デジタル関係制度改革検討会 テクノロジーベースの規制改革推進委員会(第3回)
- 最終更新日:
概要
- 日時:令和7年3月17日(月)11時00分から12時30分まで
- 場所:オンライン開催
- 議事次第:
- 開会
- 議事
- 事務局からの説明
- 「テクノロジーベースの規制改革」の進捗及び当面の進め方
- 意見交換
- 事務局からの説明
- 閉会
資料
- 議事次第(PDF/166KB)
- 【資料1】「テクノロジーベースの規制改革」の進捗及び当面の進め方(PDF/6,675KB)
- 【資料1別紙】令和6年度技術検証事業の最終報告概要(PDF/4,100KB)
- 議事録(PDF/374KB)
議事録等
開催日時
令和7年(2025年)3月17日(月)11時00分から12時30分まで
場所
オンライン開催
出席構成員
座長
江崎浩(東京大学大学院情報理工学系研究科 教授)
構成員
- 岡田有策 (慶應義塾大学理工学部管理工学科 教授)
- 小川恵子(EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 バンキングキャピタルマーケットリーダー レグテックリーダー パートナー 公認会計士)
- 荻野司(一般社団法人重要生活機器連携セキュリティ協議会 代表理事)
- 加藤真平(東京大学大学院情報理工学系研究科 特任准教授)
- 川原圭博(東京大学大学院工学系研究科 教授)
- 川端由美(ジャーナリスト 戦略イノベーション・スペシャリスト)
- 島田太郎(株式会社東芝 代表執行役社長 CEO)
- 豊田啓介(東京大学生産技術研究所 特任教授)
- 中垣隆雄(早稲田大学理工学術院創造理工学部 教授)
- 中村修(慶應義塾大学環境情報学部 教授)
- 永井歩(アスタミューゼ株式会社 代表取締役社長)
- 登大遊(独立行政法人情報処理推進機構サイバー技術研究室 室長)
- 平本健二(独立行政法人情報処理推進機構デジタル基盤センター センター長)
議事録
須賀参事官: 時間となりましたので、第3回「テクノロジーベースの規制改革推進委員会」を開会したいと思います。
今回も構成員の皆様にはオンラインでご参加をいただいております。後半にまとめて意見交換の時間をお取りしております。少々使いにくいですが、これまで同様にWebexのチャットを活用しまして、説明の最中などでも随時コメントを承っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
この委員会の座長は引き続き東京大学大学院情報理工系研究科教授の江崎先生にお願いしたいと思っております。
では、これ以降の議事進行を江崎座長、よろしくお願いいたします。
江崎座長: どうもありがとうございます。
座長を務めます、江崎でございます。今回もどうぞよろしくお願いします。
まだお入りになっていない委員の方もいらっしゃるようではございますが、時間になりましたのでスタートさせていただければと思います。
本日の議題は次第のとおりでございますが、まず事務局からテクノロジーベースの規制改革の進捗及び当面の進め方についてのご報告とご説明をお願いできればと思います。
須賀参事官、お願いします。
須賀参事官: ありがとうございます。
画面共有しておりますパワーポイントを使いまして、ご説明をさせていただきたいと思います。
1枚めくりまして、委員会の概要は皆さんもご存じのことですので飛ばさせていただいて次のページですが、規制改革の全体像をまとめておりまして、ここに細かく進捗もアップデートしていますので、全体を見たいときにはここをご参照いただければと思います。
3ページに参りまして、委員会のゴールと論点です。この委員会を設置させていただいたのが2022年10月になりますが、そこから数えますと名称は変わっていますが計11回目の開催となります。初回の22年の時点で設定したゴールにいま一度立ち戻ると、結構大事なことを言っていたなと思うわけですが、まずはデジタル原則に適合しない規制や行政サービスの見直しを加速化するために、既にアベイラブルな技術としてどういうものがあるか、どう活用できるのかということについて知識ベースを共創するのだということを言っておりました。
それから、同じような類型の規制への活用をある役所だけが先進的に進めるというのではなくて横展開をしたい、さらにそれが官民における調達につながっていくような、市場がつくられるような形まで持っていきたいということを言っておりました。
それから3つ目が、技術を使ったときのリスクの再評価です。今まで認知していたリスクとは違うものが発生したり、あるいはこれまで気にしていたリスクが発生しない、あるいは小さくなるということも含めて、リスクを再評価して規制の在り方を不断に見直すサイクルをつくるのだということを申し上げていました。
さらに最後に、国民生活をしっかりリスクから守りながら、さらに先進的な開発目標なども示してグローバルな市場展開につなげたいのだということも申し上げておりました。
次のページには、座長と構成員一覧をアップデートさせていただき、前回からは変更がございませんのでこのまま進めさせていただきます。
本日の議題は3つご用意していまして、5ページですが、まず1つ目が、技術検証を今年度までに実施したものと、それからテクノロジーマップ・技術カタログの進捗、そしてRegTechコミュニティというものの現状、そして、新しくアンロックされた技術を活用促進していくために今後何ができるかということについて、新しい論点のご提示ということで進めさせていただきます。
まず、1ページめくりまして、前回から少々時間がたっておりますので、そもそも全体像としてデジタル臨時行政調査会の時代から何をしてきたのかということのクイックレビューから始めさせていただきます。デジタル庁が特定できた、あるいは規制所管府省庁が教えてくださったアナログ規制が約1万条項(9,669条項)ありまして、そのうち左側の大半のもの(約8,600条項)は、技術検証を経なくても新しい技術をどんどん導入して差し支えないとして規制の見直しが行われ、現時点で97%の見直しが完了し、残りは180件程度になっております。
そこから右側に行きまして、とりわけ安全規制のような重い規制について、いきなりデジタル技術を人間の作業に代替して差し支えないとはならず、同等以上の精度が出るのかなどを検証しなくてはいけないというご回答が規制所管府省庁からあったものが1,043条項ございました。このうち左側の457条項と書いてあるのが、デジタル庁にて各所管府省庁を取りまとめて、技術検証を一気に実施してきたものになります。これは昨年中にほぼ一巡をしておりまして、さらに今回そこから踏み込み、国レベルの規制の見直しはもうなされているのだけれども、具体的にそれを執行されている地方公共団体のレベルでより技術実装を意識して技術検証してみるということが、1年間かけてやってきたことになります。その報告が今日の①となります。
それから2つ目は、ボリュームとしてはこちらのほうが多いわけですが、1,043のうち586条項については、デジタル庁に任せずに規制所管府省庁がご自身で技術検証しますと工程表の段階ではおっしゃっていたものでございまして、これをデジタル庁がしつこくフォローアップをしましたので、その結果についてのご報告が②となります。
また、技術検証を独自に各府省庁が実施されたものについても、こういったテクノロジーがこういう場合には使えそうだということで続々と検証の結果を共有いただいておりますので、それをしっかりとマップなどに紐づける作業というのを行いましたというのが③になります。
さらに、検証はこれで終わりではなくて、検証してゴーサインが出たものについては規制の見直し、あるいは解釈の明確化に進んでいただきたいわけでございまして、それもしっかりとなされた上で、技術カタログでこういうものを使っていいですよと掲載していくということになるのですが、検証済みの技術というのが今年度26件掲載されています。それに加えて、常時窓口はオープンにしていますので、カタログ掲載のご希望をいただいているものも合わせますと年間50件ぐらいの追加の掲載があり、現時点で221件が技術カタログに登録をされているということになります。
それから、数は小さいのですけれども大事なのが、DMPと一番下に書いていますが、デジタルマーケットプレイス、これはデジタル庁がつくっています国、あるいは自治体がSaaSのサービスを調達するとき、国が一括で契約をしてサブスクのような形でご利用いただけるようにするという政府調達のファストトラックみたいなものです。こちらにSaaSに当たるものがそんなにまだないのですが、カタログに掲載されているもののうちDMPに載せられるものはちゃんとリンクを貼っていきましょうということで、現時点で4件の連携が実現をしておりまして、これはDMPがもっと立ち上がってきますと掲載されるもの、リンクされるものが増えていくだろうという見通しを持っております。以上が全体像です。
次々ページに行きますが、ここからが今年度実施しました、2件の技術実証のご報告です。一見地道で地味なのですが、非常に面白い結果が分かってきておりますのでご報告をさせていただきます。
