2024年度 生成AIの業務利用に関する技術検証および利用環境整備を行いました
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デジタル庁は、デジタル社会の実現に向けた重点計画(2024年6月21日閣議決定)に基づき、生成AI(主にテキスト生成AI)の業務利用に関する技術検証およびセキュアな生成AI利用環境の整備を行っています。この取組は、行政における業務の高度化および効率化を目指し、生成AIの業務利用を促進するためのものです。
取組の背景と目的
2024年度は以下2つの取組を行いました。
- 第一弾:AIアイデアソン・ハッカソンの実施
- 目的:行政における業務課題から生成AIの有効なユースケース発掘
- 生成AIの業務利用に関する技術検証および利用環境整備(2024年6月開始)
- 目的:行政における生成AIの業務利用促進に向けた体系的なアプローチの構築
技術検証の概要
目的
現状の課題を抽出し、各課題に対する解決策を検証することで、行政における生成AIの業務利用の促進に資する体系的なアプローチを取りまとめることを目指しました。
検証方法
デジタル庁職員を対象に、以下のキークエスチョンを設定して技術検証を実施しました。
- 最新の生成AIが利用可能で、機密性2情報が扱える環境を用意することで、自発的な生成AIの業務利用はどの程度進むか。
- 専門家の伴走支援があれば、行政における生成AIの業務利用はどの程度進むか。
- 生成AIの業務利用を促進するための課題および解決策は何か。
技術検証の結果
1. 生成AI利用環境の提供効果
最新の生成AIが利用可能で、機密性2情報が扱える環境を用意すること、かつ最新の生成AI活用機能を提供することで以下の成果がありました。
- 2025年2月時点で、週間平均ユーザー数134名、平均APIリクエスト数(※1)1,877回到達
生成AI利活用のためのイベントや、扱える情報の範囲が広がったことがユーザー数とAPIリクエスト数の加速要因と考えられます。 - 生成AIアプリが累計85個作成された
利用者の一部(117名)に対しアンケートを実施した結果、12名(10%)が自ら生成AIアプリ(※2)を開発して個人利用を行い、うち8名がチームにアプリを共有して活用していました。
- ※1 APIリクエスト数
- 生成AIを使って文章を生成したり、画像を生成したりする際に1回のリクエストごとに消費される回数を指す。
- ※2 生成AIアプリ
- 生成AIを使って文章や画像、音声などを自動で生成することができるアプリケーションを指す。
2. 専門家による伴走支援の効果
専門家による伴走支援を一部の職員に提供した結果、対象となるチームのうち70%が業務利用(予定を含む)に至りました。
3. 課題と解決策
観測された課題
- 生成AIを活用する必要性の不足
- 生成AI活用に取り組むリソースの不足
- 生成AIを有効に利用するための知見や機能の不足
課題に対する解決策
- 機密性2情報の取り扱いが可能な環境の構築
- 必要な条件・機能を持つ生成AI利用環境の構築
- 生成AIに関する教育コンテンツの提供・充実
- 専門家による支援体制の整備