教育分野の認証基盤の在り方に関する検討会(第3回)
概要
- 日時:2025年4月14日(月)13時00分から15時00分まで
- 場所:オンライン会議
- 議事次第:
- 開会
- 議事
- 教育分野における認証基盤の在り方に関する検討会_とりまとめ案について
- 閉会
資料
- 議事次第(PDF/87KB)
- 資料1 委員名簿(PDF/190KB)
- 資料2 教育分野における認証基盤の在り方に関する検討会_取りまとめ案(PDF/2,008KB)
- 資料3 教育分野における認証基盤の在り方に関する検討会_取りまとめ概要案(PDF/6,174KB)
- 議事録(PDF/604KB)
議事録
藤村座長:
本日もご多用の中、参加していただき誠にありがとうございます。ただいまから、教育分野の認証基盤の在り方に関する検討会の第3回を開催いたします。では、早速ですが、議事に入らせていただきます。本日は予定としては最終回となりますので、本検討会の取りまとめの案についてご議論いただき、合意を得たいと思います。それでは、事務局より、取りまとめの案文及び概要資料について説明をお願いいたします。
平田参事官補佐:
はい、ありがとうございます。ただいま指示いただきましたとおり、取りまとめ案について私、デジタル庁平田の方からご説明差し上げたいと思います。まず、本取りまとめ案につきましては検討会の第1回、第2回の議論及び事務局によるヒアリングの結果等を踏まえまして作成をしております。また、草案作成時点で各委員には個別にご懸念の点やご指摘事項をお伺いしまして、その点につきましても反映している状態となっております。本日お時間いただいておりますので、ある程度丁寧にご説明させていただきますが、基本的にはご意見をいただいて修正を図った部分を中心にお伝えできればと思っております。なお、直前に委員の富士榮様と小﨑様から別途メールにてご意見を頂戴しております。本日この後ディスカッションの際にご意見も頂戴できるというふうに伺っておりますが、その点に関しましてはまだ修正前ということで申し添えさせていただければと思います。それでは取りまとめ案について説明をさせていただきます。まず前段のところですね、この検討会の趣旨と概要を説明させていただいております。最後になお書きとして付させていただいておりますが、今回検討を行った認証基盤については、各システムのログインのための認証認可に関するものではなく、児童生徒の転校時の書類送付ですとか、卒業後の各種証明書の発行など、組織間・外部との情報のやりとりを安全・安心に行うために用いられるものであるということで、これまで整備してきているものとの齟齬をちゃんと明示するという形で記載させていただいております。続いて1章が、教育分野における主体データの確からしさの確保の必要性ということで、まず1―1として、社会におけるデジタル認証の必要性の高まりということをご説明しております。現代社会において、教育分野に限らず、様々な分野で、データの利活用を行うケースが急増しているという中で、官民を問わず、マイナンバーカード等を活用した認証サービスというのは、生活の様々な局面で活用されるようになってきているという状態でございます。また、1-2デジタル公共インフラの整備の考え方というところにつきましては、こちら検討会の中でご説明させていただいたとおりという形で書き下しをしているところでございます。続いて、1-3教育分野における認証基盤の現状と課題についてというところで、前段の教育分野における認証基盤の現状として、日本の教育分野のデジタル化は、GIGAスクール構想の推進により、初等中等教育段階を中心に大きく前進したという状況ではありますが、教育現場においては児童生徒の転校時の書類送付ですとか、卒業後の各種証明書の発行など、組織間・外部との情報のやり取りが発生するところ、これらの情報のやり取りについては、必要な本人・組織認証の仕組みに関する検討が進んでいないという状況です。その上で、解決すべき課題として三点列挙させていただいております。これらの課題を踏まえまして、本検討会における検討事項として、主にこの第二、第三の課題についての解決を図っていくということで、ターゲットを絞らせていただくように書かせていただいております。今後、教育分野においても、転校・進学時のデータの引継ぎや学修証明のデジタル化等、組織を越えたデータ連携が着実に進んでいくことが想定されるため、本検討会では、第二、第三の課題を踏まえ、主体・データの確からしさの確保のための認証基盤整備の必要性やその実現の方向性、そのために必要な調査研究の内容等について検討を行ったという形で記載させていただいております。続いて、2章認証基盤の活用における想定ユースケースについて記載をしております。2-1において、想定ユースケースと対象範囲について触れさせていただいております。前段に具体例を用いて、想定しているユースケースを記載させていただいており、組織自体の実在性や当人性、及びその意思を確認する場合と、個人の実在性や当人性、及びその意思を確認する場合にそれぞれ対応しています。認証基盤を整備するにあたっては、この組織起点のデータ連携と個人起点のデータ連携それぞれについて整理をして、ユースケースの精査をしています。具体的には、これまで資料でもご説明させていただいた図のとおりとなっております。続いて、2-2学校等が法令に基づいて共有する場合のユースケースについて記載をしております。本分類では、例えば、転校・進学時において法令に基づき行われる学校間の事務手続が挙げられます。対象となる書類・データにつきましては、指導要録や健康診断票、調査書等の法令で定められている公簿が具体的に想定されています。今申し上げたようなユースケースの説明をした上で必要なデータについて表形式で列挙をしています。続いて、2-3本人・保護者の意思に基づいて共有する場合ですが、本分類においては、例えば学校から本人への卒業証明や成績証明の提供、また進学・就職時等で本人を介した学修証明等の第三者提供、そういったパターンが想定されております。対象となる書類・データにつきましては、卒業証明書や成績証明書等といったデータが想定されております。このあたりも具体的に踏み込んで書いた上で、最後表3、表4のとおりに具体的に想定しているデータ、ユースケースを表として取りまとめております。続いて、対象の学校種につきましてですが本認証基盤が活用される想定となっている学校種については網羅的に記載をしているところでございますが、その中で特に本検討会においては、初等中等教育段階の活用を中心に検討を行っております。続いて想定される実装パターンとして、3-1認証基盤の必要性についてですが、例えば、指導要録の送付というユースケースを例に挙げて、送付元が本当に転校元の学校であるか、また書類が学校長の決裁によるものであるかといった点の確認が認証をデジタル化していく上で必要になってくると。そのため、自治体を越えた認証基盤をしっかり整備していくということで、組織起点、個人起点、先ほど申し上げたユースケースに関連するデータ連携が実現できるようにしていくということが求められるということを記載しております。その中で、実際に想定される実装のパターンとして、これまで申し上げてきたユースケースを実現するために必要な認証基盤の実装パターンとして3つを取り上げて、それぞれ情報を整理しています。