事業者のデジタル化等に係る関係省庁等連絡会議(第9回)
概要
- 日時:2025年10月2日(木)14時30分から15時30分まで
- 場所:オンライン開催
- 議事次第:
- 開会
- 議事
- Gビズポータルのリリースについて
- 行政手続等の棚卸調査について
- 商業登記電子証明書のリモート署名方式の導入について
- e-Govの利用状況及び今後予定している主な機能拡充について
- 少額物品調達業務の利用促進に向けた取組について
- 事業者のデジタル化促進及び令和7年度所得税確定申告について
- 閉会
資料
- 議事次第(PDF/65KB)
- 【資料1】Gビズポータルのリリースについて(PDF/2,839KB)
- 【資料2】行政手続等の棚卸調査について(PDF/381KB)
- 【資料3】商業登記電子証明書のリモート署名方式の導入について(PDF/2,248KB)
- 【資料4】e-Govの利用状況及び今後予定している主な機能拡充について(PDF/1,671KB)
- 【資料5】少額物品調達業務の利用促進に向けた取組について(PDF/1,665KB)
- 【資料6】事業者のデジタル化促進及び令和7年度所得税確定申告について(PDF/4,062KB)
- 議事録(PDF/379KB)
議事録等
出席構成員
議長
- 岡田智裕(デジタル庁国民向けサービスグループ審議官)
構成員
- 関禎一郎(内閣官房 内閣審議官(内閣官房副長官補付))
※代理出席:三木文平(内閣官房 内閣参事官(内閣官房副長官補付)) - 岸田里佳子(内閣官房 新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官)
- 吉田宏平(内閣官房 デジタル行財政改革会議事務局審議官)
- 久下富雄(内閣法制局 長官総務室総務課長)
- 秋庭能久(人事院 事務総局サイバーセキュリティ・情報化審議官)
- 小川敦之(内閣府 大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)
- 藤田雅史(宮内庁 長官官房秘書課長)
※代理出席:小玉光明(宮内庁 長官官房秘書課情報化推進室長) - 重松弘教(警察庁 長官官房総括審議官)
※代理出席:中村彰宏(警察庁 長官官房企画課長) - 塚田益徳(公正取引委員会 官房総括審議官)
※代理出席:鈴江司(公正取引委員会 事務総局官房総務課課長補佐) - 西中隆(個人情報保護委員会 事務局次長)
※代理出席:生田武士(個人情報保護委員会 事務局総務課課長補佐) - 西野健(カジノ管理委員会 事務局総務企画部長)
- 野崎英司(金融庁 監督局審議官)
※代理出席:川口英輔(金融庁 監督局総務課課長補佐) - 加納克利(消費者庁 デジタル・業務改革等担当参事官)
※代理出席:松本峰子(消費者庁 デジタル・業務改革推進室室長補佐) - 尾崎守正(こども家庭庁 長官官房総務課長)
※代理出席:滝澤智史(こども家庭庁 長官官房総務課課長補佐) - 山崎速人(復興庁 統括官付参事官)
※代理出席:今井忠(復興庁 統括官付参事官付参事官補佐) - 田邊光男(総務省 大臣官房企画課長)
- 滝田裕士(法務省 サイバーセキュリティ・情報化審議官)
- 三宅史人(外務省 サイバーセキュリティ・情報化参事官)
※代理出席:森田光枝(外務省 大臣官房情報システム総括課長) - 藤﨑雄二郎(財務省・国税庁 長官官房審議官)
※代理出席:菅沼哲矢(財務省・国税庁 長官官房参事官) - 今泉柔剛(文部科学省 大臣官房総括審議官)
※代理出席:石井大悟(文部科学省 大臣官房総務課行政改革推進室管理係長) - 林弘郷(厚生労働省 サイバーセキュリティ・情報化審議官)
- 伊藤優志(農林水産省 大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)
※代理出席:澤瀨正明(農林水産省 大臣官房デジタル戦略グループ参事官) - 村上貴将(経済産業省 大臣官房業務改革課長)
- 山崎琢矢(中小企業庁 経営支援部長)
※代理出席:千葉力(中小企業庁 長官官房総務課係長) - 瀧澤謙(国土交通省 大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)
- 則久雅司(環境省 大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)
- 中野憲幸(防衛省 サイバーセキュリティ・情報化審議官)
※代理出席:(防衛省 整備計画局サイバー整備課調整官) - 小牧義弘(日本銀行 業務局長)
議事録
岡田審議官: 時間となりましたので、第9回「事業者のデジタル化等に係る関係省庁等連絡会議」を開会いたします。
本日は、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
また、前回、オブザーバーとしてご参加いただきました関係機関の皆様におかれましては、第9回より正式にご参加いただくことになりました。ご調整いただきありがとうございます。
