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「モビリティ・ロードマップ」のありかたに関する研究会(第6回)

概要

  • 日時:令和5年8月9日(水)15時00分から17時00分まで
  • 場所:東京ガーデンテラス紀尾井町4階 紀尾井カンファレンス セミナールームA(オンライン併用)
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 内容
      • 「事務局とりまとめについて」
    3. 閉会

会議動画

会議の様子はYouTube(デジタル庁公式チャンネル)にて公開しています。

資料

議事録

麻山参事官: それでは、ただいまから、第6回「『モビリティ・ロードマップ』のありかたに関する研究会」を開催いたします。

本研究会は、過去と一緒でございますけれども、ライブ配信を実施しております。また、終了後にはデジタル庁のウェブサイトにて録画の公開が行われますので、ご承知おきいただければと思います。

本日は、過去5回の研究会と異なりまして、取りまとめが議題となります。議題は少なくなっておりますが、内容、討議が多岐にわたることも想定しておりまして、2時間を予定させていただいております。本日はよろしくお願いいたします。

それでは、始めにデジタル庁国民向けサービスグループ統括官の村上より一言ご挨拶申し上げます。よろしくお願いします。

村上統括官: 今日はたっぷり皆さんにお話をいただこうと思いまして、説明資料も10枚未満でございます。これで研究会としては本当に最後にしようと思います。河野大臣にも報告をいたしまして、いよいよデジタル社会推進会議の下にモビリティワーキンググループをつくって、そこでの作業は閣議決定文に直結するというステージに移ろうかと思います。

ただ、最後にも書かせていただきましたが、CSTI(内閣府総合科学技術・イノベーション会議)、国交省、経産省それぞれに省庁横断的な枠組みは動いておりますので、ロードマップの課題としては全部網羅的に書かせていただきますが、それぞれでかさばる部分は、むしろ各省でやっていらっしゃる部分はそちらを優先してやっていただいたものを閣議決定文で揃えるときにきちんと合わせるというように進めていこうと考えてございます。

ただ、今日もご参画いただいていますけれども、そのときに、今日のレベルの研究会の論点でも、こういう表現だとそれはまだ論点ではないのではないかとか、そこは終わっているのではないかとか、各省さんにもいろいろな思いがありますので、今日たっぷりご意見をいただいた後、出すときには気持ちよく出したいので、用語も含めて一旦座長にお任せをいただいて、各省さんにも仮に論点だとしてもこの表現だったらいいよというところは調整を行った上で世の中に出そうかなと思ってございます。

逆に言うと、ぜひ今日この場で、この論点についてはぜひこの言葉でとか、ここはぜひとか、そもそもここが網羅的に全部書き切れているとはまだ思っておりませんので、こんな視点が落ちているよとか、ここはご意見をいただかないと私どももあまり各省に強く言えないということもございますので、ぜひ皆さんから今日は忌憚のない意見をいただいた上で、気持ちよくロードマップ作りに進みたいと思ってございますので、闊達な議論をいただければと思います。

以上でございます。

麻山参事官: では、これからの議事進行は座長にお願いしております。石田先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

石田座長: それでは、今日もよろしくお願いいたします。今、村上さんからございましたように、今日は議論中心でございます。

それでは、早速でございますが、今日のメインでございます取りまとめ案についてご説明をお願いできますか。

麻山参事官: それでは、事務局から資料をご説明させていただきます。

資料4に、研究会の取りまとめ案ということでまとめております。9枚ほどということでかなり量が少なくなってございますけれども、本日ご議論いただいたものを踏まえて充実していきたいという思いでございますので、ぜひご議論いただければと思っております。

まず、全体の構成でございますけれども、3部構成になっております。1ページ目が「経緯と目的」ということで、これまでの検討の流れを3ページぐらいにまとめております。次に、4ページですが自動運転がなぜ事業として展開しないのか、その要因を事務局なりに分析したものを概括させていただいております。それから6ページは、この分析を踏まえて、今後、ワーキンググループでどういうことを具体的に検討していけばいいのかという具体的な検討の中身を論点として挙げさせていただいております。

それでは、順番にご説明をさせていただきます。

1ページをご覧いただきたいと思います。これまで官民ITS構想・ロードマップをベースに、各府省庁のご努力もありまして、制度改革、それから技術開発などに取り組んできた結果、自動運転技術を活用した運行サービスが全国各地で始まっております。

ただ、こうした取組というのは、自動運転に適した特殊な道路環境に依存していたり、まだ実証段階ということで行われているものが多く、事業として、また、産業として成立しているかといえば、まだ多くの課題が残されていると認識しております。こういう状況にありましたので、2022年度にデジタル交通社会のありかたに関する研究会を実施いたしまして、2つの視点が今後重要になるという報告を取りまとめております。

2つの視点というのがここに書いてあるとおりでございますけれども、自動運転を走らせるということで、供給側の視点だけの整理ではなくて実際の需要サイドの課題を一体的に検討すべきではないかというところで取りまとめを1つしております。

また、供給側の視点に立った際に、車両技術中心の取組だけではなくて、周囲の社会システム全体の課題といったものを捉えて、今後、検討していくべきだということで取りまとめをしてございます。

さらに、2ページ目に移っていただきまして、これも事業を産業として成立させるために必要な条件、施策の検討を行うということで、本研究会を立ち上げるということにしております。本研究会の設置の狙いにつきましては、今、ご説明したところに書いてあるとおりでございますけれども、研究会を過去5回行うことで明らかになってきたこともございます。大きく3つございまして、この①、②、③というところでございますけれども、1つは、我が国の社会は人口減少に転じておりますが、モビリティサービスを事業として実施していくというためには、様々な需要をきめ細かく捉えていかないと事業としても成り立たないというところでございまして、また、今まで実際に使う立場ということでいろいろ考えてございましたけれども、車両、ドライバーというのは供給側のリソースもかなり限られてございますので、需要に応じてそうしたリソースを的確にあてがうという需要側に立ったオンデマンド性というところを長期的に見ていかなければいけないというところが論点になってございます。

2つ目は、こうした需要を適切に捉えるということでは、何らかの形でデータに落とし込んでいくことが重要になります。加えて、どうしても旅客だけに目が行きがちですけれども、様々な需要を捉えるということでは、旅客、貨物の別はもとより、自動運転車両だとか、サービスロボット、ドローンといったところから発生する需要も含めて捉えていくことが必要で、さらに需要から逆算して、どういうサービスの組合せが一番いいのかというところをしっかり取り組んでいかなければいけないところが分かったことでございます。

3つ目が、こうした取組を進めるためには、データをしっかり整備するということで、今後、デジタル基盤への投資が不可欠になってきますけれども、誰が負担するかということでいきますと、参加される方、自助・共助・公助ということでいろいろございますけれども、事業者間でしっかり連携しながら取組が必要だということで論点としてまとめてございます。

ただ、こういうところを整理していきますと、1つ1つ解決できる問題でもなくて、「また」以下に書いてございますけれども、特にこうした問題が複雑に絡み合うということだろうし、相互依存、また、二律背反というか、トレードオフの関係にあるような課題もございますので、全体を通じて解決していかなくてはいけないということも明らかになってきたことでございます。

3ページ目に、それをビジネスの面、またはデータの面から大きなアーキテクチャとして、関係者が柔らかに共有しないとこういった問題も解決しないということをまとめておりまして、村上のほうからも最初のご挨拶にありましたけれども、これを各府省庁が力を合わせて講ずる施策としてロードマップに落としていくべく、秋口から官民ITS構想・ロードマップという形を改めて、モビリティ・ロードマップとして再起動するために必要な視点・論点というふうに取りまとめたいと思っておりますので、この後、ご説明させていただく点について、構成員の皆様、各府省庁の皆様から忌憚のないご意見をいただきたいなと思ってございます。

メインが4ページ以降になります。4ページにつきましては、現在の状況と、自動運転が事業としてなかなか展開されない要因について考察をまとめております。(1)(2)が現在の状況、それから、それを踏まえて事業としてなかなか展開されない要因を(3)というところでまとめております。(1)(2)は少し割愛いたしますけれども、これまでご説明しましたとおり、自動運転のレベル4につきましては、サービスを供給するために必要となる基盤的技術は既に確立していると考えております。また、各府省庁において各種規制緩和の取組を進めていただいた結果、車両が道路を無人で走行するための物理的な環境は整っていると考えてございます。

ただし、その後のポンチ絵に現在の手続を書いておりますけれども、これは自動運転のみならず、ドローンやサービスロボットであっても道路使用許可や飛行許可などの必要な手続を取れば、技術的には運行上可能ということで認識をしております。

ただ、こうしたものを実サービスにしていくためにはやはり課題がありまして、それを(3)にまとめてございます。大きく課題としては、その下に「新たな技術を持続可能な事業に活用していくための課題」ということで5点まとめておりますけれども、この5点につきまして、現状、どういう状況にあるかというのをその下の「現状に対する一般的な評価」というところでまとめております。

まず、課題でございますけれども、1つ目は、実社会への実装に耐えうる確立された技術になっているかどうかということで、ここはアンダーラインを引いてございませんけれども、現在の自動運転がレベル4まで技術的には確立しているということで、ほぼ現時点では済んでいるという認識をしております。

それから、Bでございますけれども、実社会に適用するための環境側の整備が進んでいるかどうかというところで、5ページ目と見比べて見ていただこうと思いますが、実社会に適用するためには、衝突の予防ということ1つ取っても、これを車両側で対応するのか、それとも道路のほうから何らかの情報提供をするということで、どちらで対応するかということがございますけれども、その相場感というのが確立していないという状況にあると考えております。

それから3点目、Cというところでございますけれども、当該技術の活用について、実社会側に継続的なニーズがあることということで、どうしても今まで利用料収入などで賄ってきた面がございますけれども、実際にそれを運用していくためには使いたいというニーズがしっかり継続するということが重要になってございます。これに関しまして、下のほうに書いてございますけれども、中山間などといったところで使っていくためには様々な需要を取り込んでいかなくてはいけないということが当然になりますので、実生活の中のどういった移動需要を取り込んでいくかといったところのビジョンをしっかり立てていかなくてはいけないのですけれども、現時点でそうしたビジョンまで立てているケースがあるかというと、必ずしも多くないというのが今の認識でございます。

それから、4点目、導入のハードル(初期コスト等)が低いことというところでございますけれども、やる気のある企業の方も結構いらっしゃるのですけれども、どうしても導入コストが非常に高いというところがございます。また、公共交通に対する需要の先細りというのも予想される状況の中で、これを自分で負担できるような事業者というのは極めて限られているということで、この点をしっかり考えていかないといけないと考えております。

最後のEでございますけれども、実際にサービスを始めて、継続可能なランニングコストになっているかどうかで、これが成り立たない場合は負担の仕組みをどうするかということが確立されているかというところが重要になります。これは単純に運営費といった意味でのランニングコストだけではなくて、Eに書いてございますけれども、特に事故を起こした場合に、車両側、または運行側が全ての責任を持つというようになりますと、予期しないコストが発生してくるということになりますので、社会的要請に関するコンセンサスをしっかり得られなくてはいけないのですけれども、現状、この点が必ずしも十分ではなくて、車両側のリスクだとか、その際にどのレベルの技術を確保しておかなくてはいけないかというところが必ずしも明確になっていないというところで、ここをしっかり検討していかなくてはいけないのかなということでございます。

