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デジタル臨時行政調査会(第2回)

概要

  • 日時:令和3年12月22日(水) 16時40分から17時25分まで
  • 場所:総理大臣官邸2階大ホール
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. 牧島大臣プレゼン:デジタル時代の構造改革とデジタル原則の方向性について
      2. 夏野委員プレゼン:規制改革推進会議の取組について
      3. 総務大臣プレゼン:デジタル田園都市国家構想推進のための 総務省の取組(デジタル基盤の整備促進等) について
      4. 経産大臣プレゼン: 経済産業省の取組について
      5. 意見交換
    3. 閉会

資料

参考資料

議事録等

日時

令和3年12月22日(火) 16時40分から17時25分まで

場所

総理大臣官邸2階 大ホール

出席構成員

会長

  • 岸田文雄(内閣総理大臣)

副会長

  • 牧島かれん(デジタル大臣)

  • 松野博一(内閣官房長官)

構成員

  • 金子恭之(総務大臣)

  • 鈴木俊一(財務大臣)

  • 吉川ゆうみ(経済産業大臣政務官)

  • 金丸恭文(フューチャー株式会社代表取締役会長兼社長)

  • 宍戸常寿(東京大学大学院法学政治学研究科教授)

  • 髙島宗一郎(福岡市長)

  • 綱川明美(株式会社ビースポーク代表取締役社長)

  • 十倉雅和(日本経済団体連合会会長)

  • 夏野剛(株式会社KADOKAWA代表取締役社長)

  • 南場智子(株式会社ディー・エヌ・エー代表取締役会長)

  • 村井純(慶應義塾大学教授)

概要

小林デジタル副大臣: それでは、ただいまから第2回「デジタル臨時行政調査会」を開催いたします。

皆様におかれましては、ご多忙の中、ご参加、ありがとうございます。

司会進行を務めますデジタル副大臣の小林史明でございます。

本日、萩生田経済産業大臣が遅れて参加を予定されているため、代理として吉川ゆうみ経産政務官にご出席をいただいております。なお、吉川政務官は本会合の最後までご出席いただく予定でございます。※

それでは、議事に入りたいと思います。「デジタル時代の構造改革とデジタル原則の方向性について」、まずは牧島デジタル大臣よりご説明をお願いします。

※萩生田経済産業大臣は、遅れての参加を予定していたが、予定がつかず欠席。

牧島デジタル大臣: お忙しいところ、ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。デジタル・規制改革・行政改革担当の大臣の牧島かれんです。

資料1「デジタル時代の構造改革とデジタル原則の方向性について」に基づいて、第1回目の会合同様、今日も活発なご議論をいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

3ページ目、「構造改革のためのデジタル原則(案)の全体像」というところから説明をさせていただきます。

デジタル社会の実現に向け、デジタル・規制・行政の全ての改革の共通指針として、5つの原則を整理いたしました。

原則1の「デジタル完結・自動化原則」では、書面、目視、常駐、実地参加等を義務づける手続・業務について、デジタル処理での完結、機械での自動化を基本とすること等を示しています。

原則2の「アジャイルガバナンス原則」では、一律かつ硬直的な事前規制ではなく、リスクベースで性能等を規定することなどを示しています。

原則3の「官民連携原則」では、ユーザー目線でベンチャー等の民間の力を最大限発揮できるような新たな官民連携を可能とすることを示しています。

原則4の「相互運用性確保原則」では、国・地方公共団体や準公共といった主体・分野間のばらつきを解消し、システム間の相互運用性を確保することを示しています。

原則5の「共通基盤利用原則」では、ID、ベースレジストリ等については、官民で広くデジタル共通基盤を利用することなどを示しております。

1ページ飛ばしまして、5ページ目、こちらでは、次に規制・規律がデジタル原則に適合しているかどうかを点検する際の対象としては、国が定める規制として、法律、政令、省令に加えて告示、通知・通達などの全体で約4万以上が該当することになります。また、見直し結果などの情報提供や先進的な取組事例を紹介することなどにより、地方公共団体の取組も後押ししてまいります。

次の6ページ目、規制改革会議において、先行して建設業の技術者、サービス付き高齢者向け住宅の有資格者、電気主任技術者の選任要件等の見直しに取り組んでいただきました。

7ページ目では、制度・規制の見直しの考え方を示させていただきました。先行事例を突破口に、横断的に見直していきたいと考えています。約4万以上の法令や通知等の中から、まずは、目視規制、定期点検・検査、先ほど紹介しました常駐・専任規制、証明書・講習・閲覧に対面・書面を求めていると思われる規制について、省令以上の法令を事務局において洗い出した結果、約5,000の条項が該当しました。今後、各府省庁と連携して、点検と必要な見直しを進めてまいります。

