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Web3.0研究会(第12回)

概要

  • 日時:令和4年12月23日(金)10時00分から12時00分まで
  • 場所:オンライン
  • 議事次第:
  1. 開会
  2. 議事
    1. 事務局説明
    2. 意見交換
  3. 閉会

資料

議事要旨

日時

令和4年12月23日(金)10時00分から12時00分まで

場所

オンライン会議

出席者

構成員

  • 國領二郎(慶應義塾大学総合政策学部 教授)

  • 稲見昌彦(東京大学総長特任補佐・先端科学技術研究センター 身体情報学分野 教授)

  • 石井夏生利(中央大学国際情報学部 教授)

  • 河合祐子(Japan Digital Design株式会社 CEO、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ 経営企画部 部長、株式会社三菱UFJ銀行 経営企画部 部長)

  • 殿村桂司(長島・大野・常松法律事務所 弁護士)

  • 冨山和彦(株式会社経営協創基盤 IGPIグループ会長)

  • 藤井太洋(小説家)

  • 松尾真一郎(ジョージタウン大学 研究教授)

  • 柳川範之(東京大学大学院経済学研究科 教授)

デジタル庁(事務局)

  • 河野大臣、大串副大臣、尾﨑大臣政務官、楠統括官、野崎参事官

議事要旨

事務局よりWeb3.0研究会の報告書(案)について説明。
構成員から質疑応答・意見交換において、主に以下の発言。

  • 構成員: アメリカで起きている仮想通貨の大紛争は刑事事件にもなるだろう。チャプターイレブンにもなっている。アメリカでは仮想通貨の監督官庁が決まっておらず、要は仮想通貨が有価証券か否かの話で関係官庁が押しつけ合いをしている最中に今回の事件が起きてしまった。あれだけの事件が起きると、判例法的に様々な賢い仕組みができるのではないか。まさにあれがOODAループである。アメリカらしいが、あれだけの激しい事件は最高の臨床例で、そこから学べることは有効である。

  • 構成員: あのような事件や事象を他山の石として、事例を上手にフィードバックし、当事者被害ゼロで学ぶチャンスである。OODAループあるいは最新の状況、顕在化したリスクを学習材料にするスタイルは、判例法の国では得意だが、日本は判例法の国ではない。今回のような話を今後取り組んでいくDAO的な仕組みで吸収し、インプリケーションあるいはソフト・ロー的なガイドラインを作ることが望ましいのではないか。今後この研究会が発展する法的な1つの研究テーマになると思い、アイデアとして申し上げる。
    できれば入れていただきたいメッセージとして、Web3.0であろうと何であろうと、いわゆる「銀の弾丸」のような万能な解決策はなく、Web3.0にも得意不得意や適材適所があるのではないか。Web3.0やブロックチェーンなどアルゴリズムや数学はグローバルなものである一方、各国の事情により機能することもあれば機能しないこともある。まずはWeb3.0といえども「銀の弾丸」ではないことを冒頭に書いていただきたい。また、であるが故に、日本のペインポイントのどこに有効に作用するのかを、今後マルチステークホルダーで継続して議論を進めていくべきである。それを無しにすると、Web3.0さえあれば問題が解決でき、それをどこにでも適用しようという話になってしまうため、適材適所や、どこが有効であるかということを踏まえながら広く議論を継続していくことを謳っていただきたい。

  • 構成員: 法執行について1点追加していただきたい。文書に出てくる犯罪の内容として、詐欺や盗難、ハッキングなどのセキュリティーインシデントのような形で具体的な言葉が入ると望ましい。NFTなどの様々な暗号資産に関するビジネスで最も多い問題となっているポンジスキーム、無限連鎖講について、先行者利益を獲得することだけを目的とした事例があるということを文章の中に入れていただきたい。

  • 構成員: そもそもWeb3.0自体は向き不向きがあるため「銀の弾丸」ではないということが1つあるのに加えて、すぐに実現できるかもしれないもの、近未来のもの、遠景のものというタイムフレームも議論してきた。タイムフレームの中で手前と先のいつ実現できるのかということについてもグラデーションがある。すぐにやるべきことと先々やらなくてはいけないという、タイムフレームを意識する表現も冒頭に入れていただきたい。

