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第3回デジタル社会構想会議

概要

  • 日時:令和3年12月8日(水)9時30分から11時まで

  • 場所:オンライン開催

  • 議事次第:

  1. 開会
  2. 議事
    (1)新重点計画策定に向けた国民からの意見募集について(結果)
    (2)地方自治体における好事例の紹介と提案について
    (3)新重点計画(案)について
  3. 閉会

資料

議事録

事務局: それでは、定刻となりましたので、ただいまから「デジタル社会構想会議」を開催いたします。

冒頭に事務局からお知らせをいたします。

本日の会議は、オンラインにて開催させていただきます。

また、本日の会議は、この会議の運営要領に基づき、村井座長にご確認をいただき、一部の議事を除きまして、前回同様、報道関係者に公開する形で開催をいたします。傍聴希望をいただきました報道関係者にオンラインで傍聴いただいておりますので、その旨をご報告申し上げます。

なお、議事をオンライン上も非公開とするタイミングが途中でありますが、その時点につきまして、改めてアナウンスをさせていただきます。

それでは、村井座長、よろしくお願いいたします。

村井座長: お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございました。

私も今日はオンラインで出席しております。11名全員がオンラインで出席と伺っておりまして、川邊構成員が遅れて出席、池田構成員、三木谷構成員が途中退席と伺っておりますので、よろしくお願いいたします。

デジタル庁からは、牧島大臣、小林副大臣、山田政務官に出席いただいております。

それでは、まず最初に牧島デジタル大臣からのご挨拶をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

牧島デジタル大臣: 皆様おはようございます。

大変お忙しい有識者の皆様に、本日もお忙しい中、第3回「デジタル社会構想会議」にご参加いただいておりまして、本当にありがとうございます。

本会議では、あるべきデジタル社会の姿やその実現に向けて、皆様から大所高所よりご議論をいただいております。特にデジタル庁創設後初めて策定することになる新重点計画については、前回、11月4日、6つの重要テーマに分かれてご議論いただきました。改めてでございますが、成長戦略、国際戦略、デジタル人材の確保・育成、医療・教育・防災等の準公共分野、地域の活性化、誰一人取り残さないデジタル社会・国民参加となっています。「誰一人取り残さない」のところは、「誰一人取り残されない」ということも含めて、今、私たちは議論をしているところかと思います。

その後、「デジタル庁アイデアボックス」を活用して、各テーマに関する皆様からのご意見を広く国民一般からもいただきました。

これまでのご議論や国民の皆様からのご意見を伺うと、改めて、我が国にはデジタル化をめぐる様々な課題があるという認識を持っています。これらの課題の解決のためには、単なるシステム化とか情報システムの再整備ということだけではなくて、規制改革などと合わせた構造改革、横断的な目線が不可欠である。こうした観点から、構想会議でご議論いただいている内容をさらに進めて実行に移していく必要があることから、岸田内閣はデジタル臨時行政調査会とデジタル田園都市国家構想実現会議を設置したところです。

デジタル改革、規制改革、行政改革について、デジタル原則の策定、デジタル原則に照らした総点検、一括見直し、デジタル実装を通じた地域活性化にデジタル臨調などを通じて取り組んでいくことになっています。既にこのデジタル庁の中にも準備室が立ち上がっています。

こうしたデジタルの取組を強力に進めていくことの必要性については、先般の岸田総理の所信表明演説の中でも、成長戦略の一つとしてしっかりと取り上げていただいていますし、構想会議の皆様のご意見を受け止めながら、デジタル庁として社会全体のデジタル化を進めていきたいと思っています。

今日も、我が国の目指すデジタル社会の姿を明らかにして、デジタル臨調とデジタル田園都市国家構想実現会議などにおける検討や取組の道しるべとなる新重点計画の案をお示しして、構成員の皆様からご議論いただきたいと思っています。今、このデジ臨とデジ田と略称されている2つの組織体ができていますが、この2つを引っ張っていく存在として道しるべをつくるのはこの構想会議であり、その有識者の先生方なのだということを、改めて私から感謝とともに申し上げておきたいと思っています。

それぞれの会議体、新重点計画の案がつくられていく中で、デジタルにより目指す社会の姿が明らかになっているか、司令塔としてのデジタル庁の役割が明確になっているか、政府の取組は時間軸が設定されたものになっているか、国民目線で分かりやすいものになっているかなどの点に着目してご議論をいただければありがたいと思います。

そして、本日ご議論いただいた内容を基に、年内に総理をヘッドに全閣僚により構成されるデジタル社会推進会議において検討を深めて、新重点計画の策定につなげてまいります。この際も、構想会議の先生方からのご議論はしっかりと私のほうで代表して総理にもお伝えしていきたいと思っております。

新重点計画、デジタル庁が立ち上がって初めての計画になります。デジタル社会の実現に向けて、構造改革や施策に取り組む羅針盤でございますので、これを世界に発信、提言するのだという気概を持って私たちも取り組んでまいりましたが、ぜひ、今日も忌憚のないご意見を賜ればと存じます。

どうぞよろしくお願いいたします。

村井座長: 牧島大臣、ありがとうございました。

それでは、早速議事に入りたいと思います。

議事(1)、前回の会議で進めていただくことを決めました国民からの意見募集について、事務局からその結果の説明をお願いいたします。

事務局: 資料1に基づきまして、ご説明させていただきます。

1ページをお願いします。「デジタル庁アイデアボックス」を通じまして、6つのテーマにつきましてご意見をいただきました。11月5日から11月18日までで約600件のご意見が寄せられております。簡単にご紹介させいただきます。

次のページをお願いします。経済成長の関係でございます。一番「いいね」が多かった意見だけ簡単にご紹介させていただきます。デジタル化のための仕組みづくりということで、国のお金の管理からデジタル化をするということに一番「いいね」が入っております。

次のページをお願いいたします。海外でのデジタルの経験ということで、シンガポールや韓国等におきましてオンライン手続ができるという行政手続化に関するご意見に「いいね」がたくさん入っております。

次をお願いいたします。デジタル人材の話でございます。デジタル人材につきまして、いろいろな技術が必要なのですけれども、国があるべき姿を考え、語れる人、そういう方でさらにいろいろなデジタルに関する知識・技術がある人がデジタル人材のあるべき姿ではないかというご意見に対して、「いいね」がたくさんついております。

次をお願いいたします。「くらしのデジタル化」でございます。これは選挙を例にしておりますけれども、行政手続等の各種手続への期待に「いいね」がついております。

続きまして、地域でございます。地域のシステムの統一・標準化に関連いたしまして、デジタル化はむしろ地域を外に開くほうに進むということに対して「いいね」がたくさんついております。

次をお願いいたします。誰一人取り残さない、あるいは取り残されないということでございますけれども、サポートが必要な方には寄り添い、デジタルを活用して多様な選択を示すという、不安を持つ人へのサポートに関するご意見にたくさん「いいね」がついております。

以上でございますけれども、こういった意見につきましては、本日お示しいたします新重点計画案にもいろいろと活用させていただいておりますし、今後も施策の検討の際に活用させていただきたいと考えております。

以上でございます。

村井座長: ありがとうございました。

それでは、議事を進めさせていただきたいと思います。いろいろなご議論は後でいただけるようになっていると思います。

議事(2)ですけれども、今の意見募集についてもいろいろな意見をいただいていますが、地方自治体におけるデジタルの活用に関する好事例ということで、自治体の職員の方から取組のご紹介をいただければと思います。

今回は、自治体職員有志チームを代表いたしまして、船橋市役所の千葉大右様に参加をいただいているということでございますので、ご説明をお願いいたします。

千葉課長補佐: 自治体職員有志チームの千葉と申します。よろしくお願いいたします。

私からは、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」のために、自治体におけるアプローチ手法をご提案いたします。

次のページをご覧ください。初めに、私たちの課題意識です。現在、行政手続のオンライン化が急務となっていますが、オンラインだけではなく、従来の窓口を進化させることや、身近な接点の拡充を併せて進めることが、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」の実現に不可欠だと思います。

オンラインを使える方には積極的に使っていただき、サポートが必要な方には寄り添い、機会を提供する。デジタルを活用して多様な選択肢を示すことが、「誰一人取り残さない」ということではないでしょうか。そうすることで、利便性の向上にとどまらず、業務の効率化で職員の負荷を低減し、より付加価値の高い業務への注力にもつながります。国と自治体の知恵を集めて、効果的な手法を共につくることが求められていると考えます。

次のページをご覧ください。アプローチの手法1は、対面窓口のデジタル化です。役所の対面窓口業務を、業務ノウハウを搭載したシステムで支援する仕組みです。職員が住民データを使って必要な手続の申請書を作成します。申請データは各業務の後方処理へと回り、ワンスオンリーの実現や、業務の効率化に寄与します。こちらは自治体において既に実装されており、北海道北見市では通称「書かない窓口」として運用されています。

