平大臣記者会見(令和7年7月1日)
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平デジタル大臣記者会見要旨
(令和7年7月1日(火)11時10分から11時28分まで 於:オンライン)
1. 発言要旨
私はサイバー安全保障担当大臣として、6月25日(水)から27日(金)まで、英国を訪問し、英国政府閣僚等とサイバー安全保障に関する意見交換を行いました。
具体的には、マクファデン ランカスター公領大臣兼国家サイバー諮問委員会共同議長をはじめ、スミス国家技術顧問、レベソン調査権限コミッショナー、オズワルド国家サイバーセキュリティセンター最高運用責任者と会談を行い、サイバー空間における脅威の認識や官民連携の在り方、サイバー安全保障分野におけるAI技術への対応など、幅広い範囲に渡って突っ込んだ意見交換を行いました。
いずれの会談においても、「サイバー対処能力強化法及び同整備法」の成立・交付に対して祝意が示され、我が国のサイバー安全保障分野における体制強化についての高い評価と、日英両国間の更なる連携強化への期待が示されました。
今後は、サイバー対処能力強化法等により、日本として独自の国際連携ができるようになったことを踏まえ、2023年の広島で行われた日英首脳会談において創設した「日英サイバー・パートナーシップ」に基づき、欧州における最も緊密な安全保障上のパートナーである英国との連携を一層深めてまいりたいと考えております。
続きまして、サイバー安全保障担当大臣として、サイバーセキュリティ政策の新たな体制等について、お知らせいたします。
本日7月1日付で、サイバー対処能力強化法等の一部施行に伴い、サイバー対処能力強化法の実施を担当する「内閣府特命担当大臣(サイバー安全保障)」が設置され、私がその任命を受けることとなりました。また、内閣官房に、サイバー安全保障も含め、官民を通じたサイバーセキュリティの確保に関する司令塔として、「内閣サイバー官」が任命され、「国家サイバー統括室」が発足いたしました。
また、同じく本日付けで、サイバーセキュリティ戦略本部が、総理を本部長、全閣僚を本部員とする形に改組されたところ、先ほどその第1回会合を開催いたしました。
本日の戦略本部では、新たなサイバーセキュリティ戦略の方向性について議論したところであり、総理から関係閣僚に対して、①年内を目途に新たな戦略を取りまとめること、②サイバー対処能力強化法等の運用に向け、体制整備等に着実に取り組むこと、③各府省庁の所管分野の取組について不断の点検・改善を行い、効果的な対策を常に講じていくことの3点をご指示いただきました。
これを踏まえ、政府としては、新たな戦略の検討を進めながら、官民連携の強化をはじめとする我が国のサイバーセキュリティの確保に必要な施策に速やかに取り組んでまいります。
具体的には、本日の夕刻に、日本経済団体連合会(経団連)の会員企業の経営層の方々と意見交換を行います。
このほか、昨日6月30日、内閣官房に「政府機関等における耐量子計算機暗号(PQC)利用に関する関係府省庁連絡会議」が新たに設置され、その第1回会議が開催されました。これは、本年5月29日に開催された「サイバーセキュリティ戦略本部」の決定を受けて開催されたもので、PQCへの移行の方向性を新たな戦略に盛り込むべく、検討してまいります。
最後に、国家公務員制度担当大臣として、先の通常国会における国会対応業務の調査結果について、お知らせいたします。
昨年と同様、衆議院及び参議院の予算委員会が開催されていた期間を対象に国会業務の全般的な状況の把握・集計を行いました。
国会から政府への質問通告の時刻は、全体のうち半数が質疑前々日の通告、95パーセント以上が前日18時までの通告となっており、前日18時より後の通告は昨年から概ね半減しております。平均時刻も昨年より30分程度早くなっており、引き続き、早期の質問通告についてのご理解をいただきつつあるものと思っております。
一方、政府内における答弁作成作業については、所要時間は昨年より長くなり、答弁作成完了時刻も昨年より遅くなっています。国会への対応に万全を期すことはもちろん必要でありますが、政府内での作業の効率化を目指すことも必要であり、取組を進めてまいります。
もとより国家公務員の長時間労働の原因は国会対応業務に限られませんので、今後ともDXによる効率化など働きやすい環境の整備に努めてまいります。
2. 質疑応答
(問)先週始まったマイナンバーカード機能のiPhoneへの搭載ですが、利用状況についてデータ等お持ちでしたらお教えください。
(答)すみません、手元に数字が無いのですが、大体ざっくり今60万人くらいと、今事務方からつぶやきがありました。正確には、改めて、また途中経過をご報告させていただきたいと思います。
(問)本日から能動的サイバー防御などに関して新たな体制が発足しました。先週の英国出張を踏まえて、新たな体制を構築する上で参考になったものなどがあれば教えてください。また、今後各国との協力関係をどのように築いていきたいか、改めてお聞かせください。
(答)英国出張においては、参考になったことは本当に多岐に渡ります。例えば、能動的サイバー防御の主な内容として、サイバー対処能力強化法及び同整備法において定められている官民連携の強化についてですが、英国ではインダストリー 100という制度やサイバーリーグと呼ばれる制度、官民連携の制度があります。新法の施行に向けて大変有益な示唆を得たところであります。おそらくググったら出てくると思います。インダストリー100とサイバーリーグですね。また、新法に基づき今後設立されるサイバー通信情報監理委員会に関しても、調査権限コミッショナー事務局の取組について意見交換を行いましたが、今後の制度設計に役立つものと考えております。いずれにせよ、新法の成立により我が国はサイバー安全保障分野において、より幅広く、強い権限を持つことが可能になったことで、日本として独自の国際連携ができることになります。今回、法案の策定にあたっていろいろ参考とさせていただいた英国訪問で、いろいろ意見交換をさせていただきましたし、また、入閣する前に、私オーストラリア政府ともサイバーセキュリティについてはいろいろ突っ込んだ議論をさせていただきましたので、タイミングが許せば、そういった国々にも訪問していきたいと思っております。
