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教育分野の認証基盤の在り方に関する検討会(第2回)

概要

  • 日時:2025年3月21日(金)15時00分から17時00分まで
  • 場所:オンライン会議
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. 教育分野の認証基盤に係る検討について
    3. 閉会

資料

議事録

藤村座長:
本日もご多用の中、参加いただき、誠にありがとうございます。ただ今から、教育分野の認証基盤の在り方に関する検討会の第2回を開催いたします。それでは議事に入る前に、事務局より関係者ヒアリングの追加報告等があるとのことですので、説明をお願いいたします。

久芳企画官:
事務局、久芳でございます。本日もよろしくお願いいたします。前回、関係者ヒアリングにつきましてご報告差し上げましたが、私学関係者と、幼保関係者に関しまして、実施中のところでございましたので、概要がまだまとまっておりませんでした。今、表示させていただいておりますのが、幼保関係者から寄せられたご意見でございます。学習データは価値が高い一方で、個人情報が含まれるため、医療や公的機関への提供は理解できるが、どこまで共有すべきかは検討が必要ではないか。ただ、小学校が保育園・幼稚園からデータを受け取るというところに関しては想定されるので、そこについての議論が求められるという、これは、基本的に組織起点のデータ連携に関するものだと思っております。一方で、それに対して、個人起点のデータ連携に関するものでございますけれども、小1の壁を解消するために、学校間だけでなく、幼保小連携の強化が必要なので、そのあたりについて早期の社会実装が必要ではないかというお話があったところでございます。また、続きまして、私学関係者の方につきましては、他の方々と基本的には一緒でございました。そこで一点、留保という形で言われていたところが、やはり学校側に負担というところが何かしら増加する可能性はゼロではないということで、関係者への説明を丁寧に実施してほしいとのご指摘でした。また、導入マニュアルや説明資料の作成、現場負担軽減策に期待をしていますと言われておりました。それらがしっかりと明らかになって、メリットなどが明確化されることによって、現場の理解と受容が促進されるのではないかというようなご指摘があったところでございます。以上でございます。

藤村座長:
ご説明ありがとうございました。早速、ここから議事に入らせていただきたいと思います。本日は、教育分野の認証基盤の実装パターンについて検討を行い、その後、個別の論点についてご議論いただきます。それでは、事務局より実装パターン候補について説明をお願いいたします。

久芳企画官:
引き続きまして、事務局の久芳よりご説明させていただきます。前回の会議の際、統括官の村上より説明したところとかぶるところもありますが、時間をいただけたら幸いでございます。まず、実装に向けた工程につきましては、要件等の精査を行う調査研究、技術実証、現場実証・実装支援、先行導入という流れが想定されているところでございます。現在、2024年度、赤線で引いているところ、方向性の調整、ここがまさにこの検討会でご議論いただいているタームという形になるわけですけれども、GIGAスクール構想の進展状況や次世代校務DX環境の整備を踏まえまして、次期端末更新等の頃には全国的に認証基盤を活用できる状況を目指し、整備を進めていきたいというところが事務局より前回ご提案差し上げたところでございます。そのような観点でいきますと、以下のような形でスケジュールがプロットされるわけですが、これが最短の形であり、一年度、一年度をしっかりと丁寧に進めていかなくてはまいりませんし、また、関係者の方より、ご指摘あったとおり、要所要所で関係者に早め早めの丁寧なコミュニケーションをしていかなくてはいけないというふうに認識しているところでございます。その上で、実装パターン候補でございます。教育分野のニーズを踏まえた教育分野独自の基盤整備も考えられるが、と書かせていただいておりますが、例えば共通のIDを振り出して、それについて全国レベルの認証局を新たに設置するといったような考え方も取れるわけですけれども、前のページのスケジュールを想定した場合、安定的な基盤整備・運用には利用実績のある技術を用いることが望ましいと考えております。そのような意味で言うと、下の方にも書かせていただいておりますが、自己主権型ID、いわゆるDID、ブロックチェーンを用いたID管理のものでございますけれども、こちらについても、社会基盤としての実装例が少ないというところで、今後の研究開発課題か、というふうに書かせていただいているところでございます。いわゆる「枯れた技術」を用いていかなくてはいけないのではないか。さらには、デジタル基盤は利用者の増加によって利便性が向上していくというネットワーク効果があることを踏まえますと、スピード感を持って整備していくことというところも大事ですので、やはりゼロからのスタートというところはなかなか取りづらいのではないかということで、事務局として精査をしたところでは、組織認証にはGビズIDを、個人認証に関しては公的個人認証すなわちマイナンバーカードを使用してはどうか。こちらについては前回も付言させていただいておりますけれども、マイナンバー自体は使用せずという形でございます。この二案の組み合わせが実装パターン候補として挙げられるのではないかというところでございます。GビズIDにつきましては簡単にこちらもご説明差し上げますけれど、法人や個人事業主といった事業者に加え、自治体でももう既に使われているところありますけれど、一つのアカウントで様々な行政手続システムにログインできるサービスでございます。2025年1月末時点で累計121万アカウントが発行され、接続サービスについても196サービスに達しているということで、成熟したシステムになってきているという形でございます。GビズIDのアカウントの種類と利用方法ですが、GビズIDプライムというものが法人代表者または個人事業主に振られるという形で、その下でそのIDの管理をするアドミン、そしてそのIDを用いるメンバーというものが想定されるところです。ですので、これはあくまで仮置きではございますけれども、例えば教育委員会においては、教育長にGビズIDプライムが振られ、そして情報システム担当課長、総務課長などのとりまとめを担当する課の管理者に、GビズIDアドミンが振られ、そして実際の学校長にGビズIDメンバーというものが振られていくというようなイメージが考えられるのかなと思っております。続いて、マイナンバーカードの関係でございます。デジタル認証アプリというものをデジタル庁の方でリリースしております。こちらマイナンバーカードを使った本人確認の機能を安全簡単にするアプリということで、APIを活用することで政府、市役所、金融、メンバーシップなど様々なサービスに組み込み可能というような形になっております。既にかなりの申込み、そして実際の実装などが始まっているところでございまして、例えばこちらにありますけれども、東かがわ市の公式アプリであったりとか、三菱UFJ銀行の口座開設であったりとか、様々なところで、最初の本人確認のところに用いられているという形でございます。事務局からの説明は以上でございます。

藤村座長:
説明ありがとうございました。それでは、ここから議事に入りたいと思います。まず意見交換として、ご発言のある方は挙手機能でお知らせください。私の方から順次指名させていただきたいと思います。いかがでしょうか。もちろんご質問でも結構です。富士榮委員、お願いいたします。

富士榮委員:
はい。本日もよろしくお願いいたします。何点かございまして、前回少しだけGビズIDについてご発言させていただきましたが、今回さらにシステムの組み方についての中身の話に入っていくと思うので、そちらについて改めてご指摘ご質問させていただきたいと思います。GビズIDを使うことの是非についてはですね、前回申し上げたのが、扱う情報のリスクっていうものとGビズIDが保証するレベルですね。本人確認のレベル、そして認証のレベルですね、当人認証のレベル。こちら、IALとか、AALという言葉で表現されますけれども、これが、実際に扱う、先ほど個人データという話ございましたけれども、生命ですとか、レピュテーションの毀損にすごくですね、関連するリスクがあるような情報に関して、今のGビズIDのレベル、特に、先ほど学校長がGビズIDメンバーという話ございましたけれども、GビズIDメンバーってかなり保証レベルが低いという位置付けで整理がされておりますので、そのような状態のGビズIDのアカウントがあるからといって、使えるからといって使ってしまって本当にいいのかというところについてはですね、かなり疑問が残るのではないかというふうにご指摘させていただきたいというふうに思います。まずこれが一点目です。次に個人の方の話で、マイナンバーカードを使う、デジタル認証アプリを使うというお話でございますけど、こちらご質問になります。デジタル認証アプリを使う場合も、公的個人認証に加えて電子署名を使うというユースケースも考えられると思うのですけれども、先ほどのスライドを見ている限りで言うと、デジタル署名、電子署名の方の機能ではなくて、公的個人認証の方をあくまで使うと。そして、ただ、意思確認というふうに記載がありましたが、そこをAPIアクセスの時の認可機能を使うと、認可の時の同意を使うというふうに私は解釈をしました。また、私も法律の専門家ではないので、ここは板倉先生のご意見いただきたいところになるのですけれども、実際この署名を打つというのは、いわゆる実印相当のことをやるというふうに私は解釈をしているのですけれども。そういう、その署名を打つということによっての意思表明っていうことが本当に不要なのかどうか。単純にAPIアクセスする時の認可をするっていう、連携していいですか、いいですよというところだけで済ましちゃって、本当に良いのかというところについてですね、少し確認をさせていただきたいというふうに思います。かつですね、電子署名の場合ってマイナンバーカードの場合ですと、15歳未満ですと電子署名機能使えないはずなので、原則としてですね。その場合って、じゃあ誰が何の誰の意思として、そのデータの連携というものを許可するのか、親のマイナンバーカードでやるのか、その場合、親子の関係、親子の関係の表現っていうものをどうやって行っていくのか。この辺についてですね、どのようにお考えなのかっていうところについて、少しご質問とさせていただきたいと思います。以上、二点となります。