さらに、AからE以外でも、その下に書いてございますけれども、こうした問題を1つだけ解決しても、自動運転車両やドローン、サービスロボットといった新しい技術の事業化にはつながっていかないので、一体として解決をするということがポイントになってございます。

それでは、これを具体的にどのように検討するかというのを6ページ以降にまとめております。かなり重複した記述がございますけれども、今までご説明させていただきましたとおり、自助・共助・公助の課題というのは複雑に絡み合っておりますので、時に相互依存、時にトレードオフという関係をちゃんとひもといて、全体の課題解決につなげていくということが必要になっております。自助・共助・公助がこのように複雑に絡み合っておりまして、下の①から⑥にその事例を書いておりますけれども、例えば①の車両の初期導入コストを支援する、上のポンチ絵で言うと左下になりますけれども、この部分をどの程度支援すると事業が回るのかということで言うと、当然、自助の事業性確保の努力をどの程度するかというところにも絡んできまして、上の矢印の「車両初期費用のオフバランス」といったことを一体となって検討していかなくてはいけないということでございます。

そのほか、②から⑥に幾つか事例を挙げてございますけれども、様々な要素が連動して事業性確保の努力につながっていくというところがございますので、全体としてアーキテクチャ、それからその設計の考え方をどうするか、また、ビジネス、データ、技術と各層においてどういうところが課題か、また、どうすればいいかということを共有することが非常に重要になっておりまして、この点が今までの研究会の討議でも確認されたことでございます。

これを総合的に検討していかなくてはいけないのですけれども、一個一個検討していくときには、まず自助・共助・公助ごとにどんな課題があるのか、また、今後どういう論点で検討していかなくてはいけないのかということをちゃんと整理していかなくてはいけないということで、これを7ページ以降にまとめてございます。「各課題の概要」ということで、自助・共助・公助それぞれごとに論点を3つ設けて整理をしてございます。

まず、自助でございますけれども、論点1-1として、車両導入コストを下げないことにはなかなか自動運転というのは普及しないだろうということで、その具体的な提言に当たっての課題、それから今後検討していかなくてはいけない論点をまとめております。特に1ポツ目でございますけれども、どの程度のサービスレベルが必要かということで、車両のほうにどのぐらいの要求性能を求めるかというのが変わってきます。もちろん車両に求めるレベルが低ければ、導入コストは下がっていくわけですので、世間一般でどの程度のサービスレベルが必要かというところをしっかり明確化して、実際の導入コスト低減につなげていかなければいけないというところが論点の大きなところになってございます。

それから、2ポツ目、どうしても高いというところがありますので、初期導入コストを低減するために何らかの公的支援、直接的な支援になるのか、助成的なものになるのかというのはありますけれども、こうしたところの制度設計をしっかり考えていかなくてはいけないというところがございます。

論点1-2ということで、「需要の可視化と創出」ということが書いてございます。先ほど申し上げましたとおり、どうしても需要が先細りになっていくというところなのですけれども、隠れた需要というのがまだまだございます。道路の概念の整理ということで道路をカテゴライズすることによって、どういった区分の道路にはどういった交通需要が発生するのか、また、手段を最適化することによって、そこはサービスカーが需要を確保できることなのか、オーナーカーを中心としたサービスが走るのかといったところの需要を明確化することで、新しい需要も捉えることができると考えておりますので、ここもしっかり検討していかなくてはいけないことだと思っております。それが2ポツ目に書いておりますけれども、それぞれの道路に関する需要の見える化、それからデータ化をどうやって行うかというところをしっかり考えていかなくてはいけないと思っておりますし、どこにどういう交通・物流需要があるかということを集約することで、場合によっては集客システムをどのようにすべきかとか、貨物、それから旅客といったところを混載すればしっかり需要が捉えられるのではないかといったところをしっかり創出につなげていくというところを議論していかなくてはいけないと考えております。

論点1-3は、どちらかというとこれは自助領域ですので、事業者で考えることかもしれませんけれども、投資をした方には、ちゃんと事業が永続的に回るということで投資を回収できるというところの方策を考えていかなくてはいけないと思っております。論点1-2と少し関係いたしますけれども、ビジネスモデルを各事業者、もしくは各自治体で検討していただくに当たって、隠れた受益者といったものがどこにあるのかということを可視化すると、投資コストが回収しやすくなったり、自動運転をすることで高齢者の医療費の削減につながるという社会的なインパクトを踏まえてファイナンスがどうあるべきかといったところも1つのモデルとして入れ込めるような支援をしっかりしていかなくてはいけないなと考えております。

また、投資コストを回収するためには稼働率を上げていかなくてはいけないというのも重要な課題でして、先ほどから申し上げていますような需要が発生するエリアを明確化することによって、集中的に資源を投資する。「オンデマンド化」と書いてありますけれども、一人一人のオンデマンドというところも重要ですが、事業者から見てどこに需要が発生するかということをまさにオンデマンドというところで把握するというところが非常に重要になっています。

それから、「夜間運行」と書いていますけれども、これは例でございまして、夜間の運行だと人件費といったものが非常にかかるというところで、人件費がかかるような時間帯といったところに貨物やあまり急がないものを運ぶということで投資コストを回収するようなビジネスモデルができるのであれば、そういったことも検討していかなければいけないかなということで論点を挙げさせていただいております。

続きまして、共助のほうの課題でございますが、論点2-1といたしまして、「官民若しくは民民で連携したインフラの整備」ということを挙げさせていただいております。特に自動運転の制御の仕方といいますと、自律型、それから協調制御と双方ございますけれども、協調制御となった場合には、既存の公益事業のインフラを単純に電気を流すとか、通信をするということではなくて、インフラをシェアして自動運転にも活かしていくということも考えていったほうが効率的だということで、これは共通分野の領域として検討していくべき事項だと考えております。

1ページおめくりいただき、8ページになりますが、今、ハードのお話を差し上げましたけれども、自動運転に必要となる情報ということで、ソフト情報も誰が整備をするのかということが重要になってきます。例えば自律型の運行ということになりますと、高精度の地図情報ということが必要になりますけれども、これを事業者にお任せしていいのか、また、それは一緒になって整備したほうが効率的ではないかということも含めて、公的部分から何らかの提供をさせていただくとか、一緒になって解決するためにはどうすればいいかといったところも論点になってくるのかなと考えてございます。

2番目が、「協調制御・運行の実現」ということで、幾つかここに書いているところがございますけれども、例えば4つ目の事故実績データなど、公的データの運行管理への活用強化とありますけれども、一見あまり関係ないように思いますけれども、どこで事故が起こるかということが事前に分かりますと、その地点での運行速度を少し落としたりといったことも可能になりますので、協調制御をデータの面から見てどうかということもしっかり考えていかないといけないなと考えております。

それから、5ポツ目でございますけれども、分散協調制御のあり方は非常に重要なポイントでございまして、どうしても人が介在をしますと、運行管理責任者が最後に事故が起こった場合の責任を持たなくてはいけないということにも波及しますので、本来であれば人が介在しないようなモビリティのあり方といったところをしっかり考えなくてはいけないということで、集中型のリスクを分散するためにも分散協調制御のあり方をしっかり論点として設けて、今後、検討していかなくてはいけないなと考えてございます。

論点2-3につきましては、先ほどの論点1-2とも少し関係してきますけれども、需要把握、創出につなげるために需要側のデータをどのように整備・共有していったらいいかというところで幾つか論点を設けてございます。特に5ポツ目、個人のニーズに応じたサービスの提供、インフラの整備をするというところは重要なのですけれども、個人のニーズにより過ぎると実際の供給する側がなかなか供給できないという問題にもなってきますので、需要の把握、創出という観点から、データのあり方やその際のセキュリティ、ガバナンスのあり方といったところをしっかり議論していかなければいけないのかなと考えております。

最後に、公助(公的役割)としての論点を挙げさせていただいております。重複するところが多々ございますけれども、サービスレベルがどの程度かというのは公的役割を果たす側が決めないとなかなか決まらないというところもありますので、新たな技術を活用するモビリティサービスへのコンセンサス形成だとか、安全レベルがどの程度であればうまく回っているかという好事例があれば、そうした事例の共有とか、こうしたところをしっかりしていかなくてはいけないのかなということで、今後あるべき姿を議論していく必要があろうかと考えております。

論点3-2、3-3というのは、今までご説明させていただいた課題を公的立場から支援、もしくは制度として規制緩和等々でより参加しやすい、事業として回りやすいような環境をつくっていかなくてはいけないということで幾つか論点を挙げさせていただいております。

論点3-2の公的支援の一例といたしましては、特にイニシャルコストo-naといったところもありますので、車両などの初期導入費用のファイナンスをどうやって支援していくかとか、直接的な支援ではありませんけれども、協調制御のような場合に、インフラ側で整備をしながら車両にかかる負担を下げていくとか、最後のポツにありますけれども、新たな社会的責任のルールを前提として、道路環境としてどこまで対応すべきかといったところが論点になろうかと考えております。

論点3-3は、間接的な支援のほうでございますので、車両側にどこまで責任を持たせるのか、また、実際に事故を起こした方や事故に遭った方、例えば道路に寝転がっている方がいた場合に車両側に責任を負わせるというところはさすがに問題あろうというところもありますので、この責任分界のあり方などをしっかり考えていかなくてはいけないのかなと思っております。

ちょっと駆け足でご説明させていただきましたけれども、9ページに、こうした検討を進めるに当たって注意していかなくてはいけないことを少しまとめさせていただいております。こうした課題を全体として捉えていきますと、課題を掛け算のように考えていかなくてはいけないということが出てきますけれども、一旦その課題やその対応を掛け算のように増やしていくということではなくて、全体として大きく捉えて、集約しながら触媒的な要素を検討するということも重要かというご意見もいただいております。

「今後の検討のあり方」ということで、その下の(3)に書かせていただいてございますけれども、最終的にはモビリティ・ロードマップ2024を策定するということで、デジタル社会構想会議の下に新たにモビリティワーキンググループを設置することとしておりますので、この中で今掲げさせていただいた論点を、これから意見をいただいたものを踏まえて修正していきたいと思いますけれども、この論点に沿って具体的に解決する方向、それからこれを誰が主体的に検討するか、また、共通的に支えるべき検討する事項は何かといったところをしっかり押さえながら、ロードマップに盛り込んでいきたいと考えております。

統括官からのご挨拶にもありましたとおり、こうした検討はデジタル庁で全て検討するわけではなく、様々な府省庁が既に検討していただいていることもございます。幾つか事例としてここに掲げさせていただいてございますけれども、そういう検討の成果も入れながら、全体として課題解決につなげていきたいと思っております。

以上が資料のご説明ですけれども、まだたたき台でございますし、まさに論点はこれから皆様のご意見をいただきながら検討すべき事項が決まっていくものだと思っておりますので、ご意見、ご議論などをいただければありがたいと思っております。

説明は以上でございます。

石田座長: ありがとうございました。

ディスカッションの前に、今日はご欠席である齊藤委員と越塚委員から、意見書を賜っていますので、これのご紹介もお願いできますでしょうか。

麻山参事官: 続きまして、お二方の構成員からコメントを預かっておりますので、ご紹介させていただきたいと思います。要約してご説明させていただきたいと思いますが、抜けている点などがありましたら、補足をさせていただきたいと思っております。