また、約2万以上の行政手続について、オンライン化とオンライン利用率の引上げに取り組んでまいります。

8ページ目に参ります。オンライン化等による行政手続コストの20%削減による経済効果は、1.3兆円という推計もなされております。

また、押印廃止等により様々なサービスを提供するスタートアップが立ち上がり、市場規模は2019年度から2021年度にかけて約3倍に拡大しています。

9ページ目からは点検対象を記させていただいておりますが、少し飛ばして15ページまで参ります。既存の規制に関する適合性点検作業の進め方というスライドになります。

今後の進め方として、デジタル原則に照らして点検作業を進め、来年春には一括的な規制見直しプランを取りまとめます。その上で、必要な場合には技術的検証を行いつつ、法令の一括見直しの具体化などを進め、約3年間の集中改革期間で、デジタル原則への適合を実現していきたいと考えております。

16ページ目、今後、法制事務のデジタル化に向けてリーガルテック/レグテック等を活用しつつ、新規法令のデジタル原則への適合性の確認プロセス・体制構築の検討を進めたいと考えています。

17ページ目、デジタル社会の実現に向けて、リアルタイムデータ等を活用して柔軟に政策の見直しを行うアジャイル型政策形成・評価について検討するため、12月9日の行政改革推進会議における総理の御指示を踏まえ、当会議の下にワーキンググループを来年1月に設置し、議論を開始します。

このワーキンググループの中で、各府省庁のアジャイル型の政策形成をサポートするレビューも新たに実施し、来年6月を目途にとりまとめ、議論の結果をデジタル臨調に提示したいと考えております。

少し飛ばしまして19ページ目になります。医療・教育・防災・子どもなどの準公共分野において、データ連携プラットフォーム構築などシステム・制度の一体的検討を行ってまいります。

以降の頁は参考資料となります。

以上、「デジタル時代の構造改革とデジタル原則の方向性について」、説明をさせていただきました。ありがとうございました。

小林デジタル副大臣: 牧島大臣、ありがとうございました。

それでは、続いて規制改革推進会議の取組について、夏野構成員よりご説明をお願いします。

夏野構成員: ありがとうございます。

私からはまず、この場をお借りして、私が議長を務めさせていただいている規制改革推進会議の取組について、総理にご報告させていただきたいと思います。

本日の午後、牧島大臣を始め政務三役の方々もご参加の上、本会議を開催いたしました。 本年8月からの調査・審議の結果を中間的にまとめるということを行っております。

資料2の2ページ目をご覧いただきたいと思います。今回の中間取りまとめに当たっては、まずは規制改革の基本的な方向性を整理しております。

規制改革の目的として、新たな資本主義の考え方を踏まえて、人が生み出すことのできる付加価値や活躍の機会を増やすということが規制改革の主眼である。人々が活躍する場となる新たな成長産業を創出し、経済成長を実現すること、これが規制改革の目的だと定義しております。その上で、改革の重点分野としてスタートアップ・イノベーション、人への投資、医療・介護・感染症対策、地域産業活性化の4つを位置付けるとともに、全ての分野に通底するデジタルというものを基盤として規制改革を推進してまいりたいと思っています。この基盤のところにデジタルと書いてございます。

次のページをご覧ください。具体的にデジタル臨調との連携により、デジタル・規制・行政改革を一体的に推進するために、先行的取組を横断的改革につなげるべく、行政手続のオンライン化や建設業技術者の配置要件など常駐・専任規制を見直すとともに、デジタルとリアルの改革を有機的に連携するために、希望する全ての児童・生徒が1人1台端末を持ち帰ることができる環境整備や、医療DXの基盤としてのオンライン診療、オンライン服薬指導、電子処方箋に関わる改革を進めてまいりたいと思っています。

また、個々の人が活躍する生活の現場・地域における改革として、外部人材の教員登用や個人事業主の事業承継時の手続の簡素化を図ります。

次の4ページをご覧ください。本日の本会議においては、さきにご説明申し上げた規制改革の方向性に沿って、ワーキンググループを改組することも決定いたしました。

また、ファストトラックプロセスというプロセスを新しく位置づけて、細かい案件についてもスピードを持って対応できるようにしたいということを決議しております。

以上が規制改革推進会議のご報告になります。

次に、構成員として、牧島大臣のご説明を受けて発言させていただきたいと思うのですけれども、牧島大臣のご説明にもありましたように、デジタル臨調との連携は非常に重要だと思っております。特に我々が規制改革推進会議で先行的に取り組んでいるものの横展開は、規制改革推進会議では非常に難しいテーマであります。一方で、規制改革推進会議ではかなりシンボリックに重要なイシュー、例えば判子の問題とか、建設業の問題とか、こういったものを取り上げて、ここを何とか改革していくことができれば、横への展開をデジタル臨調でやっていただくという、その先駆けとして、規制改革推進会議は来年以降も規制の改革をやっていきたいと思っています。

