第5回サービスデザイン関連ガイドライン改訂に係る検討会
概要
日時
令和8年(2026年)2月20日(金)10時00分から12時00分まで
場所
オンライン会議
議事次第
- 1.開催趣旨のご説明
- 2.ガイドライン改訂方針に関する意見収集
- 3.結果の取りまとめ(全体)
資料
配布資料
- 付議対象ガイドラインの概要 ※構成員限り
- 各ガイドライン案 ※構成員限り
出席者
構成員(50音順/敬称略)
- 赤坂 文弥(産業技術総合研究所 人間社会拡張研究部門 主任研究員、北陸先端科学技術大学院大学 客員准教授、東京農工大学 客員准教授)(*)
- 伊藤 芳浩(NPO法⼈インフォメーションギャップバスター 理事⻑)
- 大井 美喜江(三菱電機株式会社 統合デザイン研究所)
- 岡本 鉄兵(流通経済大学 流通情報学部 准教授)
- 北崎 允子(武蔵野美術大学 造形学部 視覚伝達デザイン学科 教授)
- 中尾 洋子(デザイナー(インクルーシブデザイン))
- 中山 郁英(立命館大学 経営学部 准教授)
- 長谷川 敦士(武蔵野美術大学 造形構想学部 教授、株式会社コンセント 代表取締役)
- 比嘉 夏子(合同会社メッシュワーク 代表社員、山梨県立大学 特任准教授)
- 平井 康之(九州大学 大学院芸術工学研究院 教授)
- 平沢 尚毅(⼩樽商科⼤学 社会情報学科教授)
- 福住 伸一(特定国⽴研究開発法⼈理化学研究所 ⾰新知能統合研究センター副チームリーダー)
デジタル庁(事務局)
技術検討会議 サービスデザインタスクフォース
議事概要
構成員からの主な意見(要約)
1. 開催趣旨のご説明(質疑応答)
- 概要説明のなかで説明のあった、政策デザインも扱うことや、資料をAIに読み込ませる前提が分かっていれば、異なる観点で意見を出すことができた。前提の説明がなく誤解した部分がある。資料は共有いただけるか。
- (回答:デジタル庁)前提資料は追って共有する。ぜひ追加コメントも寄せてほしい。
- 概要説明のなかで説明のあった、「サービスデザインガイドブックの射程」の説明は分かりやすい。一方で、行政サービスのデザインは政策まで含むのか、ガイドブック内の例では窓口業務や情報システムなど幅広く記載があるが、行政サービスの想定される類型を示すことは可能か。
- (回答:デジタル庁)一定程度は可能である。例として、ウェブサイトガイドラインでは「本省ウェブサイト、情報提供サイト、行政サービスサイト、データ検索サイト」等の類型化を行い、それぞれに規定を設けている。さらに上位では、たとえば、国民向けのサービス、事業者向けのサービス、政府職員向けのサービス等の区分が考えられるだろう。
2. ガイドライン改訂方針に関する意見収集、3. 全体に対する意見収集
<DS-601.1 サービスデザイン導入ガイドブック>
- 制約を前提に利用者理解から再設計する姿勢が明確で、ペルソナやジャーニーマップの枠組みは有益だ。一方で、情報取得・議会参加の平等の担保を設計要件としてどう担保するかが抽象的、配慮・困難・代替手段の語が個人に帰属して読める懸念があり、設計側の調整責任をより明確にする表現への修文が必要だ。
- 第2章「行政サービスにおけるデザインとは何か」の冒頭に記載される「『デザイン』という視点…」のメッセージは重要だが抽象的であるため明確に記述した方が良い。
- 第3章「行政サービスの価値と利用者視点」では住民レベルの価値の議論が不足しており、公共の価値と住民レベルの価値の区分に触れた方が良い。
- 3.4.1「コンヴィヴィアリティ(自律性)」の表現は自律性より共有が近いため見直すと良い。プロジェクト立ち上げや体制・ロール設計の事例・指針を追加すべき。サービスの言葉の定義についてITIL(ITインフラストラクチャライブラリ)等の用語との違いをどこかで明確化する必要がある。
- 3.6.2 「共創と、負担の非対称性」のセルフサービス化の負担移転の記述は、人は他者と関わって生きる前提に立ち、ケイパビリティアプローチを核に検討すべき。
- 5.3.3「ワークショップの位置づけ」で歴史的背景・定義・公共実践(市民と行政が行う場)を補強した方が良い。
- 6.2.2「価値変換が困難な利用者のペルソナをつくる」「ステップ2変換要因が複合する人物像を設定する」では、経験の少ない担当者が想像でペルソナを作る際の誤りや困難な人への配慮漏れがあり得ることに注意し、可能なら対象となる利用者へのヒアリングなどを並行して行い、ブラッシュアップすることを推奨する。
