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河野大臣記者会見(令和5年3月14日)

河野デジタル大臣記者会見要旨

(令和5年3月14日(火)9時45分から10時10分まで 於:オンライン)

1.発言要旨

冒頭3件です。

3月11日から12日の2日間、ゼロ泊でしたが、インド及びタイに出張いたしました。

インドではヴァイシュナウ大臣と会談をして、両国のデジタル化に関する取組、国民のIDの相互運用性、あるいは専門人材の派遣などについて意見交換を行ってまいりました。

また、G20の議長国でもインドはありますので、G20・G7との連携強化についても意見交換をして、今後の協力を確認しました。

また、三極委員会の年次総会に出席いたしました。DFFTの具体化のための国際的な枠組み、あるいはグローバルサウスとの連携の重要性について講演をいたしました。三極委員会は産業界からの参加者も多いこともありまして、この官民一体となって進めていく国際的な枠組みについて、アジア、あるいはヨーロッパ、北米、広く発信することができたと思っております。また、参加されていたシンガポールのガン・キムヨン貿易産業大臣とも会談を行って、デジタル化を取り巻く規制、AIの利活用などについて意見交換を行いました。

その後、バンコクでのトランジットを利用して、タイでは、アジア最大のスタートアップのハブとなっている施設を訪問して、タイでのスタートアップ、あるいはデジタル化の動向について説明を受けました。デジタル化の課題、それから日本とタイの今後の協力関係についても広く意見交換を行いました。

いよいよG7のデジタル・技術大臣会合が来月末に迫ってまいりましたので、日本の推進するDFFTの具体化、それを通じたグローバルサウスとの連携、これをしっかり発信し、また強めていくことができたのではないかと思います。G7に向けてしっかり準備をしていきたいと思います。

消費者担当大臣として報告が2件ございます。

先月、電力会社からヒアリングを行いましたが、その際に要請をいたしました再発防止策の検討結果などについてご報告がありました。現在、規制料金の値上げ申請を行っている電力会社として、消費者の信頼を回復できるものになっているとは言えない内容ではないかと思っております。

電力業界において公正な競争が行われているのかどうかという疑念が払拭されておりませんので、カルテルや顧客情報の不正利用の事案が料金へ与える影響について、まず経済産業省においてしっかりと検証していただくこと、それからカルテル、顧客情報の不正利用を許してきた体制・仕組みをどうするのか、内外無差別の確保に向けた取組を含め、これもまずは経済産業省によってしっかりご検討いただくことが不可欠かと思っております。

こうした点の検討も踏まえた上で、規制料金の値上げ申請への協議に対応していきたいと思っております。

3点目、世界消費者権利デーについてお知らせをしたいと思います。

3月15日、明日は、国際消費者機構によって定められました世界消費者権利デーであります。消費者問題に関する様々な国内的・国際的な機運を醸成することを目的として、大臣メッセージを発出したいと思っております。

「消費者の権利」につきましては、2004年に消費者保護基本法を議員立法で消費者基本法に改正をいたしましたが、この消費者基本法の中に消費者の権利が位置づけられております。岸田総理とともに私も、当時の議員立法の提出者として関わりました。消費者問題特別委員会、岸田委員長、河野与党筆頭理事でやりました。この消費者基本法、消費者政策の基本理念として、その後、様々な制度整備の土台となってきたと考えております。

消費者は権利を有すると同時に責任を負う存在でもありますから、環境への配慮も含む5つの責任を国際消費者機構は提唱しております。

今年の「世界消費者権利デー」のテーマは「クリーンエネルギーへの移行」となっております。消費者庁の調査によれば、気候変動に関心のある消費者は約7割にのぼりますが、再生可能エネルギーの購入経験があるという回答は1割弱にとどまりました。

消費者庁として、人や社会・環境に配慮した消費行動、エシカル消費の普及・啓発に取り組んでいるところです。一人一人の消費行動が持つ「未来を変える大きな可能性」を認識し、実際の行動につなげていただきたいと思っております。

2.質疑応答

(問)電力会社のヒアリングの件ですけれども、こちらは昨日伝えられたというのが、今日の受け止めとして回復できるものになっていないということでよろしいでしょうか。

(答)はい。残念ながら、消費者の信頼回復ができるというような内容になっているのかというところは疑問があります。電力会社としてカルテル、あるいは消費者を含む顧客情報を不正に利用してきたということで失われた消費者からの信頼を回復するために何をしたらいいのかということを、やはり真摯に検討して、適切に対応していただくことが必要だと思いますので、引き続きそうしたことは求めていきたいと思っております。

