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電子委任状法施行状況検討会(第1回)

電子委任状の普及の促進に関する法律(平成29年法律第64号)について、施行後5年が経過したことから、同法附則第4条の規定に基づき、施行状況の点検及び今後の方向性の検討を行うため、電子委任状法施行状況検討会を開催します。

概要

  • 日時:令和5年8月16日(水)10時00分から12時00分まで
  • 場所:オンライン
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 検討会の進め方について
    3. 座長の互選
    4. 議事
      1. 電子委任状法の概要について
      2. 電子委任状法の施行状況について
      3. 次回以降の進め方について
    5. 閉会

開催案内

資料

参考資料

関連政策

議事録

日時

令和5年8月16日(水) 10時00分から11時45分まで

場所

オンライン開催

出席者

  • 上原哲太郎 (立命館大学情報理工学部教授)
  • 濱口総志 (慶應義塾大学SFC研究所上席所員)
  • 宮内宏 (宮内・水町IT法律事務所、弁護士)
  • 山口利恵 (東京大学大学院情報理工学系研究科准教授)
  • 板倉景子 (株式会社メドレー コーポレートデザイン部Head of Security)
  • 笠井玲子 (株式会社ローソンインキュベーションカンパニー オープン・イノベーションセンター兼デジタルソリューション推進部マネジャー)

議事録

デジタル庁 當波: それでは定刻になりましたので、ただ今より電子委任状法施行状況検討会の第1回を開始いたします。みなさま、本日はお忙しいところお時間いただきまして、大変ありがとうございます。私は事務局を務めますデジタル庁の當波と申します。よろしくお願いいたします。
早速ではございますが、本検討会の開催にあたりまして、事務局を代表しましてデジタル庁デジタル社会共通機能グループ、グループ長の楠よりご挨拶を申し上げます。よろしくお願いいたします。

デジタル庁 楠: よろしくお願いします。楠と申します。
委員の皆様におかれましては、お忙しいなか本検討会にお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。本検討会の開催にあたりまして、事務局を代表してご挨拶をさせていただければと考えております。すみません、ちょっと移動中でございまして、車の中からなので若干うるさいですけれども、申し訳ございません。
本検討会についてですけれども、平成30年の1月に施行されました電子委任状の普及の促進に関する法律につきまして、本年1月をもって施行から5年が経過したことから、附則第4条の規定に基づいて、施行状況の点検や今後の方向性の検討を実施するために開催するものでございます。
ご承知の通り、電子委任状法は、法人の代表者等が社員や税理士等に自分に代わって手続を行う代理権を与えた旨、手続を代わりに行う権限がある旨を、技術的、制度的手段によりまして、その内容の信頼を確保した上で、契約の相手方に提示することによって、今まで紙の委任状への押印等によって実現をされてきた手続をデジタル化して、業務の効率化、デジタルファーストに資するためにこの立法の措置が行われたものでございます。
本検討会においては、法律の施行状況の点検だけに留まらず、電子委任状の普及へ向けた課題の整理や今後の方向性の検討として、法人の代表者が行う委任や電子委任状取扱事業者の電子委任状にとらわれず、デジタルにおける委任行為が必要である点、実現すると便利になる点につきまして、幅広い議論を行っていただいた上で、デジタル社会の推進に向けて、この電子委任状の更なる活用の可能性というところを見いだしてまいりたいというふうに考えております。
5年前の検討時と比べますと、マイナンバーカードの普及をはじめとして、状況が大きく変化しているところもございますし、そういった意味においても、普及に向けた課題を改めて整理するということは、重要であるというふうに考えています。
特にコロナ禍において、大分社会のデジタル化、契約をはじめとして大きく進んだところがございますけれども、一方で特に委任ということに関して言うと、法人じゃなくて個人の話になってしまいますけれども、例えば先般のマイナ誤紐付けの問題においても、例えばマイナポイント支援事業等で、やはりいわゆる高齢者の方の代わりの手続を行った際に、ログアウト忘れ等によって誤紐付けが発生したような件もございましたけれども、いかに本人ではなく代理人による手続というものをデジタルの中で円滑にやってゆくということが難しいかというところは、コロナ禍の中でも大変な実感をしているところもございます。
ぜひ委員の皆様におかれましては、忌憚のないご意見をいただきまして、活発な議論をいただければというふうに考えております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

デジタル庁 當波: ありがとうございました。続きまして、本検討会の進め方についてご説明いたします。皆様、資料1の設置要綱をご覧ください。
また傍聴されている皆様におかれましては、本日の資料につきまして、デジタル庁のウェブサイトの方にも掲載を行っておりますので、ご確認いただければと思います。
また、各委員のご紹介につきましては、失礼ながらこちらの設置要綱の配布を以てご紹介に代えさせていただきます。よろしくお願いいたします。
先ほどのご挨拶でも説明がありました通り、本施行状況検討会は平成30年1月に施行されました電子委任状の普及の促進に関する法律につきまして、令和5年1月、今年の1月に施行から5年が経過したことから附則4条の規定に基づきまして、施行状況の点検及び今後の方向性の検討を行うものです。
この検討の内容といたしましては、電子委任状法の施行状況の点検としまして、認定の電子委任状取扱事業者の電子委任状の利用状況、また、国の広報活動等の4条に定める国等の責務について取組状況等を点検する、また、課題の整理や今後の方向性、今後の対応の方向性に関する議論としまして、対応する政府システムをどのように拡充するか、また、一般的な委任、代理行為への適用の可能性等について議論を行い、検討を行います。
また本検討会には、検討会の進行に必要があると認める場合には、委員、事務局以外にも必要な者をオブザーバーとして参加させ、発言、質疑を求めることができます。また、本検討会の資料につきましては、原則として公開をいたします。また、事務局において検討会での皆様の発言をとりまとめました議事録及び議事要旨を、委員の確認を受け作成をいたします。こちらの議事要旨、議事録につきましても原則として公開いたします。ただし、検討会、検討会資料、議事要旨につきまして、企業の情報の保護等によりまして、座長が非公開とすることが望ましいと判断し、あらかじめ委員の了承を得た場合につきましては、この限りでありません。この場合、委員及びオブザーバーにつきましては、本検討会を通じて知り得た企業秘密に関する守秘義務を負うこととなります。また、この設置要綱につきましては必要に応じて見直しを実施いたします。
本検討会の進め方につきまして、ご質問、ご意見がございましたらいただければと思います。
意見が無いようですので、こちらの要綱に従いまして、委員の互選により検討会の座長を決定させていただきたいと思います。事務局といたしましては、上原哲太郎先生を推薦したいと考えておりますが、いかがでしょうか。

(異議なしの声)

デジタル庁 當波: ありがとうございます。では、ご異議ありませんでしたので、本検討会の座長につきましては上原先生にお願いすることとしまして、これ以降の議事進行につきましては上原座長の方にお願いしたいと思います。それでは上原座長お願いいたします。

座長 上原: はい、ただいま座長に推薦いただきました上原です。
この問題ですね、私も研究テーマとしても取り組んでいるんですけれども、いわゆるデジタルの世界の認証について、その委任という考え方をどう組み込むのが美しいのかっていうのは、もともと難しい問題がある所で、これをですね、法的な裏付けがある中でなかなか普及しないというまた別の問題があるのですけれども。この辺をですね、なんとかこの委員会での議論の中で、うまく解きほぐしていければいいかなというふうに思っております。皆様ご協力の方、よろしくお願いいたします。
それではですね、早速議事について始めさせていただきたいと思います。まず議事1について、事務局の方からご説明よろしくお願いいたします。

