ベース・レジストリ推進有識者会合(第1回)
- 最終更新日:
概要
- 日時:2025年3月31日(月)12時30分から14時30分まで
- 場所:オンライン開催
- 議事次第:
- 開会
- 議事
- 今後の検討項目(案)について
- 公的基礎情報データベース整備改善計画の骨子(案)について
- アドレス・ベース・レジストリにおける「町字」より下位の情報の取扱いについて
- 不動産登記ベース・レジストリにおける地図の取扱いについて
- 閉会
資料
- 議事次第(第1回)(PDF/81KB)
- 【資料1】ベース・レジストリ推進有識者会合の開催について(PDF/120KB)
- 【資料2】ベース・レジストリ推進有識者会合 運営要領(PDF/70KB)
- 【資料3】これまでの検討と今後の検討項目(案)について(PDF/1,133KB)
- 【資料4】公的基礎情報データベース整備改善計画の骨子(案)について(PDF/1,662KB)
- 【資料5】アドレス・ベース・レジストリにおける「町字」より下位の情報の取扱いについて(PDF/869KB)
- 【資料6】エヌ・ティ・ティインフラネット株式会社提出資料(PDF/815KB)
- 【資料7】箕面市提出資料(PDF/824KB)
- 【資料8】不動産登記ベース・レジストリにおける地図の取扱いについて(PDF/591KB)
- 【資料9】ひたちなか市提出資料(PDF/257KB)
- 【資料10】和歌山県提出資料(PDF/1,238KB)
- 【資料11】国税庁提出資料(PDF/1,218KB)
- 【資料12】資源エネルギー庁提出資料(PDF/1,139KB)
- 議事録等(PDF/592KB)
議事録等
日時
- 2025年3月31日(月)12時30分から14時30分まで
場所
- オンライン開催
出席者
座長
- 安念潤司(弁護士中央大学大学院法務研究科教授)
構成員
- 板谷越英美(株式会社DATALE代表取締役)
- 稲谷龍彦(京都大学大学院法学研究科教授)
- 扇裕毅(Japan Digital Design株式会社Data Advisor)
- 小川尚子(日本経済団体連合会産業技術本部本部長)
- 落合孝文(弁護士渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)
- 隂山克典(日本司法書士会連合会常任理事(総務))
- 片岡康子(一般社団法人新経済連盟政策部長)
※代理出席:小木曽稔(一般社団法人新経済連盟渉外アドバイザー) - 高倉健(日本土地家屋調査士会連合会専務理事)
- 増島雅和(弁護士森・濱田松本法律事務所)
- 南博一(田辺市企画部情報政策課課長)
オブザーバー
- 犬丸淳(総務省自治行政局住民制度課長)
- 大田泰介(総務省自治行政局市町村課長)
- 大谷太(法務省民事局民事第二課長)
- 田中普(法務省民事局商事課長)
議事録
杦浦参事官: 皆さん、こんにちは。第1回「ベース・レジストリ推進有識者会合」を始めさせていただきます。
デジタル庁参事官の杦浦でございます。よろしくお願いいたします。
本日、構成員はオンラインでのご参加となります。構成員のリストのうち、増島構成員は途中からのご出席、片岡構成員の代理で小木曽様にご参加いただいております。途中の退席のご予定でございます。
また、オブザーバーのうち、個人情報保護委員会事務局はご欠席ということで賜っております。
それでは、まず楠統括官より一言ご挨拶を申し上げます。統括官、お願いいたします。
楠統括官: どうもお世話になっております。デジタル庁統括官・デジタル社会共通機能グループ長の楠でございます。何とぞよろしくお願いいたします。
本日はご参画いただきまして誠にありがとうございました。デジ庁の準備のときからこのベース・レジストリをどのように構築していくかというところは取り組んできたところでございますけれども、昨年、無事法律も成立いたしまして、来年度以降、もう明日から来年度ですけれども、アドレス・ベース・レジストリのうち町字の部分、また、法人ベース・レジストリといった具体的なサービスがいよいよリリースされるというタイミングを控えているところでございます。
本会合におきましては、リリースを見据えた直近の検討事項だけではなくて、今後の展望も含め様々ご議論をいただきまして、本年6月に確定をする予定でおります公的基礎情報データベース整備改善計画に反映させてまいりたいと考えております。
構成員、オブザーバーの省庁、プレゼンターの皆様方とぜひ一緒に、国民の皆様や現場の行政職員のためになるベース・レジストリの構築を目指してまいりたいと考えておりますので、何とぞ活発にご議論いただければと思います。よろしくお願いします。
杦浦参事官: それでは、よろしくお願いいたします。
会合の趣旨等につきましては資料1のとおりでございまして、有識者の皆様から専門的・技術的なご意見をいただく場として開催をいたします。
なお、議事進行や意見の総括整理を行う座長としましては、安念先生にお願いしておりますので、よろしくお願いいたします。
なお、会合の運営につきましては、資料2に記載の通り、会議資料及び議事録を原則公開ということにいたしますので、よろしくお願いいたします。
そうしましたら、構成員の方々から一言ずつ頂戴したいと思います。あいうえお順でたまたま安念先生が一番上におりますので、安念先生から順に一言ずつお願いしたいと思います。安念先生、お願いいたします。
安念座長: 杦浦参事官、どうもありがとうございます。
座長を仰せつかりました、中央大学の安念と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
前身と申しますか、デジタル臨時行政調査会作業部会というところから始まって、このベース・レジストリの構築に関わる機会をいただいてまいりましたが、いよいよ議論も仕上げの段階に入ったかと存じます。今回の会合では、今までよりも多彩な構成員の方々にご参画をいただきまして、より良い議論ができるように努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
杦浦参事官: 続きまして、板谷越様、お願いします。
板谷越構成員: 私、株式会社DATALEの代表の板谷越と申します。よろしくお願いいたします。
今回のこの場からの参加となっております。いわゆる元リクルートを卒業して会社を立ち上げる系の者です。平たく言うと、様々なデータを使ってビジネスの成果につなげることに命をかけている、そんな会社でございます。リクルート時代も現在もなお、様々なデータを使った中で今回の論点に当てはまるようなことを様々経験している中で、有効なお話をできればなと思っております。
そんなところです。よろしくお願いいたします。
杦浦参事官: ありがとうございます。
続きまして、稲谷先生、お願いいたします。
稲谷構成員: ただいまご紹介にあずかりました、京都大学大学院法学研究科で教授をしております、稲谷と申します。
私は安念先生、それから落合先生、増島先生ともご一緒させていただきながら、先ほどお話にありましたデジタル臨時行政調査会作業部会の頃からデジタル化に向けていろいろと議論をさせていただく場に参加をさせていただいております。
ベース・レジストリにつきましては、誰一人取り残さないデジタル化の基礎になる基盤的なものであるかと存じております。法と技術が交錯する、そしてこれまでのレガシーシステムとの調整が交錯する難しい領域であるということは承知しておりますが、少しでも、まさに最初にありましたように国民の皆様により良いデジタル化をお届けできるように、私も微力を尽くしたいと思いますので、何とぞ引き続きのご指導をよろしくお願いいたします。
杦浦参事官: ありがとうございます。
続きまして、扇様、お願いいたします。
扇構成員: 初めまして。私もこの場から参加させていただきます、Japan Digital Designの扇と申します。データアドバイザーということでありまして、もともとはMUFGの銀行員をかれこれ35年ぐらいやっているわけなのですけれども、そのキャリアの半分以上がデータベースをどうするのだとか、それからデータをどうするのだとか、私はエンジニアではございませんで、業務側でエンジニアの皆さん、システム部のメンバーに用件を出す側にいたのですけれども、四苦八苦の連続で来ました。この年次になって、こういう失敗というか苦労の経験がちょっとでもお役に立てられればと思ってございます。
こういう場に参加できて大変光栄に思っております。ぜひよろしくお願いいたします。
杦浦参事官: よろしくお願いいたします。
小川様、お願いします。
小川構成員: 経団連の小川でございます。
この前身のデジ臨の作業部会には経団連常務理事の岩村が議論に参加させていただき、大変お世話になりました。今回から私がこちらに参加させていただきます。
ベース・レジストリの議論はいよいよ実際の活用に向けた議論に入っていくのかと思っております。ただし、民間活用はもう少し先の議論になるということで、まだ産業界でも議論が温まっていないというか、具体的なイメージがつかみ切れていない方々が多いと思われるところ、この場の議論を私も勉強させていただき、企業のニーズの掘り起こしにも努めていければと思っております。
ご指導のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
杦浦参事官: ありがとうございます。
落合先生がまだのようですので、隂山様、お願いします。
隂山構成員: 日本司法書士会連合会の隂山と申します。よろしくお願いいたします。
私の苗字の漢字である「隂」の字につきまして、外字ということもあり、ベース・レジストリを検討するに当たりましては非常に身近であり、かつ、重要な課題を抱えているものであると認識をしています。本日の議論の対象の中でも出ておりますが、文字情報の整理の観点や実務的な観点などから発言をさせていただくことができればと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
杦浦参事官: ありがとうございます。
そうしましたら、片岡様の代理で小木曽様、一言お願いいたします。
小木曽構成員代理: 新経済連盟で渉外アドバイザーをしております、小木曽と申します。よろしくお願いいたします。
新経済連盟では、デジタル庁ができる前から、アナログ原則の撤廃、デジタル原則の徹底、それから、民間側の手続きのトランザクションコストを下げろということをずっと言っていまして、その意味で、今回のベース・レジストリの議論というのは目に見えた形で国民生活が大きく変わるきっかけになると思っております。
なので、まずここまでデジタル庁の議論が着実に推進しているということに皆さんに感謝申し上げるとともに、民間の具体的なニーズなどから見てどう見えるかというところをインプットすることで少しでもお役に立てればと思っております。よろしくお願いいたします。
杦浦参事官: ありがとうございます。
続きまして、高倉様、お願いいたします。
高倉構成員: 日本土地家屋調査士会連合会専務理事の高倉と申します。土地家屋調査士は不動産の表示に関する登記の専門家でございますので、その専門家の観点から、国民の利便性向上のためにお役に立てたらと思います。
私も今回から初めて参加させていただきます。よろしくお願いします。
杦浦参事官: ありがとうございます。
南様、お願いいたします。
南構成員: こんにちは。田辺市の南といいます。よろしくお願いします。
私は行政職になります。今まで税務としては固定資産税関係、それから地籍調査、それから住居表示といったところに関わっておって、全てのところで基本GISを入れているような形も取っております。現職としては情報政策課ということで、最初からアドレスベースのほうでお世話になっておって、この場に本日から入らせていただいているような次第であります。
あと、私事で恐縮なのですけれども、異動の内示が出まして、明日からやすらぎ対策課というところに行くのですけれども、土地というところにはずっと関わっておりましたので、引き続きこの場には今後ともお世話になりますので、よろしくお願いいたします。
杦浦参事官: ありがとうございます。
落合先生、一言いただけますか。
落合構成員: 落合と申します。参加が遅れてしまいまして申し訳ございません。
私はデジタル関係制度改革検討会の際から参加をさせていただいておりまして、その前のデジタル臨調の作業部会も含めて参加をさせていただいておりました。このデータ整備は極めて重要な取組でもありまして、デジタル行財政改革会議のほうでもデータ整備の検討会を行っていて、そちらも参加させていただいておりますが、共通基盤の整備はデータ政策の中でも重要な位置づけを持つ取組になってくると思っておりますので、この会合でしっかり前向きに議論が進んでいくことを期待しております。よろしくお願いいたします。
杦浦参事官: ありがとうございます。
そのほか、事務局としてのデジタル庁、そのほかオブザーバーで総務省、法務省からも参加しておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、以降の議事進行を安念先生にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
安念座長: 杦浦参事官、どうもありがとうございました。
それでは、早速議事に入ります。
本日の議題は、議事次第に記載されております4件でございます。このうち、議事の4不動産登記ベース・レジストリにおける地図の取扱いに関し、一部省庁の取組については内容の性質上、構成員のみでの議事とさせていただきたいと存じます。
それでは、まず議題の第1、今後の検討項目について、事務局からご説明をお願いいたします。
杦浦参事官: 事務局から資料に基づいて説明をさせていただきます。
