規約みたいなのもあるのですけれども、やはり考え方の整理みたいなことをしていく必要があるだろうと考えています。たまたまうちでも本当にもう民間の取組を見て、それから、先ほどの実装ガイダンスの下にスマートシティのデータガバナンスガイドラインというのをちょっとつくろうということで、3月末までには多分できると思いますので、それなんかも参考にしていただければと思っています。

それから、最後、企業間取引の将来ビジョン検討会、これは非常に重要だと思うのですけれども、今日、お話を聞いていても、あちこちに経済安全保障とセキュリティというキーワードが出てくる。それはキーワードが出るわけだけれども、本来、日本の場合は経済安全保障という言葉は実は定義がされていない。経済安全保障推進法の中でもそこはやはり運用の中でやっていかないといけないということがあって、その観点での議論を政府としてどこが責任を持ってやっているのかがいまだによく分からないのですよね。だから、このキーワードが入ってくるときにそこはどういう責任体制でその議論を反映させるのかというところはやはり明確にしていただくことが、これはもうデジ庁だけの問題ではないと思いますけれども、ぜひ必要かと思います。

以上です。

三島参事官: ありがとうございます。次に手塚構成員、お願いします。

手塚構成員: 今の全体の話を聞いて、データ戦略という意味では非常によく理解できました。

私の立場ですと、そこにトラストという視点がどうしても必要かなと思っていまして、データ流通をするからには、そこに信頼性が必ず伴う。ですから、インターオペラビリティーという点でデータ流通という物の見方、つまり、機能要件としては入ってくるのですけれども、それの保証要件としてのアシュアランス、この概念をどうやって入れていくのかというのがむしろ我が国にとっては非常に重要になるのではないかという気がします。

つまり、各国との違い、そこを示すのはそういう視点かなと。それはほかで言いますとDFFT、DataFreeFlow、ここまでがデータ流通で、withTrustとなって初めて完結するわけですね。その辺のところの記述が今回あまり見えていなかったという点で、ぜひその視点についてもこのデータ戦略の検討の中で考えていっていただきたい。つまり、トラスト基盤というものをどういうようにこの中で位置づけていくのか、その点についてぜひご検討いただければというように思います。

以上です。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、越塚構成員、お願いいたします。

越塚構成員: ありがとうございます。ご説明もありがとうございます。

先ほど村井先生のほうから誰が最後、どう動かすのだよという話がありましたけれども、そういうある種、動かす側の当事者としてのDSAとしては、今、主に分野間のデータ連携基盤の構築と分野内でいえばスマートシティの分野のデータ連携のところの構築や導入支援をしたり、また、IDSAとかの国際連携なども手がけておりますけれども、実際、こういうところを動かすプレーヤーとして、まずDSAとしてはしっかりやっていきたいということは最初に申し上げたいと思います。

やはり最大の課題、幾つかあるのですけれども、特に分野内に関してはある種、グリーンみたいなものもあって、尻に火がついていたり、すぐビジネスに直結するような話はたくさんあるのですが、やはり課題は結構分野間がこれを民間だけでやっていこうと思うと来年、実際幾ら分野間で売上げがあるのだなんていうのが立つような分野ではまだないということもあって、なかなかこういう協調領域に関してはある種先行投資というのが必要になり、そういうところをどう乗り越えていくのかということだと思います。それが恐らく欧州も同じような状況なのだと思いますけれども、あれほどの大きな玉になって動いているというところもあり、やはり官民でどう分担してどう実施していくのかというところ、ヨーロッパから学ぶところも多いのかなというように思います。これは1点目です。

あともう一つは、データ連携基盤のところで確かにコネクタという言葉は今日たくさん出てまいりまして、重要なコンポーネントではありますし、新しい考え方のコンポーネントなのですけれども、先ほど手塚先生のお話がありましたように、データ連携するときの重要なところには例えばIDプロバイダであったりとか認証基盤であったりとかデータの署名やトラストの機能であるとか、これが共通にみんなで使えるというところがある種、コネクタの前提にもなっておりますので、そういう意味では、そういうところも非常に重要だというように考えています。

最後がそういった個々のコンポーネント、コネクタというコンポーネントだとかIDプロバイダのコンポーネントとか認証基盤というコンポーネントとか、それがツールとしてここの部品として提供されるだけではなくて、これはやはりトータルにシステムとして最終的には動かしていかなければいけないというところが大変重要になってまいりますので、ツールのところでこういうコンポーネントがというお話が多かったのですけれども、最終的にそれをどうつないで一つのシステムとして、やはり最後にどう動かしていくのかという話なのですけれども、そこのところに重点を少し置いていただければなというように思います。