藤村座長:
ご質問、ご意見ありがとうございました。それでは今の二点目のことに関しまして、板倉委員の方から何かコメントございますか。

板倉委員:
はい。一種の行政法上の行為について、本人の意思をどういうふうに確認するのかというのは、別に取り決めがあるわけではないので、富士榮委員がご把握の通り、リスクに応じてどういうレベルでやるのかというのを決めていくということになります。本人が実印相当のものを押さなくても、有効であるということにするかどうかですよね。取り扱う情報によるのだろうというようなところはあります。まだ今のところ、そこまで詳細には決まっていませんが、学習履歴を包括的にどこかの事業者に提供する、それも今在籍している学校のシステムに入れるのではなく、私企業に出すとか、要求されて就職先に出すとかいう時には、やはりその一段階、二段階高いものが必要なのだということは、十分あり得るのだろうなというふうに思います。これは、銀行でお金を動かすときにも、通帳を見るのと、お金を動かすのではレベルを変えているわけで、今だとオンラインバンキングだと結構二段階、三段階求められることも多いという風になっていますので、そこは具体的なユースケースとの関係ではどこまで要求するかというところですね。子供は難しいですよね、子供のところは個人情報保護法も今度改正して通知公表事項についてはきちんと親にも届くようにと。同意については親の同意も取るようにと。一応16歳で切ろうかなと。こんなようなことが想定されているわけですが、実際は委員おっしゃるように本当に親なのか、その親権者みたいなものをどうやって確認するのかという問題はあると思います。なので、結局ここは子供が実際成人になってから18歳になってから、18歳なのか。個人情報保護法だと16って言っていますが、16歳ないし18歳になってから自分で動かせるように保存しておいてあげるというようなことで担保するほかないのかなというところはあります。今ぱっと回答できるのはこんなところです。

藤村座長:
ありがとうございました。富士榮委員、この回答については何かご質問ありますか。

富士榮委員:
ありがとうございます。すごくクリアになりました。それを踏まえた上で、今回のそのシステム化ってどうお考えなのかなっていうところがお伺いしたいですね。

藤村座長:
そうですね。そう考えると、当然レベルごとの判断っていうことをきちんとしていかなきゃいけないっていうのは、今のお二人の委員の発言で、見えてきたような気がしますけれども、デジタル庁側から何かこの二点についてコメントございますか。

久芳企画官:
ありがとうございます。今、富士榮委員、そして板倉委員の方からご指摘あったところに関しましては、事務局としましても、しっかりと考えなくてはいけない論点の一つだというふうに認識しております。そしてその場合、機能拡張というか、機能強化といったところも含めて考えなくてはいけないというところありまして、そのあたりについて、まさに調査研究の中で探っていかなくてはいけないというふうに認識しております。そういう意味では、宿題をしっかりと出していただけたということでありがとうございます。

藤村座長:
とても大事なことだと思いますので、それを踏まえた対応をよろしくお願いしたいと思います。
それではあと他にご意見ご質問のある方いらっしゃいませんでしょうか。遠慮なくどこからでもお願いしたいと思いますが、いかがですか。ここの議論は結構大事なところかと思いますので。池田委員お願いいたします。

池田委員:
戸田市の池田でございます。よろしくお願いします。まず一点目。何点かちょっとお話させていただきたいと思っているのですけど、まず一点目として、スケジュールとして事務局にお伺いしたいのは、全国でどこでも流通して使えるような状況っていうのは、何年度ぐらいっていうのを目途に、これ見ておられるのかなというのはちょっとお伺いしたくて。今の線表だと必ずしも明らかではないのかなと思っていたのですけれども、いかがですか。

藤村座長:
はい。ご説明お願いできますか。

久芳企画官:
はい、ありがとうございます。こちらにつきましては、ご指摘のとおり、少し広くとっているところでございます。令和16年までと、図の中には記載させていただいておりますけれども、関係者のヒアリングの中でも、先行導入できるところもあれば、先行導入の状況を見て動く、後追いのところについては令和12年ないし令和13年からという形ではないかというような指摘もあったところでございます。特に、この場合に関しましては、校務DX、校務支援システムの更改との兼ね合いというのは非常に大きいというふうには事務局としても認識しておりますので、ここについては順次進行していっていると、ある県では来年度からという形になるでしょうし、そうでない県では別の年度という形になっていきますので、ここについてここまでというのはなかなか切りづらいかなというところが正直本音でございます。一方で、前回、村上の方からもお伝えさせていただきましたし、私の方からも先ほどご説明の中にネットワーク効果ということを触れさせていただきましたけれども、やはり少しでも早く前に進んでいく状況を作っておかないと、いわゆるメリットというのも感じにくい。メリットがなければ前に進まないというところも、現実、卵鶏の関係でございますので、そこについては、今後のコミュニケーションの中で関係者、現場関係者とのすり合わせをしていければなというふうに思っておりますけれども、いずれにいたしましても、現時点でこの年度までというところを決め打ちするのは、なかなか難しいのかなというところが正直な気持ちでございます。以上でございます。

藤村座長:
ありがとうございました。その件に関して池田委員、また何かございますか。

池田委員:
ありがとうございます。そうですね。お尻は切らないというお話で、お尻切らないっていう姿勢も多分大事なのかなとは思うのですけど、ただ、全国的にこの年からできるようになるから準備を進めてねという、ある種、逆に声掛けも必要なのかなとも思いますので、そのあたり、目配せいただければと思います。また次世代校務DX環境の整備と、今回のこれの検討が同時に走っているという状況で、各自治体、一回整備したらそのシステムを5年間使い続けるみたいな運用、これまでやってきて、構築を最初にやって、その後保守契約5年結んで、また保守が切れるから構築して運用と。これ非常に閉域網で、イントラでやってきたという歴史があるからこうなっているわけですけれども、そこと今回は違いますよというところを、併せて出していく必要があるのかなというふうに思います。またそういう慣習があるという前提を理解した上で進めていただけるといいのかなと思います。それにもちょっと関連することなのですけれども、この認証基盤に対しての実装についてGビズIDとかマイナンバーカードを使うというところは、ご専門の方の意見にお任せしたいところあるのですけれども、実際じゃあ学校現場というか、市教委として、インターネットにじゃあ校務系ってもうつながっているところってどれぐらいあるのでしたっけとか、そういう基本的な、これを実現する、例えばGビズIDを入れるために必要な条件は何なのかみたいなところも併せて整理していただく必要があるのではないかなというふうに思います。なので、それについて、こういうことを今こうなっていて、こうならないといけないというガイドライン、もしくは法令の整備というのは必要なのではないかなというふうに思います。スケジュールとかシステム面については以上になりますが、次にもう二点あるのです。今回この組織同士の認証、個人同士の認証でもそうなのですけども、ファイルじゃなくて、スキーマが整備されたデータの中身自体が連携されるという認識で良いのかどうかというところをはっきりさせておきたいなというふうに思っています。現場に下ろしていったり、その学校現場で見ていたり、要はちゃんとした電子署名がついたメールで添付ファイルを送り合うのと何が違うのかみたいなところもきちんと説明しないといけないなと思います。何でも送れるわけじゃないし、その送るものの形式とか送り方も決まっていて、それにはどういうご利益があるのかというところも併せてご説明いただくというようなことが、広げていくために必要なのかなというふうに思いますし。そういうスキーマが決まっているよということじゃないと事業者がなんというか、自治体からのカスタマイズは、これで決まっているのでという、葵の御紋じゃないですけど、印籠的なこととしても、使ってもらった方がいいのではないかと思います。一旦以上です。

