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河野大臣記者会見(令和5年3月10日)

河野デジタル大臣記者会見要旨

(令和5年3月10日(金)17時20分から17時51分まで 於:デジタル庁20階会見室及びオンライン)

1. 発言要旨

デジタル庁の大臣として今日の夜中、実際には12時過ぎていますから明日ですが、0泊2日でインド、タイに出張いたします。

今年はインドがG20の議長国、日本がG7の議長国ということで、今年のG7のデジタル・技術大臣会合では、DFFTの推進をしっかりやっていこうと思いますが、インドを始めとするG20、あるいはグローバルサウスとの連携が非常に重要になってくると思います。

インドでは、北米、ヨーロッパ、アジアの各界のリーダーの集まる三極委員会の年次総会が行われますので、そこでDFFTの具体的な意義について講演をしてまいりたいと思います。各地域の経済界からも出席がありますので、DFFTの意義をしっかりと共有していきたいと思っております。

また、今年のG20のデジタル大臣会合を主催されるインドのヴァイシュナウ・デジタル大臣と会談をし、G7、G20の連携、あるいは日本とインドの連携といったことについて意見交換をしていきたいと思っております。

タイでは、国際的に事業を展開しているタイの企業と、データ流通に関する課題などの意見交換をして、グローバルサウスにもこのDFFTにしっかりと乗ってもらう、そのためにどういう課題、問題意識を先方が持っているのか、非常に興味のあるところですので、しっかり意見交換をしたいと思います。

今年の4月のG7のデジタル・技術大臣会合では、DFFTをしっかりと発信をし、グローバルサウスとの連携の強化ということをやっていきたいと思います。

2点目、消費者担当大臣としてです。3月11日の明日、東日本大震災の発生から12年目を迎えます。これに先立ちまして、消費者庁では風評に関する消費者意識の実態調査の第16回目を行いました。

今回の調査結果を見ますと、放射性物質を理由に食品購入をためらう産地として福島県と回答された方が、第1回目、2013年には19.4%いらっしゃいましたが、今回は5.8%、これまでの調査で最も少なくなりました。他方「食品に関する放射性物質の検査が行われていることを知らない」と答えた方、2013年の第1回目には22%でしたが、今回は63%まで増えております。

日本の食品は、国際的な安全基準を決めているコーデックス委員会の基準値でありますキログラム当たり1,000ベクレルという基準と比較しても、極めて厳しいキログラム当たり100ベクレルという基準値を設定しております。この基準値に基づいて、2021年産の米だけでも30万点を超える検査を実施しておりますし、基準値を超えたものはありませんでした。野生鳥獣の肉等のごく一部に関して基準値を超えているものがあったようですが、そういうものについては出荷制限を行って、市場には出回らないという措置を今でも講じているわけです。このことを改めて国民の皆様にはご認識いただきたいと思っております。

また、中国の秦(シン)外交部長が、3月7日の記者会見で、日本政府のALPS処理水の海洋放出の方針について、記者会見の中でコメントをされておりますが、ALPS処理水の取扱いにつきまして、日本政府はこれまで国際法を遵守し、また国際慣行を十分踏まえた、健康及び環境への安全、この影響を最大限に考慮した措置をこれまでとってまいりました。こういう対応につきましては、中国を含む国際社会に対して、科学的根拠に基づいて透明性を持って、政府として丁寧に説明をしてきているところでございます。

特に1月20日に公開した動画でも申し上げましたが、ALPS処理水に含まれるトリチウムは、雨や海水など自然界にも幅広く存在し、水道水や食料を通して私たちの体に取り込まれますが、このトリチウムは水と一緒に排出され、体内に蓄積されるということはありませんし、食物連鎖で魚をはじめとする水産物の中で濃縮されることもありません。

このトリチウムは、国内外の原子力施設においても、各国の基準に合った形で、海洋等に排出されております。その量についても、東電の福島第一原発からのトリチウムの海洋放出の放出予定量は年間22兆ベクレル未満ということにしておりますが、例えば中国の秦山(チンシャン)第三原発ではその7倍に当たる143兆ベクレル、寧徳(ニンデ)原発では約5倍の102兆ベクレル、陽江(ヤンジャン)原発でもやはり5倍近い112兆ベクレル、紅沿河(ホンヤンヘ)原発では、この福島の処理水の約4倍の90兆ベクレルの排出が行われているところでございます。イギリス、韓国、アメリカなどでも、このトリチウム同様の排出が行われているということを申し上げたいと思います。