まず、齊藤構成員のほうからでございますけれども、大きく3点のご意見をいただいております。

まず、今回のロードマップですけれども、データを活用して需要側の社会のムリ、ムラ、ムダを省くような社会課題の解決を目指した社会システムの最適化を実現することも含んで検討すべきだということでご意見をいただいております。具体的には、カーボンニュートラルに向けたエネルギーやフードロスや無駄の削減などにつながるといった視点でも検討すべきだということでいただいております。こういうことで社会コストが下がる部分を新たに発生するコストに還元していくと、ビジネスが活性化する可能性もあるのではないかということでご指摘をいただいております。

2つ目が、見える化、分かる化のためのリアルデータを扱うモビリティの管理・運用のデータベースの構築といったこともワーキンググループの検討の視野に入れるべきだというご意見をいただいております。

最後でございますけれども、モビリティに関わる官民の業務効率化の向上、つまり各種民間データを活用して各種管理業務やインフラの運用・保守関連のコストを削減するといった効果もあるので、モビリティ関連業務のインフラ管理・運用のシステム化といったことも論点に入れてはということでいただいております。

続きまして、越塚構成員からのご意見でございます。全般のコメント、それから各論のコメントの双方をいただいておりますので、まず全般のコメントをご紹介させていただきたいと思います。

まず、今回の研究会の取りまとめでございますけれども、自動運転以外のモビリティに関する言及が少ないのではということをご意見としていただいております。その上で、そこをどのように広げていくかというところを議論の主軸に据えるべきで、自動運転以外のことをいかに書き込むか、そしてそこに新しいビジョンを確立するかといったところに重点を入れるべきだということでご意見をいただいています。

具体的に申し上げますと、先ほどの資料4の1ページのところで視点1、視点2というところで今後検討する新たな視点というのが書いてあるのですけれども、視点2の需要サイドの課題、暮らしのシーン、周囲の社会システム全体の課題を捕捉というところを踏まえた論点出しになっていないところがあるという指摘をいただいておりまして、こうしたことを併せて検討すべきだということでご意見を頂戴いたしております。

それから、自動運転だけではなくてもう少し幅広い観点でのご意見ですけれども、民間企業による自助によるサービスというのが日本の交通の特徴だったのですけれども、人口減少の中ではそれが限界に来ているところがあるだろうと。地方の交通を全て官営にすべきではないかという極論もあるので、交通分野の需要に沿った議論、構造はどうあるべきかといったところも議論すべきだということでご指摘をいただいております。

全体を通じまして、やはり自動運転中心の話しかないというところでございますので、そこをしっかりほかの分野に広げて議論すべきだというところのご意見でございます。

あとはまとめ方のところに関して、資料の4ページから5ページにかけて、大きな課題として5つの課題があるということでAからEまでの課題が挙げてあって、その評価といたしまして5ページに書いてあるところが必ずしも一致していないというところで、この一般的な評価の部分のところを実際の課題に踏まえてもう少しちゃんと掘り込むべきだということでお話をいただいております。

例えば申し上げますと、Eのところでございますが、継続可能なランニングコストが課題ということで書いてあるところ、評価のほうでは安全性の話が出てきて、この辺がちょっと分かりづらいというところで、ちゃんとそこが分かるようにしっかりすべきだということをいただいていたり、その下の3の(1)のポンチ絵のところでございますけれども、先ほどの視点1が十分反映されていないというご意見だとか、矢印の意味、実線と点線の違いといったところは説明なしではなかなか分からないので、実際に公表していくに当たってはこうしたところは分かりやすくまとめるべきだというお話をいただいております。

それから、各論の論点1-2というところでございますけれども、需要の可視化と創出というところでご意見を多々いただいております。デマンド側のデータから駆動していくということになるところをうまく整備すべきだということで、特に需要が減っているところについては需要を可視化して、ほかの分野の需要も可視化ながら、実際に需要が発生するところに車両やそうしたリソースを割り当てるというところは可視化で済む一方で、物流などですと、個別の家庭から需要が発生するということで、単純に可視化をするだけで済む話ではないということで、この点についてはAIも活用しながらスケジューリング、それから物流の最適化といったところをしっかり議論すべきではないかというお話をいただいております。

それから、モビリティだけではなかなかビジネスとして成立が難しいということであれば、医療などといったほかの分野のビジネスも含めて多需要化するということも重要な話ですので、まさにモビリティの視点を変えてリ・デザインをしていくといったところも議論の中に盛り込んでいくべきではないかというご意見をいただいております。

それから、データ連携基盤につきましては、新しいモビリティの鍵になるインフラだということで、様々な分野のデータと広く連携することが重要だということをいただいております。その際、時間軸と負担の考え方というのが重要で、最終的にはデータの整備も公的な主体から徐々に移していくというのが共助のあり方ということであって、その点をしっかり考えていく必要があろうかというところをいただいております。

最後に、全般を通じて今回のところで抜けている視点のところでご指摘をいただいております。抜けている防災という観点などといったところは議論をもう少ししたらいいのではないかというご意見をいただいております。

長くなりましたが、頂戴していた意見は以上でございます。

石田座長: ありがとうございました。どうぞ。

村上統括官: こんな角度で議論していただければという視点を3つ出しますので、どの順番からでもコメントいただければと思います。

まず、この報告は短い報告ではありますが、ロジックは割と明確に束ねるために出していまして、人口減少で需要密度が低下するという話と新たな技術の投資というのが食い違っているというところでみんな立ち止まっています。そのためには、データを使いながら需要から逆算するサービスの体系というのを考え出す必要があるのではないのでしょうか。

ところが、それを実現しようと思うと、自助・共助・公助の様々なレイヤーの課題が相互依存だったりトレードオフだったりになっています。これをどうやってひもとけばいいのでしょうか、ロードマップにいたしますという論理の流れになっております。そこは比較的明確に書いているつもりですが、やはり各府省庁さんが納得のいく論理が頭に来ないと、なぜこのように並んでいるのだっけという話にもなるものですから、こういったロジックがこれでいいのかなというのが1点目でございます。

2点目は、非常にシンプルでございます。箇条書きにしておりますが、論点に過不足がないかというところを足していただければと思います。少し各府省庁とも調整して、論点が見えてきたら、実際に公表するときは、もしできれば各論点に1枚ポンチ絵みたいなものをつけて、こんな課題があるよねというようにまとめて公表できればいいかなと思っていますが、各論点の表現や中身が落ち着かないことには作業してもしようがないものですから、一応今日はこの段階でお示しをしているということでございます。

最後が一番頭を使う視点ではないかと思うのですが、こうやって論点に出しますと、分かりやすいというか、当たり前というか、だからという感じがあるのですけれども、例えば最後の越塚先生の意見でもありました、N対1対Mのような集約する触媒みたいなものをどこかに1つかませないと、A掛けるB、B掛けるC、C掛けるAがどんどん発散していくのではないかという戦術・戦略論であったり、それから、あまりはっきり書いていないですけれども、従来、人口が増えて税収も増えるときなら、公的支援行け行けどんどんということだったのだと思いますが、できればマーケットメカニズムを極力使いたい。その中でパブリックが押さえるべきポイントを絞り込んでいくとすると、一体それはどこで押さえればいいのだと。これもN対1対Mにも絡むかもしれませんが、例えばそれがやはりお金が要るという話なのか、それとも標準規格をきちんと決めさえすればマーケットアビリティが動き出すので投資が動くという類の話なのか、どうなのだろうかというマーケットの使い方みたいなところ。

それから、前回も最後のほうでいろいろ出てきましたが、いろいろな局面で結果としてデータを上手に共有したいという思いがある一方で、データをそんな簡単に出せるかという面もある。では、一体どういうモチベーションを仕掛けると、必要な局面でそれぞれデータの共有というのが進むのか。これは実は論点の大きな1、2、3にある種裏側で共通している論理みたいなものが一段掘り下げるとあるのではないかと思うのですね。これをやらないと、論点をたくさんつくって辞書のようにできて、一個一個やりますかという議論になってしまうのですが、恐らく答えにたどり着けないのではないかという気がいたしますので、これを俯瞰した上で、その裏にある戦略とは一体何だといったレイヤーからもしお気づきの視点があれば、ご示唆をいただけるとありがたいかなということで、報告書全体のロジックについてが1、論点の過不足についてが2、発散系の論点に対して実は裏でこういう戦略や戦術が共通要素としてあるのではないのみたいなところがあれば、アーキテクチャの話もそうですが、ご指摘をいただきたいというのが3。これが私からのお願いでございます。

以上です。

石田座長: ありがとうございます。

ということで、これからは構成員の方、あるいは府省庁からの方、関係なく自由にご発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。

では、岡本さんからお願いします。

岡本構成員: 論点を3つ出していただきましたので、その中身にできるだけ沿ってと思います。

最初は人口減少ということが基軸にあって、その中である種インフラを維持するとか、投資するというのが必要だと。そういう中でどのようにお金は回るのだろうかというのが1つの視座としてあって、いろいろ考えてみると、少ない人口なのだけれども、生み出しているバリューが増えているということでないと結局お金が賄えないと思うと、何がしかこれによってすごく生産性が上がって、その結果としてできた物や何かを海外に輸出するというところまで生産性がすごく上がって、多様な地域でいろいろな物ができていくという世界につながっていかないと、結局お金が回らないのではないかという気がちょっとしていますというのが最初のところで思っているところです。

そうはいってもそんなことを本当にできるのかというのもまずあるのですけれども、生産性をすごく上げるということと、そのためのインフラというのをできるだけ少ない投資で回せるように、ただし、生産性を上げるようにインフラを最適化するということを考えながら生産性を高めるということが必要になるのかなというのを最初のところではちょっと思いました。

その後、ここで出していただいている論点へのプラスアルファみたいなものがあるのかとか、あるいはもう1つの話はさらにそこの視座ということでお話しいただいて、これも非常によく整理していただいているなと思っているのですけれども、私はモビリティについては全くの素人なので、全然違っているかもしれないと思うのですけれども、1つ付け加えていただきたいのと、逆にお願いみたいなものは、例えば論点2-2で交通データをモビリティサービス以外に活用することでの効果創出と書いていただいていて、例として電力需給との組合せということで出していただいています。これは我々の世界から見ると、全く逆もまたしかりになっていて、要するにエネルギーのシステムというか、ネットを考えているときに、エネルギーの需要と供給というのがあるのですけれども、そのときにモビリティというものを一環として捉えているところがあって、ちょっと話を難しくしているようで恐縮なのですけれども、つまりエネルギーのシステムとモビリティのシステムというのを横断で見ないといけないので、逆もまたしかりということが我々とモビリティとの間で起きているし、他の分野でもそういう似たようなことが起きているかもしれないなと思いましたので、このモビリティ以外というところと横断的に見るという相互にシナジーが生じるということを論点としてはより強調していただいてはどうかと思いました。

あと、アーキテクチャというかどうか分かりませんけれども、少し背景になるところで付け加えたらいいかなと思ったのが、例えば論点2-2で集中型か階層型かという話があって、複数のモビリティの分散協調制御のあり方というのがあって、これもちょっと的外れかも分かりませんけれども、我々の電力のネットワークみたいなもので考えると、恐らく階層構造があって、分散に持っていったほうがいいのだけれども、やはり階層構造はつけていないと何か変になるのではないかと思っていまして、モビリティでどうかというとちょっと分かりませんけれども、例えば何か幹線があって、高速道路で動くもの、あるいは新幹線みたいなものもあるし、必ず乗換えという概念が起きていて、そのネットワークは我々のネットワークと同じで階層構造をつくっているような気もするし、物流も結局そういうトランスファーポイントみたいなものができていて階層構造があるので、ネットワークの階層構造みたいなものを捉えるとなると、結局階層分散型になるのかなみたいなことを思っていますので、アーキテクチャとしてはそういうことがあり得るのかなと。

