本文へ移動

平大臣退任記者会見(令和7年10月21日)

平デジタル大臣退任記者会見要旨

(令和7年10月21日(火) 10時50分から11時08分まで 於:デジタル庁20階会見室及びオンライン)

1. 発言要旨

今朝の閣議で石破内閣は総辞職いたしました。昨年の10月1日に第4代デジタル大臣を拝命いたしました。今日で386日目になります。デジタル大臣といたしましては、まず就任の日にAIをフル実装するということを宣言いたしました。デジタルガバメント、ガバメントクラウドと来て、あとはSaaSのデジタルマーケットプレイスなども準備していく中で、次はガバメントAIだと、AIのフル実装だということをお話しさせていただいて、私の発案でAIのアイディアソン・ハッカソンなども開催し、今、源内プロジェクトといったものが庁内でも進んでいますが、これからさらにAIの実装を加速していきたいと思います。デジタル庁はガバメントソリューションサービスというデジタル環境を整える業務を担っており、今後も、府省庁に横展開をしていきますので、そこの府省庁は、我々が作るガバメントAIを使えるようになっていく。それと併せて、ガバメントクラウドに乗っかってくる全国の自治体も、デジタルマーケットプレイスを通じて行政支援のSaaSをそこから入手することができるのですが、将来的にはそこにも、行政支援の我々が開発するAIを乗せていきたいと思っています。結果として、政府の横展開と、自治体との縦で、面でこの日本の行政を、AIを使って生産性を向上していきたいと思っています。これは、私が大臣になって非常にこだわりのあるところでありまして、急速に進んでいると思います。また、大手の米国のビッグテックや日本のベンチャー、AI事業者とも、これから連携を強化していきたいと思っています。
デジタル大臣としては、法律としては、ガバクラ法の改正、マイナンバー法の改正に取り組みました。マイナンバーカードについては、保有枚数が今9,900万枚まで、国民の約8割が保有するまでに広がっているということであります。また、昨年12月にマイナ保険証を基本とする仕組みへの移行、今年の3月マイナ免許証のスタート、今年の6月にiPhoneのマイナンバーカードのサービス開始もいたしました。こちらは、9月末時点で約251万人が利用しています。Androidに関しては、来年の秋にiPhoneと同じサービスが実現する予定になっています。さらに今年の10月1日からは、マイナ救急、マイナンバーカードを持っていて、これがマイナ保険証として使えるマイナンバーカードであれば、救急隊員がそれを確認して、薬や病歴などの履歴を確認して、最適な救命措置を行うことができるという画期的なサービスが実現したのだろうと思っております。
さらには、他の大臣としては、サイバー安全保障担当大臣としてサイバー対処能力強化法を成立させることができました。これは石破総理から今日の1年間の振り返りの総括の中でも、この法律は名前を挙げて言っておりましたが、日本のサイバー対処能力を飛躍的に向上させる画期的な法律だと自負しています。官民連携、通信情報の利用、そしてアクセス・無害化を初めて法律上で可能にする、飛躍的に連携強化ができる法律であります。この法律ができましたので、7月1日に内閣官房に国家サイバー統括室、さらには内閣サイバー官、これ事務次官級でありますが、新設し、これからまさにアクセス・無害化をしたり、通信の利用・分析をするためのキャパビル、能力構築に取り組んでいくフェーズに入ってきたということで、これは1つ大きな実績だったろうと思います。また、この法律が成立してから積極的に同盟国、同志国との意見交換と連携強化に取り組んでまいりました。英国、いわゆるオーストラリアなどは非常に重要なパートナーであります。また、インドともそういう話をしたところであります。今後、さらに同盟国、同志国との、この分野における連携強化はしっかり果たしていきたいと思います。
デジタル行財政改革のところは、来年になるかと思いますが、次の大臣に期待するところでありますが、この生成AI時代にふさわしいデータの利活用といったものをしっかり進めていかなければならないということだと思います。今、包括的なデータ利活用の法律制定に向けて有識者会議が進んでいると、そのように認識しています。規制改革のところは、私は特にお願いしたのはAI関連のレギュレーションのデザインをしっかりやって欲しいという話をしています。特に今、いわゆる士業のところとAIがどう整理するのか、AIかなりいろいろなことができてしまいますので、そこの整理といったものもありますし、特に私からお願いをしたのは、AIがいわゆるボディと手と足を持つフェーズに入ってきました。AI×ロボティクスとか、AI×汎用型ロボットということです。こういったロボットが、例えばAの工場内で働いている時に、Bという隣地の工場に移動する際に道路を渡っていいのかとか、いろいろな問題が出てきますので、こういったところも規制改革会議には、AI×ロボティクスのところの規制のデザインをフォワードルッキングで議論して欲しいという宿題を出しているところであります。
防災については、今年の8月、災害時に民間デジタル人材を被災地に派遣し、災害対応をデジタルの面から支援する災害派遣デジタル支援チーム、D-CERTの創設を発表したところであります。
あと最後に、所管外になるかもしれないですが、サイバー対処能力強化法を作ることによって、メインターゲットは基幹インフラ事業者なんですね、通信とか電力とか。あとは、他の企業も協議会で入っていただければ、企業の側がセキュリティクリアランスをしっかり取ってくれれば、我々といろいろな情報を共有して、サイバーセキュリティの能力強化に取り組めるわけですね。ですので、例えばアサヒビールが今攻撃されていますが、アサヒビールは重要インフラ事業者、基幹インフラ事業者ではありませんが、もしそういう会社も協議会に入りたいということであれば、セキュリティクリアランスを取っていただいて、環境整備していただければ、我々と情報を共有することができるということであります。こういった中で、私の問題意識としては、その基幹インフラ事業者とか企業を守る仕組み、あと国家、自衛隊とか在日米軍を守るとこは、法律でしっかり定めて、まさに今、機能強化、キャパビルに取り組んでいるわけでありますが、最近は、外国からの民主主義に対する介入、選挙に対する介入なども非常に話題に上ることが多いわけであります。これは今回のサイバー対処能力強化法のスコープの中にはないです。入っていません。ただ一方で、諸外国でいろいろなことが起き、また日本でもいろいろなレポートが上がってくる中で、ここの取組は重要だということで、これは官房長官にご相談を申し上げて、先般、内閣官房に外国による偽情報等に関するポータルサイトというものが新設されました。これは所管外ではありますが、私の問題意識、いわゆるサイバーセキュリティやAIに関わる大臣の問題意識を内閣官房で受け止めていただいて、こういう形になったと、機能強化になったということで、これはこの1週間、大臣の在任期間が伸びたことによって、ここまでやり切ることができたので、これは良かったなという感想を持っています。

