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デジタル臨時行政調査会(第1回)

概要

  • 日時:令和3年11月16日(火) 17時から17時40分まで
  • 場所:総理大臣官邸2階大ホール
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. デジタル臨時行政調査会の運営について
      2. デジタル臨時行政調査会における論点(案)について
      3. 意見交換
    3. 閉会

資料

議事録等

日時

令和3年11月16日(火)17時から17時46分まで

場所

総理大臣官邸2階 大ホール

出席構成員

会長

  • 岸田文雄(内閣総理大臣)

副会長

  • 牧島かれん(デジタル大臣)
  • 松野博一(内閣官房長官)

構成員

  • 金子恭之(総務大臣)
  • 鈴木俊一(財務大臣)
  • 萩生田光一(経済産業大臣)
  • 金丸恭文(フューチャー株式会社代表取締役会長兼社長)
  • 宍戸常寿(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
  • 髙島宗一郎(福岡市長)
  • 綱川明美(株式会社ビースポーク代表取締役社長)
  • 十倉雅和(日本経済団体連合会会長)
  • 夏野剛(株式会社KADOKAWA代表取締役社長)
  • 南場智子(株式会社ディー・エヌ・エー代表取締役会長)
  • 村井純(慶應義塾大学教授)

概要

小林デジタル副大臣: それでは、ただいまから第1回「デジタル臨時行政調査会」を開催いたします。

皆様方におかれましては、御多忙の中、御参加、誠にありがとうございます。

本日、司会進行を務めさせていただきます、デジタル副大臣の小林でございます。何とぞ、よろしくお願いいたします。

本日の資料は席上のタブレットに格納しております。1つのファイルにまとめておりますので、上にスクロールしていただくと、全ての資料が見える形になっております。

御出席の構成員については、資料の最終ページに一覧を掲載していますので、併せて御確認をお願いします。

それでは、議事に入らせていただきます。

資料1から3は配付のみとさせていただいて、説明は省略をさせていただいた上で、資料4「デジタル臨時行政調査会における論点(案)について」、牧島デジタル大臣より御説明をお願いいたします。

牧島デジタル大臣: ありがとうございます。

お忙しい中お集まりをいただいております有識者の皆様に感謝申し上げます。デジタル大臣、行政改革、規制改革担当大臣の牧島かれんです。どうぞ、よろしくお願いいたします。

それでは、お手元の資料に基づきまして、デジタル臨時行政調査会における論点案として御説明をさせていただきたいと存じます。

デジタル臨時行政調査会は少し名称が長いので、デジタル臨調と呼んだり、デジ臨と一番短い言い方では呼ばせていただいたりしていますので、なじみのキーワードになっていただけるとありがたいです。

それでは、スライド2、背景についてでございます。

官民を通じたデジタル化の遅れは深刻なものであり、本格的な構造改革が必要である、デジタルの恩恵を国民や事業者が享受することができる環境を整備したいというところを、背景の1とさせていただきました。

各国の状況については、資料を御覧いただければと存じます。

3ページ目にまいります。

設置の背景②、このページに、私たちの問題意識を書き込ませていただいています。コロナが浮き彫りにした構造的な課題、デジタルの必要性は、コロナの中で幾つかの点で明らかになってきています。

まず、ワクチン接種状況や、こどもの困窮実態の把握が十分にできていないということ、自治体間のデータ連携の課題があること、オンライン診療、オンライン教育、対面、常駐、目視点検規制があること、デジタル人材が不足しているなど、デジタル化の遅れがあらわになりました。

国民、社会、産業、自治体、政府といった官民にまたがる本質的な構造改革を皆様とともに進めていきたいと考えております。

スライド4、次のページにまいります。

デジタル臨時行政調査会の目的とは、どこにあるのか。このような背景のもと立ち上がりましたデジ臨は、国民や地域に寄り添うとともに、個人や事業者がその能力を最大限発揮できる社会を、デジタルの力で実現させること、とさせていただいています。

全ての改革に通底するデジタル原則を定め、当該原則のもと、デジタル改革、規制改革、行政改革を一体的かつ横断的に進める必要があります。

次のページにまいります。

デジタル原則の検討に当たって、例えば、これら5つの項目を挙げております。

皆様と、これらの項目などを、さらに深掘りをしていきたいと考えておりますが、それを通じて、我が国の羅針盤ともいうべき大原則を作っていきたいと思います。

続いて、各国のデジタル原則について6ページ目に書かせていただきました。

ここでは、デンマークについて言及をさせていただきます。立法に当たってデンマークは、デジタル原則にのっとっているかを事前に審査する仕組みがあらかじめ設けられています。各国によって位置づけはそれぞれではありますが、我が国においても、デジタル原則を決めるだけではなく、どのように活用するのか、ここも併せて議論をしておかなければならないと考えております。

