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データ戦略推進ワーキンググループ(第6回)

概要

  • 日時:令和5年2月28日(火)13時00分から15時00分まで
  • 場所:オンライン
  • 議事次第:
  1. 開会
  2. 議事
    1. ベース・レジストリ、オープンデータの拡充と体制
    2. DFFTの具体化に向けた取組
    3. 包括的データ戦略の整理
    4. データ戦略推進ワーキンググループ下のサブワーキンググループ等の整理
  3. 意見交換
  4. 閉会

開催案内

資料

参考資料

関連政策

議事概要

日時

令和5年2月28日(火)13時00分から15時00分まで

場所

オンライン会議

出席者

  • 森昌文内閣総理大臣補佐官(主査)

  • 砂金信一郎(LINE株式会社執行役員AIカンパニーカンパニーCEO)

  • 遠藤信博(一般社団法人日本経済団体連合会副会長・サイバーセキュリティ委員長/日本電気株式会社特別顧問)※欠席

  • 太田直樹(株式会社NewStories代表取締役)

  • 越塚登(東京大学大学院教授)

  • 後藤厚宏(情報セキュリティ大学院大学学長)

  • 齊藤裕(独立行政法人情報処理推進機構デジタルアーキテクチャ・デザインセンターセンター長)

  • 下山紗代子(一般社団法人リンクデータ代表理事/インフォ・ラウンジ株式会社取締役)

  • 庄司昌彦(武蔵大学教授)

  • 手塚悟(慶應義塾大学教授)※欠席

  • 富岡秀夫(一般社団法人新経済連盟政策企画部長)

  • 村井純(慶應義塾大学教授)

  • 渡部俊也(東京大学未来ビジョン研究センター教授)

  • 浅沼尚(デジタル庁デジタル監)

  • 赤石浩一(デジタル庁デジタル審議官)

  • 本丸達也(デジタル庁CA)

  • 藤本真樹(デジタル庁CTO)

  • 平本健二(デジタル庁シニアエキスパート(データ戦略))

  • 楠正憲(デジタル庁統括官(デジタル社会共通機能担当))

  • 村上敬亮(デジタル庁統括官(国民向けサービス担当))※欠席

  • 成田達治(内閣官房デジタル市場競争本部事務局次長)※欠席

  • 松尾泰樹(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局長)

  • 坂本修一(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)

  • 田中茂明(内閣府知的財産戦略推進事務局長)※欠席

  • 山澄克(個人情報保護委員会事務局審議官)

  • 鈴木信也(総務省大臣官房総括審議官(情報通信担当)

  • 森田正信(文部科学省大臣官房サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官)※欠席

  • 野原諭(経済産業省商務情報政策局長)

議事概要

三島参事官: ただいまから第6回「データ戦略推進ワーキンググループ」を開催いたします。

本日は、お忙しいところ、お集まりいただきありがとうございます。
本日司会を務めますデジタル庁参事官の三島でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、ワーキンググループの開催に先立ちまして、本ワーキンググループの主査、森昌文内閣総理大臣補佐官よりご挨拶をいただきます。

森補佐官、よろしくお願いいたします。

森内閣総理大臣補佐: 官本日は「データ戦略推進ワーキンググループ」の第6回目になりますけれども、ご参加いただきましてありがとうございます。

このデータ戦略の見直しに向けてこれまで様々なご議論をいただいてきておりますが、今回は特にベース・レジストリの見直し、そして、データ戦略の骨子案等についてご議論いただくことになっているようでございます。

ベース・レジストリの見直しにつきましては、デジタル臨時行政調査会におきましても法人基本情報におけるベース・レジストリに関する議論が行われておりますけれども、本ワーキンググループにおいては、このベース・レジストリの指定の見直し、運用体制を中心にご議論いただきたいと思っております。

また、DFFTにつきましても、日本としてもしっかりとその考えを推進していかなければならないことになっておりまして、今年5月のG7に向けまして、検討が今、加速されていると聞いております。

また、これまでのワーキングループでの議論を踏まえまして、事務局よりデータ戦略の構成案が今回出されておりますので、こちらについてもお願いをしていきたいと思っております。

それぞれ、皆様のお持ちのご知見を生かしたご意見をいただけますようよろしくお願いしたいと思います。

以上でございます。よろしくお願いいたします。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、本ワーキンググループの構成員のご紹介ですが、時間の制約もございますので、失礼ながら名簿の配付をもちましてご紹介に代えさせていただきたく存じます。
なお、本日は遠藤構成員及び手塚構成員はご欠席となります。

さて、本日はオンラインでの会議開催となります。構成員の皆様におかれましては、カメラはオン、マイクはミュートにしていただき、ご発言されるときのみマイクのミュートを解除していただくようお願いいたします。
また、Teamsライブイベントを用いて公開いたしますので、ご了承くださいますようお願いいたします。

それでは、早速、議事に移らせていただきます。
本日は全ての資料について事務局よりご説明いたします。

また、森補佐官が公務により途中退席される関係で、議事の順番を変更し、議事(1)及び議事(4)を事務局より説明後、森補佐官よりご挨拶をいただきご退席いただきます。議事(1)及び議事(4)について意見交換、議事(2)及び議事(3)について事務局より説明後、意見交換という流れで進めさせていただく予定です。

それでは、デジタル庁平本シニアエキスパート(データ戦略)より議事(1)「ベース・レジストリ、オープンデータの拡充と体制」について、資料1に基づいてご説明いたします。
それでは、よろしくお願いします。

平本シニアエキスパート(データ戦略): それでは、資料1に基づき説明をさせていただきます。

これまでの経緯で、第4回の会議で今までのデータ戦略1年間の取組を皆様にご議論いただいくとともに、5回目のときにデータスペースとデータ連携基盤ということでご議論いただきまして、今回は中心的に扱う対象であるデータのお話をさせていただければと思っております。

それで「ベース・レジストリ、オープンデータの拡充と体制」と書いてありますけれども、3ページ目、まず、行政情報の全体像ということでお話しさせていただきます。行政が扱っているデータはベース・レジストリとオープンデータがあり、この2つだけではなくて、ここに書いてありますように、様々な決まり事がございまして、一番左の政府等の基本情報はウェブサイトに載せる情報として各府省で合意している情報でございまして、この情報はウェブガイドなどに定義されております。それとベース・レジストリ。地理空間と統計は従前より非常に重要なデータとして扱われておりますし、実はG8でもハイ・バリュー・データセットとして各国こういうデータを出しましょうとか、自治体には自治体で推奨されるデータセットということで、オープンデータの推奨データセットなどを定義してまいりました。その他のデータもございますし、時の流れによって、この下に書いてありますが、ドメイン一覧やコード一覧も必要ではないか等言われており、このような全体像がございます。

4ページ目です。これはそれぞれに目的があって定義しておりますので多少ダブりとか重なりはあるのですけれども、行政基本データ/ベース・レジストリとハイ・バリュー・データセットという形で整理できないかということで、5ページ目にベン図で示させていただきました。

行政データという一般に行政手続などで提出されるデータもあれば、そのトランザクションの数といった情報などもありますけれども、そういう一般的な行政データ以外に、ハイ・バリュー・データセットと言われているものが、31ページ目に出てまいりますが、みんなで使ったほうがいいのではないかという経済的・社会的価値のあるデータ。先ほどの表で言うと統計や地理情報といったハイ・バリュー・データセットがございまして、その中にウェブで情報提供すべき行政基本データとベース・レジストリがあります。今回はこのベース・レジストリを集中的に議論いただきたく、また、このデータ本体ではないのですが、これを公開するポリシーとしてオープンデータの推進を今までも推進してまいりましたので、それについてもお話しさせていただければと思います。

6ページ目です。ここは定義ですので後ほど見ていただければ結構なのですけれども、簡単に言うと、一番上の行政基本データがウェブサイトで透明性確保のために公表するデータ。それと、ベース・レジストリというものが社会に基盤データとしてワンス・オンリーに使うといった、様々な情報の基盤になるデータ。それと、ハイ・バリュー・データセットというものが広く社会に広げることによって価値を生み出すデータ。あとは一般データという形になっております。

7ページ目です。いよいよベース・レジストリについてでございますけれども、まずは「定義」と「指定」の見直しについて話させていただきたいのです。

9ページ目です。まず、なぜベース・レジストリの見直しをするかですけれども、我々、この1年ちょっとの間、ベース・レジストリに取り組んできたわけでございますが、取組を進めるうちに課題なども見えてきました。今までですとファイル単位に指定しておりますので、法人データといったときにどこまで含むのか等といった点が明確ではなかったということがございますので、「2.対応策」に書いてありますけれども、指定については、データ項目についてきちんと定義していこうということ、情報元と情報の配信の仕方について定義しようということです。あと、今までのものが整備済みのものと整備中のものが混じっておりましたので、こういうものをきちんとステータスを管理しようということで仕分けをして、それぞれごとにやるべきことが違っておりますのできちんとやっていくこと、これをデジタル臨時行政調査会とも連携して、ワンス・オンリーのために使うにはどうしたらいいかとといったことを議論していきたいと考えております。

10ページ目です。現行のベース・レジストリの規定でございますけれども、今までは区分①、区分②ということで、即効性の観点と今後という形で分けさせていただきまして、品質の高いデータを出そうということにしておりました。

11ページ目です。これも参考でして、今までこれだけのデータを指定していたところでございます。

12ページ目です。定義の見直しですけれども、今までの現行が、ベース・レジストリとは、公的機関等で登録・公開され、様々な場面で参照される、人、法人、土地等という形で内容を規定していたのですが、見直し後はむしろ機能にフォーカスしまして「ベース・レジストリとは、行政又は民間におけるサービスの共通基盤として利活用すべき又は可能なものであって、公的機関等が正当な権限に基づいて収集し、正確性や完全性等の観点から信頼できる情報を元にした、最新性、標準適合性、可用性等の品質を満たすデータ群として、デジタル庁が指定するもの」ということで、かなりスペックというか、内容をきちんと規定して、これはきちんとみんなで共有していこうということを明確にするために書かせていただき、また、デジタル庁がきちんと指定する形を取らせていただいております。

13ページ目です。これも参考ですので、後ほど見ていただければと思います。

14ページ目です。そして、ベース・レジストリの構成要素の考え方なのですけれども、先ほど情報源という話をさせていただきましたが、例えば法人情報で言えば、法人は登記するときに商業登記ということで登記のデータベースに入るわけですけれども、この情報源と、実際にそれを提供しているのが国税庁さんであったり経済産業省さんであったりという形で、情報を集約して提供する機能が必要な場合がございますので、それを情報源と提供可能なデータ、それをきれいにして出すということで、集約機能としてハブ機能をきちんと明確化したほうがいいのではないかと考えております。