藤村座長:
ありがとうございました。最初にご意見ありました、工程いつまでにどうするっていうことについては非常に大事な議論だと思っていまして、私も、実は先ほどのところでもご意見しようかなと思っていたのですが、資料1の方の5ページ目相当で、学校現場側の負担をぜひ配慮してほしいと思っています。資料1の5ページの下から4行目にありますように、学校にとってみると、令和10年度学習指導要領の改定とか教科書改定っていうのは非常に大きなイベントでございまして、バタバタする時期で、これを支えるために教育委員会も非常に大変な思いするわけですので、その現場の負担が大きくならないように、配慮したスケジュール、またそこまでに、目途もつかなきゃいけないとか配慮していただきたいと思います。今のご発言にあったように、教育委員会がどういう理由でどうしなければいけないのか、その前提は何なのだということも、早めにクリアにしないと計画ができないということもございますので、ぜひそこの工程についてはご配慮いただきたいなというふうに、私からも申し添えたいと思います。
それから二点目のこれを入れていく前提としての必要な要件ですね。それをガイドライン等にするということについては、おそらく、これ実施していくのは教育委員会と学校になりますので、特に教育委員会にとっては、それがないと分からないと考えています。そもそもほとんどの教育委員会は「GビズIDって何ですか」っていう、そこから始まるかと思いますので、私どもも別会議、文部科学省のデジタル学習基盤特別委員会という中央教育審議会の方の委員会でも、その辺については明らかにしたいとは考えていますけれども、うまくそこと連携しながら、要件を明らかにしていただければというふうに思いました。
三点目ですけれども、そこの部分に関してはですね、本当に配慮がいるよなっていうのは全く同感でございまして、これらについてデジタル庁側から何かコメントがありましたらお願いしたいなというふうに思います。

久芳企画官:
はい、ありがとうございます。いや、本当にご指摘いただいたことすべて、先ほど宿題と申し上げましたけれども、大切な課題ばかりでありがとうございます。で、関係者の方々、この実際に運用していく、そのスタート段階の時の構図としては、教育委員会の方は、いきなり話を聞くという形になると、じゃあそれを学校現場にどう説明しようか、保護者にどう説明しようかっていうところからスタートしてしまうと。事前にこういう仕組みが来年度、再来年度スタートするのだねっていう状況にしておいてあげないと、多分いろんなものがスタックするでしょうというのが一点と、じゃあ実際に来たのだけれども、じゃあ何を使って説明すればいいのっていう状態になってしまった瞬間に、じゃあちょっと来年度はちょっと難しいかなと。先ほど座長からご指摘いただいたような、いろいろな教育界の大イベントが発生する中で、そういうようなところは後回しっていうことにも十分なり得る話だと思っておりますのでやはり教育委員会の方が関係者学校関係者も含めて、ちゃんと説明するときに自信を持って説明できる、それもシンプルに説明ができるというような状況にはしていかなくてはいけないだろうというところが、我々認識しているところでございます。ありがとうございます。

藤村座長:
ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
仲林委員、お願いいたします。

仲林委員:
はい。よろしくお願いいたします。今、お話の出たところで、導入のスケジュールとか現場への説明とかっていうところで、関連の話です。こういう標準的な技術のネットワークを導入するときに、考えないといけないこととして、ネットワーク効果っていうキーワードも出ていたっていたのですけども、そのネットワークに参加している組織とか、人の数が増えないと、ネットワークを導入するそのコストに見合った効果が得られないという、ネットワーク外部性っていう概念があります。要するに、そのネットワークに参加している組織なり人の数でネットワークの価値が上がっていくっていう話です。単純に計算すると、例えばABCっていう三つの組織があった時に、AとBは参加しているのだけど、Cが参加してないってなると、参加率は2/3なのだけど、得られる効果は1/3になってしまいます。AとBの間だけ。こういう考え方をしておけば、逆に言えば、じゃあいつまでにどれくらいの自治体なり、教育委員会なり学校なりが入っていないと、導入したコストに見合った価値が得られない。それから、各組織に対しても、うちは参加したからいいやっていうことではなく、実はそのやり取りできる相手がいないと結局システムを導入しても全く価値がないという、そういう話になってしまいますよね。だからちょっとうちは大変ですというのもありますが、いや、逆に、あなたが入らないと相手の人もメリット得られないのですよっていう、そういった訴求の仕方もちょっといるのではないかなと思います。定量的にも、どれくらいの組織が入っていたら、どれくらいのメリットが得られるのだとか、それによってどれくらいのコストの削減ができるのだとか、ある程度定量的に、導入効果と導入コストを見通す、その指標として使えると思いますので、とにかくやるのだ、やるのだっていうだけだとですね、説得力がないのではないかなと思います。その上で、やっぱり現場の負担が多分すごくあるのではないかとか、先ほどのヒアリングにも出ていましたけれども、じゃあメリットはなにかと言った時に、全体を見渡した視点から訴求してって皆さんで協力しましょうという言い方も大事なのではないかなと思って聞かせていただきました。よろしくお願いいたします。

藤村座長:
ありがとうございます。基本姿勢、それから、これからの動かし方で、非常に大切なご指摘だと思います。で、また教育分野でのデータ標準とか、データ連携標準を作って教育の世界を動かす業務に携わっている、石坂様、今の意見に対するコメントも含めながら、ご自身のご意見を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。

石坂委員:
ありがとうございます。石坂でございます。今の仲林先生のお話にも重なる部分がかなりあるのですけれども。はい、私もネットワーク効果と言いますか、相手がどうなっているのかの状況が、いつどうやって作れるのかということは気になっておりました。これ、基本的なところの確認なのですけれども、目指す世界って、いわゆるデータのポータビリティを確保しようということ、そこを安定してやろうということだと私は理解しているのですが、これ出す側の仕組みと受ける側の仕組みが当然必要である。それが学校間だったり、個人を起点ということだと、学校教育機関、公的な教育機関から私的な何か組織に対する移管もあるかもしれないみたいな、かなり広い話になるのだと思うのですが、まず皆さんのイメージを合わせる。私だけかもしれませんが、確認として。認証を行うのは、出す側、受ける側、両方ないと、おそらく意味が発揮できないのだと思うので、まずそういう図式なのだ。で、それが、じゃあ対象がどのくらいの数になるだろうって思うと、今、校務支援システムという名前は出ていますけれども、確かに公教育の中を考えると、全部のアプリケーションがこれを対応する必要はなくて、校務支援がベースになると思うのですけれども、あるいは学習系だけでも何かってことになると、学習系のハブとしてデザインされているのが学習eポータルなので、学習eポータルもこれの対象になるけど、それでも全部が、標準的なものを自治体、学校が導入しているとしても、それおそらく両方合わせても、30、40ぐらいの数では済むのかなという感じがするのですけれども。そのくらいが実証の公教育側の対象になる。で、民間側ちょっと想像がつかないのですけれども、これは、だんだん便利にしていくということで、できるかもしれませんが、まずは進学転校みたいなことをどう信頼性高くデータのポータビリティを確保するかっていうと、対象ってそのくらいの数になるのかなと思っているのですが、これが事務局の皆さんのお考えと合っているかどうかみたいなことが確認したいことの一つです。プラス、仲林先生おっしゃっているように、さっき鶏と卵ということもありましたけれども、これ、事業者側は使えない、使われる見込みがないことに投資するって、ものすごい抵抗があるわけで。今度利用者からすると、あまねく使えるっていうことがあって初めて利用が進んでいくのだろうと思います。だから、そういう意味では、徐々に広げていくってことがやりにくい仕掛けじゃないかと理解しています。逆に言えば、一挙にあるレベルまで進めないと、このメリットが皆さんに享受できないのではないかという感じがしています。そうなると、何かしらのインセンティブ、あるいは強制力というと言い過ぎになるのですが、強力な導入要因を作っていく必要が、それも提供側と利用側の両方に割と短期間にまとめて作っていく必要があるのではないか。それがスムーズな社会実装を行うための一つのキーなのではないかと思います。そうすると少数で、まずはこのコンセプトの内容をきちんと確認するために、やっぱり実証は必要だと思うのですね。一定のシナリオで実証をやってみて、そこで出てきたノウハウ、課題点を整理しながら。あるいはこれ、学習eポータルからも標準モデルでもデジタル庁の事業でやったことなのですけれども、実装を行った時の、例えばサンプルのソースコードを出してもらうようなことで、後で追いかける事業者、利用者のハードルを下げていく、ノウハウのドキュメント化をしてもらうみたいなことをやりながら、一挙にノウハウを固めて一挙に広げていくというステップを、何か、政策的に取るべきではないかというふうに考えております。まずそのイメージとして、両方出す側、受ける側が必要という考え方でいいかどうか、それから、公教育の対象ってそのくらいの数かなと思うことが、事務局の皆さんのお考えと、合ってらっしゃるかどうかの確認をまずだと思います。よろしくお願いいたします。