まず1つ目が、配管です。雨水管とかトイレの周りといった建物の中の配管について、建築基準法の12条4項に基づいて目視の定期点検の規制が入っていまして、損傷していないか、腐食していないか、劣化状況などを見るようにということでありましたが、デジタル臨時行政調査会における規制の見直しに呼応していただいて、目視に類する方法での点検も可能だと、明確化していただいていました。今回、町田市に手を挙げていただいて一緒にやりましたのが、この「目視に類する方法」の中にX線の透過検査などを用いて非破壊検査を行うということが入るのかということの検証です。
それから2つ目、右側ですけれども、自治体が公共用地を取得するときに損失補償ということで地権者にお金が払われるのですが、毎回メジャーを持参して行っている物件の調査をLiDARなどを使ってデジタルでできないかという検証を埼玉県と連携してさせていただきました。そもそもこれは根拠規定が閣議決定をされた要綱で、法律でも何でもないので、今までの1万条項とはまた別のアプローチになります。ただ、この要綱に基づいて、各県においてより詳細な手法を定めたマニュアルがいっぱい出されておりまして、具体的にそれに従って実務が回っているということでありまして、それに対して今回、デジタルな手法の実用性などを確認していったということでございます。
次のページに成果を簡単にまとめています。ここは後でご質問いただければより詳細にご報告をしたいと思います。
まず1つ目の町田市の事例に関しては、町田市が実際にお持ちの市民センター、保育園、体育館という3つの施設を使いまして、配管というのは経年劣化をしていくわけですが、どのぐらい昔に建てられたかが違う3つの施設を抽出して配管の診断をデジタルでやっていただきました。目視の場合は外側しか見えないのですが、X線の透過検査や内視鏡などを使った非破壊検査ですと中が見られますので、配管内にスケールがあるとか、さびがあるというものも全部見られるわけです。それから、目視している部分以外の配管の前後も含めた全体が確認できるということで、当然目視に類する点検方法としては有用な上に、様々なメリットがありますということが確認されております。結構驚きなのが、そもそも今、実務がどう回っているかということなのですが、配管について一部分を抽出して目視をしまして、一定期間を超えますと一斉に更新工事をしてしまう、つまり、全く傷んでない管も含めて全体の更新工事を一定の期間で一気に行うというのが今のオペレーションになっているそうでございます。これが配管の状況を定性的ではなく定量的に分析することによって、ここは傷んでいるけれどもここは傷んでないということが明確に分かりますので、痛んでいる部分だけを更新していくという作業ができるようになります。公共施設なのでご利用者、お住まいの方などもいらして、そういう施設を一定期間更新のために閉じてしまうとお使いになっている方に対する負担も大きいわけですが、それも含めて工期の縮減ができるということのメリットも大きい。自治体からすると財政負担が平準化できるということも含めて施設によっては数億円規模の財政効果があるだろうということでございました。
町田市は、市単体で50近くの施設をお持ちなので、来年以降は順次予算をしっかり取りテクノロジーを現場に入れていきたいとおっしゃっていただいています。
それから、2つ目の埼玉県と一緒に実施した技術検証につきましては、2事業者に手を挙げていただき、2種類の似たような実証をやっていただきました。物件調査の業務に、iPadProだとLiDARアプリが入れられますのでLiDARセンサーを使用したり、あるいはレーザースキャナーを置いたりして、今までメジャーなどでアナログで測定をしていたもの、コンベックスや巻尺などを使って調べていたものを、しっかりデジタルで3D図面に起こして、そこから自動で算定をしていくというプロセスが組めないかということで、こちらは担い手がどちらも保証コンサルタントという方々になるようでございまして、そういった方々からご提案をいただいて実証を一緒にやりました。
結果として、実用性、活用可能性は十分確認ができました。もちろん一部樹木の種類を自動で判別・算定するみたいなところは、前も少し出ていましたが、木のモデルデータが足りないものですから、学習データの蓄積が待たれるみたいなこともあるのですけれども、大部分については十分な精度が確認できました。さらに、今の規制では2次元の図面の作成が最終的に必須になっているのですが、実は2次元の図面を吐き出す機能をわざわざつけなくても、3Dのモデルで十分に必要な情報が得られますし、地権者にご説明をするときも、方眼紙に手書きした2次元の図面よりも3Dのモデルでお宅はこのような状況であるとご説明をするほうが地権者の納得を得やすいという効果も期待できます。算定資料の作成にあたってはまだ2次元の図面が必要になるようなアナログ規制が残ってしまっているようなのですけれども、この部分の規制見直しにもつなげられるのではないかということもご指摘いただきました。実はちょうど明日、埼玉県が主催して、この技術検証の成果報告会をしていただくということになっておりまして、県内の自治体などへのさらなる周知がなされていくことが期待されます。
以上2件、昨年度実施した技術検証のご報告でした。次のページからはデジタル庁ではなくて規制所管府省庁が実施していただいた技術検証をしつこくフォローアップいたしましたというご報告です。関係する14省庁それぞれの状況についてヒアリングをしましたところ、対象の586条項のうち、既に98%の条項において何らかの形で検証のプロセスが終わっていますというご報告をいただいております。最後にまだ残っているのは法務省の9件だけで、全体の1.5%なので、これは随時追いかけていきますが、それ以外について表を見ていただきますと、検証をそもそも実施しなかったというのが多いのですね。37.7%です。これはどういうことなのか聞きましたら、リモートの会議システムを使えばいいだけのものを一応検証が必要と出していたのだけれども、当然リモート会議システムでよかったので、検証もしないでオーケーにしましたということで、規制見直し自体はなされていることが確認されましたので、こちらも済みと判断をいたしました。
一番左側の技術検証をきちんと行った上で規制の見直しをしましたという事例を次のページでご報告させていただきます。例えば環境省が11ページですが、「一般廃棄物の最終処分場及び産廃の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令」の明確化をするための通知というのを複数回にわたって出していただいています。これは地方自治体の担当の部局長宛てに環境省の課長名でお出しになっているものですけれども、その文書の中で、一般廃棄物の最終処分場における擁壁等の点検について、8種類の技術を定義して、これらは具体的にはこの条項については使えますとちゃんと表に整理して通知を出していただいています。規制を明確化した上で、具体的に活用可能な技術は検証の結果こういうものがあると分かりました、という形でかなり明確に出していただいているものです。
それから、2つ目が右上の厚生労働省のものですけれども、労働安全衛生法上、ボイラー、その他の機械について定期検査の義務が入っているのですけれども、それについて非常に長い通知・通達を出していただきまして、その中でどういう場合にはこういう技術を使って差し支えないとか、こういう技術を使ってもこのプロセスを実施したと認められる、というふうに非常に細かく技術を特定して書いていただいているものであります。
それから、一番下が国土交通省の水道法関係の施行規則ですが、こちらは規則を一部改正していただき、水道施設の維持及び修繕の基準について、全部現場に行って巡視や目視点検するようにという規制になっていたところを、遠隔巡視が含まれます、様々な新技術を使って差し支えないですよということを書いて通知を発していただいております。
次の2ページ、こういった技術検証の結果を各省から1つ1つ聞き取りまして、それをマップに反映するという地道な作業をデジ庁の側ではやっております。それによって追加になったエリアが緑で表示しているのですけれども、結構多いなという印象でございます。逆に検証したことによってこれは駄目だ、使えないと分かった技術というのも一部ございまして、それを赤で表記しております。
次のページからが、マップに紐づくカタログでございます。テクノロジーマップに例えばドローンというラベルが載っていたときに、どういったドローン点検サービスが具体的にあるのかカタログを見ると分かるわけですが、今年は52件がフローで入ってきておりまして、一番右の内訳を見ていただきますと、普通にうちのサービスを載せてくださいと応募いただいたのは26件、それから17件と9件というのを足したのが、技術検証が済んだ非常に確度が高いテクノロジー、サービスということでカタログに載せているものでございます。
今後ですが、今回、町田市と埼玉県と一緒にやった技術検証の結果の製品やサービスは当然ファストトラックでこのカタログに載せていきたいと思っておりますのと、今後、解禁技術が導入されていくのに対して、具体的にここでこのように活用実績が出たということがあれば、ぜひそれをカタログで吸収していきたいという思いがございます。