構成員として、内閣法制局、人事院、宮内庁、公正取引委員会、個人情報保護委員会、カジノ管理委員会、消費者庁、こども家庭庁、復興庁の皆様、改めて、どうぞよろしくお願いいたします。
新たなメンバーを加えまして、引き続き関係省庁等、一丸となって事業者のデジタル化等に取り組んでまいりたい所存でございますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
本日の議事につきましては、事前にお送りしている議事次第のとおり計6件となります。また、質疑応答につきましては、全ての議題後にまとめてお時間を設けますので、その際にご質問いただければと思います。
それでは、議事に入りたいと思います。
議事(1)から(3)につきまして担当よりご説明いたします。
デジタル庁の森参事官、よろしくお願いいたします。
森参事官: ただいまご紹介いただきました、国民グループで事業者手続システムの担当をしております参事官の森と申します。私のほうからは資料1から3について説明をさせていただきます。
まず、資料1「Gビズポータルのリリースについて」でございます。
デジタル庁におきましては、事業者向けの行政サービスの利用体験の向上の取組を行っておりまして、今般、事業者が行政手続を行う際に、手続情報の取得や申請の準備を円滑に行う行政システムとして、Gビズポータルの整備を進めているところでございます。
事業者の認証基盤であるGビズIDでログインをする事業者向け手続のオンライン窓口としてGビズポータルを構築することとしておりまして、令和8年3月にα版のリリースを予定しております。
Gビズポータルですけれども、大きく3つの機能を設けておりまして、1つ目が横断的手続検索、2つ目が電子ロッカー、3つ目が手続ジャーニー。
この後、それぞれ詳細には説明はいたしますけれども、1つ目の横断的手続検索は、全省庁の行政手続及び補助金の情報をこの1か所で探せるというものでございます。
2つ目の電子ロッカーは、申請者、支援される士業の方、行政機関等との間で手続の申請における書類のやり取りができるというものになります。
3つ目の手続ジャーニーは、利用シーンに応じて、複数省庁・自治体にまたがるような手続を1つのページでまとめてご案内をし、迷わずに手続をすることができるというものになります。
まず、1つ目の横断的手続検索についてでございます。検索の基となるデータは、皆様方、中央省庁の6,200人以上の職員に手入力をいただいているということでございます。手続及び補助金の概要ですとか申請の対象者等につきまして、生成AIを活用して情報を収集し、情報に属性を付加することで、利用者が直感的な単語でも検索をしても、近い意味で推論をして、必要な行政手続ですとか補助金を見つけやすくするというものにしたいと思っております。
こちらは手続検索の画面のイメージでございますけれども、こちらから全省庁の行政手続及び補助金の情報をここで検索できることが可能となります。
このページでございますけれども、左側に「小型トラクター」という検索キーワードの窓がございますけれども、例えば小型トラクターを導入したいと思っても、恐らく正確な補助金名が分かる人はそう多くはないと思いますので、この小型トラクターというものを補助金で導入したいと思ったときには、なかなか今までは見つけ切れなかったということがあったかと思います。
そこで、右側の部分でございますけれども、ここで生成AIを用いて、補助金の要項・要領や制度に関する情報等を収集・分析し、事前にタグ付けをしておきます。
また「小型トラクター」と入力されて検索ボタンが押されたときには、真ん中の部分がベクトル検索になるわけですけれども、ベクトル検索を利用して、検索キーワードを拡張して、関連するワードを幅広に検索するという機能になっております。
この事前のタグづけとキーワードの拡張としての検索を用いて、まさに利用者が求める情報を探し出すということになるのですけれども、これは皆さん、ネットショッピングをされるかと思いますけれども、そういう世界でも使われている仕組みでございまして、いかに近いところを探し出して提案できるかというところを、AIを使ってやっていきたいと思っております。
こちらは検索した検索結果のページでございまして、行政手続の例でございますけれども、AIモードをオフの状態ですと、法令名と根拠条項が表示されているというものになっております。
先ほど申し上げましたが、全省庁6,200人以上で分業して、数万ある手続を一つ一つ細かく、全部、人力で概要とかを書いていくというものは大変な作業になると思いますので、そこを生成AIで使ってみようかというのがその次のページになります。
生成AIモードをオンにいたしますと、生成AIで集めてこさせた周辺情報を表示する。そのことで、手続の概要ですとか必要な添付書類といった項目を見ることができます。
表示している内容ですけれども、分かる人が読んでいただければ分かるかと思うのですが、荒削りな部分はありますけれども、参考にならないということではないだろうと我々は感触を得ているところでございます。
本来は、やはりみんなで分業して、ちゃんと正しい情報が掲載できるように、最後まで確認するということにしたらいいのかもしれませんけれども、さすがにそこは現実問題として、なかなか難しいなと思っております。
