平大臣記者会見(令和7年8月29日)
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平デジタル大臣記者会見要旨
(令和7年8月29日(金) 10時35分から10時53分まで 於:オンライン)
1. 発言要旨
私は、サイバー安全保障担当大臣として、8月25日(月)から27日(水)までオーストラリアを訪問し、政府関係者とサイバー安全保障等に関する意見交換を行いました。
具体的には、トニー・バーク内務大臣兼サイバー安全保障担当大臣との会談や、豪州サイバーセキュリティセンターへの訪問、また、これ以外の関係省庁の取組について説明を受けました。サイバー空間における脅威の認識、官民連携のあり方、人材育成、サイバー安全保障分野におけるAI技術への対応など、幅広い範囲にわたって突っ込んだ意見交換を行ってまいりました。
一連の意見交換において、我が国の「サイバー対処能力強化法及び同整備法」の成立・公布に対して祝意が示されるとともに、我が国のサイバー安全保障分野における体制強化についての高い評価と、日豪両国の更なる連携強化について期待が示されました。両国間でサイバー安全保障分野における協力を進めることで一致をいたしました。
引き続き、サイバー安全保障分野での日豪二国間の連携を一層深めてまいりたいと考えております。
サイバー安全保障担当大臣として、サイバー攻撃グループ「ソルトタイフーン」に関する国際アドバイザリーへの共同署名について、お知らせいたします。
具体的には、米国時間8月27日(木)、米国政府が主導して作成した、「ソルトタイフーン」に関するサイバー安全保障アドバイザリーについて、我が国を含む、13カ国の機関が共同署名する形で公表いたしました。
今回のアドバイザリーは、「ソルトタイフーン」による攻撃手法を技術的に説明した上で、攻撃の検知手法や緩和策を示すものであります。
本件のような悪意あるサイバー活動は、我が国の安全保障上の脅威となりうるもので、今回の共同署名の公表により、国内でも広く周知されるなど、我が国のサイバー安全保障の強化に資するほか、サイバー安全保障分野での国際連携の強化にも繋がるものと考えております。
是非とも、重要インフラ事業者の皆様をはじめ、多くの方にご確認いただければと思います。
デジタル庁所管の令和8年度予算概算要求・機構定員要求についてお知らせいたします。
まず、予算の概算要求額は、令和7年度当初予算と比べて約1,391億円増となる約6,144億円。内訳としては、政府情報システムを一括計上した経費、約5,930億円、デジタル庁の政策を実施するための経費、約19億円、人件費をはじめとした運営経費、約195億円となっております。
具体的には、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に定めるデジタル化施策を推進するため、ガバメントAIの構築に向けた生成AIの活用環境の整備、マイナンバーカードへの理解促進や、利活用シーンの拡大、ガバメントソリューションサービス(GSS)、ガバメントクラウド等の国の情報システムの最適化などに必要な予算を盛り込んでおります。
このほか、予算編成過程において検討する事項、いわゆる「事項要求」といたしまして、自治体情報システムの標準化・ガバメントクラウド移行後の運用経費に係る総合的な対策に必要な経費、防災庁(仮称)設置に伴う政府情報システム関係経費を要求しております。
また、デジタル庁の司令塔機能を強化し、社会全体のデジタル化を牽引するため、デジタル行財政改革会議事務局機能の移管に伴う体制整備、AI利活用環境の整備など必要な機構定員を要求しております。
デジタル庁としては、各府省と連携しつつ、目指すべきデジタル社会が実現できるよう、必要な予算及び機構定員を確保していきたいと考えております。
詳細は事務方にお尋ねください。
続きまして、デジタル庁では、本年5月以降、「ガバメントAI」に係る取組の一部として、庁内全職員が利用できる生成AI利用環境、プロジェクト名は源内、源の内側と書いて源内と読みます。プロジェクト名「源内」を内製開発で構築し、国会答弁検索AIや法制度調査支援AIなど、行政実務を支援する複数の生成AIアプリケーションを提供することで、行政の現場での利用状況や課題を把握するための検証を進めてまいりました。
