オープンソース化・OSS利活用に関する有識者検討会(第1回)
概要
- 日時:令和7年(2025年)11月18日(火)13時00分から14時30分まで
- 場所:オンライン(Microsoft Teams)
- 議事次第:
- 開会
- 議事
- 令和7年度 情報システム調達におけるアジャイル開発やオ ープンソース化等に係る調査等業務について
- 有識者検討会について
- 昨年度の振り返りとゴール
- オープンソース化:公開範囲の整理
- OSS 利活用:促進要素の整理
- 今後のスケジュール
- 閉会・諸連絡
資料
- 議事次第(PDF/240KB)
- 資料1 オープンソース化・OSS利活用に関する有識者検討会の開催について(PDF/223KB)
- 資料2 オープンソース化・OSS 利活用に関する有識者検討会(第1回)事務局提出資料(PDF/1,717KB)
議事概要
日時
- 令和7年(2025年)11月18日(火)13時00分から14時30分まで
場所
- オンライン(Microsoft Teams)
出席委員
- 庄司座長
- 今村委員
- 中村委員
- 岩原委員
- 外山アドバイザー
- 鈴木アドバイザー
概要
事務局から検討会の背景と目的、調査の進め方について説明があった後、討議が行われた。各委員からの主な意見は以下のとおり。
「オープンソース化:公開範囲の整理」について
- 「どこまで公開すべきか」という問いが立てられているが、その答えを、一律に決められるものではないと思う。内容や目的によってどこまで公開するかをタイプごとに整理するのが、現実的ではないか。場合分けや条件を探りながら議論していく必要があると感じている。条件を付けすぎて誰にも使われなくなってしまうことがないよう注意が必要だと考えている。
- 公開範囲は、OSSの特性によって異なると考えている。これらをマトリクスで整理することで、最適な対応が見えてくるため、最終的にはインナーソースの議論にもつながっていく。
- 行政のリスクとして2点考えられる。1点目は、行政では1〜2年でジョブローテーションが実施され、メンバーが変わる頻度が高いことである。2点目は、予算が基本的に単年度で組まれているため、開発で予算が一度切られ、運用では新たな調達が発生するという点で、開発と運用がシームレスにつながっていない現状がある。これにより、どちらのフェーズも同じベンダーが受注しやすく、いわゆるベンダーロックインの問題が生じやすい。
- 他委員の意見の通り公開範囲はケースバイケースだと思うが、一定の基準はあると考えている。チェックリスト等を作成し、各府省庁でオープンソース化を検討する場合に応用し、整理してはどうか。
- 民間と公的機関でのオープンソース化の大きな違いは、「メンテナーを誰が担うのか」という点だと考えている。民間業者に委託した場合、インナーソースのように各府省庁・自治体に限定公開するケースでは、ベンダーにメンテナーを委託した場合、ベンダーに知見が集中してしまい、結果的にそのベンダーが非常に有利な立場になってしまうことがある。こうした問題をどのように解決するのかを考えていく必要がある。
- 諸外国では、インナーソースを経てオープンソース化するという流れが見受けられ、オープンソースの準備段階として取り入れているケースもある。インナーソースはオープンソース化への準備体操のようなもので、既にマインドはオープンソースに向かっていると言える。諸外国がインナーソースをどのように導入しているかは様々で、実際に準備体操として位置付けているケースもあれば、そのまま内部利用に留まる場合もあるが、基本的にはオープンソースレディネスという考え方が根底にある。
- 公開範囲が各府省庁までの場合はオープンソースライセンスの細かい適用は必要ないが、自治体に広がると、何らかのOSSの制限や義務を受ける。さらに一般公開にまで広げると、制限や義務の範囲も広がる。加えて、著作権だけでなく、特許ライセンスが含まれているOSSを利用すると、国や自治体が保有する特許権についても、場合によっては無力化してしまう可能性がある。知財管理については、事務局提出資料にも記載されているが、そこまで対応できるのか、疑問に感じる。特許ライセンスについてはクリアなライセンスを選ぶことで対応できるとは思うが、公開範囲が広がるほど権利関係の問題が発生しないか、懸念している。
