松本大臣退任記者会見(令和8年9月17日)
松本デジタル大臣退任記者会見要旨
(令和8年9月17日(木)12時15分から12時40分まで 於:デジタル庁20階会見室及びオンライン)
1. 発言要旨
先ほど臨時閣議におきまして、今回の閣僚の中で辞表を皆さん提出したところでございます。一旦そこで区切りということですので、この今回1年を振り返ってお話をさせていただきたいと思います。いろいろたくさん仕事をさせていただきました。特にガバメントAIの取組を推進したという点で、この5月からガバメントAIの源内を、国家公務員18万人を対象に8月末時点で16万人が利用可能とすることができました。私の方から特段指示をしまして、国会対応等々で利活用できるところからまず始めてみようということでした。実際にいくつかの国会答弁その他、源内を使ったもので、私もそれを読み上げることはしませんでしたけれども、国会答弁上、大変参考にさせていただいたところでございます。実際に職員の皆さんに聞いてみますと、これまでの答弁の資料作成等々でかなり時間の短縮等々の効果が出たということでございます。今後はさらにそういった専用のAIを作るなり、いろいろと踏み込んでいきながら、AIの利活用をするとこれだけいろいろな作業効率が上がってくるのだよということを、政府が主体となって国民の皆さんに分かるような形で進めていっていただきたいと思っております。
それから、総理から特別に医療福祉のDXを進めよということでご指示をいただいていたところでございますけれども。医療DXについては、電子カルテがまだ導入されていない病院、クリニックも多々あるので、それをしっかりロードマップを作りながら進めていくということを決めました。厚生労働省とデジタル庁で相談をしながら、2028年度中には200床以上の病院には、まだ入っていないところもありますので、そういったことをきちんと、100%電子カルテが導入されるようにすること。そして同時にまだ入っていないクリニックのところには、導入版ということでこれを普及するという方針を決めました。それだけでは全然意味がないので、各医療機関がデータをきちんと横で繋げられるようにする、それが例えば薬局とも繋がるようにするということで、そういったことが簡易にできるような認証制度のついたシステムを導入していただく等々のことも含めて、こういった点を線で結ぶ作業をさせていただきました。これについては大方目処がたってきたかなと思っています。また、同時に医療機関のデータをしっかりと守らなければいけないということで、サイバーセキュリティ対策では、その9割方が外部接続点がたくさんあって、そこでリスクを高めているということも分かってきましたので、まずは外部接続点をしらみつぶしに潰していこうという方針としました。とりわけ特定機能病院、大学病院等々の大きな機関となる病院に対して優先的にこれを進めるという方針で、これから進めてまいりたいと思います。非常に多岐にわたる問題がありますけれども、その点については大方の形というか方針をきっちり決めることができました。ここは私もかなり力を入れてやらせていただいたところでございます。同じ文脈で、能登半島のいわゆる復旧、復興対策の1つとして、能登半島の病院を、我々が考えているような電子カルテでクリニック、病院、そして患者さんを繋いでいこうという計画で、能登半島の医療DXを進めるプロジェクトを9月(正:7月)からスタートさせていただいて、石川県、それから石川県の医師会、能登の医師会の皆さんのご協力を得て、これを形として進めていく、そういうプロジェクトをスタートすることができたということでございます。
地方の標準化とかガバメントクラウドについては、淡々と進めていくという方針にしまして、令和7年度末で予定システムのうち71%が完了したところで、いろいろと遅い、遅れている等々のご批判もいただいたのですが、今年度中には9割を達成する見込みもついてきたということであります。また、ガバメントクラウドについては、アメリカのビッグテックに依存している状況をなんとか解決するための1つとして、4月(正:3月)からさくらのクラウド、国産のクラウドを採用することにしました。デジタル庁としては、できるだけ国産のクラウドがこれからどんどん利活用できるように進めていきたいと思うと同時に、8月以降になりますがアメリカのビッグテックの4社の皆さんとの会談をアメリカでやって日本でやってということで頻繁にやり取りをしながら、デジタル赤字の解消に少しでも貢献できるような、そういう方策を方針としてデジタル庁としては決めることができました。これはこれから実際に具体論を進めていくものと思います。
給付付税額控除の議論がありました。これは3月から4月にかけて(正:2月に)社会保障国民会議がスタートしましたけれども、一番大事なことは、どういう制度に落ち着くかは別として、その制度を実行していくシステムを作るのはデジタル庁であるということを前にまず掲げて、当初国民会議のメンバーにデジタル大臣は入っていなかったのですけれども、システムを作れなければどんなに立派な制度を作っても実行できないだろうということで、この国民会議の親会議のメンバーにデジタル大臣を入れていただきました。これかなり押し込んだのですけれども。おかげで国民会議の議論を手に取るように経過を追うことができました。その議論に合わせてシステムを作っていくぞということで、まだこれから法律が実はできるのですけど、もう4月の段階で議論に合わせながら、どういうシステムが一番早く、しかも地方に負担をかけずにできるかというところにかなり時間を割いて、エネルギーを割いて進めてまいりました。今般、税制改革大綱もしっかりと出来上がったところで、これからの国会で法律が出来上がりますけれども、できる前にもう地方をサポートして、最終的には国が主体でシステムを運用できるように、給付主体になれるように、もう既にデジタル庁としては作業を開始しているところでございます。これについては、非常に早くから作業というか仕事をスタートさせられたということは、非常に私自身は大きな成果を上げたものではないかなと思っているところでございます。