7ページ目にまいります。

ここからはデジタル化により、規制、行政、人材のそれぞれにどういった論点があるのかを並べております。

規制という分野で申し上げますと、次のページに事例を挙げておりますが、例えば、いわゆるスマート保安として、プラントの状況把握をデータの収集・解析等で行うことによって、現場の負担の大きい定期検査の頻度を合理化したり、資格者の常駐義務があるものをオンラインで対応可能とすることで、安全・安心を確保しながら現場の業務の効率化が図られた面があります。

また、こうした新たなデジタルを活用した手法を提供するベンチャーも生まれてきていますので、こうした取組をより包括的に進めていくことが必要だと考えております。

8ページ目、9ページ目は参考として、10ページ目に移らせていただきます。

行政、準公共の分野では、少子高齢化が進む中で、教育、医療など国民に不可欠なサービスをデジタルの共通基盤の上で提供することで、より良いサービスを、より効率的に提供する仕組みを構築していくことが重要です。

この点、「こども」に関する重要課題等にも対応していくべきだと考えております。

また、行政組織自らの改革も重要です。デジタル時代に見合った行政の在り方、調達、政策形成、評価など、具体的に見直しをしていくことが大事だと考えております。

11ページ目は飛ばしまして、12ページ目に移ります。

デジタル人材の需給構造について、人材の分野では、世界的に見てもデジタル人材の割合が大変日本は低い状況であります。大学、高専等を含めてデジタル教育の在り方を考える必要があると思います。

また、官民の回転ドアを進めることも重要です。デジタル庁自らも積極的に仕組みを構築していこうと考えております。

以上、13ページ目は参考とさせていただき、私たちが直面している現状に対する論点を提示させていただきました。

先生方の闊達な御意見をいただければと存じます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

小林デジタル副大臣: 牧島大臣、ありがとうございました。

それでは、御参加の皆さんから御意見をいただきたいと思いますが、御発言のある方は挙手をお願いしたいと思います。オンラインの村井先生も挙手機能を使っていただいた上で、指名をさせていただきたいと思います。

それでは、いかがでしょうか。

では、髙島構成員。

髙島構成員: 福岡市長の髙島でございます。よろしくお願いいたします。

私は、是非この会議で実現したいことが2つありまして、1つがデータのポータビリティ、もう一つが申請主義からプッシュ型行政への大転換、これを是非実現したいなと思っています。

先日、秋の行政事業レビューのときにも、分かりやすい事例としてワクチン接種のお話をさせていただきました。最近引っ越した人には3回目の接種券が届きません。それは今のVRSと、マイナンバー法の運用でいけば、前の自治体で打ったのか打っていないのか、それから2回目を打ってからどれぐらいたったかという情報が、1件1件その本人の同意を得たうえで照会しないと把握できないからです。

福岡市でいくと1年間で約8万人の方が転入してくるので、8万人に同意を取るというのは現実的ではありません。そうすると、本人が自分から行政に言ってこないと接種券は送られないということになってしまうわけです。

もう3回目の接種が喫緊に迫っているので、法改正は間に合いませんが、今回については、緊急的な措置という形で、是非対応していただくことをお願いしたい。

同時に、中期的には、やはりそもそもワクチン接種だけではなくて、基本的な自治体からの住民サービスについては、マイナンバーをうまく活用しながら、本人の同意なしに情報連携を行うことで、引っ越したとしても継続的に同じようなサービスが受けられるような形で、法改正も含めて検討していただきたいということが1つ。

もう一つが、今、例えばマイナンバーカードの取得、それから、受け取りの公金振込口座の登録というのは任意になっているのです。任意だと行政のオペレーションが2つになってしまうのです。また、子どもや、仕事と子育てで忙しいシングルペアレンツなどプッシュ型支援が必要な人ほどマイナンバーカードの取得につながりにくい状況にあります。基本的にカードの取得や公金振込口座の登録をするのが原則という方向性を示していただければ、例えば、口座を持つことができない方とか、行政がそういった特別な事情がある方のフォローに注力をするという形で対応ができると思うわけです。

もちろん、こういった情報の連携のためには、当然、セキュリティを高めなければいけないのですけれども、ブロックチェーンの技術を活用するとか、もしくはデータへの不正アクセスに対する厳罰化を検討するべきと思いますので、これも併せて議論できればと思います。