そうすると、越塚先生のおっしゃったN対1対Mみたいな話もあって、乗換えポイントみたいなものが例えばハブだと考えると、そこをうまく頭を整理すると整理できそうな気がしたのと、あと、何階層か分かりませんけれども、ハブが何階層かあって、そうすると乗換えみたいなことが起きて、その整理においてはハブという特殊なポイントを考えないといけないですけれども、それを考えた後、ハブが階層構造で連結されているみたいなことを考えると、全体が意外に整理しやすかったりするかなみたいなことをちょっと思いました。

なぜそのように申し上げているかというと、結局我々のエネルギーの世界も実はそういう構造になっているので、同じネットワークの問題なので、ハブがあって階層的になって、できるだけそれを分散的に動かすよねという同じ問題になっていて、それぞれのインフラに相互関係があるものですから、大体同じ階層分散構造みたいなものをつくって、もしそれで両方協調して代わりに制御できるようなことができるようになったとすると、インフラの相互関係というのが最大限に生かされるようなこともあるのかなということで、これはかなり的外れになっている可能性がありますけれども、私どもの分野で日頃考えていることからするとそういう部分があるかなと思いました。

あと、最後に付け加えで、これは余計なことかも分かりませんけれども、これからデータモデルみたいなことを考えていかれると思っているのですけれども、やはりスピードが大事だと思っているので、ゼロから創る必要がなくて、もう海外でデファクト的になってきているものが仮にあるとすると、そういうあるものは徹底的にパクッた上で、足らないものだけつくりにいくというほうがきっと早いのではないかなと思っておりますので、そういった視点も加えていただけるとありがたいなと思いました。

私からは以上でございます。

石田座長: ありがとうございました。

須田先生、どうぞ。

須田構成員: 一見すると非常にうまくまとまっているなというのが正直な感想なのですけれども、いろいろ考えてみて幾つか気になるところがありますので、ご紹介させていただきたいと思います。

まず1つが、先ほど自助・共助・公助が重要だという形で論点を整理されているのですけれども、そこで相互依存だとか、トレードオフという難しい問題がありますと言っていながら、それを検討するという視点が抜けているような感じがいたしました。例えば安全というのはそういう話だと思うのですけれども、個別の安全はかなり自助的な話ですけれども、トータルな安全というとこれは公的な話になるのではないかなと思うので、そういうふうに、公助と自助で同じことをやっているという話があるという話はもう少し詳しく書いて、論点で挙げてもいいかなと思ったのが1つです。

もう1つが、私は最近このモビリティが将来どうなるかということをいろいろ議論しているときに、どちらかというと、自動車は自律で分散という切り口で整理されると思うのです。一方、公共交通というのは集中・協調ということで、自律・分散か集中・協調かという対立があるように思っているのですけれども、それが将来的にはうまくバランスしていくというストーリーではないかなと思っているので、そういう話を目標という形で考えていただくのも1つの案かなと思ったというのが2つ目でございます。

あともう1つが、これは前回も申し上げたのですけれども、ここでの議論はサービスカーカー視点ですけれども、オーナーカーはどうなのだという話が出てくるのではないかなというのがあります。一方、今度はサービスカーだというと、MaaSの話になってくる。これは都市なのか、いわゆる地方なのかでもロードマップは変わってくるのではないかなという感じがしますので、そういう地域の特性という視点をどこかに入れたほうがいいのかなという感じがいたしました。

最後の話は、これは完全に国内だけに閉じた話になっていて、海外との関係や、海外ではどうなっているか、あるいは先ほど標準という話が出てきましたけれども、規格、標準も考慮して、海外展開を考えていかなくてはいけないとか、そんな話もあるのかなと思いました。

以上、4つほどお話しさせていただきました。よろしくお願いします。

石田座長: ありがとうございます。

ウェブで手を挙げられているのが日高さんとITSJapanの山本さんですね。その順でご発言いただけますか。

日高構成員: MaaSTechJapanの日高です。よろしくお願いいたします。私からは2点発言させていただきます。報告書は読ませていただきまして、統括官がおっしゃられたようによくまとめられたなと思っております。

可能性としてもしかしたら今回のまとめの後かもしれませんが、2点指摘させていただきます。

1つ目がロードマップという言葉自体でございまして、ロードマップというと大体横軸に時間軸がある。今回のものは次世代のモビリティ全般を指しているとは思いますが、特に自動運転と考えますと、これから普及期でもありますけれども、今年、来年、再来年の2025年までに非常にチャレンジングな実証期があると思います。

あわせて、その後に、もちろん事業性を鑑みた後ですけれども、大量導入期というものがあったときに、50か所で100台という程度ではなくて、数千台を作らなくてはいけない、もしくは作っては直しという状態になってくると、実証期の後に来る大量導入期で導入された後は普及・安定期ということで、その間に必要な事業や産業というものを誰が担うのかというところもロードマップの中で、今後、秋からあるワーキンググループでもいいかもしれませんが、考えてもいいかなと思います。

特にデジタル系もそうですけれども、モビリティ系も、ドライバーを含めた交通系も人材不足であることは皆さんご存じのとおりだと思っておりますので、そこを例えば自動車整備工場の方々が担うのか、自動車ディーラーさんが担うものなのか、既存の交通事業者様が担うのか、例えば整備などですと、鉄道事業についてもまだターミナル駅に鉄道車両の整備工場というのがありますので、そういう技術者たちが担うものなのか、それとも全くそこがなくなって全く新しいプレーヤーがやるべきなのかという産業の切替えのスピードを上げるために、その担い手のところを定義していく。それによってロードマップが何も考えずに行うと5年10年かかるところが少しでも短くなっていくというところで言うと、産業の可能性もあるでしょうし、外部の投資のマーケットというところでも立ち上がりというのは非常に重要かなと思いますので、ロードマップで時間軸を引いた上で、それをいかに効率的にやるかというところで巻き込むプレーヤーなどを考えてもよいのかなというのが1点目でございます。

2点目は、私の構成員としてのポジショントークもあると思いますが、やはりMaaSの観点はぜひご検討いただければと思っております。先ほどのとおりで、大量導入期に至っても恐らく運行管理者や整備担当者でそもそも半導体不足が解消される見込みもまだないことを考えると、それほどたくさんの車両や自動運転のレーダーやセンサーというところが今の自家用車、バスの輸送力を賄うまではまだかなり時間がかかるし、そもそもそこまでは製造できないかもしれないと考えますと、混在する間につきましては、全部が自動運転車両でデマンド性を持つものという可能性もありますけれども、やはり輸送力の高い、速くてたくさん乗れるような乗り物と、よく幹枝葉と言われますけれども、そのうちのどれを担うかで考えてみても、恐らく既存の鉄道やバスというものと自動運転によるサービス化というものがうまく連動する、もしくはすみ分ける必要もあるかなと思いますので、自動運転で走行しているところを他のモビリティで利用者を取り合うようなことになると、せっかく産業政策として自動車を伸ばしたのに誰も使えませんという形にもなると思いますので、そこはいろいろな判断があると思いますけれども、故障したり、台数が足りなかったり、走れなくなったときには他の交通で賄う、連携するということもあれば、いろいろな判断はありますけれども、鉄道やバスなどの既存の運行主体のものと切り替えて、それをなくせばそこの移動手段というのは全部自動運転側に持ってくることができると思いますので、そういう観点で、とにかく車を走らせるというところ以上にそれを事業にするところは交通の観点、MaaSの観点というところが非常に貢献できるところもあるのではないかと思いましたので、1点目はロードマップの話、2点目でMaaSという観点で、その中で自動運転をどう伸ばしていけるかというところはぜひ検討要素に入れていただきたいなというところで発言させていただきました。

以上です。

石田座長: ありがとうございました。

山本昭雄さん、お願いできますか。

山本構成員: ITS Japanの山本でございます。

私は今後の進め方の中の論点の捕捉、村上統括官が言われた2番目の中に、もっと暮らしのシーンを想定した需要サイドの課題、つまりどんな地域でどんな人のためにどんな移動交通手段・サービスがいるのだというところを、全部が全部は無理かもしれませんけれども、ある程度しっかり出した上でこれを進めないと、結局自動運転のためだけの議論なのという形になってしまうのではないかなと若干危惧をしております。

SIPやデジタルライフライン全国総合整備計画、公共交通のリ・デザインという名前が挙がっていますけれども、私は先月の7月28日だったと思うのですけれども、閣議決定された第三次国土形成計画というものに目を通したのですね。そこの中にはモビリティの課題みたいなものがしっかり整理されておりますし、それを需要と照らし合わせて整理した上で、その解決方策はこういうものに対してロードマップをこのように作っていきますよと。いわゆるサービス、消費者目線というのが論点としてもう少し加わったほうがいいのではないかと思います。

この中には地域生活圏の形成や地域の活性化を支援するためにどうか、街中の移動をどうするかという視点が入っていますので、そういうところを考えられてはいかがでしょうかというところです。

以上でございます。

石田座長: ありがとうございます。

山下さん、お願いします。

山下構成員: 自工会から出席させていただいています、山下です。

村上さんが3つほどこのロジック、ストーリーというお話をいただきましたけれども、毎回この会議のいろいろな資料を見ますと、どんどん解像度が上がるのだなというのはすごく印象深く確認していますけれども、解像度が上がると、ごめんなさい、僕の正直な感想でいくとうれしさが減少するようなところを感じまして、先ほど山本さんも話していましたけれども、やはり人軸というのがちょっと弱いのではないのかなと。これは何のためにやっているのかなというのをもう少し明確にしていかないと、うれしさが伝わらない、受容性が喚起できないというのが1つのポイントかなと思います。せっかくですので、皆さんのいろいろな議論の中では必ず人の話が出ますし、事業者の方々の思いやりの話もいっぱい出るのですけれども、このように解像度を上げて整理すると非常にToDoリストみたいになってしまって、それをチェックしなくてはいけない時点でちょっとネガティブなモードに入ってしまうというところはすごく感じたところがありました。

でも、逆に言うと、これだけの項目が整理されて今回すごくいいなと思ったのは、自助・共助・公助というのを明確にしていただいたのは、ここにおける何を論点にすればいいのかというのが明確になってきたので、そこを1つ押さえながら、先ほど言ったワクワク、受容性ということで、せっかくだったら人や物や事が自由に移動できるということが未来にわたって約束されるのだということをここから皆さんと一緒に、あるいは今回の議論ではないのかもしれませんけれども、次回につながるようなバトンタッチができていけばいいのかなと思ったので、そこを1つ指摘というか、感想を述べさせていただきました。