次のページをご覧ください。手法2は、身近な拠点でのサービス拡充です。出先窓口と担当部署を遠隔でつなぐ仕組みにより、従来対応ができなかった業務を含め、身近な窓口でより多くの手続や相談が可能となるものです。電子申請に不慣れな方でも、職員の顔を見ながら手続や相談ができる上、自治体は専門の職員を各拠点に配置する必要がありません。また、出先窓口だけではなく、公民館や郵便局での活用も考えられます。こちらは神戸市の各区役所において既に実装されており、税部門で活用されています。

次のページをご覧ください。手法3は、ケースワーカーや保健師の訪問時におけるその場で窓口です。タブレット等を活用し、電子申請やリモート窓口を組み合わせることで、訪問の際に手続ができるようにするものです。行政からのアウトリーチにより、移動が困難な方に対して手続の機会を提供します。

手法4は、自宅における非対面手続での本人確認手段です。オンライン手続以外での本人確認手段を確立することで、非対面でも個人情報を含む手続や相談を可能とします。対面義務により窓口への来庁を強いている手続や面談を緩和し、オンラインでの完結につながる可能性があります。

次のページをご覧ください。今後の進め方についてです。

1つ目は、国と自治体が共同で発展させる仕組みです。チャレンジする気持ちのある自治体が、素早くスモールスタートできる環境や、迅速かつ安価に使える仕組みの導入、そのための共用を前提としたサービス形態といったことが必要となります。例えばデジタル庁の共創プラットフォームで関心を持つ自治体を募り、国と自治体の職員でチームを構成し、ナレッジを積み上げ、共有することなどが考えられます。これにより、「国と自治体が、共に考え、共に創る」という、デジタル時代にふさわしい新しい形が実現できると考えます。

そのほかにも、ガバメントクラウドや標準仕様書との連携も考えられると思います。

次のページをご覧ください。最後に、シビックテックとオープンソースについてです。

デジタル時代にふさわしい、新しい形を実現していく上で認識しておきたいことの一つに、昨年大きな成果を上げたシビックテックがあります。東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイトは、300名にも及ぶ市民が参加して開発が行われ、オープンソースとして公開されました。その結果、他の自治体やシビックテック団体の手によって全国に展開されました。

例えば給付金の分かりやすい情報発信や、プッシュ型行政に資するアプリの開発などで同様のことが考えられますし、それに必要なデータセットをあらかじめ国で定義しておくこともあり得るのではないでしょうか。

私からの説明は以上となります。ありがとうございました。

村井座長: ありがとうございました。

今、ご説明いただきました千葉様と自治体職員有志チームの方はこの後で退席になりますので、もしご質問等がありましたら、今、挙手やチャットで表現していただければご質問を受けたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。

では、池田さん、お願いいたします。

池田構成員: おはようございます。池田でございます。

まずは、今、具体的な事例も含めてご提言をいただきまして、千葉様はじめ皆様方には大変ありがたく思っておりますし、感謝申し上げたいと思っております。

その上で、今、ご提言があった中で、私も自治体の一人ということでコメントさせていただくと、まず、先ほどのコメント資料でもありましたけれども、チャレンジする気持ちのある自治体が素早くスモールスタートできる仕掛けと環境が必要だと書かれておりましたけれども、これは私も大変賛成をするところでございます。ぜひとも、こういった形で進めていければいいかなと、私も感じているところであります。

あと、全国共通の仕組みにつきましては、今、自治体システムの標準化が議論されておりますが、その中で議論していくべきであると思っております。

また、地域課題の解決には、先ほどあったスモールスタート、そしてソリューションを同じ課題を持っている地域でシェアできる仕組み、今回の構想会議の中でもそういった議論がございましたが、ぜひそういう仕組みが必要だなと思っているところであります。

本市におきましては、ここ5年間で15を超えるデジタル関連の実証事業をしておりますが、これが今、いくつか横展開されておりまして、こういった取り組みを進んでやっている自治体の取組を横展開していくことは重要かなと思っているところであります。

あと、今回発表いただきました千葉様はじめ、地方自治体の志のある職員が実際のそれぞれの自治体で、現場の視点に立って、そしてこういった提言を行っていただく、そして進めていただくということは大変ありがたいと思っておりますし、私としても、都城においてそういった取組を進めていきたいと思っているところでございます。

今日は大臣もご出席されておられますが、ぜひとも地域、地元の自治体の声をしっかりと聞いていただいて、国と自治体、地方がしっかりと連携をして、デジタル化を進めていければと思っております。

よろしくお願い申し上げます。

村井座長: ありがとうございます。

次に、平井さん、お願いします。

平井構成員: ありがとうございます。

村井座長、また、本日こうして牧島大臣、小林副大臣、山田政務官はじめ皆様に大変お世話になりまして前進すること、本当に感謝を申し上げたいと思います。

船橋の千葉さんのすばらしいプレゼンテーション、ありがとうございました。船橋市なので、千葉という名前が非常に分かりやすいなと思って、まずはびっくりしたところなのですけれども、本当に問題状況をよく指摘していただいたと思います。大賛成なのですが、その上で若干、全国的な見地で少しだけ付け加えさせていただきたいと思います。

今、千葉さんのほうでお話がありましたように、いろいろなアプリケーションあるいはサービスがデジタル化で可能になるというのは、デジタル田園都市国家の一つの大きなモデルだろうと思います。こういうものをいろいろと横展開したり、あるいは自ら創造していくということも含めて、今、新しい交付金を牧島大臣のご尽力で実現しようとされていまして、ぜひ小林副大臣など、制度設計されていると思いますけれども、知事会のほうでも、できるだけ使いやすい、自由度の高いものにしていただいて、こういう自由な発想で様々なアプリやサービスが生まれるような後押しをぜひできるようにしていただきたいと思います。

横展開だとか、何か画一的なものを新たにつくり出しては、世の中の発展、デジタル社会としてはタイミングが遅くなるような気がいたします。こういう様々な若い職員あるいは中堅の職員、いろいろな方々の発想が生きるような運用をしていただければ大変にありがたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

村井座長: ありがとうございました。

それでは、時間が限られていますので、千葉さん、それから自治体職員有志チームの皆様、大変ありがとうございました。これにてご退席となります。どうもありがとうございました。

(自治体職員有志チーム退室)

村井座長: それでは、先へ進めたいと思います。

これからオンラインを含めた議事非公開という体制になりますけれども、この件について事務局からご説明をお願いします。

事務局: 事務局でございます。

これより議事非公開となりますので、報道関係者による傍聴用のオンライン会議につきましては、ここで閉じさせていただきます。報道関係者の皆様、大変ありがとうございました。

(報道関係者退室)

事務局: 非公開とする作業が完了いたしました。

村井座長、引き続きよろしくお願いいたします。

村井座長: それでは、議事(3)について、事務局からの説明をする前に、先に池田構成員と三木谷構成員からコメントをいただきたいということでございます。

池田構成員、お願いします。

池田構成員: 私もこの後議会で出なければいけないのであれですが、今回の重点計画につきましては、大臣をはじめデジタル庁の皆様方に大変なご尽力をいただきまして、誠にありがとうございます。

私も会議の中で、地方の立場ということで意見を申し上げましたけれども、それについては地域の活性化という座長もさせていただきましたが、そこで意見申し上げたことについても取り込んでいただけていると思っているところであります。

先ほど大臣のお話でもございましたが、これをしっかりと進めていただき、また、デジタル臨調やデジタル田園都市の会議の中でしっかりと議論を進めていただいて、我が国におけるデジタル化がさらに進んでいくこと、そして地方で申し上げれば、地域の住民、市民がデジタル化の恩恵を受けられる体制を国としても引っ張っていただきたいですし、我々としても基礎自治体としてしっかりと取り組んでいきたいと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

ありがとうございます。

村井座長: どうもありがとうございます。

それでは、やはり途中退席ということで、三木谷構成員、お願いいたします。

三木谷構成員: ありがとうございます。

この取りまとめ、どうもご苦労さまでした。

私のほうからは4点申し上げたいと思うのですけれども、デジタル社会ということですから、これは通信プラットフォームとクラウドプラットフォームが基盤となると思うのです。その中において、今回、政府がグーグルさんとアマゾンさん、つまり海外法人のクラウドを国のクラウドとして使うことについて、正直、大変遺憾だと思っております。米国とはいえ、基本的には米国企業に対するNSAの権限があって、我々の情報は向こうに漏れていくということと、ご存じのようにグーグルに関しては、EUで数千億円以上の制裁金が科されているということで、本当に信頼して、フェアに情報を扱ってもらえるとは思わないと思っています。国の基盤をつくるのであれば、日本版のクラウドでないと駄目だと思っていますので、すぐには無理なのかもしれませんけれども、中長期的には考えていただきたいと思っています。