  • 構成員: 消費者保護について、発展途上のスキームであり、技術的にも今後変化していく可能性がある。簡単なものではなく、難しいものであるということを消費者が理解する必要があり、難しいものなので、しっかり理解している人しか取り組んではいけないということがメッセージとして込められるといいのではないか。
    「結論」の利用者被害の未然防止に向けた情報提供・啓発部分に、様々なWeb3.0についての苦情やトラブル事例が相談として今後増えてくる可能性があり、その分析を行った上で啓発をしていくというメッセージを入れている。趣旨を踏まえ、啓発が大事ということを書き足せるかどうか工夫してみたい。

  • 構成員: 大切な論点が目立つようにする工夫が必要かもしれない。特に短期的に危ないこと、ここの部分については自己責任の世界だが、消費者側に理解していただかないと先に進むのは危ないという部分についてシグナルを送るのが望ましい。
    コメントと提案を1点ずつ申し上げたい。1点目として、現在、Web3.0と呼ばれている世界観があるが、世界観と、Web3.0で今の技術の延長線上で見えている技術的に可能になるものの間には距離があることを改めて感じた。例えば、誰もがオープンイノベーションで自由に参入し、自由に組み合わせていくという話は世界観としては素晴らしいが、ブロックチェーン技術で直ちに実現するわけではない。そのため、世界観を実現させるには、経済学的に言えば市場構造を全部変えなければならないし、それを支える法律も変えなければならない。しかし、その世界観を技術プラスアルファでどのように実現させるのかという枠組み自体はまだ世界中のどこにもないのではないか。この研究会で全てやり切れるわけではないが、改めて難しい課題だと感じた。特に修文は不要だが、大きな課題としてもう少し掘り下げていかなくてはいけないところである。2点目は提案としてのコメントである。未来に向けた制度・規制面の課題に関する記載は、少し遠い未来に何か考えなくてはいけない、遠い未来のことを考えて対処すべきものと見える。しかし、新しく動いているWeb3.0の世界をどのような法制度にしていくか、どのようなルールにしていくかはこれから世界中で急速に始まり出す課題である。ここに今から対処をしないと、日本はルール形成に取り残されてしまい、ルールがどのようになっているかも分からない中、日本的なもので走り出すことになりかねない。(4)の部分は喫緊の課題だということがこの報告書で一番伝えなくてはいけないメッセージではないか。内容はこれで結構だが、これは未来の課題ではなくて喫緊の課題ということを一言強調していただきたい。

    • 発言者: 事務局としては、例えば(5)のイノベーション支援策は「直ちに」という部分で一番フレームの短いものを表現し、未来像、目指すべき姿という遠いところの2つを置き、それ以外はその中間という意識で記載していた。しかし、制度・規制面での課題として柱が3本書いており、ある程度将来像も課題も見えているため、それに対する取組みは直ちに始めるべきというメッセージは出したい。
  • 構成員: すぐやらなくてはいけないこと、じっくりやること、走りながら考えることの3つを表形式で見せられるとよいのではないか。

    • 発言者: 3分類がいいのかどうかは難しい。まずは足元やっていくべきことを整理する。まさにOODAループとなるが、劣後の課題が直ちにやらなければならない課題に変わることもあり得るし、アメリカの事件なども含め様々なことが起きながら、時間軸も変動していくと思われる。今時点では直ちにやるべきことを整理することが重要ではないかと思っている。
  • 構成員: 新しいブロックチェーン、分散が世界で広がった時の秩序作りについて、既存の例えば政治家や役人、ビジネスサイドだけではなく、エンジニアもそこに関わるようになるのが新しいところである。それが通信の世界だけではなく、より広がるというところで言うと、インターネットの時にも村井先生やアメリカに留学されていた先生方が早い段階から関わっていたからこそ、日本もインターネットの時代についていけたというところがある。エンジニアや、行政、もしかすると政治家も含め、グローバルで既に走り出しているところに今から参画しておくのか、あるいは継続的に参画していく状態を作っていくのか今から始めるべきではないか。後から参画しても格落ちになってしまうので、1~2行書いていただきたい。

