デジタル庁情報システム調達改革検討会(第6回)
概要
- 日時:令和4年12月20日(火)13時00分から14時30分まで
- 場所:オンライン
- 議事次第:
- 開会
- 議事
- 第6回検討会の進め方
- デジタルマーケットプレイスに関する提言およびデジタル庁の検討の方向性について
- 残存課題への取組み方針整理
- 自由討議
- 閉会
資料
- 議事次第(PDF/265KB)
- 資料1 第6回検討会の進め方と各論点の概要について(PDF/1,077KB)
- 資料1 (別紙)各論点に係る現状・課題等の詳細について(PDF/2,030KB)
- 資料2 デジタルマーケットプレイス オープン・タスクフォース提言案(PDF/2,005KB)
- 議事概要(PDF/1,148KB)
関連政策
調達における公平性・透明性の確保/新技術を活用するための調達改革
議事概要
日時
令和4年12月20日(火)13時00分から14時30分まで
場所
オンライン
出席委員
梶川委員、有川委員、川澤委員、木村委員、坂下委員、隅屋委員
議事概要
隅屋委員から論点B-2「システム調達プラットフォームの整備」について、世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター主催の「DMP オープン・タスクフォース」で検討いただいたデジタルマーケットプレイス(DMP)に関する提言のご発表をいただいた。その後、デジタル庁よりDMPの検討の方向性の説明がなされ、各委員による自由討議に移行した。
後半は、事務局より「デジタル庁における一者応札対策」、「オープンソース化」について説明があり、論点の説明後自由討議に移行した。各委員からの主な意見は下記のとおり。
「デジタルマーケットプレイスに関する提言およびデジタル庁の検討取り組みの方向性」について
DMPを導入、実現するのは市場を作り選択肢を増やすことであり、競争がうまれることなので基本的に賛成である。デジタル庁で導入していく中で検討を進めることにも賛成であるが、将来は自治体に広げていくことになると思う。自治体で実施していく時には、一番オーバーヘッドが掛かるのは会計当局への説明だと思う。そこをいかにスムーズにできるかを考えていただきたい。
アプリケーションソフトウェアを導入することになるので、BPRが関係すると思う。BPRをきちんと実施しアプリを導入するということをガイドライン等に示す等を実施しなければ社会実装は困難であると思う。
SaaSであるため、セキュリティの部分やデータの場所といったデータガバナンスがきちんと効くかどうかを選択肢に入れておく必要がある。特にデータロケーションの部分はルール上、記載してほしい。
導入と施行については賛成。アウトカムについて、調達価格の減少とあるが、事例で把握することは可能だとしても全体としてどのように把握するのか。フレームワーク合意方式(FA=Framework Agreement)の合意価格と従来単価の比較であれば可能だとは思うが、初年度の効果が出ても、継続的な効果をどのように見出していくのか。やはり初年度導入時の効果は価格でも、二年目以降は参加機関の増加や、それに伴う単価の低下など、少し効果のフォーカスを考えていったほうがよいと思う。
今回SaaSとクラウドサポートの調達対象とのことで現実的だと思うが、一方で、イギリスでの効果については全体を対象にした効果のため、今回2つを対象にしてどのくらいの効果を見込んでいくのかというところは示していったほうがよいと思う。効果があると言いながら、実際に効果がなかったとなると勿体ないため、あらかじめどのぐらいの効果を目安にしていくのかということは考えた方がよいのではないか。
LGWAN接続についてDMP掲載を対象外としてはどうかという話があったが、原則としてインターネット環境をデフォルトとすることは賛成だが、「対象外」とすることは厳しすぎないかという印象を持った。排除されることで苦情申し立てのリスクもあると思うので、そういった接続を前提としたSaaSは利用されなくなり、市場から淘汰されることが望ましいプロセスだと思う。