藤村座長:
ありがとうございました。ちなみにこの検討会は教育分野専門の方だけではないので、確認のためお話しすると、先ほど話が出た校務支援システムっていうのは、学校の先生方の事務システムです。成績ですとか、健康・保健情報ですとか、学籍の情報とかを管理しているシステムです。これは転校・進級・進学とかに応じてデータを連携させなければなりません。現状は同一自治体の学校間ですらまだやり取りができていません。それが必要というのも当然ですけど、転校というのは自治体内に限りませんし、転校、進学は。それを全国レベルでするために認証基盤必要だというユースケースが考えられます。校務支援システムの数はある程度限られているのと、学習eポータルの数も限られているという現状です。学習eポータルとはハブとしての機能を持っているものです。
では、それについてデジタル庁側から何かコメントがありましたらお願いいたします。三点お話があったかと思います。

久芳企画官:
はい、ありがとうございます。まず一点目でございますけれども、送り手側と受け手側両方の認証が必要なのかどうかというところに関しましては、もうおっしゃられたとおりっていうふうに我々認識しております。セキュアにちゃんとやり取りするというところに関しては、まさにそのとおりですし、また今回のスコープというか、前回事務局よりご説明差し上げました、ステップ1、ステップ2、ステップ3という観点に踏まえた場合、基本的にデータのポータビリティをちゃんと実現していくのだというところ。ここは人によって表現の仕方はあるかもしれませんけれども、基本的に今、石坂委員の方にご指摘いただいたとおりだというふうに、私として認識しているところでございます。その次でございますけれども、いわゆる校務、組織起点と言ってもいいかもしれませんが、それについてのデータ連携の対象となるシステム、ないし事業者の数というところにつきまして、当然、つぶさに何十という形の数字、今手元に持っているわけではございませんが、基本的には、今、石坂委員がご指摘いただいた数と同じくらいの規模ではないかと、事務局としても認識しております。また、現在、文部科学省の方で進めておられます次世代校務DX環境の整備につきましては、県内一括調達で校務支援システムを考えていくとされております。なぜかと申しますと、教員の人事などをはじめとしてですね、基本的に県単位で教育行政というのは動いており、県内で基本的に校務のユーザービリティが同じ環境であった方がといった考えなどに基づきまして、そういう方向性打ち出されております。そのため、今後、先ほどの数字が上がっていくというよりかは、むしろ絞られていく方が可能性は高いのかなと事務局としては認識しているところでございます。はい、以上ですべてお答えできていますか。

藤村座長:
あと一気に普及させるためのインセンティブの必要性という話についていかがでしょうか。

久芳企画官:
はい。そこにつきましては、まさに、この後の検討事項の実装支援のところでも触れさせていただきましたが、当然これまでデジタル庁で行ってまいりました実証事業において実施してきたことは最低限しなくてはいけないと我々として認識していることでございます。また先ほど、他の委員の方からもご指摘いろいろとありましたけれども、ある程度その一斉導入でないと、結局メリットが発生しない、すべての関係者にとってインセンティブが働かないのではないかというご指摘あったところでございます。我々も、重々そこのところは認識しておりまして、先ほどちょっと私、かなり弱気な発言をさせていただいたところでございますけれども、そこをうまく天秤にかけながら、関係者の理解を図っていかないといけませんので、しっかりと考えていまいりたいなと思っております。

藤村座長:
ありがとうございました。それでは次、石井委員いきまして、この後、おそらくですね、先ほどの話も掘り下げていくと、次の各検討課題の話になっていくかと思いますので、石井委員のお話いただいた後は、各検討課題の議論に移りたいと思います。では石井委員、お願いいたします。

石井委員:
はい、ありがとうございます。板倉先生のコメントのところの若干の補足と質問もあります。個人情報保護法が改正されると、16歳未満の子供について、法定代理人の同意が必要ということが明確になってくる時に、デジタル認証アプリのマイナンバーカードでアクセスするのは、これは基本、保護者という理解でよろしいでしょうかというのが、質問になります。コメントとしては、本人確認をきちんと行うということと、データの提供にどこまで同意するかは分けて考える必要があるということで、板倉先生から非常にクリアにお話があったところだと思います。国外でも例えば、欧州評議会が教育データの取扱いに関する指針を出しています。子供が成人として扱われるようになった時に、成人になった元の子供に対して、そのデータの取扱いに対する権利が行使できるように、引き継いであげるということが必要である。そういう趣旨の項目が入っています。また、古い法律ですけど、アメリカで1974年に教育データに関するプライバシーの法令が成立していまして、その法令に基づいても18歳になったら本人が独立して権利を行使することができるわけですが、権利行使するためには、その前提条件が整っていなければならないという話になりますので、子供が大人として扱われるようになった時に、権利行使がスムーズにできるようになる。あるいは、データを管理して本人にきちんと引き継がれるようになるという視点が大事かと思いましたので、補足させていただきます。以上です。

藤村座長:
ありがとうございます。ご指摘いただいた点、本当に大事な点でございまして、現在、教育委員会等がシステム調達しているわけですけれども、システム更新したらデータがきれいさっぱり消えるようなこと平気で行っていますので、その辺については、非常に大事な視点で、今後またそれを明らかにして、国全体で伝えていく必要があるのだろうなと思いながら聞いておりました。大変貴重なご意見ありがとうございました。
それでは、方向性について検討させていただきたいと思います。先ほど色々とユースケースごとにリスク分析をして、そしてそれで電子証明書を使ったような、認可ですね、認証じゃなく認可をするかどうかみたいな話とかも含めまして、次の議論で具体的な検討したいと思います。で、まずは候補として、とりあえず枯れた技術という話ありましたけれども、GビズIDとデジタル認証アプリを組み合わせて活用するということを候補として挙げ、実証していく中で、問題点があればまた検討すると。そのような流れでもよろしいでしょうか。石井委員より、欧州評議会の指針について情報提供を、今、チャットの方でいただきました。ありがとうございます。方向性として、候補としてということでよろしいでしょうか。特に異論がなければ、そのようにさせていただければと思いますが、よろしいですか。
では、候補としてはそのようにさせていただきたいと思います。それを踏まえて、次の議題二では、各検討事項について、事務局から一括での説明を聞いた後、討議に入りたいと思います。では、各検討事項について事務局よりご説明をお願いいたします。

