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デジタル交通社会のありかたに関する研究会(第2回)

概要

  • 日時:令和4年4月27日(水) 10時から12時まで

  • 場所:東京ガーデンテラス紀尾井町4階
    紀尾井カンファレンス セミナールームA(オンライン併用)

  • 議事次第:

  1. 開会
  2. ご発表、討議
    「持続可能な街づくりと移動ニーズ解消のための不可欠要素について」
    AsMama 甲田様
    「リビングラボ(living lab)を通じたユーザー共創による地域づくり」
    福岡地域戦略推進協議会 石丸様
  3. 閉会

会議動画

会議の様子はYouTube(デジタル庁公式チャンネル)にて公開しています。

資料

関連政策

議事録

瀧島参事官: 定刻になりましたので、よろしければ開始させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

私、デジタル庁で、今回、事務局をさせていただいております瀧島と申します。

では、最初に、村上統括官から御挨拶をお願いしたいと思います。

村上統括官: お集まりいただいて、ありがとうございます。

1回ぐらい、ぜひリアルでやってみたいというお願いをしまして、この機会をぜひ有効活用していただければと思います。

それから、もう一つ、前回同様に1枚だけ紙を持ってまいりました。「新たな生活経済モデルの構築」と書いてございますが、実はこれは今日の夕方に総理の前で牧島大臣がデジタル田園都市の会議で説明をする資料の最初の2ページでございます。

この場にお集まりの方との関係でも、ほぼ釈迦に説法ではないかと思いますが、御存じない方も多いので、念のため、サーキュラーエコノミーの考え方を一旦紹介してございます。

こういう紹介の仕方をしているという御案内でございますが、昭和の時代は、上の検討・購入の時代が、販売単価も上がるし、販売台数も上がるということで、合理的な理屈の帰結の結果として、確実に増える検討・購入の前に、長いバリューチェーンをつくり、そこにいろいろな産業の参入を促すということが合理的だったから、結果として物づくり中心の経済が出来上がったし、そこに生産性の高い分野への労働人口の移動が起きれば、結果として国全体の労働生産性が上がる。

こういう論理が基本的には日本の高度経済成長の論理でありましたし、現に製造部門での雇用吸収力が高止まりになり、製造業の売上高が伸びなくなった2001年以降、結果として日本の労働生産性も増えない、賃金も上がらないという状態になっているのでしょうか。

したがって、サーキュラーだから、リサイクルだから、省資源だからというだけではなくて、論理的必然として、素人向けに御説明させていただくときに使っていますのは、例えば、製造原価120万円、販売単価150万円の車があったとすれば、従前は120万円の車は台数も売れたし、単価も上がっていた。ですけれども、ちょっと失礼なのを承知の上で、長い目で見れば、販売台数は増えない。加えて、販売単価も、お金持ちだからいつかはクラウンに行くかといえば、必ずしもそうでもない。プリウスでよいという方もたくさんいらっしゃいます。

そういう意味では、例えば、むしろ製造原価120万円の車を週に2万円稼ぐサービスに回せば、大体年間300万円のキャッシュが上がるわけですから、300万円と120万円の隙間に合理的なサービスの投資額が積めれば、結果として30万円の差額よりも、1台の車で上がる収益率は大きいのではないですかと。

こういうさじ加減からいっても、当然ながら、経済はサービスにシフトしていくし、それをやろうとすると、どうしてもシェアードのよさが出てきます。物売りではないので、専有できない状態で物をお使いいただくというのも、よしあしを別にして、そういう経済にならざるを得ないという構図にいるというところから僕らは議論をスタートし、その結果としてリサイクルや省資源も進んでいくし、サービスを中心とする経済に変わっていくと理解をしたらどうでしょうかと。

ですから、下の紙でも、これはタクシー協会さんがオーケーかどうかなのですが、バス、タクシーなどの種別の枠組みを越えればいい。

ここで私が地域の方によく申し上げていますのは、バス2社、タクシー2社がいて、みんな経営が苦しいと言っている。ですけれども、市民の声を聞くと、夜は運んでもらえない。病院に行くときに手段がない。需要はあるのに、供給がみんな苦しんでいるというのはどういうことですかと。これは明らかに供給の仕方がおかしいという問題ですよねと。

ところが、シェアードの論理を含もうとすると、会社インフラだけなのか、自動走行車両の運行システムだけなのか、はたまた車両まで行くのか、その辺りはマーケットの中で協調領域と競争領域の種別を決めていけばいいということだとは思いますけれども、何らかのデジタル基盤の共用という論議をしていかないと、先に行かないのですと。

デジタル田園都市国家構想は、こういう状況に追い込まれた地域経済のサービス業シフトに当たって、様々なサービスが共用せざるを得ないデジタル基盤に対して、どうやって投資やコストをシェアするかというコンセンサスがなかなかつくれないという現実に対して、どうアドレスするかというのも隠れテーマの一つとして持って、今、まさにいろいろ御指導いただいているのですが、ウェルビーイングの指標という一つの共通のゴールを持って、みんなで議論するという大義名分をシェアするプロセスをつくっていったらどうでしょうか。これが今日、牧島大臣にデジタル田園都市の会議で説明をしてもらおうと思っていることでございます。

前回、まさに住民視点での課題解決の重要性や、まさに共助の境界、データ活用による住民の説明といった部分であるとか、それに対する規制インフラ側の対応といったところを、橋本町長、宮代様をはじめとして、プレゼンし、議論いただいた流れもここに乗っているかなという意味では、こういった状況認識も一つ共通のベースとして持ってもいいのではないかなと思いまして御紹介させていただきましたが、実際にはそれが暮らしの高付加価値化につながっていかないといけないという意味では、まさに今日、甲田様にプレゼンテーションいただく話であるとか、リビングラボを通じて石丸様のところがやっているチャレンジであるとか、まさに空間の高付加価値化につながっているかどうかというところがないと、今度は基盤を共用するための基盤の共用論議だけやっても、何のためだという話になりますので、そういうところが1回目から2回目にかけての今日の議論の位置づけかなと思います。

私、たくさんしゃべるのはこれだけにいたしますので、あとは、皆さん、自由に御説明を聞いた上で御議論していただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

冒頭、失礼いたしました。

石田座長: 今日もよろしくお願いいたします。

最初が甲田様からでございますので、よろしくお願いいたします。

甲田構成員: 改めまして、私、株式会社AsMamaの代表取締役をしております甲田恵子と申します。また、シェアリングエコノミー協会の創設理事も務めておりまして、シェアリングエコノミーの産業の発展にも寄与できればと思っておりますところと、全国の自治体様のデジタル化の情報化アドバイザーとして総務省からも任命されております。

本日は「持続可能な街づくりと移動ニーズ解消のための不可欠要素について」、我々の実績と知識に基づいて御紹介をさせていただければと思っております。

と申しましても、すばらしい先生方の前で、AsMamaとは何ぞやというところもあるかと思いますので、我々の事業の紹介を少しさせていただきたいと思っております。

我々は2009年に創業いたしまして、アナログとデジタルの両方で地域ごとの生活・子育ての頼り合いコミュニティづくりを実現し、地域ごとの社会課題解決、経済的自立を両立するソーシャルビジネスのリーディングカンパニーだと自負しております。

シェアリングエコノミー市場は今や2兆円市場と言われておりまして、AsMamaは主に子育てのシェア×スキルというところでアンカーを切ってまいりました。

一方で、今や2兆円市場に及ぶシェアリングの中では、例えば、nottecoのような乗り合いサービスでしたり、カーシェアといったものでしたり、モビリティに関わるところでも多くの参加企業がおりまして、日本の中でも今やシェアリングエコノミー協会には300社を超える企業に加盟いただいております。

我々がAsMamaを立ち上げた背景から申し上げますと、釈迦に説法ではございますが、今の日本の経済を見ると経済横ばい・低賃金で、これが高度成長期のように高収入になるような時代は恐らく来ないと思われます。

また、未婚・晩婚化が進み、不妊とか低出生数といったところも非常に大きな課題です。だからこそ、共働き、1億総活躍と言われるように、女性が社会で活躍することを求められるわけですが、諸外国と比べても女性の賃金は低く、結婚・出産をしても、共働きでなければ、もう一人子供が産めないという状態です。

また、地域コミュニティの希薄化で、地方への移住が進んでも孤独・孤立するというところ、一旦地方のほうに移住生活、2拠点生活を夢見ても、地域コミュニティがないからこそ、また、都会のほうに帰ってくるという方々も多くいらっしゃいます。

こうした少子化・人口減少というのが日本の大きなソーシャル課題のど真ん中にあるわけですが、我々AsMamaが創業したとき、2009年頃は6割から7割の女性が妊娠・出産を機に仕事をやめるという事象が起こりました。

仕事をやめるとどうなるかというと、世帯所得は当然2分の1になります。世帯所得が2分の1になると、男性は長時間労働して家計を背負わなければいけなくなります。男性の30代、40代の死因1番は自殺と。世帯収入が少なくなるので、経済的なことが理由で2人目を産み控えるということが起こってまいります。

こういった先輩たちを見て、結婚するのはやめようかな、同棲婚でいいかなということで、また少子化が進むというところです。少子化が進めば、言わずもがなですけれども、国・地域・家庭の経済力が低下して、ますます子供が産めなくなります。国・地方からの人離れというのも当然起こってきます。

今日の夜も大学のほうで講演させていただくのですけれども、今、優秀な大学生は日本の未来に悲観して、海外に留学してしまおうかな、戻ってくる予定はないといった学生も声もよく聞きます。非常に残念です。

また、日本にいる限り、次世代の福祉の負担というのも、今の高校生、大学生は非常に賢くて、どんどん日本が国債を発行する。その借金は一体誰が持つのだろうというところも非常に不安に思っています。個人負担の増、借金先送り、これも非常に大きな課題だと思っています。

つまりは共働き、共稼ぎ、地域子育てができるという社会基盤がないと、出産・子育ては困難で少子化は一層加速する。さらに、今は元気な高齢者の方々も非常に多くいらっしゃいますので、そういった方々が日本のどこで暮らしていても、安心して暮らせる基盤をどうやってつくるか。モビリティもその要素の一つでしかないと我々は考えています。

また、すばらしい先生方が意見を出し合われるこういう機会も非常に重要なのですけれども、我々はもう国や自治体頼みの時代ではないと思っておりまして、自分たち市民が自主的・主体的に社会課題解決にどう関わっていくのかというところに逆に目を向けて、国が施策を考える、自治体が施策を考えるだけではなく、市民をどう巻き込んでいくのかというところが、ここから本当に社会課題を解決していくのに非常に重要だと思っております。

今、我々が提供しているアプリは2つあります。1つは、デジタルを活用して、顔見知り同士で子供の送迎や託児を頼り合えるアプリです。こちらは登録料も手数料も一切利用者からは頂きません。それでも、万が一の事故のときには全利用者に保険を適用させて、知り合い同士で安心して子供の送迎や託児が頼り合えるようにしています。日本全国、離島だろうが、隣近所に子育てを頼れる、もしくは助けてあげたい人がいれば、誰でも使えます。知らない人に子供を預けるわけではないので、子供も大人も安心して使えるという特徴があります。

ただし、どうやって使うかというと、相手に自分の携帯電話の下4桁を入れてもらわなければいけない。つまりはアナログ的に、LINEだろうが、電話だろうが、対面だろうが、自分の電話番号の下4桁を伝えられる相手でなければ、つながれないという安心・安全性を担保しています。

双方が合意すれば、熱が出たので子供を見ていてほしいといった預かりも、第2子を出産するので上の子を泊まらせてほしいというお泊りも、送迎・託児が昔の御近所同士の長屋で子育てをしていたように、双方が合意すれば預け合えるといったサービスになっています。

また、お下がり、お裾分けといった「モノ」、それから、買い物に行くのだけれども、一緒にライドシェアしてくれないか、一緒に乗せていってくれないかといった一緒にお出かけもできる機能を備えています。

助けてというのを発信すれば、あらかじめつながっておいた誰かが「いいよ」と返事をくれれば、その人とマッチングして、あとは1時間500円を手渡しもしくはクレジットカードで支払えばいいだけというサービスです。

こちらは2012年にローンチ化しまして、今、約9万人の方々が日本中でお使いいただいています。

ただし、課題は、今、98%の人たちが、子育てを頼れる人、一緒に乗り合いさせていただける方、そういった方々がいないという日本の現状です。

そこで、我々が取り組み始めたのが、子育てシェアを再設計いたしまして、本当にこの地域で自分たちの管理する商圏の中で、もしくは管理するエリアの中で、人々が頼り合わないとその地域の人たちが安心して暮らせないと思っている自治体や商業施設、これからの暮らしにはこういう頼り合いが必要だとお考えになられる不動産会社と連携して、エリアごとの住人同士が仲よく頼り合えるコミュニティをつくる「マイコミュ」というアプリをもう一つ並走させております。

これは後ほど実績を御紹介しますけれども、地域の人たちが仲よくなる機会そのものがもうないといったところで、この地域の人たちが仲よくなる機会をつくりたいという地域の担い手をきちんとその地域で募集・育成して、我々のコミュニティ創生のノウハウを提供し、毎月、地域の人たちが仲よくなる機会やお預かり体験会、乗り合いでどこかに出かける機会、そういう体験機会を我々のほうで最初はリードしてつくりながら、やがては自発的に地域の人たちが送迎・託児やお下がり、お裾分け、頼り合いといったことができるようになっています。

企業や自治体様はコミュニティを立ち上げるというところの3~5年ぐらいのバジェットを持っていただくのですけれども、コミュニティが1回できてしまえば、自発的にコミュニティが運営されるので、我々はまさに地域で担い手を育て、交流イベントを住人主導で定着させ、このアプリを実装することによって持続可能な頼り合いのコミュニティをつくるということを行っております。