また、デジタル面から法制度的なものについてきちんと検討する考え方を牧島大臣に示していただきました。これは非常に重要だなと思っていまして、仕組みの中にデジタルというものをきちんとチェックする機能あるいは機関があると、政府がうまく回るのではないかと思いました。

以上でございます。

小林デジタル副大臣: ありがとうございます。

それでは、続いてデジタル田園都市国家構想推進のための総務省の取組について、金子総務大臣よりご説明をお願いいたします。

金子総務大臣: 総務大臣でございます。

資料3、32ページからご説明をさせていただきたいと思います。

まず、デジタル田園都市国会構想推進のためのデジタル基盤の整備促進について、総務省の取組の方向性をご説明いたします。資料をご覧いただきたいと思います。

右肩の1という数字を見ていただきますと、デジタル田園都市国家構想の推進のためには、デジタル基盤の都市と地方での一体的整備が不可欠であり、光ファイバー、5G、データセンター、海底ケーブル等が特に重要となります。

光ファイバーにつきましては、次の右肩の数字の2のページをご覧いただきたいと思います。

光ファイバーの整備をさらに進めていくためには、現在の施設整備補助に加えて、維持管理費の支援が不可欠であります。このため、電気通信事業法を改正し、ブロードバンドをユニバーサルサービスと位置づけ、維持管理費の支援の制度化を進める考えであります。当面の目標として、2030年までに99.9%の世帯をカバーいたします。

次に、5Gについてご説明いたします。右肩の数字が3のページになります。

これまで5Gを全国的に展開する基盤として親局の整備を進めてまいりましたが、今後は子局の設置の加速により、人口カバー率の向上も重要となります。現状ではまだ5G基地局の数に地域差があります。このため総務省としては、記載のとおり事業者に対する基地局等の追加的整備の要請、補助金や税制の要件の見直しなどを進める考えであります。当面の目標として、2023年度までに人口カバー率を9割に引き上げます。

光ファイバーと5Gについては、今年度中に総務省においてこれらの当面の目標を上回る目標を設定し、その実現のための新たな整備計画を策定、公表いたします。

最後に、データセンター、海底ケーブル等について、右肩の数字が4のページをご覧ください。

データセンター等の東京圏への集中や、海底ケーブルのミッシングリンクは、耐災害性の観点からも課題であります。このため、総務省では日本海側を周回する国内海底ケーブルであるデジタル田園都市スーパーハイウェイの3年程度での完成などに取り組みます。これらのデジタル基盤の強靱化についても、整備計画を策定いたします。

総務省としては、これらの施策により、構想の実現に不可欠なデジタル基盤の整備促進に強力に取り組んでまいります。

次に、先ほど牧島大臣からご説明のあったデジタル時代における政策の形成・評価について申し上げます。

デジタル時代には、状況変化にスピーディーに対応するために、政策改善のサイクルを素早く効率的に回していくことが、これまで以上に重要になってまいります。行政の改善機能を担う総務省として、今後、政策評価審議会の協力も得ながら、政策評価制度の見直しなどについて議論を進め、来年6月を目途に具体的な方策をご報告いたします。

以上であります。

小林デジタル副大臣: ありがとうございます。

続いて、経済産業省の取組について、吉川政務官よりご説明をお願いします。

吉川経済産業大臣政務官: 経済産業省でございます。萩生田大臣に代わりまして、私、吉川がご報告申し上げます。

まず、産業保安分野における規制のデジタル対応という資料をご覧いただければと存じます。デジタル社会を実現するためには、全ての規制やシステムがデジタルにしっかりと対応していかなければなりません。本日、事務局より提示があった5つのデジタル原則を今後の改革の羅針盤として、既存の法令を総点検し、一括して見直す作業に政府が一丸となって取り組むことが重要であると考えております。経済産業省におきましても、直ちに着手できるものから着手するなど、しっかりと対応してまいります。