こちらについては、実際検討会の際にも具体的に触れているため、本日については割愛をさせていただきますが、3-3実現のための実装スケジュールということで、こちらにつきましても、これまで検討会の中で説明してきた形で記載させていただいております。追記した点は1点で、本報告を踏まえて、さらに詳細な工程を今年度行う調査研究において実証していくということを記載させていただいております。続いて、教育分野の認証基盤実現の手法についての方向性ということで、これまで述べてまいりました3つの章の方向性を受けまして、最終的にこちらの章で取りまとめる検討の方向性について記載をさせていただいております。諸々検討の経緯、上記書かせていただいておりますが、現実的な提案として、既存の公的認証基盤の活用、具体的には組織起点のデータ連携にGビズIDを、個人起点のデータ連携に公的個人認証を活用するということが候補として残っております。公的認証基盤の活用については、運用面等について実効性の検証が必要という言及があったものの、一般的にデジタル基盤は利用者の増加によって利便性が向上していく点を踏まえると、スピード感を持って提供していくことが一層重要となるため、本案が現時点における現実的な社会実装の方法論として検討に値するという意見が多数得られました。このことから、本検討会においては、既存の認証基盤を活用することを前提に、具体的な論点についてさらに検討を深めさせていただきました。続いて、4章今後の実証に向けて検証すべき事項ということで、先ほどの実装案を受けて具体的な方向性を整理しております。重要な論点として、まず一つ目が主体・データの真正性担保の手法ということで、記載をしております。こちら検討会の中で、今回検討する認証基盤で扱う情報のリスク評価を実施した上で、各種本人確認に関するガイドライン等を参考に、教育分野におけるデータ連携のトラストフレームワークについて整理する必要がある旨、ご意見がありましたため、こちらに記載しております。併せて、デジタル庁において改訂を検討されている本人確認ガイドラインについても参照が必要とご意見いただきましたので、最新の検討状況について引用し、記載をさせていただいております。続いて、データの真正性担保の必要性と実現方法についてということで整理をしておりますが、最後のところですね。マイナンバーカードの電子署名機能について、15歳未満は原則利用できないという点について、検討会の中で意見いただきましたため、それを踏まえた上で、どう実現していくのかということを検討する必要がある旨記載させていただいております。続いて、現場での運用体制・ルールについてですが、現場の負担軽減の観点から、自治体での現場実証等をしっかり実施し、フィードバックを反映するなど、実際の学校現場における業務や体制というのを十分に考慮した上で、運用ルール等について定める必要があります。その際、年度末・年度初めに業務が集中したり、人事異動が発生するといった学校現場の慣習についても配慮が必要である。こういったことをご意見いただきましたので、こちらの方に追記させていただいております。続いて個人情報保護・プライバシーへの配慮のところですが、こちらまだ現状検討中ということでPマークをつけさせていただいておりますが、非常にセンシティブな内容でもありますので、最終的なところ、内部でも少しまだ確認をしている最中のため、このようにさせていただいておりますが、基本的には検討会の中でご意見いただいた内容を網羅的に反映させていただいています。なお、当人性および実在性を担保する観点から、マイナンバーカードが具現化する公的個人認証機能を、また必要に応じ、それが持つ電子署名機能の活用を検討することとなりますが、様々な情報を紐づけるID体系としてマイナンバーを採用することは検討していないということで、改めてここで、マイナンバーカードとマイナンバーの位置付けの差というところは、しっかりと付言をさせていただいています。3つ目の個人情報の取扱いについて。こちらは事前にご意見いただいたバージョンから少しアップデートしておりますので、ここは少し丁寧に読み下させていただければと思います。個人情報保護委員会のガイドライン及びQ&Aにおいて「本人の同意」を得るということが求められている場面について、一般的には、本人が12歳から15歳までの年齢以下の子供の場合には、法定代理人等から同意を得る必要があるとされています。また、当該ガイドライン等の記載を踏まえまして、個人情報保護法の3年ごと見直しにおいては、16歳未満の者が本人である場合における本人からの同意取得について、原則として、当該本人の法定代理人からの取得等を義務付けるなど、一定の規律を設けるということが検討されています。他方で、他国では子供の個人情報保護に関する法律が整備されている例もございます。こうした海外の状況や今後の個人情報保護法の見直しの動向等も踏まえつつ、今回の認証基盤の整備やその後の利活用推進における子供の個人情報の取扱いにおいては、引き続き検討が必要であるとの意見があったという形で記載をしております。また、今後各ユースケースが具体化していくにあたっては、個別に精査が必要ではありますが、その際、技術的には誰がデータを管理し、本人がそのデータにどのように関与しているかなどを明らかにし、プロセスや機能面で適切に本人を関与できるようにすることが必要であり、本人の年齢ごとに必要な対応が異なることが想定されるため、その点についても留意した設計が必要であるという形で厚めに書かせていただいておるところでございます。続いて、GビズIDの活用に向けた留意事項というところで、こちらもいただいたご意見を踏まえて記載をしているところですが、GビズIDの基盤を教育現場のユースケースで活用していくためには、先ほどの章でも整理をしているところではありますが、扱う情報を確定し、その情報のリスク評価を行った上で、その対応を検討していくべきということで書かせていただいております。また、マイナンバーカードの活用に向けた留意事項としては、マイナンバーカードの電子署名機能、こちらも先ほど書かせていただいているところを改めて記載をしておりますが、電子署名機能については、具体的な利用シーンを特定した上で、技術について調査研究において検討する必要があるという形で書かせていただいております。続いてが事業者への実装支援ということで、こちらについては、「また、」以降のところを追加させていただいておりまして、国おいてモデル仕様書を作成し、各自治体が調達する際に用いることで普及促進がされるということを想定し、上記に加えて取組は必要であるという旨、追記をさせていただいております。続いて、その他の論点としまして、1つ目が認証基盤整備と並行したデータポータビリティ向上のための標準化の取組の必要性ということで、こちらもお送りしたバージョンからやや修正がかかっておりますので、丁寧にご説明をさせていただきます。組織を越えたデータ連携のためには、本検討会のスコープである認証基盤の整備だけでなく、データのポータビリティ向上のための標準化の取組というものが求められております。教育データの利活用においては、スタディログやライフログ、アシストログの活用が指摘されており、国においては、例えばスタディログ標準としてxAPIの標準化に関する調査研究を進めていますが、組織間での共有や個人の利活用という視点で、どの程度の粒度の情報であると便利であるかという視点で標準化を進め、今後のユースケース創出が必要です。