消費者庁としては、今回の消費者意識の実態調査結果も踏まえて、内外の消費者の皆様に日本の食品の安全性について正確にご理解いただくように、消費者の皆さんとのリスクコミュニケーション、しっかり強化してまいりたいと思っております。

3点目、今日のメインでございますが、明日3月11日、東日本大震災から12年ということになります。改めて犠牲となった方々のご冥福をお祈り申し上げたいと思います。また、今年は関東大震災から100年という節目の年でもあります。

これまで防災分野では、政府において色々な取組をしてまいりましたが、民間事業者においてもデジタル技術を活用した先進的な優れたサービスを様々提供していただいているところでございます。デジタル庁は、防災DX協議会を立ち上げまして、尾﨑大臣政務官を筆頭に、この防災分野で生まれている民間の優れたサービスを地方公共団体に積極的に紹介して、優れたものをより効果的な防災対策を実現するために活用できるものは活用してもらいたいと思っております。この取組に関しまして、デジタル庁でカタログ化して、これを提供するという一定の成果がとりまとまりましたので、後ほど、担当している尾﨑大臣政務官からご説明を申し上げたいと思います。今回のカタログ化、この先には、こういう民間が提供するデジタルのサービスについて、デジタルマーケットプレイスのようなものに最終的にはしていきたいと思っておりますので、その第一歩ということになります。

尾﨑政務官
デジタル大臣政務官の尾﨑正直でございます。防災DXの取組について、私からご説明申し上げます。

デジタル庁では、先程大臣からもお話がございましたけれども、防災分野での民間の優れたサービスについて、昨年10月よりずっと公募を行ってきたところであります。これまでのところ100件を超える応募がありました。その結果を、自治体をはじめ、様々な皆様が迅速に検索して、簡単に入手できるようにするためのツールとして使っていただきたいということで、この防災DXサービスマップ、これを今回初版ということになりますけれども、これを公表させていただくということとなったところであります。

このマップでありますが、見ていただきますとおわかりいただけますように、平時、さらには発災時、切迫時ということです。そして応急対応期、そして復旧・復興期、それぞれこのいわゆる防災のフェーズごとに、それぞれ行っていくべき仕事をカテゴリー分けしまして、例えば、防災学習だとか、避難生活支援だとか、物資支援だとか、こういう形で仕事をカテゴリー分けしまして、それぞれに対応したアプリ、これをそれぞれのボックスの中に搭載をしている、そういうものであります。これを例えば一つ一つクリックをしていただきますと、例えばこういう形で避難生活支援でありますと、その中で、例えば「ポケコン」という形のこういう形のアプリが出てきて、そのアプリの概要について説明をしていると、さらにそのアプリの名前を押していただきますと、そのアプリについて、さらに詳細について、例えばサービスの価格なんかも含めて、こういうものであるということを検索していただくことができるということであります。いわゆるオープン型の検索もできるということでありまして、後でまた詳細はご説明をさせていただくということであります。

本当に災害のフェーズごとにどのようなサービスがあるか、一目でわかるようになっているところでありまして、ぜひ積極的に活用いただきたいと考えています。

今後、サービスをさらに充実させまして、マップの利便性も高めていきたいと考えているところです。様々な優れたアプリの開発を促していくことができればと考えていまして、特に昨年立ち上げました防災DX官民共創協議会の皆様とも連携して、さらなる充実に努めていきたいと考えています。

なお、先ほど大臣からもお話がございましたけれども、本年4月から行政機関がSaaSを調達するためのデジタルマーケットプレイスの実証を開始したいと考えているところでありまして、秋頃には実証サイトの公開を予定しているところでありますけれども、こちらについては、このデジタルマーケットプレイスの取組については、特にこの防災アプリについて、これを題材にして取り組んでいきたいと考えておりまして、有償無償を問わず優れた防災アプリ等を掲載して、行政機関による円滑な導入を後押しする。そういう取組を進めたいと考えております。

防災DXの力で、ひとりでも多くの命を守っていけるように、自治体などの防災業務の効率化、迅速化をしっかり後押しできるよう頑張ってまいりたいと考えているところです。

繰り返しになりますが、会見終了次第、同じ会見室で担当から説明会を実施しますので、またぜひ皆様、色々とこちらにつきまして、ご紹介をお願いできれば幸いでございます。よろしくお願いいたします。

河野大臣
それぞれの地域、自治体で、民間と組んで色々なサービスをこれまで作ってきている、あるいは民間企業が色々なサービスを提供してくれております。有償のものもあれば、無償のものもありますが、こういう形で整理をしてあります。有償のものについては価格が表示されています。