2つ目は、デジタル社会ということを本当に考えるのであれば、小さな地方行政のデジタル化は、それはそれでやっていただいたらいいと思うのですけれども、根本的にはかなり遅れていて、もうやばい状況で、見通しは極めて暗いと思っています。刺激的な大きな柱の戦略を立てるべきだと思っていて、これは岸田総理にも提案していますけれども、2030年をめどに日本はキャッシュを捨てるという政策を立てる、キャッシュレスではなしにゼロキャッシュだと。基本的にキャッシュのハンドリングコストだけで年間1.6兆円超かかっているということがあるし、様々な暗号資産も出てきているということを考えると、日本では紙幣と硬貨は使わないということをOECDの中で一番最初に宣言するべきだと考えているので、ぜひ真剣に考えていただきたいと思っています。

もう一つ、デジタル化デジタル化と言っているのですけれども、そもそもエンジニアの数が全くもって足りな過ぎるということです。日本のコンピューターサイエンスとか情報工学専攻の卒業生は年間6万人程度です。それに比べてインドは年間170万人以上出しているということです。

楽天モバイルのほうでも、インドに行くと1か月で1,000人、2,000人単位でエンジニアが雇えるのです。某メガバンクのシステムが問題になりましたが、基本的にはエンジニアが足りな過ぎるということがあって、多少日本の教育をいじっても、もうおぼつかないという状況になるので、外国人材、特にインド人材をどうやって使っていくかということを真剣に考えなければいけない。そのためには外国人材を日本に連れてこなければいけないのですけれども、その次には、結局日本が来たい魅力的な国ではないという問題があると思うのです。税金が高い、最高税率55%の国に誰が来るのかと思っていますので、個人の税も含めて、大幅に税を引き下げていただきたいということ。

それから、先ほど申し上げましたキャッシュレスということで言うのであれば、暗号資産に関する税制が全くもって遅れている。世界の中で、日本ともう1か国ぐらいがいわゆる総合課税になっています。金融立国とか金融のデジタル化ということになってくると暗号資産が重要になってくるわけですけれども、そこに関して、金融庁も含めて全くもって後れ過ぎています。本当にデジタル化するというならば、まずは金融を完全にデジタル化していくべきだと思うのです。そこに対する打ち手が全く見えてこなくて、保守的だと思います。ペイメントなどお金の流れに関する全てのものをデジタル化すれば、おのずとほかのところはついてくると思っているので、その辺を真剣に考えていただきたいと思っています。

以上です。

村井座長: どうもありがとうございました。

それでは、順番が前後しているのですけれども、重点計画(案)ということで、事務局からの説明をお願いします。

事務局: 資料に基づきまして、ご説明させていただきます。

全体の目次になりますけれども、構造をご説明いたします。

第2のところで「デジタルにより目指す社会の姿」ということで、委員の皆様にご議論いただいた6つのテーマを基本方針ということで掲げさせていただいております。

第4のところ、これまでもございました理念・原則につきましてまとめさせていただきました。

第5、いろいろ実現するための基本戦略になる部分、臨調や国際戦略といった部分でございます。

第6以下で、個別の具体的な戦術に当たる部分を書かせていただいております。

まず、重点計画の位置づけでございますけれども、デジタル社会形成基本法が今年の通常国会で成立いたしまして、重点計画をつくることとなっております。デジタル庁発足後初めて策定する重点計画でございまして、目指すべきデジタル社会の実現に向けた姿を提示したいと思っています。

重点計画の性格でございますけれども、司令塔であるデジタル庁だけではなくて、各府省、政府全体の取組と工程表などを示すものでございます。

また、デジタル社会の姿や原則に加えまして、デジタル臨調やデジタル田園都市国家構想実現会議につながるような、道しるべになるものでございます。

続きまして、先ほど申し上げました6つの取組を次のページで具体的にご説明します。委員の皆様にもご議論いただきまして、6つにつきまして、それぞれ課題認識、目指す姿、四角の中に具体的な姿を掲げさせていただいております。

成長戦略につきましては、課題認識で、データは価値・競争力の源泉でございますので、デジタルファースト、デジタル活用を徹底するということ。

枠組みの中にございますように、オープンデータやアーキテクチャをしっかり設計する。デジタルファースト原則の観点から、法制面を徹底して、法令が原則に適合しているものかどうか確認するプロセス等についてもしっかり検討するということをご提示いただいております。

医療・教育・防災・こども等の準公共分野でございます。これまで断片的・画一的なサービスで、個別に適切なサービスが提供されにくいということでございまして、国民一人一人がサービスを自らのニーズに応じて自由に組み合わせ、選択できるような、そういったアーキテクチャやデザインをつくっていくということでございます。

これは国、自治体、民間といろいろな分野でデータを持っておりますので、ニーズに合わせたデータの連携を考えなければいけません。それをデジタル庁を中心といたしまして、しっかりアーキテクチャを設計していくということでございます。

続きまして、地域の活性化でございます。先ほどもご議論がございました。インフラの整備が不十分、多くの場合、データがつながっていないという課題認識の下に、しっかり地方の共通基盤を国が提供して、地域分散型社会の実現、多様な就業機会の創出が目指す姿でございます。

四角にございますけれども、情報インフラの整備、デジタル人材の育成、それから先ほどお話もございましたような地域における課題のネットワーク化を実現するための取組の推進といったことが掲げられております。

誰一人取り残されないデジタル社会ということで、目指す姿のほうにございますけれども、様々な制約にもかかわらず、誰でもデジタルの恩恵を享受できるような社会を目指すということでございます。

四角の中にございますように、サービスデザイン体制の確立、デジタル共生社会の環境整備といったことを掲げていただいております。

人材の育成でございます。今もお話がございましたデジタルリテラシーの向上あるいは官民を行き来しながらのキャリア形成、いわゆる回転ドアをつくるといったことを目指す姿としております。

四角の中、デジタル庁自身、民間の方がたくさん入っております。しっかりとその人材の能力を最大限活用していくことを求められていると感じております。また、一番下にございますように、目指す社会の実現に必要となる人材像や人数等をしっかりと検討して、その結果を公表して、しっかりとそこに取り組んでいくということを掲げております。

次のページは、DFFTでございます。国際戦略ということで、日本の立場としては信頼あるデータをつないでいくということで、ヨーロッパ、アメリカに対して連携の枠組みを提示していくという形で世界をリードするということかと思っております。

四角の中にございますように、中立的な立場で国際ルール形成に寄与していきたいと考えております。

10ページでございます。司令塔としてのデジタル庁の役割ということで、改めて書かせていただいております。各府省がなかなか意識しにくい国民との接点を持ち、ニーズに基づいてサービスを提供する考え方を根づかせる。それから、真ん中より下にありますように、デジタル社会の共通機能の整備・普及、デジタル戦略といったものを、システムを整備する主体である国や自治体あるいは準公共部門等と共有して、しっかりと実現させていくということが役割かと考えております。

11ページは、これまでも掲げてきました理念・原則につきまして、改めて記載させていただいています。誰一人取り残されないデジタル社会の実現、デジタル社会形成のための基本原則、昨年、村井座長の下でまとめました10原則も掲げさせていただいております。また、これまでも取り組んできましたBPR、各府省が忘れがちな業務見直しにつきまして、システム整備に当たりましてはBPR、規制改革が必要だということを掲げさせていただいております。また、クラウド・バイ・デフォルト原則です。

6つの戦略になるのですけれども、ここはデジタル臨調の関係を、ご議論を踏まえて後で入れさせていただきたいと思っております。

13ページにつきましては、デジタル田園都市国家構想の実現ということで、後で現在の議論の状況につきましてもご紹介させていただきますけれども、その議論を反映して、入れさせていただきたいと思っております。

14ページでございます。国際戦略の推進、先ほど申し上げましたDFFTにつきましても、しっかりと戦略を持って取り組みます。

安全・安心の確保ということで、サイバー、個人情報保護、サイバー犯罪防止、災害対策ということで、これもしっかりと戦略を持って取り組むべき事項だと考えております。

15ページ、データ戦略でございます。政府でデータ戦略を掲げているのが、デジタル庁が旗振り役にならないとなかなか進まないということで、6月に包括的データ戦略をつくらせていただきました。そこに検討事項、今後の取組方針を書かせていただいております。その進捗を確認しつつ、しっかりと進めてまいりたいと考えております。

