本文へ移動

モビリティワーキンググループ(第2回)

概要

  • 日時:2024年2月13日(火)13時30分から15時30分まで
  • 場所:オンライン
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 内容
      1. 自動運転等新たなデジタル技術を活用したモビリティサービスの社会実装に向けた施策の方向性
      2. 「AI時代における自動運転車の社会的ルールの在り方検討サブワーキンググループ」の検討状況について
    3. 意見交換
    4. 閉会

資料

議事概要

冒頭森主査よりワーキンググループの開催にあたって以下の挨拶があった。
前回の会議を踏まえ、各府省庁で今後検討すべき課題の整理、及びどのような施策を各府省庁に期待しているのか整理した。また、モビリティ・ロードマップでは自動走行の事業化に向けて必要と思われるサービスの範囲やモビリティ手段についての課題も整理していきたい。なお、事業化の検討にあたり、生産性を既存のモビリティに対してどこまで引き上げていけるのかを明らかにする必要があるため、モビリティに対する需要調査も事務局の検討の一端として紹介したい。構成員の皆様にはそれぞれの知見を活かしながら、更に検討すべき事項につき忌憚のない意見をいただきたい。各府省庁においては、本日の有識者の御示唆を踏まえ、可能な対応を積極的に発言いただきたい。

1. 自動運転等新たなデジタル技術を活用したモビリティサービスの社会実装に向けた施策の方向性

資料2、参考資料2に基づき、事務局より自動運転等新たなデジタル技術を活用したモビリティサービスの社会実装に向けた施策の方向性について説明。

  • 公共交通に関する社会課題を解決するため、様々なモビリティや人流、物流を組み合わせたビジネスモデルを柔軟に検討していく必要がある。
  • モビリティ・ロードマップは、この点を中心にとりまとめるが、自動運転の事業化に関する限り対象範囲は柔軟に設定する。
  • 自動運転の社会実装に向けては、様々な課題を同時に、かつ全体的に整合性を取りながら解決する必要はあるが、施策を検討する上では社会実装のための要件として整理した方が分かりやすいため、「ビジネスモデルの確立」、「技術の確立」、「制度・ルールの確立」の観点で、現時点で考えられるものを整理したが、その方向性についてご議論頂きたい。
  • また、自動運転に限らず、事業を継続するためには、しっかり需要を捉えることが必要であり、需要の可視化する方法を検討している。試行的な取組であるが、潜在需要を掘り起こすべく、生活必需の移動目的をより精度を上げていきたいので、ご助言を頂きたい。

