本文へ移動

河野デジタル大臣がフィンランド共和国、スウェーデン王国、エストニア共和国へ出張しました

河野デジタル大臣は、7月11 日から16日にかけて、フィンランド共和国、スウェーデン王国、エストニア共和国を訪問し、閣僚との対談、デジタル関連政府組織の視察や意見交換を実施しました。

G7広島サミット及びG7群馬高崎デジタル・技術大臣会合で合意された、信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)の具体化に向けたパートナーシップのための制度的アレンジメント、そして優先的に取り組むプロジェクトの概要や重要なユースケースの連携をG7以外の有志国とも協力すべく、我が国の取組や狙いを説明し、意見交換を行い、各国の共感と賛同を得られました。 今後もデジタル庁では、DFFTに関する国際的な動きを盛り上げ、具体化を牽引していきます。
北欧諸国は、世界に先駆けて社会全体のデジタル化を進めているデジタル先進国として知られています。継続的な試行錯誤を経て実現されたデジタル文化の根付く社会と、それを牽引する人間中心のデジタル行政サービスについて多くの関連機関等との意見交換を行いました。トラストの基盤となるデジタルIDの相互連携など、将来的なサービスや機能間の連携について議論し、協働の具体化に向けたデジタル化の知見共有や専門家間交流などを継続的に行うことを約束しました。

  1. フィンランド共和国
  2. スウェーデン王国
  3. エストニア共和国

1. フィンランド共和国

7月12日にフィンランド共和国を訪問しました。

(1)ヴィッレ・タヴィオ外国貿易・開発大臣との会談

ヴィッレ・タヴィオ外国貿易・開発大臣と会談しました。
DFFT具体化やプロジェクトにおける協力可能性について議論し、今後も継続して協力可能なデジタル分野の検討・知見の共有を行うことを約束しました。また、先端技術の社会実装が進んでいるフィンランドにおける、デジタルID利活用の現状についても意見交換を行いました。

左にヴィッレ・タヴィオ外国貿易・開発大臣、右に河野デジタル大臣が並んで写っている。

ヴィッレ・タヴィオ外国貿易・開発大臣との会談時の様子。

(2)デジタル・人口データサービス庁および財務省との会談

フィンランドの財務省を訪問し、オーロラAIと個人IDについて、エリナ・ラーヴィ財務省副大臣をはじめ、財務省やデジタル・人口データサービス庁(DVV)の専門家らと対話を実施しました。
フィンランドでは1960年代から個人IDを導入し、世界に先駆けて行政サービスのデジタル化を実現してきました。会談では、プライバシー保護を前提とした行政サービスにおける個人データ活用についてのフィンランドでの経験が共有されました。また、日本のデジタル庁での取組を紹介すると共に人間中心のDXアプローチの重要性を確認しました。加えて、DFFTの具体化やプロジェクトにおける協力可能性についても継続して検討していくことを約束しました。

左にエリナ・ラーヴィ財務省副大臣、右に河野大臣が並んで映っている。

エリナ・ラーヴィ財務省副大臣との会談の様子。

(3)デジタル関連企業の視察

世界のデジタルインフラに関わる企業を視察するとともに、新興技術の活用や接続性の活用がもたらす未来のビジョンについて意見交換しました。またセキュリティ対策を推進する企業において、専門家からの脅威や対策のトレンド、特に近年の国際情勢を踏まえた傾向や深刻な影響などについてヒヤリングを実施。デジタル化を推進すればするほど脅威が増すと言われる中で、どのような対策が求められるかについて説明を受けました。

デジタル関連企業の視察の様子。

デジタル関連企業視察での記念撮影。

2. スウェーデン王国

7月13日にスウェーデン王国を訪問しました。

(1)イノベーションシステム庁(VINNOVA)との会談

イノベーションシステム庁は、気候産業省管轄の政府機関であり、産官学を巻き込んだマルチステークホルダーのイノベーション推進プロジェクトとしてR&Dを実施しています。データの越境移転に関する課題やスウェーデンでの生成AI導入状況等について意見交換を行い、DFFTの具体化とそのプロジェクトにおける協力可能性についても議論しました。