15ページ目です。これがベース・レジストリの指定で、整備済となります。整備済というのは、既にこれは使いますということなのですけれども、現行は、左に書いてございますが、見直し後という形で、法人基本情報で言えば、まず、法人3情報は使うということと、財務諸表についても一部の企業などは使えるようになっており、法令などはe-LAWSで使えるようになっております。あと、文字情報基盤もこれは協議会で使えるようになっておりますので、こういうように既に使えるものはどんどん使っていきましょうというフェーズになっております。

16ページ目です。見直しを行う中、この整備中という新たな枠組みができたわけですけれども、ここでまだ完全にはできていないところ、例えばアドレスなども、今は試行的なベース・レジストリで出しておりますが、これを本格的に自治体から登録してサステーナブルに回る形まで持っていく。そういうことでまだ整備中になっておりますけれども、こういう形で整理をさせていただいております。

17ページ目です。今後整備を検討するもので、まだまだ制度的にも検討するところがありして、例えば不動産IDなどはデータの付与ルールはできているのですけれども、では、これはベース・レジストリにするのか否かといった問題などもありますので、そういう意味で、今後整備するものという形で、3段階で整備させていただいております。

18ページ目です。ベース・レジストリ情報の集約なのですけれども、まずは「レジストリ・カタログを整備」と書いてありますが、ベース・レジストリがいくらきれいになってもどこにあるか分からないとか、ダウンロードするのが大変だということですと活用しにくいものですので、そういう意味でカタログをまず整備します。それとともに、個別行政機関のベース・レジストリということで、先ほど紹介させていただいたのは、法人とか土地とか、どんな産業であろうとも、どのエリアであろうとも、共通的に使うべきベース・レジストリですけれども、地域別につくりたいとか、業界別にベース・レジストリ、業界で共通的に使いたいというデータもございますので、そういうものは個別につくっていただいて、リンクするなどして、社会全体で使えるように広げていこうということを考えております。

19ページ目です。ベース・レジストリの提供体制でございます。

20ページ目です。まず、ベース・レジストリでの「提供可能データ」とはどういうことかですけれども、皆さん、ベース・レジストリから自分のデータベースを更新するときには、完全でなければ困る、最新ではないと困るということと、正確で標準に適合していないと使いにくい、可用性、回復性という形で、いつでも使えることが、やはり申請などに使うようになりますので、こういう条件を満たした情報源を確保しなければいけません。
21ページ目です。そのために品質を我々は言っているのですけれども、結構重視しているのがこのISO/IEC25012と言われているデータクオリティモデルがございますので、こういう観点、特に前のページに書いたところが重要ですが、これだけの品質項目をなるべくよくして出していけるような仕組みをつくっていきたいと考えております。

22ページ目です。諸外国においてもやはり情報源と提供機能を分けている場合が結構ありまして、資格情報など、いろいろなところが持っているものを集約して提供したほうがいいのではないかという場合もありますし、あとはデータの運用が止まっては困るので、キャッシュ機能を持っているとか、そういうことで諸外国でも2段階のデータの発射の仕方となっております。デジタル庁の役割として大きいパターンは提供可能データから連携機能までやるパターンと、あと、デジタル推進当局の役割が小さいパターンは連携機能だけやりましょうと、クレンジングしてもらったデータを納めてもらう。こういう形もありますけれども、この辺りは今後検討していくことが必要かなと思っております。

23ページ目です。データの運用体制に求められる要件です。我々はベース・レジストリを推進しております。デジタル庁自体は政策の推進を引き続きやっていくわけでございますが、実際にデータの運用を24時間止まらずにやるとなるとかなり強固な運用体制が必要になってまいりますので、そのための要件としてこちらに整理させていただきました。

まず、項目を見ていただきますと、安定して提供されることと、ちゃんとやっているかということで透明性。汎用的なデータ。特別なデータに対応するのではなくて、いろいろなデータに対応できること。運用を安定的にできる能力とか、BCPというものはまさに非常時にもこれが安定して運用できることが重要です。セキュリティがきちんと確保されて、誰かに持っていかれるとか改ざんされることがないようにすること、リアルタイムに、ベース・レジストリというと日々の申請がありますので、それに従って日々単位で更新データが管理できる。それと「データクレンジング」と書いてありますけれども、実際にデータの、住所の書き方が違っているとか、そういうことなどもありますので、データのクレンジングもできるように、そんなことを考えております。

25ページ目です。オープンデータということで、オープンデータに関しましては、やはり10年ぐらいやってきているわけでございますけれども、オープンデータが十分に浸透していません。まだまだ、このデータはクローズで、オープンデータとして出せませんとおっしゃる方も多く、また、自治体の多くのところがカタログサイトをつくっているのですが、更新されていないとか、改善が求められている状況になっております。データ駆動社会に向けて、政府機関が国内最大のデータオーナーですから、我々が頑張ることは重要かなと思っておりますし、世界がオープン・バイ・デフォルトで走っていますので、世界に追いつく意味でも我々はオープンデータを推進していきたいと考えております。

26ページ目です。そのための施策でございますけれども、今までのものを強調するような形で、オープンデータの伝道師会などで議論をいただいたわけで、今までのものに加えて、一番上にありますように、推奨データセットを自治体標準データセットという形に今回変えさせていただきますけれども、そのためにはデータセットをきちんとつくろうという話です。それと、一番右にありますが、メタデータということで、検索しやすいようなメタデータをつけてカタログサイトも新しくしようということで、それ以外も今までの政策を強力に推し進める形で推進してまいりたいと思っております。

27ページ目です。データカタログサイトでございますけれども、2014年10月にオープンしたということで、10年ぐらい経っておりますので、2023年3月末にe-Govと統合しまして、データポータルサービスという形でリニューアルする予定でございます。変更点としては、e-Govに統合するに伴ってドメインが変わることと、あとはベース・レジストリとDCAT準拠のメタデータモデルという形で、メタデータを国際表示に沿った形で直させていただいて検索性を高める。全文検索なども可能になったり、自治体のデータがハーベスター機能によって集められるといった機能向上を図って、より一層のオープンデータが使いやすい環境をつくっていきたいと考えております。

28ページ目です。重点取組といたしましては、オープンデータの基本指針があるのですけれども、これは内閣官房のIT室時代につくったものでして、背景情報とか、いろいろなところを直す必要がございます。また、最新の技術動向に合わせるということで見直しが必要かなというところと、活用可能なデータの充実ということで、先ほどもカタログサイトの説明でさせていただきましたが、メタデータを変えたり、機械判読データを増やしたり、データリクエストを強化したり、あとはLinkedDataがやはり海外では強化されていますので、こういう新技術への対応なども検討していき、データを整備するとともに、あとは共通ルールの整備ということで、政府統一利用規約もあったのですけれども、それプラス、APIの導入実践ガイドブックの中にAPIの利用規約のテンプレートなどもございますので、こういうもののルールをどんどん統一していくというものを進めてまいりたいと思っております。

29ページ目です。その他の行政データで、データの量の供給拡大のためにほかにもやることがございます。

30ページ目です。例えば冒頭の行政データの全体に示したところのウェブサイトにデータの標準というものがあります。これが2001年からずっと20年ぐらい使われているわけですが、デザインシステムということで、府省のウェブサイトを簡単につくれる仕組みをつくってきていますので、そういう意味でデータモデルとAPIを整備して、簡単に皆さんが使えるような形で情報提供できるような仕組みにしていくと、使う方も使いやすい仕組みができるのかなと思っております。

31ページ目です。ハイ・バリュー・データセット。こちらも冒頭で出てまいりましたけれども、統計や地理空間データのように広く社会で活用されるデータとか、国民、事業者向けサービスを高度化するためのデータということで、これはヨーロッパでもG8でもハイ・バリュー・データセットをつくっておりまして、アメリカだとプライオリティーデータセットと呼んでいるのですが、主な例としましては自治体に今までもお願いしてきた自治体標準オープンデータセット。それと、統計とか地理空間情報とか主要データベースと、特にこれはハイ・バリュー・データセットの指定するわけではないですけれども、積極的にこういうものを使うようなプロモーションをしていこうという形でやっていくことが重要かなと思っております。また、データ辞書なども検討していく必要があるのかなと考えております。

32ページ目です。デジタルデータ管理の方法についても、世界の技術はどんどん変わってきておりまして、先ほどのLinkedData以外にも、IDをどう管理するのかといったことがございますので、世界の動向を見ながらこういった技術の活用を検討していくのかなと思っております。

33ページ目です。その他行政データの活用で、今までのデータ戦略は基本的には基盤を整備しますということが中心であり、キャッチアップするための戦略だったのですが、これからはAIの推進やEBPMということで、活用面を併せて推進することによって、データをただ単に集めて流通させるだけではなく、データをさらに活用して価値を生んでいく、こういうところまで含んだ検討を進めてまいりたいと思っております。

35ページ目です。推進体制でございますけれども、データ駆動社会に向けた必要な機能といたしまして、左側にありますように、国内外の情報収集から政策決定、国際調整、それと、やはり制度を見直すところも出てまいりますので、ルール整備。その中にはトラストも含まれますし、データ利活用とかAI活用。連携基盤とデータ整備。エンジニアリングというものはデータ設計のための仕組みとかデータ管理のための仕組み。運用管理をどうするかというものと人材育成。こういうものをやるためには、デジタル庁のリソースだけではなくて、民間にもデータを推進している団体が幾つもございますので、そういう民間団体、また、先ほどのベース・レジストリのところにございました運用組織とか、エンジニアリング組織についても強化して、みんなで協力してやっていくという一体の体制がつくれればなと思っております。

36ページ目です。まずは、そうは言いながらも、一体になる前に我々デジタル庁の中で推進できるところをどんどん推進しようということで、政府相互運用性フレームワーク(GIF)ということで、データのモデルとルールを定義していますので、これを各府省とか自治体に使ってもらって、ワンス・オンリーをどんどん推進していくということは、自治体でいえば広域連携ができやすいようになっていますので、それを推進していくことをやっていきたいと思っております。

37ページ目です。データ・マネジメントの強化で、今までも実はデータガイドライン、GIFをつくるに当たってIPAと共同作業を進めているところでございますけれども、データ・マネジメント以外の部分でも協力しているところがございますので、こういう外部の専門組織との連携強化を図っていきたいと思っております。

