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デジタル臨時行政調査会(第7回)

概要

  • 日時:令和5年5月30日(火)16時20分から17時00分
  • 場所:官邸4階大会議室
  • 議事次第
    1. 開会
    2. 議事
      1. アナログ規制の一掃に向けた取組の進捗と デジタル臨調の今後の検討課題
      2. 「国家公務員等の旅費制度の見直しについて」及び「政府の職場環境整備・人事管理へのデジタル技術活用等について」
      3. 意見交換
    3. 閉会

資料

議事録等

日時

令和5年5月30日(火)16時20分から17時00分まで

場所

総理大臣官邸4階 大会議室

出席構成員

会長

  • 岸田文雄(内閣総理大臣)

副会長

  • 河野太郎(デジタル大臣)
  • 松野博一(内閣官房長官)

構成員

  • 松本剛明(総務大臣)
  • 井上貴博(財務副大臣)
  • 中谷真一(経済産業副大臣)
  • 岡田直樹(内閣府特命担当大臣(規制改革)行政改革担当大臣)
  • 大槻奈那(名古屋商科大学ビジネススクール 教授/ピクテ・ジャパン シニア・フェロー)
  • 金丸恭文(フューチャー株式会社 代表取締役会長兼社長)
  • 宍戸常寿(東京大学大学院法学政治学研究科 教授)
  • 髙島宗一郎(福岡市長)
  • 綱川明美(株式会社ビースポーク 代表取締役社長)
  • 十倉雅和(日本経済団体連合会 会長)
  • 南場智子(株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役会長)
  • 村井純(慶應義塾大学 教授)

関係大臣等

  • 齋藤健(法務大臣)
  • 川本裕子(人事院総裁)

概要

大串デジタル副大臣: ただいまから、第7回「デジタル臨時行政調査会」を開催いたします。本日はご多忙の中ご参加いただき、誠にありがとうございます。司会進行を務めます、デジタル副大臣の大串です。よろしくお願いいたします。本日、村井構成員にはオンラインでご参加いただいております。それでは、議事に入ります。「アナログ規制の一掃に向けた取組の進捗とデジタル臨調の今後の検討課題」について、河野デジタル大臣よりご説明をお願いいたします。

河野デジタル大臣: 資料1をご覧ください。
1ページ目、デジタル臨調では、これまでアナログ規制の見直しなど、言わばマイナスをゼロに戻そうという取組を中心にやっておりましたが、今後はAI時代にも対応した積極的な内容、今後はゼロをプラスにする、そういう取組に重点を置いていきます。

2ページ目、これまでの取組の現状をご説明いたします。法令約1万条項につきましては、現時点で工程表に沿った確実な見直しをしているところです。今、国会でも一括法案の審議をしていただいております。

3ページ目、通知・通達等について、2,536条項につきまして、原則年内に必要な見直しを行うということで政府内、合意ができております。

4ページ目、テクノロジーマップにつきましては、今年の夏をめどに第1版を策定、公表してまいります。また、安全性の観点から技術検証が必要になる約1,000条項につきましても類型化し、ドローン、センサー、AIの活用といった横断的な形での検証を今年の夏から順次開始いたします。

5ページ目、代表的なものを載せております。法令約1万条項の見直しによる経済効果につきましても、分析を開始しておりますので、夏頃にはその第1弾もお示しします。

6ページ目、地方公共団体の取組についても支援を行ってまいります。今、手を挙げてくれている15の自治体をモデルとして、条例における見直しの課題を秋頃までに整理をして、年内にマニュアルを改訂するなど、自治体それぞれの取組の後押しを強化してまいります。押印を廃止した時と同様に政府でマニュアルをつくって、自治体にお配りしているところです。

7ページ目、今後のデジタル臨調の検討課題についてですが、課題1から3の3点を中心に取り組んでいきたいと思っております。
まず、8ページ目、行政・民間分野におけるデジタル完結の加速化です。
申請件数の多い主要な行政手続について調査・点検を行い、申請・届出について、2025年までに完全オンライン化を目指してまいります。今回、新しく200の処分通知のオンライン化にも着手いたします。今までは申請のほうではオンライン化を進めてきましたが、申請を受けた後の結果、この処分通知も含めて、年内をめどに具体的な見直しの工程表を作成していきたいと思っております。