分野毎のアーキテクチャとして、まず、スマートシティについて、アーキテクチャ改定しています。今は、目指す最終的姿が書かれている状態です。smallstartとして、いかに発展させていくかのプロセスを示すことも重要です。

次に、防災について、避難指示等伝えている大きな割合は、民間の放送メディア、ネットメディアが担っております。官民連携が大変重要。メディア側も事業性を超えて、使命感もっています。ある意味、役割分担することで、国も楽になると思います。メディア関係と東大とで、「つかいやすい防災データPF研究会」を設立いたしましたので、是非連携させてください。

続いて、教育について、とにかくマイナンバーまたはマイナンバーカードの利用が重要だと思います。学齢期になって、小学校入学で、その人の学習データがスタートし、その後、進学、転校等があります。学習者IDとマイナンバーの関係を整理すること重要だと思います。
分野間について、まず、データスペースについて、データスペースという概念出てきてよかったと思います。ただ、現状その概念の理解は人によって違うのではないかと思うので、このあたりちゃんと定義したほうがよいと考えます。

次に、応用とサービスとして、CarbonFree、新バッテリー規制、CBAM規制(炭素関税)があると考えます。

続いて、欧州の見方について、きちんとデータのコミュニティができていることが重要です。ただ、国も多くて複雑な感じであり、ネットワークでいうと、OSI作っているような感じです。DSSC(DataSpaceSupportCentre)やDSBA(DataSpacesBusinessAlliance)がでてきて、少し混迷していると感じています。

以上です。

三島参事官: ありがとうございました。
下山構成員、ご発言をお願いします。

下山構成員: LinkedDataというキーワードが出ていたので、もともと研究で扱っていた身としてちょっとお話しさせていただくと、国内でも戦略的にこれを導入していく必要があると考えているのですね。特にLinkedData、EUのデータスペースでも組織を超えてデータを共有するためのものとされているのですけれども、分散型でデータを管理するのに非常に適した技術で、これは国内でももう既に実装されている例が経産省の法人インフォとか統計局の統計LOD(LinkedOpenData)とか、あと国立国会図書館のジャパンサーチなどでもう導入されているものなので、日本でも導入はもう現実的になっているものなのです。

このときに、実現可能にするためにはデータモデルレベルでの統制が非常に重要になるわけなのですね。この組織間で作られたものをウェブ上でリンクをさせていくという技術になるので、データがしっかり作られていることが前提になると思います。そこで、このデータモデルの統制というところは資料1の6ページ目でもデータモデルを全ての基礎とするというところをご説明いただいているところなのですけれども、5ページ目を見ていただくと、EUのデータスペースと日本のデータスペースを比べたときにまだ日本で検討されていない分野があると思うのですね。特に今日ご発表いただいた企業間取引の辺りで金融とかお金の流れ、契約、決済といった辺り、ここはデータモデルレベルでのレギュレーションを検討していく必要があると考えられるのです。

現在、GIFとの連携、例えば今、防災や教育のほうでも密に連携を取らせていただいてデータモデルレベルでの検討を進めてきていた経緯があるのですけれども、金融についても今後、GIFのレベルで検討していく必要があると考えられるので、次回のワーキングに向けていろいろ進めさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、富岡構成員、お願いします。

富岡構成員: 今日はデジタル庁からEUとの比較という視点でご説明いただきまして、ありがとうございました。

この取組はまさにデータ戦略と呼ぶにふさわしい重要な取組であるとは思う一方で、どのぐらい世の中に理解されているのだろうかという問題意識があります。産業界でもユーザー企業などはあまり知らないのではないか、例えばDATA-EXは聞いたことがありますかといったときに、ほとんど知らないのではないかと思っています。

EUの場合、例えば欧州委員会のライエン委員長が、議会の一般教書演説でGAIA-Xについて話している。これはやはりアメリカのメガプラットフォーマーへの対抗という産業政策論、そしてデータ主権の確立といった法律論を含めて、きちんと世の中に刺さるストーリーが確立されているのではないでしょうか。

現状では、特に日本の場合IT企業とユーザー企業に大きな壁がある中で、何かまたSIerのいつものセールストークですか程度にしか思われていないのではないでしょうか。EUが自動車業界でCatena-Xというのをつくっている、そういう動きが日本のユーザー企業で現実的にできてくるのかというと、なかなかまだそこは見通せないように思います。