以上です。

小林デジタル副大臣: ありがとうございます。

そのほか、いかがでしょう。

では、夏野構成員。

夏野構成員: 資料7に私のペーパーを出させていただいております。

まず、デジタル社会の構築というのは、構造改革とのセットで車の両輪であるということを、強く、強く認識しております。

日本の競争力凋落は、やはりテクノロジーが進化しても、その社会の枠組みとか社会のシステムが変わっていない、ここの差が、日本のテクノロジーの足を引っ張っていると思っていますので、是非構造改革とイコールであるという認識で臨みたいと思っております。

また、デジタル社会に合わない規制の徹底的見直しというのは、私も規制改革推進会議でやっているところですが、この大きな災厄をもたらしたコロナ、これのおかげというと言い過ぎですけれども、実は昨年の規制改革推進会議は、ハンコの問題も含め、オンライン医療、オンライン学習を含めて大きな成果を上げることができましたが、今後は、このデジタル臨調のお力をお借りして、規制改革推進会議もますます進めていきたいと思っていますので、是非よろしくお願いいたします。

そして最後に、民間が、私どもも含めて、経営の徹底的見直しというのをやらなければいけないのだろうと思っています。

これは、過去20年間の日本企業の組織体制等、ほとんど変わっていない現状で、このテクノロジーがある世界で、新興企業はもっともっと大きな規模で、大きなテクノロジーを利用している中で、我々やはり民間に対して、この経営の徹底的見直しを、アクションとして起こさせるような施策も同時にとっていくべきだと思いました。

以上でございます。

小林デジタル副大臣: ありがとうございます。

続いて、南場構成員、お願いします。

南場構成員: デジタル社会に合わない規制及び経営の徹底的見直しをという御意見に私も大賛成であります。それを加速する会議としてデジタル臨調に大変に期待し、参加するものであります。

原則を考える際に、是非組み込んでいただきたい視点が幾つかございます。IT業界に行って非常に強く感じていることなのですが、イコールフッティング原則です。サイバー空間でのサービスに国境はなく、事業者は熾烈な国際競争にさらされていますけれども、規制適用におけるダブルスタンダードは問題が大きいと思います。

特に業界の自主規制など、業界団体に入っている国内企業は従うのですが、それに従わない海外企業が多い。

ソフトローでなくても実はそうで、例えば資金決済法、アプリ内通貨ですとかポイントに関しては、日本企業は預託やレポーティング義務をしっかり果たしていて、そうでないところは取り締まられていますが、国内拠点がない企業は完全に無視をしています。

我が国政府は国内企業に厳しく、海外企業に甘いというところがあると思います。競争政策上課題として十分に注意してほしい。この機に全て洗い出して、海外企業も取り締まるか、さもなければ、海外企業が守らなくても問題のなかった規制は撤廃するなど、とにかく基準を合わせるという作業をするべきだと思います。それがイコールフッティング原則です。

もう一つは、ベンチャースタートアップ優遇原則です。スタートアップはそもそも破壊的なイノベーションにより、非連続的な成長を目指すものです。近年成長著しいスタートアップは、デジタルテクノロジーにレバレッジを効かせているところがほとんどであり、スタートアップを起こすことが世の中に、単なる業務改善的なDXではなく、価値創造型DXをもたらすことと直結すると考えています。

この会議の目的は、DXを阻害している要因をスピーディーに取り除くものと理解していますが、デジタル原則により整備された環境で、躍動するのがスタートアップであるというイメージが非常に重要です。例えば遠隔技術の発展を受けて、常駐義務をなくすことなどが、これからも議論されると思うのですけれども、大手企業は人的資本も豊かで、すぐに常駐撤廃には動かないかもしれません。つまり、せっかく整備されたものを使わないかもしれない。

こういった新しい枠組みの実証とか効果の確認に、是非スタートアップを活用していただきたい。この改革がなければできなかった人たちができるようになってこそ意味があると考えております。以上です。

小林デジタル副大臣: ありがとうございます。

村井構成員、オンラインから、ご発言をお願いします。

村井構成員: ありがとうございます。

デジタル庁が創設された歴史的な時期に、日本全体が変わるための大変重要な役割を果たしているのが、このデジタル臨調だと思いますので、是非、そういう効果が出ればいいと思っています。3点申し上げます。

1つは、ちょうど私は現在、待機期間中なのですけれども、ワールド・エコノミック・フォーラムのダボス会議のアジェンダ会議に出て帰国をしたところです。世界の人々と議論していたときに、アジェンダそのものはいろいろと出てくるのですけれども、分かってきたことがありまして、やはり過去30年の世界経済の発展というのが分断を呼び込んできた。