それともう1点、やはり需要性ということになると人のデータというものがかなり出てくるので、これは最初の段階から一応項目には書かれているのですけれども、かなりプライバシーガバナンスをはじめとしたルール形成をしっかり出だしからやっているという姿勢とともに、使い方ということとデータの取り方ということがかなり最初から、もしかするとアーキテクチャの段階からしっかり組み込まれているというのを提示しながらやっていったほうが、国民の方が見たときにも安心で、このデータが回ることによって自分たちが幸せになるし、だからデータを出したいというこのループの仕組みをちゃんとつくっていますよというのはしっかり議論するということと、項目立てしたほうがいいのではないかなと思ったものですから、その2点だけ指摘させていただきました。

ありがとうございます。

石田座長: 続いて、甲田さん。お願いいたします。

甲田構成員: ありがとうございます。

今、いろいろな先生方が言われたところと近しいところもあるのですけれども、まず需要サイドというところで、既に自動運転バスなどをご利用になられている方のデータがあったり、既存の公共で間に合っていない課題のところというのもかなりデータ化されたものがあるので、そういったデータに基づいて、2030年までのロードマップで既存のいわゆる公共交通がどのように変化していくというのが望ましいのかというのを人口動態も含めて時系列で見られるようになると、大分ここから整備していかなければいけない課題というのが明確になるのではないかなと思ったことが1点です。

もう1点は、今回、かなりいろいろな議論がなされてきた中で、自動運転にすごく注力されたようなものになっているので、先ほど日高さんがおっしゃられたのと同じように、MaaSという観点で、特に私は自動車がこれだけあって、空き家のように使われていない車もどんどん増えてくるでしょうし、高齢化もどんどん進んでくるので、ライドシェアの積極的な導入は各国においても日本が物すごく進んでいないところなので、なぜこれが進まないのかというところを避けずに議論して、その可能性というところにもしっかり向き合っていきたいなと思っています。

それから、ちょっと話を戻して需要サイドというところで、例えばドローンだったり、自動運転だったり、ライドシェアだったり、様々なサービスがあるのですけれども、どんなシーンでどんな課題を解決するのかといったことが見えてくると、これらが公になったときにも、あからさまに他人事みたいな感じで、市民が思わず自分たちの生活がこのように解決されていくのかということで国の施策に対して興味・関心を持たれる方々が増えるのではないかなと思いました。

以上です。

石田座長: ありがとうございました。

川端さん、次にお願いできますか。

川端構成員:

いろいろ整理していただいて、議論の結果としてやらなくてはいけないことというのがすごく明確化してきたなと思って拝見していました。

論点から若干ずれるかもしれないのですけれども、課題について議論するときに、現在の課題を議論すると、実は20年後の交通課題を見ながら立てなくてはいけない施策なのかなと逆に今日まとめていただいたものを見て思いました。今回の議論では、現状の課題や近未来の課題というのは非常によく皆さんで議論して、私もすごく共有させてもらったなと思ったのですけれども、こうしたまとめた状態になると、実はこの施策というのは、特にインフラなどは実現するのが20年後や25年後になる可能性があるなと思って拝見していて、そうなった場合に、例えば今、路上にはかなりセンサーが増えていて、道路だけでも従来よりカメラのようなセンサーが非常に増えていたりといったものもありますし、電動車が増えていく方向にあったりというのが、現在の考えだけだと追いつかないことがあるかなと思ったので、将来の交通環境に関しても視点を持ちながら考えていくということが1つ必要かなと思いました。

あともう1つ、先ほど他の委員の方からもご指摘があったとおり、解像度を上げてきれいに整理されると心情的なものというのはどうしても抜けてしまうというのはおっしゃるとおりだと思っていて、自分の好きな言葉で「ついた餅より心持ち」という言い方があって、ついてもらったお餅そのものよりもついてくれた気持ちを大事にしようみたいなことがあって、お餅をつくのは結構重労働ですけれども、それをついてくれた人の気持ちを大事にしたりといったことで人間には動作が生まれるとか、行動が生まれると思います。なので、よく交通課題を考えるときに、実はモビリティなんて散らばるほどあって、稼働率も4~5%ぐらいで、90%以上止まっているという車がそこら辺にたくさん置いてあって、でも、それを実際に乗る人とか、誰か連れていってくれるとか、サービスしてくれる人がいないというのが交通課題につながると思うのです。

そういった意味では、現状の整理だけをしているよりは、例えば私が子供のときは近所の人を病院に乗せていくなどは当たり前だったのですけれども、今は隣近所の人に急に病院に連れていってくれということは言えなかったりすると思うのですね。そういった意味で、心情だったりといったことから生まれるサービス提供の状況といったことなども加味できるような一言があるといいかなと思いました。

ただ、そのためには、精神的な共助という言葉だけでは表せないなと思うので、例えばですけれども、ドライにはなりますけれども、地域通貨や地域ポイントといったものの導入で、あなたが感謝としてあげられるポイントを10点、地域であげますとかにして、それを使って地域の催しに参加できたりといったことで、お金ではない流通が生まれるといいのかな。心の流通みたいなものをデジタルでやれるといいのかなというのが今回の資料を見てさらに思った点かなと思います。

もちろん通貨やポイントにしてしまうとドライには感じると思うのですけれども、それは地域で無料であげられるようにしたり、その地域で消費できるようにするということで交通のデータにもつながるかなと思いました。それは交通データの供出にもつながると考えていて、ただデータを出せということで出すということはないですけれども、それから得られる利便性であったり、利便性の積み重ねで、1回の利便性のためにデータを出す人はいないと思うのですけれども、自分のデータを蓄積したものにアクセスできるとか、自分が供出したデータから生まれたサービスにアクセスできるとか、そこが無料であったり、利便性の高さでアクセスできるというのはすごく大きなことだと思うので、そういったモビリティデータのデジタル化が必要なものというのはただデジタル化しても何の意味もないので、そこにどれだけデータをみんながのせてくれるかということになると思うので、データ供出につながるインセンティブの設計というとまだドライに聞こえると思うのですけれども、そこはやはり先ほどのついた餅より心持ちの精神がのせられるといいのかなと思いました。

あともう1点、ロードマップを作るときに時間軸というのが非常に大きな指標になると思うのですけれども、日高先生もおっしゃっていたとおり、それを普及させなくてはいけないというときに、日本は東京のような大都会はデマンドがあるので、何を入れてもうまくいくまではいかないですけれども、結構いろいろできると思います。ただ、重要なのは地域や地方の交通ということになると思うので、それを面で広げていくときの考え方というのが、ロードマップでよく持つような時間軸だけではなくて、何年に何々普及というよりはそれをどういった形で面で広げていくかといったところの施策というのも視点として持つことが重要かなと思います。この会で決定するというよりは、そういった分科会であったり、ワーキンググループなどに広げていくときにそういった視点を持っていこうということが必要かなと思いました。

それを技術的に置き換えると、自動運転では非常に大きなオペレーションを浸透させるというのも重要な技術ではあるのですけれども、それに限らず、人間のサポートも含めて、ほかの交通とのオペレーション連携みたいなことができれば、自動運転だけではなくて人間が運転するであったり、自分で運転するみたいなところも使ってモビリティサービスの提供の広がりや種類を増やしていくということが可能なのではないかなと思いました。

すみません、少々長くなりましたけれども、今回の資料で思った検討事項です。

以上です。

石田座長: ありがとうございます。どうぞ。

秋本構成員代理: 自助・共助・公助の論点をまとめていただいて、非常に分かりやすくなっております。これらを全て解決すると社会実装するのだろうなと思いますけれども、非常にハードルが高いなと感じております。

3点ありまして、まず、この自動運転というものがコストの回収できないビジネスモデル、それはどこにコストを押しつけるかというか、どうやって公助というか、いろいろな金を入れていくかというところと、あとはその中で例えばドローンの場合もそうなのですけれども、レベル4をやるとなった途端に機体のコストがどんどん上がっていって、結局ビジネスモデルが成り立たない。例えばその辺で誰もいないところでドローンを飛ばして10万円もらったほうがもうかる。多分そういうほうから社会実装が進んでいきますので、いきなりハイスペックのいわゆる高度な実装のところに目標を置くのではなくて、段階的なシンプルな低レベルの社会実装から高度な社会実装というユースケースをちゃんとつくっていくべきかなと感じました。

その中で、先ほども言いましたけれども、要は高度なものを実装すると当然コストが上がってきますので、インフラ側で例えば人が誰もいない、道路が広いところで自動運転をやるというのは非常に簡単で、早く実装ができるレベルの低い社会実装になると思うのですけれども、それを人がいる、いろいろなものが走っているというところでも社会実装すると、非常にハイスペックなものになっていろいろな責任問題も出てきますし、なかなか社会実装が進まないということで、ある程度いわゆるエリアというか、ドローンの場合もそうなのですけれども、どこかに社会実装するエリアを段階的にA、B、Cというのを指定していく。そこにいろいろなインフラがどのように整備されているか、そのインフラだとどういうものができるかというところをつくっていくというのも1つの手かなと思いました。

先ほど言いましたように、インフラもそうなのですけれども、出口がユースケースで、地方でやるのか都会でやるのか高速道路でやるのかというところをロードマップに反映されるときに、ユースケースごとにその制度設計みたいなものが必要になってくるのではないかなと思いました。

あと、先ほどビジネスモデルが成り立たない、需要が足りないというところで、自動運転バスなどのいろいろなデータを活用されるということで、それで効率をよくして需要を喚起していくというところもあるのですけれども、需要を無理やりつくるというところも必要になってくるのかなと思います。特にCO2の削減とか、朝の通勤ラッシュというところで自分の車に乗らないとか、できればバス会社に自動運転をやっていただいて、ステークホルダーとしては従来のいわゆる運行事業者がきちんと自動運転の車を使って事業ができるというスキームをつくって、そこに例えば官公庁だったら通勤時にそれを使いなさいとか、マイカー通勤禁止とか、企業に協力いただくことによって需要を無理やりつくっていくというところも1つの方向性にあるのかなと思いました。

以上でございます。

石田座長: 私が少し思ったことは、最初とりまとめ案を見たときに、貨物の話をちゃんと書いていないではないかとか、サービスシーンをちゃんと書いていないではないかとか、自動運転ばかりと思ってしまった。

でも、よく考えてみると、これはアーキテクチャの話をしているので、そういう枝葉の話は別に書かなくてもいいのです。

そういうことを考えたときに、ここでの論点1、2や黒ポツ、四角の意味合いとは何なのだろうかということを考えると、我々が目指すべきものは、やはりいいアーキテクチャをみんなでつくって、あるいはそのアーキテクチャの根本精神を議論して、あとはそれぞれのところで、それは公であるかも分からないし、民であるかも分からないし、あるいは共であるかも分からないけれども、それぞれのところでやってくださいねというのが多分本筋だろうと思ったのです。

そういう意味ではよくできていると思うのだけれども、残念ながらここではアーキテクチャという基本的な考え方のことは何も書いていないので、常識なのかも分かりませんけれども、私はあまりそれの専門でもないので、普通の人が読んだときに、アーキテクチャと書いてあるけれども何なのと。そうすると、デジタルデータアーキテクチャだけではなくて、制度もアーキテクチャです。あるいはインフラの物理的なものも、元々建築というところから出てきた言葉ですから、それも立派なアーキテクチャです。そうすると、全部なのだけれども、全部をうまく考えてできるようなことを、壮大なものですということをもうちょっとしっかり書いたほうがいいのではないかなと思いました。そういうことがあまり書いていなくて、普通の人がデジタルデータアーキテクチャのことかなと思って読み始めると、ここで言っているのと随分齟齬があるねと思いました。