久芳企画官:
では検討事項のご説明入らせていただきます。検討事項の一覧につきましては、前回ご説明したとおりでございますので、省略させていただきまして、まず真正性の担保でございます。主体の真正性、データの真正性を担保する、そのために署名というものが出てくるという形でございます。組織起点のデータ連携、個人起点のデータ連携、下に①、②、③、④という形で一覧表のところに表示させていただいておりますけれども、こちらともに連携元及び連携先となる主体・データの真正性の担保が重要であるというふうに認識しております。GビズIDと公的個人認証を活用した認証と署名を組み合わせる必要があるのではないか。で、その際の考え方としましては、やはり公的書類である指導要録、そして学修成果証明などは、厳密な真正性担保が求められるという整理になるのかというふうに認識しております。それに対して、学習アプリにおけます学習履歴など、現時点で公的証明に用いることが想定されていないものについては、要件定義に向けて精査する際に求められる認証のレベル感・方法の詳細化を行い、必要な改修を実施するという認識かなというふうに考えているところでございます。で、こちら本人確認要素につきましては、前回ご説明差し上げましたので省略させていただき、また、署名方式に関しましても、こちらのところについては、お詳しい委員の方々にとっては、こちらも釈迦に説法でございますので、一旦ちょっと省略をさせていただきます。その上で、運用、個人情報保護の観点でございます。こちらについて想定しているユースケースについては、個人情報保護上、以下のとおりに整理されるのではないかというふうに記載をさせていただいているところでございます。もちろん、今後の個人情報保護法の見直しであるとか、データ利活用に関する議論の深まりを踏まえていく必要がありますが、一旦はという形でお聞きいただけたら幸いでございます。組織起点のデータ連携につきましては、対象データは前回ご議論いただきましたけれども、基本的に法令に定められた行政手続に基づくものを想定するという形で、こちらについては、もう法令に基づく場合に該当するということでございますので、要はこちらの法令にちゃんと整理するかしないか、そのプロセス自体の必要性も含めた上での検討が、必要なものが若干あるということは、前回ご説明差し上げたところでございますけれども、基本的にはちゃんと法令に位置付けるというところに持っていく。それによってこちらのユースケースとなっていくという認識が良いかと思っております。その上で、個人起点のデータ連携につきましては、教育データ、本人への提供が恒常的に想定されるもの、先ほど申し上げました学修成果証明などがそれに当たると認識しておりますけれども、こちらについて利用目的にちゃんと位置付けられていないのであれば、利用目的の範囲内にちゃんと位置付けていきましょうという形の運用になっていくのかなと認識しております。一方で、それ以外のデータについて、例えば外部に提供する、第三者の機関に提供するというものに関しては、個別の精査が必要ではないかというところだというふうに認識しているところでございます。続きまして運用でございます。現場負担の関係について、組織起点のデータ連携につきましては、やはりユーザーとなる教育委員会事務局、そして学校の教職員が容易に運用できることが不可欠という観点から、教育委員会内のGビズIDの管理形態がどのような形が想定されるのか、そしてGビズIDの利用タイミングはどういう時なのか、そしてその時に各ユーザーにはどのような動きが求められるのかについて詳細化をし、その上で導入マニュアルや、関係者への説明資料の作成が必要であろうというふうに認識しております。で、同じく現場負担、個人起点のデータ連携につきましてはこちらユーザーとなるのが学習者、つまり子供というところがありますし、その子供のサポートに入るのは保護者というところがございますので、教育委員会、学校現場の負担増への配慮も不可欠ですが、そのあたりのところについても認識をしっかりとしていかなくてはいけない。その上で、論点としましては、転校・進学時などのマイナンバーカードの利用のタイミング、いつの時に使うのかというところ、そして各ユーザー、関係者がどのような動きが求められるのかということ、そして特に子供には学校、保護者のサポートが必要になる。一方で、関係者、デジタルリテラシーは多様であるということを踏まえて動いていかなくてはいけない。そしてさらにはマイナンバーカードを持っていない場合、どのような形の対応になるのかというところも留意が必要であろうというふうに認識しております。で、続きまして、整備が必要となるハードウェアについてでございますが、やはりカードリーダー機能の実装は当然不可欠という形になります。現在、ご家庭でスマホであるとか、パソコンでカードリーダー機能を持っておられるという方もかなり増えてきているというふうに認識はしておりますけれども、持っておられない方につきましては、やはり学校で手続をするということが必要になってくるかなと。そういう意味では、カードリーダー機能の学校への実装ということが求められるわけですが、これについては教育分野以外の観点でも検討が求められるというふうになってきておりますので、そのあたりも踏まえまして検討が必要かなというふうに認識しております。いずれにしましても、導入マニュアルや関係者への説明資料の作成が必要であるということは、組織起点と全く同じという形でございます。そして、あと、事業者への実装支援でございますけれども、こちらは先ほど石坂委員よりご指摘をいただき始めているところでございますけれども、現在GビズIDにしても、先ほどのデジタル認証アプリにしても実装ガイドライン公開しておりますが、今後どのような形の機能に拡張が行われるのかなど、現状のものでは当然不十分という形になってくるかと思っております。また、国において開発したAPI等について、事業者も含めて技術実証を行うことによって実装支援を実施する。これにつきましては、先ほど校務支援システム関係を中心にという形のご指摘をいただいたところです。さらに、どのようなシステムにおいてどのような改修が必要なのか、改修費用の見込み等を精査する、この「等」のところにつきましては、先ほど、ソースコードについて公開をするというところも含まれるかと思っておりますけれども、教育分野での実装に特化したガイドラインの作成の検討及び記載の内容の詳細化が求められるというふうに認識しております。最後でございます。将来の拡張性ということで、Verifiable Credentialsの活用であるとか、教育データの二次利用などというものが将来として想定され得るところでございます。それらに対応できるアーキテクチャ・基盤であることが望ましいということ、そしてその際には、教育だけでなくて、雇用、医療、防災、福祉といった他分野との連携を見越しておく必要があるということでございますので、基本的に独自仕様を極力避け、他の分野でも利用されている技術・基盤を活用するなど、拡張性を考慮した設計とすることが求められるというふうに認識しているところでございます。以上、事務局からの説明になります。よろしくお願いいたします。

藤村座長:
はい。ご説明ありがとうございました。それでは、ご説明いただいた各検討事項について、意見交換に移りたいと思います。ご意見のある先生、委員の方、挙手ボタンをお願いいたします。板倉委員お願いいたします。

板倉委員:
はい。ありがとうございます。先ほどの個人情報保護法との関係のあたりのところはコメントしようかと思うのですけど、まずその校務DXっていうか紙が不要だからっていうところは法令に基づいて出すというのはそのとおりだろうと思います。で、もう一つの方の学習データですが、必ずしも全部個人情報保護法によらなければいけないわけでもなく、個人情報保護法によるとしても、気をつけなければいけないところがあります。今、石井先生からもご説明があったように、個人情報保護法の改正で議論されている。あの未成年のデータについての、親権者等の同意のルールがまずありますが、それが行政機関等との関係でどうなるというところまでは、個人情報保護委員会等でもまだそんなに議論されていません。出来上がるものが必ずしも今回のものとぴったり一致するかっていうと、よく分からないところがあります。もう一つは、成年後見制度を民法の方、法制審議会で議論しておりまして、それは未成年者の話は直接は入ってないのですが、その議論が波及してくる可能性はあります。そして、それらの議論は必ずしもこの教育のデータの場面に限ったり、それがユースケースに入って議論したりしているわけではないので、もしそれが都合が悪いのであれば、必ずしも個人情報保護上の同意によらなきゃいけないってこともないので、そこの部分もこちらではこういうルールにしますっていうのを別途(法令で)書いてもいいのかなと思います。全くの外部業者、例えばその塾に出したいとかいう場合は、原則ルールでやっていただければいいのかなと思いますが、転校した時にデータを出す出さないっていうので、例えば親と揉めて、親は「転校先ではお前の教育データ出すな」みたいになった時に子供が出したいという場面があるかもしれません。そういう場合は、現時点では親の意思が尊重されるというか、ベースが民法の財産ですので、使わない方向になっているわけですけど、そういう時はもしかしたら例えば学校とか教育委員会が間に入ってあげて出したらどうですかというか、出すという方をね、助けてあげるみたいな制度があってもいいのかなと思いました。必ずしも全部個人情報保護法の原則に戻らなければいけないっていうことはなくて、同じようなルールでも、もう一回法定してもいいっていうところを、強調したかったところです。以上です。

藤村座長:
専門的な知見、ありがとうございました。おっしゃるとおりだと思いますし、組織起点の場合には法定業務であるから、もうそれはもう自動的にというのはまさにおっしゃるとおりで、あとはそれ以外のユースケースについて、また想定して検討ということですね。はい、ありがとうございます。
小﨑委員お願いいたします。

小﨑座長代理:
はい、よろしくお願いいたします。先の、ヒアリングの内容ともちょっと一緒になっての話になりますけども、いくつかありまして。まず、ヒアリングの中でも、先行の自治体と未導入の自治体とか、それとか、あの整備が進んでいるところ、遅れているところ、状況が違っていて、結局、先ほど委員の皆様の話にもありましたように、これ、せーので、同時にある程度のレベルにいかないと進まないのではないのかっていうことがあると思います。それに関しては、やっぱり設計が重要になってくると思っていまして。そもそもゴールですよね。それが実現するしないっていうのは、その計画の工程の中で示したらいいとは思うのですけれども。最終的にこういうとこを目指していますというゴールの明確化と、先ほどのインセンティブと、やっぱり学校側とか教育委員会側の感覚でいくと、年度、年度の予算立てであるとか、そもそもこれがこの先どうなっていくのかと。お金を取るにしても、短期的には負荷がかかるのだけれども、三年、五年の長期で見ると、安くなるよねっていうことで、物事が動く場合もあったりしますから、過渡期があって、いろいろな状況があるっていう時には、ゴールをしっかり示して、設計としてはこういう流れで行くということが明示されて いる必要があると感じます。うちが前に出てとか、先にやろうっていう自治体はごく少数ですから。そういう点ではスピード感を持って進めていく必要っていうのはすごくありまして。だから、その辺の調整とか設計っていうのを、現場にとってはこうですよ、学校にとってはこうですよ、教育委員会にとってはこうですよ、っていうのを示しながらがいいと思います。実際動き出してからの時間のかかり方は、ある程度許容できるとしても、計画段階のものはスムーズに進めていく必要があると思います。2つ目は、データの真正性について、電子署名のこととか、そういう機能については、すごく重要なのは皆さん認識していると思うので、それを全額国が負担しろとか、そういうことでなくていいのですけれども、少なくともこういうことをやっていく時には、こういう支援がありますよとか、こういうことについても使えるものがありますよとか、直接的な補助金でなくても、地財措置の中であってもいいのだけれども、確実に明示されるのがよいと思います。国としてはその負担がこういうことで考え、支援もできるし、もう場合によっては、それは理想は、ここについては必要で、大きい物事を動かしていくものだから、国としてここは押さえますから、あと運用が始まったら皆さんよろしくお願いしますねくらいの、そういう意味合いでの金銭的な負担ということをちょっと意識したような提案をしていただけるとありがたいと思いました。運用のポイントは4つあると思います。1つ目は、今お話ししたコストの問題、 2つ目は、ユーザビリティ、使いやすいとか、あ、これ便利だよねとかいう、いわゆるユーザー視点でのこれ利用する方がいいよねっていうユーザビリティっていうことについてもすごく大事です。それは、GビズIDという名前のこともそうだと思うのですけど、とにかく自分たちのものとしてやっていきたいっていうユーザビリティが考慮したものであってほしいと思います。3つ目は、手間のこと、どれだけの労力がかかるのっていうことについての負担感に対して、ちょっと腰が引けてしまうところが自治体にはあるので、そのあたりについても、手間暇かかるのは、この時期でこうやって乗り越えていくので、やり方によって上手にやろうっていう工夫が必要。こういうことについてはこうしてほしいという要求がどれだけあるのかが見えない、ということによる不安でブレーキかからないように、その辺の手間についても考慮していただきたいと思います。最後に、それを各自治体回っていて思うのですけど、運用する組織、担当者がどこなの、どこで持つのっていう話が結局国から下りてきたり、協議の中で下りてきたりした時に、悪い意味で表現すると、押し付け合いの縦割りの中で向こうの仕事だろう、こっちの仕事だろうっていうとこありますし、前向きなところで言っても、これ誰が負担することによってスムーズに行くのっていうことで結構受け取ってからの時間とかね。そもそも担当者がパッと変わってしまったことによって、なぜしないといけないのかっていうことがすごくストレスになっていますから。だから、そういう意味では、通知したり連絡したりするときに、パッとうちはこういうことやりますから皆さんよろしくだけじゃなくて、こういうところで担当してほしいとか、こういうところがぜひリードしてほしいっていうこととかをあげてほしいところです。都道府県でリードしてほしいも、ちょっとまだ漠然すぎているのではないかと感じています。都道府県のこういう担当のところで、学びのことだから、ぜひともこういう学習指導のところでしっかりやってくださいとか、整備、環境のところなので、こういうことも考えてくださいとか、その一押し、運用する組織を逆に作ろうかなと思うところ出てきてもいいと思うので、そういう後押しもできるような示し方ができればいいと思っています。で、ここ一年でいろんな人と話し、教育委員会の人や先生たちと話していても、期待感はものすごく大きいので、もうぜひともスピード感を持って整えていけたらいいなというふうには感じています。以上です。