これまでのベース・レジストリとしましては、実証事業を通じて様々な整理をしておりまして、特に2022年度から、法人、不動産、住所といった3分野に注力して進めているところでございます。これらの3分野におきましては、ユースケースやニーズ等をよく見て優先順位をまとめて、必要な法制度等の対応のための法案を提出しているところでございまして、2024年度、法律の改正及び、その後、整備方針等々を取りまとめて進めていくこととしてございます。
次のページ、先ほど申し上げました法改正のところで簡単に申し上げますと、その一つとして、中ほどの真ん中の箱にありますけれども、「公的基礎情報データベース整備改善計画」をつくるというところが一つの目玉であったわけでございます。それに基づいて、国の行政機関等が計画に従って整備等を行う旨を規定するとともに、特に変更の届出に関しては、その立てつけを法制度化してございます。
また、ここの中で重点計画というのが出てまいりますけれども、重点計画のほうはデジタル庁の重点事項を毎年閣議決定しているものになりますけれども、その中にベース・レジストリ自体も含まれてございます。今回はベース・レジストリに関してはその整備改善計画をある意味特出しでつくるというところに意義がございます。
次のページに、簡単に整備改善計画の創設について解説をしてございます。中ほど緑のところの左側になりますけれども、政府としてこの整備・改善に関する計画を作成する。その中で計画の期間や基本方針、内容、実施時期、そのほか、国立印刷局等に役割を担っていただきますので、その辺りも記載をするということになってございます。
次ページ、今後のスケジュールをイメージしておりますけれども、令和6年度から7年度にかけましては、まさに各ベース・レジストリの要件定義や設計開発等々に入っていく大事なフェーズになってございます。
次ページに、本検討会での検討項目をこの線表に重ね合わせましたところ、検討項目をまず整備改善計画としてどういったことを書いていくかということが①-1と①-2になります。また、特に不動産関係におきましては、地図を登記情報と共にどのように提供していくかということが検討項目の②、検討項目の③としましては、アドレス・ベース・レジストリに関して、町字より細かいところをどうしていくか、また、先ほどご紹介の中にもありましたけれども、文字をどうやっていくかといったことも検討項目として挙げてございます。
これら検討項目は多岐にわたりますけれども、本日の会合では、整備改善計画の方向性をご議論いただくとともに、各案件につきまして、ニーズとしてどのようなものがあるかご発表をいただきます。その上で、第2回会合におきまして、各々への対応方針を詳しく議論できればと考えてございます。
私からの説明は以上になります。お願いいたします。
安念座長: ありがとうございました。
ただいまのご説明について、構成員の皆様からご意見、ご質問等がございましたら、お願いいたします。
それから、あらかじめご議論に先立って一つお願いといいますか、お断りをいたしておきます。これまでの会議は、構成員のメンバーの顔ぶれが大体弁護士だったものですから、ご発言いただく際に私が指名するときには「先生」とお呼びしていたのですが、今回、いろいろな分野からの方々を構成員としてお迎えいたしましたので、「先生」という言い方はそもそも異様な感じもいたしますので、いささか失礼に聞こえることがあるかもしれませんが、どなたも「さん」づけでお呼びしたいと思いますので、この点、ご了解いただきたいと存じます。
それでは、何かご発言がありましたら、どうぞ。
板谷越さん、どうぞ。
板谷越構成員: ありがとうございます。
事前説明の中で事前にお送りさせていただいていた問いを2点させていただきます。
1点目が、本件の目指す指標は何でしょうかというお話です。具体的に言うと、国民の利便性と行政運営の効率化というお話が2点、目的に書かれていると思うのですけれども、どちらかしかかなわない、あるいはどちらかが毀損されるようなシーンにおいてはどういう優先順位でその施策を判断するかというお話です。内々でご回答いただいておりましたが、改めてご説明及び必要に応じて加筆いただけるといいのかなと思っています。これが1点目。
2点目が、同じく目指す指標に関連するのですが、今回、不動産などの3つのテーマがありますけれども、各領域それぞれの目指す状態は、誰がどういう状態になって何が達成できれば成功なのかを知りたいなと思いました。効率化や状態定義はあるものの、その先に何を目指すのかというお話を具体的に知れると、その目指すゴールに対していろいろな打ち手案があって、それがどういう状態であればいいのかというのが考えやすくなるから気にしておりましたといったところでございます。こちらも事前に内々でこうですというご回答をいただいておりましたが、改めてご解説いただけると幸いかなと思います。
よろしくお願いします。
安念座長: ありがとうございます。
ほかの方々からも一通りご発言をいただいてから、事務局からのレスポンスを伺いたいと存じます。
ほかにどなたかご発言の方はいらっしゃいますか。よろしいですか。
それでは、事務局、いかがでしょう。今の板谷越さんのご質問2点についてご見解があれば、伺います。
杦浦参事官: ありがとうございます。
基本的に国民の利便性向上と行政の運営の効率化といったものは両立をしたいところでありますけれども、当然のことながら、行政がめちゃくちゃ頑張れば、お金とコストと人手をかければ国民の利便性が上がるという分野は確かにあるかと思いますが、それはひいては国民へのコスト負担増となってはね返ってまいりますので、そこはバランスをある程度取らなければならないということでございますので、そこは今後、整備改善計画の中でもご議論いただきたいなと思っております。
それにもまさに関係するのですけれども、2点目の点につきましては、何をどこまでやるかというのはその効果がどのように出るのかというのを一定程度見ていく必要があると思っておりますし、今回お示ししている資料の中にも参考としてベース・レジストリを整備するとこういう手続がこれだけ削減されて、それは金銭に直すとこれぐらいになりますと、したがって投資効果がございますといった資料もつけてございますので、なるべくそういったものを見ながら、具体的にこういうスケジュールでこういう人がこういうことをできるようにしていきますといった計画をご議論いただきたいと考えております。
よろしくお願いいたします。
安念座長: ありがとうございました。
プライオリティーづけそのものが当会合のミッションであるようですね。これはなかなか重い課題ですね。
それでは、また後で思い返してご発言いただいても結構ですが、取りあえずは議題の第1はこれぐらいにして、続いて、議題の第2「公的基礎情報データベース整備改善計画の骨子(案)について」、事務局よりご説明をお願いいたします。
杦浦参事官: そうしましたら、次の資料に基づきまして説明をさせています。
本日ご議論いただきたい事項としましては、2ページ目にまとめてございますけれども、今、まさにお話しいたしました費用対効果を意識して整備を進めているといったところでございますが、これにつきまして、より詳しく整備改善計画の骨子などをご議論いただきたいということでございます。
今回、「公的基礎情報データベース整備改善計画」というのが正式名称になりますけれども、ここに何を書くかという目次につきましては、法律でこういった形で記載されております。今回、先行してリリースを予定しております法人ベース・レジストリ、法人登記を活用する情報連携につきまして、ユースケースとして5つほど挙げておりますけれども、各々どういった課題に応えていくのか、効果がどのようにあるのか、利用スケジュールといったところをなるべく具体的に示していきたいと考えてございます。
次のページに、ユースケースごとに今、どういったスケジュールで考えているかというのをざっと示してございます。上のほうは添付書面を省略していく話、それから、中段のほうはデータベースを見て登記情報を確認できるようにするということ、さらにそれを進めていくと、自動入力、法人番号から基礎的な情報を入れてしまう、あるいは届出そのものを省略するといった感じで順次進めていくことができるかと考えてございます。
ここで法人ベース・レジストリについて、誰が使い得るのかということに関しましては、少しこちらで整理を試みたものになります。左側の「国又は地方公共団体」と申しますのは、登記手数料令におきまして、公用請求等のときに手数料を払わなくてよいとされている整理になります。これにつきましては、例えば国が様々やること、地方が様々やることの各々につきまして手数料が免除されるということでございます。デジタル行政推進法におきましては、国といったときに国の行政機関に加えて独立行政法人や特殊法人といったところも入ってございます。こちらはそもそも届出を受け付けている法人であったり、あとは国の事務等を実質的に委託なりなんなりで請け負っているような場合、実施しているような場合といった法人も同様に登記事項の証明書の添付が規定されているものがあったり、あるいは法令に必ずしも明示的に登記事項証明書の添付が規定されていない場合であっても、実質上、運用上は申請者にそういった証明書を提出いただいているといった事例があるかと聞いております。
これにつきましては、国等におきまして明示的に書かれていることは少し扱いが今のところ違うのかなといったところがございますが、この辺もご議論いただければ幸いでございます。
次のページに、システム的な図を描いてございます。現状、登記情報システムは法務省様のほうでお持ちでございます。そのうち情報を現に利用している省庁がございますけれども、そちらに対して連携用のデータベースというものを構築してお配りいただいていると聞いてございます。こちらの連携用データベースはある意味登記情報システムから少し切り出してというか、その上に構築をされておりまして、機能や性能のアップグレード等々には少し困難が付きまとう場合もあると聞いてございます。
このたび、ここの部分を法人ベース・レジストリとして独立した形でデジタル庁で整備を進めることで、ほかの情報との連携を容易にしたり、あるいは今後の機能追加等々についても柔軟に対応ができるようにといったことを狙ってこのような形で整備を進めていこうと考えているものになります。
一旦私からの説明は以上とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
安念座長: ありがとうございました。
では、先ほどと同じように、ただいまのご説明についてご意見、ご質問等がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
稲谷さん、さんづけですみません。お願いいたします。
稲谷構成員: いえ、とんでもないです。よろしくお願いいたします。
私は5ページの利用者の範囲につきまして少しコメントをさせていただければと思います。こちらなのですけれども、何点か考えるべきポイントがあるのかなと思っています。まず前提として、いわゆる民営化、英語だとPrivatizationを通じて公的機能をいろいろな法人が担っていくということはかなりこれまでも進んできていますし、今後、減ることはないだろうなと考えられるわけです。
ただ、公的な機能を担っているそういった法人のやっているサービスというものは、国民から見ると基本的に国や地方公共団体がやっていることとの区別がつかない領域なのかなと思います。
さらに、デジタル化が進んでくると、公的機能を政府と民間が協調して担う場面というのは今後、どんどん増えてくるというところはあると思いますので、どこまでよいという明確なクライテリアの問題は今後いろいろと考えていかなくてはいけないところがあると思うのですけれども、少なくとも実績なども踏まえながら、実質的に公的な機能を担っている法人については法人ベース・レジストリの利用者の範囲に含めていくということが、実質的に見ても、それから国民の利便性という観点から見ても非常に重要なのではないのかなと思ったということをコメントさせていただきます。
その上で、こういう形でベース・レジストリを使用する人の範囲が増えてくるということになりますと、データセキュリティーの問題やデータガバナンスの問題というのは別途また考えていかなければいけないテーマとして出てくると思いますので、その辺りもちょっと見ながら、どういう形で範囲を引くかということは見なくてはいけないと思いますが、いずれにしても、申し上げましたようにデジタル社会において公的な機能をどういう形で担っていくかということも含めて、この点については議論ができればなと思ったところです。
以上でございます。ありがとうございます。
安念座長: ありがとうございました。
一当たりご意見を伺いたいと思います。私が拝見したところ、隂山さん、扇さん、その次は落合さん。隂山、扇、落合の順でご発言をいただきます。
隂山構成員: ありがとうございます。隂山でございます。
まず、スケジュールを明記するという点につきましては賛成しております。政策効果の観点から、行政や国民の作業等が簡略化できる、また、効果も見込まれるということであり、ベース・レジストリ構想は非常に有益であると考えております。
他方で、例えば司法書士が依頼者からの依頼を受ける際には、不動産や商業・法人の登記事項証明書等の確認を行うことが必要不可欠となってまいります。行政手続等において添付省略が可能となった場合におきましても、実務レベルで費用等が発生し得ることについては、国民の誤解を生じないような書きぶりにしておいたほうが好ましいのではないかと考えています。
また、資料4の6ページに登記情報システムから情報交換システムへのデータの流し込みのイメージが記載されておりますけれども、登記情報システムが有している情報のうち、何が情報交換システムに取り込まれるのか等についても一見して明らかとなるような工夫があると、より分かりやすいように感じました。
なお、情報交換システムへのアクセス等が高負荷となった場合に、不動産登記や商業登記関係の登記情報システムへの影響が発生しないかなどについても検討しておく必要があろうかと考えております。
安念座長: ありがとうございました。