この度、その検証結果を取りまとめましたので、本日、デジタル庁のホームページにて公表いたします。
庁内で生成AIの提供が開始された5月から7月までの3か月間の利用実績を確認したところ、デジタル庁に在籍する約1,200名のうち、約950名、全職員の約8割が実際に生成AIを利用し、その利用回数は延べ6万5千回以上、職員一人当たり平均70回程度に達しております。
デジタル庁職員に対して実施したアンケート調査の結果、生成AIが「事務の効率化に寄与した」とする回答が全回答者の約8割になるなど、生成AIが行政事務の効率化や省力化に有効なデジタル技術であることが明らかとなりました。
また、実際に利用した職員からは、企画を考える上での「壁打ち相手」として役立ち、自分の考えをまとめるための情報整理に役立つ、知識不足の法律について知識の底上げをしてくれる、海外文献を扱う業務に取り組めるようになったなど、業務効率化だけでなく、業務の質の向上にも生成AIが有効であったとの声が聞かれました。
他方で、一部の職員は積極的に活用している一方で、利用頻度が低い職員が存在することも明らかになったほか、実際に利用した職員からは、いろいろな機能が乱立していて、最も有効な利用方法が分かりにくい、生成AIの精度が十分でなく、あまり役に立たないなど、生成AIを行政に実装させていく上での課題を発見することもできました。
今後は、人口減少という我が国の喫緊の課題を解決するための有効なデジタル技術として、政府自らが生成AIの積極的な利用を推進していくべきと考えています。デジタル庁は、政府における生成AIの利活用推進を担当しており、今後も率先して安全・安心な生成AIの活用を推進してまいります。
このため、デジタル庁では、本検証で把握した課題の解消を含め、今年度中に一部の省庁等との間で生成AIの利用に向けた検証作業を進め、国と地方公共団体、すなわち行政機関全体に面的に展開する取組を強力に進めてまいります。
また、世界最高水準の高度な生成AIの開発・利用を目指すため、生成AIに必要な学習用データセットの整備や品質の評価手法の確立など、関係機関や民間事業者とも協働しつつ、「ガバメントAI」の構築に向けた取組を総合的に推進してまいります。
なお、生成AI利用環境「源内」の利用実績やアンケート結果の詳細については事務方にお尋ねください。
最後にもう一件お知らせいたします。マイナンバーカードの有効期限・更新に関する広報についてお知らせいたします。
マイナンバーカードは、本年3月にマイナ免許証、6月に「iPhoneのマイナンバーカード」が開始されるなど活用のシーンが拡大してきています。
今年は、マイナンバーカード発行開始から10年目の年であり、今年度、カード発行から10回目の誕生日を迎える約1,200万人の方について、カード本体の更新が必要となります。
また、マイナポイント第1弾開始から5年となり、今年度、この時の発行から5回目の誕生日を迎える約1,580万人の方について、電子証明書の更新が必要となります。
このため、デジタル庁では、マイナンバーカード本体と電子証明書を確実に更新していただけるよう、マイナちゃんとマイメロディを起用し、カードの安全のために更新が必要であることや、更新手続の流れを紹介するCMを制作いたしました。
既に、8月22日(金)からテレビCMとデジタル広告を開始していますが、9月1日(月)からは、電車内やスーパーマーケットのデジタルサイネージなど、様々な媒体で広報を展開してまいります。
国民の皆様におかれましては、カードを安心して利用していただくため、マイナンバーカードと電子証明書の更新をよろしくお願いいたします。
2. 質疑応答
(問)オーストラリア訪問についてお伺いします。SNSなどを通じた外国勢力の選挙介入について、かねてから大臣は対策の必要性について言及されていますが、日本の同志国であり、この分野について先進的な取組をしているオーストラリア訪問を通じて、大臣として参考にしたいものは何かありましたでしょうか。また、オーストラリア政府とはこの問題について今後具体的にどう協力関係を築いていきたいのかお考えをお聞かせください。