38ページ目です。は再掲でございますけれども、運用についてしっかり運用体制をつくっていきたいと考えております。

本日の論点でございますけれども、その前に、40ページ目で、今後の進め方ですが、これまでの取組に加えて、体制の充実等、今まではつくるところが重要だったのですけれども、まだ不足している部分としてGIFの充実や体制の充実とか、ルールの部分がまだまだできていないところがありますので、ルールを整備したり、ワンス・オンリーがなかなかまだ実現できていませんので、そういうものを進めていたり、ベース・レジストリもまだ整備途上でございますので、そこを進めたり、オープンデータの推進は今までどおり推進してまいります。また、スマートシティ等成果の収集は、まさにスマートシティ、デジタル田園都市とか、いろいろな事例の結果が上がってきていますので、そういうものをうまく整理して普及につなげていけたらと思っております。2025年に自治体のシステムが標準化されますので、それまでにベース・レジストリをつくらなければいけないというのがございますので、そこまでを強力に推進してまいりたいと思っております。

41ページ目です。本日の論点といたしまして皆様方にご意見いただきたいのが、1点目はベース・レジストリの視点について直すところで、まず、内容の指定の考え方です。ベース・レジストリの条件にもし付加する条件などがあればそういうことをご示唆いただくとともに、候補とか運用についてご意見をいただければと思っております。また、オープンデータについても推進方針について、今までの強化になりますけれどもご意見を頂戴したいというところと、推進体制について、もっとこういう体制を考えたらいいのではないかということをご意見いただければと思っております。

資料1は以上でございまして、続いて、資料4にまいりたいのですけれども、資料4-1で、データ戦略ワーキンググループのサブワーキングの考え方です。

2ページ目です。サブワーキングにつきましては、今まではこのような形で、デジタル社会構想会議の下にこのワーキンググループがあり、その下に4つの、トラストとプラットフォームとEBPMと準公共のワーキンググループがございました。全てのワーキンググループでいろいろやってきたわけで、一定の目処も立ってきているところもございますので、一旦、成果が取りまとまったところでこれを閉じさせていただいて、新たに課題が出てきたときにはまた体制を考えたいと思っております。

3ページ目です。サブワーキンググループ等の整理という形で、トラストを確保したワーキング。これについては、それぞれ書いてございますけれども、それぞれそれなりの成果が出せたと我々は思っておりますので、今後も引き続きこういう課題については取り組んでまいりますが、一旦、ここで閉じさせていただければと思っております。

次の資料4-2ですけれども、こちらが一応、形として、このような書類で整理させていただければと考えておりまして、主査決定ということでお願いできればと考えております。
資料の説明は以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
このタイミングで森補佐官は退席をされます。

森内閣総理大臣補佐: 官すみません。公務で、この後、退席をさせていただきますので申し訳なく思っております。

ベース・レジストリにつきましては、指定する内容がこれでいいのかどうか、運用に関わる基準はこれでよいのかどうか、あるいは、データの運用体制に求められる要件に照らしてここが運用することが最適なのかをご議論いただければと思います。特に運用体制につきましては、その検討結果を次回、事務局より回答していただければ幸いでございます。

先ほどご紹介させていただいたように、4つのサブワーキンググループについては、一定の役割を果たしたということで、廃止をさせていただきます。ただし、EBPM推進委員会については、他の組織の下で後継の会議体を開催する予定でございますので、引き続きよろしくお願いします。

それでは、私は途中で退席をさせていただきますが、議論を活発に進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。

(森内閣総理大臣補佐官退室)

三島参事官: それでは、議事(1)及び議事(4)について意見交換を行いたいと思います。ご発言のある方は挙手機能またはチャットでその旨をお知らせください。私からご指名させていただきます。

なお、お時間も限られておりますので、恐れ入りますが、4~5分程度でのご発言をお願いいたします。

では、村井構成員、お願いいたします。

村井構成員: この話はいろいろな議論がありまして、ベース・レジストリもでき、デジタル庁が始まってバトンタッチされた流れだと思います。結論から言うと、このサブワーキンググループが役割を果たしたから全て閉じるということで、ほかの構成員の方の意見も聞きたいのですけれども、基本的に何となく今後はやらないように決めたように聞こえました。かなり深刻な状態ではないかなと勝手に思っています。そうではないことを祈ります。

この問題は、基本的な考え方はオープンデータのときにずっと議論していて、大変成果が上がったと思うのです。それはまず第一に、本日の構成員の皆さんが非常によく働いているからなのです。非常に知見のある方々で、この方たちがいろいろな意見を出してくださって、それで進めることができたので、内閣府本府時代はオープンデータに関しては、言わばゼロから出発して満点に行くような成果を上げた分野だと思うのです。それは本当に簡単ではないプロセスであり、ただやればできるのだということが我々の一つの学びとして得られたと思います。

そうだとすると、さきほど言ったように、オープンデータにベース・レジストリを加えて、この国のデータの体系を決めて、デジタル庁にバトンタッチされて、そこから進んでいなくて、つまり、全て各省に任せるに戻ってしまったような気がします。
それで、府省庁の各部局は、基本的な考え方として、データは出したくないと思っている。こういう考え方をすべきだと私は思っていて、したがって、何をやらなければいけないかというと、出さざるを得ない、データを整備せざるを得ないという状況をどう推進できるかという勝負だと思うのです。特にベース・レジストリに関してはそうだと思います。オープンデータのときもそうだったと思います。

そうすると、これはデジタル臨調のような、ある意味のルールベースで、こういう場合にはこうしなければいけないという確実な実行を要求するルールをつくる。これが一点目です。

2点目は、こういうことができるようにデジタル庁をつくったのだと思うのです。デジタル庁はデータ社会の司令塔という役割ですから、つまり、デジタル庁がこうしてと言えばやらざるを得ないような、これもそれなりのルールベースかもしれませんが、環境をつくる。そうでないと簡単ではないと思います。

業界ごとに民間にデジタルデータがあって、それぞれの担当官庁は全て違います。そうすると、このサイロをどのようにして連結するか自体が、この国のデータ戦略として非常に大事です。22ページを見せていただけますか。「諸外国における役割分担」スライドのデジタル推進当局の役割とあるように、これは誰かが腹をくくって拾っていかないとできないと思うのです。そのためにデジタル庁をつくったぐらいのつもりがあると思います。
したがいまして、結論から言えば、これはいろいろな状況があって、デジタル庁も忙しくて困っていらっしゃるのかもしれないけれども、これはかなり強い気持ちで体制をつくって進めなければ、絵に描いた餅になって、やらないまま、ここまで来ることになると思います。KPIも記載されていないですし。

ベース・レジストリの議論は2年前からずっとしているのだけれども、それをどういう体制で整備をすればいいのかということの具体策は、まだ私には安心できるように把握はできていません。私だけが把握できていないなら大丈夫ですが、代わりにこの人たちが大丈夫と言うなら私が安心するのは、本日出席されているほかの構成員の方々なのです。この方たちは、さきほども言ったように、本当に専門家としてとても力と情熱を持っていらっしゃる方なので、この人たちが安心だと言うなら私は間違っていたと思います。
サブワーキンググループを全て解散して、誰が専門家として政府に知恵を出すのでしょうか。誰が中央のサイロをデサイロできるところに知恵を出すのでしょうか。この体制をきちんとつくらなければいけないと私は思いました。

以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
一通りご意見を承った後、まとめてご回答させていただきたいと思いますので、続きまして、越塚構成員、お願いします。

越塚構成員: 私も今、実はコメントをしようと思ったことは、くしくも村井構成員と同じだったのですけれども、やはりこれは体制の整備がとても重要なのではないかなと思います。それは多分、ベース・レジストリの話だけではなくて、包括的データ戦略に関して、この全般に関してそう思います。

これは今、ベース・レジストリの話ですので、そこの話に限って言うと、例えば自治体でも、私もあちこち回ったり、企業さんともいろいろお付き合いがあると、ベース・レジストリは物凄い話題になっています。どうするのだという話になっていて、みんな、何をしていいか、どうやっていいか分からない。聞こえてくるのは、デジタル庁の方々は非常に頑張っておられて、データの担当者の方々がすごく頑張っているということは聞こえてくるのですけれども、そこの方々以外の方々が何をやっているのかが全く分からない。だから、デジタル庁のデータ担当の方々が物すごく一生懸命やられているという、リーダーシップというだけで、それだけで動かそうとしているような感じがあって、組織として、政府としてこれをどうやっていくのかという体制がないと、ここより先は難しいのではないかと思います。

あと、ベース・レジストリ以外のデータも重要なデータは政府内にたくさんございまして、ほかの省庁もあり、そういったところも体制が全くなく、データをどうやっていいのか分からず、各府省庁でデータをしっかりやらなければいけませんねという話になって、いや、そこはデジタル庁でしょうと言って丸投げして終わりで、またそれでデジタル庁も苦労しているのだと思いますけれども、一事が万事なのですが、何かそういう感じがします。
先日、例えばIDSAと、ドイツの仲のいい人と少し話したときに、ドイツから見て日本のデータはどう見えるのだと聞いたら、IDSAとかGAIA-Xはいろいろ詣でる人たちはたくさんおり、企業もたくさんいるのだけれども、日本全体としてヘッドレスだねという言われ方をされました。だから、全体としての体制をどうしていくか。構想は非常にいいものが立ち上がっていると思うので、この構想を実現するための体制はいろいろ、デジタル庁も立ち上がって、今まで1年以上大変な時期も続いていたと思いますが、やはりそろそろ、この辺は整備していかないとなかなか実行に移していくのが難しいのかなという感じがいたします。

以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、富岡構成員、お願いいたします。

富岡構成員: ベース・レジストリについては、第4回のワーキンググループでも発言させていただきましたけれども、新経済連盟としては非常に重視しているテーマでございます。そのときに不動産IDの話をしまして、ちょうど去年3月に国交省からガイドラインが出され、ガイドラインだけ出して、その後は関係者の自主的な取組ですかというふうに問題意識を発言したのですが、今回の資料を見ると、今後整備を検討するものの中に不動産IDがきちんと位置づけられているということで安心したところです。

他方、どういう体制で進めていくか。先ほどから村井構成員をはじめコメントが出ておりますけれども、やはりこれは非常に重要だと考えております。

今回、情報源と提供可能データ、集約機能、連携機能という風に分けて整理をいただいたのは大変すばらしいなと思っております。この情報源の制度を所管している行政機関は大変重要な役割を担うはずではあるのですけれども、クレンジングなども含めてどこまでできるのかというところはあると思います。22ページ目の体制について、本来であればやはり情報源を担当する行政機関が主導的な役割を果たすのが一番望ましいですし、逆にここが頑張らないとなかなかうまくいかないところはあると考えます。