9ページ目はご参考ですので説明を割愛し、10ページ目、行政・民間分野におけるデジタル完結の加速化です。
法制事務におけるAI等の活用や、官報電子化等の取組を推進して、法令関係の制度・事務についてもデジタル完結を図ってまいります。

11、12ページ目、AI時代に対応した官民のデータの整備、ベース・レジストリの整備に取り組んでいきたいと思っております。国民の利便性の向上のために、法人と不動産の登記情報、あるいは住所、所在地の情報を社会の基本データとしてのベース・レジストリとして整備して、官民の情報連携を加速させていきます。
例えば、全ての法人が資本金、住所、役員を変更すると、制度ごとに縦割りの届出を出して、それぞれの変更をしなければならないというのがこれまででございましたが、ベース・レジストリを変更することで全てぱたぱたと変えることができるようになります。あるいは宅配事業者の住所調査の業務負担、こうしたものも大幅に削減される。こうした具体的な効果が見込まれて、法人と不動産のベース・レジストリで、約2000億円分のコストが大幅に削減されます。法務省と連携をして、この仕組みを具体化するとともに、運用に当たっては、データのクレンジングや安定的な提供にノウハウのある国立印刷局などの知見も活用していきます。

13ページ目、官民データの整備に向けた横断的な取組を推進するほか、AIを活用する経済界の要望に係る見直しを実施し、デジタル分野の基準・標準整備にノウハウを持っておりますIPA(独立行政法人情報処理推進機構)とデジタル庁の連携強化を含め、年内をめどにアクションプランを策定してまいります。

14ページ目、課題の3点目「国・地方のデジタル関係の共通的な基盤の構築」についてですが、国民の利便性の向上、自治体の負担軽減を図るため、国、自治体、住民をつなぐ基盤の構築を進めるほか、自治体ごとのローカルルールの見直しも進めていきます。

15ページ目、ローカルルールの見直しにつきまして、可能なものから年内に取組方針を取りまとめます。また、デジタルマーケットプレイスについても、導入に向けて積極的に取り組んでいきます。
私からの説明は以上です。ありがとうございました。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。次に、国家公務員等の旅費制度の見直しについて、井上財務副大臣よりご発言いただきたいと存じます。

井上財務副大臣: ありがとうございます。財務省でございます。資料2をご覧ください。本日は、旅費制度の見直しについてご説明させていただきます。旅費制度につきましては、情報処理技術の進展や海外の宿泊料金の変動など、国内外の社会情勢の変化に対応できていない面があります。昨今の出張態様の変化やデジタル化の進展等を踏まえまして、より実態に沿ったシンプルな制度とし、業務効率化を進められるよう幅広く見直しを行う必要があると考えております。

旅費制度の見直しは全省庁に関わる課題でありまして、旅費法をはじめとする法令改正、業務プロセスの見直し、必要なシステムの更改に一体的に取り組むことが必要だと思っております。特にデジタル庁、行政改革推進本部事務局と連携し、現在、各省庁の意見をお伺いしながら検討を進めているところです。

こうした一体的な取組に基づきまして検討をした結果、財務省としましては、令和6年の改正法案の提出を目指させていただきたいと思っております。これにつきまして、関係大臣にはぜひともご協力をお願いいたしますようよろしくお願い申し上げます。
以上です。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。続いて、岡田規制改革担当大臣及び行政改革担当大臣、お願いいたします。

岡田内閣府特命担当大臣及び行政改革担当大臣: 行革担当として申し上げます。旅費業務については、ルールが複雑であるため、支給額の計算や審査に時間を要するなど、出張者と担当者の双方にとって負担が大きいとの指摘がございます。このため、法改正にとどまらず、業務の流れ全体を網羅的に把握して最適化するBPR、すなわちビジネスプロセス・リエンジニアリングの手法を用いて事務の効率化を図ることが重要と考えます。