したがって、広く世の中に刺さるストーリーを構築し、例えばそれを総理が施政方針演説で語るというような、そういったことも重要なのではないでしょうか。今日は、まさにそういったストーリーの一端をお聞きすることができましたが、そういう機運を盛り上げていただけないかと思っております。

以上です。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、太田構成員、お願いします。

太田構成員: ユースケースを先行させたほうがいいというのはもう最初から申し上げていたので、そのユースケースとアーキテクチャと技術の話をちゃんとバランスさせるという冒頭の話は大変共感するし、大事だと思っています。

今日の中で言うと、トレーサビリティーとかサプライチェーンというのはユースケースがはっきりしているのでいいと思うのですが、地理空間情報に関しては私、最初からチャンスがあると申し上げていたのですけれども、やはり事例レベルでは弱過ぎるので、経済的な価値というのをしっかり出していったほうがいいと思います。

ヨーロッパなんかでいくと、空間地理情報を使って、要は土地の価値が高いのですよね。簡単に言うと固定資産税が、人口密度が1平方キロ50人ぐらいのところでも日本の5倍以上固定資産税があるので、やはり環境整備とかいろいろなところにしっかりデータを使って政策もつくっているというのがありますし、あとポートランドとか見てもGISデータ、すごくリッチですけれども、土地の価値が高いので、その辺のユースケース、何のためにやっているのかというのをちゃんと出したほうがいいと思います。

翻って、やはり日本の状況を見ると、PLATEAUの概算要求もかなり削られているという話も聞きますので、何のためにデータを整備して活用するのかというのを明確にしたほうがいいというのが1点目です。

それから、2点目ですけれども、教育と医療・健康に関してはちょっとデータ戦略というよりはもうDXに入っているので、やはり論点をちょっと絞らないと本当に戦線が広い検討なので、ほとんど議論できないかなというように思っていまして、理由は今日述べませんが、私はデータポータビリティーにかなり絞ったほうがいいかなと。今日の医療、教育という話は本当にもう医療そのもの、教育そのものに入ってきているので、何をここで議論したいのかというのは正直よく分からないので、例としてはデータポータビリティーを挙げますけれども、ちょっと論点を絞ったほうがいいのではないかなというように思います。
以上です。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、砂金構成員からのご意見です。

砂金構成員: コネクタを誰が作るか(チーフアーキテクトを誰がつとめるか)が大事と思います。

プラットフォーム構築やAPI設計に勘所と成功体験があってうまく作れる人は偏在しており、エンタープライズIT領域よりネット業界に多いように思います。そのような方々をうまく巻き込み、DeveloperExperienceが高く、さまざまなシステムに組み込みやすいものにしていかないと、コストや努力を投じて構築しても流行らないものになってしまうリスクが高まると考えます。初期的にはパランティアのようなツールでプロトタイプをつくりながら仕様を詰めていく形でもよいのではないかと思います。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、後藤構成員からのご意見です。

後藤構成員: アーキテクチャ議論が中心に感じられましたが、今の段階では、広く評価参照できる実例を作ることが大事と思います。そのためには、個別取り組みでありましたように、地道なデータ形式合わせのような作業をしっかりと進める必要がありますため、早めにパイロットシステムを絞って取り組みを集中させること大事かと。それを評価しながら、全体としてのアーキテクチャの練り上げを進めることが必要と思います。

三島参事官: ありがとうございました。

貴重なご意見を皆様から賜りまして、ありがとうございました。

事務局より、いただいたご質問へのお答えをさしあげます。

平本シニアエキスパート(データ戦略): 最初に、遠藤構成員のほうからご指摘いただきましたユースケースを進めてフィードバックでデータの質を高めるというのは、まさにやっているところでございまして、今、教育チームと我々の作ったデータを教育の場面でやったときに、ここは合ってないぞということをご指摘いただいて我々は直しているという作業、そこをほかの分野ともやっていきたいと思っておりますので、そういう形でやりたいなと思っております。

また、村井構成員からありましたように準公共の進め方というところでございますけれども、基本的には省庁の取組を横につなぐというよりも、準公共という目的に合わせた形で最初から横串で検討していきたいなと考えているところでございます。

手塚構成員のほうからDFFTのトラストの部分をもう少しという話がございましたけれども、これは次回のテーマにDFFTは入れておりますので、そこで集中的に議論させていただければと思っております。

下山構成員のほうから金融の部分、そこもGIFのレベルで検討が必要ということ、まさにそれは金融分野のほうから今、意見交換を求められているところでございまして、そこについては、まさにこのレベルで議論を進めていきたいと思っております。