ほか、デジタル産業の育成を掲げております。

16ページ以降が、個別の具体的に実施する戦術面になってまいります。

まず、国・地方公共団体・民間を通じたトータルデザインは、ワーキンググループの下にタスクフォースもつくらせていただきまして議論させていただいておりますけれども、品質・コスト・スピードを兼ね備えた行政サービスを実現するために、国や地方のデータの連携の仕方等のアーキテクチャの将来像を整理し、検討するということをさせていただきます。

それから、新型コロナ対策など緊急時の行政サービスのデジタル化ということで、今、取り組んでおりますワクチンパスポートのスマートフォンへの搭載を本年中に実現する。それから、特定公的給付制度を活用して、マイナンバーを活用いたしましてしっかりと速やかな給付を実現していくということでございます。

17ページ、今日の会議でもご議論がございましたが、マイナンバーをしっかりと使っていくということで、マイナンバー制度における情報連携の拡大。

それから、マイナンバーカードも今は普及が5,000万枚、4割になりましたけれども、スマホを通じまして薬剤情報や医療費等につきましても確認できるようになりました。こういったユースケースをしっかりと国民の皆様に提供していくということでございます。

18ページ、国民との接点ということで、一番使うのは自治体等の窓口での引っ越しの話、あるいは死亡・相続、子育て・介護、その手続をワンストップ化していくという取組を引き続きしっかりとやってまいりたいと考えております。

19ページ、くらしのデジタル化ということで、先ほども準公共分野の話が出てまいりました。健康・医療・介護、教育、防災、こども、モビリティということで、それぞれにつきましてしっかりと実証なども行いながら、またそれぞれ担当している各省あるいは自治体の方がいらっしゃいますので、そこのネットワークもしっかりとつくりまして、それぞれどうやって連携していくのか、アーキテクチャをどうしていくのか、デジタル庁がしっかりと自分たちの仕事として取り組んでまいりたいと考えております。

続きまして、産業のデジタル化ということで、事業者向けのGビズID等の普及、中小企業のデジタル化の支援、産業全体のDXの推進ということを掲げさせていただいています。

21ページでございます。デジタル社会を支えるシステム・技術ということで、国や地方自治体の情報システムの部分になります。

①につきましては、政策的に重要な情報システムの開発体制の整備ということで、デジタル庁が全てを抱え込むのは難しいのですけれども、必要なときに必要なプロトタイプを構築できる開発体制を整備するということ。

それから、先ほどもお話がございましたガバメントクラウドにつきまして整備して、迅速、柔軟、セキュアかつコスト効率の高いクラウドを整備してまいりたいと考えております。

ネットワークの整備は、各府省のLANにつきまして統合して、重複を排除して、効率化を進めてまいりたいと考えております。

地方の情報システムの刷新ということで、今、地方情報システムの基幹業務につきましても標準化を進めさせていただいておりますけれども、引き続きご協力いただきながら、進めさせていただきたいと思っております。

また、5Gをはじめとしたインフラの整備等につきましても、進めさせていただきます。

22ページでございます。人材の確保ということで、先ほどもございましたように、デジタルリテラシーをしっかりと確保していくということで、教育の面につきまして必要な取組を行う、あるいはリカレント教育もしっかりと進めていくということを掲げさせていただいております。

デジタル専門人材の育成といったことにつきましても、国家公務員試験でもデジタル区分を創設いたしますし、回転ドアみたいなものを実現していくような環境を整備したいというところでございます。

最後は今後の推進体制を掲げさせていただいております。

以上が概要でございまして、それ以外に本文、工程表等もつけさせていただいて、全体として新重点計画となるところでございます。

以上でございます。

村井座長: ありがとうございました。

冒頭で牧島大臣のほうからもお話がありましたが、今の説明の中で、デジタル臨調、デジタル田園都市国家構想実現会議という2つの関係の会議体がありますので、この議論の状況等について、事務局からの説明をお願いいたします。

事務局: 資料3-4をお開きください。

先ほど大臣のご挨拶にもございましたけれども、デジタル原則を掲げさせていただきまして、デジタル臨調におきまして、デジタルを進めていくためには規制制度にもぶつかりますし、行政にもいろいろな見直し等が必要になる場合もあると思っております。ですから、デジタル臨調、デジタル原則を掲げさせていただきまして、それであるべき規制改革、あるべき行政、必要なデジタル改革という形で、横断的、一体的にそれぞれの部局も連携して進めてまいるということでございます。そのためのデジタル原則をつくるのがデジタル臨調ということになっております。

例えばということで、牧島大臣から11月にデジタル臨調でご提示いただいておりますけれども、一番上にデジタル完結・自動化原則とございまして、書面、対面、目視、定期点検などを義務づけるルールについて、各府省の制度がいろいろとございます。こういったものを一つ一つ点検していくのは大変なので、まずは原則を掲げさせていただきまして、IoTの技術などを活用することによりまして、より合理的なルールにしていくということ。デジタル原則を年末までに掲げさせていただきまして、年明け以降、各府省の制度について点検していくというような流れになっているところでございます。

それ以外に相互運用性確保原則とか、共通基盤を利用して官民で連携していくとか、今、原則についてブラッシュアップして、年内に確定するということを検討しているところでございます。

例えばこれによりまして、7ページの下の矢印をご覧いただきますと、今、申し上げました一つ一つの規制につきまして類型化して、具体的な見直しの基準や切り口を示す。例えば今年の通常国会で押印の見直しを一括法で直しましたけれども、そういった形で、検証の結果、見直しが必要だというものにつきまして、一括して見直しをしていく。

あるいは、先ほど重点計画の説明のところでも具体的な施策でございましたけれども、新規法令のデジタル原則への適合性の確認プロセスみたいなものをつくるべきではないかといったことを牧島大臣からプレゼンいただいておりまして、年内にもう一回デジタル臨調が開かれますので、そこでしっかりと原則を掲げていくということを検討しているところでございます。

続きまして、資料3-5をお願いいたします。デジタル田園都市国家構想でございます。

部局といたしましては、私どもではなくてまち・ひと・しごとの担当部局が事務局をやっておりまして、牧島大臣には共同の副議長という形でご参画いただいております。

2ページ目が全体を物語っているかと思います。一番上にございますように、地域の「暮らしや社会」「教育や研究開発」「産業や経済」をデジタル基盤の力により変革し、「大都市の利便性」と「地域の豊かさ」を融合した「デジタル田園都市」を構築するというのが目指す方向でございます。

この絵の下のほうにございますけれども、デジタル基盤として、一番下にデジタルインフラ、公共サービス基盤(APIゲートウェイと統合IDによるサービスの相互連携、認証・決済・共通機能、データ連携基盤)、その上に、地方の皆様に自由にいろいろと活用していただくということで、オープンなデータ基盤あるいはデータ連携の下に、サービス間もしっかりと連携していただく形で、国・地方が一体となった包括的な設計をして、官民一体となった取組を実現していくという方向性を検討しているところでございまして、そういった形で、もう一回年内に開かれますので、そこで当面の施策と中長期的な施策の全体像を取りまとめる方向で今、検討が進められているところでございます。

以上でございます。

村井座長: ありがとうございました。

それでは、自由討論に入るわけですけれども、基本的には今のご説明の中に含まれていたように、今日の議論を踏まえて年内に重点計画を決定したいというのが全体の方向です。その中の構成の頭のところが、この構想会議で議論した結果になっているということでございます。

今、ご説明いただいた2つのデジ臨とデジタル田園都市のご説明の結果がこの後ありますので、そこがこの下のところにはまる。上の太字のところがこの構成員で決めていただいているということでございますので、それを踏まえた上でご議論いただきたいと思います。平井さんが退席の予定と伺っておりますので、まず、平井さんからご意見を伺ってよろしいでしょうか。

平井構成員: ありがとうございます。

まず、先ほど三木谷構成員がおっしゃいましたことに若干反応させていただきたいと思います。グーグル、アマゾンでの基盤づくりが決まったというお話がございました。前回も申し上げましたけれども、これから17の地方における基礎的な制度設計がなされてくるのだと思います。それが、それぞれの地域の実情に応じた形、地方団体のニーズに沿った形、先ほど船橋市のご説明がございましたけれども、そのようなことをぜひ念頭に置いていただいた進め方をしていただく必要があるのだろうと思います。

あわせまして、例えば大きなプロジェクトが動きますと、それが産業の活性化につながるということはこれまでも我が国で起こったことでありますし、世界中で起こっていることでもあります。せっかくこういう大がかりな17の制度を設計しようということでございますので、それぞれの地域のデジタル産業の育成にもつながるような進め方ができないかどうか。特に海外企業だということになりますと、利運と成果が海外だけに行ってしまうのでは、値打が落ちてしまうのではないかと思います。ですから、進め方としては、地域の様々なソフトウエア開発企業、あるいはいろいろなアイデアを持った会社、参加したい会社などがいろいろとございますので、そうしたところと上手につながっていったり、出来上がった基盤を軸として、その後、展開ができるような形であるとか、いろいろな工夫がなされていいのではないかと思いますので、その点、まず申し上げたいと思います。