(問)規制料金の件でお伺いしたいのですけれども、昨日、大臣が冒頭だけ発言されて、退席された後に電力5社が色々とヒアリングに応じていましたけれども、各社、再発防止対策について説明されて、各社総じて規制料金と不正については関係ないというような主張を繰り返されたような状況です。大臣、このヒアリングの結果というのをご覧になられたのかということとそれを受けてどうお考えかというのを教えてください。

(答)各社からの報告について、私から具体的なこと、内容を申し上げることは差し控えたいと思いますが、消費者からの信頼を失ったということは非常に大きいと思いますし、そもそも電力自由化の流れの中で現在の体制を作ったときに、このファイアウォールをしっかりやりますという話だったのが、ほぼみんな不正にそれを利用していたということが明らかになりましたので、今後はそうしたことが起きないということが消費者にきっちり伝わるような対応というのが必要なのだろうと思います。そういう中で、これはこれ、あれはあれ、という議論にはならないということは申し上げたいと思います。

(問)各社の再発防止対策については、現時点でもまだ不十分だとお考えでしょうか。

(答)個別のことについて申し上げるのは差し控えますが、消費者から失った信頼が回復されているとは言い難いのではないかと思います。

(問)週末のインド・タイ訪問に関連してお伺いしたいのですけれども、G7のデジタル大臣会合でもDFFT、主要議題になるかと思うのですけれども、このDFFTの理念にグローバルサウスを巻き込んでいく上で、どのような視点とか、巻き込み方みたいなのが重要だとお考えでしょうか。今回の訪問で感じられたことも含めて伺いたいです。

(答)DFFTは2019年のダボス会議で提唱され、G20の大阪サミットで支持を得られた、G7のみならず、G20においても、その後継続的に議論されて、確認されておりますから、少なくともG20においてはDFFTというものについて理解されていると思っております。このDFFTについては、特定の国・地域の考え方や、規制をベースにするものではなくて、異なる各国制度の透明性を高め、相互運用性を高めていくということを我々提唱しております。そういう意味で、このDFFTを具体化し、しっかりとした規制に関するデータベースをまず作っていこうというのは、グローバルサウス各国の企業がG7の域内で事業をしたり、G7の企業と一緒になって事業を行っていくという意味においても役に立つと思っております。そういう意味でしっかりとしたこの国際的な枠組みを立ち上げて、一つ一つ具体的なプロジェクトを行っていくことが、そこに参加するグローバルサウスを含めた各国の企業の事業活動に資するものになっていくと思っております。今回、三極委員会は、アジア、ヨーロッパ、北米、経済界も多く参加しておりましたので、こうした日本のメッセージを広く発信できたのではないかと思っております。

(問)実際に閣僚の方とかとヴァイシュナウ大臣も含めて会談されていた思うのですけれども、その辺の手応えはいかがでしたでしょうか。

(答)ヴァイシュナウさんとは去年のG20でも話をしておりますが、G7、G20、しっかり連携してやっていこう、その確認ができましたので、しっかり前に進めていきたいと思っております。

(問)今回の訪問に関してなんですけれども、今回大臣がタイでスタートアップハブのTrue Digital Parkをご視察されたということなんですけれども、日本におけるスタートアップの育成の課題を今回のご視察も含めてご覧になってどのように感じられたか、他の国との差をどういうふうに感じられたかということをお伺いしたいのと、政府としても育成5か年計画というのを進められていますけれども、デジタル庁として何かスタートアップ支援というものはお考えでしょうか。その辺を教えてください。

(答)非常に規模の大きいインキュベーションセンターでした。規模の大きさにも驚きましたが、それこそタイ国内だけでなく、日本からも企業が行っていますし、東ヨーロッパをはじめ、色々な地域からそこへ参加していて、スケールが大きいなと思いました。デジタル庁もこのデジタルの分野のスタートアップをしっかりと育成をしていかなければならないと思っておりますので、まずデジタル庁として、スタートアップに限定した調達というものを考えていきたいと思っております。それから、先日の防災DX、テクノロジーカタログみたいなものを出しました。スタートアップでもいいサービスがあれば、それをどんどん載せていきたいと思っておりますし、さらにそれを発展させたデジタルマーケットプレイス、自治体が一々入札をしなくてもサービスの調達ができるようなそんな仕組みを早急に作っていきたいと思っております。