やはり同じ地域に住んでいる、同じマンションに住んでいる、同じ商業施設をハブにしているという安心感から、このコミュニティの中で人的なトラブルが起こったことはこれまで1件もありません。

子育てシェアに加えて、地域情報とか趣味などをシェアするグループ機能もこのコミュニティの中にはあるので、例えば、一緒にゴルフに行きたいゴルフ部とか、DIYが好きなDIYグループとか、農作業をすることが好きな農作業グループといったものもコミュニティの中にどんどんできてくるというものでございます。

このように地域の人をきちんと育て、地域の人たちに自治体が、もしくは不動産会社が何を目指しているのか、住人の皆様にどうなってほしいのかということを自治体だけが伝える、不動産会社さんだけが伝える、商業施設さんだけが伝えるのではなくて、その下にいるアンバサダー的な地域の担い手、我々は「シェア・コンシェルジュ」と呼んでいるのですが、そういった人たちが住民目線で、チラシだったり、SNSだったり、自分の持っているブログだったり、そういったマルチチャネルで、どういう街になりたいのか、どこでどういう交流イベントが行われているのか、なぜそんなことをしているのかということを根気よく発信して、なおかつ、イベントに来てくださった方、出会った方、そういった方々に街専用の、住まい専用のアプリに登録してもらい、さらにそこで情報のサーキュレーションを起こす。頼り合いを起こす。このデジタルとアナログの両輪で地域と企業と生活者をつなぐということを行っています。

実際にこのように頼り合えると、当然、子育て世帯の人たちは、育児不安の解消とか、多世代交流、それから、誰かを支援することによって、自分のスキルをシェアすることによって自己実現がかないますし、企業もそういった生活者の方々と対面でセミナーをして、自分たちが持っている知見をシェアしたり、自分たちが持っているサービスを体験していただくことによって、ファンの獲得、いわゆる顧客獲得になりますし、プロモーション、採用・雇用促進というところにもつながります。それこそが地方で、都会で企業が生き残っていく最たる方法なのかなと思っています。

自治体にとっても、こうした頼り合いの社会基盤があるところには、当然、人が移り込んでいきますし、毎月毎月、住人主導型でたくさんのイベントや体験会を実施していれば、いろいろな人たちが訪れて関係人口が増えます。様々な取組をされていらっしゃるところでは、当然、どうせ住むならここにしようかなということで、2拠点生活、移住というところにつながっていきます。

移住すれば、子供を1人産んでも、3世帯、4世帯で子供を一緒に育てられる。そういう環境があれば、もう一人産んでも大丈夫かなと当然思うわけです。そうすれば、出生率の向上につながります。大体半径30分で移動できるエリアを一つのコミュニティエリアとして、こういったコミュニティを日本中に広げていく。それがAsMamaの取組であります。

肝心なのは、何度も繰り返すようですけれども、やはり地域に住んでいる思い入れのある人でございます。このシェア・コンシェルジュという人たちには、我々がシティープロモーションにつながるような情報発信のノウハウを教えるのと同時に、その地域で困っている困り事を解決するためのノウハウですね。全く遊びのファシリティーがないところであれば、様々な交流イベントを実施するノウハウを教えますし、ベビーシッターとか、ファミリーサポートといった送迎・託児の支援がないところであれば、積極的に送迎や託児の安心・安全管理に関する研修を行いますし、塾・習い事等々の送り迎えの足がないということで困られている地域であれば、寄り添いながらの送迎支援というところを我々のノウハウをお教えします。

どういった役割を持つ人たちを重点的に集めていくかというのは、地域によって異なるのですけれども、基本的には情報発信、交流機会づくり、送迎・託児のサポートというところを担っていただいております。

彼、彼女たちが何かをしたときに万一事故が起こったら、そこは我々が保険を適用させてやりますよというところです。

今は1,500名ぐらいいて、もともとは子育てを頼り合うという軸で事業を始めたので、主婦の方々が半分ぐらいなのですけれども、自治体様や企業様と組んでコミュニティ創生を始めてくると、中には議員さんとか、中小企業の社長様といった方々も、やはり街をよくしたいと思って我々のコンシェルジュになってくださるようなケースがたくさんあります。

面白いことに、主婦の先には主婦がいます。議員さんの先には議員さんがいます。本当に市民に浸透させるためには、マルチなチャネルで何を目指していくのかということを発信していく。マルチなチャネルというのは、マルチな人が発信していくということが重要です。

この発信がなければ、この先にアプリを登録してくださいとか、イベントに来てくださいとか、皆さん、ここは我慢してくださいと言っても全然浸透しないのです。なので、我々は、頼り合いのまちづくりを担いましょうというときには、まずは地域ごとにシェア・コンシェルジュを募集して、丁寧に育成するというところを重要視しております。

肝心なのは、概念だけを言っていても、人というのは分からないのです。なので、それを体験してもらう場所をつくるのが大事です。人と人、人と企業と地域をオンライン、もしくはオフラインでつなぐ交流会というのを、我々は今、年間2,000回ぐらい実施しています。

例えば、子供を預け合いましょう、頼り合いましょう、このアプリは登録料も手数料もゼロ円ですよという話をしても、どんなときに預けていいのだろう、子供が泣くのではないだろうか、子供が嫌がるのではないだろうか、こんな理由で預けていいのだろうかと皆さんが思っています。だからこそ、その固定概念を外すために、まずは気軽に遊びに来てください。お母さん、1時間帰って大丈夫ですよ。お掃除してきて大丈夫ですよといった場所をつくります。それも我々だけでやるのではなくて、例えば、地域のシニアボランティアの方々を巻き込んだり、一時預かりの余白のある地域の保育施設と連携したり、そんなことをしながら、地域の遊休資産、余っている幼稚園だったり、余っている人だったりを体験してもらう機会をつくります。

また、野外活動や地域活性、これも何かあったときの予防訓練をしてくださいね、消防訓練をしてくださいねと言ったって、誰も消防訓練なんか行かないわけですが、消防団と組んで、面白おかしい防災訓練イベントがありますよ、そこでちょっとしたお菓子の1つももらえますよというと、自然な形で防災訓練の知識を学びながら、地域の人たちが消防団と顔を合わせる機会をつくってくださるわけです。

それ以外にも、地域の遊休資産という意味では、お教室をやっているところとヨガ教室をやってみたり、運動会を共同してやってみたり、この地域にはこんな人たちがいるのだなということを知ってもらうということが大事かなと思っています。

例えば、タクシー1つでも、どうしても必要に迫られてタクシーに乗るのではなくて、タクシーにすごく面白いおじいちゃんがいる。すごく面白い運転手さんがいる。その人との交流イベントをつくって、あの人にだったら乗せてもらいたいな。どうせ移動するのだったら、自分で危険を顧みず慣れない運転をするよりも、あの人に来てもらいたいな。そう思ってもらえたら、無理して自分で運転するよりもタクシーに乗ってみようかなと思うわけです。そういうリアルな人と人との出会いがないと、自分たちが何を実装させたいのか、何をしてほしいのかというのがつながらないということです。

それから、季節行事、文化活動というのもたくさん行います。クリスマス会、ハロウィン、こういった年間行事のものに関しては、どんな業種の方でも、どんな年齢の方でも参加しやすいので、こういった機会に地域の方々が顔を合わせる機会というのは大事につくっています。

こうして頼り合いのまちづくりをやらせていただいてきたこれまでの実績というところでございますと、内閣府の方にはよく知られた、いろいろなところで御紹介いただいている案件ではございますが、昨年3月に終了いたしました地方創生案件で舟橋村と共同した事例でございますが、村内施設の図書館とか公園とか、日本一小さな村ですので、とにかく遊べる場所なんかない。そこで、地域のシェア・コンシェルジュが、毎月、園を使ったイベントを実施したり、それから、20世帯ぐらいが住んでいる村営住宅では、本当に軒先で、公園で遊ぶ人たちを見守りながら、家の中に公園で遊ぶ人たちまでも出入りする。そういった頼り合いの町のモデルケースをつくりまして、5年間で関係人口が物すごく増えて、出生率が1.5から1.9に増えたというところがあります。

毎月、いろいろな人たちが、富山市とか、村外からこの村を訪れて、この村の良さを知っていったことで関係人口がまず増えた。若年層の転入が当初想定した地方総合戦略よりも5倍近く増えたことによって、移住が促進され、若年層が入ってきて頼り合いができたからこそ、1.9に増えたというところがございます。

では、この施策が行われず、転入者数がなかったら、出生率はどうなっていたのですかというと、出生率は1.5のままです。つまりは、やはり若い人たちが町を知り、面白いなと思ってそこに移り住み、もう一人産める環境がないと、出生率というのは上がらないということです。

奈良県三宅町も今年度、最終年度でやらせていただいているのですけれども、去年4月にMiiMoという複合施設が建ちました。語弊がなければいいなと思いながら言わせていただくと、地方の複合施設は割と負の遺産だなと思っておりまして、高いお金で造ったはいいが、年間数千万円の運営費用がかかり、誰が使うのだというと、年間数回しか使われていないみたいなものもたくさんあるかと思うのですけれども、そうならないために1年目で20名を超える地域のコンシェルジュを育成して、その人たちが中心になってクレープ屋さんをやってみたり、お下がり会をやってみたり、バザーをやってみたりということで、積極的にそういったファシリティーが使われています。素案で地域の人たちが交流するような場所ができれば、当然、乗り合いとか、預かり合いとか、そういったところを拠点にして起こるわけです。

また、その町にはベビーシッターもいなければ、病院もないというところなのですけれども、保育士資格を持っている方や看護師資格を持っている方はいるわけです。それを業とされていないだけです。デジタルアプリを使って、私は保育士資格を持っていますよ、私は助産師資格を持っていますよということが発信できれば、隣町の病院に行くか、行かないか迷ったときに、このアプリの中で、隣町までタクシーを飛ばして病院に行ったほうがいいですかということを看護師資格を持った人に聞いて、今回は一晩様子を見てもいいのではないですかみたいなアドバイスをもらうだけで、夜中に無駄なタクシーの往復をしなくて済むわけです。このように人がワンストップになることによって、問題が解決するケースがございます。

肝心なことは、持続可能な地域コミュニティ形成の不可欠プロセスとしては、きちんと人を育て、場をつくり、このアプリを実装させる。これは一朝一夕にはいかないというところでございます。大体実証と呼ばれるものは、ゴールを見て3か月ぐらいで何とかしてくださいみたいなものがあるのですけれども、それは非常に難しいというところでございます。

これまでのところで、デジタル社会における考慮すべき変化というところに関しましては、まず、情報社会になりますと、特徴といたしましては、需要に供給が合わせるということです。これまでは供給に人が合わせるというところがあったかなと思っています。

例えば、公共交通でいえば、来た乗り物に乗るというところでございますが、オンデマンドバスだったり、友達同士の助け合いだったり、乗り物を組み合わせて乗るといったことも今後は行われていくと思います。

事前に予約を取って病院に行くというところから、自動的に予約が取れるといったところに変わってくる。生活の変容によっては、そういったところも行われてくると思っています。

考えるべき課題です。

今、こちらで話し合われていることでいうと、正直、MaaSなんて世の中の9割以上の人は知らないと思ったほうがいいと思っています。地域によって、課題対象者によって、ニーズが違えば、課題解決方法も異なります。中央集権的な施策で、単一施策で解決しない可能性が非常に大きいと私は思っています。

言わずもがなですが、時代も変化しますし、技術も進歩します。今のデジタルデバイスというのは恐らく5年後には化石なのです。なので、考えながら進化させる。何を使うのかというところも、アジャイルで実装するということが非常に重要です。実装のための実証であれば、ニーズと可能性、把握のための適切なコストと期間とスキルが必要です。

単年度を前提にした、住人を中心とした地域課題解決実装というのは、これまで我々もさんざんチャレンジしましたが、無理です。

生活者主導にするためには、課題も目標も実装経過中における想定内外のこともきちんと生活者とシェアして、そして、次なる一手を住民を巻き込んで一緒に考えるということが非常に重要だと思っています。
 
最後に、デジタル活用による考察というところでは、「働く」と「モビリティ」と「デジタル」を掛けると、今、コロナですごくいいチャンスだと思っているのですが、通勤を苦痛に感じますかということに関しては、ほとんどの人が苦痛に感じると言っていて、一番苦痛なのは満員電車です。満員電車は本当に苦痛ですよね。戦争時代と同じストレスだと思っている。

我々は2009年から全社員がリモートワークで、働く場所も時間もスタイルも全部フレックスという形でやっています。1,500人超のリモートワーカーも全員フレックスです。自治体・企業と連携した地域創生においては、在宅ワークなどのワークショップも可能にしています。

リモートが加速しているのですけれども、では、皆さん、どうぞ自由に働いてというのが成り立つわけではなくて、信頼関係構築のためのリアルなオフサイトのミーティングもたくさん実施しますし、それから、様々なデジタルツールも使います。昔から使っているのは、スカイプだったり、Slackだったりもそうですし、グーグルアナリティクスとか、そういったリアルな快適さ、コンフォータビリティーを実現するために、モバイル、デジタルというのは非常に有効かなと思っています。負を解消するためのデジタル・アナログの支援というのは必須ですよというところです。

ただ、今、リモートワークがすごく推されていますけれども、そうすると、今の既存のインフラの電車だったり、バスだったり、そういったところはどのように今後の業態を変容させていくのかというのを考えるのが非常に重要だと思っています。