その上で、論点1、2とか、それぞれの事例はどういう役割を持つのだろうかといったときには、具体的に「なるほど、そうするといいよね」ということを分かっていただくための非常に具体的な説得材料が、それほど体系的ではないかも分からないけれども、分かりやすく書かれているといった文章なのかなと思い返してみると、すごくよくできています。

だから、そういうものであるとむしろ皆さんが合意されるのであれば、文章の性質や書き方というのをもう少し工夫すると、さらに分かりがよくなるのではないかなと思った次第でございます。感想です。

和泉さん、どうぞ。

経済産業省 和泉室長: 私がコメントすべきことは既に石田先生にご指摘いただいた気がするのですけれども、まず3.(1)、相互の課題の相関性とアーキテクチャと書いているところのアーキテクチャの意味は、『政府がしっかりインフラに投資して、社会あるいは産業が元気になるという構造、それを実現するための官民の役割分担という意味でのアーキテクチャ』というのがここでの意味だと解釈しています。

その際、課題から議論すると老人が云々という限定的な話にとどまりがちですけれども、本当にいい仕組みとして、例えば、若者が地方でも持続的に暮らせる、リモートワークなどで都会と同じように暮らせる、という仕組みが実現できると、老人にとってもいい都市となっているはずです。そういう全体感という意味で、ここでのアーキテクチャは、政府がインフラに投資して、民が、あるいは産業が、あるいは生活がよくなるという目標に向けて、官民の役割分担をしっかり考えましょうというのが書いているのだと思います。

これらの考え方が、6ページの一番下のアーキテクチャ及びその設計の考え方と細分化されたときには、デジタル時代のインフラがどう変わるのかという変わり方の議論に文脈が変わっているのだと私は理解しております。

具体的には、論点2の周辺にも書いていることではあるのですけれども、これまで次期ITS、あるいは次世代ITSという形でご議論いただいていた内容ですが、これまではインテリジェントという言葉で隠れていたのですけれども、要するに信号の色に対して個車がリアクションする、あるいは自転車が近づいてきたから、人が飛び出してきたからリアクションするという物理に対するリアクティブなシステムのあり方というものでした。このようなあり方から、データを貯めて予測構造に基づいて省電力化するというように、要するに予測構造を入れてより良い行動を生み出すという発展は、齊藤理事長が言われたムリ・ムダという言い方が分かりやすいと思うのですけれども、データを使ってよりよい構造を追求するのであるという、フィジカルリアクションからデータに基づく予測という構造への移行が、恐らく今までのITSのIのところがデジタル時代の何かに移行する、データ中心、あるいは、データ連携により実現されるという形で読み替えると、かりやすいのではないか。私はなるほどと思いながら読んでいました。

このように考えてみると、自動運転に特化したのではないかというコメントに関しては、要するにインフラがどう変わるのかについて考えるべきところ、自動運転車用道の上を自動運転車が走るという事象に個別化しすぎていないかという指摘であり、論点としては、信号の意味合いが変わってくるのではということだと解釈しています。交通用の信号が鉄道の信号のように、管制システムも鉄道管制のような、個別の車両は動くのだけれどもある種の集中管制みたいなものが整備されるべきという、岡本委員の言われていたような話はそういうことなのかなと思って聞いてたのですけれども、そういうあり方をしっかり決めようということではないかと。こういう検討の一部として、新たなオペレーターの創出、それは山下構成員が言われていたMSPみたいなものとしてのモビリティサービスの提供者、あるいはそのオペレーターかもしれないし、エネルギーの最適化のオペレーターかもしれないし、次期ITSというもの、あるいはそのモビリティというものを考えたときの新たなオペレーターの創出というところが重要だと考えております。その検討に際しては、もしかしたら公助、あるいは共助というところの新たなプレーヤーの創出みたいな形があり得るのかなと解釈しております。

まずはアーキテクチャという観点でした。

石田座長: 波多野さん、どうぞ。

波多野構成員: 今の和泉さんの説明がすごく新鮮だったので、少し確認したいというか、和泉さんだけではなくて皆さんになのですけれども、今、和泉さんがおっしゃったのは、私の理解で言うと、従来のモビリティをデジタルというか、情報というか、そういった新しい技術を加えることで概念的にアップデートしたいと聞こえました。恐らく合っているのではないかと思うのですけれども、今、産業界で自動運転という文脈で、今申し上げたモビリティをアップデートできるような議論ができているかということで申し上げると、いわゆるコネクティビティの領域はかなりトライできていると思いますし、自工会でもそういったプレゼンテーションを以前に山下さんがやられているのですけれども、実際の移動そのもので言うと、残念ながらまだモビリティのオペレーション自体の主体が人から機械にただ置き換わっていく過程でしかなくて、アップデートというところには全く届いていないというのが私の理解です。

幸いにも、まずはその第一歩として人から機械に主体を変えていこうということが大事だと思っているのですけれども、そういった意味では、規制や制度の観点では機械化が許されるようにはなってきているのかなと思っております。

一方で、こちらの論点のまとめの中で事業面での実現性という観点で言うと、参入事業者の負担ということで捉えますと、無人に近いことができるようになった結果、意外と参入側としては非常に高い技術だったり、多くの設備投資みたいなものを負担せざるを得ないような状況になっていることも共有いただけていることですし、今回の資料にも一部そのように表現されているということで、この点が無人にできて効率が上がるはずなのに、実は負担が増えるのではないかというところの不整合性を改めて点検したり、見直す、もしくは最適化を図るということの機会をぜひこのロードマップの検討の中でさせていただき、和泉さんがおっしゃっていたモビリティ自体のアップデートが速やかにやれるような、効率のいいモビリティ手段を手に入れられるようになるといいなと思っていますし、それに向けて今、自工会でも微力ながら検討はさせていただいています。

公助や共助の観点で、要するに交通社会を共有しているそれぞれがお互いにバランスをしていくことで、そういった偏った負担というのが平準化されるという期待値はあるのですけれども、これがまた結局自動運転なのに中に人が乗っているみたいな変なことで解消するのではなくて、もうちょっと効果的に役割、もしくは責任を最適配置するというところがもうちょっと深掘りできるといいかなと思っています。

あと、これは私の領域外なのですけれども、例えば最近、出前のアプリや配車のアプリなどに非常に多く参入されていて、これがまた収益としてはそこそこ成り立っているというお話も伺います。ここでキーポイントになるのは、決して出前を出している、要するにお蕎麦屋さんがアプリ分をマイナスして、要するに身銭を切ってアプリを使っているわけではなくて、アプリはアプリで収益があり、お蕎麦屋さんはお蕎麦屋さんで以前の収益をそのまま維持し、何が起きているかというと、結局お客さんが余計にお金を払ってくれているということを考えると、どんどんリーズナブルにしていくというスキームではなくて、アップデートしてパラダイムを変えていくということの中に、もう1回個々の負担ということの概念を見直すというのもあってもいいのではないかなと、ここは自工会の意見ではないですけれども、個人的には少し思ったりもしていますので、そういったところを切り口として議論させていただくのがアップデートに向けて非常によいのではないかなと思いました。

石田座長: ありがとうございます。

どうぞ。

村上統括官: 各府省さんにも意見をいただけたらと思うのですけれども、すごく本質を突いたところに入ってきていただいていますので、我が意を得たりという部分と、あっさりくらいそんな話というのと正直両方あるので、両方話しますと、自動運転によっているのは僕らがデジタル庁だからです。本当にモビリティサービスそのものだけをフラットに議論するのであれば、それは国交省さんの仕事ではないですかとか、警察庁さんの仕事ではないですかとか、大体なぜデジタル庁が出てきてそんな議論をやっているのだという話になりますので、実際霞ヶ関の中の秩序はそれはそれで重要なので、それがモビリティ政策のみの観点から行われるべきものであれば、あまり僕らが出しゃばり過ぎてはいけないというのはあります。

なので、まず1番手堅いのは、ITSは技術としては実用化できるようになったけれども、事業にはならないではないかということで言うと、官民ITS構想・ロードマップをやったあなた方がそのまま引き続きやっているのは分からないでもないという話になるわけです。

ただ、今、出てきている議論は、強いて言えばモビリティをデジタルでアップデートするといういいお言葉を波多野さんからもいただいたなと思って聞いていたのですけれども、恐らく最後まで突き詰めていくと、ビジネスも技術も両方考えた上で、データのアーキテクチャをシェアしないと物事自体が解決しないというところに立ち入る。そこは須田先生がおっしゃられた、指摘するのはいいけれどもいろいろなトレードオフはどこで解決するのだという話でもありますし、せっかくご指摘いただいた、整理してしまうとエモい部分が消えてしまうのだよねというのは、世の中、曼荼羅というのはそういうものだと思うのですけれども、山のように整合しない課題を並べてみて、唸っている中でポンと出てくるのは多分いいアーキだと思うのですけれども、ただ、実際にそういうものをつくらなくてはいけないというフェーズに入ってきているのではないか。

逆に言うと、まさに課題にバラしてしまうとつまらないよねというのは、山下さん、本当にそのとおりというか、でも、最後は役人である以上はこの論点に落として、その論点は何省の何課が解決するのだというようにやっていかないと、霞ヶ関というところは仕事が前に行かないので、どこかではやらなくてはいけないのですけれども、今日、もうひと踏ん張りして、モビリティをデジタルでアップデートする場合とはどういうこと、多分アーキだよねといういいご示唆をいただいたので、もうちょっと書き込めたらいいと思うのですけれども、その辺のニュアンスをまさに各省とも上手にシェアできると、なぜデジタル重点計画でモビリティの話をやっているのだっけというところも、その中でデジ庁に何をリードしてもらっていて、そこでどう因数分解された論点が、それぞれの省庁が今進めようとしている検討とどう関係してくるのかというのも見えてくるのではないかなと思うので、まさに石田先生に何だと思ったけれども、振り返ってみたらよくできていると言っていただいた部分を和泉さんに解説していただいて、波多野さんの気づきとして表現してもらった部分というのがもうちょっとうまく書き込めると、いろいろ共通にご指摘いただいたところが見えてくるのかなと思いましたが、この辺で少し国交省や警察庁さんや内閣府さんにもご覧いただいて、省を代表した意見でなくて全然結構でございますので、コメントをいただければなと思いました。

国土交通省 林室長: 国土交通省自動車局自動運転室を担当しています、林と申します。今日は様々なご意見をいただきましてありがとうございました。私個人としてもいろいろ非常に参考になる意見を伺えたなと思っております。

今、我々の部局で実証実験等を担当させていただいておりまして、そこからアーキテクチャといった議論というかなり上のレベルでの議論というところに提案するということはなかなかできないのですけれども、感じているのは、まず安心・安全というか、走っているものに安心して乗っていただけるというところをどうつくっていくのかというところを我々としては悩んでおりまして、まさに走っている実例を使わないと、どこが安心なのか、どこか安全なのか、どこが安全ではないのかというところが地域の方に分かっていただけないというところがありますので、そういったところをしっかりつくり込んでいかなくてはいけない、やっていかなくてはいけないというところがありまして、そうやっていくと、地域の社会受容性というか、地域のご理解が進んで、やっとその先にビジネス化といった議論やいろいろな方々のご意見をいただけるようになると考えておりまして、そういったところをしっかり後押ししていきたいと思っております。