デジタル庁 當波: はい、それでは資料2、電子委任状法の概要について、こちらの資料に従いまして、事務局より説明を行います。
まず電子委任状法の概要についてご説明いたします。電子委任状法につきましては、法人の代表者等が使用人に代理権を与えた旨を表示する「電子委任状」の普及を促進するための基本的な指針について定めるとともに、法人等の委託を受けて電子委任状を保管し、関係者等に提示等する「電子委任状取扱業務」の認定の制度を設けることにより、電子商取引その他の高度情報通信ネットワークを利用した経済活動の促進を図るといった目的で制定がされております。
電子委任状法の主な規定といたしましては、法の2条に電子委任状といった用語の定義、また3条の方に、主務大臣は電子委任状の普及を促進するための基本的な指針、こちらを策定することを定めております。こちらの基本的な指針につきましては、この後ご説明いたします。
また、法4条の方に、国等の責務として、広報活動や自らが一方の当事者となる電子契約において電子委任状の利用を促進しなさいと、そういったことが定められております。
また、本法の第5条の方には、電子委任状取扱業務の認定制度が設けられております。こちらにつきましても、後でご説明いたします。
電子委任状の機能と必要性に関するスライドとなります。
電子委任状は、この企業の代表者や個人事業主といった委任者が、受任者、代わりに手続を行ってもらう人に、手続を行うための権限を委任、電子委任状を発行し、この受任者、手続きを代わりに行う人は、その委任された権限に基づいて契約の相手方や行政機関に申請手続等を実施します。
また、この契約の相手方については、この委任者より委任されている権限の内容を確認し、手続を実施します。
この電子委任状について、電子署名といった技術的な手段、また本人確認や標準化といったその制度的な手段によって、電子委任状の信頼が確保されているということになっております。
電子委任状取扱業務のイメージとなります。
先ほどの図では、こちらの電子委任状取扱事業者がいない説明でありましたけれども、この電子委任状取扱事業者が、この委任者から委任者の本人であること、また、この委任者本人がこの受任者にその権限を本当に与えようとしているといったことを、本人確認等の手段により確認することによって確認、また、電子委任状を保管、失効等の状況を管理することによって、電子委任状を円滑に流通するといったことをしております。
電子委任状法に関する政令や省令になります。
電子委任状法の施行規則におきましては、特定電子委任状についてどのような電子署名を行うべきか、また認定に係る手続等を規定しております。
電子委任状を促進するための基本的な指針のご説明です。
先程ご説明いたしましたが、法3条におきまして、主務大臣は電子委任状の普及を促進するための基本的な指針を定めることとされております。また、この電子委任状法3条の方にこの基本指針にどのようなこと定めるかについて記載されております。こちらの中身につきましても、この次のスライドから解説いたします。
また、この基本指針の解釈を明確化したものとして、電子委任状の普及を促進するための基本的な指針解説を公開しております。
基本指針の概要となります。
電子委任状の普及の意義及び目標については、デジタルファーストの早期実現、また、マイナンバーカードの更なる普及に資するものといったことが位置付けられております。
また、電子委任状の活用が想定される手続としては、企業間で行われる電子契約や申し込みの手続、国及び公共機関、地方公共団体の調達における電子入札の手続、また行政機関に対する電子申請の手続といったものを促進するとされております。
また、関係者の理解を深めるための施策といたしましては、パンフレットやマニュアルの配布、セミナー講習会、内外の動向の調査を分析、その反映といったことが定められております。
続きとなります。
電子委任状に記録される情報の記録方法の標準として電子委任状法、また、この基本指針におきまして、委任者記録ファイル方式、電子証明書方式、取扱事業者記録ファイル方式のこちらの3つの方法を規定しております。また、このそれぞれの方式において、電子署名法に基づく電子署名等を行うことを義務付けております。また、それぞれの方式において、電子委任状にどういったことを記載するべきか、どういった項目とするべきかといったことを規定しております。これらの条件を満たす電子委任状のことを、特定電子委任状といいます。
こちらの3方式の説明となります。大きく2つに分けると、委任者の委託を受けて電子委任状取扱事業者、先ほどの図で説明したあの事業者が電子委任状の作成記録作業を実施する形式。また、委任者自らが電子委任状を作成し、それを直接相手に渡す、又は電子委任状取扱事業者に保管してもらって、保管してもらった上で、相手に提示する。といった大きく分けてございます。二つの種類がございます。
また、その中身といたしましては、電子証明書方式につきましては、電子証明書の属性として、権限や役職等の記載を行い、その電子証明書を用いて契約書等に電子署名を行うことによって、その属性を持っている、その権限を持っているといったことを契約の相手方に確実に伝えるといった方式です。
取扱事業者記録ファイル方式につきましては、電子委任状取扱扱事業者が委任者の委託を受けまして、この電子証明書とは別の電磁的記録にその委任の内容、委任のされている権限役職等を記録するといったものです。また、その記録してあるものを相手方の求めに応じて提示をする形になっております。これは例えばマイナンバーカードと組み合わせてマイナンバーカードとは別のデータベース等に権限や委任を記録して、相手に提示するといった方式となっております。
委任者記録ファイル方式につきましては、先ほど申し上げました通り、電子委任状を委任者、企業の代表者や個人事業主が自ら作成する方式となっております。これをこの受任者から直接契約の相手方に提示したり、また、電子委任状取扱事業者に保管を行ってもらった上で相手に提示するという形式になっております。
電子証明書方式のイメージ、取扱事業者記録ファイル方式のイメージ、委任者記録ファイル方式のイメージにつきましては、それぞれスライドの方に掲載しておりますので、よろしければご確認いただければと思います。
こちらの委任者記録ファイル方式につきましては、この電子委任状取扱事業者が関わるパターンと、直接受任者経由で契約の相手方に電子委任状を提示するパターン、2つをスライドに掲載しておりますので、そこをご覧いただければと思います。
先程ご説明いたしました基本指針で定めております電子委任状について、電子委任状に記録すべき事項について、ご説明を行っております。これは例えば法人の代表者である場合は法人番号の記載を必須で行いましょう、また、個人事業主の場合、屋号は任意の記載としてもよろしいですよ、といったことを定めております。
これについての電子証明書方式、委任者記録ファイル方式、取扱事業者記録ファイル方式それぞれにおいて、どのようなことを記録し、標準化すべきかを定めております。
電子委任状取扱業務の認定について、認定の基準についても基本指針で定めております。これは例えば電子委任状が法人の代表者等その本人がその権限を委任する意思があるといったことを、この委任者の電子署名の有効性の確認又は登記事項証明書、印鑑証明書の確認といった方法で確認すること、また、セキュリティを確保するための方法として、情報セキュリティマネジメントシステムISMSに準拠した体制の構築を行い、認証を取得すること。また、電子証明書方式については、電子署名法の調査又はWebTrust、又はETSIの規格に基づく監査を受けることといったことを定めております。また、業務の運用方針及び運用手順を定めた規定CP/CPSを作成すること、またその電子委任状の失効状況の管理を行うことを定めております。
立法の背景に関するご説明です。
大きな流れといたしましては、書面・対面主義からの転換、デジタルファーストといった大きな流れがございました。その中で行政機関の手続、民間事業者の手続、委任を受けた手続について、それぞれ必要な措置を講じることとされておりました。
また、特に、この法人の代表者の委任を受けた手続につきましては、官民データ活用推進基本法の第10条3項の方に、国は法人の代表者から委任を受けた者が専ら電子情報処理組織を用いて契約の申込みその他の手続を行うことができるよう、法制上の措置その他の必要な措置を講じるものとするとされております。電子委任状法はこの法制上の措置を行ったものとなります。
また、このデジタルファーストという大きな流れの中で、デジタルの世界における委任・属性認証が抱える問題を解決すれば、このデジタルファーストというその目標に近づくといった形で、このような課題、デジタルの世界における委任された権限の証明、官民を横断する手続のデジタル化、既存の電子委任状が抱える課題の整理や解決、電子調達に関する手続の統一、こういった課題を解決することを目標として電子委任状法が策定されました。
また、この検討につきましては、総務省の「個人番号カード・公的個人認証サービス等の利活用推進のあり方に関する懇談会」の下に設置された「公的個人認証サービス等を活用したICT利活用ワーキンググループ」のその更に下に設置された「属性認証検討サブワーキンググループ」「制度検討サブワーキンググループ」の方で検討が行われました。
また、電子委任状法の制定の理由として、最後にマイナンバーカードと電子委任状の組み合わせといったものがございます。マイナンバーカード、公的個人認証サービスを用いることによって、その権限が委任されている社員等の氏名を確実に確認、また、その社員本人であることを確実に確認した上で、このマイナンバーカード・公的個人認証サービスだけでは提供できない、所属する組織や役職、権限などを電子委任状を用いて証明することによって、マイナンバーカード一枚で手続きを完結することができる、といった意味で電子委任状とマイナンバーカードは相性がよろしい部分がございます。そういった意味で、両方同時に普及していくということを定めております。
平成29年3月のマイナンバーカード利活用推進ロードマップにおきましても、政府調達での利用といった形で電子委任状の活用について記載が行われております。また、その他の閣議決定や基本方針といったもので、マイナンバーカードや電子委任状の利活用について記載が行われております。
説明は以上となります。上原先生、よろしくお願いいたします。

