デジタル庁入札等監視委員会(第8回)

概要

  • 開催日:令和8年(2026年)3月9日(月)
  • 場所:デジタル庁共用中会議室
  • 委員名(敬称略・五十音順):
    • 金子 良太 早稲田大学大学院会計研究科 教授
    • 川澤 良子 Social Policy Lab 株式会社 代表取締役
    • 持永 勇一 公認会計士
  • 審議対象期間:令和7年(2025年)4月1日から令和7年(2025年)9月30日
  • 抽出案件数:3件(対象案件279件)
  • 審議案件数:3件

資料

議事概要

2025年度の支援情報ベース・レジストリシステムの運用保守業務

  • 通し番号:26-03-01
  • 契約方式:一般競争契約(最低価格落札方式)
  • 契約相手方:株式会社電算システム
  • 契約金額:17,061,000円
  • 契約締結日:令和7年4月1日
意見・質問回答
前年度1者応札から4者応札となっているが、その理由はシステムの廃止が主たる業務内容になっていることが要因か。システム廃止は仕様変更により実施することとしたため、主たる要因にはあたらないと考えている。応札者が増加したのは、本年度よりシステムの運用・保守業務のみの調達とし、改修を除いたためであると考えられる。
支援情報ベース・レジストリを充実させることの方が、デジタル庁の基本方針にかなうと考えるが、子育て支援制度レジストリの情報が支援情報ベース・レジストリを経由しないこととなったのはなぜか。登録する情報が度々変更される場合、支援情報とベース・レジストリシステムを介すると、マイナポータルと支援情報ベース・レジストリ・システムの双方で改修が必要となり、改修コストや機動性に欠けることから、マイナポータルのみで対応することとしたため。
期間が4カ月短縮され、内容も変更されたのに契約金額が変わらなかったのはなぜか。また、契約変更に当たり金額面の検討はどのように行ったのか。契約金額が変わらなかったのは運用保守期間を短縮する代わりに、その分の人員をガバメントクラウドを含めたシステムの閉鎖作業に充当することとしたためである。金額については、契約変更にあたり、変更仕様書に基づいた見積もりを事業者から取得し、その内容を精査し検討を行っている。
廃止理由としてマイナポータルで実現することとなったことがあげられているが、結果的に二重投資による無駄が発生したのではないか。支援情報ベース・レジストリ・システムとマイナポータルは、それぞれ独自に運用されてきたところ、デジタル庁発足に伴い両者の重複関係等を整理し、支援情報ベース・レジストリ・システムは民間事業者向けのデータ提供機能として整理され、2023年・2024年の重点計画に基づき、連携・統合を進めてきた。今回、更なる統廃合について検討を進め、支援情報ベース・レジストリ・システムを完全に廃止することとしたものである。したがって、デジタル庁発足前はバラバラに投資されていたものを順次統廃合して予算の縮減を図り、最終的には一方を完全に廃止しているため、「二重投資による無駄を回避した」と認識している。
システムの構築段階から同じ事業者が受注している状況であり、競争での質の向上がなかったように思うがどうか。前年度までは、運用・保守業務に加えて改修業務を加えていた。これは運用を行いながら改修を行う必要があったためであるが、他の事業者が参入しづらい状況となっていた部分はあるかもしれない。システム開発時に初めからすべてを見通せるわけではないので、運用しながら改修を行うことも必要であると考えている。
仕様書が複雑で、読みにくい印象を受けた。仕様書は適切な調達活動に非常に重要なものである。より適切に作成する必要があるのではないか、検討していただきたい。本件の仕様書について改善していく必要があると認識している。他方、調達仕様書として盛り込むべき事項が肥大化していっており、別添も複雑化しているため、調達全体として分かりやすくする工夫もすべきであると考えている。

法制事務における生成AIの活用等に関する技術検証

  • 通し番号:26ー03ー02
  • 契約方式:随意契約(企画競争)
  • 契約相手方:Polimill株式会社
  • 契約金額:39,560,000 円
  • 契約締結日:令和7年5月16日
意見・質問回答
随意契約とした理由に「共通情報検索システムの機能のみならず法制執務及び法案作成作業についても十分に理解した上で、生成AI等を活用した行政職員の事務負担が軽減されるような機能等に関する技術検証を行うことが求められる」とあるが、特に「法制執務及び法案作成作業についても十分に理解」について、参加した3社をどのように評価したか。審査基準表において、調達内容や事業者の理解度に関する評価項目を複数設けることで評価を行っている。例えば、項目「業務目的・背景の理解」では調達仕様書の内容に対する網羅的な理解を、項目「業務の範囲」では本調達の特徴を踏まえた具体的な提案を評価している。これらの項目を評価する過程において、受託候補事業者の法制執務及び法案作成作業に関する理解度についても評価している。
このような取り組みをAIで行う価値は高いので積極的に進めるべきと考える。政府だけでやるのではなく将来的には自治体等も含めて行うことができるようになれば国民の利益につながると考える。また、担当班の現場意識を法律に落とし込むまでのプロセスについては、法律がどのような問題意識で作られたかわかるようになると思うので、データの使い方についてご検討いただきたい。
プロポーザルでは「各社の独自提案」を評価するため、採用された業者の独自技術がシステムの中核に据えられやすく、結果としてベンダーロックインを招くリスクがある。受注事業者のPolimill社の提案には、同社独自の技術や、同社しか扱えないAIモデル・ツールは含まれているか。同社の提案内容に独自技術等の使用はなく、AIツール開発の一般的なノウハウに基づく提案が示されている。また、引継も容易な手法で整備されているので、ベンダーロックインを招くおそれはないと考えている。
インターフェ―スが動いているシステムの場合、ユーザー側からのインターフェースを変えないでほしいという希望もあることから、今までとはまた違うレベルのベンダーロックインができてしまうのではないか懸念しているがどうか。インターフェースに継続性を持つことは重要と考えているが、事業者が変わったとしてもシステム構築ができるよう今後も留意する。
条文案生成ツールについて、法令を作った際に他の法令にも影響が出て改正が必要になることがあると思うが、そのような改正対応もできるのか。AIを活用することにより、法令間の関係性を推定することが可能になることから、他省庁が所管する法令に対してどのような影響が生じ得るかについても整理・提示できるようにしたいと考えている。
仕様書ではRAG(外部情報の参照)技術の活用が明記されている。法制事務では「公表前の条文案」など機微な情報を扱うようになるものと思われる。RAGの検証において、『アクセス権限』はどのように設計されているか。 たとえば、A省庁が検討中の法案データをAIが参照してしまい、B省庁の職員が関連質問をした際に、その情報を回答として出力してしまう『情報漏洩』のリスクは検証項目に含まれているか。令和7年度に開発したプロトタイプにおいては、e-Gov法令検索から取得した法令データ及びgo.jpドメインの政府系ウェブサイトをRAGの参照先として、入出力内容の学習を禁止(オプトアウト設定)した上で、受託事業者のパブリッククラウド上で生成処理している。そのため、ある入力内容がAIにより学習され、別の利用の際に出力されるリスクはないものと考えている。