先ほど井上財務副大臣からご発言がありましたが、行政改革を担当する立場から、財務省、デジタル庁と連携し、業務プロセスの効率化を進め、職員が真に国民のためになる仕事に力を注ぐことができる環境を整えてまいりたいと考えております。
以上であります。

大串デジタル副大臣: 次に、政府の職場環境整備、人事管理のデジタル技術活用等について、河野国家公務員制度担当大臣及びデジタル大臣、お願いいたします。

河野デジタル大臣: まず、国家公務員制度担当大臣として申し上げますと、国家公務員の人材確保の観点からも、職員のワーク・ライフ・バランスに応じた多様な働き方、これを引き続き推進し、行政内部のデジタル化とともに、時間や場所にとらわれないような柔軟な働き方、これを可能とする環境の整備にしっかり取り組んでいくことが必要だと思っております。

まず第1に、国家公務員の人事管理の分野につきましては、デジタル化の余地が非常にたくさんあると思っており、既存のシステムや、整備を進めている勤務時間管理のシステムだけでなく、業務経験などのデータを蓄積し一元管理をするとともに、各府省の人事管理を高度化させるような新たなシステムの将来設計というものを考えていきます。

また、先行して整備を進めてきた勤務時間管理のシステムにつきましては、テレワークやフレックスタイムの実施上不可欠でありますので、さらなる普及、それから、各府省において効率的な活用に資するよう、これも高度化を図っていきたいと思っております。内閣人事局、デジタル庁、人事院で連携して推進してまいります。

さらに、人事院における有識者研究会の提言も踏まえまして、テレワークを一層推進していくことが必要だと思います。特に、霞が関における民間との人材獲得競争が非常に激しくなっていく中で、有為な人材を任用、活用していくためには、全国どこからでもテレワークでの業務遂行ができる、そういう環境が望ましいと思っております。今後は、各府省のニーズを踏まえながら、デジタル人材の登用あるいは家族の介護などの特別な事情がある場合など、一定の要件の下に、まずこのような働き方を認めていきたいと思っております。人事院と連携をして、それを可能とするような制度上の見直しを進めてまいります。

次に、デジタル大臣として申し上げますと、こうした人事管理のデジタル化やテレワークの一層の推進に向けて、最大限デジタル庁としても、人事院あるいは内閣人事局に協力をしていくとともに、デジタル人材を含む民間人材の確保・活用について、引き続き人事院、内閣人事局のご協力を得て取り組んでいきます。

また、先ほどの旅費制度の見直しにつきましても、旅費の共通システムを所管する立場から、制度の見直しに対応して、簡素で効率的な事務手続が可能となるよう、しっかりと取り組んでいきます。そのためには、制度、業務、システム、これを一貫して見直していくことが必要で、財務省、行政改革推進本部事務局、デジタル庁が一体となって取り組んでいけるように頑張っていきたいと思います。ご協力のほど、よろしくお願いします。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。続いて、本日ご出席いただいております川本人事院総裁、お願いいたします。

川本人事院総裁: 人事院総裁の川本裕子でございます。デジタル時代にふさわしい霞が関への転換に向けて、優秀な人材の確保は重要な課題です。そのためにも、働きやすさとやりがいが実感できる魅力ある勤務環境を整備する必要があります。また、職員一人一人に配慮したきめ細かな人材マネジメントも求められます。これらの実現のためには、デジタルの活用が不可欠であると考えます。現在の人事院の取組を2点報告させていただきます。

第1に、柔軟な働き方の推進です。有識者による研究会の最終報告を踏まえ、職員がより一層柔軟に働けるよう、勤務時間制度について、本年夏に具体案を示します。また、テレワークのさらなる推進に向けて、実施する際のガイドラインの策定をはじめ、内閣人事局と協力して環境整備を進めます。