参考ですけれども、移動の減少というところで「移動する=経済活動をする」というのは、少子高齢化、働き手の不足などが重なって縮小が目立っています。つまりは、いかに人を移動させるかというところも経済活性には非常に重要なのかなと思っていますし、これまでインフラと言われたところが業態をどう変容させていくのかというところも非常に重要だと思っています。

子供の送迎・通学とデジタルに関していうと、これもコロナでかなりオンライン化が進みました。これ自体は、経済格差の解消とか、不登校児の学習支援とかに非常に有効というところがありながら、8割以上の保護者が、子供が家にいることをストレスだと答えているのです。なので、リモートワークで解消される、リモート学習で解消される問題もあれば、当然、リモートというものを取り入れることによる負もアナログ的には発生しているわけです。

我々は、ではどうするかといったときに、子育て世帯を独りにしないということで、1世帯に対して2人のシェア・コンシェルジュをつけたチーム子育てを、デジタルデバイスを使って実現しましょうということを今年の4月から始めました。これは企業の人事施策とか、自治体の子育て世帯を独りにしない孤独対策として有効なのではないかと考えております。

人口減少下における子育てを支援するモビリティとデジタルというところに関しましては「みちびき」という日本版のGPSを使って、地方におけるグーグルマップにも出てこない情報を可視化するという実証に昨年参加させていただくことができました。

生活者の方々に、Beaconと呼ばれる本当に1メートル単位で位置情報が取れるものを持っていただいて、どういったところに地域の人たちが集まるのかということをマップにして、地域の人たちに知らせ、こんなところがあるのだ、こんな人がいるのだという地域の資産を可視化させたことによって、地域活性化を促したという事例でございます。

道路の中に、地域の中に隠れた資産というのはまだたくさんあるはずで、そういったものを可視化していくということも、地域の中で移動を促す、経済を促す非常に重要な要素なのかなと思っています。

最後になります。

デジタルとモビリティをどうやって生活者の方々に浸透させるかというのを考えたときに、皆さんの生活が便利になるのだと、社会課題を解決するのだということをしっかり分かってもらうことだと我々は思っています。

村上統括官もおっしゃられていましたけれども、サーキュレーションというものをどのように地方で起こしていくかが重要だと思っていまして、今夏には、大量生産、廃棄、環境破壊に打ち勝つ。そして、物流がこれだけ増えたというところを何とか抑制して、地域の人たちのつながり、物を大事にするといった文化を生むために、ローカルキャピタルを可視化させた「ロキャピ」というサービスをローンチするという予定でいます。

これも同じように地域の循環型社会をつくりたい、物を大事にすることによって地球環境を守りたい、同じような市民、目標を持つ人たちと地域でつながりたいという人たちを中心にして広げていきたいなと思っています。

また、この中で、大事にされるアイテムはどういったものなのかというデータをどんどんいろいろな生産事業者様に提供して、よりサステーナブルなものをつくっていただく。そういった循環型社会に寄与していきたいと思っております。

まとめといたしましては、デジタルを活用したモビリティ課題解決のためには、生活者への目的周知、主体的関わり支援、経過共有、そして、そのための時間が必須です。

デジタルは万能ではありません。時にアナログには劣るとも勝らずというところがあると私は思っています。それでも、デジタルは、人口減少社会における人的介在を効率的に補佐するはずというところでまとめさせていただきたいと思います。

石田座長: 熱く語っていただきまして、ありがとうございました。

これからディスカッションに入りたいと思います。

ウェブで御参加の方は手挙げ機能とチャット機能を御活用いただければと思いますし、事務局でつくられた、この案件で議論してほしいというものが出ております。

お願いします。

齊藤構成員: ちょっと質問をお願いします。

今のはすごくいい取組だと思いますし、今も聞いていて、アナログとデジタルというか、コミュニティをつくるという話は非常に重要で、デジタル社会になってくると、結構ドライ化していくというか、あまり人間味がなくなってくるというときに、やはり地域のコミュニティでこういうデジタルを活用しながらマッチングをするというのは非常にいいトライだと思うのです。

私自身、DADCのセンター長で、マンションの世界でやはりそういうものが必要だよねと考えていたところで、実際にやられているのでびっくりしているのですが、ちょっと気になったのは、インフラとしていろいろ造っていくと、ある意味、みんな、これを使って生活をされます。何かがあったときにいろいろ頼む。それが止まったときにはどうなるのだろうと。

そういうところの信頼性とか、セキュリティーみたいな話が、システムがあるし、もう一つは、コミュニティでいろいろな人たちがつながっていくときに、通常、よく言われる「変な人」がいるかもしれないと。そういうインタラクションのやり取りの品質をどうやって上げるか。ある意味では、きちんと安全性をキープしていくみたいなことをやっているのか、その辺の取組について、どうなのかなというのをちょっと伺いたい。

一番伺いたいのは、こういうものをやると、ビジネスモデルとしてなかなか回りにくいですよね。アプリ自身はただとおっしゃるのだけれども、では、今はどういう形でビジネスを回しているのかというのを伺えたらなと思って質問させていただきました。

甲田構成員: ありがとうございます。

まさにデジタルを使った社会基盤にしていこうとすると、万一これが止まったときにどうするのだというのは大きな課題だと思います。どんなモビリティのサービスが広がっても、その問題はあるのかなと思うのですけれども、我々はあくまでも情報ハブなので、このアプリだけでつながるのではなくて、直接つながってもらうとか、電話がかけられるとか、支援提供者さんと被支援者さんを様々なチャネルでつながる状態にしています。なのだけれども、このアプリを使うと、保険もついているし、手数料も何もかからないし、便利だよねという状態です。

つまりは、いろいろな情報、いろいろなサービスのハブになっているというだけで、直接つながろうと思ったら、別チャネルでつながれるという状態をつくっているというところが一つ大事です。

また、万一変な人がいるとか、何か不具合があるといったときには、面白いほどこの中間にいるシェア・コンシェルジュという地域の担い手がまさにホットラインになって、アナログ的にメールだったり、電話だったり、様々な方法なのですけれども、本部のほうに何か変な人がいると。ネットワークビジネスっぽい商品の商売をしながら、交流会をしている人がいるみたいなことなどは、我々がデジタルデータでいろいろ見て、ブラックリスト、グレーリストから抽出するよりも、人が教えてくれるというのが一番早いのです。

一番早い上、なおかつ、収めやすいです。これはデジタルで殺伐と「あなたは退会です」「あなたのサービス機能はストップさせます」ではなくて、しっかり事情を聞く、話を聞くといったプロセスもサービスを浸透させるときには非常に重要だと思っています。

我々のビジネスモデルとしては、こういうコミュニティをつくりたいという自治体の地方創生推進交付金とか、一般財源でやられるケースも最近は出てきましたけれども、そういった事例。それから、不動産会社が新しくマンションを建てるときの付加価値サービスとして販売促進費で持っていただける。それから、商業施設が地域連携ということで地域協働のための費用として持っていただく。そういったところがありますし、また、このコミュニティを活用して、自分たちのお金に関する知識を提供したいという保険会社さんとの連携とか、それから、食に対する知識を提供したいということで、食を扱われる企業様とのマーケティングやプロモーション、そういったところも御支援させていただくことによって、ビジネスモデル的にはB to BもしくはB to G、B to Cに関しては一切お金はかからないというビジネスモデルでやらせていただいています。

石田座長: ありがとうございます。

どうぞ、川端さん。

川端構成員: 地域の解決方法で、コミュニティ形成が肝と伺っていました。私も子供がいるので、私の子育てのときにこういうことがあったら、もしかしたら2人目を産めたかなと、本当に泣いてしまう感じで聞いていて、私の場合、たまたま共同でコミュニティがあるところで子育てできたので、それでも働けたのですけれども、こういったサービスが浸透して、私たちが本当に気軽に働きやすくなるといいなと思って聞いていました。

それに当たって、とはいえ、真面目な議論をしなければいけないなと思って聞いていたのですけれども、すみません、私が勝手に感動して聞いておりまして、男性陣が多い中で、大分違う感想を持ったのかなと思って、特に1人目を産んだ人に2人目を産んでもらうほうが全然楽なのですよね。身体的に産めない方もいるし、1人目を産んだ後にもう一人というと、やはり身体的にも産めるし、子育てというのは2人以上のほうが全然楽なのですよね。

なので、私は当時、LINEのない中で近所で勝手にコミュニティをつくって、すごいローカルで、働いていないお母さんが遊びに行ったり、美容院に行くのに誰にも頼めないから、それを預かる代わりに自分が働いている時間に預かってもらうという、勝手に形成してやっていたのですけれども、当時、デジタルツールがあれば、大分違ったなと思って聞いていました。

そういった中で、どうしても女性にはやはりデジタルに弱いという場合があるのです。何か入りにくい。デジタルをデジタルと感じさせない工夫をどのようにしているのかなというのは、すごくここでは効用のことを聞いていたのですけれども、多分、皆さんはデジタル実装をやられている方も多いので、あえてデジタルをデジタルと感じさせないというのが本当はデジタルで一番いいところだと思うので、そういう政策について教えていただけることがあればと思います。それが最後の社会受容性のところだと思うのです。

それと、住民の声の反映というのは、どうしても声の大きい人と小さい人がいて、やはり地域コンシェルジュをやられている方の声というのは大変大きく伝わってくると思うのですが、小さな声を集める施策、サービスの場合、いわゆる黙って離脱してしまうという人がいるのですけれども、そういったところはどのように工夫しているのか。

その2点を聞きたいなと思いました。

甲田構成員: ありがとうございます。

デジタルをデジタルに感じさせないというのは、まさに神髄を突いた御質問だと思っているのですけれども、目的を先にきちんと伝えるということが大事なのです。例えば、高齢者の方というのは、LINEを使いましょうというと、お金に困っていないのに電話で構わないでしょうと。でも、ただで孫とビデオ通話ができますよと言うと、LINEを入れて、どうやってLINEが使えるのかを必死になって覚えるのです。

それと同じように、登録料も手数料も一切かからない。1時間500円で保育士資格を持つ何々さんに子供を預かってもらえるよというと、必死になってどうやって登録するのかという、デジタルの難しさ、デジタルに対する悲観的なところを越えてこられるというところがあるので、目的をきちんと伝えて、登録しにくいデジタル弱者の方々にはきちんと寄り添う。その最初のところは時間とコストをちゃんとかけるということが非常に重要かなと思っています。

2つ目の質問をもう一度、お願いします。

川端構成員: 声の大きな方と小さな方がいるので、小さい方は黙って脱落するみたいなことになりかねないので、その辺の調整というのはどうされているのか。

甲田構成員: まさにシェア・コンシェルジュの人たちというのは、すごく思い入れのある方々なのですけれども、私たちは、シェア・コンシェルジュ、自発的に手を挙げてくれる方だけではなくて、地域ケアセンターだったり、地域の福祉協議会だったり、保育園や幼稚園を回って、この地域の課題は何ですかということを聞きながら、大体そういう方々というのは、本当に小さな子供たちの遊べる場所がないのよねとか、冬になると移動もすごく大変なのよねみたいな話をされる。

では、タクシー会社にシェア・コンシェルジュになりませんかみたいな話をしに行ったりとか、地域ニーズに基づいてシェア・コンシェルジュを募集するので、あれをやりたいという人も一定数集まるのですけれども、地域の課題を解決しませんかという既存の活動団体からも毎月担い手になる方を募集するので、3年から5年かけて地域のいろいろな人たちを回ると、声の大きな人も小さな人も、ある意味、巻き込まれてくださるというところが特徴かなと思います。

川端構成員: そうすると、地域のコミュニケーションコストの削減ができていって、そこがビジネスモデルになっているということですね。

甲田構成員: そうですね。コミュニケーションコストというのは、デジタルを実装するときに、最初は物すごくかかるのです。デジタルが浸透してくるとコミュニケーションコストもずっと下がるので、コミュニケーションコストが最初はかかります。デジタルコストはかかりません。これが入れ替わる瞬間というのがあって、最初からコミュニケーションコストを下げるためにデジタル100で行くと、失敗してしまうのです。

なので、特に地方や、子育て世帯や高齢者に実装するときには、最初はコミュニケーションコスト100ぐらいを覚悟して、3年後にはデジタル100、コミュニケーションコストが10ぐらいに下がるというイメージを持たれると、うまくデジタル実装が進むのにな、といつも思っています。

川端構成員: 分かりました。すごく明確に答えていただいて、ありがとうございました。

甲田構成員: ありがとうございます。

石田座長: 宮代さん、どうぞ。

宮代構成員: 宮代と申します。どうもありがとうございました。

私も今、いろいろな現場を回っては、出てこない人、我慢してしまっている人をどうやって外に出てきてもらいやすくできるかなみたいなことをコミュニティの中でも考えて、仕掛けたりとかをやって、ただ、実際、なかなかうまくいかない中で、正直、今日のお話は物すごくヒントが多いなと思いました。

そこでちょっと質問なのですが、まさに民生委員さんとか、自治振興会の会長さんとかとお話ししながら、よく御存じなのですけれども、ただ、やはり交わってこない人をなかなか引っ張ってこないというのが何となく経験値としてはあって、個別の御相談みたいになってしまうのですが、今、我慢している人が、ある意味、どんどん退行しているような感じがするのですけれども、そういう人たちがもっと前に向く仕掛けみたいなところで、口コミだとかなんとかがその人の耳に届いて、気持ちがちょっと変わってみたいな中で、具体的な仕掛けとか、事例とかで御存じのことがあったら、今、そこが特に地方に行くほど鍵になってきていると私は思うのです。

甲田構成員: そうですね。マンションの中で交流イベントとかをしていても、例えば、高齢者の方々は、子供さん向けのイベントでしょうと言って来られないケースなどもあるのですけれども、高齢者の方だと、先生をお願いしに行くと、それは快く引き受けていただけたりします。自分が参加者として入るには興味がないけれども、先生として入るには構わないよと。

それから、地方のほうで、そういうイベントごとは好きではないというような方、一人親の方とかは、そういう集いに行くのははばかられるというケースがあるのですが、では、そういう人たちが喜ぶことは何だろうというと、今も日本全国で無料の宅食弁当を1世帯4パックずつ配りますみたいなことをやっているのですけれども、ただで管理栄養士が作った高級なお弁当を1家族分もらえるというと、来るのです。

そのときに、よかったら今度イベントを実施するときの運営をちょっとお手伝いいただけませんかということで、参加者が向かない人は、意外と主催する側のお手伝い、役割をきちんと明確にすると、その人たちが出てくるケースというのはとても多いです。

宮代構成員: よくお菓子みたいなものがあるのですけれども、やはり弁当の方が参加率は高いですか?