また、この見直しに当たりましては、安全確保に関する規制を含め、聖域を設けずにこうした取組を進めることが重要であると考えております。

例えば産業保安分野におきましては、安全確保の観点から丁寧な議論が求められておりますけれども、経済産業省におきましては、電力、都市ガス及び高圧ガスの分野において、今年1年をかけ広範なステークホルダーと精力的な議論を重ねてまいりました。そして、その結果、規制のデジタル対応の先駆けとして、テクノロジーを活用しつつ、自立的に高度な保安を確保できる事業者につきましては、その保安力に応じて手続や検査の在り方を見直していくことを、先日、審議会において取りまとめたところでございます。

さらに、世界的にはデジタル覇権をめぐる争いが激化している状況であり、国民が安心して新たなデジタル社会を享受できるようにするためには、このデジタル化を支える国内の産業基盤をしっかりと整備することも重要でございます。

デジタル社会の実現に向けては、こうした国家としての自立性あるいは主権の確保という観点も踏まえながら、しっかりと検討を進めることが重要であると考えております。

以上でございます。

小林デジタル副大臣: ありがとうございました。

ここからはご出席の皆さんにご意見をいただきたいと思います。ご発言のある方は挙手、そしてオンラインで参加の宍戸構成員は挙手機能を用いてご発言をお願いします。

それでは、村井先生。

村井構成員: 2点お話しします。

1点目は今、牧島大臣から説明がありました制度・規制を見直す考え方について、法令、通知、手続をしらみ潰しに調べて、各省庁に頼んでいくことは、20年前のIT政策のときも、書面一括法で法律を変えるために、法律を全てチェックして、各省庁に行ってお願いをしたことを覚えていますけれども、今度はスケールが違いますので、これは大変な努力だと思うのです。

この調整に回るということに大変な努力をされないといけない。また、大変重要なプロセスだと思うのです。したがって、その方たちに丁寧にそのプロセスを進めていただくことが必要だと思います。それを是非お願いしたいというのが1点目です。

2点目は、そうは言ってもルールと法律だけでできることで、今、国民が困っていることが直らないことは沢山あるのです。窓口の現場では、例えば言い伝えられている手引だとか、各地方自治体でできているような窓口対応の慣習的なノート、こういうものに従っているので、どうしても何度も同じことを書いてくださいとか、紙でやりましょうという古いやり方がそこに残るのです。そうすると、窓口対応の職員と窓口に来た人がやる気になって、何かアクションを起こすという非常にボトムアップの、全国民が参加するような、全てでなくてもいいのですけれども、気がついた人が参加するような仕組みが要ると思うのです。これは作れるような気がします。

したがって、気がついて直したら褒めてあげるとか、直した人は少し報酬がもらえるとか、横展開するために成功事例を宣伝してあげるとか、そういうことをしないと全国規模ではできないのではないかと思いますので、是非それを考えていただきたい。また、私も考えてみますけれども、制度や規制の見直しは、そういう仕組みと併せて完成するのではないかと思います。

以上でございます。

小林デジタル副大臣: 続いて、髙島構成員。

髙島構成員: 福岡市長の髙島でございます。

素晴らしい原則を作っていただいたと思っていて、これが本当に適用されて、うまく回っていったら、本当に日本は変わると思います。その中で、2点意見を言わせてください。

1点目は今まさに村井先生がおっしゃったお話なのですが、今回のデジタル原則が、国だけではなくて地方にも適用されるという、共通の指針になるということがすごく大事だと思うので、デジタルシフトの共通の指針にして、強力に推進をしていただける体制を是非作っていただきたいということです。

具体的に言いますと、今日の説明の中でもデジタル完結の話がありましたが、自治体がデジタル完結をするために新しい技術の導入をしたくても既存の雇用を奪ってしまう側面があるわけです。そうすると、なかなか改革がうまく進まないというのは結構地方のリアルなのです。ですから、ここはある意味、国が悪者になっていただいて、国が指針を出したからということで、地方がデジタルシフトに向けた改革を進めやすいような形で、指針を地方でも適用できるように出していただきたいということです。国の後押しとして、例えば自治体のデジタルシフトに関する相談や提案の窓口があればありがたいと思います。

2点目は、デジタル化の恩恵を具体的に国民に感じていただける分かりやすい目玉施策が大事かなと思っていて、国会でも公的給付をめぐってコストの話に注目が集まったので、まさにこの分野については関心が高まっている今こそ改革のチャンスだと思っています。

マイナンバーについてなのですが、今、希望制のままになっているので、マイナンバーカードの取得、それから公金受取口座の登録を原則義務化しますと。この方針を明確に出すときが来たのかなと思っています。