他方、これはある意味、日本のDXに共通の課題かもしれないのですけれども、今までデジタルやITの話は外部に丸投げしてきた中で、そういう当事者としての自覚を持って何とかしていくという経験やスキル、あるいはもっと言うと人的な資源もまだ不十分な状況なのかなと思っております。

ですので、最終的なゴールとして、こちらの(2)のようなデジタル推進当局がそれほど役割を果たさなくても物事が進んでいくことが望ましいものの、いきなりこの(2)をやるとうまく進まないのだろうなと考えます。

その意味で、まずはこの(1)のデジタル推進当局が提供可能データのところでもリーダーシップを発揮しつつ、ただし、デジタル推進当局がクレンジングなどを含めて全部やるのではなく、うまくそこの情報源の行政機関をコントロールあるいは連携するという役割を果たしながら体制をつくっていくことが重要なのではないかと考えますが、デジタル庁で今、具体的にどういう体制を考えているのかというイメージがあるようでしたら教えていただければ幸いです。

以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、砂金構成員、お願いいたします。

砂金構成員: 発表ありがとうございました。

体制とかの懸念に関しては村井構成員とか皆さんが発言されているのですけれども、これは2023年で我々はデジタルのテーマを話しているのですが、これはクレンジングとかをまさか人間が目検でチェックして完全性を確かめるとかは言っていないですねというところが懸念事項でございます。

これはチャットGPT以降、大規模モデルをつくれば全て解決みたいな雑な議論もあるのですけれども、少なくともベース・レジストリで定義されているデータがきちんとしたものであるかどうかを確認する、ルールベースと若干の機械学習ベースのものを組み合わせたようなものを仕組みとしてつくった上で、それをデジタル庁が提供し、ここに投げ込んでくれれば、デジタル庁が提供するライブラリーか仕組みによってその完全性が保証されますとか、そういう役割をちゃんと果たせるのであれば、人をたくさん配置するとか、そういうことではなくて、もう少しスマートに解決できるでしょうし、データを出したがらない問題に対する、ここに預ければ、とにかく責任分界点からすると、あとはそちらのお仕事ですねというもので押しつけられるみたいなところも考えると多分、人間が頑張る以外の何らか自動化する仕組みを、ある程度、つくった上で、それをデジタル庁としてより多くの範囲をきちんと対応するのが多分落としどころかなと思います。

データ関連でデジタル庁の皆さんは頑張っていらっしゃると認識はしてはいるのですが、自動化とか若干の広義の意味での、AIという言葉は使いたくないのですけれども、自動化するような仕組みを何か検討されているようであればいいのですが、ないようであればそこはぜひ議論いただければと思っております。

以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、太田構成員、お願いいたします。

太田構成員: 村井構成員のものと重なるところもあるのですが、結構、構想はすばらしいと思いますし、ルールメーキングというものもあると思うのですが、現実のところとしてはルールブレーキングというか、やはり規制改革が必要で、以前も申し上げましたけれども、例えば市町村がやっている地籍調査のデータは法務局とか地方の法務局が管理していますが、全く活用できないということで、農水省が農地データの緯度・経度が入らないというので大変困った問題がありましたけれども、これは当時、3年前ですが、法務省に行くと、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律があるので総務省に行ってくれと。総務省に行くと、いや、それは法務省に行ってくれということで、たらい回しになっていて、規制改革推進会議に持ち込むと言って何とか突破できたようなところがあるのですが、何かそういうごりごり突破する場を、デジタル臨調もあるわけですから、うまく継続していかないと現実的にはなかなか進まないかなというのも私も同感のところがあります。

オープンデータに関しても大変進んだ部分があると整備に関しては思っています。この先、まさに流通・活用ということを平本さんもおっしゃっていたのですけれども、海外の先行しているところを見てからの学びは、整備から利活用の間にやはりトレーニングが必要だというのが多分、一つの学びだと思うのです。

有名なのはサンフランシスコ市のデータアカデミー、あるいはニューヨーク市のデータドリルとかがありますけれども、ああいうところで多様な参加者がいて、もちろん、行政の方が入って、どういう風にデータを使うのだというものを不断の訓練をしていないと、ポイントとしてはどのデータが使えるのかは全部予見することができません。あと、トレーニングをしていないといざというときに使えないことがあるので、やはりトレーニングの部分にきちんとリソースを割くのをやっていくのが次の段階としてはとても重要かなと思います。

また、手前の話として、どれぐらい流通しているかをぜひ数字で出していただくのがいいかなと思っています。例えば、データカタログサイトがどれぐらい見られているかというものは簡単な指標ですけれども、私は東京都のお手伝いをしていますが、サンフランシスコとニューヨークとを比べると、東京都のオープンデータカタログサイトの利用者は20分の1だったのです。今、10分の1まで、要は5倍まで来ているのですが、そういうところを定量的に見ていって、やはりやったら結果が出たねということを味わいながら進んでいく取組のほうがいいのかなと思っております。

以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、後藤構成員、お願いいたします。

後藤構成員: 村井構成員と越塚構成員から、そもそものレジストリの整備と体制が大事だとコメントがありましたが、そのとおりだと思っています。

その先の話になりますが、23ページ目に再掲されている運用体制についてぜひ考えていただきたいポイントがあります。そもそもレジストリが整備されるのかという問題がクリアされた後の話ですが、ベース・レジストリの活用がどんどん広がって、社会的な依存度が高まることが見えているわけです。その場合それの可用性がどう維持されるか。これは非常にポイントだと思います。ベース・レジストリが使えなくなったことによって社会的に大混乱が起こるとか産業が損失を被るのはあり得る話です。そういうものに関する対策を今からしっかり練る。「BCP」とありますが、BCPが達成される体制を今から組んでいただきたいのが一つ目のポイントです。

もう一個は一貫性の維持です。このレジストリの中身が汚染されてしまった、間違ったデータが紛れ込んでしまった、または攻撃されてしまったとなると、これも問題ですので、ぜひセキュリティ対策の一環として、このベース・レジストリが継続的に中身がしっかりしていることをモニタリングする機能を考えていただき、運用体制の中にぜひ入れていただきたいと思います。

そういう意味で、私としては、ベース・レジストリを本当に構築する仕組み、それから、運用する仕組みの両方が非常に大事だし、後半の重要なポイントにも出てくると思いますので、そこに関してはしっかりとした体制づくりを今から準備する必要があると思っています。

以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、下山構成員、お願いいたします。

下山構成員: 私からは3点申し上げたいと思います。
まず1点目なのですけれども、ベース・レジストリの運用体制についてです。これはデータ型ビジネスをベンチャーでやっており、シビックテックで関わっている立場から申し上げたいのですが、なぜ、このベース・レジストリにデータ品質が求められるかというと、データを使ったサービスを提供する場合に、特に12ページ目の辺りに関わるところです。元のデータが誤っていたり、データに起因する不具合があったりする場合、事業者側が責任を負う必要が出てくるわけです。これは元のデータのせいですと言って、免責になることができません。そのため、事業者としてはデータクレンジングに多大なコストを投じて正しいデータにするか、あるいはそれができない場合はそのデータの利用を諦めることになるわけです。これは大きな経済損失につながっている可能性があります。そのため、大本の社会の基盤として、インフラとしてデータを整備しておいて、それを必要なタイミングですぐ使えるようにしようというのがベース・レジストリだと考えているのです。

このデータクレンジングのところで、先ほど砂金構成員からもあったのですけれども、これが人海戦術で行われてしまうと、これはさらなるデータの汚染につながる可能性があるわけです。実際に人間が修正してしまうと、その人ごとのルールで全部判断されてしまうので、余計に誤ったデータになる可能性も出てしまう。そのため、組織として体制を組んで、仕組みとして、システムとして品質管理ができる体制を持っているところが運用する必要があると考えております。その観点で運営体制、運営組織を検討いただけるといいかと思います。

2点目はベース・レジストリの視点に関してなのですけれども、12ページ目です。新しい定義としてデジタル庁が指定するものと書かれているのですが、一方で18ページ目では自治体のベース・レジストリといったほかの機関、分野ごとの、また、民間でつくられるものとか、そういったものが含まれてくると思うのですけれども、こちらについてもデジタル庁が指定するのかというと、恐らく違うと思うのです。なかなか自治体であったり民間であったり、そういったところまでの指定をするかというと、恐らくそれは地域ごとに決めていったり、定義があると思いますので、デジタル庁指定のベース・レジストリといった形で、ちゃんと区別できるような形でのリリースをされたり命名されるといいかと思うのです。

これは実際に都道府県の方から相談がありまして、地域版のものをベース・レジストリと呼んでいいのかどうか。その判断がつかないといったご意見をいただいたことがありましたので、その点もデジタル庁指定のものとそれ以外のものもあるということを整理していただけるといいと思います。

あと、3点目はオープンデータの取組についてです。25ページ目に関わるところなのですけれども、こちらは今、約70%がカタログ整備と書かれているのですが、これは正しくは1件以上公開している自治体が今、約70%という状況だと思うのです。カタログの整備までは一部の自治体しか行われていません。例えばある都道府県では、取りあえずオープンデータ1件だけ交換した自治体が、調べたところ、35%もあったとか、そういった状況があるので、これまでデジタル庁体制になる前はダッシュボードで今、オープンデータに取り組んでいる自治体が公開されていたと思うのですけれども、今、公開されていない状況になっています。

ただ、最近、デジタル庁のオープンデータのページからオープンデータ取組の質評価指標を、質的に評価するための指標の体系も出されていて、現時点では自治体が自己評価するために使う位置づけになっているのですけれども、これをもう少し、年に1回など、調査を行って可視化するような仕組みが必要になってくるのではないかと思います。これがあることで、少し自治体間で比較したときに、どのくらい進んでいるか、もう少し強化しなければいけないといった位置づけが明確になると思うのです。

さらには、この質の取組指標。省庁でもこういった取組はすべきだと思うのです。自治体だけではなく、現在、各府省庁やその省庁、何の課でどのくらい取組が行われているか。質的な評価もすることで、それを少し比較して見られるような形にしていく必要があるのではないかと思います。