令和7年度ガバメントソリューションサービスの運用 一式

  • 通し番号:26ー03ー03
  • 契約方式:随意契約(不落随契)
  • 契約相手方:日本電気株式会社
  • 契約金額:23,116,662,386 円
  • 契約締結日:令和7年7月1日
意見・質問回答
不落随契となった理由についてどのように分析しているか。主に、事業者において、調達仕様書で求めるSEリソースの確保が困難であったこと、調達仕様書で求める業務の範囲が広く、新規参入事業者にとって、現行事業者に比して参入障壁が高いと受け止められたことの2点があったと推察している。
14の事業者に参加の呼びかけを行ったとあるが、呼びかけは大手の事業者に対して行ったのか。呼びかけを行った事業者には小規模及び中規模の事業者も含まれていたところであるが、業務の範囲が広く、人員が不足している等の理由により呼びかけに応じることは難しいと回答を受けたものもあった。そのため、結果的に呼びかけに応じた事業者は、SEを大量に抱えている事業者や人員を集めることができる規模の大きい事業者が多かったところである。
長らく同一事業者が継続して受注しているので、大手といえども他の事業者が入るのが難しいところがあると思うが、他社の状況はどのようなものだったか。調達時点では、契約事業者以外から興味を持っていただき、意欲的に資料閲覧等もいただいていたところであるが、結果的に人員の都合がつかない等の理由により入札には至らなかったものと推察している。なお、調達仕様書の作成に当たっては、現行事業者以外の事業者にも広く参入いただけるような仕様となるように検討した。また、併せて閲覧資料も充実させたところである。
見積もりと実際の工数の「ぶれ」について、人員に余裕がない中で「ぶれ」をできるだけ少なくしたいという思いがあると思うが、この「ぶれ」について、事業者の懸念を解消することはできないか。事業者からの意見等を踏まえ、本件調達において想定しうる作業等について、「現行契約において生じた作業等の実績」を参考として閲覧資料において示すことで、各事業者の懸念の解消を図れるように尽力したところである。なお、次期の調達の際において、さらに各事業者の懸念を解消することができるようにしたいと考えている。
契約終了予定のR11年度以降の契約において、複数の事業者からの参加を促進するため、現時点で何らか検討している取り組み・工夫はあるか。本件調達終了後に応札検討事業者等へヒアリングを行った結果、①調達仕様書で求める業務が多く、多大なSEリソースを確保することが困難、②仕様書で求める業務の範囲が広く、新規参入事業者にとって現行事業者に比べて参入障壁が高いと受け止められる場合がある、という意見があった。①について、現時点では仕様範囲として最小単位となっていると考えているものの、さらに業務を分割できる可能性について引き続き検討を続けていく。②については、調達仕様書記載の更なる具体化、閲覧資料を更に充実させること、及び適切な引継期間を確保する等により、更なる参入障壁の低減に努めていく。上記に加え、各事業者から引き続き意見をお伺いし、更なる改善点を模索していく。
今回の調達における保守体制はどのようなものか。調達仕様書で求める保守体制は、原則、常駐を求めていない(事業者拠点で業務することを不可としていない)。ただし、デジタル庁職員と密なコミュニケーションが必要となる運用管理者等については、例外的にデジタル庁拠点への常駐を求めている。
契約単位を分割するのは難しいとのことだが、ヘルプデスクやマネジメント等の業務についても分割はできないのか。ユーザーサポート対応について、階層別にTier1、Tier2、Tier3に分類している。このうち、ユーザーからの一次受け窓口として対応するいわゆるヘルプデスク・サービスデスク業務は「Tier1」に分類しており、本件調達とは別途の調達として切り出している(分割している)ところである。なお、ユーザーからの問い合わせの内容に応じて、Tier1からTier2へエスカレーションされた問合せ等は、本件調達において対応することとしている。
規模が大きいプロジェクトのため、今回の落札事業者以外の事業者が応札してくるのは難しいということは理解したが、今回の落札者の落札が適切かどうか、さらなる改善の余地がないか今後も検討を続けていただきたい。承知の上、引き続き対応を継続する。