防災DXは、副大臣にもかなりご協力をいただきながら作業を進めておりました。図らずも熊本の地震がありましたので、昨年の夏にスタートさせたD-CERT、災害派遣デジタル支援チームを初めて出動させることとなりました。いかんせん初めての出動ですので、現場でどういうデジタルニーズがあるのかということを、行った職員の皆さんにはしっかり拾ってこいということを指示いたしまして、思った以上に我々としては現場での成果も上げられましたし、それから災害時にどういうニーズがあるかということを多く拾い上げることができました。つい先週、それのまとめを行ったところですけれども、予想以上の成果が上がったと思います。次なる災害に備えて、デジタル庁としてはこのD-CERTの業務内容等々、出動体制等々、しっかりと平時の準備をしていきたいと思っているところでございます。
Gビズポータルは、デジタル庁としてもかなり力を入れている領域ですけれども、これも実証版の提供開始を本年3月にやりました。現在で4万1千人の方々が利用されているのですけれども、とにかく特に中小企業の皆さんにこのポータルを利用して、お仕事のいろいろな申請だとか、あるいは起業するところもそうなのですけど、そういったものの事務作業を簡便にやっていただきたいと思いまして、私自ら商工団体の方に利用を進めてもらえるようにお願いにあがったり等々も行ったところでございます。
それから国際関係としましては、エストニア、ベルギー、シンガポールとMoCの締結、あるいはその更新をすることができました。とりわけ人材育成に関して、これからどうするかというような話はシンガポールとの間では具体的な行動を議論することができました。これも今後、人材育成をお互いに情報交換しながら、場合によっては共通した何かカリキュラムなどもあってもいいかもしれません。そういったようなことを進めていきたいと思っています。
そして、成長戦略絡みでとりわけ自動運転、それから医療、このあたりはデジタル行財政改革の準公共の分野でございますけれども、AI×医療でもっと革新的な医療デバイスをつくる等々の作業を始めたところです。これは実は会議体をつくってスタートするとこまで行きたかったのですけど、そこは経産省、厚労省、そしてデジタル庁といわゆる腹合わせをするところまではなんとかできたかなと思っています。自動運転に関しては、8月末にロサンゼルスに行って自動運転車に乗ってくる機会をいただきましたけれども、やはり日本との今の技術よりもむしろ社会実装への差というものを大きく感じましたので、早速戻ってきてから日本の自動車メーカーと交渉をしながら、レベル4、完全自動運転で、自家用車で、なおかつ海外展開できるということを是非我々政府側の人間と、そして自動車メーカーと自動車工業会もそうですけど、そういったところと同じ目標を持って、これから進めて欲しいということをお願いをしました。これから、それもこれも自工会を中心になるだろうと思いますが、会議体を作ってスタートしたかったのですけど、そこまでには残念ながら間に合いませんでしたが、これはこれからの方に譲りたいと思います。
それから国家公務員制度担当大臣として、国家公務員の働きがいをいかに増やすかという作業をさせていただきました。これについては、具体的に国家公務員バリューアッププロジェクトという具体論を7月に出させていただきました。その一環として、若手の霞が関の職員、あるいはこれから役職についていく、偉くなっていくだろうという人たちを集めて、私自ら参加してワークショップもさせていただきましたけれども、非常にいろいろな意見が出て効果的だったと思います。できればこういったものをどんどん続けていっていければと思いますし、そういった声をしっかり引き上げることが大事なことではなかろうかと思っています。
それからサイバー安全保障担当大臣としては、これは明確に申し上げることはなかなかできない分野でもございますけれども、4月にクロード・ミュトスが出た問題については、Project YATA-Shieldというアメリカでいうといわゆるグラスウィングというプロジェクトに相当するものを作りました。基本的にはそういった最先端のものが仮に入手できない状況があったとしても、何種類も多層的に組み合わせて防御をしていくという方針をしっかりと立てたという点で即座に関係省庁等々にこれを徹底しているということでございます。
その他、重要インフラ統一基準を作ったり、あるいはこの10月からいよいよアクティブサイバーディフェンスがスタートするわけですけど、それに向けて官民連携のための意見交換、あるいは協議会の設置等々の仕事もさせていただいたところでございます。
個人情報保護法に関しては、改正案で改正法を成立させることができました。これは再三国会でもお話をさせていただきましたけど、やはりAI開発を前に進める上ではどうしても成立させなければいけない法律だったと思います。国会の中では、個人情報保護とのバランスについてかなり突っ込んだ議論をお互いにできたと思っております。今後、規則、そしてガイドラインでその懸念の部分をしっかりと払拭していかなければいけません。国会でも私お約束した通り、この規則、ガイドラインについては国会で出た懸念事項と、それから私が実際に答弁したものを全部洗い出して、漏れのないように、その1件1件について規則、そしてガイドラインをこれから策定することになります。そのアジェンダのところまでは私の責任できちんと決めることができたかなと思っております。