主なご意見

自動運転等新たなデジタル技術を活用したモビリティサービスの社会実装に向けた施策の方向性についての御意見を有識者及び関係府省庁から以下のとおりいただいた。

需要の可視化・創出
  • 有識者
    • 需要の可視化は、今ある需要をどのように重ね合わせるか。更に単なる移動需要と、どういうサービスが求められているかを分けて整理すべき。
    • 需要の可視化・創出においては、例えば貨客混載等の工夫を行い、空気を運ばずにどれだけ人や荷物を運んで売上を向上させられるかが重要。
    • (稼働率向上や経路効率化に繋がる需要や稼働状況は、例えば、鉄道インフラでのICカード(Suicaなど)を用いた、)見える化ツールで客観的に実際のフローを把握するようなデータが取れる仕組みを考えるべき。
    • 需要予測は利用シーンを思い浮かべながら考えるべき。
稼働率向上・経路効率化
  • 関係府省庁
    • 既存施設をモビリティ・ハブとして活用するにあたり、経年化による設備の更新にも対応できる標準的なハブのスペックの整理が必要との意見がある。
ソーシャルインパクトに対する貢献の評価
  • 有識者
    • ビジネスモデルの確立というのは非常に重要。初期投資を抑え、複合的なベネフィットや様々な付加価値を創出ができるかが大事。
    • 高齢者の免許返納促進のためにも、自動運転バスをセカンドライフの充実等を目的とした移動手段としての役割やコミュニケーションの場として導入していくのが良いのではないか。
    • 自動運転がカーボンニュートラル等へ貢献することを示していくのが良い。
運行経費負担の柔軟化
  • 有識者
    • 官民負担の在り方や、公営を増やす方向性を検討せざるを得ない状況にあるのではないか。
    • どれだけコストを下げられるのかという点が重要。最初から大きなシステム開発を行ってしまうとランニングコストが発生しマネタイズできる可能性が下がることも思料されることから、小さく収益化できることから始めていくのが良い。
  • 関係府省庁
    • 自動運転でビジネスモデルが成立するという前提には違和感。官民負担の在り方や公営を増やすことを検討せざるを得ないという有識者の御指摘は同感。
    • 公的負担等にも踏み出すタイミングに来ているのではないか。
    • 地方の過疎部の自動運転を実現化させるためには公的主体の関与を大きくせざるを得ず、上下分離や公設公営のようなやり方も含め社会インフラとして、地域が負担することを含めて検討する必要がある。
初期費用・運行費用低減
  • 有識者
    • 初期費用を低減していくためにスタートダッシュは重要。既存の自動運転支援事業、MaaS支援事業、スマートシティ等を連携し、増額することを検討してほしい。
    • 既存のアセットを最大限使い、自動運転を支えるインフラに対する投資を少なくする工夫が大事。
    • 初期投資が少ないもの、バリューが上がりそうなところから始めていき、経験も積みながらその範囲を拡大していくのが現実的。
    • モビリティの運用計画を立てる際の積算シミュレーションはしっかり行う。
    • 車両側だけに目が行きがちだが、運用管理システムやチケッティングシステム、バックエンドのシステムの費用も重要。
  • 関係府省庁
    • 自動運転の実装に向けて、関係府省庁と連携の上、技術の高度化と主要技術の低コスト化支援に取り組んでいる。
学習機会の拡大
  • 有識者
    • 現在実施されているMaaS事業や自動運転実証支援事業でかなり良いデータが集まりつつあり、参考にすべき。
    • 自動運転の実装やデータ収集等について、国の狙いや需要者のニーズを吸収できる中間支援団体等がしっかりとコミュニケーションをとって丁寧に実装を進めていく必要。
    • 近年では、賢くデータを取りながらAIに学習させる動きが進み、それに伴い生成AIの自動運転の技術開発への応用も進んでいる。自動運転の技術開発への生成AIの活用の仕方について、業界での協調も必要になると思う。
    • 自動運転の技術開発に必要な計算資源を国としてどれだけ確保するかが肝要。
  • 関係府省庁
    • 自動運転実証支援事業では、本日の意見も踏まえてデータ収集に取り組み、各府省庁と連携したい。
    • 圧倒的なデータ量と学習量がないと安全性の入り口にも立てないという観点では、計算資源の確保やデータ収集の方策に関する整理が不足している。
路車協調技術の確立
  • 有識者
    • 路車間協調のリスクとその評価、及びデータ収集について、自動運転レベル4のODDを揺るがす条件等を細かく特定。
    • 路車協調の確立には、ルールとビジネスモデルも入れてロードマップに示していただきたい。
    • 自動運転社会を見据え、ITSインフラとして何を整えるべきか整理すべき。
    • 技術的に確立させることと並行して、運用を整理しながら責任分界点を明らかにすることが必要。
    • 路車協調技術の検討にあたっては、時間軸の問題がある。今すぐに実現できる技術ではあるが、全国に整備するには時間がかかるということについて、誤解を生まないよう整理すべき。
    • 実施内容や時期、技術、ユースケース、完成度等についても詳細に検討すべき。
    • 路車間通信の自動運転への導入の短期的な展開は難しいため、これまでの路車間通信システムを土台に、必要な追加対応を検討すべき。
  • 関係府省庁