また、指導要録や健康診断票は文部科学省において参考様式やデータ規格の標準を示しており、これらを踏まえて実際に全国でデータを送り合うために必要な技術的検討等を実施する必要がある。また、国においてデータ連携の際の標準規格の実証・実装支援が実施されてきておりますが、現場における実装は進み切っておらず取組を求めるとともに、就学事務システムから校務支援システムへのデータ連携の際の文字コードに係る課題への対応等も必要になると。このあたりについては、座長の方からもご指摘をいただいて追記をさせていただいております。続いて、将来的な拡張性の考慮というところで、幼稚園や保育所とのデータ連携ですとか、高等教育機関との連携、その他ユースケースを想定した設計ということで書かせていただいております。続いて、制度面での対応の必要性ということで、国における対応の在り方については、各自治体における実情が様々であることも踏まえた丁寧な検討が必要であるが、今後実施する調査研究等において、各学校や教育委員会に共通する制度面での課題やニーズについても、できる限り把握・整理し、将来的な認証基盤の活用可能性拡大に向けた制度面での対応につなげていくことが期待されるという形で書かせていただいております。続いてが必要なコストの精査ということで、こちらについては本年度に行う調査研究において、さらに精査をしていきますということを書かせていただいております。以上をもって最後結論となりますが、教育分野のデジタル化の進展の状況等を踏まえ、組織起点、個人起点のデータ連携の際に求められる主体・データの確からしさの確保のため、国において認証基盤の整備が必要であるということが認められました。具体的には、DPIの整備・利活用の拡大という政府全体の方針を踏まえ、既に整備され活用実績のあるGビズIDやデジタル認証アプリ等の公的認証基盤を活用することが現実的であると認められました。今回検討を行った認証基盤は、各端末やシステム等にログインするための認証認可に関するものではなく、組織間での転校時の書類送付や、個人への卒業後の各種証明書の発行など、組織間・外部との情報のやり取りを安全・安心に行うために用いられるものになります。なお、マイナンバーカードの認証機能は、活用するがマイナンバー自体を使用することは前提とされていません。実装スケジュールとしては、関係者と丁寧なコミュニケーションを図りつつ、デジタル庁において実施する調査研究等を踏まえ、スピード感をもって整備を行っていくことが、社会全体の実装コストを抑えることに繋がると考えられます。社会実装にあたっては、4章で示した各論点に留意して、技術動向を踏まえながら要件の精緻化を行っていくことが求められます。そのため、今後、調査研究を実施し、詳細な検討を行うことが必要であると。結論の方、以上とさせていただいております。取りまとめ全体のご説明につきましては、以上となります。
続いて、概要の資料も同じ内容として記載をさせていただいておりますので、簡単にこちらご紹介させていただきます。概要資料として数ページ取りまとめの内容を説明するものとして作成させていただいております。1ページ目の教育分野のデジタル化において顕在化している課題の例のところにつきましては、本文記載の課題3つ取り上げまして、本検討会において注力すべき課題②、課題③の検討を実施しましたということを記載しております。その上で、ユースケースの整理と目標について書かせていただきます。ユースケースについては、法令に基づくデータ連携と本人の意思に基づくデータ連携という形で整理をしており、目標としては、送受信を行う主体の本人確認と、送受信されるデータの真正性を担保する電子的な認証基盤というものを、全国の学校や行政機関を活用できるように整備をしていくということを書かせていただいております。その上で、必要となる認証基盤としてこれまでもご説明していますとおり、GビズIDとマイナンバーカード、公的個人認証の活用ということを案として書かせていただいております。そして、導入に向けた工程イメージとして、現時点での整理を記載しております。今後の検討の進め方として、今後、調査研究等を行って進めていく旨、これまでの経緯と併せて記載をさせていただいております。最後に、調査研究・実証事業等で検証すべき事項として、主に4章に記載がある内容について取りまとめているところでございます。以上取りまとめ資料、概要版のご説明ということで、私から以上とさせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
藤村座長:
ご説明ありがとうございました。それでは、これより意見交換としたいと思います。ご発言のある方は挙手機能でお知らせください。私より指名させていただきます。いかがでしょうか。池田委員、お願いいたします。
池田委員:
ありがとうございます。戸田市の池田でございます。意見というか、取りまとめを受けて、案を受けて、私の方から、気づいたことを申し上げます。まず、取りまとめ、大変ありがとうございました。3点ほど申し上げます。
まず、スケジュールについてです。こちら、自治体を跨ぐということ、相手もデジタルに対応していないと連携を入れられないということですので全国で使うことになる目標の年度を設定すべきということは前回も申し上げておりました。今回モデルスケジュール、図の中ではですね、R16までに全国実施みたいなことが書かれておるのですけれども、本文には記載がないようです。図2について本文と整合的に調整するべきか、それともR16年というものを採用するのか、それとも今後の調査研究を基に決めるのか、みたいなところをもう少し明確に書いていただく。この図があることによって、この図が独り歩きしないかなというのが少し不安であります。また、目標年度、全国でいつから全員が使うっていう年度については、やはり定める必要があると思いますので、そのあたり、もう少し明確に書いていただいた方が良いかなというふうに思います。
もう1点が、現場での運用ルール等の実際の運用についてなんですけれども。今回の取りまとめでは、現状の分析というか、具体的に乗り越えなければならないこと、やらなきゃいけないことについて、まだ、ふわっとしているということを感じております。プロジェクト全体のWBSというか、タスク的なところの整理を、調査研究を通じて行ってほしいなというふうに思っております。また、その精緻化、解像度を上げていくというところにおきましては、実証事業、技術実証の場合は補助事業というか、そういう形での募集でもいいと思うのですけども、その運用のルールをどうしていくかみたいなところについてはですね、やっぱり補助事業でやると、先進的なところばかりが手を挙げがち、補助金あるからやってみようっていうところはかなり少ない、少ないというか、限られた自治体かなというふうに思いますので、そういった運用についての実証なりヒアリングを行う際には、自治体の規模とかスタンス、DXに前向きなところ、そこまで前向きじゃなくて、周りを見てから動くところ、みたいなところのバリエーションを持たせてやっていってほしいなというふうに思います。
