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松本大臣記者会見(令和7年12月2日)

松本デジタル大臣記者会見要旨

(令和7年12月2日(火) 8時50分から9時10分まで 於:デジタル庁20階会見室及びオンライン)

1. 発言要旨

1つ目です。11月28日(金)に令和7年度補正予算案の概算が閣議決定されました。これは先月21日に閣議決定された「「強い経済」を実現するための総合経済対策」に基づいて、総額2,690億円、うちデジタル庁実施分として1,042億円を計上するものです。その概要を紹介したいと思います。
まず、第1の柱である「生活の安全保障・物価高への対応」では、地方公共団体情報システム運用最適化支援事業に366億円を盛り込んでおります。この事業は、「標準化・ガバメントクラウド移行後の運用経費に係る総合的な対策」に基づく各種施策を講じてもなお増加する運用経費について、計画的に抑制・適正化し、運用の最適化を図るための国庫補助事業を創設するものです。本事業を通じて、各地方公共団体と協力しながら、標準化・ガバメントクラウド移行後の安定的な運用に向けた取組を進めてまいります。
第2の柱では、「危機管理投資・成長投資による「強い経済」の実現」となっておりますが、これについては行政機関職員向けに、生成AI検証環境「源内」を提供するなど、「ガバメントAI」の構築に向けた取組に44億円、医療DXの一環として、自治体と医療機関等をつなぐ情報連携基盤(PMH)の構築や関連システムの機能拡充等に計17億円を盛り込んでおります。その他詳細については、事務方にお問い合わせいただきたいと思いますが、今後、まず政府として補正予算の早期成立に向けて取り組むとともに、デジタル庁としても、国民の皆様、地方の皆様に効果を実感していただけるようしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

2点目です。本日(2日)、デジタル庁からのプレスリリースでも発表しますが、このたびデジタル庁では、ガバメントAIにおいて、国内開発のAIモデルを積極的に活用する方針を決定いたしました。国内企業の株式会社Preferred Networksが開発した「PLaMo翻訳」を生成AI利用環境「源内」を通じて政府職員に提供すること、そしてガバメントAI向けに、国内企業や国内研究機関が開発・提供するAIモデルの公募を行うこと、この2点を実施することとしました。
デジタル庁は現在、ガバメントAIの実現に向けて、生成AI利用環境「源内」の各府省庁への展開を進めています。この取組において、行政に対する信頼を確保しつつ、安全・安心な生成AIの利活用を推進するためには、日本語の語彙・表現に適合し、日本の文化・価値観を尊重した大規模言語モデルLLMの活用が重要だと考えております。
まず、「PLaMo翻訳」については、海外の言語モデルをベースとせず、設計から学習までを国内で完結しており、日本語を入力・出力言語とするテキスト翻訳に特化した国内開発のAIモデルであります。翻訳結果の和文が自然な流れになるよう学習が施されているため、理解しやすい流暢な和訳を生成することができ、行政文書に特有の語彙・記述様式にも柔軟に対応できるため、行政実務の生産性向上に資するAIモデルであると期待しております。
次に、この「PLaMo翻訳」の事例のように、国内企業や国内研究機関が開発・提供するAIモデルを政府が積極的に活用することによって、信頼できるAIの国内開発を支援していくということも重要であります。このため、公募により選定したAIモデルを、ガバメントAIにおいて試験的に利用し、行政実務での実用性や課題の評価・検証を行うこととしました。
公募内容については、本日のプレスリリースをご覧いただければと思いますが、本日2日から来年の1月末までの公募期間を設けた上で、3月末までに源内での利用に向けた選定を行い、来年度以降の源内の各府省展開につなげていければと考えております。国内企業等の皆様におかれましては、積極的な応募をお願い申し上げたいと思っております。
デジタル庁では、このような国内企業との連携・協力を通じて、ガバメントAIにおける国内開発のAIモデルの積極的な活用を推進していこうと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