生成AIもこれからまだどんどん進化していくと思いますので、その進化にも期待しつつ、合理的な方法を引き続き考えていきたいなと思っているところでございます。
一方で、リスクも当然あると認識をしておりまして、生成AI由来の情報を役所のgo.jpドメインのウェブサイトに載せるということになりますので、その対策をある程度やっておこうと思っています。まず、左側でございますが、利用する者に対しましては、生成AI由来の情報は不正確なこともあります。ご了解いただいた上で、表示しますかというポップアップを表示させることで、生成AI由来の情報が含まれていることを明示して、同意しないと先ほどのAIモードオンの状態にならないようにしたいと思っています。また、実際に申請をしていただく際には、各省庁のウェブサイトを参照してくださいという注意書きも記載をする方針でおります。
また、右側ですけれども、対ボットに対してですけれども、例えば上の箱に書いていますけれども、HTMLのdivタグに「data-ai-generated="true"」という属性を書いておくことで、ウェブサイトを見に来る学習用ボットに、この部分は生成AIが出力された情報なのですということを認識させて、学習用ボットの背後にいる生成AIにも喚起ができるのではないかなと思っております。現時点でこういった手法というものはまだ世界的にもなかなか標準がないと思っておりまして、今後、生成AIを使って出力された情報を載せていくということになると、こういったタグを使っていくのも有益ではないかなと考えているところでございます。
2つ目の電子ロッカーについてでございます。行政書士会と意見交換をさせていただいた中で、士業者が申請者と申請書を一緒に作成することですとか、あるいは添付書類の確認や、有効期限が切れていないかというところの確認を申請前にお互いにやり取りをされているといったときに、ウェブ上の共有フォルダなどを使ってやり取りをされていると伺いました。一方で、この共有フォルダには役所側は入らないので、結局、申請前に役所に相談をする過程で、紙に印刷をして、紙のまま、最終的に申請もしてしまうということがあるとお伺いもしましたので、それであれば、行政機関も入ってこられるようなウェブの共有フォルダがあればいいのではないかという発想から、今回の電子ロッカーというところを考えたものでございます。
電子ロッカーを実装するに当たって、もう一つの別の背景もございまして、昨年度に皆さんのご協力を得て実施をさせていただいた行政手続棚卸調査でございますけれども、日本に7万5,000ぐらいの行政手続があるということが分かりました。その手続それぞれについて、年間の申請件数の情報も取ってみたところ、このグラフを見ていただければ分かりますが、年間手続件数ゼロ、あるいは不明の手続が右下の赤字になっていますけれども、大体5万6,000手続あります。1件から1,000件未満の手続も1万5,600ぐらいあるということが分かりまして、そうすると、全体の7万5,000のうち7万2,000ぐらいが、年間の申請件数が1,000件に満たないというものになります。そういった非常に年間手続件数が少ないものに対して、それぞれにフォームをつくって申請システムを構築していくというものは非常に費用対効果が悪いかなと思っておりますので、年間手続件数がそれほど多くない手続については、共有フォルダ、電子ロッカーを使ってのやり取りをやっていただくとすればよいのではないかという仮説を立てたところでございます。
こちらの図は、事業者向けの行政手続の申請プロセス全体を整理してみたものでございます。Gビズポータルでは、各手続での申請前後のプロセスをカバーしたいと思っています。例えば行政手続であれば、代表的なものであればe-Govというシステムがございますけれども、あと、補助金について言うとjGrantsというシステムが存在しておりますけれども、Gビズポータルはe-GovですとかjGrantsの代わりになるというものではなくて、あくまで手続を探して、必要な手続を気づいていただいて、電子ロッカーなどを使って申請書ですとか、あるいは添付の書類を集めて、申請の準備をしてもらう。そういった領域での活用を考えております。
電子ロッカーの、基本的には先ほども説明したとおりなのですけれども、SharePointのようなウェブ共有フォルダで仕事の書類ですとか図などをやり取りする場面に類似をしているのかなと思っていますけれども、事業者のほかに、行政書士さんのような士業者等の支援者も電子ロッカーに入って手続の準備を行っていただき、さらに、そこに行政機関側も入って一緒にやり取りをするということを想定しております。
メールとの違いは、例えばファイルの一覧がそろって見られるということや、あるいは申請者の方はGビズIDでログインをされているので、本人確認が容易になるというところかなと思います。特に中小企業の方はフリーメールの利用が多いこともありますので、本人確認の負担がこの電子ロッカーを使うことで軽減されるのではないかなと思います。