甲田構成員: そうですね。フリーランチはすごく効きます。ファミリーイベントも、大体パパは何でこんなところに連れてこられたのだよみたいな顔をされるのですけれども、設営も私たちは100%やらないのです。大体70%ぐらいで、重たい机とかはわざと積んでおくのです。お父さんに、すみません、机を全部開いてもらえますかみたいなことを言うと、めちゃくちゃ張り切って、その後の座談会はお父さんの会みたいになります。

宮代構成員: ありがとうございました。

石田座長: ほかにいかがでしょうか。
 
葛巻構成員: 先ほど話が出た人材の話で、特に地方とかだと、スキルのある人材、時間も持っているしという形で、そういう人を巻き込んでいかなければいけない。先ほどコミュニケーションとデジタルを3年ぐらいでひっくり返していくという話があった。データとしてやはり残したい。ニーズがどこにあるのか、データを持っておきたいのですが、そこは誰かが入力していくのですか。どんな形でそこを運営していくのか。

甲田構成員: おっしゃるとおりです。今はまだ我々は小さな会社ですので、そういったアナログ的な情報というのは、当社の社員が全てデジタル化してデータで持っているという状態なのですけれども、これがより広がっていって、例えば、今夏にローンチする「ロキャピ」なんていうのは、おじいちゃま、おばあちゃまたちの家の物を地域の人たちとシェアするというのは、アンバサダー的な人が行って、代わりに登録をして、貸し借りをするというときには、おじいちゃん、おばあちゃんたちが持っていって、変な人と会うと困るので、待ち合わせ場所はあらかじめ派出所の前とかを指定して会うと、変な人と会わない。これはちょっと変な人がだましにくいなという仕組みを入れておいて、きちんとデータに残していくといったような取組をしていこうと思います。

葛巻構成員: やはり対応のためには、データを常にためておくというのは大事なのですね。

甲田構成員: すごく大事です。データがないと、回収というのが思いつきになってしまうので、私たちがこれまでつくってきた「子育てシェア」も「マイコミュ」も全部アジャイル開発で開発をしているのですけれども、どこで人が落ちてしまうのか。どこで辞めてしまうのか。そのための声かけは何なのか。そういったものは全部データドリブンで抽出するというのがすごく大事だと思います。

桃田構成員: コンペティターはどうなっているのですかと。デファクトしていけばいいのでしょうけれども、準公共的な存在が大きいのではないかということで、皆さんにとってのキーですので、コンペティターたちとどう連携していくのか。本来、今日の会議体もそうですが、地方自治体の皆さんがもう少し公助という領域でデータ連携して、公助を分かった上で共助も支えましょうという形がベストかなと。御指摘のように、なかなか中央集権的には難しいという話があるのは分かるのですけれども、そんな視点でいかがでしょうか。

甲田構成員: ありがとうございます。

大上段に聞こえたら非常に申し訳ないのですけれども、我々にとってコンペティターはいないのです。コオペレーターしかいないのです。ただ、例えば、自治体さんから見たときに、AsMamaとカニバリゼーションするのは既存の保育園でしょう。ベビーシッターでしょう。そういったものとカニバらないのかとよく聞かれるのですけれども、我々はこのシステムから1円のお金も取っていないので、別にこのシステムを使ってもらわなくても構わないのです。地域の空きがある一時保育とか、病児保育とか、そういうところを使ってもらってもいいのです。

なので、むしろそういうところと連携して、そこがいっぱいでもう預かれないのですとなったときには、資格を持っている地域の人に預けてみるというのも一つの手ですし、逆に子育てシェアの中で頼り合えないのであれば、あそこの保育園はいつも空きがあるよとか、あそこに一時預かりのすごくいいサービスがあるよみたいな形で、いかに地域で我々が独り占めしないか。もっと逆に言えば、自治体が、企業が独り占めしないかというところがすごく大事だと思っています。

石田座長: 南雲さん、どうぞ。

南雲構成員: どうもありがとうございます。

とても勇気づけられる活動で、こういうものが本当に広がるととてもいいなと思っていまして、私がこういうものがあったらすごくいいなと思うのは、利用した方のアンケート結果みたいなものがあると、実証データとしてすごく迫力があると思うのです。

多分、いろいろな活動のデータ、アプリを見ていけば、取れるものがいっぱい出てくると思うのですが、あとは、主観的にそれがどう取れているのかというところがとても気になりまして、多分、やろうと思えば取れるし、もしかしたら、もうやられているのかもしれないのですけれども、それをちょっと教えていただけますか。

甲田構成員: 子育てシェアの利用者満足度は98%です。面白いことに、先ほど御紹介した、今後始めていく子供子育て世帯を独りにしないということで、1世帯に2人のシェア・コンシェルジュをつけて、3人1チームになって子育てをしようという実証を3か月やったのですけれども、モニターで参加してくださった子育て世帯の方は100%です。

面白いことに、預かってあげるよというお世話役に何をしてもらったかというと、1週間に1回、今週は困っていないですか、送り迎えは困らないですかという声かけと、1か月に1回は実際に助けてあげる。それで、我々が数千円をサポーター役にお支払いする。ただそれだけなのですけれども、預かった方の満足度も98%で、地域の身近な人たちの困り事を自分のできる範囲で助けてあげられる。それがすごく満足度が高かったのです。

なので、地域の頼り合いというところを、では、ただでやってよというと、それはみたいなところだったり、何か問題があったときに誰かサポートしてくれるのかみたいな器もない状態で、どうぞ勝手に頼り合ってくださいは難しいのですけれども、何かあったらこちらに連絡してねで、ちょっとしたお給金、お礼は会社から払いますよという状態を整えてあげれば、双方100%の満足度なのです。

なので、これを延々とAsMama1社で持っていくのはつらいので、例えば、企業の人事の離職防止のための福利厚生としてとか、別にAsMamaを使わずとも、そういう3世帯で1世帯を育てる。車がない家でも送り迎えができる。

先ほどの子育ての話でいうと、都会だと3人目を産んでからがめちゃくちゃ多いのです。なぜかというと、自転車での通園が多くて、3人目を産むと自転車のどこに乗せるのか問題があるのです。それを車を運転するのが好きな近所のおじいちゃん、おばあちゃんと常につながっていれば、3人目が産まれても全く問題ないわけです。そういう状態を自治体がきちんとつくっていく。そういった取組があれば、園バスがなくても、送り迎えに困るから3人目は無理みたいな、そんなばかな発想が生まれなくなるのではないかなと思います。

南雲構成員: ありがとうございました。

石田座長: 山下さん、お願いいたします。

山下構成員: 自工会から参加させていただいています山下です。

甲田さん、とても刺激的なお話をありがとうございます。

今、皆さんのお話をお伺いしていて、自動車のモビリティとしての役割はかなりあるなということをすごく痛感しました。今、自動車業界でも、私はトヨタの出身なのですが、やはり地域の困り事という形で販売店さんなんかといろいろやっているのですが、どうしても交通弱者の方となると、高齢者の方とか、身体的なというところにどうしてもなってしまって、実際、子育て世代の若い世代の真ん中というのは、考えていそうで、実は案外何も考えていないなということを今すごく痛感したのです。

ですので、モビリティという観点でいくと、特に子育て世代において注視しなければならない点をぜひ教えていただきたいと思いましたし、また、もう少し、今度は自動車業界としても、しっかり子育て世代の皆さんの声を聞いて、ありたき姿、多分、エリアによって、地域によって、コミュニティによってモビリティの形態も違うと思うのですけれども、その辺も密にいろいろ教えていただきたいなと思いました。

感想なのですけれども、ただ、1点だけ、特にモビリティの分野で注視しなければいけない点がありましたら、教えていただければなと思いました。ありがとうございます。

甲田構成員: ありがとうございます。

やはりこれまで車に乗っていた高齢者の人たちをどうするのかという問題みたいなことと、すごく比較されやすいのですけれども、地方では、まだ免許が取れない学生の昼・夜の移動をどうするのだというところがすごく大きな課題となっています。

例えば、小学校6年生ぐらいまでの女の子が、地方だと、隣の駅に行くまで、本当に真っ暗なのです。本当に真っ暗な中、一人で行かせるのかというところで、村上さんが冒頭におっしゃられたとおり、夜はタクシーがない。そうすると、お父さん、お母さんが送り迎えをしなければいけないのかみたいな問題もあるのですけれども、どんな運転手が来るかも分からないタクシーに、小学校3年生、4年生の子を一人で乗せるのかというと、それも無理という形で、親が送り迎えの負担をしています。

海外の場合には、例えば、ウーバーにしても、乗せる人との交流をきちんとするとか、それから、海外の場合のシッターですと、何かがあったときに何とかするではなくて、例えば、モビリティを提供されていらっしゃるサービス会社さんと生活者さんの日常的な交流があって、今日は山下さんが来るよと、山下のおじちゃんが来るのだみたいな、子供がそれぐらいの安心感があるのかどうかというところが、既存のスタイルでは一つ非常に重要だと思っています。

前回、橋本町長のほうからお話があった自動運転ですね。これも当社のほうに自動運転を導入するのに一緒に組まないかといろいろな企業さんからお話を頂いているのですけれども、子育て世帯の方々にアンケートを取ると、やはり何かあったときに、幾ら通信機能があるといっても、その場で即座に判断できる大人がいない状態の自動運転というところに悲観的な方がものすごく多いです。

なので、交通事故が起こったとか、子供が体調不良を起こした、デジタルが不備を起こしたというときに、100%というのはないかもしれないですけれども、100%に近しい対策ができるのか。それは保険がついている云々ではなくて、心のケアまで含めて、すぐに何かしてくれるのかみたいなところが整っていることがすごく大事だと思っています。

山下構成員: ありがとうございます。参考になりました。

石田座長: どうぞ。

村上統括官: ありがとうございます。甲田恵子はすごい人だと。

1つだけ、いいなと思うところと同時に質問と、この手のものは、まさにどんどん経済は落ちていくし、岸田政権のような新しい資本主義のベースはこういうことだと言ってほしいと思って、議論したいのですけれども、いろいろな距離感の人が関われるように、すごくディープに関わりたい人も、ちょっとだけ関わりたい人も、なだらかにグラデーションがかかるようなバリエーションのあるメニューがそろっているというところが、ちょっと一歩踏み込んで中に入ったときに、今回やっている完成度がさらにAsMamaは上がっていると思った部分でした。

ただ、片方で、例えば、子供の送迎一つとっても、忙しいお母さんでもなお、夜に子供を自分で迎えに行かないなんてとお考えになる方も、いや、そんなのは合理的だから行けばいいのではないのという方も、その辺は、私、地元で結構ばちばちやり合っているのを見ているのですけれども、そういう子供に対する距離感や暮らしに対する価値観の違う方々も同時にこのコミュニティに内包するときに、コツみたいなものがもしあれば、教えていただければと思いました。

甲田構成員: ありがとうございます。

多分、それがAsMamaにとって一番大きな課題なのですけれども、カルチャーをつくるというのは1社では難しいのです。あそこの会社はそういう志向だよねということになるのですけれども、それを、例えば、小さなエリアでいうと自治体が、大きなエリアでいうと国が、世界が、一人で何とかする自助より共助のほうがクールだよねと。売るより貸すほうが、買うより借りるほうがクールだよねというスローガンをどれぐらいみんなで打ち出していけるかというところがめちゃくちゃ大事だと思います。

そういう意味でいうと、当社なんかはまだまだ小さいので、本当に経済同友会の方々ですとか、岸田政権そのものですとか、本当にそういう地域循環型社会を生むのだと。そのときに、いろいろな会社さんが何とおっしゃられるかはさておき、物づくりの会社さんが何とおっしゃられるのか、後で怒られそうな感じがするのですが、そちらのほうがクールなのだよと。

先ほど南雲委員がすばらしい質問をしてくださったのですけれども、預けてごめんなさい、頼ってごめんなさいではないのです。むしろ頼ってもらってありがとう、預からせてもらってありがとう、預からせてもらって楽しかったよと。タクシーも下りる側が「ありがとうございました」ではなくて、乗ってもらった側が「ありがとうございました」と。お客さんだから、お金を払ってくれたからではなくて、すばらしい時間をシェアできました、ありがとうございましたと。

そういう支援する側、シェアリングエコノミーのゲストとホストというところでいうと、ホストのシェアされることによるありがとうというところをしっかり見える化させていくというところが非常に重要なのかなと思っています。

村上統括官: その辺がちょっと御質問に出ていた、従来の企業でいうと、競争とかシェア争いとか、多分、そうではなくて、コパートナーしかいないのだとおっしゃいましたけれども、文化伝播活動みたいな、逆に合わない文化のサークルには無理に一緒になろうとしないで、距離を置きながら徐々に詰めていくみたいな、多分、そういうパターンなのでしょうね。

