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デジタル庁入札等監視委員会(第3回)

概要

  • 開催日:令和5年9月20日(水)

  • 場所:デジタル庁共用中会議室

  • 委員名(敬称略・五十音順):

    • 金子 良太 國學院大學経済学部 教授
    • 川澤 良子 Social Policy Lab 株式会社 代表取締役
    • 持永 勇一 早稲田大学大学院会計研究科 教授
  • 審議対象期間:令和4年10月1日から令和5年3月31日

  • 抽出案件数:3件(対象案件220件)

  • 審議案件数:3件

資料

議事概要

デジタル庁ガバメントソリューションサービスの府省LAN 統合に係る作業支援

  • 通し番号:23-09-01
  • 契約方式:一般競争契約(最低価格落札方式)
  • 契約相手方:株式会社TIS
  • 契約金額:111,100,000円
  • 契約締結日:令和4年11月25日
意見・質問回答
令和4年度は2回とも上手くいかなかったが、令和5年度は他の業者が受注している案件か。9月22日に契約予定であり、調達の最中である。
令和5年度の契約金額は、令和4年度と比較しどうか。また、契約方式等に違いがあるのか。令和5年度は、プロポーザル型企画競争を行い、契約に向けて手続を進めている。企画競争入札のため、審査のうえ契約締結に至るが、契約締結日が9月22 日のため、契約金額はまだ分からない状況にある。
プロポーザル型に切り替えようと考えた理由とは。ベンダーロックインの状況を解消するため、中小やスタートアップ事業者が国の調達案件へ積極的に参入しやすいように、プロポーザル型方式を採ったところである。
令和5年度に契約業者が変わるが、前年度までのノウハウ又はソリューション等の情報提供はどこまでやるものなのか。また、作業支援といった抽象的なものにプロポーザルを取り込むにあたり、企画競争に参加しようという業者に対する情報提供及びコミュニケーションはどのように取っているのか。本調達は支援業務ではあるが、府省LAN統合であり、年度ごとに対象となる省庁が異なるため、昨年のノウハウ等が活きてくるという性質のものではない。省庁ごとに敷設しているLAN システムが異なり、GSSへの登録方法も異なるため、省庁と都度相談し進めるものである。
令和5年度の企画競争の参加者数は。二者と聞いている。
本契約は、作業時間の工数や人件費の支出についての確定検査などは実施されているのか。それとも、請負契約で行っているのか。請負契約で行っている。請負契約の管理として、業務日誌などを確認し提示した工数で履行されたものとし契約金額を支出している。
本契約は支援業務のため、作業時間や人件費の支出を確認する確定検査を行う委託契約形態が適していると思われる。今後の契約形態の検討の際に検討されたい。承知した。
仕様書について、業務の発生を把握しているのであれば、小規模であっても工数に影響するため、省略することなく記載又は説明会で説明する等をすべきと考える。把握している業務の網羅性を確保したうえで、追加業務の可能性があると記載すべきと考えるため、記載ぶりにつき、今後検討されたい。承知した。
仕様書上、「デジタル庁職員と同等の責務において折衝」と記載されており、内容は日程の調整や課題管理と推測されるが、折衝の内容が重要と考える。プロポーザル型であれば、参加業者が企画書に書き込めるところであるため、今後記載ぶりを検討されたい。承知した。
駐在する連絡員の方の中には、常駐している方もおられるとのことで、偽装請負も懸念されるところ、請負業者への指示系統の担保方法はどのようにしているのか。請負業者から体制表を受領しており、指示系統の確認は行っていると承知している。なお、令和5年度はオンラインでの対応を基本可としたため、書きぶりは変えている。
オンラインでの対応で工数が確保されているかの確認がより必要になると思われ、説明責任が問われた場合に、工数などを確認していることが示せるようにすることが重要だと思われる。承知した。
再度入札となっているが、不落・不調時に予定価格が露呈しないような実務的な工夫を行っているのか。また、何かデジタル庁として不落・不調への対応方針みたいなものは出しているか。もしくは今後出す予定はあるか。明確なルールはないが、予定価格との乖離が著しいものは早期に打ち切る場合もあり、個々のケースにより再度入札の回数を判断している。対応方針については、今の段階では用意しているものはないが、本日のご指摘等を踏まえ、検討していきたい。
各府省において、支援業務は継続的に実施されていくと思われるが、作業内容の教育研修等、マニュアル化できるものはマニュアル化し、全く同じ仕様書で何か発注を繰り返すよりは、前年度の成果をいかに標準化していくか、内部のノウハウとして蓄積していくかという視点でぜひご検討いただきたい。
クラウドネイティブになる中でガバメントソリューションサービスは重要視される。作業内容の教育研修や前年度の成果を標準化するといった調達活動も改善しながら、クラウド化の道筋をサポートしてリードしてもらえればと思う。