また、今日の計画のご提案には基本的には賛成でございますので、その前提で申し上げたいと思います。今、デジタル田園都市国家構想を推進しようということになりました。総理も月曜日の所信表明の中でおっしゃっていましたけれども、これが地方、それぞれの地域を活性化させていく起爆剤になるだろうということであります。そうであれば、その前提として、総理もおっしゃっていますが、例えば5Gや光ファイバーといったデジタル実装が進んでいく基盤をぜひ整えていただくように、この計画等の中でも明確に述べていただきたい、説明をしていただきたいと思います。

また、人材のことも触れてございますが、そういうデジタル人材は全国どこにでも配置されているわけではなくて、そこに疎密ございます。人材育成やネットワーク型社会によってそういうところを補完していくようなやり方など、そういった工夫が求められるのではないかと思います。

新重点計画がこれから出ていくに当たりまして、それぞれの団体、地方団体側のほうにも照会が来ております。来週が締切りになっていますが、全国知事会ももちろん意見を出させていただきますけれども、ほかの団体もそうだと思います。ぜひ、岸田政権は現場の声を聞くという「聞く力」の政権であると思っておりますので、そうした地方の意見を積極的に取り入れていただきたいと思います。

よろしくお願い申し上げます。

村井座長: どうもありがとうございました。

クラウドの発注のところの国産ということに関しては、三木谷さんもご指摘になっていたことかと思いました。地方の関係も大変貴重な議論だったとおもいます。ありがとうございました。

それでは、そのほかの方々からも、どなたからでも結構です。

伊藤さん、お願いします。

伊藤構成員: 伊藤です。

以前のミーティングでも、国際関係の視点からの話も出たのですけれども、我々が今やっている重点計画とデジタル庁、日本のデジタル・トランスフォーメーション全般、国際的にみんなとても注目していて、どのようにどういうところで何が決まっていくかというのもみんな興味を持っているのですけれども、今のプロセスも踏まえて、いつ、どのように英語でアウトプットを出していって、そこをどこに落としていくかというのは結構重要だと思いますし、もしかしたらデジタル庁の中でもプランがあるかと思うのですけれども、我々構成員やほかに関係している人たちも、いろいろなところからいろいろな質問をされているので、どのようなものがどこで英語で出て、そして今度は外国からインプットがあると思うのです。そんなことをやっているのであれば、うちはこのようにやっていますよと、デジタル庁もこちらから呼びかけていろいろな勉強はしていると思うのですけれども、特にスタンダーディゼーションだとか、例えばこういうオープンソースのプロジェクトがこんなところにありますよというのも、外から言ってくる可能性もあると思うので、いかにパブリッシュをちゃんとして、こんなことをしたほうがいいよという指摘があったときには、完全に固まる前にインプットを受けたほうがいいと思うので、途中経過もどこかで発表できたらいいのではないかと思います。その辺について、もう何か決まっているのであればお聞きしたい。決まっていないのであれば、ぜひそこにも力を入れられたらいいかなという意見です。

村井座長: ありがとうございます。

大変重要で、どのような政策も私自身も大体同じことを申し上げているのですけれども、デジタル庁はさすがにその準備はできていると期待していますが、事務局のほうで大丈夫ですという一言だけ聞ければいいのですけれども、いかがですか。

事務局: ご指摘ありがとうございます。

当然、今つくっている重点計画につきまして、全部を訳すのは大変なのですけれども、これに対するプレゼン資料はつくりたいと思っております。こっちができてから、そっちに取りかかるという意味では、今、途中経過という伊藤先生からのご指摘に対して十分に対応できていませんけれども、しっかりとアウトプットして、海外にPRするものはつくりたいと思っています。

また、できましたら各構成員の皆様にも共有させていただいて、いろいろとご意見をいただきたいと思っております。

村井座長: ありがとうございます。

今ご指摘があったのは、そうやって国際的に意見が集約できる、届くという仕組みも重要だということだと思うので、これも検討していただきたいと思います。

事務局: 承知しました。

村井座長: それでは、國領さん、お願いします。

國領構成員: 取りまとめ、本当にお疲れさまです。とてもよくなってきていると思います。

資料3-2①の34ページだと思うのですけれども、第6の「国・地方公共団体・民間を通じたトータルデザイン」のところはとても大事なことが書いてあり、この中で、後ろから2つ目の段落に私がコメントしたことを反映していただいて、「民間サービスも行政サービスのフロントエンドを担えるようにすることで、国民がより多様なUI・UXを選択できるようにする」と書いていただいて、とてもありがたいと思っています。

できたらもう一歩踏み込んで、例えば表現として、行政サービスを民間デジタルサービスのモジュールとして組み込めるようにするというような表現はできないでしょうか。なぜこれが大事だと思うかというと、例えば結婚を考えてみても、行政手続というのはライフイベントの一連のユーザーエクスペリエンスの一部であって、それをシームレスにデジタル化できるといいと思うからなのです。ですから、ユーザー視点でデジタル化、デザイン志向で行くというからには、そこまで踏み込んでいくのが大事なのではないかと思います。ということで、多様なユーザー志向のUI・UXを実現するというとてもいいメッセージが出ていますので、それを具体化できるような仕組みづくりに向けて、その方針をはっきり打ち出すといいのではないかと思いました。

以上です。ありがとうございます。

村井座長: ありがとうございます。大変貴重な意見です。

それでは、山田政務官、お願いします。

山田デジタル大臣政務官: 山田です。

三木谷構成員、その他の皆さんから重要な指摘をいただいたので、今回、この重点計画の中で私もかなり参画しましたが、国内産業の育成について触れておく必要があると思い手を挙げさせていただきました。

1つは、デジタル庁としても国内産業を何とか育成したいということで、人材の育成というのもあるのですが、そのベースになるのは、クラウドも含めていかに国内産業を巻き込むかということだと思っています。実際、デジタル産業の育成と小さくしか書いていないのですが、ここにベンチャー企業等の中小企業を含む我が国のデジタル産業を育成する旨を書かせていただきました。

もう1つ、報道を含めてクラウドに関して全て外国製を選んだと出たのですが、庁内ではいろいろな議論をしておりまして、まず今回は、世界で最も優れたものをという基準でベースを検討しますので、AWSさんをはじめとして選んだということなのですが、今後、運用を含めてどういった形でやっていくかということはもう少し議論があるということを皆さんには知っておいていただきたいと思っております。

ここが重要なのですが、例えばIaaSとPaaSとSaaSに分けた場合に、これも入れ子になっていると思うのですが、本当に全て外国製なのかどうかというのはいろいろと議論があると思っています。そう申しますのは、先ほど平井知事からもありましたが、地域でクラウドをサポートしていくときに、全て外資系だとサービスレベルが追いつくのだろうかということです。地域でしっかりサポートしていくということになると、現場に近いベンダーさんが提供するクラウド環境もあって良いのではないかという議論も庁内であります。

SaaSに関しては、ベンチャーを含めて国内外の企業が良いものを提供していくという競争下でありますが、そのプラットフォームたるIaaSやPaaSがどのような組合せであるべきなのかは今後議論になっていきますし、あるいは、デジタル庁の中で議論しているLGWAN等に含めても、具体的に地域間のネットワークをどのようにクラウド環境に載せ変えていくかとなった場合に、本当に外国製だけがそれをサポートできるのかという議論も残っているかと思っております。そういう意味で、学ぶという意味では最も良いものを選んだのですが、実現して提供していくという意味においては、日本企業のクラウドベンダーも参画してもらいたいという意図があります。ただ、どういう形で戦略的にそういったものを選んでいけば良いのかということは、今日参加していらっしゃる委員の方々ともご相談しながら決めていきたいと思っています。

もう一つ言わせていただきますと、そうは言うものの、日本企業のクラウドと言っても、企業もコンポーネントや技術のベースは外資系のものを使っていたりするのです。そういう現状もありますから、何をもって国内なのかということも含めて整理をして、世論、国民の間からも、前回の会議以降、すごく指摘があったところでもありますので、我々はそのニーズ、それから各知事、市区町村の首長さんからもいろいろな要望があるということをしっかりと受けとめた上で、国内外、どのような組合せでやっていくのか、皆さんからもしっかりと意見をいただきつつ、考えていきたいとと思います。外資系とか米国のもの、あるいは経済安全保障という論点もあります。データセンターの在り方というのは当然、国内に国民の情報をきちんと置いておくべきだろうという議論もあるかと思っています。それをしっかりこの重点計画の下に整理していきたいと考えています。