富岡構成員のほうから、世の中に刺さるメッセージが必要ということ、まさにこれはずっと我々も言われているところでございまして、技術のほうの基盤をつくるところに手一杯だったところはありますけれども、今後、メッセージ性を高めて皆様方に普及していくというところを頑張っていきたいなと思っております。

太田構成員のほうからありました地理空間の話でございますけれども、まずアドレスから始まっているのですが、今、不動産IDのところも非常に価値の高い、社会的効果が大きいということで国土交通省さんとも一緒に議論させていただいているところでございまして、まさに何のためにやるのか、どういうように価値が生み出せるのか、そういうところでちょっと取組を進めているところでございます。

あとは教育とか範囲が広いということでございましたけれども、データポータビリティーも重要ですが、今、比較的一緒にやらせていただいているのがデータの標準のところをどういうようにつくっていくかというところを一緒に勉強しながらやらせていただいておりますので、そういう点では幾つかに焦点を絞って進めていけたらと思っております。

越塚構成員のほうからありました分野毎のアーキテクチャについて、スマートシティは、デジタル田園都市でデータモデルや連携基盤の導入を推奨しており、そこでの成功モデルを広げたいと考えております。防災は、災害時のデータ流通は重要であり、是非連携させてください。教育は、学習者IDは、保育園、幼稚園から生涯学習まで視野に入っており、マイナンバーとの関係は今後整理していく予定です。

分野間については、データスペースは、海外の事例も踏まえながら整理中です。グリーン関連のデータも注目されていることから今後検討していきたいと考えております。日本のデータのコミュニティはまだまだ小さく、研修など人材を増やすとともに、DSAやCivicTechとともにコミュニティを拡大していくことが重要と考えております。

砂金構成員のほうからコネクタを誰が作るかいうこと、コネクタは、DSAによるCADDEと、デジタル庁による産業用コネクタが開発されており、DSAによるコネクタは、DSAの関係者の知見を元に作られています。デジタル庁によるコネクタは、オープンソースであるEclipseコネクタをベースに作っております。異なるコネクタ間の接続や海外との接続では認証の仕組みが重要であり、そこはDSAが中心となり関係者で議論しております。

後藤構成員のほうからアーキテクチャの練り上げが必要ということ、スマートシティや教育、防災を重点に取り組みを進めているところです。その成果が見えてきたので、成果を踏まえアーキテクチャの整理をしていく予定です。

三島参事官: 庄司構成員から発言のご希望がありました。

庄司構成員: 今日の議論はご説明が長いというよりは論点が明確でないというところがあったかと思います。ちょっと散らかってしまっているなというように思います。ポータビリティーでないとしても、私はEBPMとか、あるいはデータに基づいて作業が自動化するとか、そういうところではないかと思いますが、何か横串の目玉のテーマを絞っていくということが必要だと思います。

それから、教育データのところで不安感の問題が少し言及されていましたけれども、技術で守る、ルールで守るというのに加えてコミュニケーションというのが私は大事だと思います。関係者が正しい知識に基づいて議論できるようにしていくことが多分大事で、学習者も含めて、あるいは保護者とか関係者を含めて正しい知識に基づいて議論できる人を増やしていくということ。そのためには富岡構成員がおっしゃっていたように、ちゃんと伝わるメッセージ、伝わるストーリーをつくっていくということが大事だろうと思います。

それから、ビルディング・ブロックの話、今日、非常に勉強になったのですけれども、どなたかおっしゃっていましたが、やはりスピードは大事だろうというように思います。その意味では、デファクトというか、今あるものをうまく使っていくという発想も多分大事なのだろうと思います。一からこの分野とこの分野をつなげていくにはどうしようかと考え始めるのではなく、今あるものを並べて、使えるものは使うというアプローチです。

その際に、今日あまり出なかったかもしれないのですけれども、この議論を日本に閉じていていいのだろうかというところですね。データスペースというものを一国でつくって、日本で一通りできた後に、ほかの国に日本方式をやってくださいと広めるというのはあまりうまくいかない。ですから、データスペース、こんなものがありますよと並べるときに、ヨーロッパに限らずほかの国ではこういうのはありますよねとか、それはそのまま日本でも使えるのかとか、日本でいま議論しているものは国際的に整合性があるのだろうかとか、あるいはやはりこれは日本のものを世界に広めていくべきだろうかとか、そういったことを今日のような各論でも意識して議論する必要があるのではないかと思います。
以上です。ありがとうございました。