    • 時間軸を意識しつつ、通信環境の整備という観点から貢献したい。
    • 整備するシステムやインフラの仕様・規格を揃えることが重要。
    • 道路法に基づき道路管理者が一定の施設を負担する方法と、事業者の設備を占用で認めるという方法があるが、事業として成り立つかという問題も含め検討する必要。
その他走行技術の確立
  • 有識者
    • インフラとそれを利用する運行システム、各種設備の管理のそれぞれの部分を確保しながら運用する、例えば、鉄道の線路・駅などの設備インフラに運行・輸送システム、旅客サービスが乗っかるような仕掛けや切り分けで全体のシステムを眺めた方が良い。
    • 技術的にはまだまだ検討の余地がある。取組を進める上では、判断基準となるべきシステムが保証する範囲の明確化が非常に重要。車、周辺交通参加者、交通環境の三位一体で、配置する機能や責任分界点を明確化する必要。
    • 自動運転車両を使ったサービスモデル及び指標、データ整理に関して、既に鉄道やバス等で培われた指標を共通利用できるところは使っていく。更に、自動運転事業としてのKPIロジックの検討は今だからこそ必要。
    • 自動運転の弱点や強みを活かすことができるような他のモビリティとの連携モデルや必要となるシステムを考える。
  • 関係府省庁
    • 路車協調技術のブラッシュアップのほかに、歩者分離信号等の既存の安全施設を改良していく方向性も大切。現状、歩者分離信号は交通流や安全への影響を考え設置しており、自動運転のルート上に設置して対応することも一つの方向性としてありうるのではないか。
    • 技術検証フェーズを早く脱し、サービスの事業性を高めるための仮説検証を進めることが重要との意見がある。
    • 責任分界点の話も重要であり、事務方として積極的に検討したい。
社会的受容性の向上
  • 有識者
    • 制度・ルールの確立は全体の整合性を取る。特に先行している低速型の自動運転バスを集中的にやることが早期実現のためには大事。
    • 国民に便利さや安全性を肌感覚で実感してもらうべく、自動運転レベル1から3も総動員。
    • 様々な外乱に対して対応できるような安全性が必要なため、実環境での評価やフィールドを含めた実用性の試験が必要。
    • 社会受容性については、自治体の役割が当然必要で、都市計画に自動運転用の指定地域の設計を盛り込むことや、事業者認定に自治体も関わるということも必要になってくる。
    • 安心と安全は別物。社会受容性には安心がキーワード。
  • 関係府省庁
    • 地域の住民にモビリティサービスを自分ごと化して捉えてもらう必要がある。
その他全般
  • 有識者
    • 自動運転バスを導入しても、時間的、空間的移動手段の空白が出てしまうことについては、積極的に民間のライドシェアを導入していただきたい。
    • サイバー空間の利用のように限界費用ゼロ社会という共有型の経済を目指すという観点でまとめる。(ビジネスモデルも含め)コモンズ的な協調領域を活用して安い費用で良いサービス提供するという感覚を含めると良い。
    • 自動運転車の安全性を審査する範囲や具体の審査方法は事業形態毎に明確化する必要があるが、このような技術的な議論はワーキンググループで取り扱っていただけるのか、サブワーキンググループでは自動運転車の責任の在り方を考えてゆくことになると承知しているが、安全性の検証範囲と責任は関係が強いため、ワーキンググループとサブワーキンググループでの取扱い範囲を明確化していただきたい。
    • 限られた空間・シーン・目的・車両で段階的に実現することを念頭に置くべき。
  • 関係府省庁
    • 実証が何度も行われるケースがみられるため、早く実証から実装となるよう努力していきたい。
    • モビリティサービス自体の生産性が向上し、事業が広がるほど限界費用が下がっていく世界を目指さなければ手段として何をやっても問題は解決しない。
    • 協調領域を意識したサービスや交通動線の集約など合わせ技を導入し、縦のものを横に倒すといった発想が必要。タクシー、バス、様々な業態横断的に、潜在需要の可能性まで含めて課題を検討していくためにもロードマップのようなアプローチが不可欠。

2. 「AI 時代における自動運転車の社会的ルールの在り方検討サブワーキンググループ」の検討状況

資料3に基づきサブワーキンググループの事務局より説明。

  • 無人自動運転における事故に対して現行制度をそのまま適用した場合の課題を抽出し、交通事故の大幅削減に資する無人自動運転を早く実装・実現できるようにするための手立てを前向きに検討。
  • 第1回では論点を洗い出し、第2回では事故原因調査を通じた再発防止・未然防止の仕組みをどう作るのかという点にフォーカスして議論。今月末に第3回を開催し、月1回のペースで、5月には中間取りまとめを想定。
  • 責任分界点も含め、サブワーキンググループと本ワーキンググループで連携し、議論していきたい。
  • 各国も無人自動運転に対してどのようなルールを再設定していくべきか検討中の状況であり、我々も遅れを取らないようしっかり検討していきたい。

総括

閉会にあたり森主査より全体を通してのワーキンググループの総括を以下のとおりいただいた。

  • 関係府省庁は、割振りにかかわらず検討を深め、できることを積極的に提案し、政府決定のプロセスに持ち込んでほしい。
  • 本日の意見を踏まえ、次回ではロードマップの原案を提示予定。

以上

関連情報