上原座長: はい、どうもありがとうございました。ただいまの事務局からのご説明についてですね、委員の皆様からのご質問、あるいはご意見等ございましたら、挙手機能若しくは、チャットに直接書いていただければと思います。私の方からご指名いたします。また、ご発言の前には、今回初回ですので、もしよろしければ、簡単な自己紹介もしていただければと思います。皆様いかがでしょうか。
では宮内委員、よろしくお願いいたします。

宮内委員: 宮内でございます。まず簡単な自己紹介ということで、私は今弁護士やってますけども、元々はNECで技術者をやっていまして、一応、技術内容がある程度分かる弁護士として、現在活動しております。で、簡単なコメントでご質問なんですけれども、24ページのマイナンバーカードと電子委任状のところですね、ちょっと出していただけますか。

事務局 當波: 再度画面共有しますので、少々お待ちいただければと思います。

宮内委員: ここに書かれていることは大変もっともなんですけれども、ただ、一つ言えるのは、電子委任状が電子証明書形式の場合には、こういった組み合わせである必要はなくて、電子証明書がそこについているわけですから、電子委任状一本でいけるということ。そちらの場合、基本的には会社の中の所属だけが示される、あるいは役職だけを示すことによって。
このマイナンバーカードと電子委任状を組み合わせるっていうのは、確かに一つの方法としてはありうるんですが、現在のところ、この2つが同一人物のものであるっていうのを表すためにおそらく4情報、氏名、住所、生年月日、性別ですか、がその電子委任状に書かれているものと、そのJPKI、公的個人認証サービスの証明書に書かれているものが同一であることを確認して、この同一人物だということをやらなきゃいけないんですけど、そうするとなんで会社で仕事しているのに、自宅の住所や生年月日を晒さなきゃいけないのかと、そういうような懸念はちょっとここにありまして、これが例えば公的個人認証サービスの、そうですね、シリアルナンバーとかですね、その証明書のシリアルナンバーとかを書くことができればいいんですが、それはそちらの法律上うまくいかないので、そういう意味ではこれはまだ法制上もこれからやっていくことが色々あるのかなというふうに思っています。
これがまず1点と、もう1点が、これは18ページを開けますか。この一番下にさらっと書いてあるんですけど、この失効管理ですね。これ結構重要で、わざわざ認定された事業者で証明書の管理してもらうっていうのも、一つのポイントは、失効管理がちゃんとできるということですね。自分で発行して勝手に出してることも多分電子委任状ではできると思うんですが、それが例えば、ある程度の期間にわたって、それが有効なもの、言わば定期券みたいな電子委任状の場合に、それが今も生きているのかと。半年なり有効だったのが3か月ぐらい経つにまだ大丈夫なのかっていうと、確認できる手段が確実に提供されることは非常にポイントで、そういう意味でそれをしっかりやりますよと。この事業者がですね。これがやはりこの法律の一つのポイントになっているんじゃないかというふうに思ってまして、このさらっとしか書いてないんですけど、とても重要なポイントだと私は思っております。私からは2点コメントさせていただきました。以上です。

上原座長: ありがとうございました。事務局からのお答えは後でまとめてということになっておりますので、もし他の委員の方にご質問あれば、先にお受けしたいと思います。いかがでしょう。
 板倉委員よろしくお願いします。

板倉委員: 自己紹介からさせていただきます。
現在、メドレーというヘルスケアビジネスの会社で全社のセキュリティを見ております。板倉と申します。
最近入社したばかりで、それまでは楽天ですとかマイクロソフトですとかIBMでセキュリティだったり、ID認証周りというところを見ておりました。ですので、今回の委員においても、民間からの参加というところと、セキュリティ面というところの立場で、何かご貢献ができればと思っております。
質問というよりもコメントになりますけれども、今回この電子委任状を普及させるにあたって、色々普及の観点があると思っていますと。まず仕組み、先ほどの失効管理ですとか、あと識別子を持たせるかですとか、そういうところももちろん気になるところなんですけれども、まず知ってもらうっていうところに対しても、課題があるのではないかと思っております。
資料においても、セミナーですとか、パンフレットっていうところで、普及活動というところがあったんですけれども、実際、今、会社で委任状を紙で使ってるところもまだありまして、例えばインターネットファックスで契約する際に、犯収法に基づいて本人確認する場合ですとか、当事者に聞いてみると、そもそも電子委任状の制度を知らなかったですとか、そういうことも声としてあったので、まずどうやって知ってもらうのかっていうところについても打ち手を考えられるといいなと思っております。以上です。

上原座長: ありがとうございます。
では濱口委員よろしくお願いいたします。

濱口委員: 慶応SFCの濱口と申します。では、自己紹介させていただきます。私、慶應のSFCの方で、トラストやトラストサービス、デジタルアイデンティティに係る国内外の制度であったり、技術基準の調査研究をしております。本職の方では第三者監査というところで、認証局の監査だったり、タイムスタンプ監査というところをさせていただいております。今回発言させていただきたいところが、資料2の22ページ目になります。
電子委任状の普及・課題の解決というところで、対面書面原則からの転換、デジタルファーストに向けて、デジタルの世界における委任・属性認証が抱える課題の解決というところが書かれているかと思います。
この電子委任状法によって、この書かれている目的の1つであってですね、電子調達、電子入札に関する手続の統一の上でも、フォーマットであったりとか委任事項の記載というのが、一定程度達成された、また認証局の方での課題に関しても、独自に規定されている組織属性に関する規定の統一であったり、権限の定義の明確化というのがされたという点に関しては、非常に、電子委任状法ができて良かったと思っている点であるんですが、ここに書かれている通り、委任の他にも、やはり属性認証というところがまだ課題としてあるというところ、今回に関しては、委任状法の施行状況検討会というところで、この属性、委任以外のその属性、例えば資格であったりとか学位であったりというのは対象外となると思ってはいるんですけども、この委任と合わせて属性、デジタルアイデンティティ、トラストサービスというのが全て制度化され、法的効果が裏付けられることで、完全なデジタルファースト、デジタル完結というのが実現されるんじゃないかと思っております。以上です。

上原座長: ありがとうございました。
他の委員の皆さんから、ご質問、ご意見ございますでしょうか。特に無いようでしたら。お三方からのご意見・コメントに対して、事務局の方からよろしくお願いいたします。

事務局 千葉: 皆さんありがとうございます。デジタル庁の事務局千葉と申します。
今頂いたコメントにつきまして、事務局として、特別何かこれがわからんというご質問はなかったというふうに認識しておりますけれども、順番にコメントさせていただきます。まず宮内先生からご指摘いただきました、4情報で紐付くと会社の事業の問題なのに自分の個人の自宅の住所が出て行くというところに問題があるのではなかろうかというところにつきましては、ご指摘いただきましたように番号法上の制約というところもございますので、その点は広く課題として捉え、どのような方法がありえるのかというところは、引き続き検討を続けてまいりたいと思います。
加えまして、例えば委任者記録ファイル方式なんかですけれども、取扱事業者の役割というのが実は重要であるというご指摘、まったくその通りだと思っております。我々これからこの検討会の後も引き続き普及の促進をやっていくというところでございますので、その辺の取扱事業者の意義というか位置づけというか、利用者にどういったメリットがあるのかというところについては、もう少しアピールを強めていくということで反映させていただきたいなというふうに考えております。
続きまして、板倉委員からご指摘いただきました、まずそもそも知られていないのではないかというところについて、我々も真摯に受け止めなくてはならないというふうに考えておりまして、今ご示唆もいただきましたように、当事者といいますか、関係しうる方々にそもそもご存知ですか?というところも含めて、普及の状況というのは改めて調べられる範囲で調査をすると。その上で、どういうふうにまず知ってもらうのかというところについては、これもやっぱり足元を固めてやっていかなければならないなというふうに考えております。
最後に濱口委員からですけれども、この一般の属性の認証というところについても、課題をご指摘いただきまして、これも資料に記載の通り、まったく課題としては残っているというふうに事務局としても認識をしておりますので、今回の検討を足掛かりにして、委任に限らず、属性の認証というのがどうあるべきかというのは、これまでも検討されてきているところなので、これも引き続き、委任と一体的に考えていけるのではないかというところで、我々の今後の検討に向けて大きなヒントを頂いたのかなというふうに考えております。
事務局からは以上です。