扇さん、どうぞ。
扇構成員: ありがとうございます。
私も今のお話にありました6ページを中心にお話しさせていただきたいと思います。As-IsとTo-Beということでシステム整備後の姿があるのですけれども、これは左から右に向かって矢印が、言ってみれば上流から下流に向かって流れているという構図なのですが、このプロジェクトをやるに当たって、あるいは先ほどから伺っている限り、具体的なこういう形でデータベースの構築に踏み切るのは今回が恐らく初めてなのかなと考えてございますので、このプロジェクトの中のゴールにするか、あるいはこのプロジェクトはこのプロジェクトとして終わらせて、それの派生的な成果として出すかはともかくとして、今後も同種のプロジェクト、つまりはデジ庁さんがつくられるシステムが各省庁の持っているシステムとエンドユーザーの間に入って一種のデータハブ的に機能するような形は恐らく増えてくるのだろうなと。せっかくガバメントクラウドや何かも決められましたので、それの利用拡大みたいなことも含めて、この絵はシンプルに描いてありますけれども、すごく大事なのだろうなと私は思っています。
プロジェクトを考えるときに、先ほどからお話が出ていますけれども、改めて、結局のところエンドユーザーに対して何をデジ庁さんは今回のPRとしてコミットするかということと、どんどんさかのぼる形で行って今回のシステムの役割は何か。なので、上流システム、この場で言うとたまたま法務省さんの仕組みなのですけれども、法務省さんの仕組みに対してこういった形でエンドユーザーにデータを提供したいので、我々はここまでやるから、あとは時間がかかるかもしれないけれどもこういう動きでやっていってほしいということをあらかじめお伝えできるような仕組みがあるといいなと。
同じ資料の最後のほうに、この登記情報システムは2030年に向けて公開されるよというお話がうたってありましたので、すごく良いタイミングで登記情報システムと本システムが連携する。時期はぴったりそろいませんけれども、それも踏まえた上でスケジュールやプロジェクトをつくれますよねということはすごく大事なポイントだと思っていまして、今後、このプロジェクトの外にいる各省庁のシステムでも同じようなことが結構起きてくるのではないかと思います。そのときに、現時点でニーズがある・ないはあるかもあるかもしれないけれども、少なくとも将来こういう形になったときに、あらかじめそれを想定して、例えばAPIならAPIでこういう形でデータを置けるようにしておいてくださいというのを言えるような仕組みをつくってしまうということも必要なのではないかなと思って拝見していました。
なので、プロダクトのゴールというのとプロジェクトのゴール、あるいはプロジェクトの外のゴールというか、副産的な将来を見越した絵のところも含めてどう描くのか、描かないなら描かないという結論でいいのですけれども、一旦そこは検討しておいてもいいのではないかと思った次第です。
これから各省庁でいろいろなところでいろいろなシステムのスクラップ・アンド・ビルドが始まりますというときに、一々全部それをデジ庁さんがフォローするわけにもいかないと思うので、その辺りは枠として押さえられるようになっていくといいのかなという印象を持った次第であります。
ちょっとコメントっぽくなって申し訳ないですけれども、私からは以上です。
安念座長: ありがとうございました。
私が拝見する限り、落合、板谷越、小木曽さんからお手が挙がっていると存じますので、順次ご発言をいただきたいと思います。それから、誠に恐縮なのですが、2時間だけの時間枠で、この後も盛りだくさんなものですから、ご発言はご簡潔にお願いできれば幸いです。
では、落合さんからお願いします。
落合構成員: ありがとうございます。何点か申し上げたいと思います。
1点目は、稲谷さんからもご発言がありましたが、利用範囲をどう捉えていくかという5ページの問題です。先ほど準公的なというお話や、公的性格を有するというお話がございましたが、今回、今のタイミングでどこまでできるかはともかく、ベース・レジストリと称するからには民間でも利用できる範囲をしっかり整備していかないといけないと思っております。この点については前身の会合から議論させていただいており、その際に法制上の問題や、稲谷さんのおっしゃられた既存の法令との関係でのデータガバナンス等々があって難しい部分もありましたが、今後、改めて整備が必要ではないかと思っております。
第2点につきましては、今ほど扇さんからご議論もあったような、どういう形でデータを整備していくかに関わってくる点であり、稲谷さんとも関わってくるとは思いますが、将来的に公的な性格だけがセキュアーな主体であると考えていると、やはりデータガバナンスや、どういう形でコントロールするべき場面があるのかが、もともとの設計の中に組み込めていないという場面が生じてくる可能性があると思います。もちろんそのデータガバナンスも、ベース・レジストリではありますので、多くは基本的に情報としては外からもアクセスできるようにしていくという方向ではありつつも、一定の留意するべき場面が出てくる可能性もなくはないと思います。そういったところも踏まえて、しっかり今後、議論できればと思っております。
第3点としましては、これが最後ですが、先日、司法書士連合会でも実は講演をさせていただいたのですが、そういった場面も含めて、ベース・レジストリについて聞かれるときに、法人番号とか、不動産IDは何なのでしょうかと聞かれます。また、GビズIDは何なのでしょうかということで、ある種基本的な情報をマッピングしようとする、もしくはそれに対して対応をしていこうとする仕組みは、政府部内でも幾つかあるように思っております。そういった基本的なID等の関係性というのもぜひ分かりやすくなるように整備していったほうがいいと思います。それぞれの役割分担、もちろん1つのサービスだけで全ての機能を果たせるかというと難しい場合もあると思いますので、結果的に複数の機能が提供される場合もあると思います。また、民間の事業者も含めて利活用するような仕組みが提供されるような場合もあり得るでしょうが、いずれにしてもどういった範囲で業務を提供していくのか、また、そのほかの政策やサービスとの関係性もしっかり整理していただけるといいと思いました。よく聞かれるので、という視点です。
以上です。
安念座長: ありがとうございます。
板谷越さん、どうぞ。
板谷越構成員: では、質問させていただきます。先ほどのご意見とも若干重複があるのですけれども、3つございます。
1点目は、資料で言うと6ページ目で、システム移行が受け手側で必要になると思うので、計画の中にシステム移行方針を定義したほうがいいなと思いました。システム移行するのに、正確には業務も移行対象に入ると思いますが、かかるコストや労力がどれぐらいかというのを読み手が想像できるようなポリシーが書いてあるといいかなと思いました。あらかじめそれは検討範囲に入っているということなので、書いてあげると受け手が安心するかなというお話が1点目です。
2点目が、8ページ目以降に、効果算出に当たりかかる時間がビフォー・アンド・アフターでどう変化するかについて書かれていると思います。ここに必要に応じてリードタイムというのも計画に入れてもいいのかなと思いました。同じ5時間でも1日待つ、あるいは3日待つということがあると思います。もし今回の取組で時間の削減に加えてリードタイムが短くなるといったことがあるようであれば、すばらしいアピールポイントになりますので、結構見逃せないポイントかなと思いますので、もしそういったところに良き点があるのであれば、入れていただくとなお良いのではと思いました。
3点目でございます。こちらは全般に関わるところなので、特定のページというよりは全般なのですけれども、例示すると4ページ目で、今回、ユースケースが挙げられていると思います。添付書類の省略など、いろいろ書かれていると思いますが、これらのユースケースの元になっている各省庁業務をもし洗い出せるのであれば、洗い出しておくといいなと思いました。この添付書類の省略を行うと、どの業務に影響して何が楽になるのかが読み手にぱっと分かると、我々も、あるいは読み手もなるほどそこに影響してそこが楽になるのねという前提で議論、協議が進められるとより良いかなと思いました。
以上です。
安念座長: ありがとうございました。
小木曽さん、お待たせいたしました。お願いいたします。
小木曽構成員代理: ベース・レジストリの策定範囲のところで大きく分けて2つ言いたいと思います。
行政手続の対象として十分足りているかどうかというところが1点目です。あともう一つは、行政手続以外の利用シーンもあるのではないかというところで、こういうことを考えられないかというご提案が2点目です。
1点目です。今、行政が利用できる範囲というところでご説明があったのですけれども、別途デジタル庁がデジタル原則の徹底ということで行政手続に対応するコストを削減するために洗い出しをしてきてどんどんやってきたと思うのですけれども、今回、法人ベース・レジストリの図で対象となっている範囲と、デジタル原則で何%進捗していますというようにデジタル庁がよく出している数字があるのですけれども、それが対象としている範囲とで、きちんと整合性が取れているのか、過不足がないのかというところが知りたく思っています。要するに、過不足があってはいけないという意味で、それが1点目です。
それから、2点目です。因数分解すると、行政手続以外にいろいろな手続があります。要するに、官と民の間の行政手続と、民と民の手続の2種類がございます。後段の手続きの中では、まず、法令に基づいていろいろな書類を確認したり、法人の確からしさを確認したりということが必要になる場合が一つあります。それから、法令には別に特に縛りはないのだけれども、民間取引として当然法人の情報を知りたくて、例えばこの人をいろいろなサービスのプラットフォームに載せていいかどうかに関する入口審査みたいなことをすることが多いと思うのですけれども、そういうところに法人の情報というのは非常に重要なものであり、そこで使えるかどうかということです。民民取引の中では、1つ目は、法令で決まっている場合についてはさっきのデジタル原則との関係でそういうところにも手当てできているかというチェックが必要です。2つ目は、法令に基づいているものではないけれども民間の取引として法人の情報が分かるとすごくメリットがあるという意味です。今まで述べたニーズを考えると、ベース・レジストリについてAPI開放をするとかが考えられます。ベース・レジストリに何か問合せをすると、要するに全部の書類が欲しいという意味では必ずしもなくて、自分が知りたい情報を問い合わせると回答が返ってくるという仕組みをイメージしていますけれども、そのようなものへの発展可能性というのがあり得るのか、ないのかといったことについてお聞かせ願えればと思います。よろしくお願いします。
以上です。
安念座長: どうもありがとうございました。
それでは、一通りご発言をいただいたと思いますので、事務局から現時点でご見解があれば、承ります。よろしくお願いします。
杦浦参事官: ありがとうございます。
ベース・レジストリのそもそものところから実務的なところまで、大小様々にご意見いただきましてありがとうございます。今日の現時点では一旦受け止めさせていただきまして、今後の検討方針の中でどういったところを整理していくのか、深掘りしていくのか、また、整備改善計画の外枠でどういった議論が必要なのか、この辺りを整理しながら進めさせていただきたいと思いますので、本日のところは一旦受け止めということで承りましたので、よろしくお願いいたします。
安念座長: ありがとうございました。
本日は何か結論を出すという日ではなくて、どんなニーズがあるか、どんな視点があるかということの論点出しをするというのが主たるミッションであろうと思っておりますので、今のような扱いにさせていただきたいと存じます。ありがとうございました。
議題2については以上とさせていただきます。
それでは、議題3の関係者の方に入っていただけますか。
杦浦参事官: 大丈夫でございます。
安念座長: ありがとうございます。
それでは、議題の第3「アドレス・ベース・レジストリにおける『町字』より下位の情報の取扱いについて」に移ります。議論を進めるに当たり、まずは課題や問題意識を共有したいと存じます。そのため、本日は実務をご担当の方々のご意見として、データを利用するお立場から、エヌ・ティ・ティ・インフラネット株式会社、データの利用者であるとともに整備者にもなり得るという自治体の立場から、箕面市にご発表いただきます。ご発表いただいた後に意見交換とさせていただきますが、まずは事務局より簡単にこれまでの検討の概要と本日の論点についてご説明をお願いいたします。
杦浦参事官: ありがとうございます。
もう資料自体はこのページに尽きているかと思いますので、このページをご覧ください。このベース・レジストリの中で情報の粒度としてどういったものを扱っていくべきなのかということは、この検討会の前身の会合でもご議論いただきました。特に町字と呼ばれる都道府県、市区町村からくる町字という粒度のところまで、我々の近くで言うと例えば霞が関1丁目といった粒度感になりますけれども、そこまではある程度自治体がちゃんとこれが正であるといった情報を出していたりしますので、今、まさにそういった情報の確認をして、アドレス・ベース・レジストリの町字版として出すよう準備を進めております。
一方、それよりも細かいところになりますと、民間のビジネスとしてされている部分もありますし、どこで線を引くかにつきましては、どういったニーズがあるのか、その公共性はどうなのかといったところをご議論いただきながら、この検討会でもこの後、ご議論いただきたく思っております。
簡単ではございますが、私からは以上とさせていただきます。
安念座長: ありがとうございました。
それでは、続いてエヌ・ティ・ティ・インフラネット株式会社スマートインフラ推進本部インフラ管理DX推進プロジェクトチーム担当部長、千葉繁様からご説明をお願いいたします。