ただ、今回、そういった意味で社会受容性をどう高めていくのかというところをアーキテクチャの議論からどのようにやるのかなというのは、すみません、私はまだそこまでキャッチアップできていないのですけれども、そういったところをしっかり意識しながら、その上で安心・安全に高齢の方にも使っていただけるようなシステムというものをしっかり推進できるように、いろいろと自治体の方々にもご協力いただきながら進んでいきたいなというところを改めて感じたところです。コメントになります。

石田座長: 順番にどうぞ。

国土交通省和賀室長:国土交通省道路局の和賀と申します。いろいろご意見を聞かせていただきましてありがとうございました。

私自身がまだアーキテクチャという概念自体を十分にそしゃくできていない状況です。石田先生以降のご議論で何となく視点というか、考えが足りないなと思ったところはございます。

ただ、まだすべて把握しきれていないところもあって、この論点で整理いただいて、これからワーキンググループに場を移して議論していくということではあるのですけれども、そのアウトプットというか、姿が見えないので、少しまだそこをつないでいただく必要があるような気がします。

実務的に言うと、ロードマップと言っている中で時間軸という言葉も出てきましたけれども、結局いつどういう姿を目指して何をやっていくのかというところが必要なのかなと思っていました。特に委員の方からもありましたけれども、インフラといったときに、そこがデジタル時代のインフラとどう違うのかというのはありますけれども、インフラというのを今までと同じような整備と考えたときには、それは時間がかかります。そうしたときに、車両側も含めて技術的なブレークスルーでどうなっていくのかというところの見通しも考慮しながら、すり合わせていく必要がありますし、そこら辺をどうしていくのかというのがインフラサイドとしては気になるところです。

あとは、石田先生からご意見をいろいろ聞かせていただいている中で、なかなかレベル4というのは技術的にはできるけれども、ビジネスモデルとセットとして考えたときの社会実装がなかなか難しいというお話の中で、レベル2などでもうまく使っていけばいいではないかということをお聞きしている中で、それが今回の文脈の中にどう当てはまるのか。要は最終形ということをまず想定するのかもしれませんけれども、ここで言っている自動運転というのは何を指しているのか。レベル4でビジネスモデルなどを考えるのかというときに、それはいつの時期なのか、なかなかすぐには到達できないとすると、そこに向かったステップということをどうするのかというところも考えていく必要があると思いました。

ちょっと感想めいたところなのですけれども、そういったことを印象として持ちました。

石田座長: 国交省つながりということで、総合政策局の下川補佐、お願いできますか。

国土交通 省下川補佐: モビリティサービス推進課の下川でございます。

自動運転のみならず、MaaS、新たなモビリティサービスについても配慮に入れるべきということで、地域公共交通全体で考えていくべきというお話もいただいたかと思っております。ご存じのとおり、地域の公共交通リ・デザインの必要性ということで事業者によってサービスの維持が困難となっておりますので、新たに得られるものを活用しながら、そういったことを他分野とも連携しながら検討していきたいと思っておりまして、まさにこの研究会でいただいたものになると考えております。

リ・デザイン会議というものを国交省で立ち上げてまいりますので、そういったこととも連携しながら進めていきたいと思っております。

私からは以上でございます。

石田座長: どうもありがとうございました。

こちらの流れに戻りまして、和泉さん、お願いします。

経済産業省 和泉室長: 波多野委員へのお返事も兼ねて。アーキテクチャの大切な要素として、ちょっと細かい指摘なのですけれども、論点1-2に、従前から石田先生が言われている道路概念の整理というところがとても大事だと考えております。これはある種の都市設計というものと、その都市設計に関する住民との合意形成という形で捉えると、欧州等の議論とも接合するものだと考えております。

こういう道路概念を整理すると、論点1-1の走行条件であるとか、走行環境条件、あるいはその際のオンデマンド化という議論になっていくので、これは各省を超えた全体構想がデジタル田園都市の構想にぶら下がるという意味でも大切であり、特に我が国は細長く、山間部も多いという形の特殊な事情で、平地がやたら大きい欧州やアメリカとは違った考え方をしないといけないということだと解釈しています。これがある種のアーキテクチャの言い換えです。

これを具体的に検討する際に、アーキテクチャというものは、先ほど官民の投資の役割分担と申し上げたのですけれども、アナロジーとしては、前回、申し上げた通り、ドイツのアウトバーンみたいなもので、政府は速度制限のない高速道路を敷設し、その上で民は速度制限のない高速道路で安定に走れる自動車を開発するという役割分担により、いいインフラ、強い産業が共存・共栄するという姿ではないかと。私たちが、いい産業とは、と言ってそういうところに手を突っ込むのはあまり政策としてはよくなくて、官はしっかりインフラに投資せよ、民はしっかり競争領域の中で強くなれ、というのが個人的な好みです。

その際、戦略的なデジタルインフラの敷設によるレガシーインフラの課題解決という観点として、テクノロジーが高度化するときに、インフラに新しくデジタルインフラというものを追加することによって、ある種の人口減による非効率という課題を改善するという考え方が、アーキテクチャという視点ではないか。必ずしもAI等々ができたから自動運転ができるということだけではなくて、高速通信による即時の、あるいは低遅延のインフラができたからこそできること、ITとOTの融合とか、ある種そういう側面があるのではないか、というのがアーキテクチャに関するコメントでございます。

経済産業省 伊藤室長: 自動車課モビリティDX室長の伊藤でございます。まさにデジタル庁でこうやって横断的に現状の課題を整理していただいて、インフラも含めて必要性をやっていただくというのは非常にありがたいなとまず思っています。

先ほどもインフラをアップデートしてモビリティ自体をアップデートしていくというお話でしたので、それは非常に大事なのでぜひやっていきたいなと思っているわけですけれども、1つあるのは国際の視点ということでありまして、日本は永平寺がレベル4で今年の5月にスタートしたということですけれども、海外に目を向けますと、ロボットタクシーが既に相当走っているという実績もございます。これはインフラがアップデートされているわけでは必ずしもない状況下でこのような差が出てきているということでありますので、まずはそういったところからしっかりと分析をしていくということが重要ではないかと思っておりますし、これは我々自身の課題ということになりますけれども、ひいてはそれを日本の自動車産業の競争力強化にどうつなげていくのかというところをしっかりと考えていかなくてはいけないかなと考えております。

その観点から申し上げると、データの連携というところが将来的にバリューをどこで取っていくか、どこで稼いでいくかというところにつながっていく話だと思っていまして、非常に重要かなと思っております。MaaSも経産省でもいろいろやっておりますけれども、こういう移動のデータのところと結びつけて事業化を目指していくということで、今は仮説ベースですけれども、取り組んでいるということになっておりますので、エネルギーマネジメントみたいな話にも波及しておりますので、今、GI基金(グリーンイノベーション基金)というところでEVのエネルギーマネジメントのデータも産総研で取りながら、そこでいかにそのデータを利活用していくかというのでも今、議論を進めているということですので、そういう観点からしっかりと連携しながら取り組めていけたらいいかなと思っております。

以上です。

警察庁 池内参事官: 警察庁官房参事官でITSや自動運転を担当しています、池内と申します。本日は貴重なご議論をありがとうございます。

アーキテクチャということで、私も全部理解しているわけではないのですけれども、自助・共助・公助ということで、協調領域や競争領域においてそれぞれ社会全体の中で自動運転やMaaS、モビリティ全般にどういう仕組みをつくって負担を分担していけば最適な使い方ができるのか、発展していくのか、ビジネスモデルができるのかという仕組みをつくるというのがアーキテクチャなのかなと理解しました。

非常にこれは基本的な考え方を整理するということで大事なことだと思いますが、警察の観点から申し上げますと、警察の仕事はすごく地道で、一歩一歩前に進んでいるところがありまして、自動運転で言いますと、先ほど波多野委員がおっしゃいましたけれども、取りあえず今ある道路の規制の中で人間のドライバーがやっていたことを機械に置き換えていくということを考えてきたと思うのです。我々もそういう状況に対応するために交通ルールをどうすればいいかという発想で法改正をしてきていまして、特定自動運行の許可制度をつくって施行されたところです。

これからこの基本的な考え方を具体化していってロードマップを作られると思うのですけれども、何人かの方がおっしゃったように、具体的などこでどういうサービスを導入していくのかという姿をもうちょっと描いていただけると、警察としても物事を考えやすいと思っております。交通ルールは一朝一夕にアップデートできるものではないので、具体的な姿を描きながら、必要な規制について我々としては考えていきたいと考えております。

石田座長: では、木村さん、お願いします。

内閣府 木村参事官: 内閣府科学技術・イノベーション推進事務局の木村でございます。SIPのスマートモビリティプラットフォームの構築を石田PDの下、推進しておりますが、その担当をしております。

今回、ロードマップに向けた研究会ということで論点をまとめられたということで、貴重なご意見をいろいろと拝聴いたしまして、どうもありがとうございました。

そして、スマートモビリティプラットフォームの研究開発計画をまとめる過程でいろいろな議論がございまして、その要点がこの中でも盛り込まれているなと拝見しております。既にこの文書の案で我々の取組についてもご言及をいただいておりまして、ロードマップのご検討の中でこういった具体的な取組についても位置づけを得ていければなとは思っております。

そして、このロードマップは、先ほど村上統括官がおっしゃったように、自動運転をどのように実現するかという観点でまとめられると伺っておりますが、実はスマートモビリティプラットフォーム自体は自動運転だけではなくて、地域のモビリティをどのように持続的に導入していけるのか、その中に自動運転という技術も1つの方法としては検討していくことになりますが、そこで必ず接点になっているところはあると思っていますので、十分にそこは連携をさせていただければと思います。

また、本日、各省庁様からのご意見もございましたが、スマートモビリティプラットフォーム、SIPですので、総じて申し上げますと、ロードマップのご検討の中で各省庁と協力させていただける部分は非常に多いかと思いますので、ぜひともどうぞよろしくお願いいたします。

石田座長: ありがとうございました。

今日省庁からご出席いただいています最後になりますけれども、総務省の増子室長、いらっしゃいますでしょうか。

総務省 増子室長: 総務省の増子でございます。オンラインから失礼させていただきます。

モビリティのアップデートという概念は非常にいいのかなと思っております。ただ、このモビリティのアップデートというのは何のためにやるのかと考えていくと、突き詰めると国民の皆様が交通手段としてどういったものを使っていくか、言わば交通手段のポートフォリオみたいなものを考えたときに、そこに新しいものとして何を入れていくかと考えたときに、これから自動運転が入ってくるのでしょうというところで、そこを支えていくインフラとしてモビリティアップデートというものをつくっていくのかなと捉えているところでございます。

通信の世界などで申し上げますと、今、まさに黎明期だと思っていて、iPhoneとの対比で言うのだったら、今はちょうど電子手帳みたいなものが出てきたぐらいのタイミングなのかなと思っています。そういった意味では本当にこういったiPhoneみたいなものになって世の中に流行ってくるというところになるまで、ある意味最先端の技術というのが枯れていく、いわゆるコモディティ化していくというところとか、あるいは大量生産などでコストを下げていくというところと相まって、みんなが使える手段になってくいというところにつながってくのかなと。

そのための環境としてこのモビリティというものをきちんとアップデートしていく、我々総務省としても通信手段をアップデートしていくというのを今後考えていかなくてはいけないのかなと思っております。