以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、庄司構成員、お願いいたします。

庄司構成員: 私からも幾つか、どちらかというと質問が多いのですけれども、お話しさせていただきたいと思います。

まず、12ページ目の先ほど下山構成員がおっしゃっていた定義の見直しで、デジタル庁が指定するものとなっていて、そして、後で別の機関のベース・レジストリという話も出てくるところについてですけれども、恐らく区別するのだろうというのは私も下山構成員と同じ感想を持ったのですが、だとするならば、定義は何となく書いてあるのですけれども、誰がどうすると指定が受けられるのか。デジタル庁が全体を見渡してというだけでなく、例えば各府省から、これはこういう可能性があるからベース・レジストリにすべきではないかみたいな議論がどこかで提起できるのかとか、そういう判断は、誰がどこで、デジタル庁といってもどういうプロセスでやるのだろうとか、そういうところが議論すべき点かなと思うのですが、考えていらっしゃるところがあれば伺ってみたいです。

それから、23ページ目で運用体制に求められる要件が書いてあるわけですけれども、まだ全然曖昧というか、適正なガバナンス体制とは何だろうとか、開示とは何だろうとか、そういうところから考え始めるとまだまだ、これは本当に項目出しをしている状況だと思うのですが、これから議論していくとしても、そんなにゆっくりやっていられる状況でもないので、ここはしっかり明らかにして、そして、やはりベース・レジストリに関わる部分ですから、しっかり定義をしていく必要があると思うのです。そこをどういうふうに進めていかれますかというところを議論してみたいです。

そして、27ページ目のDATA.GO.JPについてですけれども、前からここで話題には上っていたのですが、e-Govと統合しというものがついに来るのだということについては若干の寂しさを感じるところもあります。約10年ということで、仕方がないかなという部分はあるのですが、ドメイン名を移行してしまうのは結構大きな話かなと思います。当然、DATA.GO.JPを見てきた方々もいらっしゃるでしょうし、何か移行措置とかをしておかないとよくないのではないかと思います。たしか、私が知っている限りで、G7の中ではカナダ政府が一回変えた記憶があるのですけれども、やはりほかの国を見ているとそういうことはめったにやらないことなので、ここは慎重さが要るのではないかなと思います。

それと、やはりこういうときだからこそ、では、DATA.GO.JPはどうだったのか。先ほど定量的な把握の話も出ていましたけれども、DATA.GO.JPはいいところや悪いところはあったと思うのですが、どうだったのかという評価もしっかりこういう場で皆さんと共有して議論できればなと思います。

そして、最後、平本さんのご説明の一番最後の部分でさらっとベース・レジストリの話と標準化の関係を、自治体システム標準化の関係をおっしゃっていたと思うのですけれども、今、幾つか話題に出ていた、人がやるのではなくて、自動的にデータをつくるのですねとかチェックするのですねという話にまさに貢献する部分だと思うので、ぜひそこは具体的に議論を進めていただければと思います。これは意見です。

以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
一通りご意見を賜ったかと思いますので、それでは、事務局から回答をお願いします。

平本シニアエキスパート(データ戦略): 私の説明が悪かったようで、体制について、やらないと決めたということはなくて、やるのですけれども、サブワーキンググループについては整理させていただきますが、きちんとやらせていただきますということで、デジタル庁にバトンタッチしたからレベル感が下がったわけではございません。

KPIがないという話がございましたけれども、確かにKPIをつけるのが難しいところもございまして、データ戦略はオープンデータを幾つ出したとか、そういうものはあるのですが、やはり世界が注目しているのはこれに対する経済効果はどうなのだろうという話とか、国民の満足度とか、そういうところにKPIをつけているところもあるのですけれども、そこまでまだ手が至っていないというか、ひとまず基盤をまずちゃんと揃えなければいけないなということで、GIFに見られるように、基盤整備に力を入れてきたところがありますので、まだそこまで至っていないところがございます。

各府省との関係でサイロをどうつなぐかで、やはり去年までは基盤のルールをつくるところが一生懸命だったのですけれども、先ほどの紙にありましたように、36ページ目ですが、各府省に対して、今後はできるだけデータ標準を使ったほうが効率的にでき、各府省間の連携もできますし、ワンス・オンリーにもつながりますので、こういう形で各府省と自治体システム。そこのシステムの相談を受けている者もデジタル庁の中におりますので、そこを一体となってやっていきたいと思っております。

体制について、誰かが腹をくくってやれというご指摘もありましたけれども、我々としてはちゃんと政策の部分はしっかりやっていく部分でもありますし、それと、運用に関しても先ほど来、重要だという話がありますので、そういう意味で運用体制もしっかりつくった形で、やはり政策を片方でつくりながら、前に進みながら後ろも固めるのを一気にやるのは難しいところがありますので、それはチームづくりという形でやらせていただければと考えております。

各府省への展開のお話もございましたけれども、先ほどの体制に関しては、富岡構成員から具体的な体制とかをどう考えているのかといったところがございましたが、ほかの構成員からも品質とかセキュリティ等を考えますと、我々としては今、考えられるところとしては、先ほど3つ出させていただいたのですけれども、比較的、印刷局さんなどはそれに近いのかなと思っておりますが、それ以外を別に考えていないわけではなくて、先ほどの話で、定義の仕方、運用条件が曖昧だというところもございましたので、そこももうちょっと精査させていただいて、時間はないのですけれども、早い段階で決められる方向で進めていきたいと思っております。

データの目視ではなくてルールベースでやるべきではないかというのはまさにそのとおりでございまして、データの変換ツールとか、こういうものをまとめて提供できないかということを考えております。半角の片仮名から全角の片仮名の変換ツールとか、あと、日付の書き方とか結構、そういう単純なものから、もうちょっと自動で分類づけしてほしいとか、そういうところまで、AIを使うところまで、いろいろな幅があると思うのですけれども、そういうところは考えさせていただきたいなと思っております。

太田構成員から、突破するところをごりごりということで、まさに地籍調査というか、この間、不動産情報の筆情報がオープン化されまして、その調整も我々、一緒にやらせてもらっていったところでございますけれども、これができたことによって、この2~3週間の間に筆の地図をデータを使いやすい形にコンバートして日本地図に重ねるといったことも始まっておりますので、最初はやはり不動産データは難しいかなというところもあったのですが、徐々にこういうところを、なかなか水面下で交渉事はあまり出てこないのですけれども、ごりごりと後ろでやっておりますので、引き続き応援いただければと思っています。

それと、トレーニングが必要というのもおっしゃるとおりで今、トレーニングコースをもっと全般的に、オープンデータだけではなくて、データに関する、特に利用者の方々のリテラシーの教育も含めて、経済産業省がつくったデジタルスキル標準などとも調整しながらトレーニングコースをつくれればなどという話もありますし、オープンデータに関しましてはオープンデータの動向も変わってきていますので、そのトレーニングコースも、先日、教材をつくり直したばかりですので、これを伝道師の方々などと協力しながら地域に広げていけたらと思っております。

レジストリの中身としてのセキュリティやモニタリングする体制はおっしゃるとおりでございまして、中身としてセキュリティは、先ほど言いましたように、きちんとした体制をつくっていくところと、透明性がやはり条件として我々が出しているように、きちんとできているのかどうかというモニタリングデータは出していきたいなと思っております。
それと、下山構成員からダッシュボード。こういうものもやるべきではないかという話がございましたけれども、今、ちょうどダッシュボードというか、DATA.GO.JPを、カタログサイトをつくり直して、もうすぐ公開し、公開した後も、それで終わりではなくて、徐々にアジャイルに変えていきたいと思っておりますので、まさに質の評価指標というか、データ品質。これに関しては世界中で、取引をするときに安全に使えるかどうかということで注目を集めていますので、府省のデータも含めて、品質とかの改質とか、あと、簡単に使える仕組み。そういうものは考えていきたいと思っております。

庄司構成員からプロセスの話をご指摘いただいたわけですけれども、指定するのにどんなプロセスがあるかなのですが、実はまだ、ここも我々は走りながら考えているところでございまして、むしろ、我々から、このデータがベース・レジストリになるのではないのですかということで各府省にご相談をして、それで確認ができたものから順次、我々の考えているベース・レジストリの定義に合いますかというところを議論させていただきながらやっている形で、まだ公開の認定委員会とか、そういう形にはなっていないのですけれども、もう少し安定したらそういうものもやらなければいけないのかなと今日、ご指摘を受けて考えたところでございます。

あと、DATA.GO.JPが、ドメイン移行を今回やる予定になっておりますけれども、これはリダイレクトもやる予定になっておりますし、そこはきちんとやりたいのと、今までのオープンデータは、10年以上やってきて、たしか2年ぐらい前に世界中がそれの評価をやっていたのですが、我々もやらなければいけないと思っておりますので、そこについては検討させていただければと思います。

そういうことで大体、全体はお答えさせていただいたと思います。

三島参事官: ありがとうございます。
一通りお答えを差し上げたかと思うのですけれども、この議事につきまして追加でご発言のある方はお知らせいただければと思います。

特にないようでございましたら、続きまして、次の議事に移りたいと思います。議事(2)「DFFTの具体化に向けた取組」及び議事(3)「包括的データ戦略の整理」について事務局から説明をさせていただきます。

まず、議事(2)「DFFTの具体化に向けた取組」について、資料2に基づいてご説明をお願いします。

平本シニアエキスパート(データ戦略): 資料2でございますけれども、3ページ目、まず、これまでの流れを簡単に説明させていただきますと、2019年にダボス会議で安倍総理がDFFTを提唱させていただきまして、それから、2021年にDFFTロードマップということでG7の場で議論がされまして、2022年にDFFTのアクションプランという形になってきています。今回は日本主催ということで、これまでの取組の総論と具体化の実現が重要となってまいりました。

4ページ目です。今回、それで議論の議題として、参考でございますけれども、デジタル・技術大臣会合の中でDFFTは当然、重要テーマとなっておりますので、ここの中で議論をしていくことになっております。

5ページ目です。DFFTに関連した分野の例で、貿易、トラスト、セキュリティ、プライバシー、データ利活用、インフラ。こういうことを、トラスト、DFFTを考える上で重要な要素として考えなければいけないのではないかと考えております。