千葉部長、カメラとマイクをオンにしてご説明をお願いいたしたく存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
千葉部長: よろしくお願いいたします。エヌ・ティ・ティ・インフラネットの千葉と申します。
本日ですけれども、お時間をいただきましてありがとうございます。私からはアドレス・ベース・レジストリへの期待ということでお話をさせていただければと思います。
次のページをお願いいたします。簡単にインフラネットのご紹介だけさせてください。エヌ・ティ・ティ・インフラネットですが、日本電信電話株式会社の100%子会社でございまして、エヌ・ティ・ティグループの地下埋設設備の維持管理を主に担当している会社でございます。その維持管理の中で必要になります地理空間情報につきまして、整備をしております。それでサービスの開発や販売も担っているということで、右側に絵を載せておりますけれども、日本全国の地図情報レベル2,500の電子地図を保有しておりまして、そのデータを皆様に販売しているという会社でございます。
次のページをお願いいたします。先ほど日本全国の電子地図を保有しているというお話をさせていただきましたが、このような地理空間情報を整備するためには、記載しているとおり大きく3つの工程がございます。地形整備や住所整備、目標物整備ということで、特に住所整備につきましてはアドレス・ベース・レジストリの効果というのが非常に高い分野になってございます。
この地理空間情報の整備に関しましては、修正素材の確保やそれらのデータの収集に非常に大きなコストがかかっているところでございます。特に住所整備に関わるコストは非常に大きな部分を占めておりまして、この削減については喫緊の課題となっているところでございます。
ただ、住所といいましても、非常に取扱いが難しいところがございまして、住所そのものに表記の揺れがあったり、同一の住所に複数の建物が存在しているなど、整理作業自体にノウハウが必要になるということで、一元的に自動的に整備が行えるというところでもなく、非常に課題が多い分野だというところで認識をしてございます。
そのような課題に対しまして、弊社のほうでアドレス・ベース・レジストリについて期待する点として、次のページをお願いいたします。2つ期待する点を挙げさせていただいております。一つは、住所データにつきまして、自治体様からの情報収集を統合的に実施いただければというところでございます。これを図ることによりまして、先ほどご説明させていただきました地理空間情報の整備事業者のデータ収集コストが大幅に低減するという部分と、住所自体が統一化されてきますので、ジオコード、住所から座標を得るような機械的な処理ですが、これのマッチング効率が非常に高くなるということで、今まで以上に実際に地理空間情報を利用するユーザーサイドに大きなメリットが得られるのではないかと考えているところでございます。
2つ目としまして、住所データにつきまして、住所の表記とは別に機械的に取り扱うことができるID化というものを進めていただきたいなと思ってございます。このID化を促進していきますと、なかなか住所の文字列というものは人間に非常に分かりやすいという側面はございますが、コンピューター的に処理をしようとしますと、どこで区切ればいいのかとか、なかなか取り扱いづらいというところがございます。今後、AIなどを活用して処理の自動化や自律化を考えていく際に、それを機械が取り扱うことが簡単にできるようなID化を促進していくことが非常に重要かと思っております。
このように取り扱いやすくなるということで、いろいろな企業のDX化が促進されると思っておりまして、次のページをお願いいたします。弊社はインフラネット設備会社でございますので、その観点から2つのユースケースを挙げてございます。一つは引っ越しみたいなところで、住民が引っ越しをする際にライフライン企業に個別に連絡を行うというところが非常に負担が大きいというところと、各ライフライン企業のほうでもお客様の引っ越し先の特定を行うためにそれぞれに負荷がかかっているというところでございます。住所が統一されることによりまして、各インフラ事業者で同じ住所を共有しておりますので、引っ越しの連絡やその特定についてもワンストップで行えるというメリットが出てきますので、非常に有効な分野かなと思ってございます。
もう一つは、災害時です。災害発生時に各インフラ事業者が復旧工事を行いますが、各インフラ事業者の顧客データというのはばらばらに扱っております。住所もばらばらというところになりますので、サービス断による影響把握やお客様に対するサポートといったところも今は個別にやっているという実情がございます。このインフラ事業者の顧客データを住所を基に統一化することによりまして、復旧工事システムを統一的に行うことができるというところと、その影響の把握についても一元化できるということで非常に大きな効果を得られると考えてございます。
もう一つ、上に戻っていただけますか。このような期待する2点があるのですが、一方で、私たちは地理空間情報を整備している事業者ということもございまして、最後になりますが、アドレス・ベース・レジストリの普及について、社会実装を進める観点から気にしている点というものがございます。現状の地理空間情報の利用者は、既に自社の顧客情報などに住所を付与して、市場で流通している地域の座標を活用しているという現状がございます。このアドレス・ベース・レジストリで住所は統一的なものが提供されるというところでございますが、こちらに座標をつけて流通を図ろうとすると、どうしてもユーザー様のほうで管理している座標となかなか一致しないというところが問題になってくるかと思っております。
最後のページだけ表示いただけますか。このような模式図を描かせていただいたのですけれども、地図のユーザーというのは一番右側にございますが、どうしてもそれぞれ利用する地図が異なる。地図が異なりますと座標の精度といったものも異なりますので、アドレス・ベース・レジストリで座標をつけてしまうと、なかなかユーザーの地図上で一致しないということが発生します。要するに、基本的に住所IDを流通することによって、住所はアドレス・ベース・レジストリのものを使いながら、座標については地図事業者の座標をうまく活用していくという仕組みをつくっていただくことによりまして、より社会実装の観点で非常に発展性が期待できるのかなと思ってございますので、そのような取組といいますか、仕組みのほうも併せてご検討いただければより良いのかなと思っている次第でございます。
ご説明については以上となります。
安念座長: 千葉部長、どうもありがとうございました。
それでは、続いて箕面市役所市民部戸籍住民異動室室長の保坂育実様にお願いをいたします。
保坂室長、カメラとマイクをオンにしていただいてご説明をお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
保坂室長: 箕面市役所市民部戸籍住民異動室の保坂と申します。よろしくお願いします。
本日はお時間をいただきましてありがとうございます。私からは、「住居表示台帳管理業務の現状とアドレス・ベース・レジストリへの期待」ということでお話しさせていただきます。
最初に、簡単に住居表示台帳の管理業務とはどういうものなのだというところでお話しさせていただきます。住居表示台帳の市役所で管理しているものにつきましては、住所の元になる住居番号を付番して管理するための台帳になっています。台帳といっても文字だけ書いてあるものではなくて地図のようなものになります。街区の地図図面上にフロンテージや住居の家屋の形状を書き込んだものになります。新築や建て替えがあったときは都度付番の申請をしていただいた上で、玄関位置などの現地調査を行って台帳の記載を修正していっています。
私たちが以前、紙で台帳の管理をしていた頃は、修正に当たりましては砂消しゴムで手で消しまして、破れそうになるのですけれども頑張って消しまして、物差しなどを使って建物の形状を書き入れているという状況でございました。令和5年度に紙台帳をデジタル化した上で、これはShapeデータ形式でデジタル化いたしまして、システム運用を開始いたしております。
そうしたら、1ページ目から2ページ目に行っていただきまして、情報提供依頼の対応の現状について、まずお話しさせていただきます。情報提供のご依頼については、令和5年度実績で申し上げますと、依頼件数としては16件、提供枚数は、紙台帳の頃でしたので枚数でお話ししますが、278枚となっています。全て紙で提供いたしております。提供依頼の主な内容としましては、依頼される方の指定するある一定の期間内に新しく付番された住居の受付日や住居番号というもののご依頼が主なものになります。
一方、これは参考情報で書いているのですけれども、他部署に備え付けてあります地番図に関しましても情報提供依頼対応があると聞いています。週に数件程度なのですけれども、地番図については紙台帳を窓口に備え付けていますので、ご希望があった場合はご来庁いただいて写しの取得が可能です。この紙台帳につきましては、法務局さんから送付される地番変更情報、これも紙資料なのですけれども、それを委託業者さんに渡しまして、地番図を作成いただいて納品され、市役所職員が都度検品している状況と聞いております。これもかなり手間がかかっているようです。
続きまして、情報提供の依頼があったときの対応方法なのですけれども、紙台帳の頃は一枚当たり1分かかっておりました。これはやはりコピーしていくからなのですね。主な事業者さんというのは100枚前後の提供依頼をいただくことが大きかったので、2時間以上かかっているという状況でした。管理簿から依頼いただいた一定の期間の間に付番した住居を特定しまして、その住居が載っている街区の図面を一枚一枚コピーしていき、日付や市長印を押印してレターパックでお送りして完了という作業状況でした。
では、3ページ目に行っていただきまして、紙で管理していた住居表示台帳のシステム化についてお話しいたします。私たちのデジタル化のコストとしましては、まずShapeデータ形式でデジタル化をする作業委託が2640万円かかっております。その作ったデータを格納するためのGISのシステムの構築につきましては248万4900円、合計で2888万4900円かかりました。これに対して、デジタル田園都市国家構想交付金で2分の1充てていただいておりまして、歳入としては1444万2000円となっております。
具体のデジタル化工程についてご説明いたします。まず、デジタル化の規模についてです。住居表示台帳図は、箕面市の場合は図面として2,710枚ございました。建物の数としましては6万500件ありまして、こちらをデータ化していったという状況です。その際に、既存データとして箕面市の統合型GISで既に管理していたShape形式などのデータがありましたので、そちらも併せて使っております。これは効率化と正確性の向上のために使用しました。道路台帳データ、地形図のデータ、地番図、家屋図、町丁目界といったデータを使っております。あとは照合のために航空写真のデータも使用して作りました。
作業の内容としましては、まず委託業者が1か月間かけて紙の台帳をスキャンしてラスターデータ化しています。そして、スキャンしたラスターデータを使いまして、約7か月間かけてShapeデータのデジタルデータを作成していったというものです。まず紙台帳をスキャンしまして、紙台帳のラスターデータと突合しながら、②の町丁目界、街区界のポリゴンデータの作成、属性情報の入力をしていきます。そして③としては、作った街区界のデータに合わせて10メートルピッチでフロンテージの自動作成と、あとはそれを微修正しながら実際の紙台帳のフロンテージの間隔に合わせて修正していくという作業、そうして出来上がった街区界のデータとフロンテージを使いまして、その上に家屋の形状を書き入れていきます。そちらについても先ほど申し上げた家屋、航空写真、道路台帳図などと突合しまして、変わっている部分というのは修正をしていきます。そうして出来上がったデータを最後にシステムにセットアップするという内容になっております。
こちらの作業工程は、詳しくは5ページに載っていますのでご確認いただければと思いますが、そうして出来上がったデータにつきましては、当然市の職員がチェックしていくわけです。4名体制で7か月間かけました。データのセットアップを出来上がり次第、3回ぐらいに分けてやってもらいましたので、その都度出来上がり次第すぐにチェックしていくということをしています。例えば航空写真などでは最新の状態がある程度分かるのですけれども、住居表示台帳の場合は、付番の申請はかなりちゃんとしてくれるものの、取り壊して駐車場にしたとしても申請してくれないのですね。なので、航空写真を見たら駐車場になっている、家屋図を見ても駐車場になっている、ただ、私たちの紙台帳だけに建物が残っているといった場合は、職員が現地に行って調査を行った上でやはりないよねとなれば、現状に合わせて修正するということもこの際にきれいにしようということで行った次第です。
続きまして、4ページに行っていただきまして、こういった現状の中で、アドレス・ベース・レジストリへの期待といたしましてお話しさせていただきます。まず、情報提供依頼対応は、私たちはデジタル化した後、かなり省力化されまして、一ページ当たり0.1分、10分の1になったような形です。100街区の申請がありましても、約10分で作業ができます。これは一定期間に新規の付番があった対象の住居というのをCSV形式で引っこ抜くことができるのが一つ、それから、Shape形式で地図データをエクスポートできます。これをお渡しすることですぐに対応ができるという状況になっています。
ポイントとしましては、私たちは個人情報を含まないようなデータを管理しています。ちょっと複雑な経緯などを書き込んである属性情報につきましても、こういったエクスポートの対象から除くことで、本当に必要なデータだけれども複雑なところは含まないということができるので、かなり省力化できるようになりました。