  • 構成員: 技術的な進化・変化に合わせて、次から次へと新手の泥棒、悪人が現れる。そのせめぎ合いの中で結果的にルールが形成されていく。圧倒的かつ野心的な技術者や悪事を企む人、金儲けをしたい人がいる国の方が様々な事件・事故が次々と起きるためルール形成の観点で有利である。両者とも多くいて立法事実を多く持てるので、大体アメリカのルール形成になってしまう。

  • 構成員: 日本は一番その反対にいる国である。日本の中で立法事実を一生懸命探して様々な議論をしていても、ガラパゴスになってしまう可能性が高いため、無法者が多くいる国とシンクロしていかなくてはいけない。社会的な無法者が暴れてしまうことに対する容認力はアメリカが一番高い。故に連携が大事であり、かつ、その様子を横で眺めながら自国に有利なルールを作るのがヨーロッパである。無法者が多くいるアメリカとずる賢い人が多くいるヨーロッパにいつも出し抜かれるパターンである。米欧の中に日本が入り、その中で常に情報をアップデートしながらルール形成に参加する仕組みを作ることが喫緊の課題ではないか。

  • 構成員: この研究会は年内で終わるが、その後もDAOで継続していく話になっている。11ページの記載内容で大丈夫かが問われているのではないか。このDAO自体がグローバルモードの中に前述のような脈絡で関わっている必要があるかもしれない。このDAO自体がガラパゴスにならないように、アクティビティーがグローバルに開かれているかがポイントとなる。

  • 構成員: BGINの共同議長の立場から、DAOのグローバルな展開について支援が可能かもしれない。DAOの参加者としてデジタル庁の行政官、構成員、関係府省庁と記載があるが、日本の中でこのようなことを真剣に考えてほしい人たちは行政官と構成員だけではない。ステークホルダーと全部一括りに書いてしまっているため、様々な人がいるとリッチな表現にするとよいのではないか。

  • 構成員: アメリカは判例法型の国であるため、事件が起きる度、法律家が出てきてルール形成をしていると認識している。アメリカでは、ルールメーカー、ローメーカーとして、議会や裁判に関わっている人たちが既にプレーヤーとして一定数いると思ってよいのか。

  • 構成員: アメリカにある大手、中小問わずブロックチェーン企業は基本的にガバメントリレーションやロビイストとして、政府機関や国際機関に在籍していた人に何千万円も支払い雇用している。ワシントンDCでそのコミュニティーは100人超であり、私が運営している研究センターで毎月PGP for Crypto(Pretty Good Policy for Crypto)というクローズなブレックファストミーティングを開催しソーシャライズや情報交換を半年以上行っている。

  • 構成員: 日本側にカウンターパートがいなくてはいけない認識であっているか。

  • 構成員: ご認識通りである。日本人のビジターもおり、その人たちはコミュニティーに入っているが、そのような関係性を今後太くしていくことは1つの例として重要なのではないかと思われる。

  • 構成員: この研究会が始まる前の流れとして、この活動自体が元々自民党という政治家の中の議論からスタートしている。いわゆる民主主義の国において政治家は国民の意見を代表している人たちでもあるため、このDAOの中に政治家も入り、彼らが国内あるいはグローバルな公開の議論ともコミュニケーションを取れる状態が必要ではないか。つまり、このステークホルダーの中に政治家を入れるべきではないか。

  • 構成員: 開かれた議論をする経験が日本には今までそんなになかったため、それをするということに一定の意義があるのではないか。

  • 構成員: 1つの可能性として(4)と(5)の順番を入れ替えてもいいのではないか。まず(3)のところで未来像として目指すべき姿が書いてあり、最後の段落でエンジニアやクリエイターのサポートを直ちに行っていくことが重要であることが書いてある。例えば、その次に(5)の「イノベーション促進策」を目指すべき未来に進んでいくために直ちに行うべき、ドライブしていくための施策という意味で繋げて書く。一方で車の両輪で制度面での整備も同時に必要という論点で(4)を記載する流れもあるのではないか。もう1点、自民党のWeb3.0PTに参加し議論しているが、Web3.0関係を担当している自民党の議員の方々は開かれたマインドを持ち、様々な有識者やマーケットの方と積極的に意見交換を行っている。従って、開かれた場で様々な人の意見を集約していくことは良い取組みである。日本の法律家がそのような形で非常に柔らかい段階から政治家の方々と一緒に政策立案を検討する機会は今まではほとんど無く、もう少し下地が出来た時点でコメントすることが多かったが、今後はそのようなところにも積極的に取り組んでいくべきである。