次のページがポータルサイトでございます。デジタル庁が作成しているアナログ規制の見直しに関連する技術やサービスをポータルという形でデジタル庁のホームページに掲載しております。幾つか細かくユーザビリティーの改善をして行っておりまして、例えば検索をして絞り込み表示ができるようにする。先ほど申し上げたように技術検証が完了した技術、テクノロジー、要素技術というのが特に価値が高いわけでございまして、そういったものがハイライト表示されるようにする、あるいはテクノロジーマップ上の規制内容や各技術の要素に関連する検証事業やカタログというのを一覧表示できるような機能も追加しております。
現在、かなりマニュアルな作業でこれを維持しておりますが、今後、我々としてはできればこのマップ・カタログに関連する業務というのはなるべく長く細く続けるためにリーンにしていきたいと思っております。カタログの修正依頼などアプローチが新規掲載以外にも結構ありますが、これらは投稿機能を使っていただいて、申請から掲載までのプロセスを全てオンラインで完結するというところまで来年度は持っていきたいなと思っております。
次に、②でRegTechコミュニティについてご説明いたします。ちょっと何だっけという感じになるかと思うのですが、次のページで、もともとデジ庁がマップやカタログなどをかなり踏み込んで作成し、それに関連する事業者さんと規制所管府省庁、あるいは規制コンプライアンスの義務を負われる方々をつなげるようなコミュニティをつくろうということで、Slack上で立ち上げたものがございました。次のページに参りまして、おかげさまでSlackのメンバーシップの登録は伸びて、今は536名まで来ております。当初は、RegTechコンソーシアムと呼んでおりましたが、もう少し自治体の日々の業務の悩みを共有する気軽なコミュニティとなったため、名前もRegTechコミュニティに変えましょうということで途中で名称変更をさせていただいております。
次のページに、その中のヒット企画であるRegTechミートの開催実績を記載しております。コミュニティ立ち上げ当時は毎週開催しておりましたが、そこから先は2か月に1回ぐらいずつ、テーマに絞ってやっております。例えば昨年5月に四日市市に登壇していただいたイベントでは、四日市のコンビナートの企業からアプローチがあり、デジタル技術の活用について具体的にこういう課題をいっぱい抱えているのだという悩みを共有してもらって、四日市市主催でしっかりそれを何とかしようという会議を開いていただいて、課題解決済みとなった事例です。
次に、昨年11月に愛知県の半田市と中日本航空が一緒に出ていただいた、固定資産税の課税事務に係る衛星画像の差分解析というのをこのようにやっていますよという事例を紹介していただいて、ほかの自治体から問合せがありましたというフィードバックがありました。
直近は今年2月に開催いたしましたが、四條畷市がかなり久しぶりに電子投票というものを地方の選挙において導入したわけなのですけれども、かつて電子投票のブームがあったものの広がらなかったので、マーケットがないということで企業の皆さんが引かれてしまっていました。しかし、四條畷市は、無効票が手書きだとすごく多いので、それをなくすために電子投票をやはり実施したいということを発議されて、事業者が見つからないということで、RegTechコミュニティの中で我々事務局から投げかけさせていただいて、京セラが熱い気持ちで手を挙げていただいて、マッチングが実現したという非常に理想的な事例でございました。
次が最後の項目になりますけれども、これから私たちが注力しなくてはいけないなと思っているのが解禁技術の導入促進ということでございます。
アナログ規制の見直しまでは国の側でできるのですけれども、本来は個々の規制見直しによって具体的な技術が解禁され、活用が始まることが期待されるものの、あまりに大量に規制の見直しを一度にやり過ぎて、具体的な現場に何が使えるようになったのかという変化の差分の情報がちゃんと到達していない。例えば、先ほどご紹介した埼玉県さんとの事業の結果を見ていただきますと、保証コンサルという方が公共用地の取得においては重要なプレーヤーなのですが、この保証コンサルさんに、今は目視でやったり、メジャーを使って測っている作業をデジタルで代替しようと思っていただかないと、せっかく規制が変わっても新技術の導入は、実務上は進んでいかないというところに今、多くのプロセスがはまっているなという感じを私たちは持っております。今の実務が、規制当局側で必ずしも想定していないぐらいアナログになっている可能性もあると思っております。
したがって、規制の見直しがほぼ完了して、ネクストステップに行きたいわけですけれども、この解禁技術、規制業務で使われるデジタル技術というものをどうやって特定し、その情報、あるいは、もうそんな規制は見直されているのですよということをどうやってしかるべき方々に伝えていけるかという発信のやり方みたいなことを工夫したいな、というのが次の課題感でございます。
次のページですけれども、まず先ほど各府省庁が技術検証を独自にやっていただいた結果として発出している通知・通達を、幾つか環境省の事例や厚生労働省の事例などでご紹介しましたけれども、よく見ますと、あれが極めて具体的で良いのですね。ただ、通知・通達というのは行政の内部で特定の国の部署から特定の部署あてに発出をされているものですから、実はネットを検索してもその情報は出てこないのです。したがって、まずアナログ規制の見直しに当たってどういう通知や通達を出していただいているのでしょうかということを改めて各府省庁に問合せをさせていただいて、現時点で1,400件ぐらい収集をいたしました。このそれぞれの文書が非常に価値のある文書になっておりまして、これをよく見ますと、どういう作業にどういう技術が入ると少なくとも国の当局が思っているのかということについては、かなりよく分かるようになっておりますので、こういったものを踏まえて、具体的に解禁技術が導入されるために必要な情報提供を検討できないかなと思っております。必要があれば、デジタル庁が言うよりも規制所管府省庁からおっしゃっていただいたほうが、意味があると思いますので、ご協力を仰いだりということも検討したいなと思っています。
参考事例で1つ書きましたが、総務省が自治体に向けて固定資産の現況調査という地方税法408条に基づいて行う調査について発された通知・通達が非常に充実しており、ひとつのモデルになると考えております。例えば衛星画像というのは皆さん粗いと思っているかもしれないけれども、ここまでよく見えるのですよとしっかりサンプル画像を貼っていただいて、画像にサムネで企業の名前が書いてあったので全国の自治体からその企業に問合せが集まる、ということまで起きているようです。「国定資産の現況調査に係る実態調査の調査結果及び先進事例について」という文書なのですが、ネットで手に入らないのですけれども、非常に価値が高い文書だと思っています。こういったものをしっかりと収集した上で、ぜひ私たちのところで眠らせずに何らかデリバリーの方法を考えたいなという問題意識を今持っております。
それから、その次のページですが、非常に粒度の細かい情報をしっかりと届けるのに加えまして、むしろよりオーバービューといいますか、全体としてこういった変化が起きているよということを、一覧性を持って届ける仕組みというのもしっかり考えたいなと思っています。実は皆様ご存じか分からないのですが、既にアナログ規制の見直し状況ダッシュボードというのがデジタル庁のホームページに載っておりまして、こちらのQRコードから飛んでいただけますけれども、そこに幾つか進捗が見やすい形で表示されております。ここにしっかりとテクノロジーの関係の情報も紐づけるという作業を今後していきたいなと考えているところでございます。
次のページで今後のスケジュールについてご案内しています。規制見直しを大々的に仕掛けるタイミングというよりは、その後の非常に地道なプロセスに入ってまいりますので、業務の標準化、ルール化、定型化ということも意識して持続可能な形で取り組んでまいりたいと思っているところです。
最後に、次のページですけれども、これに限る必要はないのですが、本日幾つかご議論いただけたら、あるいはアドバイスいただけたらということで、座長とご相談しまして論点を書かせていただきました。
まず1つ目として、国が推進できるアナログ規制の見直しはもう97%完了していて、次は、解禁技術の実装フェーズに進みたいと思っているわけですが、具体的に今、私たちがお示ししたような方策に加えてどのような取り組みが有効であるかについてのアドバイスがあれば、ぜひいただきたいです。
それから2つ目は、解禁技術の実装を加速させるに当たって、自治体が鍵になるわけです。自治体はDXの可能性の宝庫だし、具体的にそこで技術の導入のペースが決まっているというところがあると思います。その方々に対してどのように働きかけたり、サポートしたりするのがいいかというのが2つ目でございます。次のページで先にご説明をしますけれども、先日、埼玉県八潮市で下水道のインフラに関する重大事故がございました。それを受けて、第9回デジタル行財政改革会議で総理指示が出ておりまして、その中の青い文字のところを読み上げさせていただきます。「インフラについては1月28日、埼玉県で重大事故がございました。上下水道インフラの老朽化に対応し、自治体による事業運営を持続可能なものとするよう、これを急務として取り組んでいただきたいと思います。中野国土交通大臣、村上総務大臣は、人工衛星データやドローンなどを用いた漏水の検知、地中の管路内部の点検等のDX技術について、今後5年程度で、全国で実装するという目標を、大幅に前倒しし、できる自治体から速やかに実装を進め、3年程度で、全国で標準実装できるよう取り組んでください。あわせて、上下水道に限らず、自治体におけるインフラ全体の維持につきましても、目視などに頼りがちな現場業務を、デジタルの活用により正確性を増し、安全性を確保しながら現場負担を軽減できるよう、ルールの見直しなどを実際に働きかけてください。」ここまで具体的に総理から指示を出していただくに至ったということで、これはデジタル臨時行政調査会の活動の1つの成果、マイルストーンかなとうれしく思うとともに、次の課題が見えてきているなという文書でございます。