- 11.1.3「時間差のある対話が深める熟議」では、聞こえない・聞こえにくい人、日本語が堪能でない人も不利になり得るため、対象に含めるべき。
- 11.5.2「マルチチャネルの参加型デザイン」では情報が届きにくい人の支援施設での提示、視覚障害のある方に向けたラジオ番組(資格情報ナビ・ラジオ)等の多様な手段も併記すると良い。
- 11.6.1「オンラインと対面―ハイブリッドな参加のデザイン」では、障害者や障害児の親など制約があってオンラインでないと参加が難しい人がいることを踏まえ、フェーズで対面とデジタルを使い分けるのではなく、柔軟な対応を促す記述にするべき。
- 12.2「行政サービスの指標体系」では、内閣府の社会インパクト評価(ロジックモデル等)との関係に言及するとよい。デザインプロセスにおけるAIの効果的活用について記述が不足している。
- 12.3.1 「到達——届くべき人に届いているか」の非利用者への着目は「知らなかった(情報が届いていなかった)、やり方がわからなかった(情報が理解できなかった)、途中であきらめた(支援手段が不足していた)」など非利用の背景にある情報取得の障壁を明確化する。
- 12.3.4「満足—利用者の体験は良好か」の「声を上げられない人に目を向ける」では、支援団体へのヒアリング、身近で困っている人がいないかを聞き取る地域アンケートなど具体手段を明記した方が良い。
- 14.3.2「多様な声を聴く仕組み」の住民参加のデザインにおける記述は、仕組みの外にいる人の存在を常に意識するのみでなく、意識した上で小さくても改善に着手する、記録を残すなどの具体行動を促す記述にするべき。
- 導入という名称に対し内容がリッチであるため、概要版の用意、目次の2階層化、概念関係図が必要。今後整備するツールキットにステークホルダーマップ等を含めることが望ましい。
- 組織的活動の箇所にはPSIラボ(Public Sector Innovation Labs)の概念も入れるとよい。
- 障害者、マイノリティの立場から読むと、もう少し具体的に書く必要がある箇所が多い。
- ISO 9241-11を行政文脈に適用した前提は有用で、利用状況の把握を起点とし、要求・評価設計・改善ログ等をどの粒度で文章化するか提示するテンプレートが必要。HCDの考え方において、誰がどのタイミングで成果物を残すのか調達・運用で明確化する必要がある。
- 「デザインする」等の曖昧表現を具体語に書き換え、馴染みにくい術語は理解しやすい語へ。サイモン関連の書名・訳語の表記ゆれがあり、統一が必要である。
- 理論先行の構成は読解負荷が高く、政策立案・起案・実務への結びつきを明確化すべき。
- S-Dロジック(サービス・ドミナント・ロジック)とサービスデザインの接続は挑戦的で有意義であり、S-Dロジックはモノ経済からコト経済への移行ではなく価値を捉えるレンズであることを明示すべき。
- 関係性・構造の全体フレームを先に提示し、AI検索・解釈のブレを防ぐべき。
- 視点のブレ(システムのシーズ起点・利用者起点)があり、制度・システムからのアプローチ、利用者からのアプローチ、両者関係からのアプローチに整理して提示すべき。
- サイモンの外部・内部環境の図や「サービスデザインガイドブックの射程」の図で国民が一番下の太い四角の外側に配置されているのは課題であり、コ・クリエーションにおける対等性を可視化すべき。
- 附録A「サービス設計12箇条」はアップデートしフロントに出すべき。
- 「行政の営みはすべてデザイン」と記すなら、従来の行政のデザインと今回のサービスデザインの差分を対比で明示すべき。
- 導入か教科書かを明示し、行政官がベンダーへ伝えやすい具体例主導のガイドへ編集が必要である。
<DS-602.1 サービスデザイン実践ガイドブック>
- サービスデザインを調達・要件定義・運用に接続する構成で中央省庁に即しているが、配慮・エッジケース等が例外的対応の印象になり、必要・重要・適切など抽象的表現が解釈の幅を生むため、調整事項を要件として明記する表現への補強が必要。
- 第2章「デジタルプロダクトへのサービスデザイン導入」では体制や役割を明確化した方が良い。
- 2.1.5 「組織の壁を越える」バウンダリースパナーの概念は重要で、現場の独自の読み替えや抵抗を示した際に押し付けない姿勢を保ち、ボトムアップの余地を残すべき。
