デジタル庁情報システム調達改革検討会(第5回)
概要
- 日時:令和4年11月7日(月)13時00分から14時30分まで
- 場所:デジタル庁共用中会議室
- 議事次第:
- 開会
- 議事
- 第5回の位置づけと進め方
- 施策の方向性
- 自由討議
- 閉会
資料
関連政策
調達における公平性・透明性の確保/新技術を活用するための調達改革
議事概要
日時
令和4年11月7日(月)13時00分から14時30分まで
場所
デジタル庁共用中会議室
出席委員
梶川委員、有川委員、川澤委員、木村委員、坂下委員、隅屋委員
議事概要
事務局から前半、後半に分けて施策の方向性に関して説明があり、それぞれに対して自由討議を行った上、最後に補足コメントや追加意見が出された。各委員からの主な意見は下記のとおり。
「施策の方向性 ①機動的・柔軟な調達手続きの改善」について
資料P10について、要求事項は書かれているが、現場では何をもって十分か判断することが必要で、十分条件の資料を用意する必要がある。
資料P10について、日本版フレームワーク合意方式のスキームは、調達の効率化、時間の短縮に有効だと思うので、早期に検討していただきたい。
調達手続きの改善については情報システム固有のものではないが、アジャイル開発は情報システム特有の問題提起だと思うので、十分意識を持ってもらえるようアピールしていただきたい。アジャイル開発において最も重要なのは、いかに施行する範囲を決めるか、施行した範囲についてしっかりと検証し、フィードバックをするかである。アジャイル開発の定義と必要性の根拠を明確にしておくと、目的がクローズアップされ、どういった内容を契約の目的とするかが明らかになり、契約の執行過程における契約変更が的確に行われてくるだろうと思われる。従って、入り口での業者の選定における公正性・透明性の確保も定まると思う。又、検収の実施タイミングと会計法令で求められる項目についても、定まって来るのではないか。
フレームワーク方式のスキームを検討し、早期に導入するのは賛成だが、中期的な施策は、独立行政法人や自治体、国立大学、学校教育機関などが幅広くこのフレームワークに参加することで、効果が発現されるものだと理解している。
クラウドサービスの円滑な契約促進について、「事業を勘案して複数年契約の利用を検討する旨をガイドする」という文言は、ガバメントクラウド以外のクラウドサービスの契約における部分だと思う。ガバメントクラウドとの関係を整理するという意味で、ガバメントクラウドの対象にならないサービスについて言及していることを明らかにした方が良いのではないか。
資料では、アジャイル開発とクラウドサービスが一緒に議論されているが、契約上の問題は別物である。クラウドサービスはライセンスを受ける契約であり、アジャイル開発は責任分解点の問題が出て来る話である。両者をきちんと類型化した上で、契約書の作成、仕様書の作成を進めて頂ければと思う。
「施策の方向性 ②システム調達における発注者側の能力向上」について
ひな型を作成しても、現場にインプリメンテーションしなければならない。やり方をよく考えてほしい。
検討会では幅広い論点を扱っているが、特に重要なポイントとして発注者能力の向上が挙げられる。資料P40などに中期的施策をどこから施行するかが書かれているが、最低限のシステム調達に関する組織の習得を目的としたセミナーの開催等も書かれており、非常に重要だと思う。こういった重要な取り組みはデジタル庁から始めることになるとは思うが、どのようなタイミングで全省庁に広げ、どういったスピード感でやっていくかも同時に検討していただけるとありがたい。特に、今すぐ始められるものは、幅広く始めて頂きたい。
発注者側の能力向上は、情報システム特有の大きな問題である。デジタル庁は、まさに情報システム調達に特化して検討しているので、ノウハウや人材が集まっているが、敷衍して行く各省庁においては現状、システム調達におけるシステムと調達の専門分野が乖離しており、両方できる人材や組織がまだ整備されていない。いかに効率的に、各省庁が情報システムの調達を実施していくノウハウを蓄積できる体制・人材を構築・育成して行くかが、これからのキーワードである。