もうちょっと具体的に、では、これからどうするかでございますけれども、6ページ目です。DFFT推進の枠組みということでパートナーシップの立ち上げを考えているところで、ここの「目的」に書いてありますように、やはりデータ流通を促進するときにはデータ流通に関わる障壁を取り除く必要がございまして、そのために民間と行政、政府と民間が協力してエコシステムをつくっていく必要があるのではないかとなっています。下に案がございますが、行政の中で今まで制度的な調整とかをやってきました政府パネルというもので政府間の調整をすることもございますし、右側にありますように、ステークホルダーパネルという形で民の、企業間のデータの交換。ここにおいてもこんな課題がありますとか、ここのところについてはこういう検討をしなければいけないという議題がたくさんあります。
この2つで議論をして、それを、真ん中の緑でございますけれども、両パネルの合意に基づいてプロジェクトを推進していく形で具体化を図っていく、こういう国際的な枠組みがつくれないかを検討しているところでございまして、下に【プロジェクト例】と書いてありますが、まさにトラストのために透明性を確保したり、先ほど来出ておりますデータの品質を確保していく。それと、プライバシーのことも重要ですし、あと、IDがどこの国との間で通用するのかとか、そういう話もありますし、データ的にも相互運用性を確保しなければいけませんし、こういうものを政府パネルとステークホルダーの合意に基づいて推進していくものを具体的に進めていくことを今後進めていければと思っております。

8ページ目です。今のお話がどちらかというと越境データの取引という形でデータの交換をさせていただくわけですけれども、それ以外にも、皆さんが日頃、スマートシティの中で感じていたり、商取引の中で感じているところのトラストもあると思っておりまして「2022年12月」と書いてありますが、この前から幾つかドラフト版とかが出ていたのですけれども、GAIA-Xがデータスペース、例えばツーリズムのデータスペースとか、自動車業界のデータスペースとか、前回お話しさせていただきましたが、データスペースの中でのトラストは確保しやすいのだけれども、ほかの業界になった瞬間に、あの会社は何だっけなどという形で、なかなかトラストを確保するのが難しいということで、業界をまたがったところでトラストフレームワークをどうしたらいいかという議論をしています。

あと、一方でスマートシティの議論でも、これも前回、情報提供させていただきましたMIMsと言われているミニマム・インタオペラビリティ・メカニズムというところでトラストが定義されております。ただ、これも個人情報に絞った限定的な整理になっておりまして、そういう意味でまだまだ世界各国が具体的なトラストの実装については検討しているところがあるのかなと思っております。

9ページ目です。こういうものを国際的に話していかなければいけないわけですけれども、我々はもともとアーキテクチャで考えておりますので、アーキテクチャごとに、データ空間のところで、まず一番上のルールで言うと、連携先にどんなルールがあるのか。相手国のルールが違っていると取引できないとか、そこで管理されているので大丈夫なのか。また、そのルールも一定ではなくて、ある程度の時間が経つと変わってくるわけです。そのときにどういう風にルールが変わったのかをいちいちチェックするのは大変ですので、こういうデータ空間でルールが信頼できるのか。場としてそこからミスインフォメーションとかディスインフォメーション、あと、デマとか、そういうものがないのかという話もあれば、データ連携基盤とかデータの技術的な要素が大丈夫なのかという話です。

それと、原本性の保証とか、こういう転送のときの非改善性とかトラスト技術もありますし、機器やネットワークの認証もありますす。また、人材が大丈夫なのかなという話もありますので、こういう話も含めて今後、データのトラストのフレームワークは世界的にも注目されているところです「ので、国際連携を図りながら検討していく必要があるのかなと思っております。

10ページ目です。今までの各プロジェクトの位置づけで、各プロジェクトは、IDはIDで検討していますとか、データモデルはデータモデルでやっていますと言うのですけれども、みんな、データというものがトラストに影響してきますので、こういうものをきちんと体系づけて、相互に情報交換しながら進めていくことが重要かなと思っております。これは議論のために、こういうマッピングをすることで、私はここをやっているのだなというところから始まればいいかなと思っております。

12ページ目です。論点というところで書かせていただきましたけれども、ここはあまり書いていなくて、DFFTという先ほどの国際的な枠組みについて、何か留意点とか、そういうところとか、あとは実装用の、後半に示したトラストの体系。各技術について、こういうことも検討したほうがいいのではないかとか、そういうご示唆がいただければなと思っております。

13ページ目以降は参考資料ですので、見ていただければと思います。

続きまして、資料3です。2ページ目です。一番冒頭に話しましたけれども、第4回で全体の振り返りをやって、第5回でデータスペースをやって、今回がデータとトラストについてやらせていただいたわけですが、これでデータ戦略としてまとめるに当たって今回、この骨子について議論いただいて、さらに次回、皆様方に戦略の書いている内容を確認していただいて実行計画に入れていく形になりますけれども、まず、データ戦略の目指す姿ということで、大きな動きとしてAIの話は見逃せないと思うのですよ。こういうデータ活用も含めて、世界と競争できる基盤を整備していきましょうということで、そのためにはやはりAIをやるにも多様なデータ、十分な量のデータが必要ですので、これを供給する仕組みを一貫した流れでつくっていくことが重要かなと思っております。

3ページ目です。見直しと推進ステップで、実は2年経っており、2021年6月にデータ戦略の1回目をつくっており、内容として見直さなければいけないところもありますし、あとは重点計画も全体を整理しますので、デジタル戦略としての重点計画があるわけですけれども、これを包括的データ戦略は二重に書いてあったりしたわけですが、重点計画に統合して、他の分野、AIとか成長戦略といったところのシナジーも上げた形で整理させていただければと思っております。

それで、今までやってきたのが右側で言うところの、現状を整理して、土台としてのGIFとかベース・レジストリの推進をしてきたわけですけれども、それをやはりデータスペースということで、ビジネス空間というか、サービス空間に展開しなければいけないという話と、国際的にどこが日本は勝てるのかという、勝ちに行くということで、ルールとか技術、あと、競争力のあるエリアで集中的に取り組むとか。では、どこに取り組めばいいのか。こんなことを検討していくのかなと思っております。

4ページ目です。大まかな、骨子というほどではないのですけれども、今までのデータ戦略の目次が左にございまして、それに対して現行戦略で不足しているところとしまして、まず、行政データの全体像についてはまだ話していなかったので、その辺りを考え、AIとかデータ利活用が薄かったという話と、運用とかデータ・マネジメント。当時は何をやらなければいけないという機能を中心に書いていましたが、ここの内容を追加しなければいけません。あとは加筆が必要な環境変化として、データスペースとか産業政策的な要素。経済安全保障という話なども最近は出ておりますので、こういう話も考慮しなければいけません。また、各国が、特にEUを中心に、データに関する法律とか体制を整備していますので、これに対抗するにはどうしたらいいのか。インタオペラビリティがやはり世界中ですごく注目されていますので、これを我々ももう少し強化していくのかなというものと、DATA-EXとかがありますけれども、ビルディング・ブロック群をどういう風に位置づけていくのかという話。先ほどのデータの変換ツールもそうだと思うのですが、こういうツール群をどうするかということ。デジタルツインが我々は最終目標としていたのですけれども、意外に早く世界もどんどん取り組み始めていますので、そういう意味で地理空間情報活用の加速とか、データのマチュリティと言われている利用者の面と、データをつくるほうのデータ品質のニーズが拡大していますので、ここをうまくやっていく。DFFTの推進を図っていく。こういうことを反映させた形で、ポイントを絞りつつ、重点計画の他分野と整合を取るような形で推進していければと考えております。

大体、進め方は以上でございまして、これを基に我々事務局でも皆様方の意見を踏まえて整理させていただければと思っております。

以上でございます。

三島参事官: ありがとうございます。
それでは、議事(2)及び議事(3)について意見交換を行いたいと思いますが、まず、本日ご欠席の遠藤構成員よりご意見を賜っておりまして、会議の直前に構成員の皆様にもお送りさせていただいておりますけれども、DFFTの推進について、また、日本全体におけるデータ連携、デジタル人材育成の観点からのご意見を頂戴しているところです。
では、ご発言のある構成員は挙手機能、またはチャットでその旨をお知らせいただければと思います。

越塚構成員、お願いいたします。

越塚構成員: DFFT、G7の話と、包括的データ戦略の整理という話と、2つあったかと思いますけれども、DFFTは資料2の6ページ目で、今回、こういう組織を立ち上げることを、しかも、このDFFTは日本のリーダーシップで、先ほどベース・レジストリで体制がという問題が言われた割にはここでちゃんと国際的な組織をつくっていこうという、たしかIAPと言われている形のことだと思いますが、そこはワールドエコノミーフォーラムのタスクフォースでもいろいろ議論が進んでおりますけれども、ここはぜひしっかり進めて、リーダーシップを取ってやっていただければなと思うことが一つです。

もう一つは、包括的データ戦略は幾つかございまして、やはりここの中に、一つは先ほど出ていた体制整備のことがもっと戦略の中に具体的になることが、ただ、ここから申し上げることは全部、デジタル庁がやれということではなくて、適切にきちんと官と民が連携して、民がやるところは民がきちんとやって、その中で日本全体として、戦略という意味で申し上げますと、そういう意味での体制で、例えば官と民で、民は民でまたデータ連携をやるわけで、そこの中で官と民が連携する場はなかったりとか、あと、モビリティ、医療、製造業等、いろいろな分野がありますけれども、そういう様々な分野を超えたデータ基盤の取組が走っている中で、それが連絡調整・連携する場がなかったりとか、これを全部、役所がやれということではないのですが、ただ、そういう場をきちんと日本として官民連携した形で持っていることは重要かなと思います。

ただ、そういうものが成立するためには、そのベースにもっとデータのコミュニティをしっかりつくって、データのこういったことに携わる人とその品質を上げていく努力も必要かなと思っていまして、やはりデータ関係、どの打合せをやってもお会いする人も同じという話もございまして、コミュニティが狭いのですよ。それで、ヨーロッパから学ぶことといったら、GAIA-Xとかをやるとすごく人が集まる。あれだけのコミュニティがいるのはすごいことだと思うので、そういう意味ではベースのコミュニティをつくっていくことは戦略の中でも重要かなと思いました。

最後に、この国際連携のところが若干、歯に衣を着せずに言うと、のんびりした感じがあるかなと思いまして、やはり今、DFFTという少し先のこととか国際連携というレベルでは既にバトルが始まっているところも随分あり、多分、サプライチェーンのCatena-Xみたいなところは大分、産業界の中でも具体的に圧力がかかっているであったり、アジアやASEANはどうしていくのかとか、結構、尻に火がついてバトルになっている部分もありますので、そういうところに関しては、長期的なビューもありますけれども、目の前の危機をどうしていくのかの海外対応も少し入れていく必要があるのかなと思いました。