したがって、これから世界経済は、かなりこの分断を問題視してくること、それから、やはり一人も置いてきぼりを作らないとか、グリーンとの掛け算とか、その辺りが大きな話題になっているような気がしました。つまり、今、デジタル庁などで目指しているような、一人も置いてきぼりを作らないなどの目標は、この世界の流れと合っているのではないかと思うのです。国際関係をうまく調整するというのは難しく、今までできていませんでしたけれども、このような状況を鑑みて国際的な位置づけとしてのデジタル臨調に大変期待するところです。特にサイバーセキュリティ、経済安全保障、グリーンも守備範囲です。この部分が官邸を含め各省庁と調整できる日本にすること、これがデジタル臨調の非常に期待している第1点目です。

また、一人も置いてきぼりを作らないというのは、デジ庁を作るときから言っていたのですけれども、だんだんこの考えが世界の中でも広がってきています。ただ、これは言うは易しで、実行するのは非常に大変です。

私は警察に、日本が安心で安全な社会であるということの大きな役割を担ってもらいたいと考えていますし、日本郵便のような全国津々浦々に事業を展開している民間の機能、それから人、教育、こういうところが力を合わせる体制を作ることが全国津々浦々すべての国民という視点で重要だと思います。放送も各都道府県にあります。それから保険会社も都道府県全てにあるのです。それから高校は全て県の責任であります。こういうものをどのようにして連携させるのかということは、いろいろなルールを変えていかなくては実現できないと思います。

先ほど大臣が高専について言及されましたけれども、高校にも、商業、工業、農業、林業、水産業など、各県の高校があり、卒業してすぐに働ける人材を育成していますので、この高校がすべて連携する六次化のようなルール改変ができたら本当に力になるのではないかと思います。

最後に、デジタル田園都市国家では、20年ぶりに、新しいインフラとしてのスーパーハイウェイの構想を持つべきだと私は思っています。5Gや、それを支える光ファイバーを、全国津々浦々、確実に整備をするという大変重要な状況だと思います。このことは資料として、事前にお配りしていますのでご参照いただければ幸いです。

以上でございます。

小林デジタル副大臣: ありがとうございます。

続いて、宍戸構成員、その後、金丸構成員。

宍戸構成員: 東京大学の宍戸でございます。私は、憲法、情報法の研究者でございますけれども、お手元の資料5、18ページになりますけれども、意見を出させていただきました。

ここでは、デジタル改革、それと規制改革、行政改革の関係について、やや中長期的な視点になるかもしれませんが、意見を3点申し上げたいと思います。

まず、デジタル改革は、個人がテクノロジーを通じて価値を享受したり、価値実現のために国家や企業に能動的に働きかけたりできるようにすることを目指すものであるということに、当調査会としてコミットし、社会に発信すべきでないかと考えております。

デジタル改革、行政改革、規制改革を結びつける扇のかなめは、デジタル社会の主人公であるべき個人の目線です。デジタル化への不安を解消し、デジタル社会に参画していけるようにするためには、既にあるデジタル社会形成10原則に加えて、その個人の権利利益、言わばデジタル権利宣言のようなものについても、将来的には考えていくべきではないかと思います。

例えば、プライバシーや、髙島市長がおっしゃられたデータポータビリティ、あるいはデジタル手続による適正な処遇を受ける権利などは、今、ご説明がありましたデジタル原則の内容や、その前提として、個々の施策を評価する尺度として盛り込むということも考えられるのではないかと思います。

また、国と自治体の関係も、個人に奉仕するための組織適合的な役割分担として捉え直して、デジタル化を踏まえた、基礎自治体、広域自治体、国の役割の配分の見直しや、デジタル化を活かした自治体同士あるいは自治体と国の協働についても検討していくべきだと思います。

次に、デジタル改革は規制改革、いわゆるガバナンス・イノベーションと一体のものとして進めるべきです。縦割りの規制、自治体ごとの規制の異同、また法令だけでなく、今、南場構成員からお話がありましたソフトローやガイドラインなどを含めて、民間の声を聞きながらデジタル原則との適合性を不断にチェックする、そういう規制改革の仕組みを制度化すべきでないかと考えております。

第3に、これは公法学者として申し上げますけれども、デジタル改革は行政改革の基礎でもあり、法の支配あるいは民主的な責任行政の実効性を高めるものでもあるべきだと考えております。

4月の日米首脳会談でも言及されました法の支配との関係では、国会あるいは裁判所による行政統制を可能とするように、また、民主的責任行政との関係では、情報公開、公文書管理等のアカウンタビリティを高める仕組みと結びつけていく必要があるものと考えております。

また、デジタル化を進めるための行政改革については、EBPMの推進に加えて、全体の奉仕者性を維持しながら公務員制度の柔軟性を高めたり、規制の手法や目的を不断に見直せる、いわゆるデジタル法制局のような行政組織制度についても検討していくべきでないかと考えております。