最後の3つ目の論点ですけれども、ちょっと毛色が変わりますけれども、デジタル臨調が始まってマップ・カタログを作り始めた当初と比べまして、一番大きく変わったのはAIの導入スピードでございまして、もともとはAIも使えるかもねということで当然マップにもAIと書かれているのですけれども、そのインパクトというのが、当時我々が想定していたものよりも大きくなっている。このアナログ規制改革の次のフェーズに向けてAIの要素というものをどのように検討していくべきかについてお考えがあればぜひ伺いたいというのが3つ目でございます。
事務局からのご説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
江崎座長: 須賀さん、どうもご説明ありがとうございました。
1年間空いた中で何をやっているのだと思っていらっしゃった委員の方がいらっしゃるかもしれませんけれども、地道にやっていて、最後にあったように97%の見直しが終了しているということでございました。この中で議論したものの新たな利用可能性みたいなものも大分出てきているという意味で、包括的に見る意味ではマップが実は非常に機能したというご報告をいただいています。
それから、最後のところは、非常に具体的な導入というフェーズに入ってきているというのが事務局としての認識になっているということでございます。
それから最後、AIは、この議論を始めた頃はまだやっとChatGPTが出てきたぐらいで楽しんでいたというのが正直なところですけれども、それこそビジネスユースにAIの技術というのがもう使えそうになってきているという意味においては、最初に見直したときからフェーズが変わってきているので、それに対してもし皆様方から非常に良いアイデアがあればインプットしていただいて、デジタル庁なりほかの省庁からの予算要求や施策に対しても次のフェーズを打っていければというのが須賀さんからのお願いであったかと思います。
それでは、皆様方からの意見交換の時間とさせていただきます。本件に対するご意見、ご質問等があれば、伺わせていただければと思います。直接ご発言のボタン、あるいはチャット、あるいは音声でお知らせいただければと思います。ご希望される方はどうぞよろしくお願いします。
島田さん、お願いします。
島田構成員: お世話になります。東芝の島田でございます。
今、この委員会はテクノロジーベースの規制改革を推進する委員会ということなのですが、この出発点には規制があるからデジタル化が進まないのだという仮説があったのだと思うのですね。現在、例えば97%の規制は解禁されておるにもかかわらず実行が進まないとすると、問題は規制ではなかったのではないかということが明らかになったということではないかと思っているわけであります。それはこの委員会の当初の頃から申し上げておりました、インセンティブが不足している、要はリスクを取ってまでその責任を取ってお金がもうかるのかということに、結構民間側としては問題があったのだろうと思っているわけであります。
ということは、規制がないにもかかわらず進まないのは何であるのかということは、これは2つの私の仮説というか、実際にやっている人から聞いた話ではありますが、インセンティブがないということなのですけれども、要はさっきの例えば配管の話は、配管を替えてもらったほうがもうかるわけなので、それは納入業者側からすると積極的にやるインセンティブがないですね。
だから、そう考えたときに、私はデジタル化が進むことは日本の国にとって良いことでありますし、国民全体にとってとても良いことだと思うのですけれども、次の本当のハードルは何なのかということを、ぜひ提供している側の人たちにインタビューされてはいかがかと私は思います。
要は問題が消えれば、本当の問題が何かというのが明らかになってきたときに、その本当の問題をどうやって解決するのかということを順番に解き明かさないと、今現在のお話を聞いている限りでは、みんなが知らないからだろうと思っているように聞こえるわけなのですが、果たしてそうであろうかというところが私は疑問に思いますので、インタビューされてはどうかと思います。
2つ目に、地方公共団体のDXが動かないことは、私はほぼほぼ人材の問題と思っております。相談に行ってもちゃんとまともに答えられる方はあまりいらっしゃいません。そこにしっかりしたCDOというか、地方にそういったものがなければ、恐らく受け止める側が予算も取ってその変革を行っていくというのはなかなか進まないのではないかと思います。
それから、3つ目のAIの話なのですけれども、アメリカから来たLLMというのはそのままインフラに適用することはできません。むしろ大切なのは、インフラから出てくるデータを使って日本のインフラにおけるAIが正確性を高めることによって初めて意味が出てくるわけであります。
そのことを考えると、今現在の日本で使われているインフラのデータをどうやってAIに食わせられるようにするのかということを考えることが、恐らく最もこの議論において進捗を得られる道ではないか思います。以上です。
すみません、私は後がありまして、先にご発言させていただきますが、後ほど先に退室してしまうと思いますが、申し訳ありません。
江崎座長: ありがとうございます。
須賀参事官: ありがとうございます。
まさに当初の私たちの仮説が、規制の見直しさえすれば、あとは自由にあるべきところに収まっていくと思っていたのは明らかに違いました、というのが現状でございます。他方で、規制の見直しに意味がなかったかといいますと、取り寄せた各府省庁の文書を見ますと、やはりそれは駄目と言っていたのねということも逆に分かってきておりまして、そういう意味で見直しは必要なファーストステップではあったと思います。
規制見直しだけをしても、現場で実装が進まないことについては、ずっと島田委員にはインセンティブがないということをおっしゃっていただいていたと思います。我々もかなり技術カタログを通じて事業者ともコミュニケーションさせていただいているのですけれども、そのインセンティブというのは一体具体的に何なのかというのが、あまりモデルとしてまだ理解し切れていなくて、国に対して遠慮されていて我々が本音を聞き出せていないという面ももちろんあるかもしれないのですが、それに加えて本当の必要なインセンティブは何かについての定見をお持ちの方というのもそんなにいらっしゃらないような気がしていまして、もしもご紹介いただける方があれば、ぜひその方にお話を伺いたいなと思いますので、改めてご協力いただければありがたいと思います。
その他の点はおっしゃるとおりだと思います。
島田構成員: 私は批判をするつもりはなくて、問題が明らかになるということは良いことだと思うのですが、若干私は予測をしていたところでありまして、これは民間のDXでも同じで、使えばいいのにというのに買わない人たちがたくさんいるのと同じ理由ですね。カタログなどを出してくる人たちは売り込む側なので、売り込まれる側にどういうインセンティブがあるのかということが大事になると思いますので、ご紹介はできると思います。以上です。
江崎座長: ありがとうございます。
座長の帽子を外して、3つ目のところに関してはプライベートLLMというか、データのソブリン性をちゃんと意識した上での産業用のLLMというのを今の大きな方向性として政府も大体持っていますので、いわゆるパブリックLLMではないところというのをどうしていくかと、そのときのデータのトラストと企業のトラストのアンカーをどうするかというお話のところは非常に重要なところになっていますので、島田さんがおっしゃったとおりのところは非常に我が国として取り組んでいかなくてはいけないところかなと。
島田構成員: 官庁様にお願いしたいのは、データの利用権などの辺りをどのように認めていくべきかみたいなことのガイドラインを出されたほうがいいのではないかと思います。データには所有権というのはなくて、しかし、今までの慣習でこのデータをなぜ出さないといけないのだということはずっと言われているわけであります。ただし、それはいろいろなステークホルダー上は実は利用してもいいのでしょうという利用権という考え方があって、これについての議論が深まらないといつまでたってもデータは流通しないと思います。
江崎座長: ありがとうございます。
もう一回チェアの帽子を外しますと、僕は今、経済産業省とデジタル庁が組んでやっているトラストの委員会の座長なのですけれども、そこではデータの所有権というのを捨てろと。データの利用権ということでサプライチェーンマネジメントのデータの連携というのをちゃんとやらなくてはいけないというコンセンサスが経団連も入れてできまして、それをグローバルに発信していくというところまで今は来ています。