こういった住居表示台帳データの個人情報を含まないところをアドレス・ベース・レジストリ上で公開できるのであれば、その更新頻度にもよりますけれども、情報提供を求める事業者さんなどはある程度その公開情報を確認することで、一定情報提供依頼のニーズを満たすことができる可能性はあります。
もう一歩踏み込むとすれば、必要な期間、あとは必要なデータ項目というのを指定した上でEUC機能のような形で依頼者さん自身がそこからデータを引き抜くことができれば、自治体に個別に一々依頼する必要がなくなるという可能性もかなりあるかなと思っております。
続きまして、住居表示台帳システム化についてです。先ほど申し上げたとおり、紙台帳というのは非常に扱いが難しくて、劣化や焼失のリスクがあったところです。ですが、今はデータ化していますのでそういったリスクはなくなりました。1個しか紙台帳がなかったので、支所などの離れたところでの確認ができなかったのですが、これもリアルタイムで全庁共有できるようになっています。
デジタル化におきまして、もし街区符号、住居番号の文字情報、位置情報を突合に利用できるのだとすれば、データの正確性の向上が図れるのではないかと考えております。さらに、デジタル化作業の効率化においては、Shape形式データで地形図や道路台帳、地番図、家屋図、町丁目界、ポリゴンデータといったものが既にあるのであれば、非常に効率化が可能かと思っております。住居表示台帳のGISデータを作るに当たりましては、町丁目界、街区界というのはポリゴンデータが必要になってきます。こういったポリゴンデータがアドレス・ベース・レジストリなどの基盤に存在しているのであれば、そこからつくり出す必要がなくなりますので、デジタル化作業のかなりの省力化につながるものではないかと考えております。
将来的に、これは本当にただの希望ではあるのですけれども、アドレス・ベース・レジストリ上、もしくはそこにつながる何らかのシステム上で住居表示台帳のシステムというものが自治体共通で使えるものとして出来上がるのであれば、そこに接続して日々自治体がおのおの更新することで単独でのシステム化ということが必要なくなりますので、効率化できるのかなとは思っております。ただ、その場合にはレイヤー管理やアクセス権限の管理といったデータの管理機能が必要になってくるとは考えております。
以上が私たちから現状とアドレス・ベース・レジストリへの期待としまして申し上げることです。ありがとうございます。
安念座長: 保坂室長、どうもありがとうございました。
それでは、今までいただきましたご説明についてご意見、ご質問等がございましたら、お願いいたします。私の取りさばきが悪くて大分時間が押しておりますので、その点についてもご配慮いただければ幸いでございます。
板谷越さん、どうぞお願いいたします。
板谷越構成員: 今日の話に入れるべきか分からないのですけれども、2個要望がありまして、ビジネス界隈で非常に困っていることが大きく2点ありまして、1個目が、郵便番号、都道府県・市区町村コード、基準地域メッシュコード、代表緯度経度にめちゃくちゃ統一コードを振ってほしいとずっと思ってきました。一般の方が公開していますけれども、メッシュデータもくっつければくっつくのですけれども、国側で公開していないので欲しいなと。なおかつ、街区以降については国土地理院や各地図民間会社が仮番号みたいなものを振っているのですけれども、当然ばらばらで、事業会社は血の涙を流していますので、国が振ってくれなと思っています。
2個目が、表記揺れも一緒に入れたデータが欲しいなと。国関係だと全角漢数字パターンではないですか。でも、一般民間企業は半角数字のみパターンに正規化して使っています。これで名寄せがとんでもないことになっていまして、それでビジネスで生計を立てている会社が山ほどあるのも分かります。ただ、そこに時間をかけられなくて、多くの企業ができないというのがめちゃくちゃあるのですね。
なので、この2点を要望としてお伝えさせていただきました。皆様のお話においては、本当にそのとおりだなと首を縦に振っていただけです。
以上です。
安念座長: ありがとうございました。
それでは、小木曽、落合、隂山、稲谷、南、各構成員の順番にご発言をお願いいたしましょう。小木曽さん、どうぞ。
小木曽構成員代理: 実務としては、例えば不動産会社が言わば不動産というのを商品として売るということがあるのですけれども、そこにいろいろな情報を付加していかないと不動産を売れるという前提に立てないのですけれども、それを成立させるためにものすごいコストがかかっていて、今は手元に数字がないのですけれども、一年間で何百万人ぐらいの数字に対応しないといけない人数になるよというのが書いてあります。したがって、今議論しているここの整備の必要性がすごく重要だということを改めて申し上げたいなと思っております。
以上です。
安念座長: ありがとうございました。
落合さん、どうぞ。
落合構成員: ありがとうございます。
不動産についても今日出てきた図面以外にもいろいろな図面もございますので、現実には全部に合わせにいくことができることと、できないことがあろうかと思います。その意味ではいろいろなご意見も伺いながら、うまく共通して早期に整備できるところから、次第に広げていく活動を、しっかり取り組んでいけるといいのではないかと思っております。
特に地理空間情報や住居表示台帳との重ね合わせまでいく場合には、これまで持っていたもともとベース・レジストリの元になっている商業登記簿のデータよりも、高度化していくような側面もあると思います。そこは1つ前の論点とも重なりますが、ある種人の作業の工数が減っていくということと、一方でデジタル化のコストということで本日箕面市さんからもご紹介いただいたようなコストがかかる一方で、産業創出につながるような部分があるのかを併せて考えて、まずはある程度そういう中で目星が立つところからしっかり選択的に取り組めるといいと思いました。
以上でございます。
安念座長: ありがとうございます。
隂山さん、どうぞお願いいたします。
隂山構成員: ありがとうございます。隂山でございます。
資料5の4ページなどでもお示しをいただいているアドレスの階層構造ですが、住居表示が実施されている場合でも、不動産登記では地番で物件を特定することとなります。既存の不動産登記の制度を踏まえて考えますと、仮に、地番と住居表示の統合という話になった場合、制度的にも非常に大きな影響が生じますので、費用対効果の面からも慎重な検討が必要になるのではないかと感じています。
そのため、先ほどご提案があり、また、資料6の4ページで言及されていますが、ベース・レジストリの構築に当たっては機械可読可能なID化の検討なども含めた、一意のデータにうまく情報をひもづけていく形式を取ることができればよいと考えております。
冒頭のご挨拶でも申し上げましたけれども、氏名に外字が含まれていることに加えまして、地名などにつきましても外字が含まれていることが多々あろうかと思います。実務の目線で考えますと、依頼者の方の中には文字に対する強いこだわりを持っておられる方もおられます。取扱いとして、例えば、登記手続などでは外字等を認めつつも、情報交換システムでは標準文字に置き換えていくといった整理をしていくのか、仮にそのような整理をした場合における他の行政手続で使用される文字はどのようになるのかといった点など、整理しなければならない点があるように感じております。
安念座長: ありがとうございました。
稲谷さん、お願いいたします。
稲谷構成員: ありがとうございました。
砂消しゴムのお話などは、現場で大変な苦労をされていたことが非常によく分かる、リアリティーのあるお話でした。
私のコメントは既にほかの構成員の皆様からもいただいた意見と若干重なるところはあるのですけれども、まず費用便益計算の問題につきましては、確かにお金がかかるのだけれども、その先どういう形で便益を見ていくかという点には、幾つかポイントがあるかなと思っています。おっしゃるように行政効率が格段に上がるということは間違いないというのはそうだと思うのですけれども、それに加えて、例えばエヌ・ティ・ティさんのほうで少しご指摘いただいていたようなユースケースの中で、特に災害関係をどうするのかというのは、今後のことを考えると極めて重要なのだろうなというのは思いますし、インフラの老朽化の問題というのがかなり深刻になってきていますので、その辺りにどうやって対応していくのかということを今後考えていく上でも、ここは将来的な便益がそれだけでもかなり大きそうだなと思います。
さらに、ポリゴンデータまで含めてどこまでやるのかという問題はあると思いますけれども、本当にできるのであれば、それこそドローンをどう効率的に飛ばすかみたいな話などもどんどん出てくるところだと思いますので、意外と目に見えているものよりも潜在的な便益というのは大きい気がしますので、ここはかなり力を入れてやっていったほうがいいのではないのかなと。落合さんもおっしゃっていましたけれども、特に便益につながりやすいところからやっていくというのは非常に重要なのだろうなと思いますというところが1点目です。
それから、隂山さんからもあったように私もIDを利用するというのはとても良い方法だと思いますので、これを中心にやっていくということは必要だと思うのですけれども、そのIDの振り方もなかなか難しいところもないわけではないのかなというところもありますので、この辺りは当然今後の議論になってくるのだろうなと雑駁ですが思いました。
最後なのですけれども、データが相当程度整備されてきて、各地方公共団体の運営費用が劇的に下がると、さらに言えば、それを利用してドローンなどを飛ばせるようになればさらにということだと思うのですけれども、地方公共団体が独自にそれぞれ直していくというやり方である必要も本当にあるのかということも含めて考えていってもいいところなのかなと思いました。要するに、全国で一元的にこういったデータが出来上がってくるということになるのであれば、かつ、それを定期的に民間事業者などが使いながら飛んでいって、これはなくなっているとか、確かに建物あるよみたいなことが分かってくるようになるのであれば、それを利用してどんどん訂正していくということを考えていってもいいと思いますので、その辺りが将来可能になるのかというところなども見据えながら、もちろんできるところをやらなくてはいけないというのは当然そうなのですけれども、ただ、その辺りまで視野に入れながら手をつけていくというのも一つの作戦としてあるのかなみたいなことを伺いながら少し思ったところです。
雑駁ですけれども、以上になります。ありがとうございました。
安念座長: それができればね、確かに。ありがとうございました。
南さんの手も挙がっていたと思いますが、どうぞ。
南構成員: 私は行政の職員としての意見なのですけれども、今まで皆さんがおっしゃられたことは当然ながら行政でも分かっておりまして、箕面市さんの構築した住居表示と同じようなことを私も6年ほど前にやりました。同じように砂消しで消してというところもありまして、私どもの場合は固定資産の地図情報がありましたので、私がちょっと触れたものですからそれを流用してやったので、委託費用をできるだけ抑えて構築はしたのですけれども、このご苦労は大変分かります。
ただ、これは維持管理しないと駄目なのですね。なので、先ほど先生がおっしゃられたように、それらを今後、どうやって統一的に管理していくのかとか、更新をどの頻度でするのかとか、API連携しながらするのかといったところも構築しないと、常に最新情報にするのか、どれぐらいの頻度で構成するのかというのも含めて検討する必要はあると思います。
ただ、私どもはさらに昨年度、公開型のGISを入れましたので、住居表示の番号については公開しております。ですので、あえてエクスポートなどをしなくても画面を見て確認できますという状態には一応持っていっております。
それと連携して、エヌ・ティ・ティさんのおっしゃられていました住所なのですけれども、住所というのは箕面市さんももしかしたら全部住居表示されているのかも分かりませんけれども、私どものような市は住居表示が一部ありまして、残りの地域はいわゆる地番によるものですので、これらの住所というのをどういう位置づけかというのをはっきりして、住所というのと地番というのを別に分けて管理するとか、先ほど先生もおっしゃられましたように、今、住居表示上でこの1番1号にあるのは、実は土地は何番地なのだよというのはこの連携なのですね。これは住居表示の中でたまに証明くださいと言われるのですけれども、証明できないのですね。実際本当にそこに建っているのかどうかというのはきちんと地籍調査が終わって境界確定をしないと、本当にそこに建っているという確証がないわけなのですね。
なので、先ほどのエヌ・ティ・ティさんのほうにも地番現況図とプラス地籍図と載っていましたけれども、地籍図というのはあくまでも地籍調査が終わった段階の図面なのですね。それを登記所のほうに持っていって、登記所のほうで14条地図として管理していく。その14条地図に対して以降の分合筆の手入れをしていくという流れになるので、市町村の持てる地籍図という位置づけでは、これはもう出来上がったときの状態なので、例えば30年前に地籍調査が終わっていれば、そのときの状態のままなのですね。それに対して加除をかけていくのが、市町村の多くは固定資産税の関係で課税のために登記所からの通知に基づいて異動処理をしていくという流れになっておりますので、ここら辺をどのように判断して整理していくのかというのが今後の課題だと思います。