  • 構成員: 役人が法律を真面目に書くと毎回硬い法律になる。アメリカの立法は雑な法律を出して、揉めたら裁判所で決着することが多い。日本の場合、議員立法は内閣法制局審査無しに法律を作れるが、今の日本のプラクティスとして、優秀な法律家が政治家をサポートし、議員立法を行う仕組みというのはまだ無いのか。

  • 構成員: まさに今議員立法でDAO法を作ろうという動きもある。まさにそういった取組みが起きつつあるということが言えるのではないか。

  • 構成員: OODAループの観点で、規制自体のPDCAを回す時に、各法で行うと手順は大変であり、時間を要し、ステークホルダーの意見を全部聞かなくてはならず、既得権を持っている人からの反対意見が出て、玉虫色で硬い法律になってしまう。1度作ってしまうと身動きが取れないパターンを過去繰り返していると認識している。

  • 構成員: 若い人が中心になってWeb3.0の立法をする仕組みが1つ日本に出来上がると、先ほどの議論が噛み合う気がする。例えばアメリカは似たような仕組みの元で法律を作っているが、日本では難しいか。

  • 構成員: DAO法は特別法という形にすることも考えられる。積み重なる1つの事例になれば望ましい。

  • 構成員: (5)のイノベーション促進策について、④で研究開発・技術課開発の担い手の育成とあるが、結局③で言っていることと同じで、グローバルなコミュニティーの中でキャッチアップしようという話で止まっているのではないか。逆にそのグローバルのコミュニティーで我々の意見を通すためには、日本としても発信できるような先進的な技術を提示できないと議論に加われない。担い手を育成してWeb3.0に関わる研究開発・技術開発も支援していく点を追記いただきたい。イノベーションという観点だとWeb3.0は技術的な側面でなくて文化的な側面も恐らくあるのではないか。特にメタバースが関わってくるところも付け加えていただきたい。

    • 発言者: (4)と(5)は逆の方がいいのではないかという指摘で、(3)との接合を考えると今の順番が良く、(6)との接合を考えると逆の方が良く悩ましい。全体をもう一度見直した上で、最終的にどうするか検討させていただきたい。
    • 発言者: まさに研究開発・技術開発の目線で考えており、文化的な側面をどう入れていくのかは重要な視点である。文言で工夫できるか検討したい。
  • 構成員: エンジニアの育成について、実際にどの省庁が今後ドライブしていくべきなのか分からなかった。関係府省がすべきところが様々に書いてあるが、裏ではどの省庁が担当なのか、デジタル庁の事務局内ではイメージが作られているのか。

  • 構成員: 自民党でNFTホワイトペーパーの提言を作っており、各提言を全部省庁に紐付けて担当の明確化を行っている。そういった裏での紐付けはされているのか。

    • 発言者: 担当として関係省庁が明確に決まっている部分と、これから新たな課題などについては当報告書を受けて関係省庁と相談し、どの省庁がここを担っていくのかを検討する部分の2種類ある。エンジニアの育成についても、幅広い省庁が関わるため、どの省庁が主体的にやっていくかは今後決めていきたい。
  • 構成員: 様々な省庁が絡まる前提だと集団的無責任体制になってしまい誰も何もしない。平均的なエンジニアを多く作るという話ではなく、トップティアエンジニアの質と量の勝負である。過去唯一成功したのは経済産業省が行った未踏事業である。明確にトップオブザトップ、オリンピックを狙うことに絞り込み取り組んだため機能した。文科省では全ての学ぶ学生が対象になってしまい、日本の教育体系の建前は偏差値75も45も同じであり、大学の設置要領も同じなため、恐らくできない。

  • 構成員: 戦略的な意志を持ってやらないと、経験的に言ってこの話は絶対うまくいかないだろう。要するに、全部に関わるから皆でということは霞が関に言ってしまうと何もやらないこととほぼ同義であるため、少なくともデジタル庁の枠組みがそうではないとすれば、戦略的に明確な意志を持ち、誰に球を持たせるか考えないとワークしない。霞が関内的戦略性を持たせる必要がある。