その上で、今は様々な行政サービスを全部郵送で通知するという前提で制度が設計されているので、今回のデジタル原則に基づくまさにデジタル完結の制度設計にしたい。そのためにも一つ提案は、マイナンバーカードを義務化さえすれば、みんなマイナポータルに入るのです。マイナポータルに入れば、例えば公的受取口座の登録、これまで郵送でしていた給付金のお知らせ、それから、それの受け取りの意思確認も全部マイナポータル上でできることになるわけです。

一方で、自治体の役割としては、どうしても口座が作れない人のフォローとか、もしくはマイナポータルに入ることができないような方のフォローに重点化することによって、相当な行政改革にもつながってくると思いますので、是非、こうした施策を国民の関心が高いうちに打ち出していただければありがたいと思います。

以上、2点でした。

小林デジタル副大臣: ありがとうございます。

続いて十倉構成員。

十倉構成員: 大変な作業だと思いますが、皆様の絨毯爆撃的な力技の仕事に敬意を表します。通し番号で言いますと43ページに資料7を付けておりまして、2ページ目、通し番号の44ページに沿ってご説明します。

本日お示しいただいたデジタル原則に関して、国民・ユーザーの観点から4点申し上げます。

まず、デジタル手続法が定めるデジタル3原則について、継続的活用と関係性の明確化をお願いしたいと思います。デジタル臨調の下で我が国のDXを一気呵成に進めるためには、デジタル3原則、すなわちデジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッド・ワンストップの徹底が不可欠であります。法律上の基本原則であることを踏まえ、この3原則を、DXを強力に推し進める大前提として明記することが必要かと思います。

非常に国民にもよく馴染んだ、分かりやすい原則だと思います。原則ばかりなので、どちらかを大原則にするとか、工夫が必要なのかもしれませんが、是非よろしくお願いします。

第2に、真の「デジタル完結」の徹底であります。国・地方の行政手続、あるいは民間取引等において、途中で紙が一枚でも入ればデジタル化は完結しません。行政や社会の在り方そのものを見直し、エンド・ツー・エンドのデジタル完結を実現することが待ったなしの課題と思われます。

第3に、デジタル・データ活用による価値最大化であります。手続の改革にとどまらず、日本をデジタル時代に相応しい姿へと変革させることで、社会全体の生産性と付加価値の向上を実現することにこそデジタル臨調を立ち上げた意味があると思います。

抜本的なデジタルトランスフォーメーションの実現に向けて、例えば健康・医療・教育などデジタル活用を推進・普及する仕組みが不十分な分野については、マイナンバーの活用の推進を含め、必要な促進策を積極導入する、いわば利活用徹底原則が不可欠であると考えます。デジタル活用により蓄積されたデータを生かし、データドリブンのソリューションや、社会に新しい価値を生み出すことが重要かと考えます。

第4に、ネガティブリストの導入であります。デジタル原則と言うからには、デジタルを導入できない例外にはすべからく説明責任が求められます。デジタル原則に合致しない法制度・規制を存続させる場合、透明性の確保という観点からも、所轄官庁が挙証責任を持って説明する仕組みの構築が急務であります。

我々企業もコーポレートガバナンス・コードがありますが、これはコンプライ・オア・エクスプレインが求められております。合致しないときには説明する仕組みの構築が必要かと思います。

以上、縷々申し上げましたが、世界最強のIT国家を目指しながら、頓挫した20年間の失敗を繰り返す余裕は今の日本にはございません。岸田総理には、社会全体の生産性向上を通じて日本を変革する観点から、ユーザー目線でのデジタル・規制・行政の一体改革を徹底して断行していただくよう、改めてよろしくお願い申し上げます。

小林デジタル副大臣: ありがとうございます。

では、オンラインから宍戸構成員。

宍戸構成員: 東京大学の宍戸でございます。本日、用務によりましてオンラインでの参加で大変失礼いたします。

先ほど牧島大臣がご説明くださいましたデジタル原則及び改革の方向性に賛同いたします。

デジタル改革・規制改革・行政改革の一体的推進は、最近のドイツの新政権の連立協定にも見られるところです。こうしたグローバルな潮流の中で他の国の同様の取組を参考にしつつ、日本の取組を世界に発信するという視点も重要かと思っております。

私からは資料5を提出しておりますが、3点コメントさせていただきます。

第1に、デジタル原則の2番目にありますアジャイルガバナンスについて、経済産業省の研究会でも検討してまいりましたが、資料の図にお示ししておりますとおり、企業、政府と並んで個人・コミュニティーがガバナンスの主体であるということを強調してまいりました。

村井先生の先ほどのお話にも関わりますが、今後のデジタル原則の具体化に当たっては、個人・コミュニティーのキャパシティービルディングと実効的な参画を可能にするということもご検討いただきたいと思います。