住所にしても、例えば宅配などで使うための住所というのが本当に要るのか、不動産として抵当権などを入れるために、銀行さんが使うために、住居表示のところに建っている建物の所在地はどこなのだという位置づけが要るのかといったところも含めて使い勝手を確認して、それらを有効的に利活用できていければいいと思いますが、先ほど先生がおっしゃられたように最終的には国で一元管理できるのが理想なのですけれども、その最初の出発地点は住所を置いたり、いわゆる国からの機関委任事務になっております住民票のところも多く絡んできますので、今の状況では最小単位である市区町村がある一定規模しなくてはならないのかなとは考えております。ここは法整理が必要ではありますけれども、そういったところも踏まえて今後、検討材料の一つになっていけばいいなと思いました。
ありがとうございます。
安念座長: 大大大問題ですね。ありがとうございます。
扇さんもお手が挙がっておられましたかな。
扇構成員: ありがとうございます。
今の南さんのお話で大体伺いたいことは教えていただきましたので、大丈夫です。
安念座長: そうですか、ありがとうございました。
扇構成員: メンテナビリティーはすごく大事ですねというところを申し上げたかったので、ありがとうございました。
安念座長: ありがとうございました。
落合構成員: 落合です。1点だけよろしいでしょうか。
安念座長: どうぞ。
落合構成員: 稲谷先生がおっしゃられた点は非常に面白いと思いまして、どうやっていろいろな人の力を借りていくかはGoogleマップや、デジタルツールを使っている場合にすごくうまく使われている話です。もちろんいきなり幹のところを勝手に民間で変えるというところまでは難しいとは思いますが、一方で、協力してもらうことによって行政の方だけに頼らないで整備ができる場所は、ガバナンスを考えていくことも必要ですが、協力を求めることも有益と考えます。情報提供と併せて資料などを何らか提出してもらったりするとプラスになるでしょうし、そのときに多少提供された方にもメリットなりお礼なりができるような形まであるととても良いかと思いました。完全に金銭的な対価でもなくても、インターネットの場合では動いてくれる場合があったりすると思いますので、お礼というのはそういう程度の意味も含めてということでコメントさせていただきました。うまく議論の中に稲谷さんのコメントが取り入れられるように少し敷衍してみました。
安念座長: Wikipediaみたいな仕組みですかね。ありがとうございました。
杦浦さん、どうしましょうか。現時点で何かレスポンスがあったら伺いますが。
杦浦参事官: いえ、ひとまず受け止めさせていただきたいと思います。
安念座長: では、いろいろなご示唆、ご意見をいただいたということにいたしましょう。
それでは、議題3は以上といたしまして、プレゼンターの方々にはご退室いただきたいと存じます。どうもありがとうございました。
杦浦参事官: ありがとうございました。
新しい議題4のほうにつきましては入室されておりますので、お進めいただければと思います。
安念座長: ありがとうございます。
それでは、続いて議題4「不動産登記ベース・レジストリにおける地図の取扱いについて」に移ります。議論を進めるに当たり、まずは課題や問題意識を共有したいと存じます。そのため、本日は関連する実務を担当する方々にご発表いただきます。
なお、冒頭申し上げましたとおり、一部省庁については構成員のみでの議事とさせていただきたいと存じますので、4名の方の発表と意見交換が終わった後に別にご議論をいただきます。
それでは、まず事務局より簡単にこれまでの検討経緯と本日の論点についてご説明をお願いいたします。
杦浦参事官: 資料のほうでございますけれども、本日ご議論いただきたいことといたしましては、不動産登記の情報について、いわゆる登記事項証明書に記載される情報に加えて、地図や公図、図面の類といったものをどう捉えていくかということになります。地図、いわゆる公図のほか、図面については、先ほどからお話が出ておりますけれども、測量した図、あるいは建物図面といったものもございますが、格納されているシステムが異なったり、あるいは整備されているもの、されていないもの、いろいろあるかと思いますので、今後、整備するにしても必要な経費等は大きく変わってまいります。ここはニーズを踏まえてどこまで何をやるのかということをまとめていくためにご議論いただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
安念座長: ありがとうございました。
それでは、プレゼンターの方々からご説明いただきたいと存じます。どうも長々お待たせをいたしまして申し訳ございませんでした。
まず、ひたちなか市行政改革推進室室長、佐々木稔様からご説明をお願いいたします。
それでは、佐々木室長、カメラとマイクをオンにしてご説明をいただきたいと存じます。
佐々木室長: 皆様、初めまして。ひたちなか市総務部人事課行政改革推進室室長の佐々木と申します。
本日は登記事項情報とともに地図・図面情報をオンライン取得することの必要性についてお話をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
安念座長: よろしくお願いいたします。
佐々木室長: それでは、まず1ページめくっていただいて、目次になります。こちらの目次の流れに沿って本日はお話をさせていただきます。
次のページになります。まず1番目、地図・図面情報を利用する事務について、簡単ではございますが、具体的な内容を交えて4つの課を例にご説明いたします。
まず1つ目、都市整備部建築指導課の事務になります。建築指導課では、建築確認申請に際し審査を行っていますが、建築する物件が接道する道路幅員が4メーター未満である場合、いわゆる建築基準法の42条2項道路である場合、将来の道路幅員4メーターを確保するために、建て主は道路の中心線から2メーター後退して構造物を造成する必要がございます。いわゆるセットバックと呼ばれるものになります。その場合、その後退線について建て主と立ち会って確認する必要がございます。道路と私有地の位置関係を明確にするため、公図等は重要な資料となっております。
次に、2つ目、建設部下水道課の事務になります。下水道課では、下水道の本管の敷設工事や宅地内に汚水ますを設置する工事などを行いますが、他の土地に構造物が越境しないように、正確な位置や境界線を確認するために公図を使用しております。また、受益者負担金を賦課するに当たっても同様に公図等を使用しております。
次のページになります。3つ目、建設部道路管理課の事務になります。市で管理する道路の一部には、民地を借地しているものもございます。その借地契約の根拠として公図を使用しております。また、道路の多くは民地と接しておりますので、道路管理課では境界の立会業務を行っております。土地の位置関係を把握するために公図等を使用しております。道路管理課には日々、市民の方々から草木が越境しているといった苦情が数多く寄せられますが、本当に越境しているかどうか判断する際に公図等が重要な判断材料となっております。
最後に4つ目、総務部資産経営課の事務になります。資産経営課では、市有財産の管理を行っております。市有地を売却する際、改めて測量を実施しますが、その参考資料として公図等を取得しています。
ここまでが各課における地図・図面情報を利用する事務の説明でした。
次のページになります。目次の2項目、オンライン化実現後の事務フローについて簡単にご説明いたします。上段の矢印が従来の事務フロー、下段が登記事項証明書プラス公図等をオンラインで取得した場合の事務フローになります。まず、上段の従来の事務フローになりますが、登記事項証明書や公図等を取得する場合、法務局への往復の移動、窓口での待機に時間がかかっていました。これは当時の場合ですと少なくとも60分程度時間がかかっていました。これは事務に当たる職員はもちろんなのですが、申請・相談する市民の方々にとっても非常に効率の悪い状態になっていました。
下段のオンライン化後の事務フローになりますが、これですと法務局への往復移動と待機時間がなくなりますので、事案一件当たりの処理時間が大幅に短縮されます。従来と比べて非常に効率化された状態となっています。
次のページになります。目次の3項目、得られる効果についてのご説明になります。ここでは登記事項証明書のみがオンライン化された場合と、登記事項証明書に加えて公図等もオンライン化された場合の比較になっております。前提になりますが、私たちの業務において公図等を取得する事務の多くは、登記事項証明書も併せて取得をしております。そのため、上段のようにベース・レジストリに登記事項証明書のみが登載された場合、結局我々職員は公図等を取得するために法務局へ行くことになります。そうなりますと、どうせ公図を取りに法務局に行くのであれば、併せて登記事項証明書も法務局で発行してもらったほうが速いという話になってしまいますので、せっかくベース・レジストリを構築していただいたにもかかわらず、私たちの業務は従来の事務フローに戻ってしまうことになります。
一方、下段のように登記事項証明書と公図等の両方がベース・レジストリに登載されれば、職員が法務局へ行く必要が基本的になくなります。本市においては法務局への移動と待機を合わせて少なくとも一件当たり60分かかっておりますので、その分が削減されます。
本市は比較的法務局に近い自治体ですので、同じ法務局管内にはより遠方の自治体が多く存在しますので、それらの自治体においては本市よりも大きな削減効果が見込まれると考えております。
それでは、次のページが最後のページになります。4項目、ベース・レジストリに期待することです。これまで申し上げたとおり、登記事項証明書と公図等は併せて取得することが多いため、その両方がベース・レジストリに登載されることに大きな意味があると考えております。
また、公図で確認できる土地の位置関係のみでは事務の根拠として不十分であることも多いため、地積測量図等の図面情報が必要となっております。公図等で正しい境界を確認し、登記事項証明書で所有者を確認する、それらの正確な情報に基づき、私たちは責任を持って事務を執行することができます。
以上のことから、本市では、ベース・レジストリに次の3点をお願いしたいと思います。
- 地図・図面情報及び登記事項情報が取得できること。
- それらの情報がひもづいており、一体的に利用できること。
- かつ、それらの情報の最新性が担保されていること。
以上となります。
従来の非効率な事務から脱却することで職員の働き方を改善し、住民サービスの維持・向上を実現したいと考えておりますので、ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
本市からの説明は以上となります。どうもありがとうございました。
安念座長: 佐々木室長、どうもありがとうございました。
それでは、続いて和歌山県県土整備部用地対策課副課長、出水久雄様からご説明を伺いたいと存じます。
それでは、出水副課長、カメラとマイクをオンにしてご説明をお願いしたく存じます。
出水副課長: 皆さん、初めまして。和歌山県県土整備部用地対策課の出水と申します。本日はよろしくお願いいたします。
安念座長: よろしくお願いいたします。
出水副課長: それでは、早速でございますが、資料に沿ってご説明をさせていただきたいと思っております。
まず、不動産ベース・レジストリにおけるオンラインでの公用請求代替への期待ということにつきまして、ご説明させていただければと思います。
1枚おめくりください。まず、我々は用地対策課というところでございますが、ひたちなか市さんと違いまして事業用地、用地取得に特化してご説明させていただければなと思っております。
まず、公共事業の推進には用地取得が不可欠でございまして、用地取得を進めるに当たってまず行うのが権利調査でございます。権利調査とは、地図(公図)、あとは登記事項、住民等の調査によって、事業に支障となり今後補償が必要となる土地や建物などを把握し、補償説明の対象となる現在の所有者を確定させることを目的に実施する調査でございます。
あわせて、建物等の移転補償金を算定するためには物件調査を行う必要がございます。物件調査とは、移転対象となっている建物、工作物及び立竹木につきまして、それぞれの種類、数量、品種、機能などを調査することをいいます。
公共事業の流れといたしまして、左下に書かせていただいております。その中の権利調査部分でございます。現在、土地の権利調査の作業は以下の流れで行われております。まず、地図(公図)を確認しまして、公共事業に必要な土地の地番を特定させていただきます。その後、登記簿を請求し、登記名義人を確認します。その後、権利者の住民票や、法人であれば法人登記等を調査するということでございまして、地図の確認というのは権利調査の起点となっております。その後、物件調査ということで建物の物件調査の作業は下記のとおりということで、建物の所在地、所有者、名称を確認、建物の配置状況や種類、構造、設備を確認、床面積を実際に計測、経過年数、維持管理状況、法令適合性等を確認しますということで、現在はコンサルに発注してこういった調査を進めているのですが、事前に建物図面等があれば、作業がはかどるという形でございます。
次に、2ページ目です。現状の事務の流れといたしまして、上段が現在の状況となっておりまして、下段がオンラインでの公用請求代替実現後にどのようになるかということを書かせていただいております。先ほどひたちなか市さんも言われていたとおり、和歌山県は南北にとても長いところでございまして、現在は公用請求の申請書の決裁を取って紙で印刷の後、公印を押して、その後、法務局へ直接訪問して提出するか、郵送で提出するという形になっております。現在の平均的な所要時間というのは、こちらに書かせていただきましたとおり87分程度かかっているところでございます。郵送の場合は取得するまでおよそ1週間程度を要するという形になってございます。
それが今後、オンラインでの公用請求代替が実現されればということで、移動時間等々が全て省けるということでございますので、作業時間10分程度のみで全て公図等が取得でき、約77分の短縮が可能ということで、ぜひ実現していただければなと思っております。