以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、渡部構成員、お願いいたします。

渡部構成員: DFFTは日本が提案して、非常に受けがいいというか、そういう意味では大事だと思うのですけれども、もともとG20とかかなり幅広の国のいるところで提案して、今回、G7になっており、やりやすくなっているとは言えるのですが、その中で何が問題かといったら、DFFTまではデータがフリーフローなので、やはりトラストの定義なのですよ。それがメンバーによってどこまで、このトラストをどういう整理ができるかというものは若干難易度が変わってくるわけですけれども、今回、この枠組みの中でトラストをどういう風に説明するのかがやはりポイントだと思います。

先ほどの説明だと、ここで言っているトラストとは別にトラストの検討をしていくみたいにも聞こえたのですが、それは検討をここで本当にプロジェクトを実装するということでやろうとすると、やはりトラストはしっかり日本としてはこう考えるのだということが最初にないと本当はやりにくいのではないかと思いますので、そこの前後関係とかをどういう風にお考えになっているかということ。

もう一つ、ここのメンバーは、G7で検討したからといって、この枠組みをどこでやるかはまた別かもしれなくて、そこは決まっていないとか、まだ公表していないとかということでもあるかもしれないのですけれども、それによってはやはりアプローチも違ってくることもあります。そういう意味で、いずれにしてもトラストを日本としてどう説明するのか。先ほどの説明だと、幾つかアーキテクチャの側で説明するものと、例えばTrustedWebのところにはまた別のことが書いてあったりとか、実際に最後は、先ほどの議論でもクレンジングのオペレーションの話などもありましたが、限定介入のオペレーションも結局は全体のシステムのトラストに関係してくるわけです。だから、そこのプロジェクトが始まる前までにどこまで整理をされるのかとか、あるいはそれは並行して検討されるのかとか、その辺を確認したいというのが一点です。

それから、全体の進め方の中に、後半のデータ戦略の見直しで、資料3の4ページ目です。これも右側に「加筆が必要な環境変化、技術変化例」が書いてあって、この右下のところを右側の背景で書き直すというときにAIの話と、それから、これは経済安全保障も書いてあって、これをどういうアウトプットを落としていくかというところは、これからなのかもしれないけれども、これは結構やはり重要で、経済安全保障は、一番ハードなところの会議に私は出ていますが、ただ、データの話は起こってしまうのですよ。だから、どこでやっているのかがずっとはっきりしなかったのですけれども、これは全体、政府としてどこでやるのかはどこかで分担をしっかりしないといけないのだろうなと思っていました。

以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、太田構成員、お願いいたします。

太田構成員: あまり知恵のない発言になるのですけれども、今、映していただいているところについて、外から、若干、中も含めて見ていても、率直に言うと、やはりデータ戦略に関して人もお金も予算が足りていないなという風にすごく思うのです。それは海外と比べてですが、そこにまた何か不足している内容が足されて本当にどうなってしまうのだろうかという、すごく心配、懸念を感じるのです。

デジタル庁がデジタル社会基盤の整備を長期的にコミットしてやっていくのは大変いいことだと思うのですが、質問というか、これは聞いても仕方ないのかもしれませんが、例えばマイナンバーカードの普及は、信じられないことに、兆円単位の予算ではないですか。例えばデジ田のデジタル社会実装も400億円だったものが来年度の補正予算で1000億円とかという、どんと積まれるのに対して、データ戦略の予算は桁が全然違うし、少ないのではないかなというところは、これはさっきも平本さんから、最終的には経済効果ということで、例えばデンマークだったり、あるいはEUは結構、数字を出しているのですけれども、そういう数字を出せばきちんとした人や体制が整備できるのか。いや、それを出したところであまり意味がないのかとか、何か手がないのかとか、その辺を、データ戦略は項目を足していったり練り込むのはいいのですが、元手が足りていないような気がすごくしていて、こういう場でもう少し、そういう重要性だったり、あるいはその重要なことをきちんとやるためにこれだけの体制が必要なのだというものがもう少し議論が深められるのだったら、ぜひ何か貢献できたらなという風に、質問とも意見とも何とも言えないコメントで申し訳ないのですけれども、今回は思っております。

以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、富岡構成員、お願いいたします。

富岡構成員: 私からは意見というよりは質問が2つあります。1点目は、G7のDFFTの推進の枠組みのところです。これは既に1月にダボス会議で河野大臣からある種の発表をされ、今後、4月の大臣会合に向けてコンセンサスを取っていくということなのだと理解しているのですが、こういうものを立ち上げることについてネガティブな反応を示している国や勢力はあるのでしょうか。仮にあるとすると、どういう理由なのでしょうかという純粋な質問です。

もう一点ですけれども、データ戦略のAIのところで、政府でもAI戦略を数年前に策定し、ある意味、政策の観点からのAIの盛り上がりは、一旦そこがピークだったのかなと感じています。それはAIが大事でなくなったということではなく、ある意味、当然のものとして理解されていったということでしょう。そういう中で、去年の夏頃から画像生成AIというものが、冬頃からはチャットGPTということで、AIの中でもジェネレーティブAIのインパクトが今かなり大きくなりました。1年前までは政策当局であまり関心を持っていなかったであろうジェネレーティブAIが出てきたことによって、今後、政府としてのAI戦略は、何かそれに特化した観点からの新しい施策・取組を考えていらっしゃるのかどうかという質問です。

以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、村井構成員、お願いします。

村井構成員: 今の件については、おっしゃるとおりです。データの整備というものは、さきほどの太田構成員の話にもありましたが、予算規模が全然違うだろうとか、だから体制ができていないとか、重要度が認識しづらいというか、そういうことになっていると思うのです。ですが一方では、これは今、富岡構成員がおっしゃったように、例えばAIに対するマーケットの大きさはどのくらいあるのかとか、そういうことは経済効果をきちんと指標として持てると思うのです。ところが、その組立てができていない、データ戦略のための予算の体制ができていない理由は、一つはやはり経済効果として評価する体制ができていないのではないかという意味で、それが一点です。

また、DFFTに関しては、この実証と実装というプロジェクトを設置していくことはとてもいいと思うのです。ただ、それがどのくらい一般的なのか、あるいは特定の領域なのかという考え方が、もう一つあると思うのです。やはりどうしても日本は、このデータ戦略がアーキテクチャから入っているため、例えばトラストやIDというアーキテクチャ上の項目を横串とすると、横串的な発想で実証をつくることもできると思うのです。一方、例えば災害や医療や健康など、縦串、つまり、特定の領域における実装・実証もできると思うのです。

そうすると、G7でもOECDでもASEANでもG20でもいいのですけれども、DFFTの提案をする際に、やはり日本のベストプラクティスがあるといいと思います。それはどちらかというと、このアーキテクチャに基づいた、特定の領域における実装と実証が成功して、そこから提案できることがある。これがないと非常に難しくて、例えばセキュリティフレームワークという議論がIDやデータの流通・共有では必ず話題になる大きな概念だと思うのです。つまり、データの分類と、それに対するアクセス制御や、そういうアクセスする人のIDがきちんと定義されているのかなどといったところです。この成功と失敗はかなり明らかになっていて、幅広くに全てを入れるとできない。特定の領域だとできる。こういうことだと思うのです。したがって、そういう領域限定というものは、DFFTのこのモデルの中心のところでもとても重要ではないかと思います。

もしその後のデータ戦略の今後の体制を考えるとしたら、私はもう一度、さきほどの繰り返しで申し訳ないのだけれども、皆さんが専門家だから聞きたいのですが、データを出していく、整備をしていくことは、基本的には嫌なのだと私は思っているのです。間違っていたら間違っていると言ってください。したがって、データを公開していくとか共有していくとか使えるようにしていくことのエネルギーをどこかで生み出さないと駄目で、つまり、さきほども言ったけれども、デジタル臨調的なアプローチが国内では必要なのではないかと私は思うのですが、これは間違っているのでしょうか。もし間違っていないなら、デジタル庁はしっかり取り組んでほしいということを最後に申し上げたいと思います。

以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、下山構成員、お願いいたします。

下山構成員: ありがとうございます。資料3に関して1点意見をさせてください。
追記すべき内容の中に今、世界で潮流となりつつあるデータの管理手法についてもこれは入れるべきだと考えているのです。先ほどの資料1に戻りますが、32ページ目で挙げていただいていた技術。これは新しい技術のように扱われがちなのですが、例えばDoIにしてみても20年前からある技術ですし、これにまだ対応できていない時点で特にデジタル庁としてまずいかなと思うところはあるのです。

これは、例えば毎回、人がこれを付与するとかというわけではなくて、例えばウェブサイトの仕組みの中に、文書を公開するときに自動で付与されるようにしておくとか、システム的に対応可能なことであって、これを行うことで、例えば民間側で会議資料を探すときに、これがどの会議に紐づくのか分からなくて物すごく検索している方とかがたくさんいるわけです。こういったユーザビリティの向上にもつながって、社会全体のDXにもつながる話なので、こういった技術に対応していくことも戦略の中に入れて体制をつくっていく必要があると思うのです。

特にこういったところを対応する方向性を出しておかないと組織としてそういった人材を入れることもできなくなりますし、これに対応することで仕組み化して、あと、実際に業務に当たる方は特にこういった技術を意識しなくても自動で生成されるようなものをつくっていく。これはぜひ戦略に入れていただきたいと思います。

以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、庄司構成員、お願いいたします。

庄司構成員: 私は包括的データ戦略について2点発言したいと思います。

一つは、このページを見て、これからつくるものについてなのですけれども、これまでやってきたことについてしっかり書いておいていただきたいということです。こういう戦略とかを気合を入れてつくろうとすると、どうしても目先のはやり言葉とかに目が行き過ぎてしまって、これまでやってきたものがすごくトーンダウンしてしまうといいますか、後ろに行ってしまったりとかして、これまでせっかくやってきたものが生かされなかったりとか忘れられていってしまったりとかがあると思うので、先ほど村井構成員からあったオープンデータの話ですとか、ここでやってきたデータ連携、特に分野横断的にどういうことをやってきて、ここまでは来ているみたいなことをしっかり具体的に、あるいはデータで示したりして、それを踏まえて、あるいは課題が出ていればそれも踏まえてこういうことをやるのだということをしっかり示していただきたいと思います。そういう積み上げをしっかり、5年、10年の単位でやっていくことが大きな、国の横でこういうことをやっていくときのやはり強みになるのではないかなと思います。