島田構成員: そうですか。そうだとすると、もう一言申し上げたいのは、例えば絶対に必要なCO2の見える化みたいなものは、利用権として出さねばならないぐらいのガイドラインを出すべきだと私は思います。以上です。
江崎座長: それはちょうどASEANの首脳会合で、まさに環境のサプライチェーンのフットプリントをつくるというのがアジェンダに入りましたので、そこでそこは重点的なユースケースとしてやるという方向になっていますね。
島田構成員: これ以上はやめておきます。
江崎座長: ありがとうございます。
重要なことは、皆さん委員の方々はいろいろなところでご発言される方ですので、いろいろな場面で同じ認識で我々が発言していくというのは非常に重要なことだと思います。さっき島田さんがおっしゃったインセンティブというのは重要だと、あるいはトップのリーダーシップが重要だと思っているということがもし共有できれば、それを皆さん同じように発信していただいて進めるというのができればというのが、実はレクのときに須賀さんとも共有したお話です。よろしくお願いいたします。
それでは、次に、挙手いただいている小川先生、お願いします。
小川構成員: ありがとうございます。顔を映します。
先ほどはご報告ありがとうございます。97%見直し完了ということで、非常に良い数字で驚きました。本当に短期間で、しかも100%近いという形で今回ご報告いただいたということ、非常にうれしく思っております。
私からは3つ、島田先生のご意見に重なる部分がありますが、お話しさせていただきます。
1つ目は解禁技術の導入の促進について、2つ目は、実際運用上の課題に対してどういった形でPDCAサイクル(Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善))を繰り返す課題改善手法)を組んでいくのかという点、3つ目として、ポータルサイトについて少し言及させていただければと思います。
まず、解禁技術の導入促進では、ポイントは、2つあると思っています。
1つ目のポイントは、情報の収集・提供機能の強化といったところかと思います。先ほど配管設備の事例紹介、固定資産の評価の事例紹介について非常に参考になりました。私自身も9年、ある市の固定資産評議員を担い、実地調査を経験していますが、今回のこういった技術がどれだけ貢献するか、身をもって感じています。
実際に今回のこうした事例含めて、その活用性、実用性の効果評価というのを一定程度誰もが分かるように、可視化し、KPI化していくことが必要ではないかと思っています。今後対象技術も多くなっていきますし、その説得力、周知力という意味でも、なるべく分かりやすく効果などを可視化していく。例えば、安全性、コスト削減、精度向上、市民生活の向上といったものを一定程度定義づけ、可視化をしていく。解禁技術の実装については単純にインセンティブだけで、自助努力というのも難しいのではないかと思っています。一部は中央も関与して、そういったKPIが高い解禁技術については優先的に補助金などでサポートし、横展開をしていくような施策が極めて重要ではないかと思っています。
2つ目のポイントは、先ほどテクノロジーのリテラシーのお話がありましたが、なかなか現場のみではリテラシー推進が難しい、あるいは、既得権といった問題もあるかと思います。なので、例えば、定期的な情報提供会、事例紹介を含む集合研修プログラム等整備していく。また異なる市町村間でも協力し合えるように、人員の交流プログラム、それから中央からの人員サポートといったものも非常に重要だと思っています。先ほどCDOが必要なのではないかというお話があったかと思いますが、これは極めて重要な話で、現場は常に忙しい、お金もない、人も足りないといった状況の中、各自治体で一定程度の戦略的なデジタル推進及びガバナンス体制の構築が重要と考えます。こうした体制を推進するために補助金あるいは、各自治体間での競争原理を自発的に即していくような、例えば、先ほどのKPI達成率の開示、比較、見える化も有効ではないかと思います。
次に、今後、いよいよ実装の段階に入るといろいろな課題も出てくると思っております。そういった情報をいかに共有していくか。情報共有には、2つの層があると思います。
1つは中央へのタイムリーな情報共有連携と、中央としてのPDCAサイクルをもって各自治体へしっかりフィードバックをしていく仕組み。
2つ目が、各自治体が、独自の個別課題について課題管理し、PDCAサイクルを回す仕組み。中央と地方自治体のこうした2階層のPDCAサイクルが有機的に結合していくことが重要だと思います。
最後に、ポータルサイトについて、すばらしいなと思ってお聞きしていました。やはり今後、対象技術が膨大になっていくと想定されますし、今後、技術カタログの機能開発の推進といった点でも、非常に有効かと思っています。
あわせて技術革新は非常に速く、日進月歩で進んでいきます。なので、昨日はベストだと思っていた技術が、すぐ次の技術に乗り替わっていく。動的な部分は、無視できないと思っています。そういった技術革新の陳腐化も考慮し、技術の置き換えに関するプロセスも今後検討していく必要があると思います。たとえば、最先技術に関する有識者等による一定サイクルの評価プロセスなど、中長期的に検討していく必要があると考えます。私からは以上です。お返しいたします。
江崎座長: どうもありがとうございます。
今の仕事、それから島田委員のお話のフォローの内容だったかと思います。
まだたくさん委員がいらっしゃいますので、ぜひほかの委員の方々からのご意見も聞いていければと思いますが、ございますか。
須賀参事官: 登委員がいつもどおり投稿をしていただいているので、もしよろしければお願いします。
登構成員: こんにちは、登です。お久しぶりです。カメラがこちらの事情で使えない環境におりますので、音声のみで失礼いたします。
本施策がスムーズに進捗し、かなりのカバー率が満たされていることは大変にすばらしいと思いまして、デジタル庁の稼働力をすごく尊敬しております。自治体のDXに関することとAIに関することで少しコメントをさせていただきます。
詳しくはチャット欄に貼り付けたとおりでありますが、まずAIというものは、先ほどどなたかからか意見があったと思いますが、クラウド型というか、パブリック型のAIというものと、ローカルで動くAIの2種類があると思います。第1のクラウドAIですが、これは例えばOpenAI等が、品質機能が非常に高い。しかし、営業機密や個人データについての機密性、また、再現性、または責任の明確化、さらにコストが高いという点で難があると思います。
最近、別の委員会で経済産業省のAIの利用・開発に関する契約チェックリストの取りまとめというものに参加しましたが、この最終報告書でも、クラウド型のAIは機密性や個人データの扱いについていろいろな注意が必要だという記載があります。
また、代表的なAIプロバイダーでクラウド型のOpenAIの企業向けの約款というものをあまり誰も読んでいないということが分かりましたので、昨年末に全部読んでみましたら、これは個人情報やセキュリティー、機密性上、かなり気になる点がいろいろありましたので、これもMETIの委員会に出しています。
それで、次に希望の持てるローカル型AIなのですが、これは何かというと、自治体等の行政機関の手元で例えばマシンを買って、GPUで動くものであります。ただ、残念ながら品質機能は現段階で不十分だと思います。これは何が不十分かというと、手元で動くGPUが、NVDAの100万円以下で買えるものが例えばGeForceRTX4090とか5090という、これはマニアックな話なのですが、これは、なかなか速度は速いのですけれども、メモリーの容量があり、トークン数に制約があったり、事前学習されたデータを全部ロードすることができず、量子化というものが必要になるなど、精度が低いのです。それが第1のクラウド型の場合は、たくさんのより高価なGPUが走っているのとの多重効果によりまして、非常に多くのメモリーを使ってもコストがばらけるということで、第2のほうは負けております。これが第2の欠点であります。ただ、利点としては、機密性、または再現性、責任の明確化ができ、コストも最良であります。この第2のほうですけれども、見ていると、今年が第2のローカル型AI元年みたいなもので、2年から3年以内に大きな進化があるのではないかと見えます。
最後に、自治体DXとこのローカル型AIの組合せについて、非常に注目すべき例が挙がっておりますので、それを共有したいと思います。神奈川のある市役所の職員の方々が、100万円以下のものなのですが、手元でNVDAのGeForceとある程度まともなマシンを2台用意しまして、オープンソースAIとGPUを用いたローカルAI、これはChatGPT-4と類似の性能で、実は追いついていないのですけれども、ChatGPT-4です。o1などよりももっと古いものですが、それと同じ性能があるものを目指して庁舎内で作っています。これは裏からIPAが支援しています。これは注目に値するものと思います。
貼り付けたリンクは、彼ら行政職員2名が毎日書いていらっしゃるブログ記事であります。このブログ記事の一番下のほうはマシンの開梱、GPUの接続、OSのインストールから、ほかの自治体職員が参考にして再現できるようなものを彼らは書いていらっしゃいます。