- 2.3.1「既存業務の中で小さく始める」では行政版ノウハウは具体的に整理されており参考になる。行政サービスデザイン・ポリシーとして共有・ディバイスできる形にすると良い。
- 2.4.3「自治体との良い関係をデザインする」は具体方策の追加が望ましい。調達のパターンを図示して提示すると現場が使いやすい。
- 2.5.2「変換要因をレイヤー毎に分析する」について、5つのレイヤーの表(レイヤー1〜5)は見やすさを改善すべきである。
- 2.5.4 「「利用者」は最終的な受益者だけではない」にある変換要因の捉え方は、何を尊重し、何を解消するかの見極めが必要である。
- 3.1.1「成果物だけでなくプロセスを重視する」という記述は重要であり、発注者も共に進めて学びを含む調達にした方が良い。行政におけるサービスデザインの行為は、企画、提供中の業務改善、リリース後の継続的改善などに跨るため、文脈や職員別の使い所の整理が必要。
- 3.6「調達におけるAIの位置づけ」では他資料との補完の整理が必要である。
- 3.6.1 「AIの導入と利用者視点」は、AIが対応できない場合の代替手段(人手対応、文字情報、対面窓口等)を非機能要件として明記する必要がある。
- 3.8「予算制約の中で利用者視点を確保する」の「優先順位を厳格につける」は評価軸に「代替手段の有無」の追加が必要である。代替手段がある場合、困難度が高くても優先順位を下げる可能性がある。
- 8.5.5「領域5:共創(Co-creation)」の「側面 B:サービス設計・運営への参画」は量的指標だけでなく、当事者の多様性や設計プロセスに参加できているかの評価を含めるべき。
- 8.6.2「測定の難しさと現実的なアプローチ」の「現実的なアプローチ」は同行調査・行動観察も実施すると良い。(DS-601.1 サービスデザイン導入ガイドブック5.2.2「多様な利用者理解の手段と既存の知見の活用」の窓口でのやり取りの観察と統一を図るべき。)
- 第9章「継続的改善のサイクル」は運用体制とガバナンス連動性の記述が不足している。
- 導入ガイドにあるハーバート・サイモンのインタフェースの論点は実践ガイドでも扱うとよい。
- 垂直的非対称性の話に関連して、SLOC(Small, Local, Open, Connected)シナリオに触れるとよい。
- 調査から実施まで調達の一貫化や事前サウンディング制度、先進自治体の横展開、大学との共同拡大が望ましい。
- ゼロ立ち上げと既存サービス改善のステップ例を分け、行政官・事業者・運営者ごとに流れを変える必要がある。
- 運用ガバナンスに関して、役割・責任・承認・監査の枠組みを定義し、調達時の責任分解の誤読が起きにくくする必要がある。
- 利用者プロファイルごとに品質目標を分解し、最も困難な層の達成率を別途設定して偏りを可視化する考え方も有効。
- 導入編の問題設定事例(待機児童の事例等)を実践編にも記述し、問題発見の手法やワークショップの進め方を追記した方が良い。
- 引用・規格番号の誤記が散見されるため修正を徹底すべきである。
- ISO 9241-221(HCDプロセスアセスメントモデル)を扱う場合、2〜3年で担当が代わる自治体で実効的に適用できるか懸念があり、適用可能性を検討・明示すべきである。
- 実践編単独での可読性を高め、概念を最小限再説明するか、理屈は導入編に委ね手法に特化するか、を明確化すべきである。バウンダリーオブジェクト等の概念は自走可能な説明を付した方が良い。
- 利用者像を可視化し、レイヤー構造や表の再設計(ジャーニーマップ+ブループリント型の統合表)で対立・変換ポイントを抽出可能にした方が良い。
<DS-651.1 AIにおける人間中心導入ガイドブック>
- タイトル表現の意図がAIを用いたシステム開発における人間中心の取り入れ方を示すなら、意図を明確に伝える表現へ改めると良い。
- 3.4.3「設計指針」はエイブリズムにならない表現をAIに学習させる等、学習させる事項の明示が必要。デジタル庁からの推奨資料の整備・運用も有効である。
- 5.2.3「声が上がらない問題——適応的選好」の事例は兆候の指摘に留めず、通報・記録の方法、それが評価につながる仕組みまで対策を記すべき。ペルソナの想像が難しい職員向けにペルソナ発想支援ツールの整備が望ましい。