甲田構成員: そうなのです。昔ながらの学校全体コミュニティとか、大きなコミュニティというのはめちゃめちゃ居心地が悪いのです。その中に小さなブドウの房のような、ゆるゆるでつながっている、必要不可欠なときしかつながらないグループもあれば、毎週ランチ会をして、お下がり会をして、お裾分け会をしてみたいな濃度の濃いものもあれば、文化会もあれば、スポーツ会もあるみたいな。

どれに入ってもいいし、でも、どこかには入っているよねみたいなところをたくさんつくったり、分かりやすいのが1歳児の会、2歳児の会みたいな感じで、これは私だみたいなものにはさらっと入るのです。なので、カテゴリーをたくさんつくって、これは私のだと思うところを必ず1つは用意してあげるというのが、コミュニティ形成の鍵かなと思います。

石田座長: ありがとうございました。

どうぞ、須田先生。

須田構成員: 東大の須田です。お話をありがとうございました。

非常に面白く、そういうシェアリングの移動ができているということを伺ったのですけれども、ユーザーの住民はどういうところに住んでいる人が多いのか。大都市の人が利用しているのか、地方なのか。今のお話を伺っていると、かなり公共交通がないようなところに住んでいるみたいなのですけれども、実際、ほとんどのユーザーというのはどの辺の人か、この辺を教えていただけますか。

甲田構成員: ありがとうございます。

AsMamaは上は北海道から下は沖縄までやらせていただいておりまして、人口動態に比例して、やはり都市圏のほうが多いです。もっと言えば、全然人口の少ないところでも、このシェア・コンシェルジュ、この地域を何とかしたいのだと思い入れのあるシェア・コンシェルジュの周辺にコミュニティができやすいというところがあります。

シェア・コンシェルジュが継続的に活動してくれるためにはというと、やはり私たちの、彼・彼女たちが自立自走するまでの継続的な支援を3年間しっかりできるところなのです。それはどこかというと、協働する企業や自治体、いわゆる予算のあるところです。予算がないところは我々が何とか遠隔支援で頑張るのですけれども、とはいえ、顔を合わせる機会や、毎月のコンスタントな支援がないと、やはりパートをするほうが給料がもうかるなというところに行ってしまいがちだったり、地域の人たちになぜあなたはそんなことをやっているのよとアナログ的に言われることに、デジタルの支援は及ばなかったりするので、そういうところかなと思っています。

このサービスは都会型ですか、地方型ですかというと、これも面白くて、地域の担い手が中心になってコミュニティをつくっていくので、都心であれば都心型の、地方であれば地方型の課題解決ができる。何が解決できますかというと、解決したいことですとよく言っています。

石田座長: ITS Japanの山本さん、どうぞ。

山本構成員: ITS Japanは、地方自治体の方々の移動のお手伝いをしているのですけれども、今回、コミュニティという形の甲田さんのプレゼン、御指摘ありがとうございました。

コミュニティではなくて、例えば、今、移動支援の総動員というものが出ております。そこの中で、例えば、ウーバーさん、リフトさんのようなものは、甲田さんの知見から見て、例えば、1万人とか、タクシー業者もないというようなところで、地方自治体の方が運転手をしっかり見て保証するとか、保険で事故を補償するとか、最近、このようなものは国会の中ではなかなか議論がなくなってしまっているのですが、この辺は将来有益なのか、バリアブルなのか、甲田さんの視点からするとちょっと駄目なのではないかとか、この辺の見解をお聞きしたいのですが。

甲田構成員: 私は全然ありだと思っています。そのときにタクシー業界があっても、なくても、ホストになり得る人たちの協働がやはりすごく大事だと思っていて、これは国会の人たちが聞いたらすごく怒られそうな気がするのですが、大丈夫かなと思いながらなのですが、全然ありだと思っていて、本当に移動に困っている生活者の人がいる限り、その問題というのは何とかして解決しなければいけないのです。でも、それを業としてタクシーだったり、バスだったりにできるかというと、どう考えたって赤字ではないですか。

でも、地方の人たちというのは、経済が右肩上がりではない今、何とかして副業・兼業で世帯収入を維持しようとされているわけです。それで、都会だろうが、地方だろうが、ウーバーとか出前館の配達員というのがすごくはやっているわけですけれども、これを地域の人たちの困り事の送迎だったり、それから、オンデマンドのニーズに応えたいわゆる乗り合いだったり、そういったものに応えていくための人材を副業・兼業として育成していくというところが非常に重要だと思っています。

その人たちに対するコミュニケーション能力だったり、安心・安全・管理に対する講習は、むしろタクシー会社さんですとか、他県にあろうとも、そういったところがきちんと監修していく。何の知見もない自治体がそこの面倒を見ますよなんていうことを言うから、生 重要かと思います。

山本構成員: ありがとうございます。

石田座長: そろそろ時間でございますので、ありがとうございました。

甲田構成員: 貴重なお時間、ありがとうございました。

石田座長: ありがとうございました。

では、続いて、石丸さん、よろしくお願いいたします。

石丸構成員: 福岡地域戦略推進協議会、FDCと呼んでいますけれども、石丸と申します。よろしくお願いいたします。

私からは「リビングラボ(Living Lab)を通じたユーザー共創による地域づくり」ということでお話ししたいと思います。

FDCの御紹介を簡単にさせていただきますけれども、福岡都市圏で産学官民連携のプラットフォームをつくっていまして、現在223のメンバーシップで取組をさせていただいています。広域連携と官民連携というものを一つの切り口として、地域の課題解決とか、地域の成長につなげていく動きというものをやっている組織です。

リビングラボを通じたユーザー共創による地域づくりということで、今回、リビングラボという取組の御紹介と、デジタル交通社会のありかたを考える上で、ご参考になればと思っております。

4ページですが、御承知の方もいらっしゃると思いますが、リビングラボは市民参加型の共創活動という形で、自治体、自治会、公民館単位など、いろいろな形がありますけれども、そういった地域単位において、市民の方々と多様なステークホルダーが参画をして、要は、生活の場というものを一つのラボとして共創活動を行っていくものです。

今、いろいろな形がありますが、例えば、地域における課題解決に資する製品やサービスを共創するという形もありますし、地域の課題に対して政策的にどう向き合うかということをテーマに行っていくパターンもありますが、いずれにしても、ユーザーにとってより満足度の高いサービスや製品を世に送り出していくということであります。

5ページですが、ここでは自治体、企業、市民、中間支援組織という関係者を入れていますけれども、自治体であれば、施策の方向性とか課題の提示をしていって、そこの解決につなげていく。企業であれば、サービスの機会、あるいは人材・リソースなどの提供につなげていく。市民からすると、当然、自分たちがユーザーでありますから、そこに資するソリューションを求めていく。中間支援組織としては、そこのファシリテートやプロジェクト管理など不可欠だろうと思います。

6ページですが、プロセスとしては、先ほどアジャイルという言葉もありましたけれども、そういった場所において対話・相互理解を進めながら課題を抽出して、解決策、ソリューション、あるいはアイデアを創出していく。そこにとどまらずに、それをプロトタイピングしてユーザーテストまで行って、いわゆるアジャイルに回しながら、最終的に実行・社会導入していくというアプローチであります。

下に特徴と書いてありますけれども、マルチステークホルダーで仮説探索を行うような活動、それから、生活者を製品・サービス開発の対等なパートナーと位置づけて、ユーザーの視点でいろいろと意見出しをしていただく。また、実際の実生活環境で繰り返し検証・改善を行っている実験的な活動であるということと、関係者が課題や解決策を共有して、ともに学び合いながらやっていく。そこを踏まえて製品・サービス開発を進めていく。こういった流れを考えていただければと思います。

7ページですが、世界にもう400、今は400と言わないと思いますけれども、リビングラボがあると言われています。もともと欧州、北欧で特に発展してきて、2006年にヨーロッパでネットワークができてきて、私は以前、Future Center Alliance Japan(FCAJ)の創設のときの理事をしていまして、FCAJがヨーロッパのリビングラボの日本側のカウンターをやっていたのですけれども、様々な事例があります。

今は非常に多岐にわたっておりまして、企業のR&D的にユーザーのニーズ顕在化のための場として位置づけているパターンもあれば、地域の課題解決をするために、むしろ地域サイドから多様な人たちを呼び込んで、そのために向かっていくような場ということもあります。

8ページですが、国内でもリビングラボは増えてきています。鎌倉などは東大の秋山先生など大変有名で、地元のヘルスケア関係であるとか、大阪万博もテーマとして「People's Living Lab」というテーマを掲げてやられていて、私も幾つかのリビングラボに関わらせていただいております。

9ページ、10ページは産構審の資料を入れさせていただきましたが、先ほどのお話、前回の案件に関連していますけれども、今は本当に技術のブレークスルーということで、様々な実現不可能と思われていた、特にデジタルという切り口から、新しい取組ができる可能性が出てきていたり、この中で特にSociety5.0を含めて、いわゆるヒューマンセントリックとか、パーソンセンタードということで、人間中心ということがより語られるようになりましたが、消費者ニーズの理解の必要性というものがあるかなということで、これも産構審の資料です。

いわゆるニーズというものは、もちろん今、皆さんがお持ちのニーズにどうお応えしていくかということもありますが、そもそも個々の皆さんがニーズを自分で分かっていないだろうと。そこのニーズの顕在化をしていく一つのプロセスとして、リビングラボという位置づけも語られているところでございます。

11ページ、12ページは、要は、従来のやり方では生み出せないソリューションがあるということを書いていますけれども、この中で、やはり住民起点でいろいろな実証を含めた取組というものを、目に見える形で使っていただく必要があるのではないか。つまり、社会受容性という話がありましたけれども、社会受容性をしっかりと地域につくっていくと。既存制度上の課題は何かとか、住民に受け入れられるのか、使い勝手はいいのかとか、そういったことです。

実証実験という形で語られがちな論点として、プロダクトサービスをつくり上げていく段階で実証していく。スペックの話ですね。そういったところの話と、我々は社会実験と実証実験と使い分けていますけれども、出来上がった、あるいはプロトタイプを社会受容させていくところの軸点というものをちゃんと区別してやっていかなければいけないのではないかと思っています。これが印象で語られているものが大変多いのではないかと思っております。

その中で、リビングラボなども一つのアプローチとして社会実験サイドの取組に達している可能性があると思っています。

また、14ページですけれども、地域だけでなく、そこに起業家、クリエーター、NPOなど、多様なコミュニティとか担い手を適宜入れ込んでいくことで、新しい取組につながるというパターンもあるだろうということ。

15ページからは、我々はリビングラボで幾つもやっているのですが、少し御紹介していきたいのですが、長崎県壱岐市のリビングラボをさせていただいたのですけれども、これはもう本当に人口減少で空き家がどんどんできていって、そのエリアをどうしていくかということの中で、市民に対して1つ拠点的な空き家をつくる。

市民が自ら市民団体を立ち上げて、お金も自ら調達して、空き家を改修して、地域でつくっていきながら、移住者の受入れの拠点にしてみたり、あるいは子供さんたちが自由に遊んでいられるような場ということで、食堂の機能を入れてみたり、勉強できるスペースを入れてみたり、そういった子供さんのニーズなどを踏まえながら改修していって、1つの空き家の開発誘導の拠点にしていく。ここに人が集まるようになって、地域のコミュニティが集うようになっていった中で、近くの空き家を改修してゲストハウスにしましょうとか、その隣に少し商店を入れてみましょうといった形で、今、段階的に空き家の開発誘導みたいなことが起きております。

この地域はもともと、いまだに地域で子供さんを、私も子供の親なので、すごいなと思いながら見ているのですが、地域全体で子供さんを見守ってくれる文化みたいなものもまだ少し残っているような地域ですが、そういう形で市民団体が主体的に活性化に向けての動きがありました。

16ページは、九州の豪雨災害が起きたときに、従来の災害復興をしていくということではなくて、ファムトリップという形で、むしろ地域以外の人たちや多様な方々を呼び込んで、今後のまちづくりをどうしていくかみたいなことをリビングラボでやってきた例です。

地域の人たちというのは、自分たちの地域をあまり評価していなかったり、いいものをいいと思えていなかったりもあるわけですけれども、こういった多様な人たちが集っていくことで、新しい地域ビジネスの創出につながったりみたいなことが出てきたりしている。

17ページは、フレイル予防をソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)のスキームを使ってやった事例ですけれども、フレイルはいわゆる虚弱で、予防していくことで、健康寿命の延伸に資する形でやっていこうということなのですが、フレイルというのはなかなか政策的には評価し難いというか、何をメインに政策的な効果として捉えていくかというのが大変難しい中で、民間とか大学とも連携して、ソーシャル・インパクト・ボンドで、要は、民間資金を入れて、これは評価軸を策定するという動きがありました。社会的インパクトを評価するということで、将来的にはESGのSの部分でも大変重要になる論点であると思います。

それから、こういうコンソーシアムの文脈でどういう評価をしていくかという軸づくりみたいなものも今後進んでいくと思いますけれども、それをみんなしてつくってやることで、むしろ政策的な必要性、効果みたいなものを検証できるような形にしました。それがあることで、今度は逆に行政として予算をちゃんとつけて、事業としてやっていけるような流れをSIBを使ってやる。

補足ですが、日本で語られるSIBというのは、どちらかというと、行政が予算を出して、その中でSIBを民間資金を入れてみたいな流れになっていますけれども、本来のSIBというのは、どちらかというと、社会実験スキームだと思っていますので、行政がすぐに事業でやろうとしたときに難しいものを、まずはSIBで民間資金とかを使ってやってみて、効果検証して、いいものであれば、むしろ行政がちゃんと関われるというスキームだと思っていますので、そういう形でフレイル予防をやった事例があります。