そうすると、次のことが言えるのではないかと思います。ローカルAIは2年から3年で自然に進化しますが、これを自治体が使いこなすにはAIの根幹部分、一番奥深くの部分を自分で開発するということは、自治体は無理だと思うのですけれども、既存のAIエンジンを様々な方法で呼び出し、例えば本件における検査の自動化ですと、動画データを静止画データに分割し、これを次々に画像としてAIを呼び出して、その結果をさらに別のAIでまとめるという接着剤的使い方のスクリプティングの部分が各自治体でこれから創造的につくられる重要なノウハウなのではないかと思います。そして、1つの自治体でノウハウが見つけ出されたら、これをほかの自治体に共有するということで全国的に使えるようになると思います。
この際、重要なのは、何か計画主義的に、または、たくさんの予算を投入してこれをぜひとも実現しなければならないとするのではなく、むしろ当該自治体の例のように、消耗品レベルで購入可能なコンシューマクラスの安価なGPUを組み合わせて、好きなときに遊んでみましょうという気分が彼らの中に生じるように、彼らがいわば遊び、遊びという言葉は良くないので試行錯誤とか、いろいろ言い換えるべきだと思いますが、そのような感じで自治体の中からAIに関する技術が自然発生するような仕組みをつくることができれば、今の論点の2番目と3番目のところが進むのではないかと思いました。以上であります。
江崎座長: 丁寧な情報共有をありがとうございます。
政府の議論のお題になっているし、当該自治体の事例も分かっていらっしゃるので、この中でも議論した、そういう情報を上手に発信するというときに先ほど話のところにより長く入っていただくといいかなと聞いておりました。
時間も大分経過してきましたので、今、挙手いただいています永井先生、お願いします。
須賀参事官: 永井さんは12時で退室のご予定でしたが、大丈夫でしょうか。チャットをいただきましたね。
江崎座長: もしかしたらもう退室されましたかね。では、事務局から謝りのメール対応などをお願いします。
では、中垣先生、お願いします。
中垣構成員: 中垣です。
私からは、今、経済産業省絡みで電気保安のことを2つやっているので、この論点に沿ったようなところのご報告とご意見をさせていただきます。
先ほどの島田委員とほぼ重なるところはあるのですけれども、まず今、スマート保安プロモーション委員会というのをやっています。これは3年半経過しまして、目標は20件だったのですけれども、今、22件の技術カタログを公表しています。
一方で、いろいろ反省点もあって、開発者と設備のオーナーのデータの所有権の壁というのがありまして、やはり高度なAIの活用という提案はありませんでした。この委員会の基本方針として、有効な技術なのだけれども普及がなかなか進まないねという案件については、その阻害要因を整理した上で実装の推進の支援に努めようということがあるのですけれども、規制の壁もさることながら、やはりファーストムーバーとなることへの心理的なバリアというのが業界を通じてどこでもあると思うのですけれども、そういったところがあってちゅうちょしている感があるかなというところでうまく進んでいないところがあります。
それからもう1つは、高圧ガス保安法の一部改正に伴って認定高度保安実施設置者制度というのが開始されているのですけれども、この中に4つほど目標があって、そのうちテクノロジーの活用、それからサイバーセキュリティーの対策などという要件を満たす事業者については大臣が認定して、いろいろな届出や監督の時間を短縮するというところの大きなメリットが手に入れられるのですね。火力発電所については昨年9月に、大手なのですけれども、JPOWERジェネレーションサービス、それから四国電力、中国電力の3社が認定されていて、こちらはむしろこの規制改革が先行してデジタル化をさらに加速しようとする良い好事例だなと思っています。
このようにして、大手がベストかベターか分からないですけれどもプラクティスを示すということで、あそこがやっているのだったらということで追随してくる事業者が出てくることを期待はしています。
人材不足のお話もありましたけれども、それもそのとおりで、この3社については関係電力会社のデジタル活用の教育自体も実施していて、そういったところがほかで展開することによって、裾野広く進んでいくということを期待はしております。以上です。
江崎座長: どうもありがとうございます。具体的な電力業界での事例をお伝えいただきましてありがとうございます。
それから、チャットには永井委員からも入っていますので、ご覧いただければと思いますが、インセンティブとして機能した事例というのは非常に重要だということをインプットしていただいております。
同じようにチャットをいただいている中村先生、お願いします。
中村構成員: チャットに書いたとおりなのですが、デジタル化というのはそれぞれの仕事に対するツールだと思います。
先程の水道管の非破壊検査は、目的としても全然レベルが違いますね。すなわち今まで目視でやっていたのをもっと確りと検査しましょうとか、先程の画素数の話ももっとデータとしてしっかりマネジメントしましょうという話ですね。すなわち、それぞれの目的に対して、今のテクノロジーでできることを考えるというフェーズにしなくてはいけない。
今まで既存の業務のデジタル化の可能性を調査検討してくれたことは本当にすばらしいアウトプットになっていると思いますが、次のフェーズはそれぞれの検査などの目的をしっかり今のレベルに合わせていくということ大事だと思います。
あとは、デジタル化における一番大事なことは、情報の共有が可能であるということです。すなわち情報がデジタル化できていないと、情報の共有ができないということです。提出書類は全部デジタルにする。また、データの形式も揃えるなどの活動があると良いと思います。
ありがとうございます。
江崎座長: ありがとうございます。
須賀参事官: ありがとうございます。
座長に後でまとめていただければと思うのですけれども、そうなのです、中村先生。これは別に我々はデジタル至上主義でも何でもなくて、やはり検証をしてみると、例えば、先ほどの配管検査なども、自治体目線で少なくともその予算を預かっている立場からすると、いきなり例えば5億とか6億という改修費用がどんと立っていたところが、少しずつ配管を入れ替えて改修しながら最終的な支出自体は18年後に先送りできそうだみたいな、これはかなり金銭的にはパフォーマンスが高い話だと思うのですが、一方で、それは裏を返すと永井さんや島田さんにも言っていただいたように、それをビジネスとして今やられている方からすると何のインセンティブにもならないというか、仕事がなくなるということにしかならないということだと思うので、もちろんその分ほかに何ができたかというのを示すというのも大事なのです。
けれども、そもそも目的は、規制というのは確かにビジネスでもあるのですが、その前にもともと安全を維持したいという目的があったはずで、そこまでの最も効率的かつ最短な手段がどんどん出てきていますということなのだと思うので、やはり目的に立ち返れば立ち返るほどこの技術は使ったほうがいいよねと本来はなるはずだと思っています。
その目的も、実証してみると、例えば環境にも優しいとか、コストも抑制できるとか、精度もこのぐらい上がるというのが全部出てくるので、それをもうちょっと具体的に、今、最先端の技術を使えばここまでの精度が出るはずだからそうやってくれと規制当局から踏み込むというのも、もしかしたら1つあるのかもしれないなと思いながら伺っておりました。
他方で、今、規制所管府省庁から出していただいている通達などはどちらかというと抑制的で、こういう先端技術も「使っても差し支えない」とまでは書いていただくのですけれども、やはりそれを勧奨する表現にはなっていないですし、ましてやそれを使わないと実現できない精度を目指してくれともおっしゃっていなくて、どちらかというとダウンサイドのリスクがデジタルにしたことによってないことは一応確認できたので、その範囲においては使っていいですみたいなものがまだ全体のトーンとしては主流だなとは思っておりました。
中村構成員: ありがとうございます。
府省庁というのは国民の代表なので、企業のお金のビジネスは企業が考えればいいことなので、ぜひ目的をしっかりはっきりさせていく。安くできるのだったら税金が少なくて良いというのはもちろんあるのだけれども、ぜひ次のフェーズでいわゆる精度をこうしなくてはいけないとか、こういうデータを絶対デジタルで出してくれないと、それは我々としてマネージできないから駄目だという方向の次のステップにそろそろデジタル庁が舵を切るべきではないのかなと思います。よろしくお願いします。
江崎座長: ありがとうございます。
府省庁から出す通達みたいなものはその心というのがあまり書いていないので、それをデジタル庁なりのところでリーダーシップを取ってしっかりと入れていく。どういう心でこの通達が出ているかというのを出すべきだというご意見も含まれたところになってくるかなと具体的には思いますね。
それでは、荻野委員、お願いします。