私からは、以上です。

小林デジタル副大臣: ありがとうございます。

続いて、金丸構成員。

金丸構成員: ありがとうございます。フューチャーの金丸でございます。よろしくお願いいたします。

デジタル臨調が、デジタル改革、規制改革、行政改革を三位一体で実現する組織として発足したことを、まず、大いに歓迎いたします。

国民一人一人の創意工夫が発揮しやすく、条件が不利な地域にいる人の困難を解決するために、デジタルや先端技術を有効活用すれば、国民から支持されるはずです。

有人操作を前提にしていた法制度が、画像解析カメラ搭載の自律飛行型ドローンを日本の空中で飛ばすことを遅らせ、ドローン市場において、世界の後塵を拝してしまいました。

20世紀の法制度は、日本の社会の発展を妨げています。大量の法制度を限られたリソースで、ピンポイントで法改正していくのは壮大なる時間のロスです。デジタル臨調の中にデジタル法制局機能を有するスペシャルチームを設置して、デジタルを前提にした新しい法体制に進化できるようにすべきだと思います。

世界に一気に追いつき追い越すためには、何よりもスピードが大切です。また、新型コロナ対応で顕在化した有事の対応については、一番目に、国、中央政府と自治体の役割、責任の再定義が必要です。

2番目ですが、データが発生してから、蓄積して利用されるプロセスの総点検と、データの所有、管理、利用の見直しをすること。

3番目に、マイナンバーシステム全体の見直しも確実に推進すること。

4番目に、デジタル、オンラインを有効活用した教育体制、医療体制を再構築すること。

以上4点は、優先順位の高い課題だと認識しています。

デジタル化を推進するDX人材については、情報工学科の定員をダイナミックに増やす必要があります。政府の進める大学改革の柱にしていただきたいと思います。

また、ネットワークに接続可能な環境整備は、水道や電気の供給と同等あるいは同等以上であり、政府の責務だと思います。排他的経済水域EEZの境界近くまで出かける漁船がネットに接続できないと、若い漁業者は、友人や家族とコミュニケーションできず、完全に社会から隔離されるため、乗船しなくなってしまいます。漁業のサステナビリティだけでなく、安全保障にもつながる重要な視点だと思います。

最後に、都市がグローバル、地方がローカルという発想はもはや時代遅れです。日本中どこにいても世界とつながり、チャンスに出会う社会づくりに私も貢献してまいりたいと思います。

以上です。

小林デジタル副大臣: ありがとうございます。

では、綱川構成員、どうぞ。

綱川構成員: ビースポークの綱川です。

6年前に起業しAIのスタートアップを経営しています。

公的な手続というのは、もともと私はあまり関心がない領域でした。たまたま、2か月前に出産をし、帝王切開直後で歩けない時期に出生届やこども関係の手続が必要だったので、オーストリア人で日本語ができないパートナーが代わりに手続きに行ったのですが完了しませんでした。最後は歩けないながら頑張って市役所に行ったのですが、役所側も持っているはずの情報を、毎回紙に手書きで、字が汚かったりやり直しが必要で、結局待ち時間が1時間でした。

そのときに感じた無駄が2つあります。

1つ目が、時間の無駄。

2目が、やはり手間の無駄。毎回行って手続をしなければいけない。

そんな中、諸外国、例えばシンガポールだと、小学校の手続や免許の更新がオンラインで完結するような世界が、もう既にでき上がっているのですね。

今、日本だと、やはり地方自治体、それから行政、縦割りでデータを管理しているので、なかなか共有が難しく行政手続がスムーズに進んでいないと皆さん感じているのではないでしょうか。

もし、共有化できると、新しい産業とも生まれるきっかけになるのではないのかなと、思います。

海外の人は享受しているのに、日本にいるから受けられない行政サービスこそ国が環境整備を行うべきです。

日々市町村とやり取りをしている中で、やはり財政の格差や首長の意識の差によって、住民サービスに差が出始めていると感じます。

これは、やはりデジタル社会において、ふさわしくない点で、国がもっと主導権を持って進めていくべきです。

私の場合は出産でしたが、こうした課題はたくさんあると思います。課題の洗い出しをした後に、行かなくてもいい市役所というのが実現したら、喜んでくれる人はたくさんいると思うので、特にデータの共有化のための環境整備に関して議論が進んだらうれしいと思っています。

以上です。

小林デジタル副大臣: ありがとうございます。

それでは、十倉構成員。

十倉構成員: 経団連会長の十倉です。

私自身は、デジタル・トランスフォーメーションのキーは、多様な個人のウェルビーイングと、社会全体の最適化を両立させる、すなわち、誰ひとり取り残さないオールインクルーシブな社会を実現することにあると考えます。