事例は以上なのですが、18ページになりますけれども、住民の声をどう拾い上げて、ユーザーの声をどう吸い上げて形にしていくかということが起点になりますけれども、適切なテーマ設定をしていくことで、政策分野や事業区分にとらわれずに、実生活とか実体験に基づいた多面的な課題提起やアイデア検討のできる場を用意していくことが重要で、そこに市民一人一人の文脈、これまでの経験とか、思いとか、課題意識みたいなものをうまく引き上げるというか、吸い上げて、そこにいろいろなソリューションとか、政策みたいなものがつながっていく形が必要だろうと思います。

産官学民の多種多様な価値観や意見が持ち寄られるので、これをどのようにしていくかというところの合意形成なども、大変ハードなところがあるわけですけれども、ただ、一つ、ニーズにしっかりと応えていこうとしていける。

前回1回目の研究会で、もう少し海外の民主主義が進んでいるのではないかといった意見もありましたけれども、そういったパーソンセンタード、ヒューマンセントリックという文脈の流れを再編するようなプロセスなのではないかと思いますし、リビングラボを通じて信頼関係ができて、コミュニティの形成にもつながるということもあるのではないかと思いますので、こういったものが各地域にできていけば、究極的には本当に一つの社会実装の基盤になっていくと思います。いろいろな課題認識、問題意識、ソリューションの中で、検証の受け皿になっていくということもあろうかと思います。

19ページ以降は、FDCでモビリティをどう捉えているかということなのですが、先ほどのリビングラボをどう考えるかということもあるのですけれども、20ページを見ていただきますと、私どもはいろいろとパーソナルモビリティから、バスから、前回、橋本町長からご説明いただいたARMAとか、電動キックボード、これ以外にもいろいろなモビリティの取組をまさにリビングラボでやってきているのですが、何を申し上げたいかというと、まさに社会受容性を確認して、ニーズを顕在化させるために、いろいろなモビリティを地域で乗っていただいて、本当の必要性とか、そういったものを確認していくということをやってきています。

21ページにありますように、社会課題解決に向けたソリューションを住民と共創していくということで、我々としては地域サイドのニーズにどう応えていくかということが大変重要だと思っているということです。

22ページに、もともと自動運転の実証からスタートしたプロジェクトがあったのですが、最終的に利用者とか、地域住民の方々とか、いろいろな方々の意見を聞いた中で、技術的なものももちろんあるのですけれども、自動運転というよりも、まずはオンデマンドでやると、必要なときに必要なところに行けるソリューションを実際に使いたいというニーズがたくさんありまして、この取組自体は、実際、自動運転、信号協調の関係とか、自動車会社さんに実際に入っていただいたりとか、いろいろな形で行っていたのですが、最終的に社会実装を優先して、AIのオンデマンドの商用化をしていくということがありました。

この場合はNTT docomoさんでしたけれども、商用化をして実装するということで、実際、ここに導入するということをやっている。こういう形で入り口はいろいろとあるのですけれども、そういった住民とかニーズを踏まえた最終的な実装というのは、いろいろな可能性、考え方があるということだと思います。

23ページは、佐賀県小城市にスマートインターチェンジができたところを起点に、NEXCOさんなどと連携して、送客ということも含めて、モビリティをしっかりと地域にどう形成していくかということでリビングラボを始めました。

実はそれよりも地域の事業者さんと協調して、24ページですが、議論が商品開発をしようと、地域の産品を作ろうといった話になり、ここにあるような新しい商品がいろいろできているのですけれども、結局、これはコミュニティの形成に非常に役に立っているのと、実際に売れていまして、特に右下にあるように、羊羹の有名な地域なのですが、羊羹というのはなかなか食べにくくて、若い人たちになじみがなかったものを、食べやすくしたりというのも、お子様とか若い方々の意見も踏まえてできて、これが大変売れていて、新しい出口が出てきてこういう形になり、今後、観光振興みたいなところへつなげていこうみたいな動きが自発的に出てきているということであります。こういったいろいろなこともあるということです。

地域のニーズにモビリティがどう応えていくかということなのですが、これはもう釈迦に説法ですけれども、市民の信頼獲得というのはデジタル交通社会の実現に必要だろうということで、このプロセス、これはスマートシティの議論と一緒だと思いますが、こういった社会とかソリューションを実装していくときに、やはり市民の理解とか信頼というものが、納得感を含めて必要なのではないかということを思っています。

28ページですが、そういった意味では、アジャイルにプロトタイプを形成して、サービス・商品に触れていただいて、見ていただいて、使っていただいて、実装していくプロセス、その中で、必要に応じて、規制緩和が必要であれば特区に乗せていくとか、逆にルールがなければ新しいルールを形成していくとか、私ども、こういったプロセスの中で、我々は大分早くにドローンの取組をしたのですけれども、当時はルールがなくて、某省庁のほうから、ルールがないので一旦止めてくれと言われたこともありました。

その是非ではなくて、であればルールを形成していかなければなりませんから、そこに行くわけですし、逆にルールを変えていく必要があるということであれば、これまで、例えば、クリニック業法の改正とか、遠隔服薬指導などを私どもが提案させていただいたとして挙げさせていただきましたが、遠隔診療をやっていて、遠隔服薬指導ができないと、結局、現場に行かなければいけないのだという問題意識から始まったのですけれども、そういうところから社会制度化・事業化を形成していくというところにつなげていくことが重要ではないかと思っています。

29ページですが、リビングラボがもたらす価値ということで、自動運転の導入が目的ではないというのは、それを目的にするリビングラボはもちろんあると思いますけれども、いわゆるニーズとか市民・住民起点ということでいくと、モビリティ、移動の課題を解決していくということからいくと、いろいろな可能性があるということで、それを柔軟に考えていくことが必要ではないかということですし、市民視点で具体的な課題を見つけて、解決の方策を生み出していく市民参加型の共創活動というのは、モビリティの価値を地域課題解決につなげられる一つのアプローチになるのではないか。

先ほどのAsMamaさんのお話を見ていても、課題への対応で、別にデジタルでなければならないというものでもないソリューションというのはいっぱいあるわけです。そういったことを考えていくことが重要ではないかということですが、モビリティに関して2つ思うところがありますのは、30ページですけれども、今、申し上げたとおり、モビリティだけで考えていくということではないのではないかということです。タッチポイントの一つとしてモビリティのありかたを捉えていくということなのではないか。

まず、これは「自動運転バス」とあえて書いていますが、よく自動運転バスとかの話をしていくときに、バスでなくてもいいのですけれども、モビリティの話のときに、成り立たないというお話がいっぱい出てくるわけです。

これをどう成り立たせるかという話にどうしてもなっていくのですが、AsMamaさんの話もそうですし、私からの問題提起もそうなのですけれども、地域をどのようにつくっていくかということそのものの中で、モビリティをどう位置づけるかという話になりますから、どうもマネタイズ自体はモビリティ単体で考えるものではないのではないかということです。

なので、橋本町長が前回おっしゃっていて、そういうニーズがあるところにうまくつないでいくみたいな話がありましたけれども、タッチポイントをうまく地域全体で捉えていくことで、マネタイズの仕組みも変わるのではないかということで、そういった捉え方をするべきではないかということがあります。

31ページですが、広域的な視座でモビリティのありかたを捉える必要があるのではないか。これは九州で書いているので、そんなに大きく入れなくていいのですが、よく地域であるのが、コミュニティバス一つとっても、1つの基礎自治体の中で閉じているということがあって、本当は利便性の高い公共施設だったり、駅だったり、そこにつなげばいいのですけれども、その間に行政区域があると、途端にそこで曲がってしまうみたいな、利便性が高くないのではないかみたいなことが多々あります。

こういったものは、もっと広域的に捉えていくことで解決できることもあるのではないかということで、この2つを考えていくことが必要ではないかということです。

リビングラボなどは1つのソリューションに資すると思っているのですが、今日はリビングラボがいいということを申し上げたいということではなくて、人起点とか、住民起点とか、ユーザー起点といったときに、供給者サイドの話と需要者サイドの話が全然違ってくるのです。市民中心みたいなことを言い出したら、そこに向き合わなければいけなくなるのではないのですかということが一つの問題提起で、そこにどうやって向き合っていくのかということを考えていくのが、デジタル交通社会のありかたに極めて重要なのではないかと思っています。

AsMamaさんのような、ああいうサービスと今のニーズをうまくつないでいったら、新しくこういったケースでつないでいって、次のサービスとしていくということも重要だと思いますし、多分、それがベースになったらいいと思うのですが、スマートシティとかを考えていくときには、先ほどサーキュラーだとか、こういったことが格好いいみたいにどんどん持っていかなければいけないという話がありましたけれども、従来の働き方とか暮らし方を変えていくプロセスなのではないかと思うのです。

デジタル化の議論であると、まずは、今のサービスとどう置き換えるか、便利にするかという話になるのですが、今回のお題がデジタル交通社会のありかたの検討なので、その先の新しい働き方、暮らし方、格好いいやり方とか、そういったことにつなげていくことが必要で、そういった意味では、大変だと思いますけれども、リビングラボというのは大変示唆に富む取組なのではないかと思っています。

例えば、移動の話で、要は、親御さんがお子様の送り迎えをするのは大変だという話がたくさんあるわけですが、先ほどモビリティでどう解決するかということがありましたが、例えば、学校で塾をやれたら話が変わってくるわけですよね。

つまり、今、問題なのは、学校の後に部活をして、本当に晩御飯を食べる時間もなく、親御さんが塾に連れていって、10時、11時になってまたそれを迎えに行って、帰ってきてお子さんが初めて晩御飯を食べるみたいなことが、今、起きているわけですが、これは規制緩和が必要だったり、順番があると思いますけれども、例えば、学校施設で塾もやれるようにして、御飯も食べられるようにすると、移動時間がなくなるので、その分、早く帰れるようになります。親御さんの移動の負担も減りますとか、そういったことになるアプローチもあるわけです。

つまり、モビリティというのは、別にどうやって人を運ぶかだけではない視点で、たくさん解決できることがあるわけです。これは新しい暮らし方、働き方みたいなところの一つの議論につながってくるところだと思うので、リビングラボは参考になるのではないか。そういう視点で見ていただければと。

最後に「おまけ」と入れていますが、官民連携は大変だということを書いているのですけれども、とはいえ、村上さんが共助ということについて、その共助について賛同しているのですけれども、協調領域をどうやってつくっていくかという構想の中で、やはり官民で一緒にやらないと届かない領域がある、まさに共助が要るということですし、これまでというのは、官がやる、民がやるで、結構ポテンエラーみたいな、責任転嫁で、要は、どちらがやるのだ問題で、誰も責任を取らないみたいなところがあったのですが、ここを共助でやるということになるので、ここをそれぞれがリソースを拠出して、みんなで支えるとか、仕組みをつくるみたいなことをやらなければいけない。

あと、39ページは、前回、橋本町長がこれを官側がスピード感を民に合わせたパターンだと思うのですけれども、熱量と時間軸というのは官民で大きく違うのだと。我々もこれを間に立ってどうマネジメントするかみたいなことをやっているわけですが、本当に前回の町長の話で感動すら覚えたわけですけれども、民のスピードにうまく合わせられて、これから地域の論理だけではなくて、地域のコミットメントやリーダーシップみたいなものが合わさっていくことが重要ではないかといったことを、最後、村上さんと、41ページに共助ということを強調したものをつけましたので、御参照いただければと思います。

ありがとうございました。

石田座長: ありがとうございました。

それでは、また伺ってまいりたいと思います。

では、橋本町長、お名前が出ておりましたので。

橋本構成員: 先ほどの甲田さんの話にしても、この石丸さんの話にしても、我々からすると、できない理由がないので、すごく取り入れてどんどんやっていけばいいのになと思っていて、ただ、先ほど石丸さんが言われたように、官の調整が大変だという話は非常にあって、我々も今、ドローンをちょっとやっているのですけれども、ドローンの会社の皆さんに聞くと、やはり自治体に合わせているのですよね。

自治体の過疎地でやられているものも多いのですが、自治体の住民の皆さんがまだついていっていないからとか、法律がついていっていないからとか、そこに住んでいる人、さらにはそこの自治体の人に合わせて、技術はもうあるのだけれども、やってきているというのをすごく最近感じていて、うちに来れば時間軸は全て取り払うので、うちに来ませんかと言っています。

自治体というのはハードルが高いわけですよね。大きい自治体になればなるほどですが、小さい自治体でも、どこかがやっていればやるのだけれども、どこかがやっていないのでやれないみたいな、そういう官民の壁があるので、逆に難しいものはうちへ持ってきてもらって、うちが飛び越えれば、それを横展開でいろいろな自治体に持っていって、大きい自治体に持っていくと、小さいからできたのだと言われるところもあるので、そうではないという実績を少しずつつくると、大きいところもやったりするので、皆さん、本当にすごくいい取組をされているので、もっと早くそうなっていくといいのかなと思います。

もう一つ、やはりこのデジタル化のところでポイントになるのが、きっとプライバシーのところだと思うのですよね。住民の顔認証にしても、さらには様々な認証系とかにしても、防犯カメラで全部やるにしても、プライバシーはどうするのと。そこで皆さん、行き詰ってしまうのです。

うちの町が今考えているのは、取りあえず2キロ、2キロだとちょっと広過ぎるので、もう少しその中で人数を絞って、その人たちに全部同意をもらって、様々なことを始めようと思っているのですけれども、やはりそういうことをどこかの自治体がやれば、ほかの自治体でああいうところがやっているよと。では、うちだったらもう少し大きい範囲でもできるかなとか、地域を指定してやればできるかなとか、そういう理由づけになる自治体に僕らがなればいいかなと思っているのです。