事業者の情報登録の部分で、どのように登録プロセスを設けるか、という点はチェック機関側の事務負担の兼ね合いだと思うが、幅広い行政機関が利用することを見越すと、ある程度FA締結の際にバックグラウンドのチェックや利用規約のチェックは、デジタル庁側で実施したほうが、利用者は参加するメリットがあると感じると思う。参加機関を増やすことが重要だと思うので、利用機関側の事務負担の軽減に配慮してもよいと考える。
価格の登録、変更について、キャンペーン的に一定期間上げたり下げたりすることはあると思う。FA締結時の価格を上限にして、上げたり下げたりといった柔軟な対応もできるのではないか。
価格は行政機関に全て公開、他の事業者には非公開とあるが、契約情報としては開示されるということでよいのか。契約情報が開示されないと公共調達の情報の透明性の問題が出てくるので、開示する必要があると思う。
検索比較したことを以って競争性を担保するとあるが、検索比較が実質的な競争に値するように行われているかをどのように担保するのかは、一つの課題だと思う。
デジタル庁については、隅屋委員のご説明でも制度のところで、調達手続の整理というお話があったが、FAと書類の統一等の横串で共通化すべきところは速やかにご対応いただくのがよいのではないか。仮にDMPの仕組みも、見積り合わせの随意契約であれば、深く整理しなくとも実証段階で運用可能なのではと思う。そのような整理をしなくとも運用ができるところは何かを考えてもよいと思う。
DMPは制度として賛成。DMPの対象としてSaaSから始めるのはよいと思うが、外国の例を見るともう少し広い範囲(構築サービスなど)も対象にしているところがあり、実際、アジャイルやガバメントクラウドと親和性があるものだと思うので、長期的にはそれらも対象となるよう進めていただきたい。
資料のP.11について、今回のDMPを始める行政機関の範囲は、地方自治法等との関係でどこまで広げられるかは、法令と対照しながら検討する必要があると考える。
デューデリ(資格チェック)について、事業者の側に宣誓させるのみということだが、反社チェックについては、ランク付けの登録審査の段階でも内部的にはチェックしているものもあり、それくらいは実施したほうがよいと思う。
利用規約のチェックについて、デジタル庁が全くチェックを行わない場合、自治体も関与するとなると使いづらくなってくると思う。少なくとも重要なポイントを抽出して事業者に提示させておく、例えば、責任の範囲や免責の範囲、個人情報の取り扱いといった部分については一律として提示させるようなマニュアル、登録する段階でそれを提示させるような運用にするのがよいと思う。
作られたプロトタイプについて若干の懸念がある。プロトタイプ自体を見ると登録した事業者の側が使いやすいということが強調されているが、あくまでDMPは調達する側の利便性のためのものであり、冒頭で指摘されているように透明かつ迅速な調達をするものであり、透明性担保を重視していただきたい。特にタグ付けなどを機能として持たせると、まじめに記載したところが損をしたり、そのための対策のマニュアルやコンサルが出回ったり、余計なところで競争が働いてしまうと思うので、より公平で、新規に参入した方も公平感を感じられるようなシステム設計とされたほうがよいと思う。色々な議論があるとは思うが、例えば最終的な検索の段階では、事業者が見えない中で検索をかける、といったことも一案であるかと思う。
カタログなどを作ったうえで調達をするとよくありがちなのが、特定のサービスに向けた仕様書になってしまう問題があり、DMPでもそのような問題が生じやすいと思った。しかし、そのような問題は今までの実際の調達でもある話であり、行政機関にアクセスしやすい組織だけが優先され、そこに向けて仕様書が作られ、分からないうちにそこが調達してしまうこともある。一見するとDMPの問題かのように見えつつも、実際今までの調達全体に対する問題もあると思うので、その辺りで批判されることで本制度の導入が止まらないよう、丁寧に分析し、進めてほしい。
DMP導入、施行については基本的に賛成。導入にあたって各行政官庁などの賛同を得るためにはアウトカムの精査が肝要になると思うので、導入後の施行の段階におけるアウトカムについても精査していく必要があると思う。