2点申し上げます。

1点目は、大臣からもありましたように、デジタル原則の徹底であります。コロナ禍は、デジタルの利活用で世界に大きく遅れをとる日本の姿を浮き彫りにしました。

法制度や縦割り行政、人材不足や現状維持の壁が、デジタル・トランスフォーメーションを阻んできたことは否めません。

デジタル臨調がなすべきは、政府、産業界、国民が連携して、デジタルの力を最大限に利活用できる環境を構築すること、そして、そうした環境を継続的に維持する体制を組むことにあると思います。

まずは、アナログ前提の法令、規制、制度、慣習を徹底的にデジタル原則に沿ったものにすることが必要かと思います。デジタル化は新しいフロンティアを拡大し、民間投資を誘発することにもなります。

2点目は、徹底したデータ化及びその活用と、マイナンバーの利活用であります。

例えば、医療や教育分野におけるデジタル化の加速や、データ連携基盤の構築、活用は、個人の利便性と社会の効率化に大きく寄与するものとなります。

それから、是非、マイナンバーの利活用についても議論していただきたいと存じます。

岸田内閣が掲げます、成長と分配の好循環を実現するには、国民の将来不安の解消が求められ、マイナンバーの活用を通じて、適切な負担、適切な給付を実現する社会保障制度の見直しの議論がなされることを期待しています。

将来不安の解消により、賃上げや現金給付が貯蓄に回ることなく消費喚起につながり、それが成長につながることで、初めて成長と分配の好循環が実現すると考えます。

こうした話は、従来から政府の各種審議会で議論されているようにも思います。

したがって、問題は、やるか、やらないか。村井先生のお言葉を借りれば、Now or Never、まさにデジタル庁が発足し、岸田内閣が成立した今こそ、国民の利便性に資する各種改革を大胆に行う絶好の機会であると考えます。

以上、岸田総理のリーダーシップのもと、我が国が世界最先端のデジタル国家に変貌すべく、このデジタル臨調での議論に期待しております。

以上であります。

小林デジタル副大臣: ありがとうございます。

それでは、奥から萩生田経済産業大臣、お願いします。

萩生田経済産業大臣: 様々な課題がある中で、まず取り組むべきことは、手続業務のデジタル完結をはじめとしたデジタル時代の規制やシステムに求められる原則の確立と、その原則に基づいて既存法令を総点検し、一括して見直すことだと思います。

経産省において規制のデジタル対応の先駆けとして、電力、都市ガスなどの産業保安分野において、デジタル技術を活用した保安レベルの持続的向上を実現するための制度検討を進めています。

また、デジタル技術を活用する企業の求めに応じて、規制のサンドボックス、グレーゾーン解消制度などの対応を進めているところです。

そして、教育分野では国においてもEdTechを活用した個に応じた時間割編成や、STEAM学習を指導できる産業人材、専門人材への教職免許付与などを進める必要があると認識していますが、地方においても教育の分野のデジタル化にしっかりと取り組んでいただくことで、生まれた地域や家庭の環境にかかわらず、誰もが創造性を磨ける学習環境づくりを進める必要があると思います。

御案内のとおり、この前まで文科大臣でGIGAスクール構想を進め、全国の小中学生1人1台端末というのを配備したのですが、このときに端末だけではなくて、学校へのアクセスインフラについても国庫から支出して、必ずこうしてくださいと、すごくきめ細かく全国の自治体に、こういう場合はつながりませんよ、こういうことは、こういう支障がありますよと、いろいろなスタディーケースを出しながらやったにもかかわらず、4月の段階で、約1,500校の皆さんは光ファイバーが到達していないという状況で、新学期が始まってしまったのです。

冒頭、牧島大臣もおっしゃったように、全体のルールづくりの中で、市町村だったらここまでのことは絶対できなくてはおかしいということを決めないといけないのではないかなと思います。

それから、コロナを通じて世の中のフェーズが変わったわけですし、先ほどお話があったように、経団連の十倉会長がおっしゃっていただいたように、岸田内閣としては、デジタル庁を設置して、デジタル大臣をきちんと国民に見せた上で選挙を行って、国民の信任をいただいた以上は、今までのように、マイナンバーカードは作りたい人で、是非作ってくださいねという世の中ではなくて、マイナンバーカードを作って、使ってこういう世の中に変えていくのだということをきちんと説明して、これは勇気を持って、国民皆ナンバーカードにしていかないと、目指すデジタル社会というのはできないと思います。