村井座長: ありがとうございました。

構造が変わるので産業構造も変わるという点と、経済安全保障のような観点にも触れていただきました。どうもありがとうございます。

それでは、太田さん、お願いします。

太田構成員: ありがとうございます。

(4)の誰一人取り残されず、全ての国民が参加できるというところで、2点補足したいのです。④のアクセシビリティに係るガイドラインの話なのですけれども、専門家の方も入ってかなり議論したのですが、ガイドライン自体は7~8年前にかなりいいものがつくられて、あるのですけれども、つくった総務省も含めて実行されていないというのが実態で、ここに関しては、ここに書いてあるような法的措置や調達を具体的にスケジュールを決めて検討するというフォローアップをぜひお願いしたいと思います。

その上に書いてあるように、これが単に障害者対応だけではなくて、高齢者フレイルや広く市場のイノベーションにつながるということに本当にコミットするならば、実効性ということをきちんとフォローいただきたいというところが1点です。

(4)の最後のところに、「以上のような総合的な取組は」ということで、可視化するということが書かれていますけれども、これもぜひ、来年の半ばにはまた重点計画を見直す、アップデートするとありますので、現在地点がどこなのかということが定量的に分かるような調査を、前回お話ししたように東京都は2020年から2025年まで毎年やるということで、今はちょうど2回目の調査をやっていますけれども、来年2月に発表しますが、これは国のほうでも、いろいろといいことは書いてあるし、予算もつけているのだけれども、アウトカム、結果は出ているのだろうかということをできれば年度内に調査を実施していただければと思います。

最後に、結果も大事なのですけれども、たしか以前、小林副大臣が発言されたかと思うのですが、複数にいろいろと利く施策がいろいろなことを前に進めるという意味で非常に意味があると思うのです。繰り返し強調させていただきたいのが、オープンソースをきちんとフォローしていくということかと思います。先ほど千葉さんのほうから紹介がありましたけれども、東京都の新型コロナの対策サイトはオープンソースでいろいろな人が参加していますので、最初から易しい日本語、多言語も入っていますし、スクリーンリーダーも対応していますし、色覚特性のある方への対応もしているということで、おのずと包摂性も高まりますし、GitHub上でつくっていますので、オードリー・タンさんからフルリクエストが飛んでくるというように、割と国際性もあったりします。

あとは、海外のオープンソースを見ていますと、大都市のベンダーさんだけではなくて、地方の小さな事業者もオープンソースを使って開発、実装できるということにもつながっていますし、実際に日本でも、例えばオープンデータ管理のCKANなんかは、地方でもクラウド上に載せて、地方で実装をメンテするということもできていますので、オープンソースをちゃんと検討する場合によってはタスクフォースみたいなものを立ち上げていただくのもいいかなと思います。

伊藤構成員がおっしゃったように、海外からの学びということで言うと、ちょうどアメリカのバイデン政権でオープンソースの検討が進んでいます。オバマ政権のときに連邦政府の調達の20%をオープンソースにするという話があったのですけれども、バイデン政権で改めてそれがどうなのかということを90億ドル、約1兆円の連邦政府のIT基盤をアップデートするときに見直しも進んでいます。うまくいっていないこともあると聞いていますので、そういったところの知見、課題や可能性の共有も含めて、オープンソースというのは多面的に人材や国際性や包摂性を引っ張っていきますので、チームなどをつくって、引き続きフォローをお願いできればと思います。

以上です。

村井座長: ありがとうございました。

それでは、越塚さん、お願いします。

越塚構成員: どうもありがとうございます。

最初に、これだけのものを非常に短期間でまとめていただいて、資料の中で工程表みたいなかなりディテールのところも含めて相当の作業だったと思いますけれども、本当にありがとうございます。

また、私のようなエンジニア的な立場でこれを見ると、中にはAPIとかアーキテクチャとか、先ほどもあったアクセシビリティという言葉がどんどん出てくるような重点計画は、10年前、20年前ではなかなか考えられないところで、時代が変わってきたなということも非常に実感できるもので、すばらしいものを案としてつくっていただいたことに深く感謝申し上げたいと思います。

思うことがいくつかあるのですけれども、今回の重点計画は、例えば日本のIT政策が始まったのは、20年前にIT戦略本部ができて、20年たってデジタル庁ができた。IT戦略本部ができて20年後になってデジタル庁をつくって、もう一回リボーンしていこうというところでやっているという意味では、我々は非常に歴史的な文書をつくっているのではないかという気はしています。

そうすると、特に今回の本文の5ページ目に書かれている冒頭の私たちは何を目指していくのかというところ、我々はデジタル社会で何を目指していくのか。これは20年前と比べて見ると、当時はケーブルというネットワークのハードウエアだったり、コンピューターだったり、ハードウェアとソフトウエアが中心だったところが、今度は個人であるとか、取り残さないとか、視点がかなり大きく変わったのだと思います。ここがすばらしいことだと思いますし、そこをもっと丁寧にサポート、補強する歴史的な文書になっていくということを期待したいと思いますし、その辺を非常に強く押し出すといいのではないかと1点目に思います。

もう一つは、今日随分議論があったのですけれども、デジタル庁さんとして、また国として、国民に対してすばらしいサービス、いいサービスを提供していくということが中心になっているわけですけれども、一方で、今の時点でいいサービスを出すということと、人材育成や研究開発、産業育成というような若干未来を見たようなこと。現状でいいものを出すということと、将来に対してどうするかということは、個々の現場では若干相矛盾するところがあり、バランスが結構必要だと思うのです。そういう意味で、個人にも着目して非常にいいサービス、先ほどの言葉で言うと世界最高のものを持ってきてということもありますけれども、人もシステムもサービスも、いいものを買ってきて使うという考え方もありますが、片や私も大学院で人材育成をやり、産業育成も考えると、将来のことも考え、人材育成や研究開発、産業育成とのバランスは重要と思います。

最後、もう一点が、私自身、この中は準公共分野をやらせていただきましたけれども、そこの中で重要なことは連携ということ。また、別の言葉では共助という言葉もありますけれども、そこが非常に重要で、APIを連携させるとか、データを連携させる。それだけではなくて、組織としても国と地方が連携するということが非常に重要で、その関係性を見直すということも今日大分議論がありました。産と官のところの連携、そこでは新しい新産業を準公共のところでつくっていくことが重要だということも、今までも議論がありました。産と民の間や、官と民の間の連携としては、シビックテックの取組もそういうところに非常に絡んでくると思います。これらの連携や共助が準公共を実現していくときには非常に重要で、それが最終的に国民を支援することにつながると思いますので、そこをサポートいただけるとありがたいと思います。

以上です。

村井座長: ありがとうございました。

それでは、川邊さん、お願いします。

川邊構成員: まず、ワードの資料のほうに目を通させていただきましたけれども、非常に意欲的な取組で、デジタル庁並びに関係各省の方々、本当にすばらしいなと思っております。

他方、非常に戦線が拡大しているというか、膨大なタスクがここにあって、これほど膨大だけれども重点項目ということですから、よりプライオリティーをつけて、重点の中の重点ぐらいに絞って、機動的にやられていったらいいのではないかと思います。やはり国民が見ていますので、国民に分かりやすい成果を出しつつ、支持を得ながら中長期の取組にもつなげていけるというようにするのがいいのではないかと、まず総論はそう思っております。

その中で、各論的に申し上げますと、ワードのファイルの4ページでマイナンバー、具体的にはマイナンバーカードのほうですけれども、民間の利用を後押しするための仕掛けを入れたほうがいいということを事前に提言申し上げたところ、それは採用いただいておりまして、ありがとうございます。マイナンバーといいますかマイナンバーカードがもっと使われる、それによってデジタル社会が加速していくことが日本においては重要かと思っております。ただ、もっと民間で使われないと、オケージョン不足で、マイナンバーカードを取得しようとする人も限定的になってしまうと思います。

ただ、民間のほうも、どう入れたらいいのかとか、入れたら何のいいことがあるのかとか、普通に経済合理性などを思いますので、そこの後押しをするというのは重要かと思っております。

あとは、ワードのファイルの【資料3-2】新重点計画(案)の4頁目を開いていただきまして、今、申し上げたマイナンバー及びマイナンバーカードを民間が後押しするためのしかけがこちらのほうでは盛り込まれていない。字数の制限があるのでしょうけれども、パワーポイントのほうでは盛り込まれていない。なので、それは一応言及しておきますということ。ここで言うと、マイナンバーの利用が放っておいたら拡大されるかというと全然そんなことはないので、民間利用促進はやったほうがいいということです。