2. 質疑応答

(問)サイバー安全保障に関してお伺いいたします。先ほどお話の中にもありましたが、能動的サイバー防御の関連法案の成立や国家サイバー統括室の発足と動き始めたところだと思います。今まさにお話にもありましたが、企業へのサイバー攻撃は引き続いている状況にあると思います。今後の課題と対策についてどうお考えになっているかということと、この分野に関して次期大臣に引き継ぎたいことがあれば教えてください。

(答)まさにキャパビルですよね。今までできなかったことがこの新しい法律によってできるようになったということであります。実は、警察、自衛隊のその部署と、私、現地へ赴いて意見交換もしてまいりました。その中で、私自身が気付いた課題もあります。そういったものについては、しっかりキャパビルをするということをサポートしていきたいと思いますし、私の問題意識は次の大臣にしっかり引き継ぎたいと思います。特にAIですよね。結局サイバー攻撃のオフェンスとディフェンスは、最終的にはAI対AIになるわけでありますので、これだけ生成AIの進化が激しい中で、その進化を敷く過程でどういうリスクが生じるのか、それに対してどう対処するのかというイマジネーションが働かないと対応しきれないと思います。ですので、今後、特にこれ防衛大臣のところになるかと思いますが、やはりAIに対する知見やAIの最先端の人材と、そういった部局のしかるべき人間がやはり定期的に意見交換ができるようなコミュニティみたいなものにしっかりアクセスできる体制といったものを作る必要があるなというのは強く感じたところであります。2つ目は、同盟国、同志国との連携でありまして、なかなかやはりアメリカとか、イギリスとか、オーストラリアのようなフルスペックのインテリジェンスというのは、なかなか今日本では難しいと思いますが、この法律ができたことで同盟国、同志国とwin-winの関係が築ける可能性も出てきましたので、さらに同盟国、同志国とよく議論して、その協力関係の幅、もしくはその深さのところをさらに発展させる必要があると思いますので、次の大臣には是非お願いしたいと思います。特に、イギリス、オーストラリアはもうしっかり話してきましたので、米国は私、グラス大使としか話をしていませんので、米国政府とよくその辺について議論していただければありがたいなと思います。