最後に、この取りまとめの最後の方で、4-2-3で、制度面での対応の必要性というところ、書いていただいております。特にとても素晴らしいなというふうに思って読ませていただいていたのですけれども、特に公簿のデジタル化とかについてはですね、紙でのやり取りが、PDFファイルのやりとり、それの電子署名がつくということではなくて、公簿の各事項の情報がデータとして送受信されるようなことになるというふうに思いますので、実際その公簿のあり方みたいなところも若干関わってくるかなというふうに思います。出力様式とか帳票形式にとらわれたシステム・アーキテクチャの開発にならないように、この本当に大元の制度面等でもデジタル庁と文部科学省しっかり協調して取り組んでいただきたいなというふうに思っております。以上、3点になります。
藤村座長:
ありがとうございました。いくつか関連して伺ってから、まとめて回答していただこうと思いますけれども、今のスケジュール部分は、おそらく他省庁とも整合、調整を図らなければならない部分があるのでしょうけど、明示することは極めて重要だということは同じ認識でございます。また調査対象とする自治体については、おっしゃるとおりで、非常に大きな差があります。そこはまさに配慮するべきだろうなと私も思いました。その他の点もそうだなと思って聞いておりました。では、他にご意見ある方いらっしゃいませんでしょうか。それでは富士榮委員、お願いいたします。
富士榮委員:
はい、富士榮でございます。よろしくお願いいたします。取りまとめ非常にありがとうございます。綺麗にまとまっているなと思いながら資料を眺めておりました。少しテクニカルな観点から3、4点ばかりですね、ご質問、確認させていただこうと思います。1つ目が4-1-1(2)のところ。この部分で書いている、実装の技術的なオプションはというあたりですね。こちらについて少し、正確に記載をしていただく方が分かりやすいかなと思いました。1つが電子署名というところと、電子シールというところが、オプションとしてのっているのですけれども。一般的に言って、電子署名っていうのは、個人の意思表明を目的としたものというふうに扱われるものなので、今回のデータの改ざん云々という話というよりも、校長が決裁をしたというところに関わってくるものなのかなと思います。逆に言いますと、電子シールの部分ですね。こちら組織が発行した電子文書の信頼性を証明するという部分なので、まさにこちらの方が後半に関わってくる部分なのかなと思いましたので、並列と言いますか、少し目的が違うものとしてご記入いただいた方がより正確ではないかと、ちょっと細かい点で申し訳ないのですけど、お話しさせていただきました。次が4-1-5のところになります。マイナンバーカードのところですね。こちらプラスチックカードのお話を念頭に書かれているのかなというふうに思いましたけれども、いわゆるスマホ搭載ですね、カード代替電磁的記録についてですね、今後やっぱり普及進んでいくと思いますし、今回のロードマップのタイムスケジュールを見ても、それを念頭に少し記載があるといいのかなと思いましたので、そちらに対する考慮というものが書かれているといいかなというふうに思いました。あと、パワーポイントの方の最後のページになりますが、GビズID活用に向けた留意事項というふうに書かれているところで、1つがID管理のルールと「ビズ」という名称という、この2つにフォーカスして書いていただいているのですけれども、本文の方で挙げられている中で言うと、名前もちろん大事ではあるのですけれども、名前の話にフォーカスして何か議論が記載されたというよりも、IAL・AALのリスクレベルについて、結構本文の方では記載されている内容も多いかなと思ったので、検討すべき事項としては、名前の話よりも、もしスペースが許せばリスクレベルの分析をして、それに合ったアシュアランスレベルを提供していくことができるかどうかっていうところを取りまとめのパワーポイントの方に書いていただくのが適切なのではないかなというふうに思いました。以上3点、私からのコメントでした。
藤村座長:
ありがとうございました。非常に的確なご指摘かと思いますので、その辺ぜひ、反映の方お願いしたいと思います。ありがとうございました。あと、他の委員、いかがでございましょうか。小﨑委員、お願いいたします。
小﨑座長代理:
よろしくお願いいたします。先の委員お2人の話は全く同意する内容ばかりです。工程表のことは、ここがゴールということを示しておいた方がいいと思います。さらに途中の段階が見えるような形で示しておくと進める側にとってはとても助かることだと思っていますので、どうぞゴールが明確になるようによろしくお願いします。自治体側で実際にこういう物事を動かしていこうとした時に、こうやったらいいとか、こういうことが大事だということは分かったとしても、自治体の中に窓口とか組織があるところはいいですが、そのような担当がないところは、どこが担当するのかみたいな話になってしまい、進みが悪くなるとか、説明できずに予算が取れないということに陥りがちなので、このようにしたらうまくいくよというモデルがすごく大事だと思っています。自治体側にこんな組織があって、こういうことを取り組むことができれば成果が出ましたよ、という好事例が推進力になると思いますので、もし本文の中とかに書き込むときには、窓口とか組織としては、例えばこんなことが考えられますよねとか、それこそ、戸田市さんのようにこういう組織があって、こういうことで担当していますっていう、何か受け側の仕組みみたいなものも明示できるのであればいいのかなと思ったのが1つです。もう1つは、IDのことはマイナンバーという言葉がチラチラと見え隠れしているのですが、学校側とか教育委員会側は、便利と安心、この2つのキーワードでいろんなことを考えていくと思います。ですから、先ほどの、転校、指導要録の交換っていうことだけに絞って考えてみても、やっぱり打ったことを紙で打ち出して、点検して、入力して、紙で渡してというルーチンを、データとデータでやり取りしたらいいよねっていうことはもう分かっているわけなので、まさにそれは、こういうことをすれば実現できますっていう、やはり具体的な例示っていうのをいくつか挙げて、整理ができたらいいかなと。その時には便利になった、まあ簡略化されたっていうことと、安全安心になって確実ですよねっていうことが、もしできるようになればいいかなというふうに思いました。
さらに提案としては2つありまして、1つ目は実証を進めていくときに、複数の自治体を組ますのはどうかと思っています。先ほど池田委員が言っていたみたいに、座長も常におっしゃっていますけど、進んでいるところと、進んでないところ、できそうなところ、できないところとかいう。そこがあって、どっちかが何をやっているっていうことではなくて、そういうところがあるからこそ、組んだらいいような気がしています。文部科学省の校務デジタル化の推進の時などは、例えば奈良県と群馬県が組みなさい、とか、複数の自治体で組んだ状態で、それぞれの違いや良さっていうことを活かしながらものを進めることによって、お互いが進むとか、理解が深まったっていうことになったという経験をしていますので、複数の自治体を組ませることができるような仕組みがあれば、池田委員のおっしゃっていたようなことなんかも解決していくのではないかなと思いました。2つ目は、実証していくにあたって、課題がいくつかこうやって整理されて出てきているので、どこどこの自治体も皆さんこういう課題があるから好きにやってくださいじゃなくて、課題ごとに何かテーマを決めて絞って、いろんなことを取り組んでほしいのだけれど、ここのチームはこの課題についてやって、一つ形をまとめませんか、みたいなテーマを絞った実証ができればいいのかなと。例えば文字コードの話のことを徹底して、外字の問題とかっていうところを核において進む自治体もあれば、実際、学齢簿から読み込んできてという、自治体側とのやりとりに特化するところもあれば、学校同士のやりとりっていうことに特化するチームもあればとか。そういうことを進めようとしたらそれぞれ認証基盤っていうのが共通で役立ちますっていうことが整理できれば、常に座長がおっしゃっているような、全体を俯瞰したような中での教育の質の向上につながっていくのではないかなっていうのは感じています。以上です。