今までこのサービスを入札で色々なものを調達するということもあったと思いますが、デジタルマーケットプレイスにして、もう価格を決めて、いわばoff-the-shelfで「棚のものを買います」というような形で、いちいち入札の手続をしなくても、このサービスはこの価格でそれぞれの自治体に提供しますというような、調達がもっと簡単にできるような仕組みも、将来的には入れていきたいと思っておりますので、そこに向けての最初の一歩ということになるのかなと。今回は防災でやりましたが、色々な分野で多分こういうことができるんだろうと思いますので、自治体からのニーズを踏まえながら、色々な分野でこういうサービスのカタログ化というものをやっていきたいと思っております。

2.質疑応答

(問)消費者庁関連でお伺いします。13日に消費者委員会の公共料金等専門調査会が朝行われる予定だと思うんですけれども、今回も電力会社5社を呼ばれるということで、前回から数えて2回目だと思うのですけれども、今回の狙いについて教えていただけますか。

(答)電力料金、特に規制料金について、これは経済産業省から協議を受ける立場ですので、消費者庁、それから消費者委員会はしっかり見ていかなければいけないということだろうと思いますので、そこはしっかり調査を含めやっていきたいと思います。

(問)今回の月曜日の消費者委員会でもカルテルとか、情報漏えいの部分を中心に聞いていくということでいいんですかね。

(答)今回、おそらく規制料金の関係をしっかり議論してもらうということが、まず、第一優先だと思います。

(問)マイナンバー関係でお伺いします。マイナンバーカード持たない方への資格確認書についてですけれども、書面や電磁的方法で発行することが想定されているそうですが、現在の保険証を残した場合と比べて、どの程度の追加負担が発生することになるのでしょうか。前回の閣議後会見でも事業全体で見た場合に、どの程度のプラス効果があるか試算されるようなお話をされていたと思いますけれども、単純に発行や維持管理にかかる費用だけで比較した場合、現在の制度を維持した場合と資格確認書を発行する場合では、どの程度の増減があるのでしょうか。具体的な金額などに関する試算がありましたら教えてください。

(答)マイナンバーカードに一本化できれば、この資格確認書というのを出すコストは要らなくなりますから、その分、どうしても余計にかかってしまうことになるんだろうと思います。ただ、マインナンバーカードを紛失してしまった場合ですとか、あるいはベビーシッターさんに病院に連れていってもらう場合とか、やはり資格確認書がどうしてもなければいけないという場面がありますから、そこについてはそういう形で発行しようということで、厚生労働省で色々な準備作業をしてくれているところだと思います。これでどれぐらいの費用がかかるのかっていうのは、どこかの段階で厚生労働省が出してくるかなと思います。

(問)2月17日に公表されましたマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会の中にある参考資料ですけれども、診療の際にマイナンバーカードを使った場合と使わない場合で、加算要件に差が生まれて、持たない人が高額な医療費を負担するようなことになるということが説明されています。政府を挙げて、医療費の膨張を抑制する政策に取り組む中で、あえてその方針に逆行するような政策っていうようにも受け取れると思います。そもそも医療DXの推進は膨張する医療費の抑制をする狙いがあるはずで、マイナ保険証と資格確認書を持つもので、負担に差が生じれば、健康保険組合の財政も圧迫されるようなことが懸念されます。担当外かもしれませんけれども、総合調整機能を持つという意味で、デジタル庁所管大臣としてのご見解を教えてください。

(答)マイナンバーカードを保険証として利用することで、薬剤の重複投与のようなものを避けることができるようになります。また将来的にはこれを利用することで、様々な日本人の健康データを活用して医療の質を向上することができる。ひいては医療費の削減につながっていくということになるわけです。マイナンバーカードを活用していただくことで、病院や薬局側の業務の負担軽減にもなります。資格確認書とマイナンバーカードではそれぞれの業務の負担が変わってきますから、その差分、これを負担していただくのはやむを得ないと思います。

(問)費用負担の差で健康保険組合にどれぐらいの影響が出るのかということについて試算とか、その辺は出ているんでしょうか、やる予定はあるのでしょうか。

(答)すみません、私は存じません。

(問)情報公開の請求に絡んで旧IT室、もう2年前になるんですけども、請求しまして、非常に時間がかかったということがあって、結果が総務省の結果と比べて違いを感じたものですから、審査請求をしたんですが、それには1年2か月もかかってしまったということがありまして、こういう時間のかけ方についてどう思われるかということと、情報公開請求もオンライン化した方がいいんじゃないかと思うんですが、お考えをお聞かせいただけますか。