荻野構成員: 97%は非常に良い成果で、あとはもうやるだけということだと思うのですけれども、先ほどのRegTechミートの中で、最後に四條畷市の選挙のタブレット投票という話があったと思うのですが、実は、私は大阪府出身ということもあって周りの方々からいろいろ話を聞きますが、ここに本件が出ているとは思いませんでした。現場の話をお聞きすると、企画する方、運用する方、そして作る方という3つのステークホルダーの方がおられて、企画する方がRegTechでいろいろ話をお聞きし、今までの選挙システムを考えながら企画はされたと思います。一方で、それを受けて開発を頑張ったということだと思うのですけれども、そこに運用する方、もう1つのステークホルダーの方が居なかったのではないかなあーと。実は周辺の四條畷市以外の市会議員の方に注目をされて調べられて視察されたらしいです。
そうすると、良いところや悪いところが出てきています。問題は、先ほどほかの方が言われてましたが、一番先にやる苦しみというのはきっとあるはずですが、その中で苦しみだけが見えてしまうと2番目がついてこないというのがあります。どこかでベストプラクティスをしっかり出していくようなアプローチも少しあったほうがいいのではないかなと思います。もちろん私は推進する側なので、いろいろその話を聞いたときに応援はしているのですが、ぜひ技術カタログも含めて、デジタル庁としてはベストプラクティスをいかに外に出していくかを考えていただければと思います。
それから、失敗事例というと厳しいのですが、やったのだけれどもここが課題で、じゃあもっとこうやっていこうよというような前向きな形を出していくような、RegTechミートになっていけばいいかなと思います。以上です。
江崎座長: 須賀さん、どうぞ。
須賀参事官: やはりせっかく良いものがあっても運用がすごく大変で、これは私が聞いた話でも現場にすごくたくさんスタッフを張らなくてはいけなくて、コスト的に見合わない。ただ、救いだったのは目的が無効票をなくすという社会正義があって、それは達成ができたということでしたので、それは一歩として非常に大きかったのではないかと思うのですけれども、まさに技術を現場に実装するというときのプレーヤーの幅広さと、我々が捉まえられている人がステークホルダーの中のほんの一部であるという問題をまた実感する事例だなと私も思いました。
ありがとうございました。
江崎座長: すみません、岡田先生が15分に出なくてはいけないとチャットをいただいていますので、一瞬でもいいのでぜひ。
岡田構成員: 岡田です。どうもお時間をいただいてありがとうございます。
チャットに4つ書いてありますがポイントは2つで、1つは前にもお話ししました発注要件です。発注において性能要件をしっかりと書いていかないと、なかなか新技術は採用されないというところがあります。
性能発注していきましょうというのは、ずいぶん前から言ってきているのですが、結局どこに言うのが効果的なのかは分からないままです。賛成してくれる人は多いのですが、最終的に発注する人にたどりつくと、どう書けばいいか分からないからねということで同じような発注をされてしまうということがほとんどでした。したがいまして、性能発注の仕方や書き方というのを明示していかないといけないのではないかなというように考えています。ただ具体的なよい案はまだ浮かんではいません。
もう1点、島田さんもおっしゃっていたデータの件ですけれども、特に安全に関わることになると非公開にしておきたい、見せたくないという言い方はいろいろなところで聞こえてきます。したがって、限定的な枠での利用を想定したデータベースをといった考え方を整理して、インフラ所有者が安心できるようなデータ利用方法を検討することも大事だと思います。ただし、どのような枠組みにすればインフラ所有者が安心できるのかということは、様々なステークホルダーへのインタビューを通じて得ていくしかないかなと思っています。
どちらも明確な具体策をもっている訳ではないですが、解決すべき事柄と思い、書かせていただきました。以上です。
江崎座長: ありがとうございます。
ぜひ皆さんで同じ言葉でそういう人たちを説得するようにやっていきましょう。
では、須賀さんに途中で中断させましたけれども、これと岡田先生のお話に反応いただければ。
須賀参事官: ありがとうございます、私はもうお話が済んでいまして、たくさん続々コメントをいただいていますので、もしよろしければ。ありがとうございます。
江崎座長: では、川端先生、お願いします。
川端構成員: 検討の内容自体は、概念と枠組みをきちんと整理していただいたことが重要な成果だと思っています。
一方で、社会実装段階になってからは、より具体的な課題が出てくると予想しています。地域ごとに、基礎自治体や地元の中小企業が取り入れる段階になってこそ、ようやく普及と呼べると思うので、皆さんのご意見にあったとおり、インターフェースなども含めて使いやすい状態にできるかであったり、導入コストなども、今後の課題になっていくと思います。
ただ、体系化できたということ自体は重要であり、枠組みや目標は国のレベルで考えた上で、基礎自治体や地域の中小企業が導入しやすい道筋を立てていく、という順番でしょう。その視点では、この会議体で全体の枠組みや目標を示せたことは、一旦、成果としてまとめたところだと認識しています。また、これらの取り組みを伝える、これまでの知見を伝える、つまり広報までしっかりやっていくべきと思います。情報を共有することで、モチベーションを高めることができますし、全体でやるべきことという意識も高まります。意識改革をしながら、実装しやすいようなインターフェースだったり、コストというのを見ていく、そこに大企業だけではなく、地域の事業者も参加できるようにしていくというのが、今後やらなくてはいけないことかなと思いました。
細かいところも含めて、丁寧に検討していただいてありがとうございました。
江崎座長: ありがとうございます。
それでは、川原委員、お願いします。
川原構成員: ほかの委員の方も既に幾つか挙げられていることではあるのですが、せっかくなのでお時間をいただいてということですが、まず、たくさんの規制が改革につながったということは大変すばらしいと思います。私は個人的に幾つかのDXや規制改革に関わったことはあったとしても、ちゃんとデジタル庁でリードを取るとこの規模でできるのかというので非常に感銘を受けています。
一方で、まだまだ広報が足りないという自己評価もされていましたが、やはりベストプラクティスを共有する情報交換というのがこういったものの促進・普及のためには不可欠だなと思っていますので、そこをやっていただくのを楽しみにしています。
今後の展開ですけれども、これも私が実感していることとしては、こういう規制改革をしようとしてデジタルを活用しようとすると、何のデータがあるのかをちゃんと調べて、そのデータへのアクセスがちゃんと得られるかどうかというのを何かしらのルールで保証することが重要になるのかなと思っています。なかなかオープンデータにというのは厳しいケースが多いと思うのですが、そこも責任・権利を持つ人がしかるべき手続を踏むとアクセスできるようにすることが、今後、こういったものの促進を生むのではないかなと思っています。
AIに関しても、登委員をはじめ幾つか指摘がありましたけれども、ちょっと気をつけないといけないのは、この検討が始まったときのAI技術、認識技術は割とAと判定できるロジックが一旦構築できれば、以降は必ずAと返すものが主流でしたが、最近は確率的な言葉を返すようなAIが主流になってきて、数か月たつとバージョンが変わって判定や認識の挙動が以前と全然違うみたいなこともありえます。本当にこの規制改革の中に取り入れていいのかと思い、少し慎重にしないといけない部分もあると思います。AIを利用した規制の在り方というのはまた別にもうちょっとインテンシブに議論をして取り組んだほうがいいのかなと思っています。以上です。
江崎座長: ありがとうございます。
それでは、平本委員、お願いします。
平本構成員: IPAの平本でございます。
今日はすばらしい発表をありがとうございました。非常に良い成果ができていて面白いなと思いましたし、すばらしいと思ったのですけれども、せっかくなので、これは良い事例があるので、グローバル展開なども考えたほうがいいのかなと思っておりまして、そうすると海外でも使われることによって技術革新が進んで、さらなる規制の改革にもつながっていきますので、こういうものをどんどん出していったらいいかなというところがまず1点目。
あと、AIに関係して、海外と話しているとクラウドエッジIoTという形で、クラウド上でAIを使ったほうがいいのか、それともエッジでAIを使ったほうが使ったほうがいいのか、それともエッジサーバーでやったほうがいいのかとか、そこら辺のレイヤーの話もあると思うのですね。ここら辺の話も整理できてくるといいのかなと思いました。
あと、通知を出していくというのはすばらしい話だと思っておりまして、災害のときなどもいつも通知・通達が見つからないといって問題になっていますので、ここはもっと広い観点でオープンデータにしてくれるとありがたいなというところと、あと、結構自由に書いてあるものもありますので、ここもデータフォーマットなどを使うことによってより一層使いやすくなるのかなという気がしております。以上でございます。
江崎座長: ありがとうございます。