第2に、人材マネジメントにおけるデータ、デジタルの活用推進です。資料3としてお配りしておりますのでご覧いただければと思います。職員のモチベーションを向上させて、その能力を引き出すためには、きめ細かな人材マネジメントが必要です。個々の職員への配慮と効率性が両立した人材マネジメントの実施が急務な中、データやデジタルの活用が有効と考えており、内閣人事局、デジタル庁、各府省と緊密に連携して検討を深めてまいります。

今後とも、河野大臣をはじめ皆様と協力して、民間人材の採用推進に積極的に取り組むとともに、各府省におかれても、様々なバックグラウンドを持つ職員一人一人が能力を存分に発揮できる環境づくりを推進いただけますようお願い申し上げたいと思います。
以上です。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。ここから、ご出席の皆様にご意見をいただきます。まずは松本総務大臣、お願いいたします。

松本総務大臣: 総務省としても、住民サービスの利便性向上等に資する自治体DXの推進は大変重要であると認識しておりまして、自治体の行政手続のオンライン化の関係では、窓口のフロントヤード改革等を通じて、住民目線に立った行政サービスの充実に取り組んでいるところです。

総務省においては、子育て・介護等の31手続についてマイナンバーカードを活用したオンライン化を推進する中で、補助金を活用して、マイナポータルからの申請データを自治体の業務システムに自動連携するシステム構築の導入支援等の取組を進めてまいりました。

一方、自治体が優先的にオンライン化を推進すべき59手続の利用率は55%と、一部の手続で低水準にとどまるなどの課題もあることから、現場の声も聞きながら、申請率の向上や、それに伴う業務の効率化を高める方策を検討してまいります。

住民サービスの利便性向上の観点からは、自治体へのオンライン納付、キャッシュレス納付も重要でありまして、総務省では、今年4月から地方税統一QRコードを活用した地方税の電子納付を開始し、その他の公金についても、令和8年9月までの開始を目指してまいります。

また、今国会で成立した地方自治法改正により、原則として全ての公金の収納事務について、私人に委託できる、つまりコンビニ納付ができるように委託をするとなるということで、キャッシュレスなどにもつながると思っております。

デジタル関係の共通的な基盤となるデータ整備につきましても、公的統計基本計画に基づいて、機械判読可能な形式での統計データ提供の拡充やメタデータの整備等の取組を進めているところです。今後ともこうした取組を進めて、自治体をはじめDXを推進してまいりたいと思います。
以上です。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。次に、齋藤法務大臣、お願いいたします。

齋藤法務大臣: 法務省においては、現在、デジタル社会の実現に向けた取組の一環として、国民の利便性の向上等を図るための司法・法務行政のデジタル化の取組を積極的に進めているところであります。その上で、先ほど、河野大臣からご発言ありました商業・法人登記情報及び不動産登記情報をベース・レジストリとして活用していくことにつきましても、行政機関等や国民の負担の軽減や、民間事業者の業務の効率化にもつながるものであることから、法務省としても積極的に連携、協力してまいりたいと考えています。

現在においても、登記情報は、様々な要請に基づいて国の行政機関や地方公共団体に対して書面や電子データの形式などで提供していますが、幅広くベース・レジストリ経由に一本化、集約していくことが重要だと考えています。

なお、データ提供を具体的に進めていくに当たっては、登記制度との整合性を図る必要があるほか、登記情報の提供に要する経費の負担の在り方を整理していく必要があると考えています。
法務省といたしましては、ベース・レジストリを含め、引き続き、デジタル庁をはじめとする関係省庁と緊密に連携しつつ、デジタル社会の実現に向けた取組をしっかりと進めてまいります。
以上です。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。そのほか、ご発言のある方は挙手をお願いいたします。なお、ご発言は簡潔にお願いいたします。それでは、十倉構成員、お願いいたします。

十倉構成員: 経団連会長の十倉です。岸田総理、河野大臣におかれましては、デジタル規制改革の推進の一括法案をお取りまとめいただき、感謝申し上げます。経済界として早期の成立を期待しております。資料7を提出いたしましたが、簡潔に3点申し上げます。

1点目は、デジタル完結の加速・徹底です。経済界からも強い期待のある分野であり、2025年までにエンド・ツー・エンドのデジタル化を着実に実現するようお願い申し上げます。技術検証の推進、民間取引のデジタル化などを通じ、経済界もともに取り組んでまいります。

