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河野大臣記者会見(令和5年10月17日)

河野デジタル大臣記者会見要旨

(令和5年10月17日(火)10時37分から10時57分まで 於:オンライン)

1. 発言要旨

まず、サイバーセキュリティ担当大臣として、「セキュアバイデザイン・セキュアバイデフォルト原則に関する文書」について、本日公表いたしましたのでお知らせいたします。

ソフトウェア開発において、セキュアバイデザイン・セキュアバイデフォルト、これらはいずれも重要な考え方であります。この具体的な対応策をとりまとめた文書につきまして、今般、内閣サイバーセキュリティセンター、NISCとアメリカを始めとする13カ国の機関が共同署名する形で公表いたしました。アメリカはサイバーセキュリティー・インフラセキュリティ庁、CISAです。日本、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、ドイツ、オランダ、ノルウェー、韓国、イスラエル、シンガポール、チェコ、13カ国の機関が共同署名する形で公表いたしました。

具体的には、ソフトウェア作成業者に対して、顧客にもたらされるセキュリティの結果に責任を負うこと、徹底した透明性と説明責任を負うこと、これらをトップ主導で実施すること、という3つの原則に重点を置いた提言になっております。ソフトウェア開発に携わる方々にはしっかりとご覧いただきたいと思います。

今回のこの文書は、強制力があるわけではありませんが、産業界に一定程度の影響を与えることが想定されます。幅広い項目を含んだ内容ですので、関係省庁や産業界に広く関係することから、サイバーセキュリティ戦略本部を持ち回り開催し、共同署名に加わることについて同意を得ております。

また、今回の文書は、サイバー空間上の脅威が高まる中で、国際的な動向ともしっかり歩調を合わせることにより、我が国のサイバーセキュリティの強化に資するものであると思います。引き続き、サイバーセキュリティ分野での国際連携の強化に努めてまいりたいと思います。

介護現場に視察にまいります。介護の分野において、高齢者人口が増えている中で、現在また将来の介護職員の不足が深刻な課題となっております。

介護職員の皆様には、利用者に自立支援あるいは重度化の防止というものに資するサービスを提供していただくという、大切な業務を担ってもらっていますが、仕事内容のわりに賃金が低い、休暇が取りにくいなどの悩みを抱えていると承知しております。デジタル技術の活用によって、これらの課題を解決していく解決の一助となる、そういうことにしていきたいと思います。介護現場へのデジタル技術の導入促進について、積極的に検討してまいります。

このような観点から、今般、デジタル技術の導入について、先進的な取組をしている高齢者介護施設であります、社会福祉法人善光会サンタフェガーデンヒルズを視察いたします。今回の視察を通じて、介護現場においてデジタル技術がどのように活用されているのか、また、デジタル技術の導入にあたってどのような課題があるのか、介護現場の実態を把握するとともに、今後政府としてどのような対応が必要なのか、明らかにしていきたいと考えております。視察の詳細は事務方にお尋ねください。

デジタル庁では、10月23日(月)に神奈川県の協力をいただいて、小田原市にあります神奈川県の小田原合同庁舎において、避難者支援業務のデジタル化に関する実証実験を行います。

災害発生直後の自治体の業務の中で、避難所を運営する業務は非常に大きなウェイトを占めております。そこをデジタル技術を用いて効率化していく効果は極めて大きいと思います。

昨年度に実施しました実証実験では、デジタル化することにより、避難所の入所・退所の手続きに必要な時間を、8割短縮する効果があるということを確認いたしました。今年度は、複数の自治体が被災する広域災害を想定して、各避難所の状況や被災者ニーズをより効率的に把握し、市町村や県の災害対策本部への情報集約を迅速化するなどのデジタル化の効果を検証していきたいと思います。今年度は、マイナンバーカードを使用することにより、避難所の入所・退所の手続きの更なる迅速化、マイナポータルから薬剤情報や診療情報を取得することによる医療支援の効率化、こうしたことも検証します。今年度は、マイナンバーカードとスマホアプリを組み合わせたことも実験する予定です。

こうした実証実験を通じて、避難者支援業務のデジタル化による効果を明確にして、防災DXを更に推進していきたいと思います。

就労証明書の提出手続のデジタル化について、デジタル化撤回との一部報道がございますが、そんなことは全くございません。就労証明書について、従来、自治体ごとに異なっていた様式を統一すると同時に、オンライン提出できるように進めておりまして、デジタル化する方針に全く変更はございません。

オンライン提出するための具体的な方法は、まず、事業者から保護者に対して就労証明書を電子的に発行し、それを保護者が保育所等の入所手続において、添付データなど必要な形で自治体にオンライン提出する方式です。

当初は、事業者から自治体に直接、就労証明書を提出してはどうかという案もございましたが、お父さん・お母さん、どちらの就労証明書を使うのか、あるいは事業者から自治体に提出された番号を示さなければならないなど、課題もあるということで、保護者、事業者、自治体にとってそれぞれより利便性が高い方式をとろうということになりました。

デジタル化による行政事務の効率化と、国民の皆様の利便性の向上に向けて、引き続きデジタル庁では取組をしっかり進めてまいります。

2. 質疑応答

(問)基金と経済対策についてお伺いします。今日の午後にも、与党から経済対策の申し入れが政府にある予定ですけれども、自民党の一部の議論では、基金の新設を求める声もあるというふうに聞いています。先週のデジタル行財政改革会議では、岸田総理からもコロナで水膨れした基金の見直しというご発言がございましたが、今回の経済対策における基金自体のあり方について大臣がどういうふうにお考えかお聞かせください。もう1つ改めて、河野大臣の考える基金の現状の課題と改めて秋の行政事業レビューで、拡大した基金をどう点検していくか、先日もおっしゃっていましたけども、改めて教えてください。