藤村座長:
ありがとうございました。お二人の意見、共感しながらお聞きしていたところです。次は、富士榮委員が挙手していらっしゃいます。富士榮委員のご意見頂戴した後、この3人の委員の皆さんからのコメントについて、デジタル庁の方から、もしコメントがありましたらお願いしたいと思います。富士榮委員お願いいたします。

富士榮委員:
ありがとうございます。今の部分含めて二点ございます。一つは署名の話です。署名はもう少し細かく定義を分類して整理をした方が分かりやすいかなと思います。大きく言うと、主体を確認したい。いわゆる身元確認とか当人認証というお話。そして意思を確認したい。ここで書かれている資料上で言うと、承認署名ですね、と書かれている部分と、あとはデータの真正性を確認したいという証明署名の話。この3つがあった上で、それぞれ組織起点、個人起点において、どういう道具立てをマッピングするのかっていうところをですね、整理いただくと分かりやすくなるかなと思います。で、今見ていますとですね、あの主体の確認というところは、その前段で、GビズID、公的個人認証の話を含めて、レベルの話は先ほどコメントしたとおりですけれども、一応存在はするわけですけれども、承認署名の話になるとデジタル認証アプリの電子署名証明書を使ったものであれば、一応それに該当する部分っていうのはあるだろうというふうには思いますが、GビズIDには該当の機能ってないわけですよね。また、あの証明署名の話に関して言うと、これやっぱりまた別の仕組みの話になってきますので、例えば大学なんかで言いますと、UPKIみたいなものがありますけれども、ああいうものが必要であるということは少し今の段階から書いておかないと片手落ちになっちゃうかなと思いましたというのが、あの署名の話です。こちらコメントです。で、もう一つが、最後の今後の展開というところですね。Verifiable Credentialsについて触れられていましたが、ちょうどデジタル庁と、JR西日本さんでやられているような学割をどうやってやっていくかみたいな、在学証明をどうやって社会実装していくかなんていう実証実験が進んでいたりするのも承知しておりますし。その中で、国立情報学研究所さんが、そういう大学が出す証明書に関して標準化をしていこうと。スキーマを含めて標準化をしていこうっていうことをですね、進めていらっしゃいますし、それが、今後は大学だけじゃなくて、初等中等にも展開していかないとやっぱりいけないよねっていうところのコンセンサスはある程度あるというふうに認識しております。そういうのは参考にしていかれると良いだろうと思いますし。手前どもOpenIDファウンデーションをですね、グローバルでそういう技術標準プロファイルの策定、あとは海外との連携についてもですね、SIDI Hubという団体がございますけれども、こちら昨年ですね、日本でもイベントやったりして、デジタル庁にも、かなりご協力いただきましたけれども、そういうところと連携して、諸外国との連携を含めた、標準化、またガバナンス、こういうものの整備をするということですね。NIIさんもそうですし。学位授与機構NIADさんもそうですね、ご協力いただきながら進めていますので、そういう動きとですね、連携していくって方向性を、ガイドのどこかに書いといていただくと、よりお互い歩み寄りやすいのではないかなというふうに、思うなどいたしました。はい。以上、二点コメントでございました。

藤村座長:
ありがとうございます。大変いいアドバイスをいただいたと思いながら拝聴しておりました。ではここで、デジタル庁から一回、コメントをいただければと思います。いかがでしょうか。

久芳企画官:
ありがとうございます。各委員のご指摘につきましては、すべて大切な課題だと思っておりますので、取りまとめの中にはしっかりと記載していくとともに、そして、来年度の調査研究の中で探っていかなくてはいけないというふうに認識しております。その上で、あえてコメントを付け加えさせていただきますと、我々の行政機関から見た景色においては、高いボールのように見えるところに関しても、委員の皆様方の専門性から見るところでは、いや、そこは高いものではないと、背中を押されているのだなというふうに認識したところでございます。ありがとうございます。

藤村座長:
はい。どうもありがとうございました。大変心強く思います。では次、ご発言ある方いらっしゃいましたら、挙手をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。それでは和泉委員、お願いいたします。

和泉委員:
はい、和泉でございます。私から何点かコメント差し上げたいと思います。先ほどのセクションとも一部関係するのですけれども、スケジュールがタイトだからとか、こういう順番で入れていくからとか、ではなくて、社会コストをどうやって最小にしていくか、が大事ですし、あくまでも社会インフラとして整備されるものだと思います。その上で、いくつかコメントしたいと思います。前回コメントしたことともオーバーラップするのですけど、改めて、情報のオーナーは誰なのかは明らかにしていただきたい。というのは、例えば私の行動履歴は、学校のような組織が記録しているものなので、(本人の同意無しに)組織間である目的に応じて共有してもよい、ということが、もし成り立つのであれば、GoogleやAppleが記録した情報はあなたに関するものかもしれないけれど、自分たち法人が持つ情報なのである、などと主張されると困ってしまうわけです。要するに、そのような情報は誰のものかということと、それを誰が預かっているのかということは、とても重要。その中で、石井委員からもコメントがありましたけれども、時間的な経過において、正しく権限委譲が復活するよう、ということはとても大事なので、情報のオーナーの整理をしながら、時間的変動においてどういう形で帰着していくのか、という、全体の構成が大事だと思います。これに関しては、市場原理に左右されることはあってはならないと思います。費用が高いから入れないのか、安いものだからこれを普及させよう、ということで本当にいいのか、しっかり検討すべきです。その上で、技術は必ず変動(進化・発展)するので、何回かリプレイス、あるいは移行することが、この先も続きますし、技術革新は進むものなので、一回では無理かもしれないけれども、社会的に均質化する方向に持っていくことが重要です。そうしないと、前回のリプレイスの経緯である特定の技術が入ってしまい、以降、それがレガシーとして残存してしまうようなことがありえるので、最初にコメントした、社会インフラであるというところとも関係するのですけども、しっかり均質化させる、ということが、情報システム・社会インフラの専門家としてコメントを差し上げるところです。最後に、その技術の裁量について、技術を採用するかどうかを組織の裁量にするのではなくて、社会インフラはできるだけ均質化する方向とすると、組織ごとの裁量はIDを発行するかどうかに与えるべきで、IDといっても、公的個人認証に資するところは社会インフラでまかなうべきで、学籍番号等々、あるいは入学の許諾拒否等々に関しては、組織ごとに発番するとか、組織の裁量と社会インフラの整備ということをしっかり分けて考えるべきです。これが全体アーキテクチャというものではないかと思います。そういう意味では、しっかり個人起点の情報が時間変化に左右されないようにすべきで、その証明に資するものは、どういう機関がしっかりどういう風に持つのか、行政機関で行政法に基づいて組織間で情報を共有するのはもちろん大事なのですけれども、だったらそれがその五年で廃棄していいのかとかいうことになると、これはこれで困るわけで、個人起点の情報が確実に組織を横断して共有される、というところは、本人の意思も確認しつつ、進めるべきです。また、そのオリジナルの情報はどれぐらい永続させるべきものなのか、それは社会インフラとしてどう保証すべきものなのか、という検討は大事だと思います。以上の観点で、組織ごとに導入のインセンティブ与えるにしてもで、そういう実態の均質化に向かう方向でインセンティブを与えるべきで、何かバーゲンセール的に、一時的にこれ使っていれば、ある義務を免除されますよ、みたいなことであるべきではないと思います。まとまってないコメントで恐縮ですけれども、私から以上でございます。