上原座長: どうもありがとうございました。
それではですね、議事1については以上にさせていただきまして、そして、もしまたご質問があれば、後でフリーディスカッションに近い時間が取れると思いますので、そちらの方で拾いたいと思います。続きまして議事2の方で、事務局からご説明お願いします。

事務局 當波: それではこちらの電子委任状法の施行状況について、資料3に沿って説明を行わせていただきます。全体の流れといたしましては、法に定める電子委任状の取扱業務の認定の状況について、また電子委任状の利用場面として、電子委任状取扱業務の電子委任状の利用、また、その他の電子委任状の利用場面、法4条に定める国等の責務に係る取組の概要といたしまして、広報の取組だったり、調査研究、また、その調査研究の成果の反映といったことにつきまして、ご説明を行わせていただきます。
まずは電子委任状取扱業務の認定の状況についてです。
先ほどの概要の方でもご説明を行いました通り、法5条の方に電子委任状取扱業務の認定制度について定められております。
この認定制度は、基準を満たしている電子委任状取扱事業者の認定を行うことによりまして、実在する法人のその代表者本人の意思に、確かにその意思に基づいて委任が行われたということ、また第三者による改変が行われていないその技術的な措置といったことが行われているということ、また、セキュリティの基準等について担保されている信頼性の高い電子委任状が流通する、そういった目的で行っているものです。
電子委任状取扱業務の認定については、これまでに6社9業務の認定を実施しております。内訳としましては、電子証明書方式の認定が6業務、委任者記録ファイル方式の認定が1業務、取扱事業者記録ファイル方式の認定が2業務となっております。この電子委任状取扱業務の認定の事業者の一覧、認定の業務一覧につきましては、次のページに掲載を行っております。
この電子委任状取扱事業者の認定を行っている事業者の電子委任状につきましては、e-Tax、国税、eLTAX、地方税、GEPS、電子入札システム等の行政手続や、また、その委任の内容として、例えば関西支社における契約の権限といったことを記載することによって、企業間の電子契約において利用が可能です。
電子委任状取扱業務の認定を行っている事業者の一覧となります。
電子委任状の利用場面に関するご説明です。
電子委任状の利用場面につきまして、大きく分けまして対行政機関の利用とビジネス間での利用に分けられます。
こちらのBtoG。ビジネス、法人の代表者であったり、個人事業主から、行政機関に何か手続を行う際の委任につきましては、認定電子委任状取扱事業者の電子委任状が先ほど申し上げましたe-Tax、eLTAX、GEPSにおいて利用が可能です。また、認定電子委任状取扱事業者の電子委任状ではないものの、独自システムによる電子委任状が一部の政府系のシステムで利用が可能です。
また、ビジネス間の利用につきましては、先ほど申し上げました通り、企業の企業間の契約締結等において電子委任状を利用することができます。
また、最後にCtoGの部分につきまして、こちらは電子委任状法2条の電子委任状の定義の外とはなってなってしまうんですけれども、独自システムによって、地方自治体の手続きにおける電子委任状の利用といったことが行われております。
本検討会におきましては、このBtoG、こちらの認定電子委任状事業者の電子委任状の活用を広げていくといった検討だけではなく、こちらのBtoBの、電子契約締結における利用について、さらに広げていこう、また、ここのBtoBの活用方法、これ以外の物についても活用できないか、といったことを考えていただき、大きな検討ができればと考えております。
また、それに加えまして、電子委任状法の定義外となってしまうんですけれども、こちらのCtoG、一般の市民の行政手続における電子委任状利用につきましても標準化等重なるところが多いですので、同時にこちらについても議論の範疇としていただければと思います。
e-Taxにおける電子委任状の利用についてです。
e-Taxにおける電子委任状利用におきましては、法人の代表者等が従業員等に委任を行い、その従業員が納税の申告を行うことができます。
GEPSにおける電子委任状の利用におきましては、電子委任状を用いることによって法人の代表者に代わって社員等が入札の権限を用い、入札を行うことが可能です。GEPSにおきましては、認定電子委任状取扱事業者が取り扱います基本指針に定める3種類の電子委任状方式すべてに対応しております。また、この内2業務については、マイナンバーカードを用いた代理人の登録が可能です。
マイナンバーカードを用いた入札につきましては、マイナンバーカードの普及等に向けた情報システムに係る調達等における評価制度によりまして、優遇措置、例えば、その入札の点数について100点中3点など、それぞれの調達において定められた評価の点を得ることができます。
この評価制度について、次のスライドでご説明を行っております。 
また、先ほど地方自治体における電子委任状の利用について軽く触れさせていただきましたが、一部の自治体において、独自システムによる電子委任状を利用した代理申請が利用可能となっております。この地方自治体における電子委任状の利用実態につきましては、現在調査、整理を行っている途中ですので、第2回検討会において報告をさせていただきたいと考えております。国に取り組んでほしい点につきまして、検討材料とするため、デジタル庁の方におきましてヒアリングを実施する予定としております。
最後に国等の責務に係る取組の概要となります。
電子委任状法の第4条。国は広報活動を通じて電子契約の当事者その他の関係者の電子委任状に関する理解を深めるよう努めなければならないとされております。また、電子委任状に関するその内容の動向の調査及び分析、またその調査によって得られた結果の提供、自らが一方の当事者となる電子契約において、他方の当事者の事業者の電子委任状を利用促進するために必要な施策の推進、といったことが定められています。
それぞれの取組につきまして、広報や調査研究、各種システムへの対応、特に入札システムにおける対応といった形でこちらの責務に関して取組を行っております。
広報等の取組につきましては、これまでにこういった雑誌での掲載を行っております。また、講演等につきましては、行政書士会における講習への講師の出演、また、東京税理士会における講演、このJIIMA、日本文書情報マネジメント協会でのセミナーといったことを実施しております。
調査研究につきましては、先ほど申し上げました通り、調査研究の結果について普及に向けた課題の解決、基本指針の改定等に活用する形で反映を行っております。
これまでにこういった調査研究を行ないまして、その検討結果をもとに、初版、最初の基本指針や基本指針解説の策定、また、こちらの検討調査結果をもとに、基本指針解説の改定を実施したり、マイナンバーカードを利活用する方法について明記を行ったりといったことをしております。
電子委任状の施行状況に係る説明についての説明は以上となります。
それでは上原先生、よろしくお願いいたします。

上原座長: ありがとうございました。では、同様に委員の皆様からご質問、ご意見等ございましたら、挙手若しくはチャット機能にてお知らせください。こちらから指名いたします。いかがでしょうか。
では、宮内委員、どうぞよろしくお願いいたします。

宮内委員: 宮内でございます。施行状況について、現状を色々とお話しいただいたわけですけども、私やはり数が出てくるという意味ではBtoBは非常に重要だと思っております。BtoBにおいて、もちろん代表取締役の署名又は押印等で電子署名も含めてやってるもの沢山あるのですが、そうでないものも非常に多いわけですね。例えば、関西支社というのがあったとして、関西支社長のハンコで取引してる例ってすごく多いわけです。これは、関西支社長という肩書きを与えることによって、関西支社に関する一切の裁判外の権限を与えているというふうに普通は考えておりまして、これは会社法の14条とか、商法の25条で特定のその案件に与えられたその承認という形になってると思います。で、これをですね、電子委任状でもできるというところですね。先ほど資料2の方にもありましたけれども、実はその電子委任状に関して、委任内容をその肩書きのみで示すことができる。ですから今の例ですと、関西支社長ですよと書くことによって、それに伴う一切の権限を与えているというふうに、その委任内容を示すことができる。これを見ますと、実は電子証明書と名刺を組み合わせたものを会社の責任で出してるのと同じようなものだというふうに言えると思います。これは言わば電子社員証みたいなもので、会社の中でも、その方にポジションといいますか、肩書きとそれに関わる電子証明書ということで、それ一本で契約行為なんかがばっちり通っていくんじゃないかと。こういうことで、そういった電子委任状で社員証という形で、電子委任状というのを作ったことによって、より利用も広がりますし、事業者にとっても数が出てくると、大きな広がりを見せることができるんじゃないかと思っています。
でも、こういった役職者による契約等につきましては、その重要性の高いものから低いもので色々ございますね。そういう中で認定されていないようなところで出しているようなこういった電子社員証みたいなのもある意味では使い手があるんじゃないかというふうに思ってまして。もしかすると認定されているもの以外も、その使い道を考えていく必要があるのかなというふうに思っております。
私からは以上でございます。