(答)サイバー安全保障、サイバーセキュリティ全般について意見交換をさせていただいたところであります。トニー・バーク内務大臣兼サイバー安全保障担当大臣や豪州のサイバーセキュリティセンター、さらに政府のいろいろな部署と意見交換をさせていただきました。事柄の性質上、かなり突っ込んで意見交換をしておりますので、その内容について、詳細はお知らせしないということで相手方と話をしておりますのでご容赦いただきたいと思いますが、参考になったのは、オーストラリア政府としては、政府全体で、政府を挙げてこういった民主主義や選挙、外国からの介入、干渉を防ぐ体制ができているというのは、確信をしたというか実感をいたしました。特に、先方から示された、公開情報にもありますがEIAT(Electoral Integrity Assurance Taskforce)、直訳すると選挙の正当性保証タスクフォースという組織がオーストラリアにあって、そこは選挙管理委員会のみならず、連邦警察や情報機関、また、内務省や、日本で言うとコミュニケーションをやるところなので総務省などが一体になってチームを作って、タスクフォースを作って、この問題に対処しているということであります。ですので、この問題に対してはオーストラリア政府としては大変重要視し、政府を挙げて、政府全体でタスクフォースを構成し、対応しているということが大変参考になりましたので、我が国としてもその体制整備に向けて、参考にさせていただきたいと思っております。
(問)総裁選前倒しの議論についてお伺いします。自民党は一昨日、総裁選挙管理委員会を開き、前倒し実施を求める国会議員は署名と捺印を提出することとして、さらに議員の名前も公表するということになりました。まず、こうした対応になったことについて、どう受け止められているのか教えてください。そして、その上で、平大臣は石破内閣の一員でもありますが、総裁選を前倒しする必要があると思うのか、逆に不要と考えていらっしゃるのか、ご自身のお考えをお聞かせください。
(答)これは党で決めることだと思っております。総裁選挙管理委員会が決めた通りに、粛々と進めていただければと思います。私自身は、石破内閣の閣僚でありますので、しいて言えば、まな板の鯉の側でありますので、特にこうあるべきだというようなことは発言する気はございませんので、党が決めていただいた通りに進めていただければと思います。また、名前を公表云々という話でいろいろ議論になっていると思いますが、私、どこかでも申し上げたかもしれませんが、国会議員でありますので、自分の名前を表明して自分の意見を言うということに関しては、私自身は一人の政治家として違和感はありません。
(問)今の質問に関連しまして、小林環境副大臣ですとか、神田法務政務官が総裁選の前倒しが必要だと意思表示をされていて、神田政務官に関しては、必要であれば辞任してでも前倒しを求めるということをおっしゃっていますが、総裁選の前倒しを求める場合は、やはり石破内閣の一員としては辞任する必要があるのかという点と、こういった辞任が続いた場合の石破政権の政権運営への影響について、どのようにお考えでしょうか。あともう一点、オーストラリア訪問、外国勢力の選挙介入に関連して、例えば新しい法律を作るですとか、今後の政府として、どのような対応をしていくお考えでしょうか。
(答)まず、自由民主党のいいところは、忖度無くいろいろな発言ができ、いろいろな行動ができるということだと思います。私もだいたい体制側にはいつも反発して政治行動をしていたことが多かったと思いますが、だからといって何かペナルティを課されたことは自民党内では1回もありません。ですので、自民党というのはそういうことが党の良さだと思いますので、たとえ政府にあったとしてもなかったとしても、自由な発言、自由な行動は、自由にやられるべきだと思いますし、だからといって、政府の役職をわざわざ辞める必要はないと私自身は思っています。その後の対応については、仮定のご質問なのでお答えは差し控えさせていただきたいと思います。また、オーストラリア訪問にあたって、こういった外国勢力からの内政干渉云々についての法律の整備については、今現段階では、内閣官房においてこういったことが取り沙汰されていますので、どういった対応をするのか、どういった組織の機能強化をするのか、まさに今議論しているところでありますので、今の時点で何かお伝えできることはないということであります。
(以上)