(問)6月27日に公表された2023年度決算に基づく政府情報システムの運用コスト削減について伺います。2023年度時点で政府全体の運用経費等の削減率8パーセントとなっています。2025年度までに、2020年度時点と比べて3割削減を目指すというのが政府の方針だと思いますが、どう評価されているか大臣のお考えを伺えないでしょうか。特に、他律的要因として639億8,900万円と入れていた中に、新旧システムの並行稼働など他律的と言えるかわからないものが入っているように思えて、逆に増えているのではないかという意見もあります。
(答)政府情報システムの運用経費等の3割削減という目標に対し、今般の進捗状況において約8パーセントの削減という結果であり、目標に対しては未だ道半ばであるものと受け止めています。その上で、今般の調査を通じて、政府情報システムが提供するサービスの範囲の拡大や利用者の増加などにより、運用等経費が増加する事例が多く見られています。私もこの報告を見ましたが、いわゆる他律的要因で訳のわからないものが入っているというご指摘があったので、具体的にお示しいただければこちらで回答させていただきたいと思います、手元にどこのどの点が分かりにくいのか、不明なのかといったところは、具体的に改めてご質問いただければお答えしたいと思います。その上で、提供するサービス範囲の拡大やシステムのリソースの増大などがありますので、要はいわゆるデジタル化を進めることによって、利用者が増えたことによって、その機能を拡張しなければいけないとか、ヘルプデスクを導入しなければいけないとか、あと冗長性の確保のためにバックアップ環境の構築をするなどですね、デジタル化を進めるにあたって必要な拡張に対する経費の増大というのは、これやむを得ないのだろうと思っています。経費増大に関して、一方で、人件費はどうなっているのかという、人件費に対してどういう影響があるのかとか、あとやはり働き方とか労働環境の改善にどう貢献しているのかという定量的な評価と定性的な評価と両方あるのだと思いますので、その辺も今後、この試算において参考にすべきことだろうと思っております。他律的要因については、具体的にこの辺がおかしいのではないかというのはいただければ、準備してお答えしたいと思います。
(問)2点お伺いさせてください。1点目が先ほど冒頭発言にありましたが国家サイバー統括室が今日発足しました。先ほどの発足式の中でも石破総理大臣から、職員一人一人が統括室の設置された意味の重さを自覚して、専門性を磨き上げて国家、国民のために活躍して欲しいという話もありましたが、平大臣としては、サイバー統括室の職員に対してどのような期待をされているのか一言いただければと思います。
もう1点、国会対応業務の調査結果についてお伺いします。改善された点もある一方で、答弁の作成完了の時刻が昨年よりも遅くなったりといったところで、一般企業に比べるとかなり夜遅い、いわゆるブラック霞ヶ関と言われるような状況が依然として続いている状況だと思います。今回の調査結果の受け止めと今後どのように改善していきたいか、大臣のお考えをお伺いできればと思います。
(答)国家サイバー統括室は本日発足しました。主要なメンバーは、私と一緒にこの法案を作成し、また、国会対応してきたメンバーであります。期待するところは、私、デジタル庁の方も所管しておりますので、DXを進めれば進めるほど、反射的にサイバーのリスクは高くなっていくということと、さらに言えば、生成AIのような新しい技術が誕生し、指数関数的に進化していくということになっています。リスク管理で重要なのは、イマジネーションですよね。こういうシステムを作ったら、こういうリスクがあるなとか、こういう攻撃をされたら実社会や経済にこういう影響が起こるなという、そういうイマジネーションが大事だと思います。ですので、実際に業務も忙しいと思いますが、やはりいろいろな情報に触れて、イマジネーションを働かせてその先回りをして手を打てるようなそういったサイバーセキュリティの人材が1人でも多く増えてもらったらいいなと、ありがたいなと思います。もう1つは、やはり民間との連携がものすごく重要だと思います。いわゆる古い言葉で政府をお上と言ったりしますが、フラットな体制の中でお互いに情報を共有しながら、お互いに手を、力を合わせながら外国を背景としたサイバー攻撃からこの国を守るし、国民生活を守る、日本経済を守るというのが大事だと思いますので、そういった視点の持ち方とか、心構えとか、そういったところは私も担当大臣でありますので、幹部職員とはよく連携して、全員にそういった感覚なり、心構えを浸透させていきたいと思っています。国会対応ですが、これずっと私、国会議員としても取り組んできたことなので、その頃に比べればだいぶ改善されてきたと思います。一方で、私もサイバー対処能力強化法案は、多い日で1日80問とかあると、やはりどうしても徹夜にならざるを得ないというところがあります。ですので、やはり前々日にいただくことが大事だと思いますので、国対の皆様にもご理解をいただきながら進めていく必要があるだろうと思いますし、あとは答弁の作成において時間がかかっているというところに対しては、少数与党ということもあり、私も大臣指示としてはかなり丁寧に答弁するようにという指示をしています。さらに言えば、与党と野党と分けるなと、質問者はみんな同じだという感覚で答弁書を作成するようにという指示もしていますので、そういった面で、より時間を要した面はあるのかなと想像しています。だからと言ってこれでいいとは思っておりませんので、引き続き、アナログでもデジタルでも、両面から改善していきたいと考えております。
ご紹介するのを忘れていましたが、国家サイバー統括室はこういったロゴができておりますので、ご紹介したいと思います。ありがとうございました。
(以上)