これに関連しまして、若い世代の中からデジタル人材、専門家を育てるだけでなく、全ての社会の構成員がデジタル社会人材となれるよう、学習の機会の保障についてもご検討いただきたいと思います。

次に、法制事務のデジタル化についてでございます。デジタル原則を生かすためには、規制に関わる企業のインセンティブを引き出し、それを適切に設計することが必要になりますが、その前提になりますのは域外適用や課徴金による実効性の確保であります。そのための法制の見直しも横断的に進めていくべきではないかと考えております。

また、法制事務のデジタル化は、立法・司法、さらには条例制定を含む法のプロセス全体のデジタル化の起爆剤になると考えております。法令に加え通達・ガイドラインなどについても使いやすいデータベース構築を進めるとともに、国会・裁判所のデジタル化の支援等も政府でご検討いただきたいと思います。

第3に、官民データの利活用基盤となるベースレジストリについて、これまでの目的以外での利用を安定的・継続的に認めるためには、法令上の根拠を整理・整備すること、データガバナンス体制を構築することが必要です。そのことは、イノベーションを支えるアカデミアの側からのオープンサイエンスにも貢献すると考えております。

EBPMについては、政府におけるデータ人材の確保・育成、既存の公的統計の正確性確保を含む行政データの活用を進めるべきだと考えております。

私からは以上でございます。

小林デジタル副大臣: ありがとうございます。

それでは、南場構成員。

南場構成員: ありがとうございます。

デジタル原則、点検の方向性、こちらは大変良い内容だと思います。賛同いたします。特に国内外のイコール・フッティング、また、ベンチャー、スタートアップの活用が盛り込まれたことを歓迎いたします。その上で、何点か申し上げます。

アジャイルガバナンス原則の部分についてですが、今のテクノロジーを前提として法律等を悉皆調査をして膨大な作業をするわけなのですけれども、作業が完全に終わる頃には技術は進化しているということになるわけで、倍速で進んでいく技術に作業が追いつかないということを避けるためにも、規制の趣旨を明らかにした上で、それに反しない限りは、より迅速かつ柔軟に規制改革ができるような制度設計にするような工夫が必要だと思います。

例えば技術の進化に対応して規制を変更することが予測されるような部分に関しては、省令や告示、ガイドラインに落としておいて、迅速に変更できるようにしておくということが考えられますし、また、法令に基づくガバナンスのライフサイクルを通じて、常に制度の見直しを行うことができる仕組みを入れておくことも重要だと思います。例えば官民連携協議会の定期開催とか、その協議会の意見の反映努力義務を入れておくというようなことが考えられると思います。また、法律の趣旨をきちんと明確にしておくことで、法目的から外れて、政省令、条例、ガイドラインで実質的に過度な規制が課されることにつながらないようにするというようなことが必要だと思います。

また、規制の制定・運用における迅速な対応は、イコール・フッティングの観点でも極めて重要で、日本企業が規制に縛られて動きが取れない間に、外資が自由にビジネスを行って敗れた歴史を繰り返してはいけないと思います。

もう一点、官民連携原則にあるスタートアップ活用についてなのですけれども、政府ができることとして特に重要なのは、課題解決や公共調達において積極的にスタートアップを活用するということです。こうした観点から、例えば資本金や売上げ、営業年数に応じた等級によって入札できる案件に差を設けるようなことはやめなければいけないし、アジャイル開発を不可能にするような仕様書、あと入札やプロポーザルへの参加資格を得る際の煩雑な手続、特に地方公共団体については個別の団体に異なる様式の手続を行う必要があって、大変煩雑、ものすごいコストになっていて、デジタル系を含めたスタートアップの参入障壁になっています。こういったことなど洗い出して、改革をしていただきたいと思います。

このように、制度面での環境整備を行うことは不可欠なのですが、同時に、大企業だから安心だとかスタートアップでは心配といった国や地方公共団体のマインドを変えていくことも必要であると考えます。政府全体の方針として、調達の多様化、スタートアップ活用を打ち出すべきだと考えております。

以上です。

小林デジタル副大臣: ありがとうございます。

続いて、綱川構成員。

綱川構成員: 私はスタートアップの経営者として、様々な自治体の皆様と連携して、AIを活用した住民サービスの提供を進めております。この会議で国全体のデジタルに関する原則を決めていただくことは、住民サービスの飛躍的向上につながると思います。