デジタル庁をつくった以上は、牧島大臣が先頭になって、これは、乳幼児健診の段階ですとか、そういう段階で、全ての国民がカードを持たないと、よその国が、こんなに早くいろんなことができるのに、日本は何をやっているのだといっても、このカードと番号がないわけですから、番号はあってもカードがないわけですから、そういう意味では、この機会に思い切った前進をしていただくことを期待したいと思いますし、経産省もしっかりサポートしたいと思っております。

以上です。

小林デジタル副大臣: ありがとうございます。

金子総務大臣。

金子総務大臣: 総務大臣の金子恭之でございます。よろしくお願いいたします。

人口減少とか少子高齢化などの課題に直面している地方こそが、多様な分野でデジタル化を活用できるニーズがあると思っております。

地方からいち早くデジタルの実装を進め、岸田内閣の成長の柱でございますデジタル田園都市国家構想を実現するため、総務省では、先週12日に、総務省のデジタル田園都市国家構想推進本部を立ち上げさせていただきました。

地方の繁栄なくして国の繁栄なしの考えのもと、5G基地局等のインフラ整備、ビヨンド5Gの研究開発、データセンター、インターネット接続点等の地方立地、そして、デジタル庁をはじめとする関係府省庁と連携した地方公共団体情報システムの標準化、共通化、行政手続のオンライン化、そして、マイナンバーカードの一層の普及促進などによるデジタルガバメントの推進といった施策を通じて、本調査会の目的である新たな付加価値を創出しやすい社会の実現に貢献してまいります。

なお、具体的な取組に当たっては、国民や地方公共団体からの理解を得ながら進めていくことが大変重要であります。個人情報の保護や、セキュリティ対策に十分な配慮をするとともに、地方の様々な声を丁寧に聞きながら進めていく必要があると考えております。

以上です。

小林デジタル副大臣: ありがとうございます。

鈴木財務大臣、お願いします。

鈴木財務大臣: デジタル臨調におきましては、デジタル改革、規制改革、行政改革に係る横断的課題を一体的に検討することによりまして、デジタルによる成長の機会の拡大を図るなど、非常に野心的な議論がなされていくものと認識いたしております。

行政や公共分野の面におきましては、デジタルにより個人や事業者の多様なニーズに対応することが期待されているところでありますが、例えば、デジタルではない分野と、デジタル分野との重複が残存したり、デジタルを奇貨として、行政が肥大化したりするようなことがないように留意することも必要であると思います。

時代に応じた形で、個人や事業者が新たな付加価値を創出しやすい社会を実現することが最も重要な目的であります。デジタルは、その重要かつ不可欠な手段であるということが、ご出席の皆様方の総意であると思いますので、是非活発なご議論を期待いたすところでございます。

小林デジタル副大臣: ありがとうございます。

髙島構成員が手を挙げていらっしゃるので、30秒でお願いします。

髙島構成員: 先日の秋の行政事業レビューで、子供を見守るためのデータ連携について取りまとめをさせていただきましたので、簡単に共有させてください。

教育の現場で起きている様々な情報、それから福祉、つまり、地域や家庭で起きている様々な状況、子供の虐待とか貧困をめぐる状況において、実は地方自治体の中でも情報の連携が、個人情報保護の運用とか解釈によって、うまくできていない。いわんや引っ越した場合には、そうしたものがうまく連携されないので、問合せとかいろいろな手続きを経ているうちにタイムラグがあって、そこで不幸が起きてしまっているという状況もあるわけですね。これは絶対に情報連携をしていかなければいけないし、デジタルが普及した今だからこそ、この情報のデータ連携というのはできることなのですね。

そうした意味では、是非、情報を連携する基盤の整備ということをお願いしたいと思いますし、特に、自分からSOSを発信することができない子供たちを守るためですから、再び不幸なことが起きないためにも、早急に、情報連携するための個人情報保護の解釈・運用上の問題を整理いただくようお願いしたいと思います。やはり、子供についての貧困や虐待から防ぐための問題は喫緊の課題ですので、ルールを明確化したうえで、本当に困った方に支援の手を差し伸べるという目的をきちんと共有すれば、国民の皆さまのコンセンサスが得やすい内容でもあると思います。まず最初に、データ連携の成功事例をつくることが、データ連携の推進力になりますので、具体化することを期待します。

そして、地方と国の在り方のお話になっていますけれども、例えば、企業においても、「競争分野」と「協調分野」というのがあるように、データ関係も含め、地方自治においても、自治体同士が競い合う、「競争分野」と全国一律に国と全国の自治体が協調して取り組むべき「協調分野」があると思うのです。基本的な住民サービスのシステム等においても、全部自治体が、今、発注してオリジナルのものを作っているのですね。