- AI導入リスクを丁寧に言語化し指針化しようとしていて有用だが、配慮や情報保障の位置付けが曖昧な箇所があるため、善意や付随的対応ではなく設計段階の前提条件として明示する必要がある。
- AIリスクマネジメントの書き方は難度が高く、ISO/IECの審議段階の議論を取り込みつつ、国内の方向性を先導的に示すべき。運用は上位レベル設計、利用はデジタル庁主導でガイドラインを管理するのが望ましい。ガイドラインは段階的公開・継続更新が必要である。
- AIに全てを委ねず、処理フローを明確化して配置を設計し、質的研究のトライアンギュレーションのようにAI・人間・ルールベースの三つを多面的に検証する体制が必要である。
- AIをオーケストレーションが必要な間的エージェントと捉え、説明責任を技術論に留めずどのような関係を構築するかの倫理的対話として扱うべき。
- 透明性・説明責任の不足がサービス利用者・提供者へ与える影響と、具体的にどう説明すべきかの方法を具体化し、人間工学の視点からの指針を充実させる必要がある。
- ISO 9241-110/112等の原則に基づく設計方針は有用だが、AI固有リスクと利用時品質目標の紐付け、承認・レビュー・是正の最小要件の明文化が必要である。
- 対象者・目的・適用範囲が見えづらく、具体ケースと概論を分け、適用範囲・対象者を明確化した方が良い。
- 章立て・項目はチェックリスト形式に再構成し、「オーケストレーション」等の独自用語があるため、巻頭に用語集を設けるべきである。
- AI類型について、人間が関与する位置づけ(意思決定・業務補助)、倫理整理(功利主義・ケアの倫理)を示し、弱者配慮・個別性への目配せを設計に織り込む指針を記すべき。
- エンドユーザーが関与しない予算シミュレーション等の内部意思決定用途もスコープに含めるべき。
- インクルーシブデザインについて、アクセシビリティやユニバーサルデザインとの違いを整理し、ステークホルダー共創・当事者起点のエッジケース設計と影響評価、対等な発言の場づくりを明記した方が良い。
<ガイドブック全体・その他>
- ガイドブック全体として、行政サービスの対象となる類型を最初に明示した方が良い。主な対象者は中央省庁の行政職員と記載があるため、行政サービスを作る側の方が、その範囲や類型を把握できるようにすべき。
- 行政サービスとデザイン双方の類型化を行い、対象とデザイン段階(リリース前/運用改善/窓口改善等)を噛み砕いて示した方が良い。
- ガイドブック自体をサービスと見なし、行政職員によるフィールド調査等で反復的にアップデートが必要である。
- 運用ガバナンスの具体化は誰がいつ何を作り、承認し、是正するかの枠組みを一層具体化の余地がある。
- 根拠を明確にする必要がある。JISやISO、EUの規制(AI Act など)との関係性を整理し、誰でも根拠を示せるようにしておくべき。
- サービスデザイン輸入以前からの日本における市民協働の歴史を事例として追記し、日本型の実践を位置づけることを提案したい。
- AI前提の編集は分量制約を気にせずケース・対象者を増やせる構造を提案したい、一方でAIと共同で使う前提に最適化したフォーマット(最初に使い方や心得、事例の掲載、ケース別に関連箇所だけ読み込める構成等)を検討すべき。
- 個人のみならず地域コミュニティのケイパビリティを視野に入れ、国と自治体のフィードバックループとSLOC(Small, Local, Open, Connected)的横展開の促進が必要である。
- S-DロジックがG-Dロジック(グッズ・ドミナント・ロジック)からの単純移行として誤解されないよう、レンズとしての位置づけをより明確にすること、英訳の同時公開で国際参照を狙うこと、読者ターゲティングと難度調整を進めることを提案したい。
- ケイパビリティを個人に過度に寄せず、コミュニティや相互扶助のネットワークによって達成される側面も大切にすべき。個人単独で到達することを唯一のゴールとしないメッセージを望む。
- 外部の人も情報を共有し共創できる設計、ユーザー像の可視化、当事者検証・意見反映、バイアス抑制の組み込みを求めたい。
- AIと人間のインタラクションに関するフレームワークが共有・確立されていない現状を踏まえ、日本としての考え方を策定する審議の場を設け、予算化・プロジェクト化して進める必要がある。
- ガイドブックの利用者像と活用例を具体的に示し、AIに限らず多面的観点を含め、先を見据えて共創していく必要がある。
以上