私が今、必要だと考えているのは、行かなくてもいい市役所を全国に作ることです。そのためには2つの条件整備が不可欠です。

1つ目は、自治体の情報提供のフォーマットを統一すること。自治体ごとに創意工夫されているのはよく理解していますが、住民の立場からすると、例えば引っ越ししたときに、いつも見つかっていた情報にたどり着けなくなったりします。国が行政サービスのテンプレートを配付して様式を統一すれば、住民が使いやすくなるだけでなく、行政サービスと連携した民間企業の開発も格段に進めやすくなるのではないでしょうか。つまり、見やすくなるだけではなくて、サービス水準の大幅な改善に直結します。官民連携原則の徹底には、自治体の条例上の対応も必要になると思っています。是非、自治体でも、デジタル原則の議論を進めていただければと思います。

2つ目は、行政サイドがリアルタイムデータを積極的に収集して、保有している情報も含めて開示していくことです。例えば自治体であれば、避難所や保育園の空き状況などが該当するかと思います。こうしたリアルタイムのデータが開示されると、行政サービスが変わると私は思います。

キーワードは統一のフォーマットであること。それから、リアルタイムであること。行政の持つデータの開示が進めば、我々のようなIT、それからAI関連の民間企業が行政サービスの向上や民間サービスの活用に向けた技術開発にトライするのではないかと思います。全国共通のフォーマットをベースにすれば、全国どこの都市でも活用が可能になってきます。

全国統一のフォーマットと聞くと、地域の個性が失われてしまうのではないかと心配する方々もいるかもしれません。私は全く心配していません。統一のフォーマットは行政の業務の効率化につながると思っています。各地域で利用可能なIT、それからAIを活用したサービスの選択肢も格段に広がり、現在の非効率な業務から解放される各地域の自治体のスタッフの方々は、地域の個性に合ったものを積み上げていくことにより、オーダーメード型の個性あふれるまちづくりが効率的に進められるのではないのかと思います。

つまり共通フォーマットとリアルタイムデータの開示というのは、個性あふれるまちづくりを進めるためのインフラであり、岸田総理が提唱されているデジタル田園都市国家構想に直結するものだと思います。

以上です。

小林デジタル副大臣: ありがとうございます。

続いて、金丸構成員。

金丸構成員: ありがとうございます。

改革の方向性に賛同した上で、世界とのデータ活用格差も意識していただきたいと思います。

私は10年前にデンマークを訪問しました。案内してくれたのは、デンマークのデジタル庁の官僚の人たちです。小中一貫の教育現場では、低学年の子供たちが1人1台のタブレットを持ち、17人の生徒に対し、先生がカスタマイズした17通りの算数の問題を作成して、生徒の個性に合わせた学習を行っていました。私が会った子供たちは、もう10年経っていますから、今は大学に進学する頃ではないかと思います。

日本の子供たちは、彼らと競争しなければならないのが世界の現実です。ようやく日本ではGIGAスクールが始まりましたが、子供たちの人生の価値向上を優先して、デジタル知識習得ペースはさらに加速する必要があると思います。

同じく、医療現場に連れて行っていただきました。技術革新に合わせたオンライン診療とオンラインリハビリテーションの実例を見学しました。

オンライン診療では、患者の近くにいる看護師が、離れた医師とスマホの画像を送信しながら皮膚病の薬を塗布していました。画像解像度の向上と通信速度の高速化により、オンライン診療が可能になる日を待っていたという説明を受けました。

リハビリ担当医師の画面の向こうは、高齢者です。しかし、政府が提供したシステムは高齢者に優しいシステムで、複雑な操作を一切必要としませんでした。

日本では、ようやくオンライン診療の恒久化に道筋がついたところですが、診療報酬の見直しなど、普及への課題が多く残っています。日本は、コロナ禍で顕在化しましたけれども、コロナ前からデジタルの活用に大きく後れを取っています。それは多くの規制が20世紀の社会を前提にしており、21世紀の日本の成長を阻害していると思います。

今回、デジタル時代に対応した制度や行政の在り方を一気に実現するため、全ての規則を一括して見直すという方針について今日ご説明を受けました。強く賛同いたします。

事前規制型からゴールベース、リスクベース型への転換を実現するためにも、事後チェックが可能になるよう、行政の執行部門を強化すべきです。その際、単に人を増やすだけではなく、既存執行機関のリソースやデータの共有に加え、テクノロジーを徹底活用することが必要です。安全の確保、異常の検知、点検などは、センサー、IoT、オンライン、データの活用に発想を切り替えるべきだと思います。

また、政府と地方の役割を整理しながら、社会変化に対応できるよう、縦割り行政から脱却し、省庁を越えた人員配置や採用をより柔軟かつスピーディーに実行できるようにすべきだと思います。