3つ目でございます。本日、「租税特別措置・補助金見直しに関する関係閣僚等及び副大臣会議」が開催され、私も行政改革担当大臣として参加いたしました。
今回の副大臣会議については、各府省庁が今般の補助金等の見直しを取り組むにあたり、副大臣をはじめとする政務レベルが強力にリーダーシップを取って進めるということをお願いするために開催されました。私も担当大臣として、先月28日の行政改革推進会議に報告しました、令和7年秋の年次公開検証の取りまとめの内容等を改めて説明したところでございます。
令和8年度当初予算編成をはじめとした予算編成等について、行政事業レビューの結果も踏まえつつ、予算や基金事業に関し、必要性、効率性及び有効性等の観点から不断に点検・見直しを進めてまいりたいと思っております。

それから4つ目はマイナ保険証についてのお話でございます。
本日より発行済みの健康保険証の有効期限は終了しているところです。
先月から、私もこの場を通じて再三マイナ保険証への切り替えをお願いしてきたところでございますけれども、新聞各紙、それから報道等いろいろなところで話題にもなっておりますが、本日以降、医療機関を受診する際には、マイナ保険証をお持ちの方はマイナンバーカード、そしてマイナ保険証をお持ちでない方は資格確認書を、それぞれ持参していただくことになります。
マイナ保険証の登録は、医療機関やマイナポータルから行うことができますし、積極的にこの機を逃さずにマイナ保険証をお持ちいただくことをお願いしたいと思っております。ちなみに、様々な対策を講じておりますから保険診療が受けられないということはないように厚生労働省からも通知が出ておりますし、各医療機関もそのように対応していただけるはずですので、国民の皆様にはご安心いただきたいと思っております。ただ、いろいろな医療サービスをこれからどんどん手軽に、簡便に、迅速に受けられるように我々も努力をしていきますので、マイナ保険証を持つことによるメリット、利益というものを考えて、これからそれに期待していただいて、国民の皆様にはマイナ保険証を持っていただくことを私からもお願いしたいと思っております。

2. 質疑応答

(問)冒頭発言にありましたマイナ保険証の関係でお伺いいたします。大臣に閣議後会見で以前も聞いたことかもしれませんけれども、今日から原則マイナ保険証への移行ということになりました。数字的なところを見るとマイナンバーカード自体は国民の約8割の方々が持っていらっしゃって、そのうちマイナ保険証を登録している方もマイナンバーカードを持っている方のうち8割以上の方が登録されている。ただ一方で、それを実際に利用されている方の割合は37%、4割弱というような数字になっています。この利用率がまだなかなか伸び悩んでいる現状をどのように捉えられているのか。そしてこの利用率を当然政府としては向上させていくことが大事になると思いますけど、どういった点を訴えてこの利用率を向上させていきたいと考えているのか教えていただければと思います。