とにかく官民連携、同じ方向を向いてやる分にはよくなるし、そうでないと、先ほどの石丸さんのドローンの話で僕が共感したのは、僕らもやろうとしたら、これはデジタル庁さんが悪いのではないのですけれども、法律がまだ整備されていないので、ちょっとそぐいませんということで落ちてしまったものがあったのです。

そういうところが駆け抜けていけば、みんなに広がっていくので、合意形成だとか、物が落ちたらどうするのだとか、いろいろなところで、官民連携のところで官がおっかなびっくりで踏み出せないというのが多いので、そういう意味では、そういう先駆的なところが出てきて、先駆的な取組をやっていくといいのかなと思います。

僕は、福岡は本当にすごくよくできている例だと思っているので、いろいろな自治体が福岡を見習っていけばいいかなと思っています。ありがとうございます。

石田座長: 甲田さんがおっしゃっていたけれども、小さいコミュニティも大切ですよね。そういうことは、自治体の中では、公平性という観点から気にするけれども、あまり大きな存在とはならない。

橋本構成員: 僕は講演会活動なんかで町の全てを歩くものですから、どこの誰だとか、どこと結婚しているとかまで大体分かるものですから、役所の職員さんは230人と少ないですけれども、どうやって入ったかまで大体分かるような、2万4000人ですから、そんな小さいコミュニティの中でやっていますので、そういう意味では、ああいう仕組みもすごくいいですし、僕らは逆にアナログでやっていたのです。甲田さんがやられているのを、例えば、500円で車を貸してくれないかというのを、おばちゃんたちに頼んで登録してもらって、そこでマッチングをして、お金を僕らが払って送り迎えしてもらっていたのを、今度はデジタルでこんなにいいものがあるぞと。非常に入れたいなと。

今、僕も3歳と5歳と6歳を育てていて、今日も朝、送るのを30分早くしないと間に合わなかったものですから、30分早めに娘を送ってきましたが、そういう意味では、うちの自治体は非常に特殊なのですけれども、コミュニティがすごく小さくてしっかりしているので、普通だと民生委員に任せてしまうところも、逆にうちのほうで民生委員は誰だといって、その人に言って、こういう事情だからこう言ってくれとこちらが指示するようなところになっているので、その部分は、アナログですけれども、非常にコミュニティはしっかりしているのかなと。田舎の悪い部分であり、いい部分ですね。コミュニティがしっかりしている分、新しい人が入りづらい。これからはそこが結構鍵かなと思っています。

石田座長: 川端さん、どうぞ。

川端構成員: 私、実はここにすごく興味を持って、勝手に訪問して、石丸さんがいない日に行ってしまって、話を聞いてきたので、本丸に今日会って、なるほどと思いながら聞いておりまして、質問する機会が得られまして大変うれしく思っています。

13ページにある既存法制度の課題のところで「住民に受け入れられるのか?」というのと、あと、現場でのニーズでしたり、使い勝手のよさとか、こういったところをつかんでいくことが、冒頭にでたサーキュラーエコノミーに向けては非常に重要なことで、基本、企業はどうしても従来陥っていた、一生懸命開発したら誰かが使ってくれるのではないかと。開発したのだけれども、しかも、日本企業というのは7割、8割でローンチしないで、完璧にできてから世の中に出して、そうすると、考えたときと社会が変わってしまっていて、市場がないリスクを負いながら、めちゃくちゃ開発しているのです。

そういった中で、現場でのニーズとか使い勝手のよさというのを、非常に早い段階でフィードバックをかけられれば、日本の産業育成に非常に役に立ったりとか、あと、大企業は開発して、眠らせている技術、いっぱい持っていてもいいかもしれないのですけれども、中小企業がこういう開発にどんどん入っていけるかなという2つの考えがありまして、現場でのニーズとか、使い勝手のよさというのをどのように集めて、フィードバックをかけていきたいと思っているのか。あるいはまだできていないというところであれば、企業連携をするに当たって、企業側はどんな形で参加したらいいのかというのを教えていただけたらなと思います。

石丸構成員: やはり場所です。どこでやるかみたいなものは本当に条件に置いて、我々は公民館単位とかでやったり、私もしょっちゅう公民館へ行って、公民館長さんとか自治会長さんとか、知っている方は多いのですけれども、そういった単位でやっていきます。

いろいろとありまして、企業サイドから持ち込まれていくような、いろいろとヘルスケア系の、例えば、私も今日はスマートリングをしていて、こういう自分のバイタルを把握していくためのソリューションをつくったのですけれども、これをちゃんと地域の方につながれないかみたいなところでやっていくこともあれば、逆に地域サイドのニーズで、例えば、この街区は外国人の方が多くて、コミュニケーションをとるのが難しいような状況が地域ではあったりするのですが、仮に何か災害が起きたときに、避難をするかみたいなところで、何かソリューションはないかみたいなことを地域から投げられて、であれば、そういういろいろなソリューションを投げ込んでみてということがあったりとか、見守りもそうですし、そういう感じで我々が間に立って、地域の課題と企業サイドのニーズ、ソリューションみたいなものをうまくつないでいくようなことをやっています。

我々としては、できれば地域の課題解決につながる形でマッチングしていくということをやっています。

企業は本当に千差万別で、我々は事業化支援みたいなこともやっているので、本当にコンソーシアムを組成して、新しい事業体をつくるところの支援もやっていたりもするので、そういった一連の流れの中で、こういうところにつなげていくパターンもありますし、いろいろと形はあります。

川端構成員: 参加する企業が、そのときに、こんなことができますみたいな、日本の企業というのは、こんなことができますが大変得意で、それを持ってきてくれるかなと思うのですけれども、こんな社会を実現したいですみたいな方針とかを持ってきてくれたほうが、例えば、組合せとか、そういうのはあるのですか。

石丸構成員: そうですね。ストーリーがあるほうがいいですね。おっしゃるように、たくさん持ち込まれるのです。こういうものをつくりましたとか、こういうものを売りたいのですみたいなことはいっぱい来ているのですが、我々としてはそれだけではやはり駄目で、地域のためになるかということを我々も考えていくので、逆に使えるようなものであれば、どんどんやったらいいかなと思っているのです。

これは直接住民に触れるので、企業にとってもすごくメリットがあるのは、例えば、先ほどのカメラの話がありますと。何となくそこでぱっとカメラの話をすると、でも、住民・市民がなかなか難しいのではないかという話になると思うのですけれども、そこの場合は、実際に持ち込んでやってみると、めちゃくちゃ喜ばれた。地域の見守りのニーズだとか、いろいろと使えるのではないかと逆に言われたのです。

我々もやるまでは、企業を連れていくまではすごく不安だったのですけれども、聞いてみたら、9割以上の住民が、それがあるのだったら入れてくれと言って、実際に入れたら、クリスマスか何かにカメラの柱に電飾とかをいろいろと住民がしてくれたりとか、そういう感じでうまくソリューションが実装されたこともあって、企業の人が嬉々として、僕たちはうれしいですみたいなことを、企業サイドも持ち込んでおきながら難しいだろうと思っていた事例なので、本当にやってよかったみたいな感じで企業サイドも思って、企業が直接住民との接点を持って信頼関係をつくっていっているので、すごくいい事例かなと思います。

川端構成員: 甲田さんのときと一緒で、デジタルをデジタルとしてとか、技術を技術としてというよりは、効果とかが分かる持ち込み方というのがポイントですね。

石田座長: 山本さん、どうぞ。

山本構成員: 前回の橋本町長のお話も、甲田さんのお話も、石丸さんのお話も、言わんとしていることというのは、社会関係資本をどれだけ分厚く再生産できるのかというところに尽きるのかなと思うのです。だから、モビリティとかアプリという話ではなくて、むしろそちらが重要ということだと思うのです。

橋本町長のところは、自治会という単位でそれが実現されている。まさに自動運転のバスがコミュニティの一員になっているという社会関係資本の現れ方をしていたし、甲田さんの場合、子育てというところからコミュニティがどんどんできていくという形、石丸さんのところは大企業がいっぱいいるのですよね。だから、多分、その特徴は、企業を巻き込むという形での社会関係資本をどうつくるかというところが、まだ聞かれていない何か鍵みたいな部分で、これが一つ形式化できると、日本の新しいスマートシティもそうなのですが、花開くというところの解になってくるのではないかと思うのですけれども、何か感じていらっしゃることがあれば、ぜひお聞きしたいと思います。

石丸構成員: 基本的に今のお話にもあったことと関連するのですけれども、企業サイドがユーザーとのちょうどいい接点を持っていないなと思うのです。本来的な意味でのユーザーとの接点ですね。その場をつくっていくことはすごく重要だなと。

先ほどの話で、感動して僕のところに、ありがとうございましたと、言ってくるぐらい、今、東証プライムの企業ですよ。そういった人たちがそういうレベルでやっていることはいっぱいあるのです。だから、そういった意味では、意外と冒頭の、新しいビジネスモデルをどうつくっていくかというところというのは、もっともっとやり方はあるのではないかと思います。

石田座長: 宮代さん、どうぞ。

宮代構成員: ちょっと今のと関連することで2つあって、1つは、リビングラボの企業の持ち込みのイメージはすごくよく分かるのですが、逆に住民からの要望だとか、実際、かなりの部分があるかもしれませんけれども、住民から純粋にこんなものがみたいなものがどれぐらいが福岡のリビングラボに入ってくるのかなというのが1つ。

それから、先ほどのお話で、自動運転を入れてみたけれども、欲しいのはデマンドだったみたいな話というのは、企業からすると、例えば、自動運転だけをやりたいところからすると、えっみたいな話になって、どうせもめる感じがするのです。

そのときに、多分、御苦労されて収めていくのだとは思うのですけれども、企業側が納得しやすいようなとか、できればウィン・ウィンを狙っていけるようなやり方というか、ある種の仕組みみたいなものというのはどのように意識されているというか、見ているのでしょうか。

石丸構成員: まず、1つ目ですけれども、本当にいろいろとあります。我々も現場に入っていくと、我々自身が実は自治体を介さない形で動いていたりするのです。なので、むしろ我々のほうから自治体にフィードバックするようなこともいっぱいあって、自治体さんとかのほうから、実はFDCのこういう取組を始めましたと、後で自治体のほうに言ったりすることもあります。

認知症の人たちの徘回が増えていて、どうやって支えるべきかといったパターンもありますし、福岡においても本当にいろいろな話が多いのです。そういった形でいろいろなパターンがあって、我々としてもちろん全部を受けるわけではないのですが、ソリューションがない段階で我々が入り込んで、こういうところが課題なのだなということが何となく共有されていく中で、ソリューションにつなげていくパターンもありますし、オーダーがあった時点でソリューションが見えれば、初めから持ち込んで見えているパターンとか、いろいろとございます。

2つ目ですが、自動運転の実証がオンデマンドになったという話なのですけれども、先ほど申し上げたのは実証実験と社会実験は違うということなのです。ここの合意形成は初めにしてあるのです。実証実験をやるのだったら、まさにスペックをどうつくっていくかという話になるので、自動運転を成り立たせるためにどうするかということをやっていくのですけれども、その話と社会情勢にどう対応していくかというのはちゃんと切り分けて話をしています。

その例では実は自動運転の検証は続けていまして、そこにいろいろと、皆さんも御承知のマッチングの会社さんとかも入って、話してみる。そういったこともやりながら、とはいえ、住民起点でリビングラボという視点では、社会的に実装されたのがオンデマンドだったという形でありますので、その辺の初めの合意形成がすごく大事かなと。おっしゃるとおりだと思います。

石田座長: 桃田さん、村瀬さん、甲田さんの順で。

桃田構成員: 広域連携、先ほどの31ページで、九州まで、全部ではないですが、例えば、九州全体だと、どうしても県民の自動車の移動が多かったり、観光客もそうですけれども、高速道路、無料道路等の整備、進めてきました。観光客はJR九州の多彩な企画の列車によって。

あと、九州電力に関して、火力、地熱、原子力、再生可能エネルギー、いろいろなものを持ち合わせていて、カーボンニュートラルな視点で、非常にスマートグリッドのありようも含めてですけれども、多様に九州全体で使えるのではないかという議論も出ています。

産業振興のことは、北部九州自動車産業アジア先進拠点プロジェクトということで見させていただいていますし、経済の戦略会議もあります。あと、この問題だとTSMC、半導体。

こんな感じで、生活者、観光者、それから、政府運用を含めて、物流全体でいわゆる産業競争力強化と生活利便性の向上と、それから、観光振興とか地方創生とか、九州というのは非常にバランスよくできそうな気がするのです。だけれども、今までは何となくばらばらな感じなのですが、その辺が非常にハブなので、やれそうな気がするのですけれども、どうでしょうか。

石丸構成員: 福岡地域戦略推進協議会も九州に変えたらいいのではないかということをよく言われるのですけれども、ただ、おっしゃるとおり、バランスよくというか、やりやすい場所だと思います。そもそも都市の構造として、県庁所在地がバランスよく配置されているので、ほかの地域ブロックと比べて九州は都市間の流動性が高いのです。我々も都市圏単位でやっていますけれども、こういう都市圏単位で地域づくりをやりながら、それ以外の地域とどのように関係を築いていくかということをやりやすいと思います。そういった意味では、我々も今、福岡にいながら、九州各地でもいろいろなプロジェクトをやらせていただいています。