1点強調したいのは、DMPの導入の目的が、スタートアップ企業を中心とした参入業者をなるべく増やしたいことと併せて、発注官庁と受注業者の負担を減らしたいということ、そのような狙いで本制度が検討されているということだが、カタログサイトについては色々と工夫し、参入業者の開拓という目的に沿った仕掛けをやっていけると思う。しかし、カタログサイトに載った事業者について、どの事業者をチョイスするか、ヒアリングを実施したり、検索を行ったりすることで可能なのだとしたら、今の入札制度そのものが何をやってきたかということになるので、そう簡単には進まない可能性もある。各委員からも指摘があったが、業者の選定における透明性、公正性の確保のためには、コスト削減ということをあまり主張せず、きちんと透明性・公正性をきちんと担保できるような制度設計にしなければならないのではないか。これから制度設計をして施行していくときに一番注意しなければいけないのは、カタログサイトに登録された業者についての選定過程の透明性と公正性をどう確保するのかが一番ポイントになると思う。そこにじっくり取り組んでいただければと思う。デジタルマーケットプレイスの中だけでどういう制度にするか、と検討するのではなく、全体の調達の仕組みの中で、DMPを他の調達制度やセキュリティに関する制度との整合性・関係性を踏まえてどう位置づけるか、諸制度とどう連携を図るのかという視点が重要である。今回の「DMP オープン・タスクフォース」の検討スコープからは外れていたが、導入に向けてこの点についても引き続き検討して頂きたい。
「デジタル庁における一者応札対策」、「オープンソース化」について
一者入札の問題は平成18年の随意契約の大幅見直しの過程の中で登場し、一者入札という用語がクローズアップされた。一者入札を解消しなければいけないということは、公共契約の根本にある公正性、経済性、透明性をいかに確保するかという根本的な問題とリンクする課題である。そのこともあり、各省庁が行革事務局と一体となって、平成20年以降、重点的に一者入札問題の改善に取り組んできたという経緯があるが、この5、6年はより効率的な改善策を立てるため、契約の類型別に一者入札の原因をきめ細かく分析し、原因分析に基づく改善策を提案し、各省庁で情報共有するために連絡会や勉強会を設けてきたが、残念ながら、契約類型のうち情報システムの調達だけがベンダーロックインなどの問題をはらんでいることもあり、最も改革が遅れてきた状況にある。そうした中、今年2022年2月に公正取引委員会が実態調査を踏まえた原因分析、ベンダーロックインにある程度フォーカスした原因分析をし、それを踏まえた具体的な提言を行っている。最も遅れてきた情報システムの一者入札におけるベンダーロックインについて、公正取引委員会が実態を調べ、投げてきた提言を早く受け止め、デジタル庁だけではなく官公庁の参考になるようなガイドラインを作成するような分析と具体的な提言の作成に入ることが、一者応札問題への取り組みとして一番求められているところではないかと思う。
一者入札の分析の際、事業者に対しヒアリングすることは多いが、調達担当に翻ってヒアリングしてみると事情が異なることが多いので、そこはしっかりと調達担当へ確認し対策を検討したほうがよいと考える。
オープンソースを段階的に進めていくことは賛成。秘密情報の範囲やセキュリティの問題もあるので、それぞれ公開できるレベル感があると思う。ただし、できる限りオープンソースの求められているイメージを広げるため、せめて自治体までは公開範囲を広げた方がよいと考えている。また自治体に加え、可能であれば、一定のルール、例えば秘密保持に同意した方、情報をもらう方の身分を証明できた方だけが参加するコミュニティを作成し、そこで公開するということも一案であると考えている。
秘密随契ではないシステムについては、お互い共有できるものを作るとよいのではと思う。例えば、特定の省庁間でオープンソース化する際、制度を作っただけでは、自分たちがオープンソース化したいシステムだけを対象にする可能性もある。そうではなく、自分たちで開発したシステムの一覧を各省庁から提示させ、お互いにこのシステムはどういう内容か指摘し、可能であればこのシステムオープンにしてほしい、という共有制度を作ることができたらオープンソース化が省庁内部でも広がると思うし、広く活用されていくのではないか。