あと、1点だけ通信の経験で申し上げますと、これからはやるものについてあまりこだわらなくてもいいのかなと思うところもございます。通信の世界で、例えば2000年ぐらいから3Gの携帯電話が出てきましたけれども、そのときにキラーアプリケーションとして考えられていたのは、実はテレビ電話だったのですね。でも、テレビ電話はあまり皆様も使った覚えがないのではないかと思います。ただ、携帯電話にカメラがついて、かつ、高速でデータ通信ができるという環境は、結果的に写メールという形でみんなに広く使われるようになりました。

モビリティの世界でもこういう形であってもいいと思います。今、必ず自動運転バス、トラックでやらなくてはいけないというものだけではなくて、今のオーナーカーの自動走行化したものとうまく組み合わせて、何か新しいものが出てくるかもしれないしという意味で、あまり出てくるものについてそんなにこだわらずに取り組んでいくということが、よりよい交通社会をつくっていく上でも大事なのではないかなと思ったところでございます。

いずれにしても、モビリティアップデートに向けまして、総務省としても通信環境はベースになるところでございますので、しっかりつくっていきたいなと思っております。主なところとしては携帯電話のところは、インフラ整備をきちんと道路も含めてやっていくというところに加えまして、5.9GHzのITS向けの周波数の追加割当てもしっかり取り組んでいきたいと考えておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

以上でございます。

石田座長: ありがとうございます。

最後になりましたけれども、途中からオンラインで参加いただいている村松委員、よろしいでしょうか。何かご発言がありましたら、ぜひお願いしたいのですけれども。

村松構成員: ロボフレ機構の村松と申します。本取組に参加させていただきありがとうございました。

これまで議論させていただいたとおり、アーキテクチャの設計や、共助・公助・自助がある中で、公助・共助の果たす役割はかなり大きいのかなと思っておりますので、ぜひ引き続き連携させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

以上です。

石田座長: ありがとうございます。

今日ご参加の方全員にお話しいただいたかと思います。

どうぞ。

蓮井審議官: ありがとうございます。

どこかでキラーな言葉が出てきて、キラーコンテンツが出てくるだろうと思って、やはりアーキテクチャという話になるのだなと思ったのですが、アーキテクチャということは、私は実はなかなか腹落ちできていないところが正直ございます。皆さんおっしゃるので、経産省から来た人間がそのようなことを言ってはいけないかもしれませんけれども、ただ、アーキテクチャの中に、先ほど先生がおっしゃったとおりデジタルではないところまで含めたデジタルの課題とは何かと、私は最近やっとプログラムなるものがどういうものなのか少しずつ勉強を始めているのですけれども、どうも階層構造とか、構造といった言葉が出てくる。先ほどの議論の中でもそういう言葉が出てきて、それが恐らく今までですと例えば車というのはとにかく作れば、あとは需要がどんどん伸びていく、誰かが食ってくれるという世界だったのかなというのがそうではなくなってきて、人口はむしろ減っていくとなってくると、齊藤理事長のコメントにもありましたけれども、いろいろな余剰、隙間、無駄が出てきているというところに対して、それを含めてどういうふうに世の中全体をソリューションで考えていくかと考えたときに、階層構造の順序が変わってくるということなのだろうなと私なりの浅はかな理解ですが、したところでございます。

そのあり方をどのようにつくっていけるのかというのは、今後のワーキンググループでさらに大きな議論になっていくと理解させていただいて、それを受けてこの紙をどのようにアップデートできるのか、頑張らなくてはいけないということだと理解いたしました。

ありがとうございます。

村上統括官: ありがとうございました。

この後、座長一任でお願いをしたいと思いつつも、こんな方向で追記するのかなとざっと伺って思ったことを今ここで簡単に話した上で、もう会議という形では開催いたしませんが、改めて皆さんに各省も含めてコメントいただければと思います。

1つ目は完全に私見も含めて、時間軸については目安がないとイメージが湧かないということでしたので、これは皆さんにちゃんとご説明してご了解いただいてから書き込みますが、なぜこれを私がやろうと思った最大のきっかけは、2027年に100か所やるというのが出てきて、これは今のまま100か所やったら翌年度3か所しか残っていないのではないかと思ったということでございますので、1つのベンチマークが2027年に100か所自動走行をやったとして、これが3年後に何か所残っているかというのが、私は政権としてもこれは結構勝負だと思っていますので、そこがあるのかなと思います。

その2027年100か所が何らかの形でスタートをした後、その状況を見て、必要があれば本格的にルールを直す。それまでに100か所立ち上げるために必要なルール改正があれば、サンドボックスか特区かに行くかという相場感ではないかなと思っていますので、違和感のある方はぜひ教えていただきたいというのが1点目でございます。

それから2点目は、大変恐る恐る自動走行、事業化以外の論点を少しずつ混ぜているのでありますが、大分ご指摘をいただいたので、やや意を強くしまして、MaaSも取り込みますし、人の要素も入れますし、貨物の問題も正面から入れますし、本来国交省さんや警察庁さんが正面から議論すべき問題を領空侵犯しないように気をつけながら、少しフォーカスは広げてバランスを取った記述にさせていただければとお許しをいただければというのが2点目です。

最後に、記述の戦術でございます。ポイントだけ3点に分けてお伝えしますが、和泉さんが昭和の時代はよいインフラと強い産業、以上という、大変分かりやすい。これに何が起きているかというと、よいインフラと強い産業と理解のある需要という3つ目が入ってきている。逆に言うと、人口減少下でかつ新規の投資を必要とするものをうまく社会として飲み込んでいくためには、恐らくもっと多様なプレーヤーを単純にいい公助といい自動車産業、イコールあとはドライバーとサービスがついてこいということで、人口が増えるときはそれで投資循環が回ったのだと思うのですけれども、人口が減って国内産業規模自身は恐らく縮小するという状態の中で維持するためには、最初から社会福祉法人がどうやってドライバーを手当てするのだみたいな類の話から含めて、全員を巻き込んで絵を描かないと回らないということではないかということです。だから、共助みたいなレイヤーの議論が出てきているのだと思うのです。それが1点目。共助、もしくは多様なプレーヤーを巻き込んだお絵描きをしなくてはいけないのでしょうねというのをもう少し出そうかなと。

それから2番目に、そうだとすると、国交省さんもいらっしゃるところで全く僣越でありますが、今まではどちらかというと道路が不足してはならぬということで、整備主体ごとに国であったり県であったり市であったり、場合によっては農道であったりということがむしろ制度的立てつけの前面に立たざるを得なかったのだと思うのですけれども、今度は恐らく需要側から整理された道路概念ということを考えないと、これを制度にするかどうかは別にして、多様なプレーヤーを巻き込む上で少なくとも問題が解決しないという意味で、恐らく需要側から階層化された道路概念ごとに、結論だけ言えば何らかのデータアーキテクチャが匂うものをつくるというということなのだろうなということで、そこの中でどれだけ山のように出てくるトレードオフが飲み込めるか、エモい部分が何となくそこできゅっと解決するか。こんなことを書けるのかどうか分かりませんけれども、それが2点目。

最後に3点目です。須田先生から再三再四モビリティでは安全性というキーワードがとにかく外せないということである一方で、トライアンドエラーの社会的受容性を多少上げていただかないと、この問題は先に進めないのではないかということは、恐らく裏側で事業としてファイナンスが本当についてくるかどうかというところがメルクマールなのだと思います。ただ単に社会的受容性を上げろとだけ言っても恐らくファイナンスがつかないので、それでは恐らく意味がないでしょうけれども、他方で安全性を頼りするということと、事故はゼロでなければならないというのは、ゼロにはなりませんので、でも、それを使って事業をやろうという人がついてこなくては、それは社会的受容性として失格だというのは恐らく同じようなことがあると思うので、特に警察庁さんや国交省さんはそこが恐らく言い出しにくい部分ではないかとか、最後は制度で割って責任を取らされるのは俺たちだという人たちにデジタル庁が何かお手伝いできる部分があるとすれば、そういう部分についてのトータルな組替えと社会的受容性に対する隙間をどうやってつくっていくかという部分かと思いましたので、自分が首にならない程度に少し工夫をしてみようかなと思いました。

以上でございます。

石田座長: 本当にそうだと思うのですよ。何でもかんでも国がやることは、オープン当日から100点満点、満員御礼にならないと許してくれないというのは変な国だなと思います。あり得ないですねと私は強く思いますので、申し上げたいと思います。

今日も本当にいい議論ができました。私自身もアーキテクチャについての理解が非常に深まったと思います。ありがとうございました。

その上でちょっと申し上げたいのですけれども、我々の目指すべきものは、これも波多野さんのそのままですけれども、デジタルによってモビリティサービスを根本的にアップデートしていく。そのための大方針、大戦略の下でのいろいろな関わり方を本当にその場その場で真剣に考えた基本方針がアーキテクチャであると、私は今日このように理解いたしました。

そこにはデジタルデータだけではなくて、和泉さんがありがたくもおっしゃっていただきました、道路ネットワークという巨大な共通の資産をどう使っていくかという理解も必要でしょうし、あと、そういう中で我々の暮らし方を基にどうすり合わせていくかみたいな話で、例えば移動スピードの話や乗換えをどうするかみたいなことをよりよくするためにどう我慢するかということだと思いますし、あるいは貨物で言いますと、ある食品会社が、仕方がないのですけれども、自社の工場のサイズに合わないので、できれば使ってほしいよねというT11というパレットを絶対にお使いにならない問題というのがあるのだけれども、そういうことなどもできれば呼びかけていく。そうすると、いろいろなところでいろいろな恩恵が出てきますよということまで視野に入れながら、いい物を作っていく。

ただ、それは誰かが神様的に作れるものでは決してないので、そういう基本戦略、大方針、哲学を理解していただいた上でそれぞれのところで頑張っていただくということは、今日再確認されたのかなと思いまして、あとは、これを本当に皆様方がその中でもここは大事だというポイントについて分かりやすく、アーキテクチャの力がちゃんと発揮できるというのはこういうことだよということでこの提言書を作り上げていくということかなと思います。時間のない中で作り上げなくてはならないのですけれども、事務局にいっぱい意見をお寄せいただいて、その上で取りまとめ原案の作成については、私と事務局にご一任いただければありがたいなと思っております。

公表する前には、メールみたいな形になろうかと思いますけれども、確認させていただきますので、そういう進め方をさせていただければありがたいなと思いまして、今日も若干時間を超過いたしましたけれども、最終の議論でございます。

本当に物すごく勉強になりましたし、いい議論をさせていただいたと思いますし、そういう意味でいろいろな方に大感謝でございます。どうもありがとうございました。

麻山参事官: 皆様、本日は大変貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。

本日が最後となりますが、5月末から約2か月で集中してご議論いただきましたこと、本当に勉強になりましたし、これからの取りまとめが大変かなと思いますが、引き続きご協力をお願いできればと思います。

本研究会はこれで終わりなのですけれども、秋口からワーキンググループが本格的に始動していく中で、ワーキンググループでどうしても議論できないというところについては、引き続き本研究会の皆様にアドバイスをいただきたいなと思っておりますので、引き続き全体の進め方についてまた皆様方の意見をいただきまして、ご協力いただければと思います。

また、各省におかれましても、終わりの2回に出ていただきまして議論を直接お聞きいただきましたし、引き続きロードマップをしっかりしたものにするためにご協力いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

本日はどうもありがとうございました。

以上