2点目は、地方行政のデジタル化です。国民が利便性を実感できるよう、BPRの徹底を前提として、国・地方の取組を横断的かつ一気呵成に進めていただくことを期待しております。

3点目は、マイナンバーを活用したデータ連携です。さらに、防災、医療、教育などの準公共分野におけるデータ基盤構築が実現すれば、付加価値の創出と社会全体のDXの加速につながります。残る集中改革期間をフル活用して、取組を進めていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
私からは以上でございます。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。続きまして、南場構成員、お願いいたします。

南場構成員: デジタル原則の下での進捗、非常にスピーディーに進んでいると思います。かねてからテクノロジーマップ、技術カタログについて発言をしていましたけれども、こちらについては、各省庁が実際にそれを参照するのか、その実効性が課題と申し上げてきていましたが、一括法で活用の努力義務が課されたことは、一歩前進ということで評価したいと思います。

今後は、次々に生まれる新しい技術がカタログに反映されるかどうかということが非常に重要になってくると思います。ダイナミックなものにしていかなければいけないと思っています。国がデジタルの活用で実現したいことをしっかりと示して、それを満たすことができる技術を捕捉できるようにするべきです。スタートアップを含め多くの企業がデジタル庁で先進技術を定期的に募集していて、それがビジネスになるかもしれないということを知っているという状態をしっかりとつくっていただきたい、より一層の工夫をしていただきたいと思います。

それから、アナログ規制の一掃をということで、マイナスをゼロというところはこれまで取り組んできて、これからゼロをプラスにということに重点を置きたいというお話がありました。これは非常に重要な視点だと思います。本当に、今後、攻めに転じて、デジタル技術によってイノベーションが起きる社会制度を構築していく必要があります。

例えば、どんなに自動化が進んだとしても、最終的な責任の帰属を人間に置きっ放しの制度にしておくと、例えば完全自動運転も、それから、資格者の常駐義務とかも撤廃できないわけです。こうした点を含めて、今後は、イノベーションや最新技術の社会実装を阻害するような規制の見直しを大胆に実行していくべきと考えます。
以上です。

大串デジタル副大臣: ありがとうございました。続きまして、髙島構成員、よろしくお願いいたします。

髙島構成員: 福岡市長の髙島でございます。資料6をご覧ください。アナログ規制の一掃に目途がついたということで、岸田総理及び河野大臣の実行力に敬意を表したいと存じます。

ご参考に1つご報告をすると、前回、綱川構成員が自治体からCD-ROMを求められたというお話を参考にしまして、福岡市では目安箱というものをホームページに設け、会見もして皆さんに募集したのですが、福岡市は、行政手続のオンライン化率が、現在92.1%に達しているわけでございますけれども、それでも、こうやって目安箱をつくってみたところ、「図面のデータをCD-ROMで取りにいくよう言われる」と、こういった声も実は現場ではあったということも出てきて、すぐに見直しました。

一方、そうした中には、マイナンバーカードの住所変更手続など、国の法令などによって見直し困難というものも多数ございました。引き続き、国民目線で運用面も含めて隅々まで点検を進めていただきますようお願い申し上げます。

真ん中の部分で「今こそ国と地方の関係をアップデート」ということで、人口減少社会において行政サービスの質を維持していく観点から、デジタル臨調の今後の検討の方向性に大いに賛同いたします。自治体の窓口というのは、本当にいつもたくさんの電話に追われています。福祉などについては、ほとんどが国の制度に基づくものなので、一般的な内容についてはコールセンターとかチャットボットなどの共通の基盤を国で整備をしていただきますと、回答の精度も高まりますし、また、自治体は人的資源を個別の相談など、人のぬくもりの必要な業務にもっと充てることができるわけです。