藤村座長:
極めて重要なご指摘だったというふうに思います。特に一点目の情報のオーナーは誰かという議論は、教育分野では極めて曖昧になって現状運用されていますので、そこははっきりさせたいと思います。IaaS、SaaSを使いながらも、SaaSのベンダーさんがこの情報は全部うちのものだって言って、逆に教育委員会が触ることすらできないとかですね。子供たちも当然のことながらですけれども、この辺はきちんと整理すべきだっていうのは、まさにおっしゃるとおりだというふうに思います。この辺の検討については、文部科学省側でも、教育データの利活用に関する有識者会議ですとか、中央教育審議会のデジタル学習基盤特別委員会等でも検討を進めているところですので、ぜひそこと連携して整理をしていければと思っております。また、社会インフラとしてのあり方、全くそのとおりだなというふうに思いますので、それを踏まえて今後進めていただくということを、私からも要望したいと思います。ありがとうございました。
仲林委員、お願いいたします。

仲林委員:
はい。ちょっとシステムの実装寄りの方の話で、先ほどの資料の事業所さんへの実装の支援の話のところで私、あんまり、この辺の学習eポータルなどの専門家ではないので、実態があまりよく分かってないのですけれども。おそらく今回の組織間のところは、カチッと、やり取りするデータとかが定義しやすいのかなと思ったのですけれども、やはり学習アプリの方が、色々と決め事をするのが結構難しくて、だけれども、学校の現場から見ると、そちらの方がインパクトが大きい。特にこれからの、教育をデジタル化によって良くしていこうという観点からすると、学習アプリの方がやっぱりインパクトが大きいと思うのですよね。ただその時に、学習アプリの性質を考えると、単に認証のところだけではなくて、いろいろなそのコンテンツなりデータなりのサーバー側とアプリ側のデータのやり取りのところも、やはり決めていかないと、結局、アプリを実装する事業者さんからするとですね、認証はいいのだけれども、そういった本来のコンテンツなり、学習履歴のデータのやり取りができないと、結局アプリの良さが発揮できないですよねとかですね。特に学習履歴なんかについては、個人個人でアプリを使う場合もあるでしょうし、それから協調学習的な最近のグループワーク的な探究学習とかですね、そういうことをやろうとすると、他の生徒が何やっているの、みたいなことが、こちらの生徒の方の画面にも出てくるとかですね。そういうのは実は教育効果を発揮する上ではすごく大事なのではないかなと思うのですね。ですので、私はこの学習eポータルだとか、その辺のところがどれくらい標準化という観点で進んでいるのかっていうのはよく分かってないのですが、おそらくそういうところも含めた実装の支援なりユースケースですね。こういう学習形態の場合には、こういうデータのやり取りが発生して、で、その時にここまでは、例えばどのプラットフォームを持っていっても大丈夫ですよとかですね。そういうことも考えないとなかなか進まないのかなと思います。で、実はそこが結構キラーアプリなのではないかなというふうに思いましたので、実装上の話に関してコメントです。

藤村座長:
ありがたいお話、嬉しく思いながら聞いておりました。で、その辺に詳しい石坂委員、ちょっと補足説明お願いいたします。

石坂委員:
まさに仲林先生のご指摘のとおり、データが揃っていないとポータビリティが確保できませんので、その辺実に苦労しているところです。日本は他国、他地域に比べても、成績情報の横串を刺すことすら難しいというところがありまして、そういう意味で今、最も粒度の細かい、いわゆる学習行動の記録、ラーニングアナリティクスのような世界観でのxAPIという規格の標準化は、ある程度のところまで来ているのですね。ただ、それよりむしろ粒度の粗いものの方が社会的なニーズは高いわけなのですけれども、そちらの標準化ってなかなか手の付けようが難しいところです。で、今私も発言しようかと思っていたとこなのですけど。じゃあそういうものを個別に、先ほど別の委員の方のお話にもありましたけれども、個別に規定していくのってものすごい大変なことで、むしろ社会的なニーズとしてはそういうものがたくさんある中で、デジタルバッジの標準化みたいな利活用みたいなことが世界的にいろんな分野で起こっているわけで、何かそういう標準を使いながら、ここの認証の話と直接対象にする話ではないのですけれども、そこと同時に動かすことによって価値が飛躍的に上がるのではないかという感覚を持っています。で、同じように事務局のご整理の中でもありましたけれども、認証をどのくらい厳しくやるべきかみたいな話で、組織間のやりとりは、法律で決まっているようなところは、これもうかなり厳密にやっていかなきゃいけないのですけれども、これもけど、指導要録は法律で決まっているのですけれども、様式が、必ずしもフォーマットが全部一致してないみたいなことが起こっていたりして。まさに藤村先生がご専門のところですので、そういう標準化も並行して行われているわけで、やはりデータの標準化をきれいに進めるのと、この認証を進めるのと、並行してやっていくニーズはもう確実にございます。はい、それ認識しているところです。で、じゃあ、そこの一つの技術的なプラスとして、先ほど富士榮さんからお話ありましたけれども、Verifiable Credentialsって、やはり教育における価値ってものすごい高いはずですので、これはユースケースの中でも必ず視野に入れて、この場でも検討するべきものではないかと私も認識しております。で、そういう意味で、ロードマップの示し方がなおさら難しい、これができると何が楽になるのですかというものを学校側からは綺麗にメリットを示してくれという声は当然出るわけで、それは学校間のやりとり、指導要録ですとか、入試の話ですとか、そういう現実に現場の先生方、教育委員会の方が苦労されているところは綺麗に整理してこれだけ楽になりますっていうところを明確にしながら、先ほどの標準化と同時にみたいなのは、社会的にはこういう標準を横串刺すと、これだけ便利になる将来の可能性があるのですけどっていうことを視野に入れながら両方のバランスをとってやんなきゃいけないことなのではないかなと思っております。すみません、まとまりがないお話になりましたが、以上です。

藤村座長:
いえいえ、とんでもありません。ありがとうございました。今お話しいただいたようにそこと並行してっていう発想はとても大事だと思いますので、それについて、本検討会のスコープの中には入らず、別な組織で検討を進めているところですので、ぜひそことも連携しながら進めていきたいなと。幸いにして、私そこにも入っていますので、そこはうまく進めさせていただきたいというふうに思っております。あと、Verifiable Credentialsやなんかについて、うちの大学ももうやろうよっていうような話をしているぐらいですので、それについてはちゃんとスコープに入れてというのも全くそのとおりだろうなというふうに思いながら聞いておりました。ありがとうございました。あと、他にご意見のある方いらっしゃいませんでしょうか。個別の検討課題についてということですけれども、だいたい意見は出尽くしましたでしょうか。
池田委員、お願いいたします。

池田委員:
はい、ありがとうございます。先ほど何を連携するかというお話も19ページの方であったかなと思うのですけれども、例えば前回も多分同じコメントをした気がしますが、教育委員会と学校と保護者、三者で個別の支援計画みたいな、障害のある子供については、個別の教育支援計画みたいなのを作っています。これについては、今回のこの法令に基づく組織と機関のGビズIDによる認証じゃなくて、今回の整理だと個人起点のデータ連携になるかなというふうに思います。ただ、この方式でやり取りをするのであれば、そうしていただけるといいのかなと思います。板倉先生、15歳以下は電子署名使えないし、とりあえず貯めておくことに注力した方が良いというようなご発言も冒頭にあったかなとも思うのですけど、でも、その個別個人起点でも、行政間でやり取りすべき情報っていうのは、法令に基づいてないものも、今はかなりあるのではないかなということで、一応コメントということでさせていただければと思います。すいません、以上です。