(答)行政の業務、オンライン化できて効率化できるものについては、いずれかの段階でやった方がいいと思いますけれども、少なくとも私の知っている限り、今の情報公開請求、紙の資料を出すというところで、申請はオンラインになりますが、作業そのものは紙で、全部データ化するということができていれば、これは早くなるかもしれませんけれども、申請のところだけオンライン化したからといって、残りのプロセスにはあまり影響がまだないのかなとは思います。

(問)今回、私が不満を持ったのは、利害関係者との飲食について請求したところ、1か月で出ずに延長されて、さらにまた1か月かけて出してきたというところがありまして、これは意図的なものを感じたんですね。そういうやり方をされるのは、今の話と大分違って、デジタル化してあるかしてないかっていう話の問題ではなくて、やはりこう背景にはあまり知られたくないっていうものを感じてしまうことがあるんですが。

(答)すみません。それは請求先に聞いてください。

(問)一応旧IT室だったものですから、ここで聞いてもいいかなと思ったんですが。

(答)旧IT室内は内閣官房ですので、内閣官房にお尋ねください。

(問)防災アプリの関係でお伺いしたいのですが、自治体が民間のアプリを使うことで、住民にとってどのようなメリットが生まれるのか、少し詳しくお伺いできればと思います。

(答)今、色々なアプリが出ております。例えば、私が見たものでは、宮城県で、マイナンバーカードと連携するアプリで、避難所への入所の登録をやっていただく。そうすると家族がばらばらに避難をしても、どこに家族が避難しているかというのがすぐにわかります。それからアプリに、例えば自分のアレルギー、例えば「私は卵にアレルギーがあります」とか、あるいは「私は高血圧の薬を飲んでいます」というものを入れておくと、それが自治体の災害対策本部に集約されて、どこの避難所にどういうアレルギーに対応した食事が必要だとか、どういう薬、あるいは粉ミルクとか、その情報の集約が極めて早く正確にできるということもあります。そういうものもありますし、色々なフェーズごとに色々なアプリがあります。今どんなアプリが登録されているのかを見ていただきたいと思います。日本の様々な中小で頑張っているIT企業でも使いやすいアプリが出てくれば、ぜひここに登録していただいて、日本全国色々な自治体からぜひサービスの注文を受けていただきたいと思います。

(問)先程大臣の方から発表ありました食品中の放射性物質に関する意識調査についてお伺いします。福島県産の購入をためらう方が最小になった一方で、自主検査をしてることを知らない人が6割超ということでした。風評が薄らいでいる一方で、風化が進んでるのかなと感じたのですけれども、大臣のご所見をお願いします。

(答)震災の前にどんな検査が食品で行われているかということを知っている人というのはあまりいなかったのではないのかなと思います。震災が起きた後で、食品の安全、しっかりとこういう検査をやっていますよというのを政府も自治体も、あるいは色々な民間も消費者にお伝えして、しっかりと基準をクリアしたものだけが市場に出回っていますということを随分広報させていただきました。だんだんともうそれが当たり前になってきたというところで、だから気にしなくなった方、あるいは当時まだ小さいお子さんが、今は自分でスーパーマーケットに行って食料を買うような年になられたけれども、もうそういうことを気にせずに買っているということになったのかなと思います。まだ一部の海外の国で食品の輸入規制をされているところがありますので、国内だけでなく、国外に対しても我々がやっているこうした安全のための努力というものを知ってもらう、この努力は続けていかなければならないと思っております。

(問)今の質問に関連してなんですけれども、処理水に関して、政府や河野大臣は科学的な安全性というものを強調されて、安全性をアピールされていますけれども、一方で、大臣もおっしゃられたように、中国政府はじめ、海外からも懸念の声が上がっています。政府の説明に何が足りないのか、今後求められるのか。もしくは何か、例えば外交的な面で足りない部分があるのか、大臣のお考えをお聞かせください。

(答)やはり消費者の皆さんに、このトリチウムに関する安全をしっかりと理解してもらうということと、やっぱり安心していただくということは大事だと思いますので、各国の消費者、特に中国、韓国からインバウンドで日本に来られる方、これはもう日本食をおいしいと言って食べてくださってますし、それこそ近隣のお魚を食べてくださっているわけで、そういう方はご理解いただいていると思いますが、多くの方に「日本の食事はおいしいし、安全だね」ということがきちんと伝わる努力というのは、これは引き続きしっかりやっていきたいと思います。

(以上)