藤村座長:
ありがとうございました。極めて重要なご指摘だと思います。特に最後お話しいただいたように基礎自治体の中には、この報告書を読んでもさっぱり分からないという、自治体はそういうところもございますので、ぜひぜひそこはご配慮いただきたいと思います。さらに1つ付け加えて言うと、実は都道府県教育委員会ですとか、それから首長部局の情報政策課等の支援を受けることを推奨するようなことがないと、おそらくこれは小さな基礎自治体レベルでは実現しないのだろうなということを一つ感じています。それともう1つ、小﨑委員の奈良県などは、非常にうまくやっていただいて、県域共同調達で、校務DXで同一システム導入しましたが、いまだバラバラだったり、せっかく同一のものを入れても離脱していったりするようなところもございますので、そういった都道府県教育委員会の関与を推奨する、共同での調達を推奨することもぜひぜひ触れていただくといいのかなというふうに思いながら聞いておりました。ありがとうございます。マイナンバーのことも触れていただきまして、ありがとうございます。ここで座長として心配していることをついでに触れさせていただくと、市民の皆様とか保護者の皆様の中には、マイナンバーに極めて強い不安感をお持ちの方がいらっしゃいますので、あくまでもマイナンバーカードを活用した認証であって、マイナンバーそのものではないっていうことを、図やビジュアルでも素人でも分かるような、誤解を避けるようなことをしていただくと、安心かなとも思いながら聞いておりました。小﨑先生、ありがとうございました。それでは石坂委員、お願いいたします。
石坂委員:
はい、石坂でございます。皆さん、ありがとうございます。今回の取りまとめ、背景や必要性の説明、あるいは方向性ですとか、具体的な進め方の記載など、特に異論はありません。この短い期間の中で、ヒアリングですとか、委員との事前のすり合わせですとか、丁寧に意見を吸い上げて、まとめていただいて感謝しております。感想のようになってしまいますが、狭い範囲の改善とか部分最適は各所でいろいろな形で行われておりますが、今回のテーマになっているような基礎的な整備、基盤整備が進められることは極めて重要で、それが全体の効率や信頼性を上げていくことになるのだと理解しております。そういう意味で価値のある話だと理解しております。
3つの実装パターンのメリットデメリットの比較を分かりやすくまとめていただいていると感じているのですが、他国、例えば韓国や台湾は、私も先日台湾を見てきましたけれども、一意の教育向けの共通IDの配布と活用がベースになっています。で、現場からはこの考え方って認識しやすいのだろうと思います。他方で、他分野とか全体の連携を考えることは重要です。例えば、エストニアはもう最初から全体を考えてやっているわけなのですけれども、そのために世界で最も効率的と言われている電子政府が構築されていると理解しています。コロナ禍の前に藤村先生ともご一緒させていただいて、エストニアを見てまいりました。エストニアはeIDと言われる国民IDを出生時に自動的に割り当てて、それをもうありとあらゆる国民生活に活用して、ものすごく効率的にやっているわけです。今回は認証がベースになっています。そうであれば、富士榮委員から先ほどご指摘ございましたけれども、エストニアは認証はカードだけじゃなくて、既にSIMカードですとか、携帯のソフトウェアでやるとか、新しいやり方も既にかなり進んで普及しています。日本もそういうこともちゃんと視野に入れながら動くべきだというのが1点思ったところでございます。それから、エストニア見ていても思うのですけど、これ全員が使えるのですよね。一部の人が使えて、一部の人が使えないっていうと、いろんなことを考えなきゃいけないので。今回の取りまとめでも、マイナンバーカードを持っていない人の対応って、それを考えるだけでいろいろ大変なので、本当は一律に進められるといいのですけど、ここはなかなか難しく、どう進めるかというところです。少なくともこの取りまとめの3-4実現方法にも記載していただいておりますけれども、以前の議論でもありましたネットワーク効果は必ずありますので、全員一律ってわけにはいかなくても全国でスピード感を持って実装することで、進んでいく部分が大きいのではないかなというふうに思っています。それからこの実装パターンなのですけど、実は(2)のパターンっていうのが技術で信頼性を担保するっていう考え方、DIDのようなことですね。既に取りまとめにも書いていただいておりますけれども、DIDのような技術の検討も並行して進めるべきと改めて申し添えたいと思います。
それから、今回の取りまとめにトラストフレームワークという言葉が入っていることは非常に重要で、ありがたく思っています。大学や研究機関では認証やサービスの共同利用が以前から進んでいます。あるいは国内だけじゃなく海外の大学行ってもすぐwi-fiが使えるみたいな便利なことが実現しているのは、NIIさん中心に運営されている学認、学術認証フェデレーションという連合体の貢献なわけです。ここでは参加者みんなが、ステークホルダーが、お互いに信頼することで、仕組み全体を担保しましょうというトラストフレームワークの考え方がベースになっています。どうしてもこういう国の事業というと、国、お上が決めたことを自治体や学校、個人が従うっていう意識になりがちなのですけれども、実はトラスト、お互いが信用することで、こういう仕組みは動いていくわけで、そういう意識が持てることが本当は理想です。なかなか理想論だけでは進んでいかないのですけれども、そういう意識がにじみ出るような、検討や運営ができることが、望ましいかなと思っております。すいません、感想のようなものになってしまいましたが私からは以上です。
藤村座長:
ありがとうございました。今のトラストフレームワークのお話とか、非常に深いお話いただいたと思いますし、to beとしてやはりエストニアのようなパターンが望ましいというのは、全くそのとおりだなというふうに思うのですが、日本の国民性として非常にデジタルへの不安感を持っていらっしゃる市民、保護者が約10%ほどいると言われており、電子化そのものに反対するっていう層もいらっしゃいますので、丁寧に理解を求めながら、to beに近づけるように進めていきたいなと思いながら聞いておりました。ありがとうございました。それでは石井委員、お願いいたします。
石井委員:
はい、ありがとうございます。取りまとめの方大変お疲れ様です。私の方からは、主に個人情報関係で確認とコメントさせていただければと思います。4-1-3の個人情報やプライバシー保護のところ、まだ修正の余地があるということで、もう少しご検討されるのだと思います。内容については大きな反対があるわけではありません。確認させていただきたい点は、(1)組織起点のデータ連携のところで拡張の可能性があると記載がありまして、これ自体に特段異論はないのですが、教育活動や教育行政の目的遂行のために連携することが望ましいのではないかと思いました。アレルギー情報や特別な教育支援に関する情報等はもちろん必要だと思いますが、教育行政の目的遂行といった時に、どの辺までが教育行政に含まれるのかという範囲の問題について、もう少し書き下していただいた方がいいのではないかという印象があります。板倉先生から、こどもデータ連携の話は別枠で考えるべきだというようなご指摘があって、私もそれに賛同するところであります。別枠で考えるべきものと、今後の拡張の中で検討していくべきものがあるのではないか。その辺の切り分けが気になりました。データの保存期間についてご質問させていただいた回があったと思うのですが、そのあたりは取りまとめの中で反映されているのか、私が見落としていたら、ご指摘いただければと思いました。それから、データポータビリティは、個人の権利としてGDPRに定められているというところから、議論が広がってきていると思いますし、そうしたことを踏まえると、ポータビリティによって誰にメリットが還元されるのかというと、やはり本人にメリットが還元されるべきという考え方が示されているといいのではないかと思いました。私からは以上になります。
藤村座長:
ありがとうございました。ここで事務局側からも確認しておかなければならないところあるかと思いますので、一旦事務局からここまでのご意見についてコメントがありましたら、お願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
久芳企画官:
はい、ありがとうございます。様々なご意見いただきました。まず、池田委員の方よりスケジュールについてご指摘をいただいたところでございます。まず本文と表の平仄、並びという点は、しっかりと対応いたします。また、調査研究で精査するのか、それともこういう年限でやっていくのかというところに関しましては、この後、改めてしっかりと表現を検討したいと思っております。先ほど座長の方からもご指摘いただきましたけれども、最も関心が集まりやすいところでございますので、丁寧な表現にしなければ、逆に混乱を生んでしまうということもあるかと思いますので、工夫してまいりたいと思います。また、富士榮委員の方よりマイナンバーカードについてご指摘をいただきました。次期マイナンバーカードの導入に関しての検討もデジタル庁で昨年度進めておりましたし、スマホ搭載も行われていたりということで、マイナンバーカード自体がどういうふうに変わっていくのかも、当然想定の範囲として考えていかなくてはいけないと思っておりましたけれども、報告書の方にもその旨を明示したいと思います。その他のご指摘としては、実装の技術的オプションに関して、ご指摘の修正をさせていただけたらと思いますし、GビズIDのところにつきまして、概要の一番最後のページで、リスクレベル、アシュアランスレベルについて触れるべきではないかというところ、まさにおっしゃるとおりだと認識しておりますので追記させていただきたいと思います。続きまして、小﨑座長代理の方から工程表に関してご指摘いただいたところは、先ほど池田委員のご指摘と同じ趣旨と認識しております。また、具体的に自治体の方々に便利さが見えるようにしていくために、何かしらの表現、図などを例示したらいいのではないかというところに関しましては、検討をしてみたいと思います。我々も常々、デジタルというものは目に見えないものでございますので、具体でちゃんと説明をしていかないと伝わらないということ認識しておりますが、どこまでできるのかは、表現力のところも出てきますので、ここは検討させていただけたらと思っております。また、実際の調査研究、技術実証の在り方についてのご指摘をいただきました。今後の技術実証にご指摘を活かしてまいりたいと思いますし、報告書にも何かしらの記載を残しておくことによって、代々の担当者への引継書というような形にもなっていくと思いますので、反映したいと思っております。続きまして、石坂委員の方からのご指摘につきましては、おそらく今までご回答で対応できているかと思います。最後に、石井委員より、ご指摘いただきました教育行政の目的遂行というところについて書き下した方がいいのではないかというところに関して、おっしゃるとおりかなと認識いたしました。地方教育行政法に、教育委員会の所掌事務が記載されていますが、抽象的・網羅的に書かれているため、法令に熟達していない方には具体的なイメージがわきにくい。イメージがわかないとなると、漠然とした不安を感じ始めるということは事実だと思いますので、検討させていただけたらなと思っております。またデータの保存期間につきましても、この場で何年という形で決められる話ではございませんけれども、こういうような課題があるというところについて、最後の留意事項のところに記載をしていきたいと思っております。事務局からは以上でございます。
藤村座長:
ご回答ありがとうございました。それではまた審議の方に移りたいと思います。では、板倉委員お願いいたします。
板倉委員:
石井先生から今ご指摘があった点は、事務局からご対応があるということですので、それでいいと思います。要するに、成績とか授業に使うという話とは違うということであれば、それはやっぱり明確にしておいた方が良いです。一般的に興味を持たれるところはそういうところであろうと思いますが、とりあえずは今回の範囲がそことつながるというのはもう二段階ぐらい先の話です。ここでいう教育行政というのは、事務ですよね。事務周りで、生徒さんの成績周り以外の管理の意味かと思いますが、そのような明確化は、書いていただくということで、今応答がありましたので、よろしいのかなと思います。1つ気になったのは、途中で首長部局にも助けてもらいましょうという話があり、それは現実、そのとおりだと思いますが、個人情報保護法的には行政機関等としては、首長と教育委員会は一応別になっております。助けてもらうのは全然構わないのですが、何かこういうふうな取り決めで助けてもらうみたいな雛形を用意してあげた方がいいのかもしれません。実はデジタル庁も国のレベルで他の行政機関等に対して、様々なサービスを展開しているわけでありますが、同じように教育委員会に対しても、首長部局が、一種の委託になると思いますが、お手伝いをするということであれば、それははっきり書いた方がいいと思います。首長部局と合わせて情シスが一人でどうしても助けざるを得ないということであれば、形式的には首長部局が教育委員会及び学校の委託を受けて手伝っているのだと、きちんと書面に書いて定義するのだ、と。それは各自治体で何か工夫するような話でもないので、うまく書いたものを用意して、それに従ってきちんと、デマケはデマケ、お手伝いはお手伝いという形でやっていただくといいかなと思います。持って回った言い方になりましたが、以上です。
藤村座長:
ありがとうございました。ごもっともだと思います。明確にしていただきました。ありがとうございました。では、続いて和泉委員お願いいたします。
和泉委員:
はい、和泉でございます。改めまして、まずは事務局の皆様、取りまとめ、お疲れ様でございました。とても良い取りまとめだと思います。中身に関してではないのですが、事前にコメントした部分に関して、しっかり読めば書いているものの、先ほどの議論に対応させて、私のコメントを、他の委員の方にも共有しておいた方がいいと思い、コメント差し上げます。というのは、概要資料の1枚あるいは2枚目、デジタル化において顕在している課題。これは今も今日的な組織では、パソコン等々のITシステムで業務をするということが不可欠であるにもかかわらず、情報が紙で行ったり来たりしているという課題、あるいはその情報を組織横断で利用するときに電子化している学校としてない学校の間では紙に一度落とさないといけない課題。要するに徹底されていないことで、顕在化する課題であります。従って、今日的には、その業務は紙で進むのに、電子化を要求されたから業務量が増えるのであると、誤解されることのないように。改めて申し上げると、データでの処理がもう不可欠な時代、言い換えると、紙不要で業務がデータでつながる時代、あるいはそういう方向に持っていこうとしているのに、ある未整備の特定の組織によって、先行している組織が足を引っ張られる、あるいは非効率になる、あるいは投資の効果が得られない、ということがないようにということがポイントだと思います。で、その際に組織ごとに投資力等々、あるいは予算力等々のばらつきがあるので、これは政府と自治体あるいは教育委員会等々で役割分担して、社会的なコスト最小を目指していきましょうというのが目標、ポイントであって、電子化するかしないかを判断する、それを実証で検討しますというのは、間違いではないかと思います。そういう意味では、実証していただく項目としては、電子化によるメリットと、あるいは電子化してない組織の移行のコストをどう調整するのかっていうことがポイントでしょう。そういう意味では、規模の違う自治体を実証に巻き込んでいただきたいというのは、これは大きな組織で電子化が不可欠なのに、紙が混在することによってどれくらいの負担がやっぱり残るのかですね。あるいは、電子化による政治的なベストプラクティス、あるいは同意の取り方とか、いちいち同意取るのではなくて、ここの学校は包括同意をとっていて、非常に保護者等々とのコミュニケーションが円滑であるとか、いい事例を共有するための実証であるべきです。あくまでもこの実証は社会的コストを最小にするためにどういうタイミングで揃えるべきか、どういう移行コストが組織の大きいところではどれぐらいかかり、組織の小さいところではどれぐらいかかる、というような。あくまでも実証のポイントをしっかり明確にしてもらうことが重要だと思いました。これが2つ目。次に、3つ目、文字コードに関して。これだけは少しだけ細かいことを申し上げておくと、経済産業省所管の独法、あるいはデジタル庁との共管の独法、IPAというところにIPAmj明朝という文字のグリフが提供されていて、住基ネット統一文字と戸籍統一文字のすべてのグリフがカバーされています。これによって結果的に残る課題は何かというと、ある学校ではSJISでの外字領域の指定、あるいは文字の指摘のされ方がどのフィールドに定義しています、あるいは、うち(別の組織)はUnicodeを使っているのだけども外字領域の指定にはルールがありません、みたいな。要するに、組織を横断する時の業務の連携の課題であって、文字コードに外字がありました、ありません、という課題では既にないのです、技術的には。なので、実証の論点は具体的にしてもらうのが良いと思いました。余談なのですけれども、3-4の最後に、そういうことを支えるためのデジタル基盤に関しては、利用者が多い方がいいと書いているのですけど、これは間違いで、利用者多いに越したことはないのでが、混在してない方が良い、かつ母体が大きい方が効率性のメリットが大きいということなのです。ここの本当のポイントは、課題が出た時のフィードバックを早く回せる体制がしっかりあることがポイントで、自治体任せ、あるいは教育委員会任せにされてないか、という、しっかり運用の体制が整っていることっていうのが前提だと思います。そういう意味で付加してもらうのがいいのではというのが、私からの補足のコメントであります。
藤村座長:
ありがとうございました。大変シャープなご指摘で、ごもっともだなと思って聞いておりました。それでは続きまして、仲林委員、お願いいたします。
仲林委員:
はい、どうも取りまとめお疲れ様でございました。非常に読み応えのある資料になっています。先ほど石坂先生からもネットワーク効果の話が出て、細かい表現上の話なのですけれども、この報告書の中に何箇所か、利用者が増えるほど価値が増すという話が出てきます。3-3の実現のための実装スケジュールの3点目。それから今ご指摘のあった3-4の下線部の引いてあるところですね。それから実際に実装の話の4-1-6ですかね、事業者の実装支援でデータの提供元と提供先において実装されることで価値が発揮される。いずれもネットワーク効果のことを言っていると思うのですがちょっとずつ書き方が違っていて、丁寧に読むと意味が分かると思いますが。これらはいずれも一番最初に出ているユースケース図の組織間の連携のことをまさに言っていて、お互いがいないと意味がないということを言っていると思います。ですから、そのことを、ネットワーク効果という言葉が、あるいはネットワーク外部性という言葉が、一般の方にどれくらい通じるかどうかよく分からないのですけれども、全体で言葉を統一して、ネットワーク効果によって価値が増すということをそれぞれのところに入れておくと、ユースケースのこの組織間のことを言っているんだなっていうことが、分かりやすいんじゃないかなと思いました。以上でございます。
藤村座長:
ありがとうございました。貴重なご指摘、ありがとうございます。そこはしっかりと関連をさせていただければと思います。以上をもちまして、すべての委員からご発言いただいたわけですけれども、補足でさらにご意見のある方、いらっしゃいませんでしょうか。よろしいですか。では、ここまでのところでいただいたご意見に対して、事務局からコメントございますでしょうか。
久芳企画官:
はい。事務局でございます。ありがとうございます。まず、板倉先生の方からご指摘ございました首長部局のサポートの件でございますけれども、まさに現場でやるとすれば、地方自治法上の補助執行を使っていくものかと思っております。そういう形の対応を取れば、別の執行機関の者が委託を受けて手伝っているという位置付けになりますので、このようなグッドプラクティスを一つ一つちゃんと見せていくというところを、実証の中でも考えていかなくてはいけないものだというふうに、ご指摘いただいて考えていたところでございます。続きまして、和泉委員の方よりご指摘いただいたところに関しまして、まず文章の中で表現を修正すべきところを直していきたいと思っております。我々の解像度が完全に上がっていなかったというところに関しては、反省をしているところでございまして、ご指摘いただいたところを踏まえて、丁寧な文章に切り替えていきたいと思っております。また、仲林委員の方からもご指摘いただきました、ネットワーク効果ないしネットワーク外部性のところについて、記載が微妙に違っているというところにつきましては、まさにおっしゃるとおりでございまして、本来であれば、行政機関というのはそこに長けておかなくてはいけないところであり、反省しているところでございます。修正を図りたいと思います。ありがとうございます。
藤村座長:
どうもありがとうございました。では特に追加でのご発言ありませんか。よろしいですか。それでは、今回ご議論いただいた内容を踏まえて、最終調整を行った上で、本検討会の取りまとめとして公開するというふうになっていくかと思います。大まかな合意はいただけている状況ですので、最終調整の作業については、座長一任ということで、皆様よろしいでしょうか。ご異論ある方いらっしゃいますか。
(異論無し)
藤村座長:
異論無しとのことで、最終調整は私の責任の下、事務局と実施していきます。ありがとうございます。では村上統括官より挙手いただいているので、お願いいたします。
村上統括官:
僕は基本的に感謝の言葉をということで、お時間いただきます。まずはここまで皆さん大変建設的にご議論、協力いただきまして本当にありがとうございます。何人かの委員の方から全体最適っていう言葉が出ましたけれども、まさに今回、都道府県の枠組みを越えて、全体最適の観点から、必要な方向性について明確なメッセージを出すことができたと思っております。これも皆さん、正直に申し上げますが、細かい話に下りれば下りるほど、いろいろな異論や見解があることはよくよく承知をしておりますが、まずは今回ここに記載したことについて、しっかりとした同じ歩調、同じ方向性を打ち出すということが、まさに全体最適のためにも、全体最適、目指すべきto beからバックキャストして物事を考えるという意味でも、ちょっとこう言うと自画自賛に過ぎますが、金字塔になるようなメッセージを文部科学省と一緒に作ることができたのじゃないかと。これもひとえに先生方、皆さんがその思いをおそらく共有してくださってですね、細かいところを捨象して、まずはこういうメッセージを出そうというところにご協力をいただいたおかげだというふうに思っております。本当に感謝申し上げます。その上でなんですけれども、2つお願いがございます。今回の報告書案は、まだまだ難しゅうございますけれども、おそらく4年後か何年後か分かりませんが、学校の校長先生や副校長先生、担当の先生が、なんでこんな話になったのだっけっていうことを勉強しようと思った時に読んでいただけるということを事務局では目指して書きました。まだまだ難しい表現も多々ございますけれども、本当に実装する瞬間には、認証というものがどうして必要になったのだっけとかいうことを、まあギリギリこれくらいのレベルは読んでご理解をいただけるとありがたいなというふうに思って作成した次第です。そういうふうに、後世、読み物になるようにということも意識して、少なくとも4ポツ除いて、3ポツのところまではですね、案文を作ってございます。ぜひ委員の皆さんにおかれてもですね、差し支えなければ、積極的にこの報告書を引用していただいてですね、皆さんとシェアできる部分について、こういう方向性だとか、こうだよとか、もうとにかく全国一律に入れていくとき、ワンボイスで伝えていくことが重要だと思いますので、ぜひいろんな形で、対外的発信の際にご活用をいただければというのが、1つ目のお願いでございます。2つ目のお願いでございます。本日もたくさん議論いただきましたし、まさに今年の調査研究の中で実は決めなければいけない、詰めなければいけないことがものすごくたくさんあります。GビズID使うよっていうのはいいが、名前の問題だけではなく、アカウントを振り出すときに、誰にどうやって払い出すのだとか、こういうケースどうするんだとか、ああいうケースどうするんだとか。引き続きそこは全く忌憚なく、我々の方に、これどうなっているのだ、あれどうなっているのだと、引き続き注文をつけていただければというふうに思います。これは大丈夫か、あれは大丈夫かということをどんどんご指導をいただければというふうに思います。中でもですね、4ステップ、調査研究、技術実証、実装実証、先行導入、本格導入という段階が整理されておりますが、そう書いただけでは、絵に描いた餅であり、全国導入に綺麗にたどり着かなくて、先行導入から全国展開まで含めて、例えば校務DX周りの動きとうまく掛け合わせるような部分を作るであるとか、何がしか導入戦術みたいなこともですね、今後やりながら考えていかないと、単にカレンダーにそう書きましたというだけでは、離島の小学校での導入まではたどり着かないだろうっていうのが自分の思いでございます。その時の担当者が困るようなことがあってはいけないと思っておりまして、その辺の導入戦略も含めてですね、今回足らざる部分について、引き続き我々を向いては厳しくご指導いただければと思います。長くなりました、いずれにせよ、この短期間でこれをまとめることができたのは、本当に皆さんの思い、ある種の危機感が検討会全体で共有できたことが、ここまでたどり着けた要因だと思います。しっかりと実装スケジュールに載せていくのが、デジタル庁であり、文部科学省であり、各省庁の仕事だと心得ておりますので引き続きご指導賜れればと思います。以上です。本当にどうもありがとうございました。
藤村座長:
大変心強いお言葉、ありがとうございました。それでは最後ということで、私からも一言ご挨拶申し上げます。全体最適に向けて非常に教育分野で欠けていたのが、この共通認証基盤っていう部分です。要するにプラットフォームとして欠けていた部分、それと真正性の担保。それについてここの検討会では教育分野の方、それからシステム系の方、そして個人情報保護、法律面の方と、皆さんのお力を借りて検討することができたこと、大変嬉しく思っております。ここから先について実は私としてはですね、いくつかの方向に向けてお願いがございます。一つは学校教育の現場である、教育委員会ですとか学校ですとかに対してご理解を図るのは、取りまとめの文言は、そのとおりで結構なのですけれども、実は概要版が現場に向けては分かりやすく図式化されていくのだろうと思いますので、そこは誤解を招いたことがないような形で、なおかつ分かりやすく整理することをお願いしたいと思います。また、今回の検討の場が、私はデジタル庁で良かったと思っています。と言いますのは、この教育分野のデジタル化は、デジタル庁はもちろんのこと、文部科学省、総務省、経済産業省等の関係省庁で進めてございますので、それを横断的に調整できるのは、やはりデジタル庁なのだろうなと思っていた次第です。その時にお願いしたいのは、この取りまとめ案のことを実現していくためには、各省庁で事業化していただく必要があるかと思います。先ほどの実証事業もそうですし、それから校務DXとの連携とか、学習系との連携とかもございますので、そこについてはうまく各省で分担しながら、なおかつ連携しながら、強力に予算も取りながら、推進していただけますよう、お願いしたいと思います。最後に委員の皆様には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。こういうものが動き出したということは、先ほど村上統括官からもお話があったように、広く認知していただく必要があるかと思っています。ここにいる皆さんは各分野のトップレベルの方ですので、そこから周知していただきながら、教育行政のみならず、各事業者さんに対しても、誤解のないように伝えていただき、この雰囲気、気運を盛り上げていただければ幸いです。そのことを最後にお願いいたしまして、私からの挨拶とさせていただきます。皆さん、本当にこれまでどうも精力的なご議論ありがとうございました。また、事務局の皆さん、素晴らしい取りまとめありがとうございました。心から御礼申し上げます。それでは以上をもちまして、教育分野の認証基盤の在り方に関する検討会は閉会といたします。誠にありがとうございました。