次に6ページの「地方の基盤を国を提供することなどにより」と書いてあるところがすごく重要だと思っておりまして、共通基盤というのは、デジタル庁が強力なプラットフォームを提供して、地方はその上で、それらを活用した多様性のある行政サービスをというのが理想的だと思っておりまして、そこの線引きをより具体的に行い、その線引きに基づいて、国のほうは共通基盤は力強く開発、提供していくし、地方はそれを使うという前提に立ってもらうという原則をここで打ち立てるべきかなと。

この前にあった各自治体でのデジタル化の好事例も、これ自体は大変すばらしいと思うのですけれども、今、概観をしていると、下の基盤まで含めて各地方がやっている感が強いのです。LINEにしても8,000万人ぐらい、ヤフーにしても6,000万人ぐらいの人がただ一つのシステムの上でいろいろな活用をしていますし、それがグーグルやフェイスブック、アマゾンなどになると、世界で数億人の人たちが単体のシステムの上で多様な使い方をしているわけです。なのに、日本の行政だけがレイヤーの低い部分も含めてオンプレ化して、各自ばらばらのシステムで地方分権、デジタル化みたいになってしまっているのは、スケールメリットがないというか、不思議だと思いますので、地方の基盤が国が提供するというところをデジタル庁は最大のミッションの一つと捉えて、より具体的に何を国がやって、地方はその上でいろいろな各システムを使ってくださいというルールの原則の確立に努めていただければと思います。

21ページも今、話したことと同じ話で、共通的な基盤の上で、ガバメントクラウドの上で各自治体のサービスがというところに言及していて、これ自体を刷新することは大変よいことだと思っており、サポートしたいなと思っているのですけれども、あえて住基とここで書かれていて、結構踏み込んでいるなという印象です。ご存じのとおり、住基はデータの利活用において訴訟もありましたが、ある種、勇気を持ってここを踏み込んでいかない限り、それは要するに統計化したらいいと思うのですけれども、自治体を超えた利活用によってデータドリブンに日本の行政が効率化されていくということが実現しないので、この踏み込みは指示いたします。

一方で、この情報に関してセンシティブな方々もいっぱいいらっしゃいますので、きちんと対話を行いながら、こういったデータの考え方とシステム的な統一性というのは基本的には別物として捉えるような世の中になっていかれたらいいのではないか。それを頑張って推進されたらいいのではないかと思っております。

ラスト2点なのですけれども、これは資料が多岐にまたがるので何ページという言及はしませんけれども、人材育成のところです。三木谷さんもかなり踏み込まれていましたし、ほかの委員の方もおっしゃっていましたが、新しい資本主義実現会議のほうは人材育成がかなり前面に出ているのです。そこにおいてデジタル人材育成の方法について、あの会議ですと私が最もデジタル系の人ですから、かなり踏み込んだ話をしております。そこで、特にエンジニアたちとも話した真のデジタル人材育成あるいはリカレント教育の在り方みたいなところは、資料まで作って内閣府のスタッフの方には説明をしておりますので、できればシェアしていただければと思いますし、難しい場合は、私のほうから改めてどなたかに人材育成の方法を説明させていただきたいと思いますので、それはお声がけいただければと思います。

あと、クラウドのところも三木谷さんがかなりおっしゃっていましたけれども、今後、日本社会のデジタル化が推進していくときに、行政のシステムと民間のシステムが連携していく、あるいは高度に連携していく場合、全て国内のクラウドを使ったものだけでないと連携できないみたいなものは民間の観点からいくと無理があるかなと思っております。国家的なものに関しては国内のクラウドなのかもしれないのですけれども、民間と連携するときは、民間はもちろん経済合理性だったり最新の技術を使いたいという観点で、普通にAWSとかAzureを使っていますから、そこに関しては今、IT連のほうでも国家データ連携基盤ということをデジタル庁にも提案申し上げていると思います。12月13日(月)にその啓発のためのイベントもあるのです。なので、クラウド同士をつないでいく、そしてデータ連携基盤みたいなものを国が主体的にやっていけば、経済安全保障的な観点でも、他国のクラウドを利用しながらもやっていける、あるいは民間との連携もしながらやっていけるので、国家データ連携基盤というものもご考慮に入れていただければと考えております。

いずれにしても大変意欲的な取組ですので、プライオリティーをつけながら、一個一個きちんと推進し、かつ、ある程度クイックウィンで成果を出しながら、国民の理解を得ながらデジタル社会を迎えられればと思います。

ありがとうございます。

村井座長: ありがとうございました。

野田さん、お願いします。

野田構成員: ありがとうございます。

皆さんがおっしゃったとおり、短時間でここまでまとめていただきまして、本当にご苦労さまでした。ありがとうございます。

私も2つの部会に頻繁に参画をして議論をしてきまして、意見はおおむね反映いただいていると思います。ありがとうございます。

いま一度、全体を通して読んでみたとき、それから、国民からの意見を眺めてみたときに、気になるというほどでもないのですけれども、トーンの問題で改善できるとすれば、デジタルによって何を目指すかという社会のビジョンについてです。国民、市民が恩恵を受けますとか、国民が取り残されないとか、国が一生懸命頑張って国民にサービスを提供してあげますという、上から下に見ているというトーンが強いとの感じを受けました。国は支援する人、国民は支援される人、恩恵を受ける人、と対峙した形になっていますが、むしろデジタルは、国民をエンパワーして、エンゲージして、国民の参加を促すものであるべきだと思います。国民の能力とか創意工夫やアイデアを促し、出してもらう。つまり、国民のエンゲージメントの手段である、というトーンがもう少し強く出てもいいのではないかとの印象です。デジタルというツールを使って、国、自治体が抱える課題も含めてオープンにし、その課題を理解して、国民、市民がいろいろなアイデアを国、自治体に届けていくという、双方向のエクスチェンジを促すようなツールである、ということが重要と思っています。

従来、公という領域を行政が主に担ってきたわけですけれども、デジタルを取り入れることで、もっと市民が主体的に関わっていける。課題解決に市民が関わっていくということです。それによって、課題解決型のビジネスが生まれていく、スタートアップが生まれていく、特に課題の大きい地方にこそ、課題解決の市民発のスタートアップが生まれる。結果、地方創生にもつながり、成長戦略にもつながる。場合によっては財政再建にも資する可能性もあるかもしれません。上下の関係ではなくて、よりフラットな関係で、市民が参画できる社会を作るということです。官民が連携し、優れたサービスを国民に届ける、という書きぶりになっているのですけれども、そこに市民、国民も関わり、一緒になって国づくりをする、地域づくりをする、社会課題の解決をしていく。そのためのデジタルである、ということがもう少し伝わってもいいように思いました。

以上です。

村井座長: ありがとうございます。

それでは、若宮さん、お願いいたします。

若宮構成員: 私も野田さんと同意見なのです。要するに、全国民が当事者であるということだと思うのです。でも、とかく私の周りにもデジタルと縁のない人も多いのですけれども、こういう方は、デジタル庁とIT企業に頑張ってもらわなければ困るという発想なのですけれども、私たちのためにやること、私たちの子孫のためにやることであって、私たちも協力しなければいけないのだということ。

もう一つは、ボランティアという観点をこれからはもっと強調していかなければいけないと思うのです。官と民、IT企業とか市役所とかいろいろとあるのですけれども、実際に細かいところで地域のグループとか、これからボランティアで動いてもらわなければいけないので、そういう意味でも、ある程度リテラシーのある方には、あなたも協力してください、デジタルデビュー前の方には、あなたも参加してくださいというようなことを広報していただく。デジタル庁さんが広報されるのか、ほかの役所でやっていただけるのかは分からないですけれども、そういうことをもっと国民の皆さんに、分かりやすくお話ししていただければと思います。

以上です。

村井座長: ありがとうございます。

それでは、夏野さん、お願いいたします。

夏野構成員: 僕もこの文書、この計画については全く問題ないと思っていますので、事務局の方、本当にありがとうございました。

1点申し上げたいのは、先ほどからクラウドの件がいろいろ出ていると思うのですけれども、実態として今、クラウドの現状がどうなっているかということがあまり理解されずに、国内とかいろいろな話が出てきていると思うのですけれども、現実的に言うと、機能面においてもコスト面においても、国内企業にもう勝ち目はないような状態になっていますし、その上でのアプリケーションの開発とか、そういうこともやっていくということが世の中の常識として当たり前になっているので、先ほど山田政務官のほうからいろいろと政治的な気遣いもされるということは、それはやっていただいていいと思うのですけれども、あまりそういうドメスティックな議論に引っ張られないようにしないと、結果的にきちんとしたいい機能のクラウドが使えないようなことになってしまうのは非常に危険なのです。圧倒的に日本の国内クラウドとの差があまりについてしまったので、これはもうどうしようもないような状況になっているということだけ申し上げたいと思います。