スウェーデンのイノベーションシステム庁で集合写真に収まる河野デジタル大臣。

(2)eヘルス庁(eHälsomyndigheten) との会談

スウェーデンeヘルス庁は、個人データを収集し、その分析を通して国民に還元する、信頼関係とデータに基づく意思決定、すなわちデータドリブンな社会を実現しています。また、電子処方箋の利用率が99%を超えているスウェーデンでは、すべての医療機関において患者の医療データが共有されているため、どの医療機関を受診しても適切な処置を受けることが可能になっています。また、医療費においても医療費控除との即時連動が行われています。
会談では、医療機関・患者・薬局それぞれのデータ利活用について、その前提となる個人IDの管理や活用方法を中心とした議論を行いました。

スウェーデンeヘルス庁を訪問した河野デジタル大臣。

(3)デジタル庁(DIGG)との会談

社会のデジタルインフラを担う責務、データ分析、社会還元といったスウェーデンのデジタル化原則、そしてインフラ整備、デジタルメール、データポータル等の具体的な取組状況について話を聞くと共に、デジタルインフラと位置づけられている個人IDの活用状況や、これまでの制度の運用における試行錯誤などについて説明を受けました。
日本からは、DFFTの具体化とそのプロジェクトにおける協力可能性について提案し、具体的な協力分野および内容について継続的に検討・知見共有を行うことを約束しました。

スウェーデンのデジタル庁(DIGG)を訪問した河野デジタル大臣。

(4)国税庁(Skatteverket)との会談

会談では、スウェーデンの個人ID運用の歴史と長年にわたる改善策について説明を受けました。個人IDは1947年に導入され、1991年に国税庁の所管となった後に現在の運用につながるデジタル化が促進されました。それまでのマニュアル作業からデジタルに移行する過程で紐付け誤りが発生し、その誤りをなくすために、長年に渡って番号体系や利用プロセスの改善を推進してきた経緯について説明を受けました。また、スウェーデンでは、個人IDを利用することのメリットを市民に伝える取組を強化しています。個人IDやシステム利用のインセンティブを向上させる等、課題を一つずつ乗り越えることで、電子納税を含むオンラインの行政サービスが市民から信頼され、評価されるようになったと伺いました。困難であっても諦めずにサービスを改善して成果を出し続けること、それによって信頼を得ることが社会全体のデジタル化につながることを改めて確認する機会となりました。その後、両国の今後の取組について意見交換を行い、継続的に双方の経験の共有を行うことを約束しました。

スウェーデンの国税庁(Skatteverket)での集合写真。

(5)デジタル関連企業の視察

世界のデジタルインフラに関わる企業を視察しました。新興技術の活用やコネクティビティの更なる向上が市民生活や社会にもたらす価値について、ビジョンや具体的ユースケースなど、幅広い分野についての議論を行いました。

デジタル関連企業の視察の様子

3. エストニア共和国

7月14日および15日にエストニア共和国を訪問しました。

(1)カヤ・カッラス首相との会談

首相府を訪問し、カヤ・カッラス エストニア共和国首相と会談を行いました。
デジタル先進国エストニアならではの取組や課題について伺い、デジタルデバイド対策やインターネット投票(i-Voting)、サイバーセキュリティ等についてハイレベルな議論を実施しました。
日本からは、DFFTの具体化とそのプロジェクトにおける協力可能性について説明し、データの越境移転や相互認証など複数の分野において協力を強化することで一致しました。