上原座長: ありがとうございました。他の委員の皆さんからございませんでしょうか。
では、笠井委員よろしくお願いいたします。

笠井委員: まず自己紹介の方からさせていただければと思います。私、株式会社ローソンでコンビニ業のデジタル関係のロビイングについて担当している者です。2年ほど経済産業省に出向した経験もありまして、デジタル関係の認定制度なども運用しておりました。
今回直接的にすごく関わりがある分野ではないんですけれども、企業にとってより使いやすい方法や普及のしやすさというところで、ご意見させていただければと思っております。
一点、今のご説明の中で11ページに掲載がありました自治体のヒアリングのところなんですけれども、少しわからないというか、ご質問ではあるんですが、独自システムによる電子委任状を利用した代理申請というところがございまして、せっかく法律でこの認定の制度があるにもかかわらず、違う制度というか独自の仕組みを使われるっていう理由があるのではないかなと思っております。次のところでもヒアリングの対象ということで、認定のところにはお話を伺うというところであるんですけれども、わざわざ新しい仕組みを使うことというところの点が、非常に気になったところです。
理由としてはですね、電子委任状法の電子委任状について、電子委任状っていう言葉に独自と認定されてるみたいな2つの方法がある場合に、何か信頼性の高い制度である必要があるときに、この独自のシステムで何かの問題が起こったりとか、そういうことがあった場合に、こちらの認定制度に影響しないかとかですね、こういうレピュテーションも気にしているところです。なぜこういうふうに至ったかという経緯も、もしかしたらこの普及の課題になるところもあるかもしれないので、このあたり2回目以降の検討に期待しております。以上です。

上原座長: ありがとうございました。では、板倉委員、よろしくお願いいたします。

板倉委員: 簡単に2点だけ、今までのこの電子委任状の利用シーンを見てみると、会社の代表者の方からの委任というところがやっぱりケースとして多いのかなと思っております。法律の規定上もそういうような記載になっているのかなと思っているんですけれども、もっと現場レベルといいますか、個人、CtoCはちょっと行き過ぎかもしれないですけれども、代表者に限らず、誰かに委任をしたいというケースって沢山あると思っていまして。そういうところでユースケースをもう少し発掘できればなと思っているっていうのが一つあります。
もう1つは、先ほどの笠井さんのご発言にも関連するかもしれないんですけれども、やっぱりこの電子委任状に対応してないシステムみたいなところも、まだまだあるのかなと思っていまして、そこのシステム的な対応っていうところも、行政も含めて進めていく必要性があるのかなと感じました。以上です。

上原座長: ありがとうございました。では、引き続きまして濱口委員、よろしくお願いいたします。

濱口委員: 先ほどの笠井様、板倉様の発言をなぞる形になってしまうかと思うんですが、地方自治体において認定外の電子委任状が使われているという実態があるということ、どういったところに電子委任状が使えるのかというユースケースを整理しなければならないということも、コメントがあったかと思います。
これに関してはまさしくおっしゃる通りでございまして、電子委任状といっても、認定電子委任状とそれ以外のですね、例えば紙の委任状をスキャンしたものであったりとか、電子署名が行われていない電子委任状であったりだとか、自治体が独自にやっているサービスのものというのも沢山あるという状況の中で、どういったユースケースにおいて、例えば認定の電子委任状が使われるべきなのか、あるいはそれ以外の電子委任状でいいのか。例えばそれ以外の電子委任状については、どの程度の信頼性があるサービスなのかっていうところを整理して必要なサービス、必要なレベルのサービスが必要なユースケースにおいて用いられるっていうような環境の整備というのが必要になってくるのではないかと思います。以上です。

上原座長: ありがとうございました。他ご質問等ございませんでしょうか。無ければ、私の方からも少しコメントさせていただきたいと思います。
先ほど宮内委員からもございましたけれども、BtoBの数を増やしていくっていうのがとても大事だというのは、ご理解の通りですね。
私は先ほどのご意見の中にあった、独自の物が広がるっていうのはどうかというお話があったかと思いますけれども、一方でその民民の間の実際の契約っていうものに関しては、実際には民訴法の中で定められている中で、押印というのがあればいいとかですね、そのような程度で済んでいるということ。また、そもそも実態としてさまざまな契約形態があるという中で、あまり細かい規定に縛られる必要は無いのかなというふうにも思いつつも、標準的なやり方として、この電子委任状に基づく契約のあり方というのを普及させるために、いろんな施策を打っていくべきだろうというふうに思っていて、特に大きいのは、いわゆるそもそも電子契約というのを進めていくっていうのが重要なのかなと思ってまして、特に、額が大きい契約が多い土木・建設の分野などではですね、そもそも印紙税を節約するというインセンティブでもって電子契約が広まっていたという実情がありますから。この辺から電子委任状をうまく広めていただくような、ドライバーになっていただくと、これをだんだん他の分野に広げていただくという方法が良いのかなというふうに思っております。
それから、地方自治体における電子委任状の利用というのに関してはですね、歴史的経緯というのもございまして、実際の場合は、政府の電子契約いわゆる電子申請みたいなものとは別のタイミングでそれぞれ自治体が始めてしまったという事情があるので、独自の電子委任状もできちゃったのかなというようなことがございます。これは、おそらく今後のデジタルガバメントの方でですね、ガバメントクラウドの方に色々なシステムが巻き取られていく中で、標準化ができるようになるのかなと思っておりますけれども、いずれにせよこれからもう既に始まってしまっているものを標準で巻き取るというのは、かなり困難な作業があるかなというふうに思うので、ここは慎重にやっていかなくちゃいけないなというふうに感じております。以上です。
では事務局の方から、よろしければコメントよろしくお願いいたします。

事務局 當波: 宮内先生のご意見を一旦飛ばして、先に笠井委員、板倉委員の方からご指摘がございました、地方自治体における利用について先にコメントをさせていただこうと思います。
地方自治体の方にその独自システムが利用されている件につきましては、現在調査をしている途中ではあるんですけれども、主にこの電子委任状法の検討については、社内の代理、社内の委任を可能にして、法人の電子契約を促進するといった目的が一つ大きなものがございまして、そういった目的で行われていた部分があること。また、電子委任状法という法律ができる前から、その検討が行われる前から、その地方自治体であったり、政府の他の情報システムにおいて、電子委任状といったものの利用、特に、例えば、その今まで紙の委任状を利用して行われていた手続きについて、電子化、電子申請をできるようにする際に、その独自システムの電子委任状というものを作ろうと、今まで紙でできたのに電子化した際に、委任の手続ができなくなるというところで、そこを解決するために独自システムが整備されたところがございます。
そういった点についても、標準化できたら良いところは当然あるとは思うのですけれども、地方自治の観点もありますし、今のマイナンバーカードですとか、他の流れもございますので、どういった形で行うべきかというところについては、この検討会においても、またこちらとしても考えていかなければならないかなと思っているところです。まずそちらの方を先にコメントさせていただきました。