発注者側の知見、経験の蓄積は非常に重要と思っている。中期的施策の3つ目で調達実績情報との記載があるが、何を作るのか、用語を整理すべき。調達実績情報について何らかのデータベースを作り、これまでの話を踏まえて利活用方法について検討するということだと思うが、これまでも色々なデータベースを作って活用されないというような経験があるため、必要なものを統一的に作ることが分かるように、何を作るかを一目で分かりやすく記載したほうが良いのではないか。
システム調達における発注者側の能力向上について、短期的施策としては同意するが、仕様書の作成、研修の実施というところでストップしがちである。中期的施策の調達相談窓口設置が重要だと思っている。日々の業務の不安点を聞き、改善を図っていくことが一番実地に合った成長が見られると思う。現場でしっかりと根付くようなシステムを作っていただきたい。
「施策の方向性③ 中小・スタートアップ企業の参入機会拡大」について
中小スタートアップ企業の参入拡大は進めて頂きたいが、一者応札を解消するための施策と、高い技術を持つ中小企業を支援したいという政策は違うため、そもそも参入企画の拡大は何を目的とした拡大なのかを整理した上で、具体的な施策を考えて頂きたい。
損害賠償額の上限が無い契約について、上限を入れられるように議論を進めて頂きたい。そうでなければ、中小企業とかスタートアップの参入がしづらい状況が続くのではないか。
再委託を活用する点は、当面の対応と書いて頂いているので違和感はない。ただし、中期的施策として、中抜きを防止する再委託に関するガイドラインを整備するという項目があると思うが、再委託を活用する時に中抜き防止策が求められるかと思うので、ガイドラインも短期的な施策に取り込むかどうか検討の余地がある。
中期的施策の3つ目に様式の統一があるが、事務手続きの簡素化において重要だと思っている。そうでなければペーパーレス化・デジタル化が本来の意味で実現できない。実務的には大変な部分かもしれないが、法令上拘束されていないため短期に盛り込むことはできないだろうか。
③と④の論点が重なっている、あるいは③が④の全体を包むような問題提起に見える。もし③の軸足が産業育成の方にあり、④は公共調達の透明性の方にあるならば、もう少し整理して明確に記して頂きたい。
参入機会の拡大は、情報システム固有の問題ではなく、公正性に軸足を置くのであれば、公共調達全般に言えるものだと思う。新しいプラットフォームの試みが、一番大きな問題提起が出される部分だと思った。プラットフォームの構築については、従来似たようなものとして公共事業の部門における受注可能業者の登録制度や、行革事務局が主導し、各省庁がそれぞれの発注業務の中で、受注可能業者を可能な限りリストアップして、公正に事業者を選定していこうという手続き等が取られてきているが、それらとどう連携して行くかも考えつつ問題に取り組んでいただければと思う。業者を登録する際、最終的に業者の選定する際に、公正性・透明性に欠けるところがないかも念頭に置いてプラットフォームの構築を進めて頂きたい。
中期的な施策の中に責任分解点という言葉が出て来る。10月31日に総務省が作成したクラウドサービスの提供に係るガイドラインにも責任分解点がまとめられている。参照できるようにしてもらいたい。
「施策の方向性④ ベンダーロックインの排除」について
中期的施策の1つ目でソースコードの開示やセキュリティの確保という項目があるが、法的な観点からは、NDAを結んで秘密保持契約を結んで部分的にオープンソース化する、官公庁の間だけでは利用可能にするといった解決方法もあるのではないかと思う。具体化して考えていただきたい。
知的財産権に関して、法令の限界はバイドール法などが関わって来るかと思うが、今は何がどこまで可能で、何が障害になっているかを整理して、法改正も含めて検討したほうが良いのではないか。
資料p9の将来像を見ると、ベンダーロックインの排除の所に、RFIやコミュニティにおけるやり取りとソースコードの話が記載されている。RFIやコミュニティにおけるやり取りも主な施策に取り込むべきではないか。
ベンダーロックインの排除の議論のきっかけは、公正取引委員会の今年の2月の調査結果だと思うが、具体的な問題が各省庁のアンケートやヒアリングに基づいて提起されているので、速やかに、具体的なガイドラインの作成に入ってもよいのではないか。拙速になるのは避けたいが、具体的な問題を公正取引委員会が問題提起しているので、できるだけ早期に問題点を検証した上で、ガイドラインの作成に早期に取り掛かっていただきたいと思う。