三島参事官: ありがとうございました。
村井構成員からのご質問にもし補足があるようでしたらお願いいたします。

村上統括官: 村井先生のご議論、ご質問が今日全体の混乱を整理するベースになると思います。教育にも医療にもバウンダリーはございません。準公共の分野をどこかで区切るのは不可能でございます。医療には子供がついてきます。教育にも子供がついてきます。家庭の問題が後ろでつながります。そのときに被災が起きたら防災はどうするのだ。かようにこの議論は準公共でありながらバウンダリーはございません。

バウンダリーはございませんが、では、なぜ分野ごとの議論が成立するかというと、後ろに制度の問題があるからです。やはり医療制度は医療制度、教育制度は教育制度、カーボンフットプリントはカーボンフットプリント、この議論は、オープンはアーキでなければならない。データはオープンに流通しなければならない。しかし、それぞれの流通するデータの中にはそれぞれの分野の制度オーナーが発する規律があります。これに適合する形で共通するアーキをどう整理をし、それに対し、どう制度が縦串を入れていくのか、この相関関係の中であるべき現実のアーキがトランジションモデルとして常に定義をされていくということが繰り返されるということではないかというように思っております。

したがって、端的に答えを言えば、我々自身の仕事はオープンなアーキの維持と設計とそれに必要な標準を全分野に広げていくということではないかと思いますが、それに適合するように、それに不適合するような制度が設計されないように、もしくは我々のオープンなアーキのよさを制度に生かしてもらえるようにそれぞれの制度に働きかけていくというのが準公共分野におけるデジタル庁の仕事になるというように自分は考えてございます。

そのときのポイントは、あくまでもそのアーキがオープンであるということと、それに共通に用いられる基盤が不要にマーケットにおける競争領域に持っていかれて、ここがコストセンターになりますと日本全体のデジタル社会の設計の足を引っ張ることになりますので、できるだけそこが協調領域の中でオープンのアーキをきれいに維持され、それぞれの制度に応えるような設計をしていくということを全体アーキとしてはどうなのか、分野ごとのアーキとしてはどうなのかということかと思います。

では、誰がやるのかというご質問でございますが、まさに制度ごとの特徴は、制度を所管するオーナーとしての省庁が決める、もしくは各産業分野の所管省庁が決めるものであるというように考えます。そういう意味では、企業間取引関係のビジネスアーキはやはり経産省であり、IPAに主導していただくということだと思いますが、片方で、それらに横串を指して共通に使える技術と汎用アーキはデジタル庁であり、DSAです。少なくとも今の役割分担はそのように想定しています。

ただし、共通汎用アーキや共通の技術とそれぞれの分野ごとに求められる制度からのリクエストや仕組みはお互いに相互関係を持って決めていく必要がありますので、これもまたお互いにコラボをしていく必要がありますし、そのつなぎの局面を共通アーキの側から見るところまではこのワーキンググループのお仕事というように考えたらどうかというように思います。

その上で、それぞれの動きは民間ベースを基本とし、国はそれを支援するということであると思いますが、何分先を見越し、国際連携も念頭に動いた動きをする必要があることから、まずは具体的なユースケースをその接点でも最も重要と思われるプロジェクトを取り出して、PoCベースで展開していくということではないかというように思います。

トラストについての重要性は手塚先生のご指摘のとおりで、次回以降に議論して参ります。

それから、金融への応用がくまなく重要であり、かつ分散型アーキやブロックチェーンということで言えば、この手の分散型の技術は既に実施されているというのはご指摘のとおりだと思いますが、これも制度オーナーと全体アーキの接点というところからうまくこのワーキンググループでどこまで議論していくのかを決めていけばいいのではないかというように思います。

ストーリーや機運が重要なのはおっしゃるとおりということでございます。日本に閉じていいわけではございませんので、その中で上手に、まずは今日を通じてやや混乱した現状自体をシェアしていただきつつ、少しずつ論点を整理していくことが重要かというように思ってございます。
自分からは以上でございます。

三島参事官: 本日は皆様、ありがとうございました。
本日の議事録については、皆様に内容をご確認いただいた後に公表いたします。

また、次回のワーキンググループについては、ベースレジストリ、オープンデータの活用と運用体制、DFFTの具体化に向けた取組をテーマとして予定しており、既に日程調整をお願いするご連絡をさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。

それでは、以上をもちまして「データ戦略推進ワーキンググループ」第5回を閉会とさせていただきます。ありがとうございました。