- ライセンス面での整理と、資産としての整理が必要だと思う。この辺りが、公共分野でも産業界でも、財務・法務・セキュリティの三大懸念事項だと認識している。
- オープンソースを公開した後、コミュニティが形成されるが、コミュニティの運営を中立的な団体へ寄贈するということが様々な業界で起こっている。業界共通の課題を解決するため、また、より多くの人を集めるために、中立的な団体にコミュニティを寄贈し、コミュニティをさらに大きくすることで、得られるメリットを最大限にするという最終形態がある。
- 日本版バイ・ドール制度についても今後整理していきたい。経済産業省が発表しているが、この制度を引用して国立研究開発法人が利用規約を設けている事例があり、OSSのオーナーについて、開発を行ったベンダーのものなのか、発注した行政のものなのか解釈が曖昧になっている。
- 行政として、権利侵害については重要視すべきである。知的財産や知的財産権を含め、権利化するかどうか、事前の権利クリアをすべきだが、困難であると想定される。
「OSS利活用:促進要素の整理」について
- 本論点である「OSS利活用を促進するための要素は何か?」について、全てがOSPOの役割だと考える。公共分野ではOSPOの実績がないので、どのようなリスクや懸念があるのかは不明。
- 産業界のOSPOは部署横断型であるため、人材育成の話も関係するが、最終的にはOSPOをどのように評価するかという点に行き着く。現状、挙げられている活動はすべてOSPOで集約可能と考えているが、実際に活動を行った場合に、正しく評価される仕組みは今のところない、という認識。
- 産業界では、オープンソースの取り組みは主にR&D部門が担っていることが多いが、直接的にすぐ利益が発生するものではなく、コストセンターと言われている。そのため、投資の優先順位が下がる傾向にある。長期的に見れば、オープンソースの活動には間違いなく大きなメリットがある。しかし、数値としての利益がすぐに見えないため、活動自体が軽視されるケースが少なくない。おそらく、評価制度や評価指標、例えばオープンソースに関わる人材や活動に対する評価基準が存在しないことが要因ではないかと考えている。
- ベンダーロックインについて、資料に5つほど項目があったが、発注者側のマインドセット、つまり発注者がベンダーに依存しないという考え方が重要だと考える。それによりベンダーロックインの排除が実現できる。発注者側の意識改革がOSPOの1つであり、そういった取り組みが重要だと考えている
- 一番重要なのはマインドセットだと思う。「オープンソースファースト」といった考え方を持たなければ、現状は変わらないのではないかと感じている。時価総額の高い海外企業のOSPOでは自社の製品開発プロセスにオープンソースコミュニティと適切にコラボレーションすることを組み込んでいる。例えば、サービスを作る際に積極的にオープンソースに関与し、自社にとって使いやすいように改善を加えていくことで、結果としてサービス開発のスピードや品質が向上している。また、企業によっては経営層全体がこの考え方を理解しており、そこが決定的な違いだと感じる。
- コスト削減については、難しい部分があるが、中長期的にはコスト削減につながるのではないかと思う。オープンソースを活用し、アップストリームファーストといった方針を取れば、結果としてベンダーに支払うよりも費用は安くなるはず。ただし、その効果をどう証明するかである。民間企業も同様で、コストのKPI管理は利益を重視している。この利益が向上したことを証明するのは難しい。コスト削減に成功している民間企業を見ると、結果的にそういった取り組みをしている。デジタル庁の中でも、意義が分かる職員がいれば、中長期的なコスト削減につながるという実感を持って、進めていけるのではないか。
- 完全に一社に依存して囲い込むよりも、オープンな方が長期的には確実に得だと言える。ただ、皆がそういった視点で見てくれるかどうかが課題。
- 上層部のマインドにかかっていると思う。民間企業もそうだが、最終的には、そうしたマインドを持った経営者がいるほうが、時価総額が上昇している傾向にあると思う。