自治体の業務には、地域の特性を生かして実施する「競争分野」、そして、一律に効率よく実施すべき「協調分野」があるわけですが、トータルコストの削減、それから、サービスの効率化を図る目的で、国で基盤の整備を行うことは、最少の経費で最大の効果をという地方自治法の趣旨とも合致すると思います。デジタル技術が向上してマイナンバーカードが普及した今こそ、国と地方の関係をアップデートすべき時が来たなと思っています。

最後に、マイナンバーカードについて、昨今、課題が浮き彫りになっていると言われますが、これは、マイナンバーカードの制度そのものの問題ではなくて、あくまでも人の手の介在によるヒューマンエラーであると思っております。簡単に言うと、一人の人の登録をしたら、人の手でログアウトしてもう一回ログインするというようなことではなくて、仕組み上、システム化すれば人が介在しなくても済むようなことですので、ぜひ、これを機にしっかり点検をして、現場の業務フローを想定したヒューマンエラーが起きないようなものに見直していただき、より信頼できるデジタル基盤として、さらなる成長を期待しております。
以上です。

大串デジタル副大臣: ありがとうございました。続きまして、綱川構成員、よろしくお願いいたします。

綱川構成員: 本日は1点ご提案です。国主導による自治体の住民向けシステムの統一化、効率化についてです。
マイナンバーカードの普及が進みましたが、まだ課題もたくさん残っています。例えば高齢で介護が必要になった親を遠方の実家から呼び寄せるようなケースでは、住民票の移動はマイナポータルで手続ができるようになりました。ただ、マイナポータルを使うと、今度は介護保険関係の書類が郵送対応できなくなってしまいます。なので、結局、窓口まで出向かなくてはならないケースもあると聞きます。住民票をオンライン手続で移動させるだけで介護保険関係で必要となる情報も転居先の自治体に自動的に提供され、その他の、例えば印鑑登録なども自動的にスライドすると。システム的には難しい話ではないように思っています。こうした仕組みの実現は、今のような、各自治体がばらばらに関連システムをつくるアプローチでは難しいのではないでしょうか。国民がどの自治体にいても使う重要なサービスに関するシステムは、国がシステムをつくり、普及するような仕組みが必要だと思います。

自治体の現場にはデジタルに不慣れな方もたくさんいらっしゃいます。税金の使い方として気になるケースも見受けられなくもありません。本日、ご提案のDMPの取組もぜひ実現していただきたいと思いますが、さらに踏み込んで、国主導でシステムを構築、普及していけば、先ほど申し上げた理想的な住民サービスが実現するだけでなく、国全体でのシステム発注の効率性が格段に改善され、自治体スタッフのマンパワーをほかの分野でも活用することも可能になると思います。ぜひ政府を挙げて、自治体のシステムがばらばらに調達されている問題について、さらに踏み込んだ対応をお願いできればと思います。
以上です。

大串デジタル副大臣: ありがとうございました。続きまして、金丸構成員、よろしくお願いいたします。

金丸構成員: ありがとうございます。アナログ規制の見直しの成果は高く評価しています。このまましっかり進めていただきたいと思います。

マイナンバー制度関連の幾つかの問題については、予見可能だったのではないかと思います。マイナンバーシステムは、本来、とっくの昔に完成して基盤として機能しているべきですが、残念ながら現状はそうなっておりません。コンビニでの住民票交付などの問題は、そもそも人的ミスが起きないような設計をするのが基本です。より本質的には、紙の住民票を出す必要がない世界を考えるべきです。2021年に閣議決定された「構造改革のためのデジタル原則」は、実はよくできています。UI、UXだけではなく、バックオフィスで行われる業務を含めてしっかりデジタル完結、自動化原則を改めて徹底するべきです。

また、真のデジタル完結を実現するためには、相互運用性確保原則にのっとり、必要なデータを適切に連携し、システム間のデータ再利用を基本とすることや、共通基盤利用原則にあるとおり、医療・教育など縦割りで構築されつつあるシステムの標準化、共通化を進めることなどを必須要件としていかなくてはなりません。そのためには、デジタル庁がせっかく与えられている各府省のシステムを横断的に統括管理する権限をもっと積極果敢に行使し、企画設計段階からデータや業務フローの最適化を図り、標準化、共通化、相互連携確保を主導する必要があると思います。