(答)非常に重要な質問だと思います。各紙とも利用率37%だということは、やはり記事の最後の方にしっかりと書いていただいているところですけれども、利用率を高めるためにはいろいろな方向で物事を見ていかなければいけないと思います。まず、患者さんが利用してくれないとスタートしませんから。今利用しない理由というのは、どちらかというと今までやっていた方が楽だからという理由があります。慣れた方法を使いたいという感じですよね。それから、カードそのものを持っていない人、保険証に紐付けてない人は、やはり自分のいろいろな情報が取られてしまうのではないかとか、盗まれてしまうのではないかという、ある意味誤ったことを思っているということもあると思います。それから3つ目に、何が違うのかと、これは1つ目の理由とよく似ている、繋がっていると思いますが、そういった利用することによるメリットがまだ十分感じられないというような、3つとも利用者側にはあるかなと思っています。ですので、3つ目がやはり1番利用するモチベーションを高めるためには大事ですから、それを国民の皆さんがどこかで1回これあって便利だなというのをやはり経験してもらうということは非常に必要なのではないかなというのは1点。それから2点目は医療機関側の問題で、そもそもまだそういったマイナ保険証と自分たちの仕事を紐付けてないよねというところがあると思うんですね。保険診療する意味での、いわゆるオンライン資格確認証システムに繋がってはいるけれども、それは患者さんの自分のところのカルテと繋がっているだけで、入ってきた患者さんと電子カルテは繋がらずに保険証のナンバーを入れてその患者さんのデータをコンピューター上に出してというようなことをやっていると、それは今までとあまり変わらないので、そこの繋ぎがまだ悪いというような問題もあると思います。これはお医者さんの側も今までやっていてあまり不便がないからそれでいいやというように繋げている部分があって、ただそれは患者さんの利便性考えたら、例えばこの患者さんはよその病院でどんな治療を受けているのですかとか、あるいはよそのところでどんなお薬をもらっているのですかというのをお薬手帳を見なくても画面にパッと出るようになれば、もっと便利なはずなのですが、そういった医療DX全体の便利さというのを医療機関側にもまだ理解してもらっていない部分もあるのかもしれないと。ですので、両方にしっかりとアプローチして、そこを細かく説明していかないと先に進めないのではないかなという気はしていますね。

(問)外国人の不動産所有について、デジタル庁が整備する不動産ベース・レジストリを活用すると一部報道などで出ています。こちらの活用に向けた進捗状況と課題についてご見解等お伺いできたらと思います。

(答)不動産ベース・レジストリについても昨日ぐらいから報道されているのを承知しております。これは法務省が管理する不動産登記情報にオンライン上でアクセスしようという仕組みであり、これを今作り始めたところです。現状まだどういった要件を定義していくかということを検討している段階でございまして、目標としては令和9年度以降の稼働を目標にしていますが、そこから先に行かないとなかなか稼働は難しいよねという状態であります。大量のデータがありますので、地図データとか、登記されているデータとか、そういったものを全部レジストリとして完成させるには、まだ少し時間がかかるということであります。今回、この登記に国籍事項が取り込まれるということになれば、当然今から作るこの不動産ベース・レジストリには反映していけるわけですね。できたものに後で追加するというのは非常に手間のかかる話で、これから作るのですから、当然、国籍情報はしっかり制度として決まった時点で、それを作る段階において、きちんとデータとして入れ込めるように、当然、我々としてもやっていきたいと思います。外国人による不動産所有状況というのは、一元的に把握できるように作っていかなければいけないと思いますので、この機に我々としては法務省と作っていくこの仕組みを、デジタル庁としてもしっかりサポートしていきたいと思っています。できる限り、この問題は国民の皆さんが結構関心が高いと思っていますので、早くやりたいのですが、システムを作るということはそう簡単には進みません。作業がやはり必要ですから、鋭意努力をしてまいりたいと思っています。

(問)租税特別措置と補助金見直しの件で伺います。先日担当室が設置され、今朝も会議がありましたけども、改めてこの租税特別措置と補助金見直しに関して、行政改革担当大臣としてどのように携わられていくお考えか教えてください。

(答)この件については、我々も行政事業レビューを通して、これまでもいろいろな側面で見直しをしてきたところですけれども、今般、日本維新の会から、支出や制度の見直しを進め、成果に基づいた透明性の高い財政運営を転換すべきだというような指摘もあるわけでありまして、それを受けて、今回は租税特別措置補助金見直し担当室というものを作ったわけです。我々というか私としても行政改革担当大臣として、この予算やあるいは基金事業の見直しといったことも普段からやっているわけで、そういった情報を彼らにもしっかりと提供し、また、共有しながら秋のレビューももうずっとやっていますから、そういった内容も情報として提供して、片山大臣とともに連携は相当強く持ちながら作業を進めていきたいと思っているところです。目的とするものは全く一緒ですから、しっかりと自己点検、あるいは評価指標の整備など、我々が今までやってきたこともきちんと進めながら連携を強めていきたいと思っています。

(以上)