以上です。

村井座長: ありがとうございます。

大変貴重なご意見をいただきまして、一通りご発言いただきました。私もいくつか気がついたところを申し上げます。

先ほど太田さんから、いろいろとアクセシビリティを検討してきたけれども、何も起こらなかったという件がありました。この「新重点計画(案)」全体にわたり語尾を見ていくと「検討する」で終わっている文が多いのです。もし太田さんのおっしゃっているように、「検討する」ということは実現されないということになると困るので、検討して何々をするとか、そのぐらいまで突っ込んだ書き方をしたほうがいいのかなと思います。文言の問題ですけれども、語尾が「検討する」で終わっているというのは心配です。

野田さんや若宮さんにご指摘いただきました本人が関わるという件について、野田さんは上から目線とおっしゃったけれども、実を言うと告白しておかなければいけない事前の改変があります。前回バージョンと今回バージョンで「誰一人取り残さない」を「誰一人取り残されない」に変えたのです。目線を国民側にしなければいけないので、取り残さないというのは先へ行くものの目線だろうと。説明するために描いた絵まで採用していただけるとは思いませんでした。これも、上から目線とは逆にしたかったのです。

もう一つのお話で、アクティビティーに関わらなければいけないというのは、リテラシーとコンピテンシーの議論だったと思うのです。これが入り切れていないということが気になっていますので、検討していただきたいと思います。

時間が押していますので、私からは以上です。

石倉さんから、今までのご意見を伺った上でのコメントをいただきたいと思います。

石倉さん、お願いします。

石倉デジタル監: 最後に1つだけ。

いろいろな方が言っていらっしゃるのですけれども、私もゼロからいろいろなことをつくるよりは、地方や海外のやり方などもいろいろと参考になりそうなところをどんどん活用することが大事だと思っています。

例えば、海外から先進事例を学ぶ場合もちゃんとこちらからも発信して、いろいろ教えてもらう。世界中でいろいろな政府が同じようなことをやっているので、教えてもらえることは多々ありますけれども、その際に一般的な話ではなく具体的にこことこことここの部分はおたくの政府では一体どうやってやったのですかとか、担当の方と直接コンタクトしたいのですというやり方をしたほうがいいと思っています。

それから、地方の場合、先ほど都城などいろいろな例が出ていましたし、私も現場に行ってとても参考になったことがあります。それも当事者に直接いろいろ教えてもらうことがとても大事だと思いました。

最後に、重点計画は何度も書き直されて、うまくまとまって、すごく分かりやすいと思います。これを一般の人がすぐに分かるような形でスライドなり簡単なストーリーにするということを今、CxOの人たちがやってくれているので、それを待てば良いと思います。

英語版も、一般にわかるような簡単なスライド版を英語にしたらどうかと思っています。海外に発信するのはとても大事だと思うのですけれども、100ページ以上のレポートのフォーマットでやるとどれが重点かがなかなか分からないと思います。

海外についてはもう一つの取り組みが考えられます。今不足しているデジタル人材をこれから育てるのでは全然遅いので、海外からリモートで働けるようなプロジェクトを進める。それが実際にできるようなやり方を考えることを再度申し上げたいです。

いずれにしろ、私たちが何をしようとしているかということを誰でも分かるような簡単な形で説明すること。ほかの人たちもやっている取り組みについては、当事者にいろいろと教えてもらうこと、世界の中でこの重点計画がどのような位置づけなのかということを常に考えて、それをアピールする言い方をしたほうがいいのではないかと思いました。

以上です。

村井座長: ありがとうございます。

私の不手際で時間を超えてしまったのですけれども、政務の方にコメントをいただきたいと思いますので、まず、山田政務官からお願いいたします。

山田デジタル大臣政務官: 山田でございます。

先ほども途中で発言させていただきましたが、私どももこの重点計画を策定するにあたり、いくつか整理したことがあります。前回までの重点計画は、To beとTo doが入れ子になっていました。今回は目指すべき姿と、それに対して何をすべきかということをしっかり整理させていただきながら、前提や、いわゆるコンディションといったものが何なのかということを確認するため、これをしっかり整理させていただいたという点が、今回の大きなポイントだと思っています。

その中で、今日は工程表まで具体的にレビュー出来なかったと思うのですが、非常に重要なのは、何をやって、何をやらないのかということも大切だと思っています。構成員の先生方からも、こんなに大きな仕事を全てできるのかというご意見もありましたが、いろいろと風呂敷を広げて何もやらないというのが一番よろしくないと思っています。優先順位を整理し、確実に決められた期間内で実現することが重要だと思います。そこで初めて、デジタル庁を含めて日本のデジタル政策が信頼されると思っております。

最後に、夏野構成員からもご指摘がありましたいわゆるクラウドをめぐって、国内外の在り方もしっかり議論しておく必要があるかと思っております。私は外資系出身でありまして、国内外のいろいろな技術を見てきたのですが、国民の中、地域の中では、海外との技術の付き合い方を大変不安に思っている人たちも多いのは間違いないかと思っています。特に首長さんが現場でのサービスレベルが下がるのではないかというご懸念は、私も直接いろいろな方々と面談させていただく中でありますので、そうはならないようにポイントを絞って、国内外企業との付き合い方、あるいは担い方を計画の中に入れていく必要があるのだろうと思っています。

正直に言いますと、今までデジタル庁が国民に対する説明の仕方が大変下手だったと思います。そういうところを反省して、丁寧に個別なところ、特に国民の皆さんあるいは現場の方々が心配されている内容について、この重点計画がまとまりましたら、丁寧に何度も何度も必要な方に直接説明していく、これがこれから非常に重要なのではないかと思います。また、上から目線ではないかというご指摘もございましたが、確かにこれまではそうだったのかもしれません。そういう反省を全て踏まえた上で、どう対話していくかということが次に求められていることでもあるのかなと思っております。その点は今日の皆さんのご指摘も踏まえて、しっかりやっていきたいと思います。

ありがとうございました。

村井座長: ありがとうございました。それでは、最後になると思いますが、牧島大臣、お願いいたします。

牧島デジタル大臣: 有識者の先生方、本当にありがとうございました。

今日を迎えるまでの間にもたくさんのフィードバックをいただいて、新重点計画への加筆・修正等もアドバイスをいただいたこと、心から感謝を申し上げます。

私たちが目指そうとしているアーキテクチャとかアクセシビリティというものも含めて先生方に受け止めていただいたこと、本当に心強く思っています。国と地方の関係とか、人材育成とか、まだまだやらなければならないことはたくさんありますけれども、年内にしっかりこの新重点計画を基に、私たちデジタル庁が動いているというところを多くの方に知っていただけるように、努力を続けたいと思います。

また、全国民が当事者なのだというお言葉をいただいたことも、私たちにとっては励みになっていると思います。今日もIT関係企業と呼ばれる現場におられる方たちが大勢おられますが、そことデジタル庁だけがやるのではなくて、みんなでやっていくのだ、それがこれからのデジタル社会なのだというところを伝えることも大事だと改めて学ばせていただいた思いです。

そして、この新重点計画ができた後、広報をしていくことが大事だと思います。これは国内外だと思いますが、MOC(協力覚書)はまずデンマークと結びましたが、東京におられる大使の皆さん16名とも私自身、既にコミュニケーションを図らせていただいています。現時点では、デジタル庁とはどういうところなのだろうかという関心があって呼ばれているという状況ですが、これからはデジタル庁がやろうとしていることとか、日本のデジタル社会が何を目指しているのかとか、DFFTも含めてグローバル戦略をどう考えているのかという具体のところに関心がさらに深まっていくと思いますので、そうしたものもこの新重点計画を基盤としながら発信していきたいと思います。

本当にありがとうございました。

村井座長: どうもありがとうございました。

それでは、冒頭にご説明がありましたように、年内にこれをまとめていくということでございます。その間に、デジタル臨調もございます。私も参加する予定でございますので、それを経てまとめていくことになるのだと思います。残されたご意見等々がございましたら、事務局のほうへお寄せいただきたいと思います。

本日の議事は以上でございます。事務局にお返しいたします。

どうもありがとうございました。

事務局: 事務局です。

3点簡潔に、委員の皆様にご連絡を申し上げます。

本会議の会議資料ですが、重点計画の概要や案の資料を除いて、本日、ホームページで公開をいたします。重点計画関係の資料は、僭越ですけれども、委員の皆様限りということでお願い申し上げます。

2点目、議事録につきましては、後ほど委員の皆様にご連絡、ご確認をいただいて、ホームページで公表いたします。

最後に、次回会議ですが、年明けを予定しております。また皆様に日程をお伺いして、調整させていただきますので、よろしくお願いいたします。

以上です。

村井座長、お願いいたします。

村井座長: どうもありがとうございました。

以上をもちまして、本日の「デジタル社会構想会議」を閉会とさせていただきます。

お忙しい中、本当にありがとうございました。