一者応札の防止に向けてというところで、今回は仕様書を分析し、見直すということが大きな検討対象だと思うが、一者応札の防止に向けた対策としては仕様書の見直しだけではなく、入札説明書の取得者が少なければ、追加的な声掛けをするとかRFIとか、一者応札の防止に向けた対策というのは、仕様書の見直し以外もあると思う。言わずもがなとは思うが、現在の記載内容では、仕様書のチェックすべき事項の整理だけで施行すると読めてしまうので、チェックすべき事項やプロセスの整理を行ったうえで施行を検討することがよいと思う。
オープンソースの活用を受託事業者に求めていく予定、とあるが、受託事業者側の立場からすると、それがどのように活用されるか分からない中で求められていくと、きちんと提供出来るのかというところが懸念したため、丁寧な対話が必要だと思う。それによって参加意欲を低減してしまうともったいないと思う。
一者応札は決して悪いことではなく、仕様書を出したときに一者しか応札できない環境になっているかどうかが問題。仕様書の分析だけではなく、プロセスの分析もしっかり実施していただきたい。調達部門から言われて書き直したことによって、一者応札になっている例もある。
オープンソースについて、バイデン大統領がオープンソースの管理に関する大統領令に署名しており、SBOM(Software Bill of Materials、ソフトウェア部品表)という方式をアメリカは採用している。日本もこの検討をしっかりと実施し、オープンソースの品質を捕捉するようにしておいたほうがよい。
一者応札について、仕様書の分析のみではなく、アーキテクチャの観点から一者のみの参加しかできない構造になっていないかを分析することも重要だと思う。例えば、今回の公正取引委員会のレポートでいうと、ネットワークレイヤーを見るとこのネットワークを提案できている事業者が数社しかいないような場合はその事業者に合わせた仕様にしなければならない、といった構造的な状況もITシステムの調達においては生じていると思うし、そのような点を分析できる人材育成と視点の共有が非常に重要だと考えている。
オープンソースを段階的に進めていくことについては賛成。ただし、そのときにどういった形でソースコードを共有するのかとなったときに、例えばどのようなプラットフォームや仕組みを使うのか、GitHubのようにプルリクエストができるようにして互いに改善ができるようにする、など、どのようにソースコードを共有し、行政間でのコラボレーションをしていくのかについては工夫のしどころがあると考えている。また、UI/UXの観点で、政府自前で共有のプラットフォームを作ることは困難なことだと思うので、民間のサービスを積極的に使っていくのがいいのではないか。
OSSは単純にオープンソースをお互いに共有するだけではなく、その中で育っていくコミュニティや知の交換、イノベーションと非常に密接に関わるところだと思っている。アメリカだけでなく、中国もオープンソースのコミュニティやルール作りに非常に力を入れている。OSSの公共調達は、今後の競争力や産業政策という意味においても、日本においてオープンソースをどう位置づけるのかと非常に密接に絡み合う部分であると考えている。オープンソースコミュニティの文化やコラボレーションのやり方を知っている人材が官の中にも一定数いること自体が、日本の中央省庁や地方行政をアップデートすることに繋がるので、すでに民間企業では実施しているような、もっとオープンソースコミュニティに積極的に参加できるような労働環境やインセンティブ付けを省庁や行政の中に取り入れていくことを検討してもいいのではないか。
その他全体に対するコメント・追加意見
- オープンソースについて、省庁間で公開しあうことは権利上問題があるのではという前提で議論されることもあるが、そもそも国の調達は国単位で行っているもので、各省庁どこで調達を行っても契約主体は国であるため、厳密に見ると論点が異なる。理論的には、省庁間でソースをオープンにしあうことは内部の問題であり、権利上は関係がないはずである。そこが事業者の理解と実態がずれているので、解消に向けてその点をアピールすることがオープンソース化に向けての重要なポイントになると考える。
以上