また、総理指示では、CBRNEテロの対策を改めてきちんとやってほしいというご指示がありました。国家公安委員長の赤間大臣とともに、このCBRNEテロは官邸の危機管理室と一緒になって新しいアップデートした対策というものを作れたと思います。中身について詳細は長くなりますのでやめますけれども、かなり今までの感じとは違う斬新な内容を作ることができたかなと思っております。これについては総理にも報告し、ご了解を得ているところでございます。
多々お話しさせていただきましたけれども、この11か月程度の期間ですけれども、私としてはかなり真面目にきっちり仕事ができたかなと思っております。大臣としては、いろいろ批判が多々あるにせよ、法律を1本きちんと上げることができたということは、非常に私自身は誇りに思ってもいいかなと思っております。今後、いろいろなDX、自動運転、それから給付付税額控除のシステム構築のあたりはかなり重要な部分だと思いますので、引き続き何らかの形で関わりたいと思っております。一応この時点での私の1年を振り返った所感ということでお話をさせていただきました。
2. 質疑応答
(問)今日大きな節目を迎えることになりますけれども、今お話の中にあった通り、いろいろな政策を務めてこられておられまして、次の方に、どなたかはまだ分かりませんけども、引き継ぎたいことであったりとか、特に力を入れて進めてほしいと思ってらっしゃる政策がありましたらお考えを教えていただけますか。
(答)今お話しした中をもう1度精査していただければ、どこを具体的に重く引き継ぎたいかということはご理解いただけると思いますけれども。そうですね、力を入れた部分は最後の方に申しましたけど、給付付税額控除のシステム構築、これは国民との約束になりますから、あともう1つは国が主体となってやるべきだと私は思っておりますので、それができるようなシステム構築をきちんとやっていかなければいけないと思います。それと医療DXは、医師でもあることからこだわりは持たなければいけないのですけれども、これはもう大体レールを引いたので、それに合わせて進んでいければなと思います。やはり気になっているのは自動運転ですね。アメリカとの差というのは社会実装の上でものすごく感じますので、これを一刻も早く実装させていく、先ほど申しましたけど、もうL4の自家用車でそういったものを作って海外に展開するところまで行かないと本当の国益にはならないと思います。そういったところは、これから政府を挙げて、国策として前に進めるべきだと思っています。
(問)今後、一議員としてどのような政策だったり、取組に力を入れていきたいか。
(答)デジタル大臣として、いっぱいたくさんあるので、ちょっとそれは、デジタル関係だけでもありませんのでちょっと控えておこうかな。長くなってしまうし。ただ、やはりデジタル大臣をやった以上は、この世界はもう僕は1つライフワークとしてきっちりやりたいと思っています。これは大臣をやった責任ですから、やった以上は、やれなかった仕事とか、これからやらないといけないことたくさんありますから。僕が個人的にどういう領域に興味を持っているかに関わらずきちんとやらなければいけないし、実際にかなり興味を持ちましたから、なんだかんだ一番詳しいと思いますから、今僕の頭の中ではデジタル関係はかなり詳しくなっていますから、きちんとやりたいと思います。よく医者はデジタル分かるのかという批判を当初受けました。だけど大臣の仕事というのは、エンジニアではありませんから、テクニカルな話は僕はそれほど詳しい必要はないと思っていて、必要な政策をきちんと決断して責任取っていくのが大事な役目だと思うので、十分そこのあたりについては、エンジニアではないから違うよねというそういう批判は当たらなかったかなと、やってみてよくわかりました。
(問)医療DXについてなのですけれども、先ほども能登地域の方で地震被害があった過疎地域の、過疎の進む能登地域の方でDXやられてこられましたけれども、その成果と、今後後任の方へ引き継ぐにあたってどのような部分、どのように引き継がれていきたいかというのを。
(答)能登の医療DXのプロジェクトについては、まだ骨格を決めただけで具体的な実装というのはこれからです。ただ、何をどこに実装するかまでは大方決まっていますので、それを石川県庁とか、あるいは石川県の医師会の皆さんとか、能登の皆さんが実際にスピードアップしてやっていただければ、大方、松本が頭の中に描いている絵図面というのは出来上がってくるのかなという気はします。ただ、やはり医療機関も少ないですし、患者さん側の足がないというのもあるので、そこに自動運転をどうしても入れたいなと思っていて、医療DXは別に医療だけではなくてアクセスのことを考えたら、そういった自動運転だとかいろいろな他の面にも広がっていくと思うのですよね。それからオンライン診療にしたって今テレビ電話で問診しているだけではなくて、そこにフィジカルなものを入れていくとか、いろいろとまだまだ広がりがあると思うので、そういったもののある意味実験場というか、そういった場所にできれば能登の復興にもなるし、社会的な意味も大きいと思っているので、僕の頭の中はそういう頭の中なので、それをどこかで途切れさせずに続けてもらえればいいなと思っています。
(以上)