また、住民の情報は自治体が管理しているものですが、国と地方の関係の見直しという観点からも、国民にとって最適なものとするため、システムだけではなく、これまでの枠組みや前提、制約をゼロベースで見直し、情報連携やサービス提供が円滑に行えるようにしていくべきだと考えます。デジタル庁は、さらにしっかりデジタル完結を目指して進めていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。

大串デジタル副大臣: ありがとうございました。続きまして、大槻構成員、よろしくお願いいたします。

大槻構成員: ありがとうございます。資料4をご覧いただければと思います。

規制改革推進会議議長の大槻と申します。当会議では、現在、お手元の資料の項目に取り組んでおります。例えばですが、ローカルルールの見直し、医療データ等の利活用、AI等新技術のための環境整備などが含まれておりますが、詳細につきましては、近々、答申を取りまとめ次第、ご説明させていただければと思います。

私は金融のほうにおりますが、現在、日本の株式市場はバブル後の最高値に沸いております。これには、もちろん市場環境、有力投資家の動きなどがありますが、加えまして賃上げ、市場改革等、日本の構造的な変化に対する海外からの見直しがあります。ところが一方で、これは一過性のブームでしょうというようなさめた見方も多くあるのが現状です。現在の流れを継続させるには、イノベーションや生産性の向上などが重要であることは言うまでもございませんけれども、我々がヒアリング等をさせていただいている規制改革要望者の中には、依然として過度なゼロリスク思考や既得権益の過保護などで、成長の芽を阻まれている例が少なからずあるのが残念な現実です。これからも、岡田大臣の下、デジタル臨時行政調査会と連携し、こうした阻害要因を地道に一つ一つ解きほぐして、イノベーションを止めない規制の実現に努めていきたいと思っております。ご支援のほど、何とぞよろしくお願いいたします。
以上です。

大串デジタル副大臣: ありがとうございました。続きまして、村井構成員、よろしくお願いいたします。

村井構成員: 私からは、資料8を提出しておりますが、3点申し上げます。
1つは、データに関してはベース・レジストリ、その他が発展してきてとても良いと思います。また、AIの話題もありましたけれども、同時にオープンデータを利用できる環境をつくっていく、特にAIのプロセスなどで利用できる、こういうことが重要だと思います。このデータ戦略が1点目です。

2点目は、インフラですけれども、今回のウクライナの件などでも分かりますが、デジタル環境というのは電力が必須となります。やはり、きちんとした電力の安定した供給の基盤を全国につくっていくための様々な規制の見直し等々が必要であり、それが強靭なデジタルのインフラストラクチャーを支えるのだと思います。

もう一つはGPSです。位置情報は、アメリカのFCCがスタートしたよりも早く、日本では100%の携帯電話が位置情報をサービスするようになったのですけれども、今、ヨーロッパでもアメリカでも、これに高さの情報を入れようというような新しい、かつ、GPS衛星に異存しない位置情報の計画が進んでいます。日本はこれを先導できるのではないかと思います。特に津波等々の災害から守るためには、高さを含めた新しい測位の環境を地上に用意する必要があり、日本はこれができると思います。
以上でございます。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。大変申し訳ありませんけれども、終了時間が迫っておりまして、残りのご発言につきましては、後日議事録に掲載いたしますので、発言内容を事務局までご連絡いただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。それでは、岸田総理より締めくくりのご発言をいただきます。総理、お願いいたします。

岸田内閣総理大臣: 本日のデジタル臨調は、コロナ禍であらわとなったアナログ規制を一掃する、言わばマイナスをゼロに戻す取組から、新たなデジタル時代を見据えた取組、言わばゼロからプラスへと発展させる取組にシフトする、ターニングポイントとなります。

アナログ規制の見直しは、法令のみならず国の運用ルールも含めて一定のめどが立ちました。既に建設、インフラ等の様々な分野での人手不足解消に資する見直しが進んでおり、今後も着実に取組を前に進めます。