  • 構成員: 必要なのは、平均的な何万人という世界ではなく、トップの人たちである。Web3.0の世界を支える人材は4種類ほどある。1番目は暗号技術やゲーム理論、あるいは分散コンピューティングの研究者でもある技術のデザイナー。2番目はセキュアーインプリメンテーションを含め、安定的に安全に実装するエンジニアである。3番目はそれをオペレーションする人で、毎日良からぬ国からのアタックがある世界において、国レベルのアタックに耐え得る、通信事業者にいるようなオペレーター。4番目がロビイストも含めた、問題発生時も含めたガバメントリレーションができる人。この4種類のトップ人材が必要である。この4種類に対してどのように育成していくのか戦略を立てることが全体で必要である。

  • 構成員: その上で、エンジニアで言うと、未踏事業の中でWeb3.0や暗号なども含めて安全に実装する人たちをどのように育成していくのか。未踏事業の関係者には優秀な人たちを海外に送り出してほしいと話もしており、そういったことも含めてやるべきである。理論を作る研究者に関して言うと、文科省が新しくトップ人材を長期的に海外に派遣するプログラムを始めようとしている。そういったことも活用しながら海外の有名な先生と連携できる体制を組む必要がある。4種類の人材と、それぞれに応じて既存の枠組み、あるいは新しい枠組みの中で何を当てていくかを継続してやる必要があるのではないか。

  • 構成員: 必要とされているエンジニアは、世界で対応するために必要な技術を持っているトップティアの方々だが、最終的にWeb3.0のムーブメントの第1波が終わった時に残していなければいけないこととして、簡単にDAOを作れる普通のエンジニアが何千人も必要なのではないか。例えば、この間知人がFTX救済用のDAOを立ち上げていた。彼の傘下のエンジニアはトップティアではないが、さっとDAOを立ち上げて2億ドルの資金をかき集め、救済に動くことができている。そのような普通のエンジニアが多くいる状態を目指すべきである。残すものとして、Cryptoを書ける人が多く残ってほしい。

  • 構成員: 私は暗号や暗号プロトコルの実装や、OpenSSLなども含めて実装安全性というのを研究している人間である。我々が普段オンラインバンキングなどで使うTLSと言われる認証と暗号化の機能を持った、誰でも使っているようなプロトコルですら、時々実装のバグが起こる。トップティアの人がデザインして、それがIETFなどの仕様にのっかっているものと、実際にインプリメントをする人の間で若干知識の差ができてしまい、バグが入り込んでしまうところがある。例えば、TLSのようなものを安全に実装できる人がそこら辺にいる状態を作る必要がある一方で、TLSというブロックチェーンよりもシンプルなプロトコルですらそのような状況があることも踏まえ、この問題解決をすべきである。トップティアの研究開発をできる、あるいは新しいプロトコルを作れる人間がいるのと同時に、トップの人と普通のエンジニアの技術量や知識量を埋めるようなプログラムも日本だけではなくグローバルに作る必要がある。そういうことも含めて、Web3.0時代というのは誰もが暗号プログラムを書くという恐ろしくも楽しい時代であり、そのためにはどのようなエンジニアがいればいいのかという視点が必要なのではないか。

  • 構成員: 霞が関戦略論について、過去の日本の人材育成政策は、今語られた2つのレイヤーが全部混合になってしまう。レイヤーを別に考えることを教育の世界では格差の固定化と言われてしまう。間違いなくどちらも大事だが、放っておくと政策体系があれもこれもで、訳の分からない体系になってしまう。

  • 構成員: 未踏事業が立派だったのは、明確にレイヤーが違うことを表に出し、政策を遂行したところである。日本の文部科学省ではまだタブーである。どちらも大事ということは全く異論なく賛成だが、どちらかというと日本の政策はメンタリティーが社会主義であり、未踏型の方が苦手である。だから、先生が言われたことはしっかりやることが大前提の上に立つ一方で、ワールドカップで勝たないとサッカーは盛り上がらない。ワールドカップで勝つということを目的とした人材育成のパッケージと、Jリーグ100年構想ではないが、サッカー愛好者、競技者を増やしていくという2レイヤーでやっていくことが鍵ではないか。