事務局 千葉: 今頂きましたコメントにつきまして、宮内先生、笠井さん、板倉さんのコメントに共通して言えるところとしては、重要性、あとすみません濱口さんもですね。重要性の大小、ユースケースに応じて、例えば、重要な契約とそうでない契約っていう分け方が適切ではないかもしれないですけれども、重要性の大小に応じて、例えば認定されているような特に信頼性の高い電子委任状を使うような契約、あるいは認定をされていなくても差支えがないような契約。そういったものでバランスに応じて使っていくというような余地を追求するというのではないかと。そういったご指摘かなというふうに受け止めております。
この点は基本的にはおっしゃる通りだと思っておりまして、他方、何が難しいかと申しますと、委員の皆様はご承知のことと思いつつですけれども、例えば昨年度も我々トラストに関するサブワーキンググループという検討会をやっていたのですけれども、こういうレベルにはこれぐらいの信頼性を、こういうレベルにはこれぐらいの信頼性をという、分類。そういったものが求められているのは、一般論として非常にわかるものの、結局、その具体の契約の内容、様々な状況というのが、どうしても個別のケースごとに異なってまいりますので、なかなか一概に、こういう場合はこうという対応付けが、多少幅を持たせるにしてもなかなか難しいなというところが、実情としてはございます。
これまでもそういった検討、試みはなされてきておるものの、なかなかうまくいってないというところが実情、実態としてはあると思っています。
他方で、だから難しいからやめとこうっていうことではないと思っているので、そういった試みは、どういった方法でお示しできるかというところも含めて、諦めずに追求していくというところになるのかなと思っておりますので、まさにこの検討会のスコープにも入ってくると思っておりますので、委員の皆様からも、一般論になりすぎず、かつ個別の事例を排除しすぎずというちょうどいい頃合いの分類というものをどうしていくべきかというところについて、引き続きアイディア、ご示唆をいただけると大変ありがたいなというふうに考えております。
 続いて、上原座長から、印紙税の節約というところが大きなインセンティブになると。このあたりはまさに電子契約。電子署名法の関係でもそうなんですけれども、電子契約というものを進めていくことが重要であるというご指摘はごもっともというふうに考えております。
まさに電子署名法のときも、この印紙税の節約というところが電子契約のインセンティブになりますよというところは、我々も従来から申し上げてきているつもりではありますので、おっしゃっていただいたように、特に契約の金額が大きいところ。例えば、不動産の売買契約なども、もしかしたらあるか。これはBtoCになったりするんですけれども、こういったところもあると思いますので、まずはどこから広めていくのかというところを見つけて、そこから掘り進めていくというやり方は、我々も充分検討して行きたいなというふうに思っております。
あとは、先ほどの話と少し重なるんですけれども、笠井委員からもご指摘ありましたレピュテーションリスクですね。おっしゃる通り、認定の制度とそうでない制度があるというときに、電子委任状というものである意味ひとくくりに見られる部分もあります。認定制度外のものは必ずしも我々全て把握できているものではなく、基本的には自治体であったり民間の事業者であったりが独自にやってるものまでああしなさいこうしなさいという法制度では現状ないんですけれども、まさにご指摘を踏まえて、我々もできる限りどういう電子委任状というのが認定以外にも活用されているのかと。場合によっては大変活用されているということであれば、逆にそちらにヒントを得てどういうふうに使いやすい制度にしていくのかという検討にも資するものと思っておりますので、そういった観点から、我々もう少し調べられる範囲を広げていきたいなというふうには考えてございます。
事務局からは以上です。漏れがあったら申し訳ありません。

上原座長: 宮内委員から更問があるようですので、よろしくお願いいたします。

宮内委員: 宮内でございます。認定されているものと認定されてないものが、どういうふうに使い分けられるかっていうのを、明確に区分することは多分できない。それはおっしゃる通りなんですけども、現実、現状の社会におきましても、会社の実印を使う場合と、もっと簡易なハンコを使う場合と、それぞれの会社でそれぞれに色々考えてやってきてると思うんですね。ですから、これを国の方で明確に基準を作るって、多分、これは無理だと。おっしゃる通りだと思いますけども、そこはやはり、これまでの色々なやり方というのを踏まえて、例示をするような形で、こういう場合にはこれ使ったらいいんですよと、そういうような形で示すことはできるんじゃないかと思っています。これは電子証明書の、個人の電子証明書につきましても、認定と認定の無い特定認証業務の場合とどう使い分けるんだって言われても、これはもう明確な区分はないです。実印を使うときはいつだと、あるいは銀行届出などどこかに届け出ててあるレベルのものとか、そういうものを踏まえて、この発行事業者がどこまでちゃんとやってるかっていうのを見て、それぞれのその事業者が考えていくしかない。
それはその使い分けのヒントをこういった委員会とか、あるいは国のいろんな機関が出していくことはできますが、最後はやはり個々の事業者のお考えで使い分けていただく、そういう形になろうかと思っております。以上です。

上原座長: どうもありがとうございます。今のご発言に関して事務局からコメントございますか。

事務局 千葉: 宮内先生、ありがとうございます。
まさにおっしゃっていただいた通りだと思っておりまして、例えば例示のような形で指針のようなものを示していくというところについては、充分できる余地があると思っております。
他方で、やりたくないように受け取られると良くないんですけれども、宮内先生もよくよくご案内の通りで、例えば例示のようなやり方であったとしても、国がこう言っているんだということである種の線引きのように受け止められてしまうということはよくあることですので、ここはお示しの仕方については我々としても充分注意していかなければならないなと思っておりますので、受け取られ方みたいなところについても引き続きヒントといいますか、ご示唆をいただけると大変ありがたく思います。ご指摘の通り、全くその通りだと思っております。以上です。

上原座長: ありがとうございます。板倉委員からもご意見もしございましたら、よろしくお願いいたします。

板倉委員: 簡単に。結局、その電子委任状を使うことで、何を担保したいのか、どういうリスクから逃れたいのかっていうところを、低減したいのかっていうところに尽きるのかなと思っていまして、そこのリスクの考え方っていうところは、先ほど宮内先生もおっしゃられたように、事業者でも判断する必要性があると思っています。一方で、先ほど笠井さんが言われたように、そのレピュテーションリスクみたいなところを低減させるためには、その独自のシステムに対してはどういうことを求めないといけないのかという最低限、電子委任状法、電子委任状に求められるセキュリティレベルであったり、こう仕組みの基準みたいなところについては、作って提示するなり、若しくは独自のシステムがうまくやれているのであれば、そこから学んで標準的な電子委任状っていうのは、こういう仕組みであるべき、失効管理っていうのはこうやらないといけないんだみたいなところの指針ができると、一定レベルのものを、乱立してたとしても、ガバナンスを効かせることができるのかなと思っていまして、そういうアプローチも必要かなと思いました。

上原座長: ありがとうございます。事務局から何かございますでしょうか?

事務局 千葉: ありがとうございます。今ご指摘いただいた件も、すべてその通りと思っております。で、例えば電子委任状の認定制度については、先ほど當波からもご説明申し上げました通り、一定の水準というか基準を法令ないし指針というところでお示しをしているつもりではございます。
一方で、まさにそのレピュテーションリスクとも関係するんですけれども、それ以外の電子委任状、例えば電子署名で言うところのオレオレ署名みたいなものなんですけれども、そういった色々なものがピンキリで世の中には出回っていくということがあると思っていて、そういったところはなかなか先回りして色々決めるというのは難しい部分もあるんですけれども、例えば認定を受けているということはこういう標準的なやり方で最低限のセキュリティは担保されていますよ、とこういうふうに電子署名法の認定と同様の方法でですね、この認定というのはそういうところをまさに担保しているんですよ、ただ、認定を受けていなくても、最終的には利用者・事業者の判断で使うことは妨げませんよ、と。
こういう立て付けにはなっておりますので、認定のポイントと言いますか、そういったところをもう少し強調してアピールしていくというところで、一定程度の効果はあるのかなと。
ただ、先ほどの話に戻りますけども、どうやってそれをちゃんと周知していくのか、本当に知られているのか、というところに戻ってくるのかなというふうに考えておりますので、認定とはこういうところを国が担保してるんですよという説明をもう少しアピールをしていくというところが一つの答えかなというふうに思っております。

上原座長: よろしいでしょうか。では、議事2については以上にさせていただきたいと思います。
引き続きまして議事3について、事務局からご説明よろしくお願いいたします。