藤村座長:
ありがとうございました。その辺、踏まえていきたいというふうに思います。
それでは和泉委員、お願いいたします。

和泉委員:
はい、ありがとうございます。ちょっと、先ほどうまくまとまってなかったかもしれないのと、ちょっと議論の方向性を見て改めて。富士榮委員に整理いただいたのですけれども、本人を確認することと、内容の正しさという真正性に加えて、今回、本人・当人の意思をどう反映させるのか、その意思に関しては、未成年の場合等々、というところと、それから石井委員に整理いただいたとおり、時間が変化したらどうすべきかというところに関して、どの技術が使えるのかというのは、あくまでも、特定の技術の成熟度に関する現時点の要素なので、まずは、情報のオーナーは誰なのかをしっかり整理した上で、その本人確認、あるいは内容証明に加えて、どのタイミングでどういう意思表明をしっかりデジタルに、紙ではなくて、デジタルにどう取り込んでいくか、をタイムスケールと一緒に考えることが重要です。この情報の整理なしに、どの技術が使えそうかといって、情報の整理をせずに導入してしまうと、レガシーになってしまうので、各委員にご発言いただいたように、本人であること、あるいはその本人の意思、あるいはそれが業務とどう関係するのか、しっかり整理いただくということが重要ではないかということを、改めて、発言させていただきました。ありがとうございます。

藤村座長:
ありがとうございます。とても大事な整理をしていただいたように思います。
それでは富士榮委員、お願いいたします。

富士榮委員:
今、和泉さんにご整理いただいたところも、今、若干かぶるのですけれども、ちょっとこれ、デジタル庁に少し質問です。デジタル認証アプリを使った電子署名の機能っていうものを使った場合に、署名検証のAPIですとか、有効性確認のAPIっていうのは、民間には基本的に提供されないっていう整理になっていると思うのですけれども、今回、民間の事業者に対してデータのやり取りをするっていうシナリオがあったり、私立の学校っていうものがあった場合に、その間でのデータのやり取りっていうものをするケースがあったりするはずなのですけれども、その場合、その署名の検証する機能っていうのを民間側に一部開放していくってことを含めて検討しないといけなくなってきちゃうのではないだろうかっていうふうに思ったのですけど、こちらいかがでしょうか。

藤村座長:
ご質問ありがとうございます。では、デジタル庁いかがでしょうか。

久芳企画官:
はい、ありがとうございます。ご指摘の点につきましては、我々も考えていかなくてはいけないところだというふうに認識しておりまして、現在、その担当とも含め検討しているところでございます。いずれにしても、実際に技術実証していくっていうまでには、何かしらの結論を出さなくてはいけないところだというふうに認識しているところでございます。

藤村座長:
はい、ありがとうございました。
次に石井委員お願いいたします。

石井委員:
ありがとうございます。個人情報のところで確認をさせていただきたいのが、先ほどの他の委員の方から、法令に基づかないデータも結構あるのではないかというコメントがあったかと思います。組織起点のデータ連携については法令に定められた行政手続に基づくものを想定しているという整理ですが、例えば転校した時に、法令には基づかないものの、提供したい、しかし、組織起点のデータ連携対象にはならないというようなものが結構出てくるのか。ユースケースを考えるときに、結局どういう類のデータを想定するのかを詰める必要があると思いましたので、その辺りの考え方の整理を改めてお聞きできればと思います。おそらく事務局の方に答えていただけるかなと思いました。

藤村座長:
これって19ページの整理の表があるので、デジタル庁側で今どう考えていらっしゃるのか、補足説明があれば、池田委員の方から補足していただければと思います。では、デジタル庁、先お願いいたします。

久芳企画官:
はい、ありがとうございます。で、こちらの資料の表の方でございますけれども、現在、指導要録、健康診断票、そして調査書、このあたりに関しましては、法令に位置付けがあるものという形で、組織起点で、職権で、データ連携の対象になっていくものであるというふうに認識をしております。一方でここに書いております在学証明書、災害共済給付制度の加入状況、このあたりに関しましては、組織起点という形にはなるかと思うのですけれども、現在、法令の位置付けではなくて、実態上必要だからという形で行われているところでございます。例えば、災害共済給付制度の加入状況については、保護者の方にお渡しをして、保護者が次の学校に持っていくという形になっておりますので、そこで事実上本人に渡しているから問題がないのだろうという形で処理がなされているのだというふうに認識しております。先ほどの特別支援の個別の教育支援計画であるとかですね。そのあたりについて、保護者の承諾の下で引き継ぐことになっている、しかし、教育活動においては非常にしっかりと使われていて、これは引き継いでいかないといけないのだろうなというところは、担当者にインタビューで聞けば、みんなイエスと答えるのでしょうけれども、保護者の承諾が必要、もしくは個別に転校先の先生が前の学校ではどのような形にお過ごしされていましたかという形で、電話などで前の学校に問い合わせをされるとかっていうような形で、情報という形で引き継がれるということはあるのでしょうけれども、そのあたりについては一つ一つユースケースごとに、しっかりと精査をしていかないといけないものかなというふうに認識しております。仮にこれが指導要録であったりとか、調査書に類似するものであるというふうに整理がされるものであれば、法令に位置付ける方に寄せていくっていうことをこれは所管庁である文部科学省の判断ということになりますけれども、検討していかなくてはいけないということになるでしょうし、逆にこれは個人起点のものであるというふうに整理がなされるのであれば、あとはプロセスであったりとか、先ほどご指摘いただいております、本人の意思確認というところをちゃんと精査して、実際のユースケースとしての具現化を図らなくてはいけないというふうに認識しているところでございます。

藤村座長:
そのような点でよろしかったでしょうか。で、またあとは、すべて帳票ベースで今やりとりしているということを踏まえると、そういうふうになるということですけども、教育DXということを今やっている中で、例えば教科書給与証明書というのも、実は必ず転校に際して相手方に送っているわけです。こういうものは自動生成してデータでいけばいいだけというものです。本人の個人情報とか入ってないわけですから。例えばそういったことも含めて、ユースケースについては精査する必要があると、感じて聞いておりました。そのような感じでよろしかったですか。

石井委員:
差し当たり、はい、分かりました。ありがとうございます。

藤村座長:
池田委員から、何か補足ありますか。

池田委員:
もう、特に今のデジタル庁の説明で、必要十分かなと思います。

藤村座長:
はい、ありがとうございました。
それではあと、板倉委員、お願いいたします。

板倉委員:
はい。今のところなのですが、私の勝手なイメージだと、そんな細かいところまでは法律に書かず、省令ぐらいに落として、場合によっては自治体の条例でも追加できるみたいにしておいて。で、条例で、例えば他の県ではやってないものを、DX的に入れましたというので、その県でよかったよというのがあれば、全体の省令にも追加していくと、それぐらいの感じでいればいいのかなと。法律自体に書いちゃうと法改正しないといけないので。

藤村座長:
そうですよね。

板倉委員:
マイナンバー使うみたいなのは(番号利用法の)別表に書いて一回一回全部国会で審議するという建前になっていますが、ここは最初からそういう想定で政省令に落とすで、条例でも追加できると。条例ではもちろんその県単位ですから、県の中でということにはなるかもしれませんが、そういうのでやってみるようなイメージでおります。

藤村座長:
なるほど。法律の専門家としてのアドバイス、本当にありがとうございます。なるほどと思いながら拝聴しておりました。
あといかがでしょうか。ご意見、ご質問のある方、いらっしゃいませんか。よろしいでしょうか。
それでは、たくさんのご意見ありがとうございました。今後の調査研究に向けた多くの意見をいただくことができたと本当に思っております。それでは、次回の会議に向けて、事務局にてこれまで出された意見等を整理し、取りまとめ案の作成をお願いしたいと思います。ただその時にですね、作成にあたっては、各委員にもご相談しつつ進めてください。これを、必ずお願いしたいというふうに思います。それでは、次回会議では取りまとめ案について議論をしたいと考えております。また本日、意見等漏れがあったなどございましたら、後ほど事務局までメール等でお知らせいただければ、取りまとめ案の方にも反映できるかと思います。それでは最後に事務局より次回日程等について連絡をお願いいたします。

久芳企画官:
ありがとうございました。本当に時間としては1時間半でございましたけれども、分量としては多分2時間以上のご意見いただきまして、大変感謝申し上げます。次回の会議の日程でございますけれども、4月14日を予定しております。今回と同様、2時間という形で、13時から15時にしております。先ほど座長よりご指示いただきましたとおり、取りまとめ案につきまして、早急に事務局の方でまとめまして、各委員に個別にご相談に伺えればというふうに思っております。その日程調整につきましても、また会議後にメール等でご連絡差し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。

藤村座長:
はい、ありがとうございました。それでは本日の検討会は以上で閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。