米国ではNIST がソフトウェア のサプライチェーンのフレームワークを作り、去年、下院でサプライチェーンのマネジメントに関する法律が可決された。セキュリティに関しては特にしっかり担保ができるような仕組みを考えておく必要があると思う。
「施策の方向性⑤ 内部統制等による透明性の確保」について
情報システム固有の問題では無く、公共調達全体に関係するが、情報システムに関しては、過去のODBの失敗の反省・教訓があまり生かされてないように思う。情報システムについての実績をどうまとめて公表し、各省庁で情報共有するのか。デジタル庁が如何にそれをガイドラインに引っ張っていくか。コスパにあった適切な制度設計、透明性と共に、実績登録を進めていくようにしていただきたい。
中期的施策に、「外部に開示する情報を検討する」とあるが、データをシステム間でやり取りができるように、例えばサプライヤーデータの企業に、一意の参照識別子のようなものを付けたり、調達情報システム間のデータ連携や、国際標準のデータスタンダードを用いることで、各国との差別化・比較も出来るようになる。調達情報を整理して行くにあたって、初めからデータスタンダードを意識すると言うことが非常に重要だと思う。システムを検討する際には、識別子整備、データ標準の整備も考慮いただきたい。
PDCAサイクルの実効性を担保するために、サポート部門と監査部門が連携する点は、非常に重要だと思う。監査が調達を進める側の足枷にならないよう、前向きな観点を持って、サポートすることが非常に重要だと思っている。名前を監査部門としてしまって良いのかも含めて、マインドセットの部分、視線の部分について、再度強調させていただきたい。
システム調達情報の明確化とあるが、今の調達ポータルがそもそも検索しづらいので、直していただきたい。又、調達の参加資格を緩和するのであれば、なぜ中小企業が見に行かなくてはいけないのか。調達参加資格があることを伝える仕組みがあっても良いのではないか。GビズID等の仕組みを応用してはどうか。
その他全体に対するコメント・追加意見
デジタル庁の事務局としても何が出来るかを検討していく中で、法改正が必要なのか、今の法律で可能かが不明確で、手続きが止まってしまう所もあるのではないか。法改正が必要な部分について、報告書に委員側から法改正が指摘を盛り込みたい。
デジタル庁で施行する内容が非常に多いが、施策の中にもプライオリティを付けていく必要があるかと思っている。今後報告書を取りまとめる中で、何を優先していくかは議論していく必要があるかと思っている。報告書で取り上げたことが実現されるよう、注意していただきたい。
スタートアップ企業の関係で、プッシュ型の参入促進は重要だが、透明性のある形で公共調達に取り組むことが重要だと思っている。仕組みを検討して欲しい。
短期・中期施策に分かれているが、どのタイミングで中期に移行するか、本当に実行できるのか、実行可能性が何%か、施策が進んでいるといった点を示すことが非常に重要だと思っている。少しずつでも改善されていることを示していくことが、国民に対する信頼構築のチャンスである。是非検討いただきたい。最初からウォータフォール的にロードマップ通りにやる必要はないが、進んでいることを報告・紹介できる場があれば良いと考える。
別組織にルールの実行を求めるのは難しいことだが、行わなければ全体最適にならないと思う。デジタル庁で施策を施行しつつ、民間にも意見を聞いて、軌道修正をしながら入れ込むという作業も計画をしておく必要がある。
提案書を書くための手本が無くて困っている企業もある。例えば企業間の交流や、官側からのテキストの提供で書き方を教えていくのか。この課題を改善して頂けると、ベンチャーや中小企業がもっと手を挙げて、活力がある調達になるのではないか。
提案書が書けなくとも技術力が高い場合、それをどう評価するのか等、評価の在り方を改めて考えてもよいのではないか。発注者目線だけではなく、サプライヤー目線にも立って、表現しやすい評価方法は何であるのか色々な仕組みを考えるのが重要ではないか。
以上