また、図の下のところにも書いていますけれども、例えば金融機関へのつなぎ融資を申請者がお願いする場合、補助金の採択通知書といった書類を役所からもらって、それを電子ロッカーに保管をしておくことで、補助金の申請後に書類を活用するということもできるようになると思っています。
また、右側の図がございますけれども、電子ロッカーでは簡易的なチャット機能も実装することを考えております。士業者ですとか行政機関等、様々な関係者が申請の準備に当たって連絡を取り合う。それで、準備から相談、それから、資料の修正、申請。その一連のプロセスをシームレスにオンラインでできるようになるのかなと。これによって、申請者なり支援者の負担が減らせる、行政側の負担も減らせるのではないかということを期待しているところでございます。
ここは電子ロッカーの共有方法でございます。共有方法の中で我々が推奨するのは、1番に書いておりますGビズIDで指定をする方式でございますけれども、様々なシーンが考えられますので、3つのパターンの方式をそれぞれ取り入れることを想定してございます。
今度は、3つ目の機能、手続ジャーニーでございます。道のりを意味するジャーニーという言葉を使わせていただいております。もともとはITの開発用語だと聞いておりますけれども、ペルソナと呼ぶメインのターゲット層をユーザーとして設定をしたときに、ペルソナが取る行動や心理を推論して、最終的にユーザーが物事を達成するまでのジャーニーを描くという過程をモチーフに構想をしております。今回、一連の手続ジャーニーとして、このページではカフェ開業での利用シーンを書いておりますけれども、ペルソナがカフェ開業をしようと思ったとき、最初にやらなければいけないのが飲食店の営業許可で、あとは、火を使ったりするときには防火対象物使用開始届で、食品を作る場合には食品製造許可を取る必要がございます。そういうふうに、こういう手続が必要なのだということを案内していく。さらには、そこにオープンテラスをしたいと思ったら道路占用許可ですとか道路使用許可が必要になりますし、夜も営業する場合には深夜酒類提供届出が必要になる。そういうものが一覧で分かるような形にしたいと思っています。
Gビズポータルのα版では、ここに書かせていただいています3つの手続ジャーニーから始めたいと考えております。手続ジャーニーに掲載する予定の手続は、ご覧いただいたら分かるとおり、複数の省庁が所管をされておりまして、手続の情報が各省庁あるいは地方自治体でそれぞれ縦割りになって管理されていると認識をしております。そこで各省庁さん、あるいは地方自治体さんとも協力をいたしまして、手続の情報を1つのページにまとめて掲載するという取組をやりたいと思っております。この取組で、事業者さんが新しいことを始める際に、負担が軽減されて、途中で諦めるようなことがない、前向きな気持ちになっていただけると、つくる我々としては大変うれしいなと思っているところでございます。また、このような手続ジャーニーが増えていけば事業者さんの利便性も増していくと思いますし、各府省庁さんのご理解とご協力を得ながら増やしていきたいなと思っておりますので、今後ともご協力をいただければ大変ありがたく思っているところでございます。
このページと次のページは、手続ジャーニーの開発中の画面でございますので、後ほどご覧をいただければと思います。
まずは、Gビズポータルの説明は以上となります。
続きまして、資料2「行政手続等の棚卸調査について」でございます。
前回の会議で、令和6年度の行政手続の悉皆調査の結果と今後の調査についてというもので説明をさせていただきましたけれども、今回、今年度の調査に関して、改めて説明をさせていただければと思います。
まず、調査スケジュールですけれども、行政手続に関しては11月から、補助金に関しては12月から開始をしたいと思っております。最初に説明をさせてもらったGビズポータルのα版が来年3月にリリースする予定ですので、その横断検索のバックデータとなる行政手続であったり、補助金の調査を2月頃までには終えられたらなと考えているところでございます。
11月から開始をいたします行政手続調査に関してですけれども、一番下の調査方法の欄に書いていますが、昨年と同様に、オンライン調査ツール(DXS)を利用して実施をしたいと思っております。詳細については現在調整中ですけれども、今月中に各省庁のPMOさんを対象にして説明会を実施する予定ですので、ぜひ説明会に出ていただきたいと思います。よろしくお願いします。
行政手続等の棚卸調査についての説明は以上となります。
調査は各府省庁さんのご協力なしではできませんので、本件、ご協力のほど、何とぞよろしくお願いをいたします。
続きまして、資料3でございます。「商業登記電子証明書のリモート署名方式の導入について」でございます。商業登記電子証明書のリモート署名は、法務省の民事局商事課さんと共同で取り組んでいる施策でございます。今回は、代表してデジタル庁のほうから説明をさせていただきます。
まず、事業者向け行政サービス全体像の中で、認証や署名は共通的に必要とされる機能であると認識をしておりまして、現在は認証機能としてGビズID、署名機能として商業登記電子証明書を提供しているところでございます。これらの認証と署名機能につきまして、一体化と利用体験の向上を目指しまして、商業登記電子証明書について、GビズIDと連携したリモート署名方式を2026年7月から導入することとしております。
リモート署名方式は、GビズIDが前提となってございます。ご存じの方も多いかと思いますけれども、GビズIDとは、事業者が一度アカウントを取得すると、国や自治体等が提供する220以上のウェブサイトにログインできる認証サービスでございます。既に136万のアカウントを払い出しておりまして、確実に普及が進んできていると認識をしてございます。
続きまして、商業登記電子証明書についてでございます。商業登記電子証明書は、会社・法人等の登記情報に基づき、登記所が会社・法人の代表者等に対して発行する電子証明書になります。法人の電子取引や行政手続の電子申請の場面で、紙における実印・印鑑証明書に相当する制度として2000年に創設されたものでございます。商業登記電子証明書は、登記所において、会社・法人等の登記情報と一致しているかを審査した上で発行されます。つまり、会社・法人等の登記情報に裏づけられているため、高い信頼性を持っているものだと見られております。
この高い信頼性を背景といたしまして、商業登記電子証明書は、国・地方公共団体等に対するオンラインでの多くの申請・届出等について利用が可能になっております。主な行政手続・サービスは、ここに青枠で書かれた例のとおりでございますけれども、企業間の電子契約に用いることも可能でございまして、契約書に会社・法人等の実印を押印する代わりに、商業登記電子証明書による電子署名を付与するといった利用も可能になってございます。
今、説明をしたような利便性がある一方で、現行の商業登記電子証明書には課題もございます。現行の商業登記電子証明書はローカル署名方式という方法で電子署名を行っておりまして、これにはファイル形式とICカード形式という2つの形態がございます。
そのうち、ファイル形式につきましては、署名鍵が特定のパソコンにファイル形式で保存をされるということですので、そのパソコンがないと電子署名ができないということになっています。また、署名鍵を含むファイルは複製が容易に可能だというところで、複製したファイルが第三者に不正利用されるなど、適切な管理が難しくなるおそれがございます。このような課題があることを受けまして、リモート署名方式の導入を進めてきているところでございます。
GビズIDと連携したリモート署名方式は、先ほども申し上げましたが、来年7月から導入を予定してございます。導入後は、スマートフォンのGビズIDアプリを用いまして、利用環境に制限されることなく、オンラインで商業登記電子証明書の電子署名ができるようになります。導入に伴う具体的なメリットは主に3点ございますので、次からご説明をさせていただきます。
メリットの1つ目でございます。署名鍵は、これまでパソコンにファイル形式で保管をされておりましたけれども、これが今後はクラウド上で保管をされるようになります。これによりまして、署名鍵の漏えいを防ぎ、安全性の向上を図っていくこととしております。
2つ目でございます。商業登記電子証明書の発行準備や管理がより簡単になるということでございまして、現在は商業登記電子証明書の発行準備や管理につきましては、左側にございます商業登記電子認証ソフトと呼ばれるソフトをパソコンにインストールして、ローカル環境で行う必要がございます。今後は右側のように、ソフトの代わりとなるウェブサイトを運用していきますので、これによって、このサイトにアクセスをいただければ、どこからでも商業登記電子証明書の発行準備、取得、管理が可能になるということでございます。
メリットの3つ目でございます。GビズIDとの連携ということでございまして、GビズIDは現在、ログイン手段しか提供しておりませんけれども、リモート署名との連携に伴いまして、電子署名を付与する際の承認、つまり、署名認可と呼ばれる操作もGビズIDが担うこととなります。
具体的にどのようなイメージか、オンライン手続システムで申請書に署名を打つ際の作業手順をここに絵を描かせていただいておりますけれども、まず、ブラウザ上のオンライン手続システムにアクセスをしていただいて、申請手続などで電子署名を付与するファイルを選択いただきます。
そうすると、画面上に認可コードと呼ばれる、ここには「1234」と書いていますけれども、4桁の数字が表示をされます。それをスマホ側、GビズIDのアプリを開いていただいて、画面上に「1234」という認可コードを入力いただく。そうすると、電子署名が完了するという流れになります。
こちらのスライドで、リモート署名方式の導入に伴って署名付与の仕組みがどう変わるのかということをまとめておりますので、後ほどご覧いただければと思います。
最後に、今後の展望でございます。
現行の商業登記電子証明書は、2000年の制度創設以来、オンラインにおけるデータの真正性の確保や改ざんの防止において重要な役割を担ってきたと認識をしております。他方で、利用者の体験には先ほど申し上げた課題があるというところも現状でございます。
今般のリモート署名方式の導入を通じまして、既に130万の利用者がいるGビズIDと連携を行って、また、システムをデジタル庁と法務省さんの共同で運用をしていくということで、認証と署名のサービスの一体化を進め、商業登記電子証明書の利用体験の向上と利用拡大を図っていきたいと思っています。
商業登記電子証明書のリモート署名につきましては、各省庁の皆様におかれましても共通機能として、ぜひ積極的なご活用をご検討いただければと思います。なお、詳細な仕様に関しましては近日中に公開を予定しておりますので、その際には改めてお知らせをしたいと思います。
この後の後ろの2枚は参考のスライドとなりますので、後ほど見ていただければと思います。
以上、私からの説明はこれで以上でございます。
岡田審議官: ありがとうございました。
続きまして、議題(4)と(5)につきまして、担当よりご説明をいたします。
デジタル庁の大塚参事官、よろしくお願いいたします。
大塚参事官: e-Gov担当参事官の大塚と申します。
私からは、電子政府の総合窓口システム(e-Gov)の利用状況と今後予定している主な機能拡充について説明をさせていただきます。
まず、e-Govとは、行政機関が提供する情報や申請サービスを、インターネットを通じて、一元的に利用できる電子政府の総合窓口です。平成13年度から運用が始まり、令和2年度にはリニューアル版が公開され、令和5年度にはデータポータルサービスや国・地方共通相談チャットボット、いわゆるGovbot、昨年度にはガバメントクラウド上での運用が開始されました。e-Govでは、電子申請、法令検索、オープンデータの横断検索、パブリックコメントの提出など、様々な機能が提供されています。これにより、国民や企業が24時間365日、行政手続をオンラインで行える環境が整っております。
次に、利用実績についてです。2024年度の総アクセス件数は約41億件、電子申請・届出の受付件数は約3,043万件と、初めて3,000万件を超えました。これは資本金1億円以上の大法人への電子申請義務化や、行政手続の原則オンライン化方針の影響によるものと考えております。データポータルサイトやパブリックコメントへのアクセスも年々増加しており、利用の拡大が顕著です。
続いて、電子申請関連サービスの全体像についてご説明します。e-Govは、特に利用者向けのe-Gov電子申請サービス、各府省庁の担当者向けのe-Gov審査支援サービスという、2つの大きなサービスを提供しております。e-Gov電子申請サービスでは、申請書の作成、エラーチェック、電子署名、公文書の取得など、申請に必要な基本機能を提供しております。また、REPSとの連携により、国庫金のオンライン納付も可能になっております。さらに、e-Gov審査支援サービスでは、申請後の審査、公文書作成、決裁、結果通知までの業務を一元管理できます。
現在、19府省庁で合計4,396件の行政手続が電子申請に対応しており、厚生労働省が最も多く、2,978件の手続が可能になっております。今後は、地方自治体や独立行政法人、健康保険組合向けの手続にも対象が拡大される予定でございます。
こちらは、e-Govの利用実績の推移になりますので、ご参考にしてください。
続いて、e-Gov電子申請サービスにおける今後の主な機能拡充についてご説明いたします。
まず1点目は、行政機関向け提供機能へのインターネット接続対応です。これまでGSSやG-netといった専用ネットワークからの接続に限られていた行政機関向けの機能が、インターネット経由でも利用可能となる予定です。これにより、GSSやG-netを利用できない独立行政法人向けの手続などでもe-Govを通じた申請が可能になります。年度内のリリースを予定しております。
2点目は、マイナンバーカードによる認証対応です。デジタル認証アプリを活用し、マイナンバーカードを使ってe-Govにログインできるようになります。さらに、電子署名機能も利用可能となる予定です。年度内にはテストまでが実施される見込みです。
そして3点目は、同一の申請手続を複数機関に一括申請できる機能の追加です。現在は申請先が1機関に限定されていますが、今後は複数の自治体や機関に対して同じ内容の申請を一括で行えるようになります。例えば想定される利用シーンの一つとして、複数の自治体で許可を取得して事業展開している事業者が、代表者の変更等がある場合に、それぞれの自治体に個別に同一内容の変更届を提出する必要があったところ、これを複数の自治体に対し一度に提出することができるようになり、業務効率が大幅に向上します。年度内には設計までが予定されております。
これらの機能拡充により、電子申請の利便性がさらに高まり、より多くの機関・利用者がe-Govを活用できるようになります。
次に、e-Gov審査支援サービスにおける今後の主な機能拡充についてご説明いたします。
まず1点目は、申請届出事項の一部分の補正を可能とする機能です。現在は申請内容に不備があった場合、申請者に対して再提出や返戻の指示を行う必要があります。しかし、今後は補正が必要な箇所のみを指定し、部分的な修正を促すことが可能になります。これにより、申請者の負担が軽減され、審査業務の効率化にもつながります。年度内のリリースが予定されております。
2点目は、複数の組織による共同審査機能の追加です。現在は申請先として指定された1つの組織のみが審査を行いますが、今後は複数の組織が連携して共同で審査を行えるようになります。例えば提出先が千葉窓口であっても、関東支部と共同で審査を分担することが可能になります。さらに、審査順序の設定もできるようになり、前の組織の審査が完了次第、次の組織に自動で回送される仕組みが導入される予定です。
これらの機能により、申請者にとっては柔軟な対応が可能となり、行政側にとっても業務の効率化と連携強化が期待されます。
以上が、e-Govの現状と今後の機能拡充についてのご説明でした。
引き続き、GEPS担当参事官として 、本年3月にリリースしましたGEPSの少額物品調達業務の利用促進に向けた取組についてご説明いたします。
まず、少額物品調達業務とは、従来の電子調達システムでは対象外だった少額物品調達業務に対応するため、本年3月から新たに導入されたGEPSのサブ機能です。この機能では、民間事業者が出品した商品をマーケットプレイス形式で検索・発注できるようになっており、現在では約7,000万点以上の商品が出品されております。既に19府省庁、65官署で利用が始まっており、導入後の発注件数も順調に増加しております。
なぜ、この機能の利用が順調に増加しているのでしょうか。それは、業務効率化・納期短縮、調達価格の低減という、現場にとって非常に大きなメリットがあるからです。従来の少額随契では、複数の事業者に見積りを依頼し、価格を比較する手間がありました。
しかし、少額物品調達機能では、出品された商品価格を即座に比較でき、最短で当日納品、平均でも2.1日で納品されるというスピード感があります。また、調査によると、外部販売サイトと比較して約13パーセント安価に購入できるという結果も出ております。
さらに、この機能を通じて調達することで価格競争が促進され、法人価格での提供も可能となり、調達コストの削減につながります。将来的には財務会計システムとの連携も視野に入れており、ワンスオンリーの実現によって、さらなる業務効率化が期待されております。
導入に当たっての障壁についても、デジタル庁ではしっかりとサポート体制を整えております。「よくある質問」や「初めてご利用の方へ」などの資料が整備されており、権限付与や操作方法の習得もスムーズに進められます。また、ADAMSやEASYとの連携が不要な場合に、入力の手間を大幅に軽減する方法も紹介しております。
デジタル庁では、利用促進に向けた活動も活発に行っております。
トップダウンでは、本会議や幹事会を通じて、各府省庁等の審議官や会計課長に対して周知を行っております。
ボトムアップでは、地方説明会や各省個別説明会・操作説明会、展示会などを通じて、現場の職員に直接働きかけております。
下期に開催予定の展示会では、実際の商品を見て、触って、体験できる機会を設け、各担当者から使ってみたいと思っていただけるようにしていこうと考えております。デジタル庁自身も、5月から利用を開始し、8月以降は調達範囲を広げるために、各グループ庶務への説明や権限付与、契約班との調整などを進めております。
このように、現場での実践を通じて、より使いやすい仕組みづくりを進めております。
最後の説明になりますが、電子調達システムにおける現行の電子契約率がこちらの表になります。
今後、少額物品調達業務の契約を含む数字を新指標として各府省へ展開させていただきますが、青の網かけの少額物品調達業務を利用していただいている府省庁においては、新指標に換算すると、各府省庁で約0.1パーセントから3.3パーセントの上昇があると見込んでおります。
少額物品調達業務の利用による契約は、他の契約案件と比較して件数が多く、電子契約率を上昇させる効果があります。未利用の府省庁におかれては、今後の業務効率化やDX推進の一環として、ぜひ、このタイミングで導入を推進していただくようお願いいたします。
ご不明点や導入に関するご相談は、デジタル庁GEPS/GECS担当までお気軽にご連絡ください。
私からは以上です。
岡田審議官: ありがとうございました。
続きまして、議題6について、ご担当よりご説明をお願いします。
国税庁の菅沼参事官、よろしくお願いいたします。
菅沼参事官: 国税庁でございます。本日は、事業者のデジタル化促進に関する周知協力の依頼についてご説明をさせていただきます。前回の連絡会議におきまして、当庁のほうから各省庁の所管団体への周知を今年もお願いする旨、発言をさせていただきました。今回、その内容について紹介させていただきます。
今、ご覧いただいているものが去年のものでございます。結果をまとめてございますが、箱の一番下の◆のところでございますが、結果として2,900を超える団体への周知というものを行うことができました。これもひとえに、各省庁の皆様のご対応のおかげでございます。改めてお礼を申し上げる次第でございます。
中身なのですけれども、左の「①」と書いてあるところでございまして、これを去年やりましたけれども、基本的には今年も同じ項目についてお願いをしたいと思っております。1.の①が確定申告における給与情報の自動入力について、②が自宅からのマイナンバーカードを利用したe-Taxによる確定申告について、2.ということで事業者のデジタル化促進についてということでございます。詳細について、次のスライドからご説明をいたします。
3スライド目をお願いできればと思います。
こちらが、まず、事業者向けに源泉徴収票をオンラインで提出をお願いしたいということでございます。これは下の青いチラシをご覧いただければと思います。「事業主の皆さまへ」と書いてございます。事業者の方が従業員の方の給与所得の源泉徴収票をe-Tax、オンラインでご提出いただきますと、吹き出しですが、従業員の方が確定申告をする際に、マイナポータル連携の対象となって、源泉徴収票の情報をいちいち入力をせずに、自動で情報が転記されるという仕組みが使えるということで、簡単・便利に確定申告を従業員の方がしていただけるということで、福利厚生のメリットがあるというところで周知をお願いしたいと考えているところでございます。
次のスライドをお願いできればと思います。
次のスライドは、今度は事業所で勤務されている従業員向けのお願いでございまして、ぜひマイナンバーカードを利用した確定申告をお願いしたいということでございます。こちらも縷々書いてございますが、一番下の真ん中のグラフをご覧いただければと思います。自宅からe-Tax、当庁の電子申告の仕組みを使って申告をした方のうち、マイナンバーカードを利用した方というものが毎年増えておりまして、これは今年の2月から3月の確定申告では640万人で、これは令和2年に比べると約5倍ということで、年々増えております。また、来年も2月から3月に確定申告がございますが、来年はAndroidだけではなくて、iPhoneについてもマイナンバーカードがスマホの中に搭載できますので、より一層、簡単・便利に確定申告をしていただくことができます。こうした点も併せて周知をお願いしたいなと思っているところでございます。
それから、1ページ飛ばしまして、6ページをお願いいたします。
こちらは、事業者のデジタル化促進に向けたところで、広報素材を活用いただきたいということでございます。箱の上のほうの◆のところでございます。事業者の方の事務処理は、主にバックヤードの事務処理について、一貫してデジタルで完結することによって、正確性が向上した、それから、バックオフィス業務全体に効率化が図れるということで、浮いた事務量を本来業務に充てるということで生産性向上等のメリットが期待されるということでございます。
こうした観点から、国税庁では様々な広報素材をつくっております。動画をはじめ、リーフレット等をいろいろつくっておりますので、各省庁や関係団体の方が様々、いろいろな説明会やいろいろなイベントを行うかと思いますが、そういう際にこういう動画等を活用いただいて、各省庁におかれましても事業者のデジタル化促進にご協力をいただきたいと考えております。
こうした施策を推進していくために、10月中旬をめどに、当庁のほうから周知依頼文を発出する予定でございます。各省庁の皆様におかれましては、所管の団体等への周知をぜひお願いいたします。
また、今後の施策の検討のために、実施状況の刈り取りも併せて行いたいと考えておりまして、各団体にはアンケートの回答もお願いをする予定でございます。去年は、10月中旬に出します周知依頼と別建てでアンケートのお願いをしたところ、回答率が約15パーセントということで低迷したものですので、今回は、10月中旬にお送りする周知依頼文の中に、アンケートにも回答いただきたい旨、併せて記載をする予定でございますので、皆様が周知依頼文を各団体に送付する際には、本アンケートへの回答も併せてお願いしたい旨、併せて言っていただけると非常にありがたく思っております。
いろいろお手数をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
説明は以上でございます。
岡田審議官: ありがとうございました。
それでは、質疑応答の時間に移りたいと思います。本日の議題に関するご説明につきまして、ご意見、ご質問等がございましたら挙手ボタンにてお知らせください。順番に指名をさせていただきます。それでは、よろしくお願いします。
特にございませんでしょうか。
では、ないようですので、これで質疑応答は終了させていただきたいと思います。もしご質問やご不明点等がございましたら、後日、お手数ですけれども、事務局までメールにてお問い合わせいただければと思います。
以上で、本日予定しておりました議事は終了となります。引き続き、所掌分野におけるDX化の取組や、関係省庁等で連携の上、地域の事業者に周知したい情報や取り組みたい案件がございましたら、本連絡会議で共有いただければと思います。デジタル庁といたしましても、伴走してサポートさせていただきまして、より一層、関係省庁等の協力、連携を深めていくとともに、公的手続のDX、さらには事業者のDXを促進してまいりたいと考えてございます。
次回会合の日程につきましては、後日事務局から改めてご連絡をさせていただきたいと思います。
本日は、皆様、お忙しい中ご参集いただきましてありがとうございました。