次のページでございます。オンラインでの公用請求代替に伴う効果とベース・レジストリに期待することといたしまして、まず、オンラインでの公用請求代替に伴う効果のまとめといたしまして、1つ目のポツでございます。今までの紙の申請書によって法務局に訪問するなどして申請していたものを、オンラインで情報を取得できるようになれば、公用請求にかかる時間の短縮がとても図られます。これは業務負担軽減効果が期待できるという形になっております。和歌山県では令和5年度の地図請求件数は年間約3,200件であることから、大きな業務負担軽減効果が期待できると思っております。
次に、2つ目のポツでございますが、和歌山県は地理的に南北に長く、沿岸部に町が点在することから、事務所の場所によったら最寄りの法務局まで1時間弱かかる場合がございます。そのような事務所は特に業務負担軽減効果が大きいと思われます。併せて移動や郵送にかかる経費の削減も期待できると考えております。
最後に、和歌山県は災害が多いところでございまして、災害復旧を行うために早急に地図を取得し、権利調査を行う必要が生じる場合がございます。このような場合、オンラインでの公用請求代替が実現すれば、権利調査にスムーズに着手でき、より迅速に災害復旧に取りかかることが可能であると思われます。
最後でございますが、ベース・レジストリに期待することといたしまして、自治体の業務負担軽減等を実現するためにも、オンラインでの公用請求代替の実現に期待するところでございます。また、ベース・レジストリにおきまして、登記簿謄本にひもづくような形で地図、地籍測量図、建物図面、各階平面図等の情報が取得できることを求めたいと思います。また、地図のデータの更新頻度といたしましては、なるべく最新性の高いものであることをお願いしたいと思います。
最後ですが、なるべく法務局が取得できる図面に近い情報を取得できたらなと思います。
以上でございます。簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
安念座長: 出水副課長、どうもありがとうございました。
それでは、続いて国税庁長官官房デジタル化・業務改革室室長の菅沼哲矢様からご説明をお願いしたいと存じます。
菅沼室長、カメラとマイクをオンにしてご説明をお願いできればと存じます。よろしくお願いいたします。
菅沼室長: 国税庁デジタル化・業務改革室長の菅沼と申します。本日は不動産登記ベース・レジストリへの期待事項についてお話をさせていただきたく思います。どうぞよろしくお願いいたします。
安念座長: よろしくお願いいたします。
菅沼室長: それでは、次のスライドをお願いいたします。まずは前提となる事項をお話しさせていただきます。当庁では、公務で登記事項証明書が必要な場合は、限られた一部の事務につきましては登記情報連携システムを活用しながら、それ以外のほとんどの事務については、予算の上限はございますが、登記情報提供サービスを使うか、それとも先ほど和歌山県でご説明があったとおり郵送、急ぎの場合は登記所に実際に赴いて公用請求の方法により対応しているところでございます。
この点で、今年1月から法務省様のご協力をいただいて、全ての事務を対象に登記情報連携システムを活用した公用請求代替の試行を行っているところでございます。登記情報連携システムの活用によって郵送費等の削減、それから事務の大幅な効率化を見込んでいるところでございますが、現行の登記情報連携システムでは、公図・図面、それから共同担保目録が取得できないということで、効率化が限定的なものとなってございます。これは先ほどのひたちなか市様の説明と同様でございます。ベース・レジストリの整備に当たっては、この点の改善をぜひお願いしたいというところが大枠でございます。
なお、絵の下のところに記載がございます、法務省から提供されるG空間情報センターを介した地図データでございますが、記載のとおり年次更新で現況が分からないということと、それから、表記揺れ等でひもづけの精度が低いという課題があると認識をしてございます。
次のページをお願いできればと思います。ここから、当庁の業務で登記事項証明書をどのように利用しているかご説明したいと思います。大きく3種類ございます。まずこのページでは、1つ目の滞納処分の過程について、財産調査を行う際の利用についてご説明いたします。年間142万件程度、国税の税金の滞納というのが発生しておりますが、国税徴収法の規定に基づいて、財産を差し押さえて換価する滞納処分というものを我々は実施しております。その手続を進める過程において、最新の構図、図面、場合によって共同担保目録というものを含んだ登記情報が必要となってございます。
具体的に申しますと、下のほうに箱が3つございます。一番左側が、まず滞納が発生した時点で滞納者の財産を調査するということでございます。真ん中の箱、調査によって特定した財産の差押えを検討するという手順になりまして、一番右で差し押さえた財産を換価するというこの3つのフェーズでそれぞれ最新の公図と図面が必要となります。
また、真ん中の箱でございます。差押えの検討に当たって対象財産が担保物件であった場合には、最終的な回収可能性の検討をしなければなりません。そのため、抵当権者が設定した他の不動産についても考慮する必要がございます。そこで、この共同担保目録というものを含んだ登記情報が必要となってございます。
以上が1つ目の滞納処分の場面における利用のご説明でございます。
次のスライドをお願いできればと思います。2つ目の利用形態ということで、課税調査において財産調査をする場合にも我々は利用してございます。国税当局では、税金が正しく申告されているか、日々税務調査を行っているところでございます。例えば相続税であったり贈与税の調査の場面では、課税対象となる財産の価格、すなわち時価というのが幾らなのかが争点となることがございます。この時価を算定するに当たって、土地についてはその形状によって時価が大きく異なってまいりますことから、その形状等の確認のために公図・図面を用いているところでございます。なお、相続税であったり贈与税の調査というのは年間3万件弱行っているところでございます。
また、税務調査だけではなくて、そもそもの相続税や贈与税の申告に当たって課税価格を算定するためには、相続や贈与の対象となる土地等の価格を適切に評価する必要がございます。そのため、当庁では路線価というものを作成して公表しているところでございます。この路線価の評定に当たっても公図・図面というものを用いているところでございます。
さらに、相続税、贈与税だけでなくて、所得税であったり法人税という税目においても土地の時価が問題となるケースがございまして、その場合には時価算定の際に最新の公図・図面が必要となってございます。
以上が2つ目の課税調査の場面における利用でございます。
次のスライドをお願いできればと思います。3つ目は、先ほど述べた路線価を作成する際に利用しているという説明でございます。具体的には、上段の箱でございます。路線価策定の過程で標準地と呼ばれる基準となる場所の設定が必要となるのですが、この選定であったり見直しに当たって所在、形状等を確認するために最新の公図・図面を利用しているところでございます。ちなみにこの標準地の元となる地価公示をしている数が4万6000、それから鑑定標準地の数が2万6000という膨大な数があるということをまずご理解いただければと思います。
そのほか、下のほうの箱で審査用務と書いてございます。具体的には、例えば直ちに税金を納めることが難しい事情がある場合には、納税の猶予申請というのがなされたり、当局に差し押さえられた財産について換価を猶予してほしいという場合に換価の猶予申請というのがなされたり、それから、相続税の納付に当たって現金ではなくて土地により物納したいという場合になされる物納申請、それから、直ちに金銭で相続税を納付することが難しい場合には延納申請という様々な申請がなされるわけですが、その審査に当たっても申請財産として適切かどうかを判定するために最新の公図・図面を利用してございます。
以上が3つ目の路線価、各種審査の際の場面における利用のご説明でございます。
国税当局では、以上に申し上げたような場面で大量・回帰的に登記事項証明書、そして最新の公図・図面をセットで利用して適正・公平な課税の実現のために事務を行っているところでございます。
最後のページに行っていただければと思うのですが、10ページ目でございます。最後に、当庁でベース・レジストリへ期待することをご説明申し上げます。先ほど述べましたように、当庁では登記事項証明書、公図及び図面がセットで必要な業務が大量・回帰的に発生しております。このように登記情報、公図・図面のヘビーユーザーである当庁からベース・レジストリの整備に当たって、ここに書いてあります4点をお願いします。
1点目は、登記情報連携システムの活用に当たっては公図及び図面についても電子取得可能となること。
2点目は、公図及び図面については、不動産登記データと地図データがひもづけられた状態で提供されること。
3点目は、共同担保目録が電子取得可能となること。
4点目は、最新の情報が提供されること。
ひたちなか市さんであったり和歌山県さんと同じようなお話でございますが、当庁においてもこの点は重要でございますので、よろしくお願いいたします。
説明は以上でございます。ありがとうございました。
安念座長: 菅沼室長、どうもありがとうございました。
それでは、続いて資源エネルギー庁新エネルギー課再生可能エネルギー推進室室長の菊島淳治様からご説明をお願いいたします。
菊島室長、カメラとマイクをオンにしてご説明をお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
菊島室長: よろしくお願いします。
資源エネルギー庁再生可能エネルギー推進室長をしております、菊島と申します。本日はよろしくお願いいたします。
我々ですけれども、再生可能エネルギー推進室では、再エネ特別措置法に基づいてFIT/FIP制度の実運用を担当している部署でございます。本制度においては日々全国各地の再エネの発電事業者の方から認定申請をいただいておりまして、年間約20万件強の申請がございます。また、これまで法律が施行されて約290万件の事業計画が認定されているというところでございます。
本日は、この認定申請の審査を行うに当たって制度の実運用を担当する立場から、ベース・レジストリによる政策効果、期待についてご説明させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
ページをめくっていただいて、2ページ目でございます。まず、制度の概要について簡単にご説明をしたいのですけれども、左下の図にございますように、再エネ特措法に基づいて、FIT制度ですけれども、経済産業大臣から認定を受けた事業者が発電する再エネ電気につきまして、電気の需要家にご負担いただいた賦課金を基に電力会社が一定価格で一定期間買い取るということを国が約束するという制度でございます。
右下に「申請の流れ」とございますけれども、支援を受けようとする事業者は、電子システムを用いまして各地方にあります経済産業局宛てに事業計画の申請をしていただくということになりまして、経産局のほうで発電事業が円滑かつ確実に実施できるかどうかを確認することとしています。
その際に、添付書類のところに掲げてございますけれども、例えば関係法令の手続に関する許可証であるとか、土地権原の確認をするために登記簿謄本等について提出をお願いしているということでございます。それで確認ができたものについては認定をするということでございます。
ページをめくっていただいて、3ページ目ですけれども、先ほど申請時に提出する書類について主なものをご紹介させていただきましたけれども、このほか、登記所備付地図の提出を求める場合もございます。申請があった事業計画の設置場所について、大規模設備を意図的に小規模施設に分割しているケース、我々は分割案件と呼んでいますけれども、そうでないということを確認することとしています。これは実態上は大規模であるにもかかわらず、小規模に複数分割することで例えば安全規制を回避されてしまうという問題を防ぐための措置であるわけなのですけれども、その確認をするために、事業者に対して発電設備の設置場所の不動産登記情報のほか、その周辺の設備に係る土地に関する不動産登記や地図の提出を求めるということであります。
左下に絵がありますけれども、赤線の枠で事業を実施しようとする場合には、分割案件でないということを確認するために青枠のところの不動産登記であるとか、登記所備付地図の提出を求めるということがあるということであります。
右側には、ちょっと細かくなってしまいますけれども、例えばほかの事業者と共同して同じ事業者の連続を避けつつ複数の発電所を設置しようとする場合も、これは分割案件になってしまいますので、より広範囲の確認をする必要が出てくるということでございます。先ほど申し上げたような社会的問題を回避するために我々は必要不可欠な措置として取り組んでいるわけですけれども、一方で、申請事業者の作業負担が増えている、また、審査を行う上で審査の長期化につながっているといった可能性も否定できないと考えているところであります。
4ページ目をご覧ください。不動産登記情報にひもづく地図情報をオンラインで取得するためのメリットということで幾つか書かせていただいています。まず、申請事業者におかれては、法務局から不動産登記や登記所備付地図を取得するための事務負担が軽減されるということになろうかと思いますし、また、経産局の審査では、分割の案件の疑いが発生した場合には、不動産ベース・レジストリを活用することによりまして、経産局が直接そういった情報を確認するということが可能になり、審査期間の短縮につながると考えてございます。これらによって、申請者も迅速に認定を取得でき、円滑な事業開始につなげることも期待されるのではないかと思ってございます。
また、仮にベース・レジストリの情報提供を不動産登記情報のみに限定してしまった場合ですけれども、申請者が自ら登記所備付地図を法務局から取得することが必要になりますので、先ほどもこういったご説明がございましたけれども、申請者の負担軽減の効果が限定的になってしまうと理解してございます。