e-Govクラウド移行及び機能拡充に関する設計・開発等

  • 通し番号:23-09-02
  • 契約方式:一般競争契約(総合評価落札方式)
  • 契約相手方:日本電気株式会社
  • 契約金額:2,442,000,000円
  • 契約締結日:令和5年1月25日
意見・質問回答
クラウドリフトからクラウドネイティブへの移行は何年先を目指したものなのか。また、各用語の意味を確認したい。クラウドリフトとは、オンプレミス型(サーバー上に置いてあるもの)をクラウドに移行することであり、オンプレミス用に設計したクラウドシステムを、機能を損なわずにクラウドに移行させたものである。クラウドネイティブとは、単にオンプレミスであったものをクラウドにそのまま移行するのではなく、クラウド環境に適応させるため様々な設計を新たに行い、適した開発を同時に行うことで、クラウドに当初から適したシステムに作り替えることである。今年の2月を目途にクラウドネイティブとしてリリースできるようなスケジュール感で対応を行っている。
事後的に発生した雑多な業務を本調達に加えることは、入札参加者が限定的になる可能性がある。オンライン業務に特化した形で、細かい業務は別の発注として実施するほうがいいのではないか。これまであったシステムを新たにクラウドに載せる大きな事業であり、クラウド移行のほかに機能拡充の実施及び経済界を含めた様々な者から迅速な対応が必要となる要望が想定される。機能追加と同時並行的に行った方が効率的・効果的に行えると考え、今回は同じ事業とした。なお、今回の中で扱うには適当でないと判断したもの、迅速な対応が必要ないものは別事業として行い、適切に峻別して対応していきたい。
作業要員に求める資格等の要件のところで、特定の機関が認定する専門家であるという条件が付されているが、同等の資格としたほうが幅広い事業者の参入を見込むことはできないか。特定の団体の特定の資格を全員が有しているところまで求めておらず、提案において適切なスキルレベルを有する者であれば、その提案自体を妨げているものではない。
「要員のいずれかは特定の機関が認定する専門家であること」との記載ぶりであったため、誰か1人は入れなければいけないと思われたが、そうでないのであれば、同等の資格や別の資格として証明できるのであれば実務経験などの幅を広げる記載にしてもいいかと考える。承知した。ご助言頂いた点は、次年度以降の仕様策定の際に参考にさせて頂く。
落札業者に変更があっただけでなく、入札参加者に大きな差がついた案件である。また、分割調達等も挙げられていたが、今回のケースはグッドプラクティスとして、他の案件に広げていくにはどのようにすればいいと考えるか。定常的な運用ではなくクラウド移行であり、システムのライフサイクル的に他の事業者が参入しやすい時期であったことからベンダーチェンジが行われたと考えられる。
今回、落札率が低くなっているが、今後類似ケースの調達案件で入札に参加しづらくなる参入障壁は生じないのか。タイトなスケジュール期間で確実にシステムを移行させなければならず、ある一定程度の力を持った業者でなければ履行が難しく、二の足を踏んだ業者がいると推測される。また、単にクラウドに移行するという節目で参入障壁が低いという意識が業者にあり、低価格の札入れがなされたと推測される。
今後のロックインに関する懸念は。ベンダーチェンジができたため、ベンダーロックインされない調達条件のノウハウが蓄積されてきたところである。こうした知見を踏まえながら、次年度以降もベンダーロックインとされない状況を継続的に作っていきたいと考えている。
従来のオンプレミス型を得意とするベンダーがクラウドネイティブに対応してきているのは、デジタル庁がベンダーの意識を変えるといった、いい流れを作っているのではないか。ベンダーロックインにならないように気遣われたことでより分かりやすいものはあるか。業者により個々に強みが異なるが、特定の業者が頭に浮かぶ強みを仕様書に書き入れないよう、多くの事業者が対応可能な形にして仕様書を書くことが、参入障壁をいたずらに上げないために必要なことと考えている。
会社としての技術開発力等の能力及び入札参加資格と、作業要員として誰をこの案件にアサインしてくるかも重要なところであるが、なにか工夫はされているのか。企業として非常に適した技術力を持っていたとしても、作業要員がそうでなければ、本件のようなタイト、かつ、難しい案件は上手くいかない。そのため、企業自体の入札参加資格で、その企業自体の質を担保しつつ、作業要員に求めるスキルも組み入れている。作業要員の質の高さとそこの範囲は、特定企業に限らず再委託先まで広げることで、スキルを持つ者を社内に必ず抱えていないといけないという参入障壁を下げることができたと考えている。作業要員の資格をどの程度にすれば質が担保でき、参入障壁とならないかバランスを鑑みていきたい。
クラウドネイティブの大きい方向性の中、ベンダーロックイン等にも気を遣いながら、調達としても総合評価落札方式で、経済的に廉価に落札ができ、経済合理性も追求した良い事例であると思われる。
大規模な事業のため、バックアップを含めた体制の充実を求めるために、A・B等級で行っていると思うが、作業要員に求める資格を具体的に記載し、クラウドを得意とする中堅の再委託先も入っているようであれば、今後の発注の時は、もう少し分割して機能を切り出して発注をし、中小企業やスタートアップを含めた形での発注が実現し得る可能性もあると思う。再委託先や従事者を細かくモニタリングし、今後の参加等級や発注先を前向きに検討していただきたい。承知した。来年度以降どういう形が一番適切で、システムの健全性と経済合理性という意味でどういう形での発注が適切かというのは考えながら、来年度以降も続けてまいりたい。
システム調達だと大手ベンダーのベンダーロックインというものがあるが、こういう形できちんと発注して、再委託先までフォローしていけば、トラブルなく発注が進められる可能性があると考えられるため、次期、次々期の調達で成果を教えてほしい。令和5年度から当庁のホームページにて、下請けや再委託を行っている事業者の一覧を公表しており、各種調を行う際は、当該一覧を参考に中小・スタートアップへの声かけを行っていただくなど活用している。ベンダーロックインはすぐに解消するのは難しいとは思われるが、本件調達を優良事例として参考にしながら、解消に向けて取り組んでまいりたい。