デジタル庁でプライベートLLMをつくってちゃんと情報のハンドリングまで考えてやるというプラクティスをやるのは非常に良いかもしれないですね。そこに中村委員がおっしゃったような通達の心まで上手に書いてあげるLLMをデジタル庁がつくったらすごく格好良いかもしれないですね。最後は私の希望でした。
まだご発言いただいていない加藤先生や豊田先生、何かございますか。
加藤構成員: いえ、皆さんと大体同じような重なる部分ですが、最初に島田社長がおっしゃっていたところが、ここへ来て改めてもう一回振り返りをして目的を見定めるというか、ハイレベルにはそれをするといいのかなと思いましたが、今、私はテクノロジーベースの規制改革推進委員会のウェブページを見ているのですけれども、確かにここに目的っぽいものが記載されていないので、忙しい委員の皆さんからすると、ふだんからこれをやっている当事者の皆さんは迷子にはならないと思いますが、たまに招集されて意見を述べるときに改めて目的とか、可能なら目的の書き方としては誰がペルソナで、そのペルソナのゴールは何で、それをするためにはニーズ、つまりこのニーズを満たすということが我々の仕事になり、そのニーズが満たされればペルソナのゴールが達成され、ペルソナのゴールが達成されるとペルソナがうれしくなるということだと思いますので、よくいうアジャイルの目標設定みたいなものはどこかに文章で書いてあるといいなというのが、今日の1時間半の議論を聞いていて思ったところもありましたというところです。
江崎座長: ありがとうございます。
豊田委員、何かございますか。
豊田構成員: ありがとうございます。
簡潔にいければと思うのですが、もろもろありがとうございます。
まず一点は、名前というか普及の部分なのですけれども、正しいことというのはどんなに正しいことを言ってもなかなか普及しないので、やはり分かりやすい名前をつけてもっとプロモーションをする。例えば、我々の近くで言うと国土交通省のPLATEAUというのが圧倒的にほかの国のプロジェクトに比べて普及度が高いというのは、名前がついてプロモーションしているというところが大きいと思うので、あれ自体もかなり構造的な問題はあるものの、正直こちらのほうが民間の活力がそもそもベースに入っている時点で普及のエンジンとしては含まれていると思うのですね。PLATEAUのほうがひたすら国のお金を上から落とさないといけないような構造的な問題を抱えているにもかかわらず、関係者のイメージを持っている率がすごく大きいという意味で、名前をつけてしっかりプロモーションするというのに必要なタイミングに入ってきているのかなというのは改めて思いました。
あと、最初の島田委員からのお話はそのとおりだと思うのですが、現場でいろいろやっているときに、結局規制改革や規制緩和などに関わる踏み込みをするときに一番ハードルになるのは、行政の側ではなくて実は民間企業、特に昭和の大企業の内部規制だったりすることが非常に多いというのが現場の実感なのですね。それを内部の現場の人が上に上げると通らないので、どうしようで諦めてしまうことのほうが実際は多い気はしていて、それを突破するためのテンプレートみたいなものを、この資料をベースにして提供してあげて、そのテンプレートを使うと内部からも上げられるし、上の人も話を通せるみたいなものを何かしらつくってあげると現実的に進む部分というのはあるのではないかと思いました。以上です。
江崎座長: ありがとうございます。
ということで、皆さんが協力して同じランゲージをいろいろな方法で広めるということですね。
時間もあれですが、実は事務局のほうでポータルサイトのデモを用意しているということなので、短い時間ですが可能ですか。
須賀参事官: 廣野さん、できますか、ごめんなさい。違う意見もいっぱいいただいたので、出すタイミングがおかしくなってしまったのですけれども、UIを上げていくべきという川端委員のご指摘もありましたので。
廣野補佐: では、デモのほうを簡単に実施させていただきたいと思います。
資料のスライド15に説明しておりました、ポータルサイトの今年度の強化事項について、デモンストレーションを交えて内容についてご説明をしたいと思います。ポータルサイトをお手元でご覧になりたい場合は資料にQRコードがありますので、そちらで開いて見ていただければと思います。
まず、こちらがポータルサイトのトップページとなっておりまして、少し下に行っていただくとテクノロジーマップのパターン1というリンクがございます。これからご紹介する機能については、パターン1のほうとパターン2で同じように実装されております。
では、パターン1をクリックさせていただきます。このようにテクノロジーマップが出てくるのですけれども、かなり縦に長い図となっておりまして、自分たちが持っている規制に対してどこが該当するのかというところが非常に探しにくいような形になっておりました。
これに対して、今年度は検索条件指定ボタンというものを設けておりまして、こちらをクリックいただくと、所管府省庁、または条項でマップが検索できるようになっております。こちらについて、試しに今から建築基準法第7条で検索をさせていただきます。文字列を入れて関連条項を全て選択して検索を行いますと、このように建築基準法第7条に関連する部分だけが出てくるようになっております。第7条は建築物の完了検査に関する規制になりますので、ご覧のような部分のみフィルターされているという状態です。
次に、こちらのハイライトされている部分については、技術検証が完了した要素技術を黄色く表示している形になります。また、ハイライトしていない要素技術については、検証せずとも活用できることが自明な技術となっております。
次に、もう少し下にスクロールさせていただきます。テクノロジーマップの下に検索条件に指定した条項に関連する技術検証事業の一覧を表示しております。採択事業者のところがリンクになっておりまして、クリックいただくと該当の技術検証をまとめたページに遷移することができます。また、活用された製品・サービスの列もリンクになっておりまして、クリックいただくと、該当の技術カタログのページに飛べるという形になっております。
続いて、資料の②に記載していた機能になるのですけれども、テクノロジーマップ上の管理に必要なデータ内容のところをクリックいただくと、このようにテクノロジーマップ上にマッピングされていた要素技術がずらっと一覧で出てくるようになっております。ここは1つ1つがアコーディオンになっておりまして、試しにカメラを展開させていただくのですけれども、展開しますとカメラという技術を使った技術検証事業の一覧と製品・サービスのリンクの一覧がまた出てくるという形になっております。技術検証事業の一覧は先ほどご説明したテクノロジーマップの下にあるものと同じになります。製品・サービスの一覧は、技術カタログの該当類型の製品・サービス一覧のページに飛ぶという形になっております。また、こちらの画面では、検索条件に指定した条項に関する情報のみが表示されるという形になります。
最後なのですけれども、先ほどは管理に必要なデータ内容をクリックさせていただいたのですが、要素技術についてもクリックができるようになっております。試しにカメラをクリックさせていただくと同じ画面が出てきまして、今度はカメラだけが出てくるという表示のさせ方ができるようになっております。
デモンストレーションは以上となりまして、アナログ規制に関する条項や所管府省庁を指定してテクノロジーマップを絞り込み、活用可能な技術とその検証結果であったり、また、規制を見直した後の導入可能な製品・サービスがかなり探索しやすくなっていると思いますので、ぜひテクノロジーマップをご活用いただけますと幸いです。
ありがとうございました。
江崎座長: ありがとうございました。
やはりちゃんと頑張ってくれたので皆さんにご紹介したいということでしたので、ちょうどいただいた時間になってしまいましたけれども、大分これまでの国のUIからすると非常に頑張って作っているということだと思いますし、より高いものでもうちょっと良いものにしていくと思っていると思いますので、皆さんでほめてあげるとますます頑張れると思いますので、よろしくお願いします。
私の進行がまずくて、途中で先に退出される方はチャットだけになってしまったという先生方もいらっしゃいましたけれども、議事録にはちゃんとチャットの発言も入れさせていただくということで事務局としては対応してもらおうと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
いただいた時間になりましたので、事務局の須賀さんにマイクを渡したいと思います。
須賀参事官: 江崎座長、どうもありがとうございました。
次回の委員会の開催については、また改めてご連絡をさせていただきたいと思います。
また、議事についてもいつもどおりの扱いにさせていただきます。
資料も、特段ご異議がないようでしたら、原則全て公開ということです。
本日は委員会にご出席いただきましてどうもありがとうございました。
江崎座長: どうもありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、本日の委員会は閉会とさせていただきます。大変いろいろな建設的な次の仕事をするためのご意見をいただきまして、ありがとうございました。
それでは、今日はこれで閉会とさせていただきます。本当にどうもありがとうございました。