事務局 當波: それでは、次回以降の進め方について、資料4をもとに説明を行わせていただきたいと思います。
次回以降の進め方につきまして、第2回におきましては、この後、内容についてご確認をさせていただきますアンケートの実施結果の報告や、先ほどの地方自治体における電子委任状の利用等に関する報告を行わせていただく予定としております。
また、今後の取組の方向性についての議論として、電子委任状の活用が期待される関係団体からのヒアリングを、第2回、第3回のいずれかにおいて実施したいと考えております。また、今後の取組の方向性については、自由討論として、委員の方々から様々な意見を伺いたいと考えております。
第3回においても、今後の取組の方向性について、第2回の続きの議論を行った上で、施行状況報告書、最終的にまとめる報告書の骨子について、第3回において議論を行いたいと考えております。
第4回、最終回におきましては、こちらの施行状況報告書について、事務局よりこのようなものとしたいですと提示いたしますので、そちらについて修正、ご意見を伺いたいと考えております。
次回以降行うアンケート、ヒアリングについてです。
アンケートつきまして認定電子委任状取扱事業者、認定を行っている事業者に対して実施するアンケート、また、認定電子委任状取扱事業者の電子委任状を受け入れる側のシステムの運営者に対して実施するアンケート、この2種類を実施したいと考えております。
また、本検討会におけるヒアリングの対象としては、活用が期待される関係団体等について、いくつか事務局として候補を設定しております。そちらについて、特にこの第1回で今まで議論がありました点を踏まえまして、こういった点についてもアンケートで聞いていただきたいだとか、こういった方についてもお呼びしてヒアリングを実施したいといったことがありましたら、ご意見をいただきたいと思います。
ご意見につきましては、このアンケートとヒアリング、両方説明した上で最後に伺いたいと思います。
電子委任状の認定電子委任状取扱事業者の電子委任状を受け入れているシステム運営者についてのアンケートとなります。まず、電子委任状の利用状況に関する事項として、その各システムにおいて、現在利用可能な電子委任状を使った手続について、回答をいただきたいと思っております。
また、この電子委任状が利用可能な手続きの申請数及びそのうち電子委任状を利用された数について、可能な、調査可能な範囲で、いただければと思っております。また、紙の委任状が、まだ利用可能な手続きについて、その紙の委任状の利用状況についても、電子委任状の利用状況と比較するために情報をいただきたいと考えております。
また、今後の方向性、利用拡大に関する質問としましては、電子委任状の利用に関する各システムのイメージにおけるその目標等について、また今後の利用拡大に向けた、こういった拡張を行うのが良い、こういった取り組みを行ってほしいといった点について、広報や機能の拡充、リモート証明の対応など、選択、自由記述の方式で回答いただきたいと考えております。
その他制度面の要望をいただきたいと考えております。
認定電子委任状取扱事業者に行いますアンケートにつきましては、同様に電子委任状の利用状況に関する事項としまして、現在利用可能な手続きについて、また、各社において把握している電子委任状の利用形態について、例えば、こういった政府のシステム以外でもビジネスでこういった利用がされていそうだといったことを把握しておられましたら、そういった点についてもこちらとして伺いたいと考えております。
また、今後の利用拡大に関する質問としましては、現在の利用用途、こちらの政府システムにおける利用と、ビジネスにおける利用、電子契約における利用といった、そういった現在の利用用途における普及の阻害要因と考えているところ、現在の利用用途以外で更なる利活用が期待される新たな用途、また、この現在の利用用途以外における新たな活用する上での利用拡大の阻害要因、またその他、制度面での要望を伺いたいと考えております。
第2回、3回において実施しますヒアリングの対象としましては、普段から業務として委任、代理行為を行っている日本弁護士会連合会、日本行政書士会連合会、日本司法書士会連合会、日本税理士会連合会など、そういった士業の団体から伺おうかと考えております。
それでは委員の方々より、ご意見を伺いたいと思います。上原先生、お願いいたします。

上原座長: 委員の皆様、ご意見ございましたら、チャット若しくは挙手機能でご発言、意思を示してください。
はい、笠井委員、よろしくお願いいたします。

笠井委員: ご説明ありがとうございます。私の方からすみません、2点だけなんですけれども、先ほど、宮内先生や上原先生の方からもご期待もありました、企業間の契約についてですね、それについてはヒアリング先の候補として、私が考える限りですけれども、監査のところもヒアリングが良いのではないかなと思っております。
私も一担当として企業との契約をするときがあるんですけれども、やはりそれぞれのルールがある中で、最後もう一度その契約を引っ張り出してくるときというのが、やはり監査法人の監査のチェックのところでございますので、なんで電子委任状法だったりとか、若しくは電子契約、電子署名っていうところが、どういうところで必要となってくるのかというところが確認しやすいのではないかなと思っております。例えば、初めての企業と取引するケースや、契約の規模が大きいケースなど、何かしらの類型が見えれば、先ほどおっしゃられた、厳格にしたほうがいいと認定なのか、独自のシステムを作るのかみたいなところでも、ヒントが得られるのかなと思っております。
また、もう1点なんですけれども、やっぱり企業側からすると、電子委任状は、もともと委任状もそんなに日常的じゃないので、さらに電子っていうところが結構私自身も難しいところでございました。ですので、多分ステップとして、電子の契約があって、電子署名があって、本当に本人であるかというステップがあって、やはり本人とやるの大変だけどちゃんと厳格性を担保したい、といった場合に委任状があるっていうステップだと思いますので、この検討会は委任状だけの検討会であるんですけれども、その事前のステップみたいなところが、少し企業側に提示してあげられると、広報活動としてもこういうケースがあったらという時に説明がしやすいのかなと思った次第です。以上です。

上原座長: ありがとうございました。他の委員の皆様からご意見ご質問ございますでしょうか。よろしいですか。
では、無ければ、事務局の方から、先程の笠井委員のご質問に対して、ご意見よろしくお願いいたします。

事務局 當波: 笠井委員からいただきました、ヒアリング実施対象の、その活用が期待される関係団体だけでなく、監査といった観点から、そういったことを行っている方々からお話を伺えば良いのではないかといった点につきましては、具体的にどのような団体であったり、どのような企業、どのような人に伺えばよいのかといったところは、今から少し検討を行わせていただきますが、第2回、第3回のいずれかで、そういった点を伺える人をご用意できればと思います。また2点目、逆に、こちらの質問になってしまうんですけれども、電子契約であったり、電子署名であったり、電子委任状を使う前のステップについても何か示せれば良いのではないかといった点については、これはこのヒアリング実施対象、そのアンケート内容ではなく、この次回以降のスケジュールのこちらに含めて欲しいといったことでよろしいでしょうか。

委員 笠井: すみません。全体の意見みたいな形でやってしまったんですけれども、やっぱりアンケートのところでも、委任状のことだけをヒアリングしているというところが本当にいいのかも私自身も分からないところがありまして、先ほど言いましたように、電子署名とか本人かどうか、本当に本人ですか?という手続きとかもあった上での、次のステップなような気もしておりまして。委任状だけでストレートで聞くということで、やっとその理由の件数だけで何かヒントが得られるのか、それとも、そこに至るまでの経緯の中で、何かヒントがあるのかっていうところは、少し気になったところではございました。
主には、広報活動として、企業側の目線としてはそういうところが、全体として見たときにっていうところだったので、全体の意見として入れさせていただいたんですけれども。
電子委任状の利用で「企業間の契約がないです、以上終わり」みたいなアンケートだとちょっともったいないなあと思ったので、そのあたりの、それで終わらないような工夫が少し、すみません、解は無いんですけれども、必要なところもあるかなと思ったところです。

事務局 當波: 今の解が無いというところで、こちらとしても、民間で行われているところについては、誰にどういったことを聞けばいいのかといったところを今すぐこの場でご用意はできていないんですけれども、第3回もありますので、第2回で改めてこちらとしてご用意した上でこういうふうにしましょうか?といったことを聞くなどして、また、検討会外で、委員の方々にこういったふうにしようかと思いますといったことを確認させていただいた上で、その利用状況だけでなく、そういったところについても何かしら拾えるようなアンケート、取り組みを行えればよいと考えております。

笠井委員: 分かりました。ありがとうございます。

上原座長: はい。では、板倉委員、ご発言、よろしくお願いいたします。

板倉委員: 私も、特にこの企業が良いんじゃないかっていうのは無いんですけど、やっぱりあの民間の声っていうのも少し入れたほうがいいかなと思っていまして。今、電子委任状使ってないところにも多分使えるチャンスがあると思っています。先ほどちらっと言いましたけど、そのインターネットファックス、契約するときとかあとはデジタルアイデンティティの文脈で言うとSMS認証を飛ばす時とかも、あの委任状を使って本人確認して契約したりしていまして、なので、もう少し幅広に考えてもいいんじゃないかなという気がしています。

上原座長: 事務局からございますでしょうか?