- OSSを利活用することでコストダウンが大きなメリットとして掲げられる一方で「OSSは無料だから何か怪しいのでは」と感じる方もおり、その意識を変えていく必要があると考えている。OSSは悪いものではない、絶対にやってはいけない権利侵害は防ぐという観点から、どのように対応していくかが非常に重要だと考えている。著作権については、デッドコピーが行われているようなOSSは、現在一般的に使用されているものにはないと思うが、特許権に関しては、確認が難しい場合がある。ベンダーに発注しシステム開発を行う際には、補償を求め、権利侵害が発覚した場合に、一定程度まで責任を求めることは可能に思う。一方で、OSSの場合には、ベンダー側にOSSそのものの特許権侵害リスクまで負わせるのは難しく、開発コスト自体は下がったとしても、権利侵害がないかを確認するためのコストが増加し、結果として全体のコストがどうなるのかを検討していく必要があると感じた。
- 権利侵害の可能性が解消されれば、導入や活用がより促進されるかもしれない。逆に言えば、その部分が大きな障壁となっていると思う。
- 権利侵害やリスク管理といった点について、民間企業では、チェック済みのオープンソース一覧を管理し、社内で共有する取り組みがある。自社内にナレッジがある、あるいは外部にサポートを依頼できるオープンソースのリストを社内に広く共有し、安心してオープンソースを利用できるようにしている。こうした取り組みは、国でも導入されると良いと考える。
- フランス政府などがオープンソースのリストを作成しているという話をどこかで聞いたことがある。ただし、オープンソースのリストがあったとしても、利用は自己責任であり、責任はとれないという問題がある。
- コスト削減という言葉は微妙に感じている。所属する組織では「リードタイム削減」と表現し「早くできる」ということを先に伝えるようにしている。コスト削減という表現は誤解を招きやすい。
- ライセンスコンプライアンスについて、非常に重要と考えている。基本的に「著作権は存在する」という前提のもとで、著作者が自分の著作物をオープンにする、ライセンス、利用許諾を与えるということである。しかし日本版バイ・ドール制度の文章によって、その点が曖昧になっていると感じる。誰の著作物なのかという根本的なところから議論されているように見受けられるが、発注者が著作者であるということを、強く主張したい。
- 「権利を持つこと」と「権利を放棄すること」は異なるという点について触れたい。民間では、特許権の侵害が発生した場合の解決策として、他のOSSのベンダーが保有していると考えられる特許権を自らも多数取得し、クロスライセンスを結ぶことや、攻撃されたら反撃すると牽制することで防御することがあるが、国の場合はそのような対応を表立って言いにくいのではないか。牽制的な権利の取得や維持、OIMのような権利の傘に入ることも難しいと思う。したがって、独自に権利を持っているかどうかに関わらず、他人の権利を侵害しないようにし、サービスの継続性を守るという視点が、民間とは異なる考え方として必要なのではないか。
- コスト削減ではなく早くできるという観点が重要ではないかという意見があったが、確かに民間では欲しいものを速やかに手に入れられるという点が大きなメリット。オープンソースの場合、カスタマイズがしやすいことに加え、ソースコードが公開されているため、様々な取り組みを通じてエンジニアの技術力が向上し、技術者が主導することで開発が迅速に進むというメリットがある。一方、公共調達の場合は「オープンソースだから早くできる」と言っても、実際に民間企業が入札してくれるかは別の問題であり、そこに注意が必要だと考える。
- 文化コミュニティについて、オープンソースの利活用促進の観点から考えると、コミュニティに貢献することがオープンソースの本質だと考えている。中長期的なコスト削減も本質だが、公共調達において、コミュニティと良好な関係を築いているベンダーを優遇するなどの仕組みがあれば、民間側もやる気が高まるのではないかと感じる。民間企業側のR&Dとして貢献した実績を次回の入札時に示す仕組みがあれば、民間企業がより意欲的に取り組めるのではないかと思う。
- 諸外国では段階的に制度化を進めている。最初の段階では、調達時にOSSを優先して利用することを調達要件に組み込む、という方法がよく見受けられる。制度としてOSSを優先的に導入することを調達仕様書に明記する、というやり方。このように、まずは調達要件から始めるケースが多い。
以上