  • 構成員: どのような人をどのように育てたいかを明確にした上で、個々の役所に明確に投げないと誰も何もしないことになる。永田町で割と明確だった話が霞が関のロジックで曖昧になってしまうケースが多い。デジタル庁は従来と違う切り口の、ある種トップダウン型の政治主導で政策を実現していくというコンセプトの役所である。ここにいる霞が関の方はその辺の事情や霞が関の在り方をよく知っている人たちであり、その事情を踏まえ、戦略的にテーマを振るのが望ましい。

  • 構成員: 人材育成の面において、明確に役所的引き受け手が見えていない状態を、この報告書を出すまでに協議した上で何か明記することは可能か。

    • 発言者: 人材育成については経済産業省とデジタル庁の所管になっているため、経済産業省と相談の上で検討させていただきたい。
  • 構成員: 本日の会議で明確な人材の要件定義をされた4類型とベースの人材の5類型については記載すべきではないか。それぞれについて違うプロファイルを明確にすることで、明確なものを誰が受けるのかという話になる。漠然と人材育成と言ってしまうと漠然とした議論になってしまうため、解像度を上げることが望ましい。人材育成の話は毎回最後ぼやけてしまう。漠然とプログラマーを増やせという漠然とした話になってしまうため、明確な人材類型定義を生かすべきである。

    • 発言者: 人材育成についてはBGINなどにエンジニアを送り込んで鍛えていくストーリーで、そこは未踏事業などの先端的なことを担えるパイオニアを育てるという趣旨で記載している。一方で手を動かせる裾野を広げていくレイヤーも重要だと思われる。両方の視点が分かるような形で修文を検討させていただく。
  • 構成員: 集中して取り組まないと人は育たず、解像度を上げなければ人づくりというのは実装できないので、人作りのところは解像度を上げた方がよい。

  • 構成員: 未踏事業の宣伝ではないが、普通に学部生で準同型暗号を使った秘密計算や、Web3.0系のプロジェクトを行う高校生など、若手技術者が出始めており、世界でも活躍し始めている。未踏事業に限定するわけではないが、そのような制度としてワールドカップに出られるようなトップティアな技術者を育てていくことは国としても取組んでいくべきではないか。

  • 構成員: 教育者としては裾野を広げていくところも、もちろんやっていくつもりだが、トップティア人材の発掘・育成については強調していただきたい。

  • 構成員: タイムフレームは気になっており、具体化されると望ましい。目次ではWeb3.0の健全な発展に向けた基本的指針という書き方になっているが、内容を拝見すると、指針というには漠然としている内容である。指針という表現が好ましいのかどうか検討いただき、調整いただきたい。メタバースの可能性に関する議論について、「アバターとして複数の人格を持って活動する世界がメタバースでは広がっていく。細分化された行動履歴を収集することが可能となり、企業のマーケティングツールとしての活用可能性も期待できる」という書き方になっている。この辺りはプライバシーや個人情報保護の分野で活動されている方のアンテナが張る領域なのではないか。別の省の会議でCookieを使った外部送信技術の会議に参加していたが、マーケティングツールとして活用していくことを打ち出した時に、同じ政府の報告書の中でもそのトーンが違うという感じもあり、プライバシーに配慮した表現があるのが望ましいのではないか。メタバースの接合について、多産多死が生じている中で、大手プラットフォーマーがメタバースを掌握していくことへの懸念がある。また、Web3.0の目指すところの分散型の考え方やポリシーなど、方向性との接合が考え方として適しているのか、同じ方向を向いているのか分からない。今後、議論に参加しながら勉強していきたい。ハード・ローかソフト・ローかの議論が過去の研究会で出てきた。報告書を拝見すると、国境を越えた法執行はハード・ローが生きそうだが、どのような領域でハード・ローやソフト・ローが生きるという方針は、敢えて今のところは示していない理解でよいか確認したい。