桃田構成員: 全体コンソーシアムみたいなものは必要ないですか。

石丸構成員: 九州地域戦略会議というのがありまして、九州地方知事会、7県知事と経済団体4団体、九経の商工会議所とか同友会の4団体の集まりがありまして、今、そこで九州の広域的な合意形成というのを図っている状況ではありますが、とはいえ、なかなか7県それぞれ知事がいますので、まとまるというのも難しいことも多いかと思います。今、私のところで九州スマートリージョン構想というのを打ち上げておりまして、私がそのリーダーをやっているのですけれども、九州広域でデジタルの文脈で解決できるようなところでエネルギーとかモビリティとか、あと、防災ですね。災害関係などは、流域治水なども含めてやれるだろうというところを、今、論点を絞って、少しスマートの文脈で取組を始めたところです。おっしゃるように、すごくポテンシャルはあると思います。

石田座長: では、村瀬さん。

村瀬構成員: ありがとうございます。

パナソニックなので、先ほど言った国内のメーカーで、CANというか、やれますばかり持っていっているのが現状です。

今は、誤解のないように、それを反省して、“ステークホルダーの皆さんのWill”
を大事に、提案やっていますが、実際はこれが難しいです。藤沢のSSTなどで、そういう街のマネジメントということにすごく興味があって、共助というところでやっているところでございます。

6ページ目の先ほどの絵の中で、これがあって、ぐるぐるやっていって、実は僕らはロボットで搬送しているのですけれども、あれは実は、“私たちのCAN”なのですよね。できるので使えと持って行っても、全然うまくいっていないのです。うまくいったのは、住民協議会で、あそこはTMOというマネジメント会社あるのですけれども、そこに協議会があって、住民の方が、ここのモビリティはどうしたらいいかというほうからアプローチして、あそこは駅まで遠いので、駅で乗り捨てられる “自転車シェアリング”という案がでて、それを実施するとうまくまわっています。

あそこは働いている人もいるので、ちょっと手を加えなければいけないのですけれども、そういうものをやるとうまくいくのです。僕らがCANを持っていって、やっても全然駄目で、住民の皆さんのWILLをくみ取らないと全然駄目だというのが勉強になって反省しています。これはちょっと前置きで反省なのですが。

問題は、先ほどおっしゃったように、でかい社会だと、例えば、僕らは団地があまりうまくいかなくて、やはり人数が多いのですけれども、藤沢でやった小さいもので、特定多数になって顔が見えるのですよね。だから、共助が成り立って、今日は自転車を持って帰ってきてやろうという人がいると、そういう世界なのですけれども、問題はこれからなのです。

先ほどのコンシェルジュみたいな方で、我が街という人がいっぱいいて、ボランティアでやってくれているのですけれども、いつもどこかで息が切れてしまうのですよね。6ページの絵で、先ほど実証実験はできるのですよね。そこはうまくいくのですが、やはり社会実装というのはすごく難しいのですけれども、それをここでは「コミュニティ」という言葉になってしまっているのですが、コミュニティというのは、例えば、財団法人だったら領収書を持っていますけれども、そうではなくて本当の自治会だったら、領収書も出ませんよねという世界で、実際は実装した後、年月が経つと、どうなっているのでしょうか。甲田さんのところでも聞きたかったのですけれども、時間がなかったので、実際、事例として続いている良い例というのはどういうものがありますか。

石丸構成員: 本当にいろいろなパターンがありますよね。行政が少し活動費用を支えているパターンもあるし、自前でボランティアでやっているというパターンもあって、先ほどフレイルの話をしたのですが、これはお金を出すパターンと無償でやるパターンの両方のパターンをやってみたのですけれども、結論は無償でやるパターンのほうが地域の方はコミットするというのが明らかでした。お金が続かないとやれないという話になるので、その人たちが関わっていくストーリーみたいなものを設計の段階で大事にしていくことが重要かと思います。

フレイルサポーターという人がいまして、シェア・コンシェルジュみたいな人が間に立っているので、自分も高齢者なのですが、他の高齢者のフレイルチェックをサポートするサポーターみたいな人がいるのですけれども、サポーターのコミュニティがあるのですが、どちらかというと、初めは我々サイドが流儀とか運用自体も決めていたのですけれども、途中から行政が言うことも全然違うだろうみたいなことがいっぱいあるし、結局、自分たちでどんどん改善し始めていったのです。

そうしたら、自分たちが自律的にそれをやるという形になって、コミュニティが固まって、人も集まって、そうなると、人のつながりがあるので、その人が次の人を連れてくるみたいな形でコミュニティが大きくなっていって、支える体制ができていくみたいなところは、無償のボランタリーのほうが結果的に持続しているというのが今は多かったりします。

村瀬構成員: ということは、行政からお金を入れてもらってもいいけれども、それはやはり限界がありますよね。絶対、未来永劫ではないから、最初からお金を入れないのも一つの手ですよね。

実はマネジメント会社を持つと、自治会費がすごく高くなります。藤沢の場合は、普通の自治会費の100倍ぐらいです。経費やお金 経済的に回ることだけを考えるではなく。やはり我が街という、ステークホルダーの“Will”が一番大事ということですね。ありがとうございます。

石田座長: では、甲田さん。

甲田構成員: はい。質問というか、コメントさせていただきます。

我が社の場合でいうと、完全にボランティアだと息絶えます。アプリを開発するコストよりも人を維持する管理コストのほうが高くて、その人が自発的に稼げるようになるという、経済的にその人たちが求めるぐらい、ちょっとした紙芝居会を投げ銭的に参加できるようにしてあげるとか、駄菓子屋さんをしたら、30円のものを50円で売ってちょっとお小遣いが手に入るとか、そういうところのお金稼ぎ、お小遣い稼ぎというところまで支援してあげると、それが副業になるというか、継続しているというところがあります。

私は実は石丸さんのラボの活動に物すごくローンチさせていただいているので、結構知っている話もすごく多くて、いつも感銘を受けているのですけれども、特に実証と社会実験と実装を分けて考えるというのは、モビリティを考える上では、物すごく大事だと思っているのです。

行政が出される実証というのは、絶対失敗しないでよみたいな実証が多くて、実証なのだから、要らないものをやめて、さらに、実証のデータに基づいてまた実証して、これはいけるかもと思ったら社会実験をして、インパクト・ボンドみたいに民間企業がお金を入れるなら入れて、行政が持つか、事業化するかという議論が正しいではないですか。

でも、絶対失敗するなよなんていう実証はないわけで、実証してうまくいかなかったケースがあるのかどうかというところで、今はAsMamaは全然実証には手を挙げないようにしているのです。なぜなら、せっかくうまくいったのに、これは実証だけのものだったので、翌年の社会実装は考えていませんみたいなことを言われると、ちょっと待てと、誰が実装するのだというところがすごく多いので、3年とか5年とか、本当に腹を据えてやるつもりがあるというところしかやらないのですけれども、そういうケース。逆にうまくいったのに後ろがないというケースがあったのかどうかというところを教えてください。

石丸構成員: 結論から言うと、両方あります。多いです。ただ、先ほど説明したオンデマンドバスの件についても自動運転の実証と定義してしまうと、オンデマンドになって失敗したということになるではないですか。そこで得られる知見とか、ニーズに応えていく運営というのは、実証以外にいろいろと文脈があるのです。その中で具体的にポジティブに捉えて、企業にもフィードバックできるようにしていけるような柔軟性を運営側が持てるかどうかというのはすごく重要かなと思います。

スタートアップに多いのですが、スタートアップを福岡は強く推していまして、いろいろなところで機会をつくるのですけれども、ハブというのは結構ピボットも多いですよね。そちらでストーリーをつくって、実証もうまくいって、さあこれからだというときに、ピボットした人がいなくなるみたいなことが結構あって、ただ、我々はスタートアップを支援しているので、先ほどの話のとおりで、それは駄目ではないかと言うわけにもいかなくて、まあそうだよなという感じで、ただ、違うところに説明責任がいっぱいあるので、そこはしっかりと対応が必要になります。

石田座長: 葛巻さん、どうぞ。

葛巻構成員: 葛巻です。御説明ありがとうございました。

リビングラボで先ほど柔軟性という話が出ていたのですが、産官学連携のスピードも非常に大事なのですけれども、構想を変えるというのは物すごく大変なのですよね。それがうまくいっているのは、どういう工夫をされているのか。18ページには「中間支援組織が中立的な立場から論点や仮説を提示」と書いてありますが、これがキーなのかなと思いながら聞いていたのですけれども、その辺をもう少しお願いします。

石丸構成員: そうですね。我々は、公共と民間と大学と市民・県民みたいなのがあって、我々は公的に存在しているのですね。なので、我々は結構地域のためにとか、あるべき姿みたいなものをずっと論じ続けられる立場にあるという意味で、逆に言うと、例えば、メンバーシップなので、それをやっていく組織の会員であれば、会員の我々が何かをしてもらうわけではなくて、そのコンセプトとか考え方に沿って、みんなが担い手なのですという整理をしているのです。担い手になる、自分たちが自主的に活動するという整理なので、初めの合意形成をちゃんとした上で、場をつくっていくというのが大きいかなと思います。要は初めの期待値をちゃんとコントロールしていくことが重要ではないでしょうか。

葛巻構成員: 民だと、結構そういうものは仕方がないかなと変えられるのですけれども、官のプロジェクトというのは、予算がついているので、最初に決めて目標設定したのに、なぜできないのだと。そのためには変えられない。期間も短くしてもいいのに、短くせずに長いままにしておくとか、フレキシビリティの意味では、いろいろ難しいことがいっぱいあるのだろうと。

石丸構成員: もちろん官と協働してやっていく事業もありますけれども、我々は主体的に動いているので、そういう意味では、官のガバナンスを受けないのです。あくまでも自律的にやっていて、プロジェクトごとに、官と協働でやっていくものは事業としてやるものもありますと。その事業の枠内で、おっしゃるようなところの官に対して説明責任を果たしていくということはありますが、我々の組織全体の事業に関しては、官としっかり距離を置いて自律的に運営をしています。

伊藤アドバイザー: 39ページのスライドですが、かつて私も経産省をやめてベンチャーを立ち上げた経験があるので、ご指摘の点は非常によくわかります。ただ、官の側もが熱量の極めて高い人たちがいっぱいいて、その人が異動させられるなどして継続して取り組めない、公募プロセスがあることから熱量の高いプロジェクトを組成しづらいといった問題があると感じています。このような問題をどのように解決していくと、官側、公側の人たちにとって熱量をアウトプットにつなげていけるのか、良いアイデアがあれば是非伺いたいのですが。

石丸構成員: 官の異動はどうにもならないのですけれども、我々はいるのです。何を言っているかというと、官の方が入れ替わったときに、新しい担当者に対して、それまでの経緯とか状況というのを我々が実は引き継いだりしているのです。なので、これはもう絶対にやらなければいけないのであるということを、我々が継続性を持っている。我々は異動しませんから、ずっと長きにわたってその事業に関わっているので、相手のカウンターパートがもう何代も入れ代わっているみたいなことはあるのですけれども、我々は、ある意味、継続性を担保できるというところは大きいと思います。

下手をすると、とある役所から問合せが来て、こういう案件が来たのだけれども、これはうちのどの部署ですかねという質問が来るぐらい。おたくの何々局ではないでしょうかと言えるぐらい、我々はリエゾンしてやっています。

伊藤アドバイザー: ありがとうございました。

石田座長: 今日も本当にすばらしいプレゼン、議論をしていただいて、ありがとうございました。

私なりの感想をちょっと言わせていただきますと、新しいコミュニティというか、新しいパブリックがいろいろなところで出てき始めているような気がしまして、非常にうれしかったですし、これからますます楽しみでございます。

そのときに大事なのは、信頼、トラストをどう醸成していくか。これは人だけではなくて、技術とか、あるいはデジタル情報ということについても、トラストと、あと、もう一つ、今日はニーズが中心だったのですけれども、これからはやはりもう少し広げて、楽しさ、ファンをどう取り込んでいくのかなということまで広げられたらいいなと思いました。

その点で、もう一つ、共助という部分が大事だよねということでございまして、村上さんにはそういう気は全くないと思うのですけれども、自助、共助、公助という言葉が最初に出たのは防災の分野の話でございまして、最近は政府にお金がないもので、自助とか共助をもっとちゃんとやろうというところに、前の前の総理大臣がそういうことをおっしゃっていたので、公の役割も決しておろそかにはならないということだと思っております。

それはモビリティの分野でいいますと、日本はまだまだ弱いのですけれども、欧米ではPublic Service Obligationみたいな、官・政府の義務であるということとか、今日もありましたけれども、甲田さんがおっしゃった、ボランティアで、それがビジネスになればいいなと。そういうことができるようにする、その辺の仕組みがなかなか日本にはなくて、そういうことをこういう世の中の動きとか、新しい潮流に照らして、どう変えていくかということも公助だと思うのです。だから、そういうことについても、ぜひまた皆さんのお知恵をお借りして発信していけたらなと思いました。

最後に、今日、お二人とも「前例」という言葉を使われていたのですけれども、最近、私は「前例」ではなくて「実例」という言葉をよく使っておりまして、ピカソが「実例とモデル」という表現を使っているのです。ピカソにとって、モデルというのはお手本なのですけれども、お手本なんか要らないわけです。

でも、実例というのは、何か新しいことを始めるときに、勇気を与えてくれるきっかけとか、そういうものは物すごく必要としたということで、今、我々がいるこの世の中において、前例はないので、みんなで楽しく実例をつくって共有できる。そのために公は何ができるかみたいなこともぜひ皆さんと一緒に考えさせていただきたいと思いました。

今日はこんな感想で終わらせていただきます。今日も本当にありがとうございました。

事務局: では、最後に、事務的な連絡ですけれども、次回、5月17日は、スマートシティ・インスティテュートの南雲さんと慶應義塾大学の白坂さんのお二人にプレゼンテーションを行っていただきます。

石田座長: 今日はどうもありがとうございました。

(以上)