でも、基本的なものは、国のほうでシステム1つ作って、これを運用していく、それ以外の地方自治については自治体が行うということで、VRSがまさにいい事例だったと思うのです。あのような形で国が基本のフォーマットを作って、そこの中で、それぞれの自治体が情報管理していくということをすれば、万が一の際の情報の活用等もうまくいくのではないかと思います。このように、国の主導によって全国の自治体が足並みをそろえることで、データの活用や連携が可能となると思いますので、是非、こういったご議論もできればと思います。

小林デジタル副大臣: ありがとうございます。

各構成員、言い残された分については、事務局におっしゃっていただければ、しっかり、記録に残させていただきたいと思いますので、よろしくお願います。

それでは、これまでの議論を踏まえて、まずは、牧島デジタル大臣から御発言をお願いいたします。

牧島デジタル大臣: まず、3回目の接種というのが、もう目前に迫っている中、転入されてきた方の対応というところは、本人同意の在り方について、今、法的な整理を行っています。

その上で、VRSの使い勝手の向上などについても、対応可能なところから迅速にシステム改善してまいりますので、そのことをご報告しておきたいと思います。

また、必要なデータ連携、活用についても、準公共分野の検討の中に「こども」というものを入れましたので、プッシュ型の支援というお話もありました。対応してまいります。

国と地方の関係も個人の視点に立てば、分権か集権かという二項対立の話ではないというところも、先生方からご指摘がありましたので、デジタル化を踏まえた国・地方の役割、そして、地方自治体のミニマムスタンダードというご指摘もございました。

マイナンバーカードやマイナンバー制度、システム全体の見直し、こうしたものもデジタル臨調、そして、規制改革、行政改革で、さらに検討を続けてまいりたいと思います。

小林デジタル副大臣: ありがとうございました。

それでは、総理より締めくくりの御挨拶をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

岸田内閣総理大臣: 本日は、有識者の皆様に、デジタル原則の方向性やデジタル臨調における検討項目について、貴重なご意見をいただきました。

国民がデジタルを活用した、より良いサービスを享受し、成長を実感できる社会を実現するためには、国・地方の制度やデジタル基盤など、経済社会の仕組みをデジタル時代に合ったものに作り直していく必要があります。

そのため、牧島大臣を中心に関係大臣が協力して、年末までに「デジタル原則」を策定するとともに、改革項目を具体化してもらいたいと思います。その中では、デジタル田園都市国家構想実現に向け、国・地方・民間を通じたデジタル基盤の整備プランや、デジタル人材育成の強化策を具体化するとともに、デジタル時代にあった規制・制度・行政の見直し、調達、政策の執行・評価などのあるべき姿とその方策を示してもらいます。

年明けには、できるところから、速やかに制度改革に着手し、例えば、インフラ等の保安規制や定期検査の見直し、学修者の習熟度に応じた教育の実現、自動運転の実装化による配送や高齢者の送迎に向けた制度の見直しなど、規制する側、規制される側、国民の皆さんから歓迎される「三方良し」の制度見直しを実現していきます。

さらに、来年春には、デジタル時代にふさわしい経済社会構造を作るための、一括的な規制見直しプランを取りまとめます。また、本日委員の皆様方から様々な意見をいただきました。委員の皆様から提示のあった次の内容について、即座に対応することといたします。

一つは、ワクチン接種記録、いわゆるVRSに関する福岡市長の提言と、牧島大臣からの検討の方向性の発言を踏まえて、ワクチンの3回目接種を円滑に進めるため、牧島デジタル大臣を中心に、引っ越しに伴うデータ連携の取組を進めてまいります。

次に、5Gネットワークの都市と地方での一体的な整備に向け、金子総務大臣を中心に、規制と支援の手段を総動員して、地方での整備を加速いたします。

そして、貧困や虐待などから保護を要する子供たちを見守るため、牧島デジタル大臣を中心に、子供たちの生活に関わる、関係機関の様々な情報を集約するデジタル基盤を整備いたします。

最後に、スピード感の重要性について改めて申し上げます。岸田内閣は、政策実現のスピード感をとりわけ重視いたします。単に経済対策を、なるべく早く国民にお届けするだけではありません。”fail fast”が企業の興亡を左右するデジタル時代。行政のデジタルインフラ整備や、制度改革のスピードが、国や企業の成長力を左右するということを肝に銘じて、各大臣には取り組んでいただくよう、強くお願い申し上げます。

以上です。

小林デジタル副大臣: ありがとうございました。

構成員の皆様、大変熱いご意見をいただきまして、本当にありがとうございました。また、次回に向けてしっかり詰めてまいりたいと思いますし、また、皆さんと議論する機会をより多く作っていけるようにしていきたいと思います。

それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了いたします。

本日は、ご多忙の中、ありがとうございました。

以上