左に河野デジタル大臣、右にエストニアのカヤ・カラッス首相が並んで写っている。

エストニア カヤ・カラッス首相との会談の様子。

(2)リーサロ経済IT大臣との会談

ティート・リーサロ エストニア共和国経済IT大臣との会談を行いました。
信頼に基づくデータ連携に必要な共通ルールおよび規制の在り方等について議論を行い、DFFTの具体化とそのプロジェクトにおける協力可能性についても継続して検討していくことを約束しました。
2022年5月にデジタル庁が経済IT省と締結した協力覚書(MoC)に基づき、職員の派遣も含めた専門家間の交流の強化や、エストニアが世界に先駆けて推進しているi-Votingやデータ移転といった具体的なプロジェクトにおける実務レベルでの連携を推進することを確認しました。

左にリーサロ経済IT大臣、右に河野デジタル大臣が並んで写っており、握手をしている。

リーサロ経済IT大臣との会談の様子

(3)RIA(国家情報システム庁)・ウクライナとの会談

エストニア国家情報システム庁(RIA:The Information System Authority)を訪問し、エストニアの行政サービスやそのセキュリティ確保の取組について説明を受けました。エストニアでは、ウクライナのデジタルIDアプリであるDiiaを基に設計したmRiikの開発を行っています。本会談にはウクライナのデジタル省ヴァレエリア・イオナン次官もオンライン参加し、デジタルプラットフォーム共有の意義や国家間の連携における開発の工夫および課題について、具体的な経験も踏まえた意見交換を実施しました。
両国と締結済みの協力覚書(MoC)に基づき、具体的にプロジェクトを推進するための知見の共有、人材や技術の交流など、連携に向けた具体的な方法について確認しました。

ウクライナのデジタル省ヴァレエリア・イオナン次官がオンラインで会談に参加する様子。

RIA(国家情報システム庁)・ウクライナとの会談の様子。

(4)NATOサイバー防衛協力センターの視察

NATOが承認し推進するサイバーに特化した研究機関「NATOサイバー防衛協力センター」(Cooperative Cyber Defense Centre of Excellence:CCDCOE)を訪問しました。最新のサイバーアタックを想定したサイバー防衛能力を確保するための枠組み、特に提供している演習メニューや組織的対応を実現するための参加国との連携等について議論しました。
日本も演習への参加や職員派遣といった連携を始めていますが、デジタル社会に欠かせないサイバー防衛を担う組織的能力の確保及びそのための人材確保の重要性などを確認しました。

NATOサイバー防衛協力センターの視察の様子。写真左が河野デジタル大臣。

(5)エストニアのe-Parliamentについて

エストニアの国会議事堂を訪れ、国会議員4名より、エストニアにおける国会のデジタル化の状況について説明を受けました。エストニアでは国会へのハイブリット参加が認められています。世界に先駆けて実施しているインターネット投票(i-Voting)では、今年初めてその投票率が50%を超えました。他方、システムや情報連携のアップデートが常時必要であることや、幅広い層の有権者を巻き込む必要があることなど、エストニアが直面している課題についても説明も受けました。会談では、デジタル技術を使う上での透明性確保の重要性について議論を行いました。

エストニアの国会議事堂で同国会議員との集合写真。

(6)e-エストニア・ブリーフィング・センターの視察

e-エストニア・ブリーフィング・センターを訪問し、同施設の視察及び意見交換を行いました。X-Road、mRiik、e-Residency、i-Votingをはじめとした同国の先進的な取組やデジタル化がもたらす効果、具体的な事例や明らかになった課題、そして対応状況も含めた継続的な取組について説明を受けました。
また、社会全体のデジタル化を推進するために必要な要素として、データの互換性確保、利便性の高い共通基盤やUI/UX等の提供、地方自治体や関係業界等のステークホルダーとの連携について幅広く意見交換しました。

e-エストニア・ブリーフィング・センターでの集合写真。

連絡先

デジタル庁戦略・組織グループ国際担当
矢端、本多
電話:070-7416-9903(矢端)、070-7416-9845(本多)

シェアする: