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事業者のデジタル化等に係る関係省庁等連絡会議(第1回)

概要

  • 日時:2023年11月30日(木)15時から15時45分まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. 「事業者のデジタル化等に係る関係省庁等連絡会議」の開催について
      2. 事業者等のデジタル化の促進について
      3. 公的手続等のデジタル化の推進について
    3. 閉会

資料

議事録等

出席構成員

議長

  • 蓮井智哉(デジタル庁戦略・組織グループ審議官)

構成員

  • 中島朗洋(内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付))
  • 吉田宏平(内閣官房 デジタル行財政改革会議 事務局審議官)
  • 伊藤誠一(内閣府 サイバーセキュリティ・情報化審議官)
  • 谷滋行(警察庁 総括審議官)
    ※代理出席:塩野亜由美(警察庁 長官官房企画課 課長補佐)
  • 尾﨑有(金融庁 監督局審議官)
  • 近藤玲子(総務省 大臣官房 企画課長)
  • 中村功一(法務省 大臣官房 サイバーセキュリティ・情報化審議官)
  • 今福孝男(外務省 サイバーセキュリティ・情報化参事官)
    ※代理出席:森田光枝(外務省 大臣官房 情報通信課長)
  • 植松利夫(財務省・国税庁 長官官房審議官)
  • 豊岡宏規(文部科学省 大臣官房総括審議官)
  • 三田一博(厚生労働省 サイバーセキュリティ・情報化審議官)
  • 菅家秀人(農林水産省 サイバーセキュリティ・情報化審議官)
  • 牛山智弘(経済産業省 大臣官房審議官(IT戦略担当))
  • 松浦哲哉(中小企業庁 経営支援部長)
  • 岡本裕豪(国土交通省 大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)
  • 神谷洋一(環境省 大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)
  • 中西礎之(防衛省 サイバーセキュリティ・情報化審議官)
    ※代理出席:吉田楼蘭(防衛省 大臣官房 参事官)
  • 上口洋司(日本銀行 業務局長)

議事録

蓮井審議官: それでは、時間となりましたので、第1回「事業者のデジタル化等に係る関係省庁等連絡会議」を開会いたします。

会議の進行を担当いたします、デジタル庁の蓮井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

本日の会議ですが、構成員の皆様には、オンラインでご参加いただいております。ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。

また、本日は、河野大臣も出席予定でございます。会議途中からの出席となりまして、途中で退席を予定しております。

それでは、議事に入ります。

本日の議事は、1つ目「『事業者のデジタル化等に係る関係省庁等連絡会議』の開催について」、2つ目「事業所等のデジタル化の促進について」、3つ目「公的手続等のデジタル化の推進について」の3つを予定してございます。

それでは、まず、議事1つ目の「『事業者のデジタル化等に係る関係省庁連絡会議』の開催について」、資料3に基づきまして、私からご説明申し上げます。

2ページ目でございますけれども、ここに設置の趣旨が書いてございます。2023年10月11日に第1回デジタル行財政改革会議が開催されたわけでございますが、こちらにおきまして、税務・会計・取引など、公共機関と民間領域の一体的なデジタル完結の推進、これに取り組むこととされているところでございます。

また、同趣旨でございますけれども、デフレ完全脱却のための総合経済対策におきましても、税務・会計・取引など、官民の一体的なデジタル化を推進するため、税務行政のDXや事業者のデジタル化の促進を図ることとされております。

こうしたことを踏まえまして、事業者のデジタル化、公的手続のデジタル化につきまして、関係省庁等の連携を密にし、取組を加速していくために、本連絡会議を開催することにしたいと考えてございます。

その際のテーマは、今、申し上げた2つの大きな柱でございまして、関係省庁等の連携による事業者等のデジタル化の促進と、もう一つは、同じく関係省庁等の連携による公的手続等のデジタル化の推進ということでございます。

これらを通じました、事業者の経営の効率化、高度化、さらには、地域を含めた社会全体のDX推進を通じた生産性向上ということを目指すものでございます。

次のページでございますけれども、当面の開催のスケジュールを想定してございます。第1回では、テーマⅠの事業者のデジタル化につきましては、まずは取組の方向性、各省庁との関連施策を関係省庁等で共有したいということでございます。テーマのⅡにつきましては、公的手続等のデジタル化について、関係省庁等の皆様方にお願いしたいことがございますので、後ほどご説明したいと思います。

その状況につきましてできれば12月頃に再度開催をさせていただきまして、テーマのⅠについては、関係省庁と連携した地域における事業者のデジタル化を促進する枠組みや取組の検討をしたいと考えております。2つ目のテーマにつきましては、協力依頼への対応状況について、可能であればご報告をいただければと思っております。こうした内容について、デジタル行財政改革会議にも報告したいと考えてございます。

さらに、1月以降も、こうした取組の中で様々な課題が出てくると思っておりますし、実際に一部の省庁からご相談を受けている話もございます。こういったことも含めまして、ご提案なども踏まえて会議を進めてまいりたいと考えてございます。

次のページでございますけれども、事業者等のデジタル化の促進イメージでございますが、方向性としまして、関係省庁等が連携し、事業者に会計ソフトや請求書等の帳票管理ツールを含めた各種クラウドツールの活用、キャッシュレス決済の普及、デジタルインボイスの導入促進、さらに中長期的な視点にも立ち、取引から会計、税務申告、納税に至るまで、一連の業務プロセスについての一貫したデジタル化、これができる環境を整備していきたいということでございます。

一方、公的手続等のデジタル化につきましては、次の4ページ目でございますけれども、取組の方向性として、利用者の利便性向上、官民の事務の効率化等を図るとともに、社会全体のDX促進の観点から、関係省庁等の連携・協力により、公的手続のデジタル化を推進したいということでございまして、具体的に事業者向けの手続基盤の普及であるとか、公共調達や中小企業者につきましても、デジタル化の推進を進めて事業者の負担の軽減を図っていくことについて、関係省庁等で連携してやっていくことをここで議論していきたいと考えてございます。

それに基づき、資料の1に戻っていただいて、関係省庁連絡会議の開催につきまして、関係省庁等の申合せということで、今申し上げた趣旨をまとめているものでございます。

説明は以上でございますが、構成員の皆様方から、特段ご指摘、ご意見等ございましたら、お願いできればと思いますが、何かございますでしょうか。

特段、よろしゅうございましょうか。では、このような形で進めさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

それでは、ここで内閣官房デジタル行財政改革会議事務局の阪田局長からご挨拶をいただければと思います。阪田局長、よろしくお願いいたします。

内閣官房デジタル行財政改革会議事務局(阪田局長): デジタル行財政改革会議事務局長の阪田でございます。本日は、皆様、お集まりいただき、ありがとうございます。

ご案内のように、人口減という大きな社会的なテーマ、課題に対抗していくため、行財政を様々なデジタル技術を用いながら効率化していくという狙いで、デジタル行財政改革会議が始まっているところでございます。

その中でも、特に社会あるいは取引のインフラ、経済活動のインフラになるような部分の行政の効率化というのは、とりもなおさず、民間経済の効率化にも資するという面もあるわけでございまして、デジタル行財政改革を通じた民間経済の生産性の向上にも資するということは、今回の改革の取組の非常に大きな柱の1つと考えております。

そういう意味で、今日は、デジ庁と国税庁からのプレゼンがあると伺っていますけれども、各府省がうまく連携して、民間経済活動の役に立つようなデジタル行財政改革という成果が上がってくればいいなと思っていますし、上がってきた成果については、デジタル行財政改革会議としても、大きくプレイアップしてまいりたいと思いますので、本日の議論、ぜひよろしくお願いします。どうもありがとうございます。

蓮井審議官: 阪田局長、どうもありがとうございました。

続きまして、ここで河野大臣からご挨拶をいただきたいと思います。
河野大臣、よろしくお願いします。

河野デジタル大臣: 今日は、お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。また、デジタル行財政改革につきまして、各府省において着実に取組を進めていただいておりますことを改めてお礼を申し上げたいと思います。

少子高齢化や人口減少の影響で、我が国では様々な分野で人手不足が深刻な状況になっています。この中で、持続的に発展していくためには、デジタル技術を最大限に活用して、利用者目線で、利用者起点で、行財政の在り方を大胆に改革して社会変革も実現していくことが不可欠と思っております。そういう問題意識から、デジタル行財政改革の取組を進めていきたいと思っております。

デジタル行財政改革の基本的な考え方の一つとして、国・地方のデジタル基盤を統一・共通化することをスピードアップして、低コストで様々な行政サービスを提供可能にしていくことが大事だと思います。このためには、政府や自治体でDXに取り組むだけでなく、事業者のDXも促進することで一層効果を高めていきたいと思います。

具体的には、事業者の方々において、会計ソフトなどのクラウドサービスやキャッシュレス決済、あるいはデジタルインボイスの導入を促進することで、取引から会計、税務申告、納税まで、一連の業務のプロセスをデジタル完結できるような環境を整えていかなければいけないと思いますし、公的手続のデジタル化を推進することによって、例えば、給与所得の情報をマイナポータル連携して「書かない確定申告」を実現する、そういうこともできるようになります。ひいては、事業者の経営の効率化、生産性の向上、そして社会全体のDXにつながっていくことと思います。

関係省庁の皆様におかれましては、各種手続のオンライン化、デジタル認証の提供など、政府が一体となって取り組み、着実に効果を上げるために、業界や事業者自身のDXが不可欠だという認識を持っていただきたいと思います。その上で、国民の皆様がデジタル化の恩恵をできるだけ早く感じることができるように、皆さんそれぞれが所管している事業者のDXの推進について、本省だけでなく、地方部局の力も生かして、総力を挙げて取り組んでいただきたいと思っております。

秋のレビューでも、ちゃんと成果の検証ができるようにデータを取ることが大事だという指摘をされました。例えば、GビズIDを各企業に取ってもらって、Jグランツを使っていただいて、いろいろな給付・補助金の申請をしていただく。そして、必要なデータをそこに入力してもらって、省庁がきっちりそれを分析することができる。そういう取組を、もう待ったなしでやらなければいけないと思っておりますので、今日いろいろな取組をご紹介させていただきますが、関係省庁が連携して取り組んでいくべきテーマについて、積極的に各省庁からご提案をいただきたいと思います。また、事業者のDXについて、それぞれ所管業界への働きかけをどうぞよろしくお願い申し上げます。

蓮井審議官: 河野大臣、どうもありがとうございました。

それでは、議事2の「事業者等のデジタル化の促進について」に移りたいと思います。
今回デジタル庁と国税庁から、それぞれ説明をいたします。

まず、デジタル庁については、私からご説明したいと思います。

先ほどの資料3に再び戻っていただいて、その3ページ目の具体的な取組例の(案)のところでございます。

詳細は植松審議官からもお話があると思いますので簡略に、2ポツ目の具体的な取組例の(案)について申し上げます。今、大臣からもございましたけれども、取引や会計、税務といった事業者の一連の業務をデジタル化することの意義でございますとか、各種クラウドツール活用のメリット、そのための補助金などをまとめてPRするような各種の広報などを実施できないかと思っております。

また、中小企業庁にご協力いただきました、参考資料をご覧ください。ITツールを特に中小企業の方向けに導入するようなIT導入補助金でございますけれども、ご覧いただきますと、通常のITツールの導入費用の支援に加えまして、デジタル化の基盤導入、商流一括インボイス対応といったもの、あるいは複数社の連携、あるいはセキュリティ、このようにメニューを増やした形にして、補助金で導入支援をしているということでございます。既に令和4年度の補正予算等で執行されていらっしゃると思いますけれども、この辺りを手厚くしていくということを伺っております。

中小企業庁で、事業者向けのPRとしてこのようなパンフレットを作成していただいているわけでございますけれども、これに限らず、様々な支援ツールについて、省庁連携して、特に地方の方に対してお示ししていくことも考えられると思っております。

今の資料にもございましたように、例えば、peppolで対応しているデジタルインボイスでありますとか、あるいはZEDI、全銀協のEDIシステムでございますけれども、こういったものを活用した請求や決済業務、これによる大幅なコストダウン、時間の節約、このような業務効率化をPRしていくことも行ってまいりたいと思います。

さらには、金融機関、地域経済団体等とも連携し、国税や地方税等をキャッシュレス納付することを勧奨するなど、官民連携してキャッシュレスの決済や納付のPR、こうした中身について、これは特に4番目にございますが、地域において事業者等の面的なデジタル化の促進、この観点から、地方支分部局も含めた関係省庁や、自治体あるいは民間関係者が連携して取り組む枠組みを構築し、まずはPRをしっかりやっていくということを始めたいと思います。

これらの取組の中で、地域ごとに様々な課題が出てくると思っております。例えば、人材は非常に足りないと聞きます。どう対応していくのかも含めて、今後検討していかなくてはいけないと考えてございます。

デジタル庁からは、以上でございますが、続きまして、国税庁の植松審議官、ご説明をお願いします。

国税庁(植松審議官): 国税庁の審議官の植松です。

本日は、このような機会を設けていただきまして、ありがとうございます。

それでは、私からは、資料4に基づきまして、税務関係、税制関係におけます事業者のデジタル化に関わる議論や、取組の状況についてご説明したいと思います。

資料の2ページをご覧ください。

まず、国際的な議論の動向でございますけれども、一番上にありますように、OECDの税務行政3.0が令和2年に公表されてございますけれども、税務行政の将来の姿として、枠囲みにあるような考え方が示されてございます。

税務につきまして、納税者の日常の業務に組み込まれるという考え方のもと、納税者が日頃利用する業務システムとの連携によって、負担なく正確な納税を可能にしていくと。

その結果、ノンコンプライアンス、不正みたいなものについては、意図的かつ手間暇がかかるものに収斂されていくという考え方でございます。

これの基になるものとして、次の○でございますけれども、OECDの制度設計による税務コンプライアンスというものの中では、セキュアード・チェーン・アプローチの視点が示されてございます。

囲みにありますように、セキュアード・チェーン・アプローチを支える中心的な考え方は、ビジネス・トランザクションの取得から正しい納税額の最終決定までの情報の流れを、セキュアなものにすることであるということが1点目。

その中で、歳入機関の役割につきましては、主として納税者自身の課税取引に係る情報の流れが十分にセキュアであることを確認するために、その環境に必要な機能の促進役として機能するということでございます。

さらに、納税者は、より少ないコスト、より少ない不便さで報告義務を果たすことができ、コンプライアンス負担の軽減という恩恵を受けることができるというものでございます。
次のページをご覧いただきますと、これは、財務省の主税局の研究会で示されました、今後の方向性のイメージが図示されてございます。

赤い枠の中にありますように、取引に係るデータ、決済に係るデータ、真ん中の事業所内の処理、それから、右側の税務手続ということを、データでつないでいくという考え方でございます。

それに対しまして、下にありますように、税理士でありますとか、税務当局がそれぞれ必要な役割を果たしていくという考え方でございます。

次の4ページをご覧ください。

こうした動きを踏まえまして、国税庁におきましても、事業者のデジタル化に取り組んでいるところでございます。

上の枠にありますように、税務手続のデジタル化と併せて、経済取引や業務のデジタル化も推進することによって、単純誤りの防止による正確性の向上でありますとか、事務の効率化による生産性の向上といったメリットがあるということで、真ん中の絵にありますように、受発注・納品・請求、さらに支払・入金、それから申告・納税までデータでつないでいくということを示してございます。

その中で、先ほどもご紹介があったようなpeppolでありますとか、全銀EDI(ZEDI)をツールとして示してございます。

さらに、下のほうには各フェーズの現状の施策について整理したものでございます。
次のページをご覧ください。

今まで申し上げたのは、中長期的な方向性でございますけれども、事業者の実態に即して、まず、足元からデジタル化を進めることも重要だと考えてございます。

例えば、記帳の場面では、上の囲みにありますように、近年、デジタル化が進む中で、クラウド会計ソフトの発達によりまして、手間と費用をかけずに簡単に記帳ができるような環境が整ってきてございます。

下の絵は、新経済連盟の説明資料から抜粋したものでございますけれども、従来の記帳というのは、手作業によるヒューマンエラーのリスクとか、あるいは月次決算に2か月かかることもありましたけれども、クラウド会計ソフトを用いた右のほうでは、入力から仕訳までデータで一気通貫ができて、経営のための分析業務への時間も割けることが示されてございます。

次のページをご覧ください。

こちらのほうは、日本商工会議所が、政府税調等で説明いただいた資料を抜粋して、お示ししてございます。

これは、豆腐屋さんの例なのですけれども、豆腐屋さんがクラウド会計の導入によって、販売経理等の事務処理にかかる時間を年間600時間削減に成功したという例が報告されてございます。

絵の上のほうにありますように、従来の記帳業務では、手作業による入力・修正でありますとか、紙での保存が必要であったわけですけれども、クラウド会計ソフトの導入後は、データを自動で取込み、仕訳ができて、事業者さんから見れば、内容を確認するだけでいいということ、さらには事業の中身の実態の把握もできるということでございます。さらに紙での保存も不要になってきているということでございます。

最後の7ページをご覧ください。

こうしたことも踏まえまして、国税庁におきましては、税務手続のデジタル化だけではなくて、業務のデジタル化、経済取引のデジタル化も含めまして、一体的に推進することによりまして、公的手続の正確性の向上でありますとか、生産性の向上につながると考えてございます。

ただ、こうしたことにつきましては、関係省庁の皆さんや、あるいは関係民間団体とも連携していくことが重要だと考えてございます。

こうした観点から、関係省庁会議でも取組を進めていただければと考えております。ぜひよろしくお願いいたします。

蓮井審議官: 植松審議官、どうもありがとうございました。

これまでの説明につきまして、ご質問、ご意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。いかがでございましょうか。

続きまして、議事3の「公的手続のデジタル化の推進について」にまいります。こちらも今回は、デジタル庁と国税庁からのご説明をさせていただこうと思っております。
まず、デジタル庁から説明いたします。恐縮ですが、先ほどの資料3の4ページをご覧頂ければと思います。

公的手続のデジタル化の促進についてのイメージ案ではございますが、具体的な取組例を記載してございます。

2ポツの具体的な取組例の上の段は、国税庁から後ほど説明がなされると思います。先ほど大臣からもご紹介のありました、給与所得情報のマイナポータル連携、書かない確定申告をはじめ、年末調整等々についてのデジタル化が進んでいるところでございます。下の段には、事業者向けの行政手続基盤の普及をさらに進めるでありますとか、官公需手続のDX、特に払込みのほうでございますが、どのようにさらにつなげていくのかという話でありますとか、中小企業支援ということで、特に、コロナ禍でやろうとしておられました、信用保証手続のデジタル化、こういった金融の円滑化とか、事業者に対するきめ細かな対応の環境整備をどのよう進めるかといった観点がございます。そのうち今回デジタル庁からは、事業者向け行政手続基盤の普及についてご説明をしたいと思います。

それでは、吉田企画官、土岐プロダクトマネージャー、よろしくお願いいたします。

吉田企画官: 今、ご紹介いただきましたデジタル庁で企画官をしております吉田と申します。
これからデジタル庁で進めている事業者向けの手続基盤についてのご説明と、それに関わる調査についてのお願いというところでお話をさせていただきます。

では、こちらの資料でご説明をさせていただきます。旧デジタル臨調の作業部会でも、事業者手続タスクフォースということで、今後、事業者の手続システムの全体整備というものを、我々は進めていこうとしております。

その中では、各省庁で進められている電子化の部分と、活用していただく共通機能として、どういったものをつくっていくのか、さらに、その利用体験というものを、どう整理していくのかというところを、今後デジタル庁でも整理していきたいと考えているところでございます。

特にデジタル庁としましては、各省庁の皆様が行政手続サービスをつくる際に、使っていただける共通機能の整備を進めております。

特に、今回、ご紹介するGビズID、これは大臣からもお話がございましたけれども、事業者の皆様がログインしていただくためのサービスになっておりますが、こちらの利用がまだ限られた範囲になっているところでございます。

我々としましては、こういった共通的な認証サービスや署名サービスを、各省庁で共通的に使っていけるようなインフラにしていき、さらに行政手続だけではなくて、将来的には民間の手続でも使えるような環境を整備していきたいと考えているところでございます。
実際に、GビズIDでございますけれども、現在106万社、これは法人、個人事業主を合わせての数字でございますけれども、利用をいただいております。

また、各行政機関、国だけではなく、自治体、政策金融公庫等外郭団体も含めて、ご利用いただいているという状況になってございます。

このGビズIDについては、法務省とも連携して、商業登記電子証明書も、今後改修が進むということで、連携するようなサービスに発展させていきたいと考えているところでございます。

一方で、こういった共通サービスについては、各システムで導入していただくことによって、事業者の皆様の手続負担が減ることになります。

例えば、認証の部分であれば、このGビズIDアカウント1個を持っているだけで、様々な事業者向け手続ができるようになるという形になれば、各事業者にとっての利便性が高まるというところになります。

ただ、これを実現するに当たって、現状の各省庁の手続システムの状況、手続自体が本当に電子化されているか等については、かつて棚卸調査等で調べていったところでありますけれども、同じような形で、現在の電子化の状況を、調査させていただきたいというところがご協力の依頼になります。

進め方、スケジュール等に関しましては、また、改めてご連絡したいと思っておりますが、本日は、どういった形で進めていきたいと考えているかというお話をさせていただきたいと思っております。

これまでは、この行政手続の調査等をやってくる際に、エクセルベースで非常に時間かかるやり方でやっていたというところがございます。

こちらを、やはり、調査の仕方自体もきちんとデジタル化して、やりやすい形にしていこうということで、我々で調査ツールを開発しております。

こちらを使うと、実際に原課の方々に直接それを入れていただくと、それがどこまで入っているのかということが可視化されるような形が実現できると考えております。
メリットとしましては、入力負担の軽減や、オンライン化状況の可視化、あとはデジタル化の支援の効率化が見込まれるところでございます。

こうしたツールを開発しておりまして、補助金申請のオンライン化状況等も含めて、調査を実施させていきたいと考えております。

ここからは、土岐から、このツールのデモをさせていただければと思います。

土岐: プロダクトマネージャーデジタル庁の土岐でございます。

私から、簡単にデモをさせていただければと思います。

今、まだ開発中のものでして、これが本番ではないのですけれども、今、吉田企画官から説明させていただいたとおりでございますけれども、各省庁の担当者が直接入力できるような、ホームページというものを用意したいと思っております。

このホームページ上から行政手続、これは、入力画面になりますけれども、また、データに関しては、R2年度から3年度にかけて行った棚卸調査でありますとか、あとは、その後も定期的にやっている横断調査の情報を、先に入れさせていただいて、それをベースに更新をしていただくといったところを考えてございます。

実際には、単票形式で簡単に入力できるようなUIを考えているのと、あとは、入力効率性といったところで、例えば、リストのほうから直接実施状況を更新していただくようなUIも考えてございます。

あと、まさしくGビズIDが各システムに使えているのかどうかといったところも、しっかり把握させていただいて、ぜひデジタル庁に対するご意見、ご要望などもお聞きしたいと思っておりますので、システムに対する調査もさせていただいたり、あと、補助金に関しても、Jグランツの利用を目指して、情報を把握させていただくために入力をお願いしたいと考えているところでございます。

最終的には、ダッシュボード化をして、直接入力した情報というのは、リアルタイムに反映ができますので、これを各府省庁様にも見ていただいて、ご自身の府省庁においてのオンライン化であるとか、あとは補助金の状況であるといったところを把握できるようにしたいと考えているところでございます。

私からは以上になります。

蓮井審議官: ありがとうございました。
続きまして、国税庁の植松審議官、ご説明をお願いします。

国税庁(植松審議官): 今度は、資料6のほうでございますけれども、公的手続のデジタル化の推進ということで、国税庁から4点申し上げたいと思います。

まず、1点目が「給与所得情報のマイナポータル連携等の推進」ということで、3ページにありますように、e-Taxによって確定申告するに当たりましては、政府機関でありますとか民間企業から、マイナポータル連携されました情報を確定申告書等作成コーナーに取り込むことで、確定申告書への自動入力を実現しているところでございます。

右のほうにありますように、自動入力の対象は年々拡大しておりまして、既に、ふるさと納税でありますとか、医療費等につきましては対応済みということになっておりまして、来年2月からは、給与所得の源泉徴収票も対応することとしてございます。
次のスライド4でございますけれども、実際、確定申告の現状を見ますと、①のところにありますように、確定申告の人員の半数超、56.1%が給与所得者となってございます。

給与所得者の場合、通常年末調整で完結しますので、恐らく確定申告されている方というのは、ふるさと納税でありますとか、医療費控除の関係で還付申告などをされる方が一定程度いらっしゃるのではないかと思っております。

先ほども申し上げましたとおり、ふるさと納税でありますとか医療費については、既に自動入力の対象になっておりますので、令和6年2月から開始されます給与所得情報の自動入力によりまして、かなり利便性は向上すると、人によっては、ほとんどクリックだけでe-Taxによる確定申告書ができる状況になってくるのではないかと思っております。

他方で、今回の給与所得情報のマイナポータル連携につきましては、事業者から国税当局に従業員の源泉徴収票をe-Taxで提出していただく必要がありまして、事業者の協力が不可欠となってございます。

これまで国税庁でも、経団連でありますとか、日商といった大きな団体には説明しておりまして、前向きな評価をいただいておりますけれども、よりきめ細やかに周知、協力依頼をしていったほうがいいのではないかと考えてございます。

そこで、当面の対応案として書かせていただいておりますけれども、各省庁から所管する業界団体に対しまして、源泉徴収票のe-Tax提出を会員事業者に呼びかけるような通知を国税庁と連名で発出させていただくとか、説明会を実施していただくとか、丁寧な対応をさせていただければと思ってございます。

あわせまして、マイナポータル連携でありますとか、マイナンバーカードを利用したe-Taxによる確定申告の利用の呼びかけを一緒にさせていただければと思ってございます。
2点目が、マイナポータル連携の対応事業者の拡大についてでございます。

スライドの6ですけれども、例えば、年末調整の手続の場面で、電子化というのを我々は推進してございます。

今年の10月からは、年末調整で添付を要する主な証明書は、全てデータで提出可能となってございます。

こうした電子化、デジタル化を進めることによりまして、事業主サイドにも従業員サイドにも双方にメリットがあると考えてございます。他方で、控除証明書等の発行主体、例えば生命保険会社でありますとか、損害保険会社でございますが、多くの会社は、マイナポータル連携に対応していただいてございますけれども、下の参考にございますように、中には対応していただいていないところもございます。

年末調整事務の効率化を進めていくためには、対応事業者を拡大していく必要がございまして、こうした対応事業者が拡大することによりまして、e-Taxによる確定申告の利便性も向上すると考えてございます。

そこで、真ん中の青い部分の当面の対応案でございますけれども、関係省庁から控除証明書等発行主体の所属する所管の業界団体に対しまして、マイナポータル連携の対応を呼びかける通知を国税庁と連名で発出させていただくとか、説明会を実施するとか、そういうことをやっていただければと思ってございます。

あわせまして、年末調整手続が、このようにデジタル化できるということ自体の周知もしっかりしていかないといけないということで、年末調整手続の電子化を呼びかけるような働きかけも併せて行わせていただければと考えてございます。

3点目が「申請における納税情報の添付自動化の推進」でございます。

スライドの8をご覧いただきますと、現在、全国の税務署で納税証明書というのは、年間約170万枚出してございます。

手数料で大体400円いただいておりますけれども、納税証明書につきましては、例えば、入札の参加資格申請の場合に必要になることがございますので、こうしたことを踏まえまして、上の2番目の四角でございますけれども、令和5年1月からは、納税証明書の添付を要する申請手続に関しまして、バックオフィスで国税庁のシステムとつないでもらうということによりまして、その手続をオンラインで行う際に、納税証明書に代えて手数料不要で納税情報を自動的に取得して、申請先に提出できるような仕組み、納税情報の添付自動化と我々は申していますけれども、こうしたものを構築、運用しているところでございます。
他方で、申請者がこの仕組みを利用するためには、申請システムを保有する方々、これは関係省庁でありますとか、自治体とか金融機関になろうかと思いますけれども、この方々にシステム連携をしていただく必要がございます。

現在は、右下に利用可能な申請システムでありますように、デジタル庁の調達ポータル、あるいは国土交通省の建設業許可、経営事項審査電子申請システムでは、こうした連携がもう可能になってございますけれども、まだ、その他関係省庁で、そうしたシステムを保有の関係省庁におきましては、当面の対応案に書いてございますように、納税情報が必要な申請システムの改修の可否でありますとか、対応時期等を、ぜひご検討いただきたいと考えてございます。

あわせまして、関係省庁から、同様のシステムを持っております地方自治体や、金融機関団体に対しましてシステム連携の呼びかけのご協力をいただきたいと考えてございます。
最後の4点目でございますけれども、預貯金等照会のオンライン化の拡大でございます。
最後のスライド、10ページ目でございますけれども、預貯金等照会というのは、法令に基づきまして、財産調査等の目的として金融機関等に行うものでございます。