それから、資料3の4ページ目で、現行についてのコメントですけれども、総論が背景と基本的な考え方だけだと何か寂しいなと思います。各論が大事なのですが、やはりこれまでお話しされているように、世界的な潮流の中で経済安全保障はどうするのかとか、あるいは産業の変化の中でデータをどう位置づけていくのかについてのもう少し具体的な、いわゆるビジョン、目指すべきところはここなのだということもしっかり書ければいいなと思います。こういう状況でという外堀の話と、大事な基本方針はこれでというものだけではなく、将来像的なところもできれば示せたらいいなと思います。

最後、データに関する予算が足りないという話もありましたし、オープンデータの話なども10年以上やってきて、そういう意味ではリブートしていくべき段階なのだろうと思います。予算の話もそうですし、官民データ活用推進基本法とかも7年とか経ってきています。そうすると、できたこともありますし、それから、環境が変わってきていることもありますので、やはり、見直しの議論というか、加筆の議論をしていく必要もあるのではないかなと思います。あれは議員立法なので、ここで言っていいのかどうか、よく分からないのですけれども、今あるデータ戦略の枠を決めるものでもあると思いますので、それぐらいスケールの大きい話をしていくことが骨太にデータ戦略を組み直していくきっかけになるのではないかなと思います。

以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
続きまして、砂金構成員、お願いいたします。

砂金構成員: この包括的データ戦略のほうでコメントすると、3ページ目に「勝ちに行く」と書いてあるのですけれども、この勝利条件はどうなっているのですかというのが気になっていて、きっと相当リーダーシップをちゃんと取っていくということだと推察はするのですが、民間企業ではないので、勝つ負けるみたいなことを考えるのであれば、どういう状況になったらこれは正しい状況なのかを少なくとも絵姿は関係者で分かりやすく共有しておいたほうがよいのではないかなと思います。

相当リーダーシップを取りに行くということで言うと、先ほど村井構成員がおっしゃられた事例とかも大事だろうし、既にやられているかもしれないですけれども、グローバルの会合に行ってちゃんと日本の取組を情報発信していくみたいなことも併せて必要だと思うので、アーキテクチャだけできていても、それだけではなくて、そのほかの活動がきっと物すごく重要なのだろうなと思いますが、本当に相当リーダーシップを取りに行くことが価値なのか、あるいは産業ごとの標準を取りに行くことを意味しているのか、それは何がゴールなのかというものはもうちょっとゴールをきちんとしたほうがいいかなと思います。
とはいえ、2ページ目で競争と協調ということで表現をされているので、全体的に勝つということではなくて、グローバルな何らか標準的なものに乗っかって協調してやっていくところは多くの分野でやられると思うのですけれども、それでもここの分野だけは絶対引き下がれないというこだわりを持ってぶち込んでいく、集中するところがもし現時点でお考えがあるようであれば、この場で宣言していただくというか、初期案としてご開示いただけるとよいかなと思っています。

以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
内閣府科学技術・イノベーション推進事務局の坂本審議官より発言希望があるようですので、お願いいたします。

坂本審議官: 包括的データ戦略及びG7科学技術大臣会合関連の動きについて発言をさせていただきます。

現行の包括的データ戦略には、大学・研究機関による研究データ基盤の整備、研究データの管理・利活用の促進が位置づけられてございます。これは研究データ・論文等の研究成果を、分野を横断して統合的に活用する、そして、大規模な計算資源・解析インフラにつなぐ研究データプラットフォームを整備することになりまして、さらにそれを核としたデータ人材の育成にもつながるということで、非常に政策的に重要なものであると我々内閣府としても考えてございます。

さらには、我が国において、この研究データプラットフォームは新たな学術成果を流通させるチャンネルとしても非常に重要な機能を持ってくる。大学の先生方はご存じかと思いますが、我が国の論文等の知的資産については、特に査読つき論文は世界的な学術出版社の寡占状態となっていて、大学・研究機関において購読料あるいは掲載料の高騰によって研究活動に支障が生じている現状にもございます。そのための新たなオルタナティブとしての流通チャンネルとしての機能を持つことが国際的にも今、議論されておりますので、本年5月に開催されるG7科学技術大臣会合を念頭に入れて、総合科学技術・イノベーション会議において統合イノベーション戦略2023年の策定を視野に入れて、国としての方針を示すべく今、内閣府で検討を進めているところでございます。

これは包括的データ戦略の見直しと密接に関係するものと考えておりまして、当事務局としましてはデジタル庁とも十分に連携して対応してまいりたいと考えてございます。

以上でございます。

三島参事官: ありがとうございました。
それでは、ご意見を一通りいただいたようですので、事務局から回答いたします。

平本シニアエキスパート(データ戦略): 越塚構成員から、しっかりやっていただければということでしたけれども、ぜひとも一緒にやっていきたいなと思っておりますので、越塚構成員、よろしくお願いします。コミュニティは重要だということは分かっておりますので、そこのコミュニティづくりは今、ご指摘のように、ここに出ていらっしゃるメンバーは大体顔なじみと言ったらなんですけれども、もうちょっと幅を広げるべく今、やはり対外発信も増やして、皆さんが入りやすい形にしていきたいなと思っております。国際連携をもっと早くというのは確かにおっしゃるとおりなのですが、まだ体制が十分でないところがございますので、そこは頑張りたいなと思っております。

渡部構成員からご指摘がありましたように、トラストの資料が前半と後半で分かれているのではないかという話がありましたけれども、これについてはシームレスにトラストは実現されなければいけないと思っておりますが、まだそこが我々もコンセプトベースという形で整理はされていないのですけれども、今後うまい形で、シームレスな形でできればいいなと思っております。

あと、AIと経済安全保障の話をここで触れているところでございますけれども、ここは我々としてはそこにも留意して進めるところで、AIについてはしっかり書くと思うのですが、経済安全保障についてもきちんと留意した形で進める形で、専門領域はそちらの専門チームにやってもらうとして、我々としてもここはきちんと横目で見ながら進めていきたいなと思っております。

お金と人が全然足りていないのではないかという話はありますけれども、確かにそういう面もございますので、そこについては先ほど来、出ています体制の中で我々も効果をどうやって見せていくのか。そういう話も含めて頑張っていきたいなと思っております。
AIについて、今後、ジェネレーティブAIとか、そういうところに政策があるかという話がありましたけれども、AI戦略と今、一緒にいろいろ議論させていただいているところでございまして、ジェネレーティブだけではなくて、AIをどういうふうに進めるかというのはCSTIとともに検討させていただければと思っています。

富岡構成員から、G7の枠組みに対してネガティブなところはあるのでしょうかというご質問がありましたけれども、基本的には皆さん、こういう国際的に調整するべき事項は多いと思っておりますので、それほどネガティブな話はあまり聞いておりません。

それと、村井構成員から、データを整備するに当たって、もっとデジ臨的なアプローチというか、強制的なアプローチはないのかという話がございましたが、先ほどありましたように、GNNみたいなデータの標準は、ある程度、我々は各府省のシステムは見ておりますので、そういうところでぜひともこれを使ってくださいと。そのアプローチなのですが、それをどこまで使わなければならないというところまでするかというところはありますけれども、確かに出したくないところもあると思いますので、そこはデジ臨部局とも相談しながら、どこまでやったらいいのかと、あと、やはり目標値を2030年とか2025年に置いておりますので、そこまでにやるにはどのタイミングでどういう進め方をするかを検討させていただければと思っております。

これまでの積み上げの結果はちゃんと整理していきたいなと思っておりますし、リブートするタイミングはまさにそのとおりで、デジタルカタログを直したように、これからほかの部分も見直すべきところは見直していきたいと思っております。

砂金構成員から「勝ちに行く」とは何かとありましたが、リーダーシップを取るのではないかなと思っているのですけれども、全部の部分でやるのは無理ですが、ある程度の部分についてはやはり相互にリーダーシップを持っている領域を持っているのは重要だと思っておりますので、そういうところを目指していくのかなと思っておりますけれども、まだ今後精査してまいりたいと思っております。

最後に、坂本審議官から研究データの話がありましたけれども、ほかのAIも含めて総合科学技術・イノベーション会議とは一緒に検討させてもらって、整合性の取れた戦略をつくっていければと思っております。

以上でございます。

三島参事官: ありがとうございます。
そろそろ予定されていた時刻となりました。構成員の皆様より貴重なご意見を賜りまして本当にありがとうございます。

それでは、最後に、赤石デジタル審議官より一言いただきたいと思います。

赤石デジタル審議官: 皆さん、ありがとうございました。

本当に耳の痛いことをいっぱい言っていただきまして、この間、自民党の平場でもデジタル庁に対して非常に厳しいことを言われました。世界デジタル競争力ランキング2022では、日本は29位に下がり、さらに、データ分析・活用に関して言えば63か国中63位だと。一体どうなっているのだということを言われまして、これは全く、あのランキングそのもののやり方は別にして、本当にデータの利活用が遅れているのは党の危機意識そのものだと思います。本当に我々もそう評価しています。

日本では、データをどう活用しようかという考え方があまりないのは残念です。
 一方、中国は、昨年12月に国務院がデータ基盤制度を構築してデータ要素の役割をより良く発揮させることに関する意見書を公表し、全分野でどういうふうにデータを扱っていくかと示しています。米国の大統領府科学技術政策局は、今年1月にAIに関するレポートを出して、相当その中で、データ資源はアメリカ中でしっかりと用意しようという、すごく強烈な問題意識を持ってやっています。

さらに、DFFTの話が出ましたが、G20が今年、インドが議長国で、彼らの提案はデジタルパブリックインフラストラクチャというのです。中身は何かというと、eIDの連携であるとか、決済プラットフォームの連携であるとか、データを連携する基盤をつくっていく。こういうことを言っていまして、進んだ議論をしております。

いずれにせよ、我々は確かに体制も資金もなくて、思いだけは強くて、壮大な理想を掲げて世界を相手に闘っているので、越塚構成員がおっしゃっていますけれども、本当にこれをやってくれる人は、思いを持っている人は本当に日本で限られた人しかいないので、我々はぜひ連携して、産業界、政界、官界、そして、世界に働きかけて、このデータ戦略を実現していきたいと思っていますので、引き続きよろしくお願いします。

ありがとうございました。

三島参事官: ありがとうございました。
それでは、次回のワーキンググループにつきましては、重点計画におけるデータ戦略パートの改定を内容とし、4月に予定しております。

また、本日の議事録につきましては、皆様に内容をご確認いただいた後に公表いたします。

それでは、以上をもちまして、第6回「データ戦略推進ワーキンググループ」を閉会とさせていただきます。本日はありがとうございました。