(問)今回ご覧になって日本はまだまだこの辺が遅れているなって一番感じられたのはどういったところでしょうか。

(答)規模の違いというのはありましたけれども、やはりスタートアップを育成していく、ユニコーンをたくさん作っていくことが大事だ、それは巷でも言われていますが、やはり具体的に色々なことをやっていかなければいけないと思いますので、少なくともデジタルの分野でのスタートアップの育成というところに、デジタル庁は大いに力を入れていきたいと思っています。

(問)3月9日に食物アレルギーの義務表示に「くるみ」が追加された件に関連して質問させてください。食品表示法の違反になるのは、令和7年4月以降になるということなのですが、「くるみ」は2017年の実態調査でアナフィラキシーショック発症件数が「卵」「牛乳」「小麦」に次いで4番目に多くて、2020年の調査でも4番目に多いということでやっと義務化がされました。「カシューナッツ」は2017年の調査で7位。2020年の調査では6位で、発症件数に加えてショック症状の症例数も「えび」「そば」「かに」の今義務表示があるものよりも多くなっています。これについてはアナフィラキシーの発生頻度が「くるみ」よりも多いということもあり、早急な義務化の必要があるのではないかと考えているのですが、今すぐにでも公定法の開発に着手していただけないでしょうか。

(答)「カシューナッツ」について対応が必要だというのは全くそのとおりだと思います。公定検査法の確立をすることが義務表示には必要になってまいりますので、2023年度の予算にはそれを盛り込んでおります。予算成立後、直ちに着手できるように色々な準備は進めておりますが、3月末には来年度予算が成立する見込みですので、新年度から直ちに着手したいと思います。ただ、「くるみ」の場合は、公定検査法の確立に3年以上かかりましたので、それをもっと短縮するためにどうしたらいいのかということは色々やっていかなければいけないと思っております。「カシューナッツ」の次にも色々やらなければいけないものがありますが、この公定検査法に取り組むことができる専門人材というのが我が国は非常に限られておりますので、ぜひこの分野に若い有能な方が参入してきてくれるような広報もぜひお願いしたいと思います。

(問)「マカデミアナッツ」「ピスタチオ」も発症件数は義務表示のある「えび」「かに」よりも多くて、アナフィラキシー発症数は「かに」よりも多いんですけれども、推奨表示になっておりません。それから「まつたけ」っていうのは2011年以降、一例の発症例の報告もないのですが、これが推奨表示のままになっていて、事業者の方に負担をかけながら、本当にアレルギー患者のための表示をしていただいているのかというところには疑問があります。これについても大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるでしょう。

(答)すみません。「まつたけ」が推奨表示だというのは知らなかったので、そこは確認をします。ナッツ類、色々なものがありますが、さっき申し上げたように、この検査法の確立に取り組むことができる人材が限られているということがあります。これはアメリカだと「木の実」とか「ナッツ」でひとくくりにやっているのですが、日本は1種類ずつ表示をしようということで、より消費者に選択の幅を持ってもらおうということでやっておりますので、とにかく限られた人材ではありますが、頑張っていただいて、検査法をしっかり速やかに確立をしていただきたいと思います。消費者庁もしっかりバックアップしていきたいと思っております。

(問)「くるみ」のアレルギー患者は「ピーカンナッツ(ペカンナッツ)」にも症状が出るという交差抗原性があると言われています。この交差抗原性について、何か調査をされるとか、そういうお考えがありますでしょうか。

(答)新年度の予算で交差抗原性についても、まずは全国のアレルギー専門医への調査、それから国内外の情報収集というところからスタートをしていきたいと思います。

(問)以前、マイナンバーカードが窓口で身分証明書として使えないというツイートが散見されるというようなツイートされていたと思いますが、この件について、デジタル庁として何か調査をされたりだとか、今後運転免許証との一体化も視野に入れてる中で、この身分証明書で使えないという窓口について何か対策等をうたれるご予定ありますでしょうか。伺わせてください。

(答)お寄せいただいている具体例については、デジタル庁で一つ一つ当たっております。昨日、生命保険会社からマイナンバーカードが身分証明書の一覧の記載から漏れていたということで追加をしていただきましたので、寄せられた案件についてはデジタル庁で一つ一つ全部当たっていきたいと思っております。

(問)寄せられた情報をもとに、潰していくような作業になってくるということでしょうか。

(答)はい。

(以上)