こうしたものは、現在、オンラインによる照会が可能となってございます。このオンライン照会によりまして、2番目の四角に書いてございますように、金融機関側も、行政機関側も双方にメリットがあるということでございます。

下の図表の①のところを見ていただきますと、行政機関からの預貯金等照会の割合を示してございますが、年間約6000万件、こうしたことが行われてございますけれども、多くは地方税でありますとか、生活保護、国民健康保険、介護保険といった地方の社会保障施策の中で預貯金照会が行われているということでございます。

そうしますと、金融機関から見ますと、国税だけにオンラインで照会されても、地方自治体サイドがこうしたことをやらないと、全体としての効率化につながらない。

一方で、地方自治体から見ますと、地元の金融機関がこのオンラインシステムに参加していないと、オンライン化をするメリットが感じられないといったことがございますので、より全体として効率化を図るためには、これに参加する金融機関や地方自治体の足並みをそろえて、拡大していく必要があると考えてございます。

そこで、当面の対応案でございますけれども、関係省庁から金融機関団体に対しまして、金融機関にオンライン照会の対応を呼びかけるような取組でございますとか、地方自治体等に対してもオンライン照会の利用を呼びかけるような取組をお願いしたいと考えてございます。

以上、4点でございますけれども、詳細については、また、事務的に調整させていただきたいと思いますが、ぜひ関係省庁の皆様には、ご協力のほど、よろしくお願いしたいと思っております。
私からは以上でございます。

蓮井審議官: ありがとうございました。

以上の説明につきまして、ご意見、ご質問等ございましたら、お願いいたします。

今の国税庁からのご要請についても、こういった方向で進めさせていただければと思っておりますので、関係各省庁等におかれましても、ご協力のほど、何とぞよろしくお願い申し上げます。

それでは、以上で本日予定しておりました議事は終了となります。皆様、どうもありがとうございました。

最後に、デジタル庁戦略組織グループ統括官の冨安からご挨拶いたします。
冨安統括官、よろしくお願いします。

冨安統括官: 本日は、大変お忙しい中、第1回事業者のデジタル化等に係る関係省庁等連絡会議にご出席いただきまして、ありがとうございます。

我々、デジタル手続のオンライン化やDXをいろいろ進めてきているわけですけれども、やはりそこを実のあるものにするためには、事業者側の皆さん、あるいは業界の皆さんのDXを推進することによりまして、相乗効果が上がる、あるいは実績が上がるということだと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

少しお時間をいただいて、ちょっとした例として、昨日、デジタル庁で、法令データのAPIというのをつくっておりまして、ハッカソンをやりまして、法令データでいろいろと工夫して、いろいろシステムをつくってみたいなアイデアを募集して、そういうハッカソンをやりました。

法令知識の普及とか、法令のクイズをつくったりとか、検索をしやすくするとか、そういった作品もあったのですけれども、実務からの要請ということで、建設データ、建築データにつきまして、建築基準法等の全法令に自動的に適合させる、適合しているかどうか判断するみたいなことで、たまたま建築業界関係の2つほど、作品がございまして、これは、つくづくいろいろ聞いていますと、やはり国交省さんが、従来から建設業界につきましてDXを進めておられて、業界内のデータ化が進んでいるということで、法令のデータ化が進めば、まさにマッチするというか、相乗効果で、さらに法令との関連につきましても、デジタルでできるということで、そういうニーズがあるというお話がございました。

このように関係省庁の皆さんが、いろいろ各所管されている業界や事業者の方のデジタル化を推進していただきますと、我々のやっていることが、一層効果が上がって、相乗的に我が国の社会全体のデジタル化が進んでいくということだと思いますので、ぜひとも、日頃からいろいろとやっていらっしゃると思いますけれども、この会議もきっかけにいたしまして、さらに進めていきたいと思いますので、どうぞご協力のほど、よろしくお願いいたします。

蓮井審議官: 冨安統括官、ありがとうございました。

最後に事務連絡でございますけれども、次回会合の日程につきましては、12月中に開催したいと考えておりますので、後日、事務局よりご連絡を申し上げます。

それでは、以上でございます。本日は、皆様、お忙しい中ご参加いただき、どうもありがとうございました。