Trusted Web開発等推進事業に係る調査研究

  • 通し番号:23-09-03
  • 契約方式:一般競争契約(総合評価落札方式)
  • 契約相手方:凸版印刷株式会社
  • 契約金額:733,000,000円
  • 契約締結日:令和5年3月6日
意見・質問回答
Trusted Web の保証水準はどの程度かというコンセンサスはあるのか。明確な水準を定めるというよりは、新しい技術を活用しながら、検証可能な範囲を、今よりも徐々に改善させていくという方向で議論している。
内閣官房等と連携する中で、デジタル庁が事業として進めることについて、プレゼンスの示し方はどのように理解すればよいか。DFFT を実現するための一つの政策イニシアティブであることや、デジタル社会を形成する一つのイニシアティブであることから、それらを所掌するデジタル庁として対応していることが一つである。また、関連省庁の政策との連携する際に、デジタル庁として対応していくことがプレゼンスとしてある。さらに、デジタルアイデンティティは非常に専門性が必要な政策領域である。このためデジタル庁内のアイデンティティユニットといった専門人材に密にフォローいただきながら内容を深めていくことが必要であり、専門性の観点からもデジタル庁のプレゼンスはあると考える。
再委託は重要事項のため、仕様書に記載するべきではないかと考える。特に主要な業務は再委託できない又は再委託の申請手続き、再委託の割合などの規定も含めて記載すべきと考えるがいかがか。再委託については契約書で規定していたが、今後同様の事業を行う場合は、ご指摘を踏まえ、仕様書にも記載したい。
主な事業内容は再委託できないのが一般的であるが、再委託比率や支出計画上の割合などの把握はしているのか。支出内容は計画段階から詳細を受領している。また、事業を支援しているといった内容を再委託していると認識している。
本契約は、間接補助金の事務局のような、公募をして、ユースケースを実施する事業者を選んで支出する形と思われる。支出の形態は請負契約ではなく確定検査を含んだ委託契約が適しているかと考えるが、契約形態についての考えとは。調査研究に関しては、デジタル庁においては請負契約とするのが一般的と確認している。
事業内容を踏まえて契約形態は考えるべきと思う。仮に公募して支出先件数が1件だったとしても、請負契約として金額は変わらず、経済性と支出の透明性の観点でもなかなか理解を得られないのではないか。確定検査を含んだ委託契約であるとか、契約形態を見直すべきと思われる。本事業については請負契約としているが、担当としても、ご指摘の点について何かしらのフォローは行う必要だと認識している。また、確定検査があると、手続きに対応できないというスタートアップからの声もあると認識しており、こうした点も含め、次回以降の事業の在り方を考えたい。
本調達は単なる調査委託ではなく、協議会を設置することにより、人的なネットワークが作られ、一度人的ネットワークができると再委託先が固定化されるところがある。他省庁等の協議会にも常々上がる課題だと思い、これまで協議会を担ってきた人以外の者は実質的に入れないような参入障壁になるのではないかと考えられる。再委託等の重要事項を仕様書に書き込み、公正性及び透明性を高めていく中で、調達活動全般も透明性を高め、更には根本的な問題として調査研究委託の契約形態については、本件だけに限らず他の案件でも検討していただきたい。