最後に、5ページ目をご覧ください。ベース・レジストリによる政策効果として試算をすると、年間1.7億円ぐらいの政策効果が期待できると思ってございます。この効果を実現するために、3点ほど意見を申し上げたいと思うのですけれども、1つ目は、先ほど申し上げたようにベース・レジストリから不動産登記情報と一緒に地図情報もオンラインで取得できるようになるということが大きいポイントだと思ってございます。また、審査に当たっては、これは最新の状態を保った形で提供いただけるということもとても重要であると思ってございます。また、FITの申請の審査に当たってはかなり膨大な手続になりまして、一部審査を外部の機関に委託しているということもございまして、できれば国からの業務委託を受けた機関においても情報の取得を可能としていただけるとありがたいと考えてございます。
以上、制度の実運用の立場からご説明させていただきました。ぜひニーズの一つとして、今後、ベース・レジストリの仕様を検討していただける際のご参考にしていただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
私からのご説明は以上でございます。
安念座長: 菊島室長、どうもありがとうございました。
それでは、ただいまいただきましたご説明についてご意見、ご質問等がありましたら、どうぞ。再三同じことをお願いして大変恐縮でございますが、時間が押しておりますので、ご発言をできるだけ簡潔にしていただければ大変幸いでございます。いかがでございましょうか。
それでは、南さん、高倉さん、板谷越さん、とりあえずその順番でご発言いただきましょうか。南さんからどうぞ。
南構成員: ありがとうございます。
今、おっしゃられたように、公的機関からの図面が必要なのは非常に分かるところであります。市町村としてもそれは非常に欲しいと思うのですけれども、そのほか、一定民間というか、例えば死亡によって相続された方から、遠方に相続権者がいた場合にどこに土地があるのか分からないという相談を市町村としてはよく受けます。そういったときにも、やはり市町村の課税の名寄せなどはあるのですけれども、その場所までというと、なかなかこれが先ほども申しましたように地籍調査がまだ100%終わっていませんから、当市の場合、4割ぐらいしか地籍調査は終わっていませんので、残りの部分の一部についてはいわゆる地番現況図があって、さらに残りはもともと山とか、そういうところが多いので、地番図さえもないところもございます。そういったものを照会するに当たっても、市民の方も見えるほうが非常に効果的なのかなと考えますので、それに応じて私どものほうでは地籍図の結果については土地対策課というところがやっているのですけれども、一定オンライン申請をして、オンライン申請の結果、お返しは郵送になるのですけれども、そういったオンライン申請を今年度から取り組んだりしております。
以上です。
安念座長: ありがとうございました。
それでは、高倉さん、お願いいたします。
高倉構成員: 実務者の観点から懸念点を申し上げたいなと思うのですけれども、この情報連携が単純に公用請求のデジタル化の延長であるならば、行政の職員の手間が増えることも想定されるのではないかと思います。
先ほど資源エネルギー庁の方もおっしゃっておりましたけれども、申請書の内容として、複数不動産の公図であるとか、登記事項証明書の添付を求められているような申請では、その情報を都度職員が入力することではかえって労力が増えるのではないでしょうか。これまでプレゼンしていただいた方々の共通したものとして、不動産登記データが全部ひもづけされて取得することができることを望まれています。
なので、このベース・レジストリ連携の望ましい姿としては、地図情報、法務局備付地図の情報を基礎として、その上に登記情報や家屋を含めた図面類の情報を載せるGIS化がベストではないのかと思います。この場合、地図を見れば情報は全て引き出せるので、職員のエネルギーや手間は省けるのではないかと考えています。また、災害時の被災家屋の特定であるとか、災害時にとっても有用ではないかと考えております。
以上でございます。
安念座長: ありがとうございました。
板谷越さん、どうぞ。
板谷越構成員: 先ほどの国税庁の方のお話と一致するのですが、税理士さんも公図等の確認をめちゃくちゃ地味にしていまして、なので、その利益を受ける対象として、考慮範囲に入っているとは思うのですけれども、計算内に入れてもらうといいかなと思いました。この前、弊社の税理士さんも公図の確認がすごく面倒だと言っていました。
以上です。
安念座長: ありがとうございました。
稲谷さん、どうぞ。
稲谷構成員: 稲谷です。ありがとうございます。
私も先ほどコメントがあった話と非常に重なってくるのですけれども、どちらかというと、今回、地図の話が両方とも出てきて、アドレスのほうもこちらのほうも出てきているというところからすると、本体は要するに一元的に使える地理空間情報のIDを付したデジタル化したデータベースみたいなものの整備に関するお話で、先ほど落合さんとのディスカッションでもありましたけれども、それを官民共同でうまくどんどんアップデートできるような形で整備していく仕組みをどうつくるのかというところがポイントなのかなと。
最近のインフラの老朽化についての話をすると、これは未来の話になるかもしれないですけれども、そこに地下も含めて考えていく必要がきっとあると思うのですけれども、本体は多分そのような地理空間情報に関するお話で、そこにアドレス・ベース・レジストリや不動産ベース・レジストリがひもづけされてのっかってくるみたいな形で整理していくという方向が本来は望ましいのかもしれないなということを全体の話を伺いながら思いました。また、そういった観点から、これまでの既存の施策みたいなものを、完成系との関係で何がどこまでできているのかというのを一度整理し直してみて、今、申し上げたような観点からだと、何がもう一歩足りないのか、どこにボトルネックがあるのかみたいな形で整理し直していくと今後の方向性を見つけやすいのかなといったことも、お伺いしながら思ったところです。
雑駁なコメントですが、以上です。
安念座長: ありがとうございました。
それでは、落合さん、隂山さんの順番にご発言をいただきましょうか。お願いします。
落合構成員: ありがとうございます。
今回のご要望などを伺っていて少し思いましたのは、登記簿謄本などの情報そのものだけではなくて、いわゆる公図や、また、恐らく登記の申請時の添付書面になっているような図面等があると良いというお話が、かなりの割合かとも思いました。こういった部分については既にあるものをどう出していけるかが一つのポイントになると思います。
また、その上で作業がという話がございましたので、そうすると、資料を特定したり図面の場所を特定したりといったユーザビリティー、デジタル化の使いやすさを意識したようなものがつくり上げられているのかが大事になると思ったのが2点目です。
こういったまずできるところで、また、提供するときにデジタル庁を経由しているからこそ、ユーザビリティー等を高めるという視点で整備をできる可能性があるもの、さらに、今まではオンラインでは出していないがデータでは持っているものと、その上で、さらに例えば最新性のご要望といった、幾つかの今できていないことをさらに追加していくもの、全く別なものをつくっていくことというので、幾つか種類があるかと思います。それぞれ分類して、どういうタイミングでどのように整備していくかを、少し整理して議論していけるといいと思いました。
以上です。
安念座長: ありがとうございました。
それでは、隂山さん、扇さんの順番でご発言をいただきましょうか。
隂山構成員: ありがとうございます。隂山でございます。
まず、不動産登記情報と地図等の情報をリンクさせ、情報を一元化できるという点につきましては、非常に大きな意義があると捉えております。実務的な目線からしましても、資料9の7ページや、10の3ページ、11の10ページ、12の5ページなどでも再三ご要望いただいているとおり、土地等の全部事項証明書を請求する際に、必要に応じて当該土地にひもづいた図面や地図等がオンラインで同時に請求できるといったシステムは非常に利便性が高いものだろうと考えています。
検討すべき点といたしましては、先ほど落合先生からもございましたけれども、現在備わっているものを活用するという観点から、登記事項証明書に記載される情報、そして地図・公図や図面等に記録される地図情報について、既存のものがそれぞれ別のシステムに格納されているということですので、これを一元化するといった際にどのようなコストがかかるのかという点の検討が要るのではないかと考えています。また、資料9の7ページに書かれております、情報の最新性が担保されているという要請につきましては、現状を見据えつつ、ご要請の事項の実現可能性につき、法制上の検討も必要ではないかと捉えております。
安念座長: ありがとうございました。
扇さん、いかがでしょう。
扇構成員: ありがとうございます。
既にキーのあるGIS等々のデータベースがあるのであれば、それをベースにして、あとはリンクをしていくという形がいいのかなと。これは先ほど来皆さんもおっしゃっていることですけれども、そこの考え方については私もアグリーでありまして、一方で、先ほど来出ていますように、メンテナンスのところをどうしていくのかというのは、ひょっとしたらこのプロジェクトを進めていく上で一番の懸念ということになっていくのだろうなと。
ですから、アップフロントでがっと体力をかけてというよりは、通常の民間も含めた業務の中で維持・メンテナンスができるようにしていくにはどうすればいいのだろうねと、そこを決してデジ庁だけで抱えないでくださいねということのような気がしております。
ちょっとコメントじみて恐縮ですけれども、以上です。
安念座長: ありがとうございました。
一通りはご発言いただけましたでしょうか。
増島さん、ご発言でしょうか。
増島構成員: ごめんなさい、ちょっと入りが遅れてしまったので、いろいろキャッチアップが大変だったのですけれども、なかなか大変だなと思いながらだんだんキャッチアップをしてきました。管理をする人と行政という人がいまして、権利を持っている人ということで個人を含む権利者がいて、サービスを提供する人という業者がいるみたいな構図の中でいろいろなものがぴたっとそろっていないもので、基本的にはメンテナンス部分がどうなっているのが一番効率が良いのだろうかということを考えたのですけれども、この三者がどのようにコラボレーションしていくのかという構造感というか、仕組みをもうちょっと考えないといけないのだろうなと感じます。
家などもどんどんなくなってしまうし、新しいものも建つというのがあるわけですけれども、それも勝手に行われることではなくて、台風などが起こると勝手に起こってしまって、それは行政がどうにかしないといけないと思うのですけれども、建て替えたり駐車場にしてしまったりというのは基本必ず誰か権利者がやっているけれども、実際にやるのは業者であるみたいな構図になっています。イベントトリガーが起こったときに誰がどのように動いていくと一番効率的で、きちんとこれがアップデートされていくのかというところのメカニズムが少し抽象化された形でも出てくると、たしかにアップフロントのところをどうするかは徐々にということだと思うのですけれども、メンテナンスをどのようにしていくかというところの仕組みは一定考えられるのかなと思いながら聞いていました。
今のところ良いアイデアはないのですが、ある程度そういう頭の使い方をしてはいかがかなと感じました。
安念座長: ありがとうございます。
皆さんから最新情報を得たいという当然のご要望があって、そうとなるとメンテなのだが、それをどこか一つで集中的にやれよと言われてもなかなかね。
増島構成員: 難しいと思うので。
安念座長: なかなか大変だと思いますね。課題として承っておきます。事務局のほうにも検討していただきたいと存じます。
いろいろありがとうございました。
【「不動産登記ベース・レジストリにおける地図の取扱い」の一部については、非公開】
安念座長: 非常に活発なご議論をいただきましてありがとうございました。
私の取りさばきが悪くて大分押してしまって誠に申し訳ございません。事務局には今日いただきましたご意見を参考にして、今後の計画立案等に役立てていただきたいと存じます。
最後に、事務局より事務連絡をさせていただきます。
杦浦参事官: 次回の会合ですけれども、4月25日金曜日の15時からということでよろしくお願いいたします。
また、議事録と会議資料につきましては原則公開となっておりますところ、最後の構成員のみの議事の部分は議事録及び公開資料からは省かせていただきますので、よろしくお願いいたします。
私からは以上です。
安念座長: 時間が過ぎているのにちょっと申し訳ないのですが、本会合は「ベース・レジストリ推進有識者会議」と、私のような高齢者には覚えられないので、何か略称がないかなということなのですが、杦浦さん、何か知恵はありませんか。
杦浦参事官: 何かこちらで特に考えていたりはしないのですけれども、英語名的には「Base Registry Advisory Board」みたいな感じで考えていますけれども、その辺から何かヒントがあればという感じです。
安念座長: それは片仮名にするとベラボウになってしまうわね。ブラボー、あるいはベラボウだな。ベラボウでいいですか、皆さん。べらぼうなことをやろうとしているのだから、ベラボウということにしておきますかな。皆さんご異存がなければ、我々の仲間内での申合せとして、長いのでフルネームで言わなければ我々はベラボウだということにいたしましょう。
それでは、以上をもちまして、第1回ベラボウこと「ベース・レジストリ推進有識者会合」を終了いたします。
長時間にわたって活発にご議論いただきまして、本当にありがとうございました。