行政改革にも、覚悟を持って取り組んでいただきたいと思います。

有事対応力の課題も顕在化しました。民間人材の更なる活用とともに、公務員OBも緊急事態には参集して急遽不足する分野を補ってもらえるような、有事即応の制度も検討していただきたいと思います。

構造改革実現のためのデジタル人材は、質、量とも不足しており、その強化は最重要課題です。大学ファンドや大学改革の明確な方向性にしてくださいますよう、お願い申し上げます。

以上です。

小林デジタル副大臣: ありがとうございます。

大変ご協力いただきまして、ちょうど時間いっぱいになりました。また追加でご発言があれば、事務局にお伝えいただければ議事録に反映させていただきますので、ご連絡をお願いしたいと思います。

それでは、これまでの議論を踏まえて、牧島デジタル大臣から発言をお願いします。

牧島デジタル大臣: ありがとうございます。

各先生方から改革の方向性についてご賛同いただいたということを、大変心強く、ありがたく思っております。

また、覚悟を持って取り組むべき大仕事が待っているのだということも、激励と共にお伝えいただいたと思っています。

具体的には真のデジタル完結の徹底、法制事務のデジタル化の推進、データの利活用等にも御言及をいただきました。また、スタートアップを活用すること、教育や医療のデジタル化、このコロナ禍で明白になったものをさらに進めなければならないというご指摘、デジタル人材、またグローバルな動きを意識した取組にすべきというようなご示唆もいただいたと思っています。

さらに、国と地方のデジタルシフトを強力に推進する体制も考えなければならないと思っています。関係府省庁、地方関係団体とも連携して具体化していきたいと考えています。

皆様から頂戴しましたご意見を十分に踏まえて、来年春の一括見直しプランの具体化の中でデジタル原則に照らした総点検に入ってまいりますので、引き続きのご指導をどうぞよろしくお願いいたします。

小林デジタル副大臣: ありがとうございました。

それでは、総理、よろしくお願いいたします。

岸田内閣総理大臣: 本日も、有識者の方々におかれましては活発なご議論をいただき、誠にありがとうございました。

本日の会合では、デジタル改革、規制改革、そして行政改革の共通指針として、デジタル完結・自動化など5つの原則を策定いたしました。岸田政権としては、この原則に沿って三方良しの改革を進め、人手不足等の現場の課題の克服を促し、新しい資本主義実現に向けた成長を実現してまいります。

第1に、4万以上ある法令・通達等と2万以上ある行政手続について、原則への適合性を点検し、デジタル技術を活用する方策を具体化し、来春には一括見直しプランを取りまとめます。デジタル時代に相応しい政策形成・評価の在り方の検討も加速いたします。

第2に、規制改革は、地域の現場で創意工夫を発揮しやすい環境づくり、イノベーション力の強化、スタートアップの拡大を促すことで、成長を実現し、人への投資につなげていくための重要な取組です。規制改革推進会議においては、現場の御意見をお伺いしつつ、具体的な議論を進めていきます。

私も、会津若松市を訪問し、現場の声に耳を澄ませてきました。今後、薬剤師の働き方改革と患者の利便性向上を可能とする薬局DX、デジタル技術を活用した人員配置の見直しによる介護職員の処遇改善といった、国民の暮らしの改善につながる規制改革に重点を置きます。

第3に、地方におけるデジタル基盤の整備加速化については、光ファイバー、5G、データセンター、海底ケーブルの具体的な整備目標と、実現のための整備計画を来春に取りまとめます。

第4に、デジタル原則の旗振り役の霞が関こそ、デジタルトランスフォーメーションを果断に進め、新しい時代・社会に見合った姿に率先して変革していきます。そのため、各省庁職員の意欲と能力を解放し、挑戦を評価する組織へと転換させます。

具体的には、(1)真に必要な分野に人材を確保・配分するとともに、(2)外部登用を含め優秀な人材が活躍できるような方策、(3)デジタル技術を徹底活用できる、働きやすく、やりがいを持てる魅力ある職場環境の整備に取り組んでいきます。

あわせて、迅速に行動しつつ、試行錯誤を繰り返しながら内容を改善していく、いわゆるアジャイルなプロセスを可能とする柔軟な行政ガバナンスを設計していきます。

牧島大臣におかれても、二之湯大臣と連携し、関係機関の協力も得ながら、取り組んでもらいたいと考えています。

以上です。

小林デジタル副大臣: ありがとうございました。

それでは、以上をもちまして本日の会議を終了いたします。

本日ご多忙の中、皆様、ご参加ありがとうございました。

以上