(問)政務に関連することかもしれませんが、大臣ご自身、今回石破政権の誕生にご尽力されてきたと思いますが、石破政権の1年を振り返っていかがでしょうか。

(答)まさに少数与党でしたよね。衆においても参においても。例えば大臣の不信任が出されてしまったら、与党の数の力で守ってもらうということはもう不可能なので、すぐ首が取られるということもありましたので、大変緊張感を持って臨みました。また、私のいわゆる部下というか国会を対応している職員に対しては、質問取りをする際に、この先生は与党だとか野党だという先入観を持たずにフラットに質問取りをしてくるように、という指示をしました。そして、いい議論ができる先生であれば、与党、野党を問わず、やはりそこの議論は深めるべきだという、そういう考えでそういう指示をしたところであります。私自身も、自分のいつもよりは丁寧な答弁に心がけたというのがあって、結果として、少数与党であるにもかかわらず、大きなところでは、例えば予算もだいたい期限内におさめることができた、成立させることができたと思いますし、このようなサイバー対処能力強化法といった、今までの日本国政府の方針を大転換するような法律においても、かなりこれ対立が煽られる可能性があったと思いますが、結果として参議院においては9割を超える国会議員の皆さんに賛成いただいて成立することができたということでありますので、そういった意味ではなかなか厳しい状況にあって、しっかり仕事ができた内閣であったと思います。大臣、首取られることもありませんでしたし、大臣の答弁等で国会が大きく止まったということもありませんでしたし、また、石破総理も1日100問を超える質問があったかと思いますけども、非常に答弁も安定していたし、考え方もしっかりしていたと思います。ですので、石破内閣の閣僚それぞれ、聞いてみないと分からないですが、それぞれ1年間よく頑張ったという達成感を持っている閣僚が多いのではないかなと感じます。

(問)今後、一議員としてどういったテーマで、どのような政策、課題に取り組んでいかれるおつもりなのかお伺いしてもよろしいでしょうか。

(答)私、これからですね、やはり関心分野はAIであります。AIが死活的に重要で、しかもあらゆる分野に染み出していきますよね。ですので、例えばAIというのは、今まではテキストで打ってテキストで返ってくる世界から、画像とか動画とか出てくるようになりました。この間OpenAI社のSora2が著作権侵害の問題がありましたけども、これも迅速に対応することができたと思います。ですので、今後は党に帰って、できればですけども、お許しいただけるのであれば、ChatGPTが出た直後に私が作った、AIの進化と実装に関するプロジェクトチームというところで数次にわたってホワイトペーパーを出して今のAIの政策を引っ張ってきた経緯がありますので、そういったPTが復活できればいいなと思います。AI×ロボティクスということもあるでしょうし、AI×ステーブルコインも大きなテーマだと思いますし、もっと大きなテーマで言うとAI×フュージョンエネルギーというものも出てくるし、直近の問題で言えば、先ほど申し上げたAI×サイバーセキュリティという問題もあります。×AIというのが、かなり横断的な分野で、しかもこれ制度も横断だし、省庁も横断だし、テクノロジーも横断という世界観ですので、そういうのをAIの横串でトータルの政策を作って、いわゆる世界の流れに取り残されない、今、米中2大勢力でありますから、AIにおいてはその3極を狙うぐらいの想いを持って×AIの政策をしていきたいと思っております。さらに言うと、デジタルガバメントもまだ道半ばであります。これコロナの反省から、困っている人に、困っているタイミングで、必要な支援の手を迅速に差し伸べるためのデジタル、デジタル庁だと思っていますけども、それをやるためには、本当に給付をする仕組み、システムがしっかり機能するのか、あとはそのお金を送金するパイプの太さが十分なのか、もしくは情報連携のところが本当にそれで我々が目指す1to1のサービスができるのかといったいくつかの課題がまだ残っていますので、これを党側からしっかりデジタル庁をサポートして、コロナの教訓の時にできなかったことを、次のパンデミックいつ来るか分かりませんし、大きな自然災害はいつ来るか分かりませんので、それに備えて党側からサポートができたらいいなと思っております。

(以上)