また、子供関係の給付等、主要な行政手続の申請については、全てデジタル化の方針が決まりましたが、審査結果の通知も含め、手続のデジタル完結に向けた工程表を年末までに策定します。

また、マイナンバーカードへの信頼確保に向けては、一連の事案に関する全てのデータやシステムの再点検を行うとともに、ヒューマンエラーを防ぐデジタル化を徹底する、インシデント等への対応に関する体制を強化するなど、河野大臣を中心に対策を講じていきます。

AI時代に適合した官民データの整備も進めます。法人や土地の登記情報や住所・所在地情報を自動処理可能なベース・レジストリとして、各省間で連携させる取組は、行政はもとより国民の負担を大きく軽減します。官民データの戦略的な整備と活用に向けて、デジタル庁と関係機関の連携体制の在り方を含め、アクションプランを年内に取りまとめます。

デジタルの力を活用し、行政の事務についても抜本的に見直していきます。官報の電子化を含め、法制事務のデジタル化を着実に進めるとともに、国家公務員の人事管理のデジタル化、テレワーク等の柔軟な働き方の推進、旅費制度の見直しを進めます。また、自治体ごとに異なるローカルルールの見直しなど、国・自治体を通じた行政サービスの見直しを進め、住民や事業者の利便性を高めていきます。

デジタル臨時行政調査会は、本日から新たな局面に入り、これまで以上に政府一丸となった取組を進めていく必要があります。河野大臣を中心に関係大臣が協力して取組を加速してください。

大串デジタル副大臣: ありがとうございました。以上をもちまして、本日の「デジタル臨時行政調査会」を終了いたします。本日は、ご多忙の中、ご参加いただきまして誠にありがとうございました。

※会議終了後、事務局に提出のあった「発言要旨」は以下のとおり。

【提出者:宍戸構成員】※資料5の内容と同一
当調査会の今後の検討課題について、以下のとおり意見を述べる。

検討課題すべてを通じて、G7広島首脳会合及び高崎デジタル・技術大臣会合において強調された、「民主的価値及び法の支配」へのコミットメントが貫かれるべきである。
上記コミットメントは、イノベーションや改革の障害などではなく、官民を通じてデジタル改革を加速・実現するための適切なガバナンスの指針であり、日本における取組が諸外国との相互運用可能性を確保するための前提条件でもある。
官民を通じたデータ流通とデジタル完結が進めば、迅速で効果的なサービスや行政事務の遂行が可能となる反面、そこでの誤りや差別の影響も大きくなる。そこで、本調査会や部会、関係省庁での各検討において、公平性・包摂性等の民主的価値、自由・正義・公正といった法の支配の要請を常に意識し、信頼性のある自由なデータ流通や人間中心のAI原則を実現していくべきことを強調したい。

国・地方のデジタル関係の基盤構築については、第1回会合で述べたとおり、「分権か集権か」の二項対立ではなく、住民である個人の視点に立って、基礎自治体・広域自治体・国の役割配分を見直し、とりわけ自治の拡充・実現に役に立つデジタル基盤の提供が国の役割であることを、地方自治法等で明確化すべきである。
基盤構築における国と地方の協働のあり方、とりわけ地方にとって使いやすく、現場の声・知恵を吸い上げるPDCAサイクルについても、検討すべきである。
なおこれらの点は、既に当調査会の議論を踏まえて地方制度調査会でも検討を進めており、それとの有機的な連携が重要である。

行政手続について申請や通知のデジタル完結に向けた取組は進んでいるが、本体となる処分等についての決定それ自体ないし補助手段としてのAIのあり方まで考えなければ、真の意味での「デジタル完結」ではない。
この点、AIに関して損害が生じた場合の責任制度の検討は、当調査会が掲げるデジタル原則、とりわけアジャイルガバナンス原則を実装する上で不可欠であり、政府全体で早急に進めていくべきである。加えて、物理的な損害にとどまらず、自動決定による差別等の社会的問題やそのリスクを適切に管理するガバナンス・監査の仕組みなどについても、検討のアクションプランに載せていくべきである。

以上