(答)我が国の財政は、国会でしっかりと毎年ご審議いただいて予算を決定していくというのが基本的なルールでありまして、基金というのは例外的と捉えなければならないと思います。国民に向かって、何年か分の予算を予め基金として積むということがきちんと説明できるかどうか、というのが1つのメルクマールになるのではないかなと思います。また、基金を積むにしても、基金が無期限だとか10年分みたいな長期間積むのが果たして良いのかというと、やはり基金として使いながら、その目標がきちんと達成できているのかということをきちんとチェックしながら、効果があるならばEBPMに基づいてPDCAのサイクルを回しながら、その基金を運用していくというのが大事です。基金に積みましたといっても基金として当初の目的を果たしているのかということを、データをもとに検証しながら進めていくというのが大事なのだと思います。効果が出ていなければ、やはり一度その基金をやめて、きちんと検証していくということも当然に必要になってくるのかなと思いますので、基金として積む場合も、なるべくきちんとデータを取って効果を検証するEBPMというのは、大事なのだろうと思っております。レビューでも基金が効果を上げているのかどうかということをきちんと見ていきたいと思いますし、そもそもその基金が何を目指しているのかというKPIがちゃんとはっきりしているのかということも見ていきたいと思います。

(問)基金について伺わせてください。先日の会見で16.6兆円残っているというお話でしたけれども、基金の入ってくるお金というのはここ10年でおよそ35兆円程度だと思うのですけれども、そういったものが半分程度残っていること、これに対する問題意識をお持ちだという理解でいいかというのが1点。もう1つは、その上で、先ほどお話にもありましたが、事実上許されている基金の終了時期を明示しないとか、数値目標がない、こういったことが問題点としてあるのかなと思うのですが、こういったことを定める方向で見直しを検討されていきたいというおつもりなのか、この2点についてお聞かせください。

(答)まだ金利は比較的低いのかもしれませんが、基金を積むことにもコストがかかってくるということは、常に念頭に置いておく必要があると思います。基金を積むことによって、その基金を使うことによって、当初の目標がきちんと達成できているのかということを検証し、そうでなければ、その基金のあり方というのは考えなければならないと思いますので、基金で何を達成しようとしているのかというところが明確になっていなければ、そもそも検証に値しないということになります。そこはしっかり見ていかなければいけないと思っております。

(問)防災DXの関係でお尋ねしたいと思います。今回実証実験を行うということですが、避難所でのDXというあたりは非常に大事なことだなと思いつつ、避難所で新しい業務としてDXを進めるにあたって、新しい機器を導入するですとか、様々な自治体の大小にもよって避難所の運営体制など異なると思うのですけども、現時点でのこのDX化に向けて考えている課題みたいなことをもしありましたら教えてください。

(答)今、入所の手続きなど手書きで行われ、当然手書きですと避難所の情報を災害対策本部などにファックスで送ったり、いろいろなことをやらないと情報の集約ができないということになりますが、DX化することによって、市内であったり広域の情報を一元管理でき、ひと目で見ることができる。また、アプリケーションに、個人のニーズ、例えば飲んでいる薬であったりアレルギーであったりということを予め入力しておくことで、マイナンバーカードで入所の手続きをすることで、そうした必要な情報が吸い上げられて、食料を送るときにアレルギーに対応した食料を送ったり、あるいはそれに合わせて必要な薬を送ったりということもできるようになると思いますので、メリットは非常に大きいと思います。DX化することで、例えばカードリーダーなどが必要になる部分というのはありますが、それを上回るメリットがこれまでも確認できておりますので、そこはしっかりやりたいと思います。また、いろいろな自治体が、それぞれ発災前から発災中、発災後、そして復旧、復興、いろいろな部分でシステムを組んだり、アプリを開発したりということをやっておりますので、そういうものをカタログ化して、こういうサービスがあるよ、こういうアプリがあるよということをきちんと自治体にお伝えをして、自治体が抜けているところはこれを使おう、というような検討ができるようなカタログ化というのもしてまいりたいと思いますし、最終的には、そういうアプリのようなものをデジタルマーケットプレイスの形で提供できるようにしていきたいと思っております。デジタルマーケットプレイスに向けてのシステムの構築ということも、今デジタル庁では進めているところですので、この分野をまず先行させたいと考えております。

(問)ライドシェアの件ですが、昨日イベントに出席された際、諸外国で自動運転が既に始まっている一方で、今ライドシェアの議論をしているということは規制の失敗だと思っているという旨のご発言をされました。これまでのどういった規制がどのように失敗だったとお考えなのかお聞かせください。

(答)諸外国では、自動運転がいろいろな形で進んでいるにもかかわらず、日本でまだ自動運転ができていないというのを問題視しております。自動車産業というのは我が国の製造業の大きな柱でありますが、その自動車産業の中で技術革新の波に遅れているというのは極めてゆゆしきことだと思います。諸外国でそうしたことができているということは、既に技術があるわけで、その技術が日本で使われていないというのは、これは規制の失敗と言わざるを得ないと思います。
(以上)