    • 発言者: 各章の後の基本的指針の中身とタイトルがマッチしていない指摘については、表現を再検討する。
    • 発言者: プラットフォーマーの関係でメタバースとWeb3.0の接合の関係が不明確ということについては、Web2.0とWeb3.0のせめぎ合いの中での進化を遂げている最中であると思われる。今後の動きを見ながら考えていきたい。
    • 発言者: ソフト・ローとハード・ローの議論については、それぞれの特徴を生かして弾力的に対応していくというメッセージを記載しているが、それ以上のものはない理解である。
    • 発言者: 行動履歴収集は、個人情報への配慮が重要と認識している。ご指摘いただいた表現は取らせていただく。
  • 構成員: トップティアの技術者を国内の企業主体や産業と結びつけるところまではできつつある。しかし、トップティアの技術者が世界のコミュニティーに入るところの施策が抜けており、追記していただきたい。海外のコミュニティーに入るような支援策はあった方が望ましい。

    • 発言者: まさに今の報告書のドラフトがそれを目指すべく書いているものであり、ご指摘の視点は重要と認識している。
  • 構成員: 具体的にお金あるいはポストの問題なのか。トップティアの人が海外に行く上でどのような支援をすることが必要なのか。

  • 構成員: お金と先方の受入体制の充実も含めた制度である。

  • 構成員: ビジネススクールに関しては、企業が寄附していたためシートが用意されていた。今はそのシートが分野を問わずあまりないと理解していいか。

  • 構成員: 特に技術面だと十分ではないという認識である。

  • 構成員: 国で支援することができると理解した。

  • 構成員: 未踏事業は長年続け、大成功例が多くあり、未踏事業のOBでGAFAに就職している人も多くいる。その人たちはグローバルで活躍しているが、日本との関係性も強いままグローバルに活躍してもらう未踏のプログラムを作るなど、未踏事業の次のステップがあると望ましいと議論をしたことがある。未踏のプログラムの中で追加されていくことはWeb3.0時代という意味で良いタイミングではないか。

  • 構成員: 文部科学省も同じような問題意識で、新たに1年や2年ではなく長期的に海外にネットワークを張れる人材育成のプログラムをJSTが作り始めている。そのようなものを枠組みの中で打ち出していけると、国の政策としては強いものになるのではないか。

  • 構成員: サッカーネタになるが、ヨーロッパのクラブチームで活躍している人がワールドカップでも活躍する。世界の一番集積があるところに選手を置くことは大事であり、今回のスタートアップに関しても同様のニュアンスが一部あったが、誰が担当するかを明確にし、デジタル庁がアサインしていただきたい。

  • 構成員: 今日いただいた意見は、報告書に反映できる点については事務局に検討、調整、対応いただきたい。その上で、差し支えなければ、本日の意見を踏まえた追加の修正については一任いただく形で取りまとめさせていただきたい。この件については本日欠席の伊藤構成員にも事前に了承いただいているが異議はあるか。
    (「異議なし」と声あり)

    • 発言者: 委員の皆様、座長、今日に至るまで本当に精力的に議論いただき、感謝申し上げる。この報告書を指針として、今後もWeb3.0の健全な発展に向けて関係省庁と連携をしながら、デジタル庁としてやるべきところは取組みをやってまいりたい。また、DAOをはじめとする皆さんの取組みについても感謝である。様々な形で引き続き知見を賜れれば大変ありがたく思っており、一度ここで取りまとめということではあるが、今後とも様々な局面においてご協力いただきたい。
    • 発言者: 研究会DAOの件は、継続していくことに皆様からお答えいただいたと思っている。実際にDiscordで皆様を招待させていただいているが、よりアクティビティーを回していくためには、皆様忙しいところもあり今のメンバーだけではモメンタムが上がっていかない。進め方として、構成員の皆様から手を動かせそうな方々を招待いただき一段広げる形で進めていくことについて了承いただけるとありがたい。DAOにアクセスし、ウォレットを登録いただき、今の提案に関しての意見や最終的に投票で決めるところまでをやらせていただきたい。その方向性について、もし意見があればいただきたい。
  • 構成員: この件についても走りながら形を作っていくしかないという感じがあるため、皆様と相談しながら進めていきたいが、現時点で何か意見等がある方はいるか。

  • 構成員: 恐らく様々なことが起こるため、様々起こったことについて対応したり、前向きな取組みをしたりするものの1つの核になっていくべく、ご協力願いたい。

議事要旨は、構成員の皆様に内容を確認いただいた後に公表させて頂くことを事務局より説明。

以上