事務局 當波: はい、今の民間の声を拾うことができれば良いのではないかという板倉委員からのご指摘につきましては、この場で回答することが難しいところもあると思いますが、具体的にどういった点について、その使ってない企業について、誰に聞けばよいのかというところを改めて考えないといけないと思うんですけれども、この先のアンケートであったり、ヒアリングでそういった方についても対象としたり、あとは事務局の方で、そういった企業にお声かけして、この検討会外でも、デジタル庁の方で調査等を行えたらと思いますので、それについては第2回であったり、他の場面でご意見を伺いたいと思います。

上原座長: ちょっとすみません。私の方から、先ほどの板倉委員のコメントにも加えるような格好なんですけど、恐らくヒアリング先として考えられるのは、コロナ禍になって、電子契約を進めなきゃいけないので、第三者署名を使った電子署名などのいわゆる電子契約のサービスを始めたところがあるように思うんですけれども、こういうところが多分電子委任状をあまり使ってないような感じなんですよね。
なので、いくつかそういう電子契約を扱っている企業で、電子委任状をまだ使えてないような企業さんに、バリアがどこにあるのかっていうのを聞かれるのがいいのかなと思いました。ご検討いただければと思います。
他の委員の皆さんからご意見ございませんでしょうか。ご発言ございませんでしょうか。山口委員、どうぞ。

山口委員: おはようございます。東京大学の山口でございます。どのタイミングで発言しようか悩んでしまって最後になってしまいました。失礼いたしました。
私は東京大学で情報セキュリティですとか、プライバシー保護の研究を、機械学習とかデータ解析の観点から行っている者でございます。最近は特に個人認証のライフログを使ったデータを使った個人認証の研究などを行っております。経歴だけ申しますと、内閣官房の情報セキュリティセンター、今は名前がサイバーセキュリティセンターに変わっておりますけれども、そちらに4年ほどいて、暗号移行、10年前の暗号ですね、最近の流行りの暗号移行ではないんですけど、を担当しておりました。先ほどから皆さんがおっしゃってるお話をお伺いしながら、民間にもというのもごもっともだと思いながらも、対象をどういうところに絞るのかなというのが今ふわっとした状態なので、議論がなかなか、當波さんのご意見とかも伺いながら、難しいなと思っておりました。
と申しますのも、電子委任状自体は、電子署名法認定事業者から作成されるような署名に基づいてやっているわけなので、つまり、かなり厳格な、いわゆる実印みたいな感じを想定されるような事項に関して、もともと想定されていたのではないかと思うんですよね。
ところが、ここの中のご意見で出てきているようなものっていうのは、もうちょっと手軽に人に対して委託をするようなところまで視野に広がっているので、とてもバランスが悪い状態になっているように、私には見えています。
このバランスをどうやって是正して行くのかっていうと、普及の方に行くのであれば、署名法に基づくようなものではなくて、もうちょっと手軽に使えるような先ほど自治体の話も出てきましたけれども、そういったものにシフトした方がいいし、元々の制度設計に合わせようとすると厳格な方にした方がいいという状態なので、今どっちに合わせるんだろうなというのを、議論を聞きながら難しいなあと思って聞いたところでございます。
私個人的な意見は、もともと普及をさせたくてこれを始めたのではないかというふうに思っているので、あまり厳格な現状のものに絞るというよりは、もっとふわっとしたものも含めて、どう整理していくか、整理の仕方を議論しなくちゃいけないだろうというふうに思っていますが、あまりやるとなんて言うんでしょう、一般論になりかねず、難しいと、具体にある程度落とした方がいいと思うので、難しいところだなと。さっきから難しいしか言ってなくてすみません。私からは以上でございます。

上原座長: 板倉委員、ご質問があるようですが、こちら先に拾いたいと思います。

板倉委員: すみません。話がまたちょっと困っちゃうんですけど、今の民間の話を聞くっていうところ、ちょっと離れるんですけどね。認定事業者若しくは認定事業者になる可能性のあるところに対して、何かこうヒアリングの余地とか、そこに対するこう課題感っていうところは無いかなっていうのをちょっと考えました。
もしかしたら第3回第4回以降のテーマになるかなと思うんですけれども、今の認定事業者っていうのは割ともともと電子署名とかやっていて、認定事業者になるハードルが低かったと思うのですけれども、何か仕組みとして実装するにあたってブロッカーだったりっていうところが、認定事業者の観点であるようであれば、そこも拾っていけるといいのかなと。質問とコメントっていう感じです。

上原座長: ありがとうございます。今のご意見について事務局からございましたら、よろしくお願いいたします。

事務局 當波: 先に板倉委員からの、認定事業者であったり、そういったところからお話を伺えれば良いのではないか、といったところに先に触れさせていただこうと思いますが、そちらについてはその電子委任状取扱事業者の、その6社のうち5社が電子署名法の認定認証事業者でもあるので、この認定電子委任状取扱事業者へのアンケートで済む部分が若干あるのではないかと考えております。特に今伺いました点につきましては、この普及の阻害要因について記載を行ってもらう、そういったところで拾うことができるのではないかと考えております。
先の山口委員のご意見につきましては、ごもっともであると思っておりますが、そういった意味でも、トラストレベルの整理というか、ユースケースごとにどういったレベルの電子委任状、例えば認定の電子委任状でなくてもこういった電子委任状を使っていい場面もあるんだよっていうことをちゃんと整理した上でお示しすることは、今後の方針を大幅に転換するといったことがなくても、その2つを両立した上で、進める上で重要ではないかと考えます。

事務局 千葉: 千葉からも補足というか、コメントさせていただきます。
山口委員のコメントがまったくその通りでして、これまでのコメントもかなり包含していただいたと思うんですけれども。電子署名法でもやっぱり同様の議論は常にありまして。常にあるといっても電子署名法の方は20年以上前の法律なんですけれども、特にやはり着目を浴びているのは、上原座長からもご指摘ありましたように、コロナ禍で契約についても電子化を進めていくぞというところで、改めてこうスポットライトを浴びたのかなというふうに思っています。で、委員の皆様はご案内のことと思いますけれども、いわゆるハンコ、印鑑、印章につきましては100年以上の制度的な歴史と言いますか、経緯がある中で、一律の、印鑑をどういうふうに証明するか、印鑑登録の制度なんかも国の法律としては特に定めがないという中で、建前としては地方自治体が印鑑登録を行っていると。それについてはいわゆる実印としてかなり証明力の高いものとして受け止められてはいるものの、例えばそういったいわゆる実印というものと、いわゆる認印とか三文判というものについて、何か法律ないし法令でどういった認証の強度があるのかというようなことについては、基本的には定めがないものというふうに認識をしています。
これは100年以上の歴史の積み重ねで慣習的に定まってきている、固まってきているというものだというふうに考えておりますので、こういうところに電子の話がたかだか20年の歴史で突っ込んでいくというところは、なかなかそのレベル分けみたいなところが難しい理由の一つだなと思っております。なので、今、法令的にはいわゆる実印レベルのものしか定義ができていないというところなので、バランスが悪いというのも全くその通りだというふうに考えています。
従って、これまでの話も少し重なるんですけれども、法令的な基準としては、厳格なものは厳格なものでよかろうと。さはさりとて、もう少しその下位の基準ないし指針のようなもので、例示を例えばして、こういったケースもあるよね、こういったケースであればそこまでがっつりしなくても大丈夫だよね、というところを、なかなかこういうのを言うのは行政としては苦手なところなんですけれども、こういったところをやはり追求をしていくと。そうしないとやっぱり主に電子の署名とか委任状という制度が、今のいわゆる認印とか三文判みたいなものの代わりになっていくために、あと100年待つのかというところになってきますので、そこは少しギアを入れてと言いますか、意識をして、慣習に任せるだけではどうしても進まない部分がありますので、意識をしてそういった分類のようなものをお示ししていく努力をするというところに、我々のこれからやるべきところがあるのかなと考えております。以上です。

上原座長: どうもありがとうございました。
最後の千葉さんのお話なんですけれども、とにかく今まで印章・印影っていうのは比較的手触りがある、誰でもどう使われているのかっていうのが想像し易い世界で慣習が積み上げられるっていうのは、多分ほっといてもある程度できる話なんですけれども、やはり電子署名みたいにテクニカルに、やっぱり普通の人によくわからないようなブラックボックスになってしまっているものは、多分ほっておいても普及するっていうのはなかなか難しいんだろうというふうに思います。なので、やはりある程度は国が指針を示してあげる中で、こういうものなんだよ、こういう使い方ができるんだよっていうのを示してあげないと、ギアが入らないのかなというふうに思いますので、電子契約というのがここに来て急にギアが入ったと、良いタイミングでもあるので、何とか普及の方策っていうのがこの検討会を通じて見つけられればいいかなと思っておりますので、皆様よろしくお願いいたします。
他に、特に委員の皆さんからご意見無ければ、この議事3についても、以上にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
では事務局の方にお返ししたいと思います。

事務局 當波: 皆さま、活発なご議論いただき、大変ありがとうございました。本日いただきました意見につきましては、次回以降の議題にも反映させていただきます。
本日の議事録につきましては、後日委員の皆様にご確認いただいた後にデジタル庁ウェブサイトにて掲載をいたします。
また、次回の検討会につきましては、改めて日程を調整の上へご案内をさせていただきます。委員の皆様におきましては、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
以上をもちまして電子委任状施行状況検討会第1回を終了させていただきます。皆様、ありがとうございました。

以上